JP2013177001A - 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び、液体吐出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】後の吐出パルスで高粘度液体を吐出させる場合に、先の吐出パルスによる悪影響を抑制する液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、第1吐出パルス(PS1)を生成して液体を吐出させるための動作をする素子へ印加し、ノズルから液体滴を吐出させるための動作をこの素子に行わせる。第1吐出パルスよりも後に非吐出パルス(PS2)を生成して素子へ印加し、第1吐出パルスによって圧力室内の液体に生じた圧力振動とは異なる位相であってノズルから液体滴が吐出されない強さの圧力振動を、圧力室内の液体に生じさせる。非吐出パルスよりも後に第2吐出パルス(PS1)を生成して素子へ印加し、非吐出パルスによって圧力室内の液体に生じた圧力振動を利用しつつ、ノズルから液体滴を吐出させるための動作を素子に行わせる。
【選択図】図8

Description

本発明は、液体吐出装置、及び、液体吐出方法に関する。
インクジェットプリンター等の液体吐出装置では、繰り返し周期内に含まれる吐出パルス同士の間隔をインク滴の着弾位置に基づいて定めることが一般的であった(例えば特許文献1を参照)。
特開2002−225250号公報
最近、インクジェットプリンターの技術を応用して、通常用いられる水系インクよりも高い粘度の液体(便宜上、高粘度液体ともいう。)を吐出させる試みがなされている。このような高粘度液体を吐出させる場合、粘度が高いがために流路内の抵抗が高く、後の吐出パルスによる液体の吐出は、先の吐出パルスの印加に伴って圧力室内の液体に生じた残留振動の影響を、従来のインクのような粘度の低い液体よりも少なからず受けてしまうことがある。これにより、後の吐出パルスによって吐出された液体滴の量や飛行速度が、先の吐出パルスによって吐出された液体滴に比べて大きくずれてしまうという問題点があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、後の吐出パルスで高粘度液体を吐出させる場合に、先の吐出パルスによる悪影響を抑制することにある。
前記目的を達成するための主たる発明は、
液体供給部とノズルのそれぞれに連通された圧力室と、
前記圧力室内の液体に圧力変化を与えるための動作をする素子と、
前記素子を動作させるべく電圧が変化するパルスを生成するパルス生成部であって、
前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせる第1吐出パルスと、
前記第1吐出パルスよりも後に生成され、前記第1吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動とは異なる位相であって前記ノズルから液体滴が吐出されない強さの圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせる非吐出パルスと、
前記非吐出パルスよりも後に生成され、前記非吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動を利用しつつ、前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせる第2吐出パルスと、
を生成するパルス生成部と、
を有する液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
印刷システムの構成を説明するブロック図である。 ヘッドの断面図である。 ヘッドの構造を模式的に説明する図である。 駆動信号生成回路等の構成を説明するブロック図である。 参考例の駆動信号を説明する図である。 参考例の問題点を説明する図である。 第1実施形態の駆動信号及びドットの形成制御を説明する図である。 第1実施形態におけるメニスカスの状態変化を説明する図である。 第1実施形態における非吐出パルスの作用を説明する図である。 第1実施形態の各パルスを説明する図である。 第1比較例を説明するシミュレーションデータである。 第1比較例の各パルスを説明する図である。 第2比較例によるメニスカスの状態変化を説明する図である。 第2比較例の非吐出パルスを説明する図である。 第2比較例を説明するシミュレーションデータである。 他の実施形態の駆動信号及びドット階調の制御を説明する図である。 小ドット用の吐出パルスを説明する図である。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
すなわち、液体供給部とノズルのそれぞれに連通された圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力変化を与えるための動作をする素子と、前記素子を動作させるべく電圧が変化するパルスを生成するパルス生成部であって、前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせる第1吐出パルスと、前記第1吐出パルスよりも後に生成され、前記第1吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動とは異なる位相であって前記ノズルから液体滴が吐出されない強さの圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせる非吐出パルスと、前記非吐出パルスよりも後に生成され、前記非吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動を利用しつつ、前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせる第2吐出パルスと、を生成するパルス生成部と、を有する液体吐出装置を実現できることが明らかにされる。
このような液体吐出装置によれば、非吐出パルスの印加によって生じる圧力振動によって、第1吐出パルスの印加による残留振動の影響を抑制でき、第2吐出パルスの印加による液体の吐出を補助できる。
かかる液体吐出装置であって、前記非吐出パルスは、前記第2吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じる圧力振動を強める圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせることが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、非吐出パルスによる残留振動を第2吐出パルスによる液体の吐出に用いることができ、圧力室内の液体に対してより大きな圧力振動を与えることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記非吐出パルスは、前記第1吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動であって前記非吐出パルスの前記素子への印加期間に生じている圧力振動よりも強い圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせることが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、第1吐出パルスの印加によって生じた圧力振動の影響を効果的に抑制できる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1吐出パルスは、開始電圧と終了電圧がともに前記第1吐出パルスにおける最低電圧であることが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、第1吐出パルスの波高を十分に高くでき、高粘度液体を確実に吐出できる。
