JP5256930B2 - 液体吐出ユニット、液体吐出装置、及び、液体吐出方法 - Google Patents
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ノズルに連通された圧力室と、
前記圧力室内の液体に圧力変化を与える動作を行う素子と、
前記素子に印加されることで前記圧力室内の液体に圧力変化を生じさせる第1パルス、及び、前記素子に印加されることで前記圧力室内の液体に前記ノズルから液体が吐出される大きさの圧力変化を生じさせる第2パルスを生成するパルス生成部と、を備え、
前記液体は、
粘度が6ミリパスカル秒以上であり、
前記素子は、
電位に応じて変形して圧力室の容積を変化させる動作をするものであり、
前記パルス生成部は、
前記第2パルスの生成を、前記第1パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動が残っている期間内であって、前記第2パルスを単独で前記素子に印加した際の吐出量よりも、吐出量が多くなるタイミングで開始し、前記圧力振動によって前記圧力室内の液体圧力が下がっている期間内に開始し、
前記第1パルスは、
膨張状態の前記圧力室を収縮させるために前記素子を変形させる収縮要素を最後に有し、
前記第2パルスは、
前記圧力振動を加振する圧力変化を前記圧力室内の液体に与えるように、前記素子を動作させるものであり、
前記圧力室を膨張させるために前記素子を変形させる膨張要素を最初に有する、
液体吐出ユニットである。
このような液体吐出ユニットによれば、第2パルスによる液体滴の吐出時には、第1パルスに起因する残留振動が作用し、或る量の液体を吐出させる場合において、第2パルスによって圧力室内の液体に与える圧力変化を抑えることができる。これにより、第2パルスだけを用いる場合よりも、液体の飛行速度を抑えることができ、液体の後端部分が尾のように伸びる現象を抑制できる。
このような液体吐出ユニットによれば、液体の吐出を効率よく行うことができる。
このような液体吐出ユニットによれば、液体の吐出を効率よく行うことができる。
このような液体吐出ユニットによれば、圧力振動の振幅が大きなうちに第2パルスを素子に印加できる。このため、液体の吐出を効率よく行うことができる。
<印刷システムについて>
図1に例示した印刷システムは、プリンタ1と、コンピュータCPとを有する。プリンタ1は液体吐出装置に相当し、用紙、布、フィルム等の媒体に向けて、液体の一種であるインクを吐出する。媒体は、液体が吐出される対象となる対象物である。コンピュータCPは、プリンタ1と通信可能に接続されている。プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータCPは、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に送信する。
プリンタ1は、用紙搬送機構10、キャリッジ移動機構20、駆動信号生成回路30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び、プリンタ側コントローラ60を有する。
<ヘッドHDについて>
図2に示すように、ヘッドHDは、ケース41と、流路ユニット42と、ピエゾ素子ユニット43とを有する。ケース41は、ピエゾ素子ユニット43を収容して固定するための収容空部411が内部に設けられた箱体状である。このケース41は、例えば樹脂材によって作製される。そして、ケース41の先端面には、流路ユニット42が接合されている。
ヘッドHDには、共通インク室426からノズル427に至る一連のインク流路(液体で満たされる液体流路に相当する)が、ノズル427の数に応じた複数設けられている。このインク流路では、圧力室424に対して、ノズル427及びインク供給路425がそれぞれ連通している。このため、インクの流れなどの特性を解析する場合、ヘルムホルツの共鳴器の考え方が適用される。図3は、この考え方に基づくヘッドHDの構造を模式的に説明する図である。