かかる液体吐出装置であって、開始電圧と終了電圧がともに前記最低電圧であって、前記第1吐出パルスよりも波高が低く定められていることが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、非吐出パルスによる圧力振動の強さを波高によって調整できるので波形設計が容易である。
かかる液体吐出装置であって、前記非吐出パルスは、前記ノズルから液体滴を吐出させない場合にも前記素子へ印加されることが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、非吐出パルスの印加によって生じる圧力振動によって、ノズル付近の液体の増粘を抑制できる。
また、液体供給部とノズルのそれぞれに連通された圧力室、前記圧力室内の液体に圧力変化を与えるための動作をする素子、及び、前記素子を動作させるべく電圧が変化するパルスを生成するパルス生成部を有する液体吐出装置を用い、前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出方法であって、第1吐出パルスを生成して前記素子へ印加し、前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせること、前記第1吐出パルスよりも後に非吐出パルスを生成して前記素子へ印加し、前記第1吐出パルスによって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動とは異なる位相であって前記ノズルから液体滴が吐出されない強さの圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせること、前記非吐出パルスよりも後に第2吐出パルスを生成して前記素子へ印加し、前記非吐出パルスによって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動を利用しつつ、前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせること、を有する液体吐出方法を実現できることも明らかにされる。
===第1実施形態===
<印刷システムについて>
図1に例示した印刷システムは、プリンター1と、コンピューターCPとを有する。プリンター1は液体吐出装置に相当し、用紙、布、フィルム等の媒体に向けて、液体の一種であるインクを吐出する。媒体は、液体が吐出される対象となる対象物である。コンピューターCPは、プリンター1と通信可能に接続されている。プリンター1に画像を印刷させるため、コンピューターCPは、その画像に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
===プリンター1の概要===
プリンター1は、用紙搬送機構10、キャリッジ移動機構20、駆動信号生成回路30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び、主制御部60を有する。
用紙搬送機構10は媒体搬送部に相当し、媒体としての用紙を搬送方向に搬送させる。キャリッジ移動機構20はヘッド移動部に相当し、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジを所定の移動方向(例えば紙幅方向(搬送方向と交差する交差方向に相当する))へ移動させる。駆動信号生成回路30は、駆動信号COMを生成する。この駆動信号COMは、用紙への印刷時にヘッドHD(ピエゾ素子433,図2を参照)へ印加されるものであり、図7に一例を示すように、吐出パルスPS1や非吐出パルスPS2を含む一連の信号である。ここで、吐出パルスPS1とは、ヘッドHDから滴状のインクを吐出させるため、ピエゾ素子433に所定の動作を行わせる電圧の変化パターンである。また、非吐出パルスPS2とは、ヘッドHDからインクが吐出されない程度の圧力変化を、圧力室424(図2を参照)内のインクに与えるため、ピエゾ素子433に所定の動作を行わせる電圧の変化パターンである。駆動信号COMが吐出パルスPS1や非吐出パルスPS2を含むことから、駆動信号生成回路30はパルス生成部に相当する。なお、駆動信号生成回路30の構成や各パルスPS1,PS2については、後で説明する。ヘッドユニット40は、ヘッドHDとヘッド制御部HCとを有する。ヘッドHDは液体吐出ヘッドの一種であり、インクを用紙に向けて吐出させる。ヘッド制御部HCは、主制御部60からのヘッド制御信号に基づき、ヘッドHDを制御する。なお、ヘッドHDについては後で説明する。検出器群50は、プリンター1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。これらの検出器による検出結果は、主制御部60に出力される。主制御部60は、プリンター1における全体的な制御を行う。この主制御部60についても後で説明する。
===プリンター1の要部===
<ヘッドHDについて>
図2に示すように、ヘッドHDは、ケース41と、流路ユニット42と、ピエゾ素子ユニット43とを有する。ケース41の内部には、ピエゾ素子ユニット43を収容して固定するための収容空部411が設けられている。このケース41は、例えば樹脂材によって作製される。そして、ケース41の先端面には、流路ユニット42が接合されている。
流路ユニット42は、流路形成基板421と、ノズルプレート422と、振動板423とを有する。そして、流路形成基板421における一方の表面にはノズルプレート422が接合され、他方の表面には振動板423が接合されている。流路形成基板421には、圧力室424となる溝部、インク供給路425となる溝部、及び、共通インク室426となる開口部などが形成されている。この流路形成基板421は、例えばシリコン基板によって作製されている。圧力室424は、ノズル427の並び方向に対して直交する方向に細長い室として形成されている。インク供給路425は、圧力室424と共通インク室426との間を連通する。このインク供給路425は、共通インク室426に貯留されたインク(液体の一種)を圧力室424に供給する。従って、インク供給路425は、液体を圧力室424に供給するための供給部の一種である。共通インク室426は、インクカートリッジ(図示せず)から供給されたインクを一旦貯留する部分であり、共通の液体貯留室に相当する。
ノズルプレート422には、複数のノズル427が、所定の並び方向に所定の間隔で設けられている。インクは、これらのノズル427を通じてヘッドHDの外に吐出される。このノズルプレート422は、例えばステンレス板やシリコン基板によって作製されている。
振動板423は、例えばステンレス製の支持板428に樹脂製の弾性体膜429を積層した二重構造を採っている。振動板423における各圧力室424に対応する部分は、支持板428が環状にエッチング加工されている。そして、環内には島部428aが形成されている。この島部428aと島部428a周辺の弾性体膜429aとがダイヤフラム部423aを構成する。このダイヤフラム部423aは、ピエゾ素子ユニット43が有するピエゾ素子433によって変形し、圧力室424の容積を可変する。すなわち、ダイヤフラム部423aは、圧力室424の一部を区画し、変形によって圧力室424内のインク(液体)に圧力変化を与える区画部に相当する。
ピエゾ素子ユニット43は、ピエゾ素子群431と、固定板432とを有する。ピエゾ素子群431は櫛歯状をしている。そして、櫛歯の1つ1つがピエゾ素子433である。各ピエゾ素子433の先端面は、対応する島部428aに接着される。固定板432は、ピエゾ素子群431を支持するとともに、ケース41に対する取り付け部となる。この固定板432は、例えばステンレス板によって構成されており、収容空部411の内壁に接着される。
ピエゾ素子433は、電気機械変換素子の一種であり、圧力室424内の液体に圧力変化を与えるための動作(変形動作)をする素子に相当する。図2に示すピエゾ素子433は、隣り合う電極同士の間に電位差を与えることにより、積層方向と直交する素子長手方向に伸縮する。即ち、上記の電極は、所定電位の共通電極434と、駆動信号COM(吐出パルスPS1や非吐出パルスPS2)の電圧に応じた電位となる駆動電極435とを有する。そして、両電極434,435に挟まれた圧電体436は、共通電極434と駆動電極435との電位差に応じた度合いで変形する。ピエゾ素子433は、圧電体436の変形に伴って素子の長手方向に伸縮する。本実施形態において、共通電極434は、グランド電位、若しくは、グランド電位よりも所定電位だけ高いバイアス電位に定められる。そして、ピエゾ素子433は、駆動電極435の電位が共通電極434の電位よりも高くなるほど収縮する。反対に、駆動電極435の電位が共通電極434の電位に近付くほど、或いは、共通電極434の電位よりも低くなるほど伸張する。
前述したように、ピエゾ素子ユニット43は、固定板432を介してケース41に取り付けられている。このため、ピエゾ素子433が収縮すると、ダイヤフラム部423aは、圧力室424から遠ざかる方向に引っ張られる。これにより、圧力室424が膨張される。反対に、ピエゾ素子433が伸長すると、ダイヤフラム部423aが圧力室424側に押される。これにより、圧力室424が収縮する。圧力室424内のインクには、圧力室424の膨張や収縮に起因して圧力変化が生じる。すなわち、圧力室424の収縮に伴って圧力室424内のインクは加圧され、圧力室424の膨張に伴って圧力室424内のインクは減圧される。ピエゾ素子433の伸縮状態は駆動電極435の電位に応じて定まるので、圧力室424の容積も駆動電極435の電位に応じて定まる。そして、駆動電極435の電位は、駆動信号COMが有する各パルスPS1,PS2の電圧に応じて定まる。従って、ピエゾ素子433は、印加された各パルスPS1,PS2における電圧の変化パターンに応じた度合いで、ダイヤフラム部423a(区画部)を変形させる素子といえる。そして、圧力室424内のインクに対する加圧度合いや減圧度合いは、駆動電極435における単位時間あたりの電位変化量等によって定めることができる。
<インク流路について>
ヘッドHDには、共通インク室426からノズル427に至る一連のインク流路(液体で満たされる液体流路に相当する)が、ノズル427の数に応じた複数設けられている。このインク流路では、圧力室424に対し、ノズル427及びインク供給路425がそれぞれ連通している。そして、流路の断面積(インクの流れ方向と交差する面の断面積)に関し、ノズル427及びインク供給路425の断面積は、圧力室424の断面積よりも小さく定められている。このため、インクの流れなどの特性を解析する場合、ヘルムホルツの共鳴器の考え方が適用される。図3は、この考え方に基づくヘッドHDの構造を模式的に説明する図である。模式的に示している関係から、図3ではインク流路を実際とは異なる形状で示している。
一般的なヘッドHDにおいて、圧力室424の長さL424は200μmから2000μmの範囲内に定められる。圧力室424の幅W424は20μmから300μmの範囲内に定められ、圧力室424の高さH424は30μmから500μmの範囲内に定められる。そして、インク供給路425の長さL425は50μmから2000μmの範囲内に定められる。インク供給路425の幅W425は20μmから300μmの範囲内に定められ、インク供給路425の高さH425は30μmから500μmの範囲内に定められる。また、ノズル427の直径φ427は10μmから40μmの範囲内に定められ、ノズル427の長さL427は40μmから100μmの範囲内に定められる。
このようなインク流路では、圧力室424内のインクに圧力変化を与えることで、ノズル427からインクを吐出させる。このとき、圧力室424、インク供給路425、及び、ノズル427は、ヘルムホルツの共鳴器のように機能する。このため、圧力室424内のインクに圧力が加わると、この圧力の大きさはヘルムホルツ周期と呼ばれる固有の周期で変化する。すなわち、インクには圧力振動が生じる。
ここで、ヘルムホルツ周期(インクの固有振動周期)Tcは、一般的には次式(1),(2)で表すことができる。
Tc=1/f・・・(1)
f=1/2π√〔(Mn+Ms)/(Mn×Ms×(Cc+Ci))〕・・・(2)
式(1)において、Mnはノズル427のイナータンス(単位断面積あたりのインクの質量)、Msはインク供給路425のイナータンス、Ccは圧力室424のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す。)、Ciはインクのコンプライアンス(Ci=体積V/〔密度ρ×音速c2〕)である。
この圧力振動の振幅は、インク流路をインクが流れることで次第に小さくなる。例えば、ノズル427やインク供給路425における損失、及び、圧力室424を区画する壁部等における損失により、圧力振動は減衰する。ここで、高粘度インクをノズル427などの微小な流路に流すことで、壁部などから大きな流路抵抗が及び、従来の低い粘度のインク(低粘度インクともいう)とは異なる圧力振動を生じさせることがある。
一般的なヘッドHDにおいて、圧力室424におけるヘルムホルツ周期は5μsから10μsの範囲内に定められる。例えば、図3に示すインク流路において、圧力室424の幅W424を100μm、高さH424を70μm、長さL424を1000μmとし、インク供給路425の幅W425を50μm、高さH425を70μm、長さL425を500μmとし、ノズル427の直径φ427を30μm、長さL427を100μmとした場合、ヘルムホルツ周期は8μs程度になる。なお、このヘルムホルツ周期は、隣り合う圧力室424同士を区画する壁部の厚さ、弾性体膜429の厚さやコンプライアンス、流路形成基板421やノズルプレート422の素材によっても変化する。
<主制御部60について>
主制御部(メインコントローラー)60は、プリンター1における全体的な制御を行う。例えば、コンピューターCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。図1に示すように、主制御部60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリー63とを有する。インタフェース部61は、コンピューターCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU62は、プリンター1の全体的な制御を行う。メモリー63は、コンピュータープログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。CPU62は、メモリー63に記憶されているコンピュータープログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、用紙搬送機構10やキャリッジ移動機構20を制御する。また、CPU62は、ヘッドHDの動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路30に送信したりする。
ここで、駆動信号COMを生成させるための制御信号はDACデータとも呼ばれ、例えば複数ビットのデジタルデータである。このDACデータは、生成される駆動信号COMにおける電圧の変化パターンを定める。従って、このDACデータは、駆動信号COMや各パルスPS1,PS2の電圧を示すデータともいえる。このDACデータは、メモリー63の所定領域に記憶されており、駆動信号COMの生成時に読み出されて駆動信号生成回路30へ出力される。
<駆動信号生成回路30について>