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1における全体的な制御を行う。すなわち、コンピュータCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。例えば、駆動信号COMに含まれるプレパルスPS1や各吐出パルスPS2,PS3を、吐出させるインク滴の量に応じて選択的にピエゾ素子433へ印加させる。図1に示すように、プリンタ側コントローラ60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63とを有する。インタフェース部61は、コンピュータCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行う。メモリ63は、コンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。CPU62は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、用紙搬送機構10やキャリッジ移動機構20を制御する。また、CPU62は、ヘッドHDの動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路30に送信したりする。
駆動信号生成回路30は、パルス生成部として機能し、DACデータに基づき、プレパルスPS1や各吐出パルスPS2,PS3を有する駆動信号COMを生成する。図4に示すように、駆動信号生成回路30は、DAC回路31と、電圧増幅回路32と、電流増幅回路33とを有する。DAC回路31は、デジタルのDACデータをアナログ信号に変換する。電圧増幅回路32は、DAC回路31で変換されたアナログ信号の電圧を、ピエゾ素子433を駆動できるレベルまで増幅する。このプリンタ1では、DAC回路31から出力されるアナログ信号は最大3.3Vであるのに対し、電圧増幅回路32から出力される増幅後のアナログ信号(便宜上、波形信号ともいう。)は最大42Vである。電流増幅回路33は、電圧増幅回路32からの波形信号について電流の増幅をし、駆動信号COMとして出力する。この電流増幅回路33は、例えば、プッシュプル接続されたトランジスタ対によって構成される。
ヘッド制御部HCは、駆動信号生成回路30で生成された駆動信号COMの必要部分をヘッド制御信号に基づいて選択し、ピエゾ素子433へ印加する。このため、図4に示すように、ヘッド制御部HCは、駆動信号COMの供給線の途中に、ピエゾ素子433毎に設けられた複数のスイッチ44を有する。そして、ヘッド制御部HCは、ヘッド制御信号からスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号によって各スイッチ44を制御することで、駆動信号COMの必要部分、すなわちプレパルスPS1や各吐出パルスPS2,PS3がピエゾ素子433へ印加される。このとき、必要部分の選択の仕方次第で、ノズル427からのインクの吐出を制御できる。スイッチ制御信号の基となるヘッド制御信号は、プリンタ側コントローラ60から出力される。このため、プリンタ側コントローラ60は、駆動信号COMに含まれるパルスを、ピエゾ素子433に印加するための制御を行うコントローラに相当する。また、ヘッド制御部HCは、コントローラによって制御され、駆動信号COMに含まれるパルスをピエゾ素子433に印加するパルス印加部に相当する。
次に、駆動信号生成回路30によって生成される駆動信号COMについて説明する。この駆動信号COMは、ピエゾ素子433が有する駆動電極435に印加される。これにより、固定電位とされた共通電極434との間に、電位の変化パターンに応じた電位差が生じる。その結果、ピエゾ素子433は、電位の変化パターンに応じて伸縮し、圧力室424の容積を変化させる。
上記のプリンタ1によって、従来扱われてきたインクよりも高い粘度のインクを吐出させる場合、必要な吐出量を確保するためにはインクに与える圧力振動の振幅を大きくする必要がある。ここで、圧力振動の振幅を大きくすると、振幅の大きさに比例してインク滴の飛行速度も高くなる。高粘度インクでは、飛行速度が高くなるにつれて、尾のように伸びたインク滴の後端部分がより長くなってしまう。このような尾の部分は、正規の着弾位置からずれた位置に着弾する可能性が高く、画質劣化の原因となる。
例えば、中ドットを形成する場合には、プレパルスPS1が第1パルスに相当し、第1吐出パルスが第2パルスに相当する。この場合、図6Aに示すように、第1吐出パルスPS2のピエゾ素子433への印加に先立って、プレパルスPS1をピエゾ素子433へ印加する。ここで、第1吐出パルスPS2の生成開始タイミングは、プレパルスPS1のピエゾ素子433への印加によって圧力室424内のインクに与えられた圧力振動が残っている期間内であって、第1吐出パルスPS2を単独でピエゾ素子433へ印加した際の吐出量よりも、吐出量が多くなるタイミングに定められる。