駆動信号生成回路30は、駆動信号COMを生成する駆動信号生成部であって、パルス生成部としても機能する。そして、DACデータに基づき、吐出パルスPS1や非吐出パルスPS2を含んだ駆動信号COMを生成する。図4に示すように、駆動信号生成回路30は、DAC回路31と、電圧増幅回路32と、電流増幅回路33とを有する。DAC回路31は、デジタルのDACデータをアナログ信号に変換する。電圧増幅回路32は、DAC回路31で変換されたアナログ信号の電圧を、ピエゾ素子433を駆動できるレベルまで増幅する。このプリンター1では、DAC回路31から出力されるアナログ信号は最大3.3Vであるのに対し、電圧増幅回路32から出力される増幅後のアナログ信号(便宜上、波形信号ともいう。)は最大42Vである。電流増幅回路33は、電圧増幅回路32からの波形信号について電流の増幅をし、駆動信号COMとして出力する。この電流増幅回路33は、例えば、プッシュプル接続されたトランジスタ対によって構成される。
<ヘッド制御部HCについて>
ヘッド制御部HCは、駆動信号生成回路30で生成された駆動信号COMの必要部分をヘッド制御信号に基づいて選択し、ピエゾ素子433へ印加する。このため、ヘッド制御部HCは、図4に示すように、駆動信号COMの供給線の途中に、ピエゾ素子433毎に設けられた複数のスイッチ44を有する。ヘッド制御部HCは、ヘッド制御信号からスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号によって各スイッチ44を制御することで、駆動信号COMの必要部分、例えば吐出パルスPS1や非吐出パルスPS2がピエゾ素子433へ印加される。このとき、必要部分の選択の仕方次第で、ノズル427からのインクの吐出を制御できる。例えば、ドット階調に応じて必要なパルスPS1,PS2を選択し、ピエゾ素子433へ印加できる。このようなヘッド制御部HCは、駆動信号COMに含まれる各パルスPS1,PS2を主制御部60からのヘッド制御信号に応じて選択し、ピエゾ素子433へ印加するパルス選択印加部に相当する。
===参考例について===
本実施形態のプリンター1による吐出動作の説明に先立って、参考例の吐出動作について説明する。ここで、図5は参考例の駆動信号を説明する図であり、図6は参考例の問題点を説明する図である。図6において、縦軸はメニスカス(ノズル427で露出しているインクの自由表面)の状態をインクの量で示しており、横軸は時間である。縦軸に関し、0は、定常状態におけるメニスカスの位置を示す。そして、正側に値が大きくなるほど、メニスカスは吐出方向に押し出された状態になっている。反対に、負側に値が大きくなるほど、メニスカスは圧力室424側に引き込まれた状態になっている。これらの縦軸や横軸の内容は、他の図(図8や図9等)の縦軸や横軸にも同様にあてはまる。このため、他の図における説明は省略する。
図5に示すように、参考例の駆動信号は、2つの吐出パルスPS1,PS1を含んでいる。便宜上、先に生成される吐出パルスを吐出パルスPS1(先)とし、後に生成される吐出パルスを吐出パルスPS1(後)とする。吐出パルスPS1(先)及び吐出パルスPS1(後)は、ともに同じ波形形状(電圧の変化パターン)とされた台形波によって構成されている。すなわち、減圧部分P1と維持部分P2と加圧部分P3とを有している。そして、吐出パルスPS1(後)は、吐出パルスPS1(先)から期間TAの経過後に生成が開始されている。
まず、吐出パルスPS1(先)だけをピエゾ素子433に印加した場合におけるメニスカスの動きを説明する。この場合、図6の上段に示すように、吐出パルスPS1(先)の有する減圧部分P1がタイミングt0からピエゾ素子433へ印加される。減圧部分P1がピエゾ素子433へ印加されると、圧力室424は膨張する。この膨張に伴い圧力室424内のインクが負圧となり、インクがインク供給路425を通じて圧力室424側に流入する。また、インクが負圧になったことに伴って、メニスカスがノズル427内で圧力室424側(−側)に引き込まれる。
メニスカスの圧力室424側への移動は、減圧部分P1の印加終了後も継続される。すなわち、圧力室424を区画する壁部や振動板423のコンプライアンス等により、メニスカスは維持部分P2の印加期間中も圧力室424側へ移動する。その後、タイミングt1にて、メニスカスの移動方向が反転する。このとき、加圧部分P3の印加に伴う圧力室424の収縮も加わる。このため、圧力室424内のインク圧力が高くなり、メニスカスは吐出側(+側)へ高速で移動する。加圧部分P3の印加に伴って移動したメニスカスは柱状になる。そして、加圧部分P3のピエゾ素子433への印加終了後のタイミングt2にて、柱状になったメニスカスの先端側の一部分が切れ、滴状になって吐出される。なお、図6において、タイミングt2でのインク量F1が、吐出されたインク滴の量を示す。
吐出の反動で、メニスカスは圧力室424側に速い速度で戻る。そして、圧力室424側に十分引き込まれたら、メニスカスは、移動方向を吐出側に切り替える。その後、メニスカスは、移動方向を圧力室424側と吐出側とに切り替えながら移動し、定常状態に近付く。このように、メニスカスが圧力室424側と吐出側と移動するのは、圧力室424内におけるインクの圧力振動(インク滴吐出後の残留振動)による。従って、圧力室424内のインクの圧力は、ヘルムホルツ周期Tcで変化する。
次に、吐出パルスPS1(後)だけをピエゾ素子433に印加した場合におけるメニスカスの動きを説明する。なお、吐出パルスPS1(先)及び吐出パルスPS1(後)は、ともに同じ波形(電圧の変化パターン)であるため、メニスカスの動きは、吐出パルスPS1(先)をピエゾ素子433に印加した場合と同じである。このため簡単に説明をする。図6の中段に示すように、吐出パルスPS1(後)の有する減圧部分P1がタイミングt3からピエゾ素子433へ印加される。減圧部分P1がピエゾ素子433へ印加されると、メニスカスがノズル427内で圧力室424側(−側)に引き込まれる。その後、タイミングt4にて、メニスカスの移動方向が反転し、加圧部分P3がピエゾ素子433に印加される。このため、メニスカスは吐出側へ高速で移動する。タイミングt5にて、柱状になったメニスカスの先端側の一部分が切れ、滴状になって吐出される。そして、タイミングt5におけるインク量F1は、吐出パルスPS1(先)と同じになっている。
次に、吐出パルスPS1(先)及び吐出パルスPS1(後)をピエゾ素子433に続けて印加した場合におけるメニスカスの動きを説明する。この場合、タイミングt3までのメニスカスの動きは、吐出パルスPS1(先)だけをピエゾ素子433に印加した場合と同じであるので、説明を省略する。タイミングt3から吐出パルスPS1(後)のピエゾ素子433への印加が開始される。このとき、メニスカスは、吐出パルスPS1(先)のピエゾ素子433への印加に起因する残留振動によって、吐出側へ移動しようとしている。一方、吐出パルスPS1(後)の減圧部分P1がピエゾ素子433へ印加されることで、圧力室424が膨張して圧力室424内のインクを減圧する。そして、残留振動に起因するエネルギーと圧力室424の膨張に起因するエネルギーとが相殺される。ここで、減圧部分P1によってインクに与えられるエネルギーの方が残留振動に起因するエネルギーよりも大きいので、メニスカスは圧力室424側へ引き込まれる。しかし、エネルギーの相殺により、メニスカスの引き込み力は、吐出パルスPS1(後)を単独でピエゾ素子433に印加した場合よりも弱い。なお、図6では、タイミングt4でのインク量がタイミングt1でのインク量と揃っているが、これは、減圧部分P1の印加開始時点におけるタイミングt3にて、メニスカスが圧力室424側に引き込まれていることが原因と考えられる。タイミングt4にて、メニスカスの移動方向が反転し、加圧部分P3がピエゾ素子433に印加される。このため、メニスカスは吐出側へ高速で移動する。タイミングt5にて、柱状になったメニスカスの先端側の一部分が切れて滴状になって吐出されるが、タイミングt5におけるインク量F2は、吐出パルスPS1(先)によるインク量F1よりも少ない。これは、前述したエネルギーの相殺によると考えられる。
この参考例では、吐出パルスPS1(先)と吐出パルスPS1(後)とをピエゾ素子433に続けて印加した場合に、吐出パルスPS1(後)に対応するインク滴の量が吐出パルスPS1(先)に対応するインク滴の量よりも少なくなってしまう。加えて、タイミングt4において、メニスカスを吐出側へ移動させるエネルギーが、相殺によって吐出パルスPS1(後)を単独で印加した場合に比べて小さくなってしまうので、インク滴の飛行速度も相対的に遅くなってしまう。これにより、ドットの着弾位置がずれ、画質劣化の原因となってしまう。
===吐出動作について===
<概要>
このような事情に鑑み、本実施形態の駆動信号生成回路30は、先にピエゾ素子433へ印加される吐出パルスPS1(第1吐出パルスに相当する)と後にピエゾ素子433へ印加される吐出パルスPS1(第2吐出パルスに相当する)との間に、非吐出パルスPS2を生成する。この非吐出パルスPS2は、先の第1吐出パルスPS1のピエゾ素子433への印加によって圧力室424内のインクに生じた圧力振動とは異なる位相であってノズル427からインク滴を吐出させない程度の圧力変化を圧力室424内のインクに与えるべく、生成タイミングや波形が定められている。ヘッド制御部HCは、後の吐出パルスPS1のピエゾ素子433への印加に先立って、非吐出パルスPS2をピエゾ素子433へ印加する。そして、後の吐出パルスPS1が印加されたピエゾ素子433は、インク滴を吐出するための動作をするが、この動作において非吐出パルスPS2によって生じた圧力振動が利用される。これにより、先の吐出パルスPS1の印加によって生じた圧力振動の影響を抑制でき、後の吐出パルスPS1の印加によるインクの吐出を補助できる。その結果、後の吐出パルスPS1の印加によって吐出されるインク滴について、量の不足や飛行速度の不足を抑制できる。以下、詳細に説明する。
<駆動信号COMについて>
まず、駆動信号生成回路30によって生成される駆動信号COMについて説明する。図7に示すように、本実施形態の駆動信号COMは、複数の吐出パルスPS1と複数の非吐出パルスPS2とを含み、繰り返し周期T毎に繰り返し生成される。この繰り返し周期Tは1ドットに対応する期間である。
吐出パルスPS1は、参考例で説明したように、減圧部分P1、維持部分P2、加圧部分P3を有する台形波によって構成されている。非吐出パルスPS2もまた、減圧部分P1´、維持部分P2´、加圧部分P3´を有する台形波によって構成されている。吐出パルスPS1との大きな違いは波高にある。この実施形態において、非吐出パルスPS2の波高は、吐出パルスPS1の波高の半分よりも多少低く定められている。
各パルスPS1,PS2はともに、開始電圧と終了電圧が各パルスPS1,PS2の最低電圧(この例では駆動信号COMの最低電圧でもある)である台形波によって構成されている。開始電圧と終了電圧が各パルスPS1,PS2の最低電圧であるため、吐出パルスPS1においては、圧力室424の膨張時や収縮時における容積の変化量を大きくとることができる。すなわち、吐出パルスPS1の減圧部分P1や加圧部分P3において電圧の差を十分に確保でき、圧力室424の膨張率や収縮率を高めることができる。これにより、高粘度インクを圧力室424側に強く引き込んだり、吐出側へ強く押し出したりできる。その結果、高粘度インクを効率よく吐出させることができる。また、各パルスPS1,PS2が台形波であることから、各パルスPS1,PS2の生成に必要な時間を短くすることが可能になり、インク滴の高周波吐出に適する。また、非吐出パルスPS2も台形波によって構成しているので、その波高によって圧力振動の強さを調整でき、波形設計が容易である。
これらの吐出パルスPS1及び非吐出パルスPS2は、それぞれセットでピエゾ素子433へ印加される。例えば、3つのドットを連続的に形成する場合には、スイッチ制御信号[111]に基づき、各繰り返し周期Tにてスイッチ44がオン(接続)状態になる。これにより、それぞれの繰り返し期間Tで各パルスPS1,PS2がピエゾ素子433へ印加され、ノズル427からインク滴が吐出される。
また、2つのドットを連続的に形成し、次の期間Tではドットを形成しない場合には、スイッチ制御信号[110]に基づき、1番目と2番目の繰り返し周期Tにてスイッチ44がオン状態になり、3番目の繰り返し周期Tでスイッチ44がオフ状態になる。同様に、ドットの形成と非形成を交互に行う場合には、スイッチ制御信号[101]に基づき、1番目と3番目の繰り返し周期Tにてスイッチ44がオン状態になり、2番目の繰り返し周期Tでスイッチ44がオフ状態になる。
ここで、連続してドットを形成する場合、後の吐出パルスPS1に先立って、先の繰り返し周期に含まれる非吐出パルスPS2がピエゾ素子433へ印加される。非吐出パルスPS2が介在することで、吐出パルスPS1、非吐出パルスPS2、吐出パルスPS1の順にピエゾ素子433へ印加され、ピエゾ素子433が各パルスPS1,PS2の波形に対応した伸縮動作をする。この伸縮動作により、まず、先の吐出パルスPS1に応じた圧力変化が圧力室424内のインクに与えられ、ノズル427からインク滴が吐出される。その後、非吐出パルスPS2に応じた圧力変化が圧力室424内のインクに与えられ、インク滴吐出後における残留振動とは異なる位相の圧力振動が励起される。その後、後の吐出パルスPS1に応じた圧力変化が圧力室424内のインクに与えられ、ノズル427からインク滴が吐出される。このとき、非吐出パルスPS2によって生じた圧力振動が利用されるので、先の吐出パルスPS1の印加によって生じた圧力振動の影響を抑制しつつ、後の吐出パルスPS1の印加によって生じた圧力振動をインク滴の吐出に有効に用いることができる。その結果、吐出されるインク滴について、量や飛行速度の不足を抑制できる。
<非吐出パルスPS2の作用について>
ここで、前述した非吐出パルスPS2の作用について説明する。図8は、非吐出パルスPS2の作用を説明する図であり、吐出パルスPS1、非吐出パルスPS2、吐出パルスPS1の順にピエゾ素子433へ印加された場合におけるメニスカスの状態を説明する図である。すなわち、最上段は、先の吐出パルスPS1(第1吐出パルス)をピエゾ素子433に印加した場合におけるメニスカスの状態を説明する図であり、非吐出パルスPS2をピエゾ素子433に印加した場合におけるメニスカスの状態を説明する図である。また、上から3段目は、後の吐出パルスPS1(第2吐出パルス)をピエゾ素子433に印加した場合におけるメニスカスの状態を説明する図であり、最下段は、上記の各パルスPS1,PS2,PS1を連続的にピエゾ素子433へ印加した場合におけるメニスカスの状態を説明する図である。
まず、吐出パルスPS1を単独でピエゾ素子433へ印加した場合のメニスカスの動きについて説明する。
この場合のメニスカスの動きは、参考例で説明したメニスカスの動きと同様である。簡単に説明すると、期間T3の吐出パルスPS1については、タイミングt0から減圧部分P1の印加が開始されてメニスカスが圧力室424側に引き込まれる。引き込まれたメニスカスが反転して吐出側へ移動方向を切り替えるタイミングt11で、加圧部分P3の印加が開始される。これによりメニスカスが押し出され、タイミングt12にてインク量F1のインク滴として吐出される。インク滴の吐出後においてメニスカスは自由振動をする。例えば、タイミングt13では、引き込まれたメニスカスが反転して吐出側へ移動方向を切り替える。また、タイミングt14では、押し出されたメニスカスが反転して圧力室424側へ移動方向を切り替える。インク滴の吐出後における残留振動の強さは、メニスカスの振幅で表される。この例では、インク量F3に相当する強さの残留振動が生じている。また、期間T5の吐出パルスPS1については、タイミングt16から減圧部分P1の印加が開始され、タイミングt17でインク量F1のインク滴が吐出される。そして、インク滴の吐出後に残留振動が生じていることは、期間T3の吐出パルスPS1と同じである。