まず、中ドットの形成時におけるインク滴の吐出動作について説明する。ここで、図7Aは、中ドットの形成時におけるメニスカスの位置を、プレパルスPS1及び第1吐出パルスPS2に対応付けて示した図である。すなわち、図7Aの上段はプレパルスPS1及び第1吐出パルスPS2の電位と時間との関係を示し、図7Aの下段はメニスカスの状態と時間との関係を示している。
次に、大ドットの形成時におけるインク滴の吐出動作について説明する。ここで、図7Bは、大ドットの形成時におけるメニスカスの位置を、第1吐出パルスPS2及び第2吐出パルスPS3に対応付けて示した図である。なお、縦軸や横軸については図7Aと同様である。このため、説明は省略する。
次に、上記の作用効果を、シミュレーション結果に基づいて説明する。図9A及び図9Bは、粘度が20ミリパスカル秒のインクを吐出させた場合のシミュレーション結果である。すなわち、図9Aは、中ドットの吐出に用いたプレパルスPS1及び第1吐出パルスPS2を説明する図である。図9Bは、図9Aの各パルスPS1,PS2に対応するメニスカスの状態を説明する図である。図10A及び図10Bは、比較例のシミュレーション結果である。すなわち、図10Aは第1吐出パルスPS2を説明する図である。図10Bは図10Aの第1吐出パルスPS2に対応するメニスカスの状態を説明する図である。
前述した実施形態は、主として、液体吐出装置としてのプリンタ1を有する印刷システムについて記載されているが、その中には、液体吐出方法や液体吐出システム等の開示が含まれている。また、この実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の実施形態では、粘度が8ミリパスカル秒のインクと20ミリパスカル秒のインクについてのシミュレーション結果を示した。液体の粘度に関し、液体の尾の部分による影響が生じる範囲であれば本発明を適用できる。具体的には、粘度が6ミリパスカル秒以上の液体であれば本発明を適用できる。また、粘度の上限値に関し、液体滴としてノズル427から吐出できる粘度であれば本発明を適用できる。現時点において、粘度が40ミリパスカル秒以下の液体であれば本発明を適用できると考えられる。
前述の実施形態では、1つのプレパルスPS1と2つの吐出パルスPS2,PS3を繰り返し生成する例を説明したが、吐出パルスは3つでもよいし、4つでもよい。要するに、2つ以上であればよい。また、各吐出パルスPS2,PS3に関し、波形は同一である場合について説明したが、必要に応じて波形の形状を異ならせてもよい。そして、前述の実施形態のように第1吐出パルスPS2と第2吐出パルスPS3の波形を同じにすると、DACデータを共通化できるので、各吐出パルスPS2,PS3を生成するための制御を簡素化できる。また、各吐出パルスPS2,PS3の生成期間が揃うため、インク滴を高い周波で吐出させる際に吐出間隔の管理が容易になる。
前述した実施形態のヘッドHDでは、ピエゾ素子433として、各パルスで与えられる電位が高いほど、圧力室424の容積を大きくするための動作をするタイプのものを用いていた。ピエゾ素子に関し、各パルスで与えられる電位が高いほど、圧力室424の容積を小さくするための動作をするタイプのものを用いてもよい。この場合、各パルスは、例えば下に凸の台形状のパルスによって構成される。
また、前述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
30 駆動信号生成回路,31 DAC回路,32 電圧増幅回路,
33 電流増幅回路,40 ヘッドユニット,41 ケース,
411 収容空部,42 流路ユニット,421 流路形成基板,
422 ノズルプレート,423 振動板,
423a ダイヤフラム部,424 圧力室,425 インク供給路,
426 共通インク室,427 ノズル,428 支持板,
429 弾性体膜,43 ピエゾ素子ユニット,
431 ピエゾ素子群,432 固定板,433 ピエゾ素子,
434 共通電極,435 駆動電極,436 圧電体,
44 スイッチ,50 検出器群,60 プリンタ側コントローラ,