次に、非吐出パルスPS2を単独でピエゾ素子433へ印加した場合のメニスカスの動きについて説明する。
この非吐出パルスPS2では、タイミングt13から減圧部分P1´の印加が開始される。これにより、圧力室424が膨張して圧力室424内のインクが負圧となる。そして、メニスカスは、ノズル427内で圧力室424側に引き込まれる。メニスカスの圧力室424側の移動は維持部分P2´の印加中も継続する。そして、タイミングt14では、引き込まれたメニスカスが反転して吐出側へ移動方向を切り替える。メニスカスの吐出方向への移動にあわせて加圧部分P3´が印加され、メニスカスの移動が加速される。この非吐出パルスPS2では、ノズル427からインク滴が吐出されないように波高が設定されている。このため、タイミングt15以降のメニスカスの振動状態は、それ以前の振動状態を継続している。言い換えれば、メニスカスは、圧力室424側へ急速に戻っておらず、インク滴の吐出に伴う反動が生じていない。そして、メニスカスの振幅から、この非吐出パルスPS2をピエゾ素子433に印加することで、インク量F4に相当する強さの圧力振動が圧力室424内のインクに励起されることが判る。この圧力振動は、先の吐出パルスPS1による残留振動(非吐出パルスPS2の印加期間における残留振動)よりも強い。
次に、上記の各パルスPS1,PS2,PS1を連続的にピエゾ素子433へ印加した場合におけるメニスカスの動きについて説明する。
この場合、非吐出パルスPS2の印加が開始されるまでのタイミングt13までは、先の吐出パルスPS1を単独で印加した場合と同じである。そして、タイミングt13から非吐出パルスPS2が有する減圧部分P1´の印加が開始される。ここで、先の吐出パルスPS1を単独で印加した場合の圧力振動と、非吐出パルスPS2を単独で印加した場合の圧力振動とは逆位相になっている。このため、この減圧部分P1´によるメニスカスを引き込むエネルギーと、残留振動によるメニスカスを吐出方向に移動させるエネルギーとが相殺され、タイミングt14までの期間においてメニスカスは引き込まれた状態を維持する。そして、タイミングt14が経過すると加圧部分P3´の印加が開始されるので、メニスカスは吐出側への移動を開始する。非吐出パルスPS2を単独で印加した場合におけるメニスカスの動きと対比すれば判るように、タイミングt14以降の圧力振動は、非吐出パルスPS2を単独で印加した場合の圧力振動と同じ位相である。このことから、非吐出パルスPS2を印加することで、圧力室424内のインクに与えられる圧力振動の位相がシフトしたといえる。このことは、図中一点鎖線で示す参考例のメニスカスの動きとの対比により、一層明確になる。
タイミングt16から後の吐出パルスPS1の印加が開始される。ここで、非吐出パルスPS2を単独で印加した場合の圧力振動と、後の吐出パルスPS1を単独で印加した場合の圧力振動とは同位相である。このため、減圧部分P1の印加によるインクの減圧及び加圧部分P3によるインクの加圧が、非吐出パルスPS2の印加後における残留振動によって補助される。すなわち、圧力振動が強められる。その結果、後の吐出パルスPS1で吐出されるインク滴の量F5は、先の吐出パルスPS1で吐出されるインク滴の量F3よりも増えている。
このように、本実施形態では、先の吐出パルスPS1と後の吐出パルスPS1との間に非吐出パルスPS2を生成し、後の吐出パルスPS1のピエゾ素子433への印加に先立って非吐出パルスPS2をピエゾ素子433に印加している。このため、先の吐出パルスPS1による残留振動の影響を抑制できる。また、非吐出パルスPS2による圧力振動はこの残留振動よりも強く、後の吐出パルスPS1による圧力振動と同位相である。このため、非吐出パルスPS2による残留振動により、後の吐出パルスPS1によるインク滴の吐出を補助することができる。
<具体例について>
以下、前述の作用効果をシミュレーション結果に基づいて具体的に説明する。まず、本実施形態のシミュレーション結果について説明する。ここで、図9は、2つの吐出パルスPS1,PS1と1つの非吐出パルスPS2を連続してピエゾ素子433へ印加した場合におけるメニスカスの動きを示す図である。また、図10は、このシミュレーションに用いた各パルスPS1,PS2,PS1を説明する図である。このシミュレーションでは、吐出パルスPS1に関し、減圧部分P1の生成期間が2.5μs、維持部分P2の生成期間が2.0μs、加圧部分P3の生成期間が3.0μsであり、波高は25Vである。また、非吐出パルスPS2に関し、減圧部分P1´の生成期間が2.0μs、維持部分P2´の生成期間が1.0μs、加圧部分P3´の生成期間が2.5μsであり、波高は10Vである。なお、インクの粘度は15mPa・s秒である。本実施形態では、先の吐出パルスPS1によって約12ngのインク滴が吐出され(t12)、後の吐出パルスPS1によって約13ngのインク滴が吐出されている(t16)。後の吐出パルスPS1の方が先の吐出パルスPS1よりもインク滴の吐出量が多いのは、前述したように、非吐出パルスPS2による作用と考えられる。
次に、第1比較例のシミュレーション結果について説明する。ここで、図11は、2つの吐出パルスPS1,PS1を連続してピエゾ素子433へ印加した場合におけるメニスカスの動きを示す図である。また、図12は、このシミュレーションに用いた各吐出パルスPS1,PS1を説明する図である。このシミュレーションの吐出パルスPS1は、本実施形態で説明した吐出パルスPS1と同じ波形である。また、各吐出パルスPS1,PS1の生成タイミングやインクの粘度も、本実施形態と同じである。この第1比較例では、先の吐出パルスPS1によって約12ngのインク滴が吐出され(t12)、後の吐出パルスPS1によって約11ng強のインク滴が吐出されている(t16)。後の吐出パルスPS1の方が先の吐出パルスPS1よりもインク滴の吐出量が少ないのは、前述したように、先の吐出パルスPS1の残留振動により、後の吐出パルスPS1の減圧部分P1による減圧のエネルギーが消費されたからと解される。
次に、第2比較例のシミュレーション結果について説明する。第2比較例は、非吐出パルスPS2の生成タイミングが本実施形態の非吐出パルスPS2の生成タイミングよりも早く定められている。具体的には、図14に示すように、先の吐出パルスPS1の生成開始から10μsの経過時点で、非吐出パルスPS2の生成が開始されている。図10との比較から判るように、このタイミングは本実施形態における非吐出パルスPS2の生成タイミングよりも2.5μs早い。これにより、図13に示すように、圧力振動の位相が2.5μsだけ前側にシフトしている。なお、非吐出パルスPS2の波形、及び、各吐出パルスPS1,PS1の波形と生成タイミングは、本実施形態と同じである。この変形例では、先の吐出パルスPS1によって約12ngのインク滴が吐出され(t12)、後の吐出パルスPS1によって約11.5ng強のインク滴が吐出されている(t16)。後の吐出パルスPS1の方が先の吐出パルスPS1よりもインク滴の吐出量が少なくなっている。これは、非吐出パルスPS2による残留振動の位相と後の吐出パルスPS1に与えられる圧力振動の位相との間でずれが生じたためと解される。
従って、非吐出パルスPS2による作用効果を十分に得るためには、先の吐出パルスPS1と非吐出パルスPS2の間隔、及び、非吐出パルスPS2と後の吐出パルスPS1の間隔が重要であることがわかる。そして、先の吐出パルスPS1と非吐出パルスPS2の間隔に応じて非吐出パルスPS2の生成タイミングや圧力振動の強さを変えることが好ましい。この点、本実施形態の非吐出パルスPS2は、台形波であるので波高を変えることで圧力振動の強さを容易に変えることができ、波形設計が容易である。
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態のプリンター1では、先の吐出パルスPS1の後に非吐出パルスPS2を生成し、非吐出パルスPS2の後に後の吐出パルスPS1を生成している。そして、非吐出パルスPS2によって先の吐出パルスPS1の残留振動の位相をシフトし、後の吐出パルスPS1によって与えられる圧力振動の位相にあわせている。このため、後の吐出パルスPS1によるインク滴の吐出時において、先の吐出パルスPS1による残留振動の影響を抑制でき、後の吐出パルスPS1の印加によるインク滴の吐出を補助できる。また、非吐出パルスPS2の残留振動は、後の吐出パルスPS1による圧力振動を強めるように作用する。このため、後の吐出パルスPS1によるインク滴の吐出動作時により大きな圧力振動を、圧力室424内のインクに対して与えることができる。また、非吐出パルスPS2によって圧力室424内のインクに与えられる圧力振動は、非吐出パルスPS2の印加期間における残留振動よりも強い。このため、先の吐出パルスPS1よる残留振動の影響を効果的に抑制できる。また、吐出パルスPS1と非吐出パルスPS2をともに台形波によって構成しているので、インク滴の高周波吐出に適する。
===その他の実施形態について===
前述の実施形態は、主として、液体吐出装置としてのプリンター1を有する印刷システムについて記載されているが、その中には、液体吐出方法や液体吐出システムの開示が含まれている。また、液体吐出ヘッドや液体吐出ヘッドの制御方法の開示も含まれている。また、この実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<階調制御について>
前述の実施形態では、ドットのオンオフを制御する場合を例に挙げて説明したが、この制御に限られない。多階調の制御を行うこともできる。以下、多階調の制御について説明する。
図16に示すように、多階調に用いる駆動信号COMは、複数の吐出パルスPS1と複数の非吐出パルスPS2とを含み、繰り返し周期T毎に繰り返し生成される。これらの吐出パルスPS1及び非吐出パルスPS2は、それぞれ個別にピエゾ素子433へ印加することができる。例えば、インク滴を吐出させないドットなしの階調値[00]では、期間T2、期間T4、期間T6のそれぞれでスイッチ44がオン(接続)状態になり、駆動信号COMが対応するピエゾ素子433へ印加される。これにより、3つの非吐出パルスPS2がピエゾ素子433へ印加されて、ピエゾ素子433が非吐出パルスPS2の波形に対応した伸縮動作をする。そして、ノズル427からインク滴が吐出されない程度の圧力変化が圧力室424内のインクに与えられる。その結果、メニスカスがノズル427で吐出側と圧力室424側とに微振動し、ノズル427付近のインクの増粘が抑制される。
小ドットの階調値[01]では、期間T3でスイッチ44がオン状態になり、駆動信号COMが対応するピエゾ素子433へ印加される。これにより、1つの吐出パルスPS1がピエゾ素子433へ印加されて、ピエゾ素子433が吐出パルスPS1の波形に対応した伸縮動作をする。この伸縮動作により、圧力室424内のインクには、非吐出パルスPS2を単独でピエゾ素子433へ印加した場合よりも強い圧力変化が与えられ、ノズル427から小ドットを形成するために必要な量のインク滴が吐出される。
中ドットの階調値[10]では、期間T3、期間T4、期間T5でスイッチ44がオン状態になり、駆動信号COMが対応するピエゾ素子433へ印加される。これにより、吐出パルスPS1、非吐出パルスPS2、吐出パルスPS1の順にピエゾ素子433へ印加され、ピエゾ素子433が各パルスPS1,PS2の波形に対応した伸縮動作をする。
前述したように、この場合には、まず、先の吐出パルスPS1(第1吐出パルス)に応じた圧力変化が圧力室424内のインクに与えられ、ノズル427からインク滴が吐出される。その後、非吐出パルスPS2に応じた圧力変化が圧力室424内のインクに与えられ、インク滴吐出後における残留振動とは異なる位相の圧力振動が励起される。その後、後の吐出パルスPS1(第2吐出パルス)に応じた圧力変化が圧力室424内のインクに与えられ、ノズル427からインク滴が吐出される。このとき、非吐出パルスPS2によって生じた圧力振動が利用されるので、先の吐出パルスPS1の印加によって生じた圧力振動の影響を抑制しつつ、後の吐出パルスPS1の印加によって生じた圧力振動をインク滴の吐出に有効に用いることができる。その結果、吐出されるインク滴について、量や飛行速度の不足を抑制できる。
大ドットの階調値[11]では、期間T1から期間T7に亘ってスイッチ44がオン状態になり、駆動信号COMが対応するピエゾ素子433へ印加される。これにより、吐出パルスPS1、非吐出パルスPS2、吐出パルスPS1・・・の順にピエゾ素子433へ印加され、ピエゾ素子433が各パルスPS1,PS2の波形に対応した伸縮動作をする。この場合、期間T1の吐出パルスPS1は、期間T3の吐出パルスPS1に対して先の吐出パルスに相当する(期間T3の吐出パルスPS1は、後の吐出パルスになる)。また、期間T3の吐出パルスPS1は、期間T5の吐出パルスPS1に対して先の吐出パルスに相当し、期間T5の吐出パルスPS1は、期間T7の吐出パルスPS1に対して先の吐出パルスに相当する。そして、大ドットの階調値では、後の吐出パルスPS1(期間T3,T5,T7の吐出パルスPS1)のピエゾ素子433への印加に先立って、非吐出パルスPS2がピエゾ素子433に印加される。このため、中ドットの階調値で説明したように、後の吐出パルスPS1の印加によって吐出されるインク滴について、量や飛行速度の不足を抑制できる。
<吐出動作をする素子について>
前述の実施形態では、インクを吐出させるための動作をする素子として、ピエゾ素子433を用いている。ここで、吐出動作をする素子は、前述したピエゾ素子433に限定されるものではない。印加された信号の電圧に応じて動作をし、圧力室424内の液体に圧力変化を与える素子であればよい。例えば、磁歪素子であってもよい。そして、この素子として、前述の実施形態のようにピエゾ素子433を用いた場合には、圧力室424の容積を各パルスPS1,PS2の電圧に基づいて精度良く制御できる。すなわち、圧力室424内のインクに与える圧力をきめ細かに制御できる。
<駆動信号生成回路について>
前述の実施形態では、駆動信号生成回路30によって単一の駆動信号COMを生成していた。ここで、駆動信号生成回路30から複数種類の駆動信号を生成するようにしてもよい。例えば、各吐出パルスPS1を含む第1駆動信号と各非吐出パルスPS2を含む第2駆動信号とを生成してもよい。この場合、ヘッド制御部HCは、第1駆動信号の必要部分と第2駆動信号の必要部分とをピエゾ素子へ印加する。また、駆動信号生成回路30をトランジスタ、抵抗、コンデンサ等のアナログ素子を使って構成してもよい。
<駆動信号について>
前述の駆動信号COMでは、繰り返し周期Tの先頭(期間T1)で吐出パルスPS1を生成していたが、繰り返し周期Tの先頭で非吐出パルスPS2を生成してもよい。この場合、繰り返し周期Tにおいて、非吐出パルスPS2と吐出パルスPS1とが交互に生成される。このように構成すると、先の繰り返し周期Tにおける最後の吐出パルスPS1から後の繰り返し周期Tにおける最初の吐出パルスPS1までの期間が短い場合に、先の繰り返し周期Tにおける最後の吐出パルスPS1による残留振動の位相を、後の繰り返し周期Tにおける最初の非吐出パルスPS2でシフトさせることができる。これにより、後の繰り返し周期Tにおける最初の吐出パルスPS1によるインク滴について、量や飛行速度の不足を抑制できる。
また、吐出パルスの波形は台形波に限られない。前述の実施形態のように、吐出パルスを台形波によって構成することで、インク滴の高周波吐出に適する。