61 インタフェース部,62 CPU,63 メモリ,
CP コンピュータ,T 繰り返し期間,T1 第1期間,
T2 第2期間,T3 第3期間,COM 駆動信号,
PS1 プレパルス,P1 膨張要素,P2 ホールド要素,
P3 収縮要素,PS2 第1吐出パルス,P7 膨張要素,
P8 ホールド要素,P9 収縮要素,PS3 第2吐出パルス,
P7 膨張要素,P8 ホールド要素,P9 収縮要素,
P11 第1定電位要素,P12 第2定電位要素,
VH 最高電位,VC 中間電位,VL 最低電位,HD ヘッド,
HC ヘッド制御部
Claims (6)
- ノズルに連通された圧力室と、
前記圧力室内の液体に圧力変化を与える動作を行う素子と、
前記素子に印加されることで前記圧力室内の液体に圧力変化を生じさせる第1パルス、及び、前記素子に印加されることで前記圧力室内の液体に前記ノズルから液体が吐出される大きさの圧力変化を生じさせる第2パルスを生成するパルス生成部と、を備え、
前記液体は、
粘度が6ミリパスカル秒以上であり、
前記素子は、
電位に応じて変形して圧力室の容積を変化させる動作をするものであり、
前記パルス生成部は、
前記第2パルスの生成を、前記第1パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に生じた圧力振動が残っている期間内であって、前記第2パルスを単独で前記素子に印加した際の吐出量よりも、吐出量が多くなるタイミングで開始し、前記圧力振動によって前記圧力室内の液体圧力が下がっている期間内に開始し、
前記第1パルスは、
膨張状態の前記圧力室を収縮させるために前記素子を変形させる収縮要素を最後に有し、
前記第2パルスは、
前記圧力振動を加振する圧力変化を前記圧力室内の液体に与えるように、前記素子を動作させるものであり、
前記圧力室を膨張させるために前記素子を変形させる膨張要素を最初に有する、
液体吐出ユニット。 - 請求項1に記載の液体吐出ユニットであって、
前記パルス生成部は、
前記第2パルスの生成を、前記第1パルスの生成終了から前記圧力室内の液体の固有振動周期の1/2以下の期間内に開始する、液体吐出ユニット。 - 請求項1又は2に記載の液体吐出ユニットであって、
前記第1パルスは、
前記液体が前記ノズルから吐出されない大きさの圧力変化を前記圧力室内の液体に与えるものである、液体吐出ユニット。 - 請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出ユニットであって、
前記第1パルスは、
前記液体を前記ノズルから吐出させる大きさの圧力変化を前記圧力室内の液体に与えるものである、液体吐出ユニット。 - 請求項1から請求項6の何れかに記載の液体吐出ユニットを備えた液体吐出装置。
- 圧力室内に貯留された粘度が6ミリパスカル秒以上の液体を、圧力室内の液体に圧力変化を与える動作を行う素子を用いて、前記圧力室に連通するノズルから吐出させる液体吐出方法であって、
前記動作を前記素子に行わせる第1パルスを生成し、前記素子に印加すること、
前記動作を前記素子に行わせることで前記ノズルから前記液体を吐出させる第2パルスの生成を、前記第1パルスの前記素子への印加によって前記圧力室内の液体に圧力振動が残っている期間内であって、前記第2パルスを単独で前記素子に印加した際の吐出量よりも、吐出量が多くなるタイミングで開始し、前記圧力振動によって前記圧力室内の液体圧力が下がっている期間内に開始し、前記素子に印加すること、
を行い、
前記素子は、
電位に応じて変形して圧力室の容積を変化させる動作をするものであり、
前記第1パルスは、
膨張状態の前記圧力室を収縮させるために前記素子を変形させる収縮要素を最後に有し、
前記第2パルスは、
前記圧力振動を加振する圧力変化を前記圧力室内の液体に与えるように、前記素子を動作させるものであり、
前記圧力室を膨張させるために前記素子を変形させる膨張要素を最初に有する、
液体吐出方法。
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JP2008211850A JP5256930B2 (ja) | 2008-08-20 | 2008-08-20 | 液体吐出ユニット、液体吐出装置、及び、液体吐出方法 |
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