また、図17に示すように、電圧の上げ下げを繰り返す小ドット用パルスPS3の場合、圧力室424内のインクには圧力の変化が繰り返し与えられる。このように、細かな圧力変化を繰り返して与えることでインク吐出をする小ドット用パルスPS3の場合、圧力振動の影響を受けやすくインク滴の吐出量や飛行速度が変わりやすい。このため、他のドット(PS1等)に比べて、非吐出パルスPS2による圧力振動の調整効果が大きい。
また、プル(引き込み)−プッシュ(押し出し)−プル(引き込み)の動作を行う波形についても、電圧の上げ下げを繰り返すため、台形波に比べて非吐出パルスPS2による圧力振動の調整効果が大きい。
<インクの粘度について>
前述の実施形態では、粘度が15mPa・s秒のインクを例示したが、この粘度に限られない。この実施形態の制御が有効となる粘度の下限は8mPa・s秒程度である。また、粘度の上限は、実施形態で説明した形状のヘッドHDでインク滴が吐出可能な値に定められる。例えば、30mPa・s秒のインクであれば、この形状のヘッドHDによって吐出できる。
<他の応用例について>
また、前述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンター1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
1 プリンター,10 用紙搬送機構,20 キャリッジ移動機構,30 駆動信号生成回路,31 DAC回路,32 電圧増幅回路,33 電流増幅回路,40 ヘッドユニット,41 ケース,411 収容空部,42 流路ユニット,421 流路形成基板,422 ノズルプレート,423 振動板,423a ダイヤフラム部,424 圧力室,425 インク供給路,426 共通インク室,427 ノズル,428 支持板,428a 島部,429 弾性体膜,43 ピエゾ素子ユニット,431 ピエゾ素子群,432 固定板,433 ピエゾ素子,434 共通電極,435 駆動電極,436 圧電体,44 スイッチ,50 検出器群,60 主制御部,61 インタフェース部,62 CPU,63 メモリー,CP コンピューター,HD ヘッド,HC ヘッド制御部,COM 駆動信号,PS1 吐出パルス,P1 減圧部分,P2 維持部分,P3 加圧部分,PS2 非吐出パルス,P1´ 減圧部分,P2´ 維持部分,P3´ 加圧部分
前記目的を達成するための主たる発明は、
液体供給部とノズルのそれぞれに連通された圧力室と、
前記圧力室内の液体に圧力変化を与えるための素子と、
前記素子を動作させるべく電圧が変化する駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、
を有し、
前記駆動信号は、
前記ノズルから前記液体を吐出させる強さの圧力振動を前記素子に行わせる第1吐出パルスと、
前記ノズルから前記液体を吐出させない強さの圧力振動を前記素子に行わせる第2吐出パルスと、
前記ノズルから前記液体を吐出させる強さの圧力振動を前記素子に行わせる第3吐出パルスと、
を含み、
複数回の前記液体の吐出により多階調を表現する場合、少なくとも表現される階調のひとつは、
前記第1吐出パルスを前記素子に印加し、
前記第1吐出パルスの前記素子への印加後に、前記第2吐出パルスを前記素子に印加し、
前記第2吐出パルスの前記素子への印加後に、前記第3吐出パルスを前記素子に印加する、
ことにより吐出された液体滴により表現されることを特徴する液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

Claims (7)

  1. 液体供給部とノズルのそれぞれに連通された圧力室と、
    前記圧力室内の液体に圧力変化を与えるための動作をする素子と、
    前記素子を動作させるべく電圧が変化するパルスを生成するパルス生成部であって、
    前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせる第1吐出パルスと、
    前記第1吐出パルスよりも後に生成され、前記第1吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動とは異なる位相であって前記ノズルから液体滴が吐出されない強さの圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせる非吐出パルスと、
    前記非吐出パルスよりも後に生成され、前記非吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動を利用しつつ、前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせる第2吐出パルスと、
    を生成するパルス生成部と、
    を有する液体吐出装置。
  2. 前記非吐出パルスは、
    前記第2吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じる圧力振動を強める圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせる、請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記非吐出パルスは、
    前記第1吐出パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動であって前記非吐出パルスの前記素子への印加期間に生じている圧力振動よりも強い圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせる、請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記第1吐出パルスは、
    開始電圧と終了電圧がともに前記第1吐出パルスにおける最低電圧である、請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記非吐出パルスは、
    開始電圧と終了電圧がともに前記最低電圧であって、前記第1吐出パルスよりも波高が低く定められている、請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記非吐出パルスは、
    前記ノズルから液体滴を吐出させない場合にも前記素子へ印加される、請求項1から5の何れか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 液体供給部とノズルのそれぞれに連通された圧力室、前記圧力室内の液体に圧力変化を与えるための動作をする素子、及び、前記素子を動作させるべく電圧が変化するパルスを生成するパルス生成部を有する液体吐出装置を用い、前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出方法であって、
    第1吐出パルスを生成して前記素子へ印加し、前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせること、
    前記第1吐出パルスよりも後に非吐出パルスを生成して前記素子へ印加し、前記第1吐出パルスによって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動とは異なる位相であって前記ノズルから液体滴が吐出されない強さの圧力振動を、前記圧力室内の液体に生じさせること、
    前記非吐出パルスよりも後に第2吐出パルスを生成して前記素子へ印加し、前記非吐出パルスによって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動を利用しつつ、前記ノズルから液体滴を吐出させるための動作を前記素子に行わせること、
    を有する液体吐出方法。
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