JP3490961B2 - 繊維状品が低減された粉末状カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびその製造方法 - Google Patents

繊維状品が低減された粉末状カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末状カルボキシ
メチルセルロースナトリウム(以下、「CMC−Na」
という。)に混在する繊維状品が低減された粉末状CM
C−Naの製造方法および該方法により製造された粉末
状CMC−Naに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に粉末状CMC−Naは、セルロ
ース質の原材料をカルボキシメチル化することにより得
られ、最終製品とするときは、乾燥し、粉砕したのち、
所定の粒度(粒子径)に合致させるために篩を通す。
【0003】しかし、粉末状CMC−Na中に繊維状品
が混在することがある。この繊維状品が混在すると、粉
末状CMC−Naの粉体流動性が低下し、水に溶解させ
て使用するときに繊維状品が水面上に浮き上がり、ママ
コの発生を助長して、溶解性を悪化させ、さらには粉末
状CMC−Naの粉末を小麦粉などとプレミックスして
使用するときなどには、均一な混合ができないなどの問
題が発生していた。
【0004】このような好ましくない現象を抑えるため
に、CMC−Naの角質化、すなわち製造時において乾
燥前の湿潤状態で水を加えて混練し、繊維状品の発生を
抑えたのち、乾燥、粉砕する方法をとっているが、この
方法では作業が煩雑になり、乾燥熱量を多く必要とし、
乾燥に長時間を要する。このため粉末状CMC−Naの
粉末形状の劣化、CMC−Na溶液の粘度の低下など、
品質に対する好ましくない影響が大きい。
【0005】また、得られた粉末状CMC−Naに混在
する繊維状品は篩処理をしても取り除くことは難しく、
このためにやむを得ず実施する方法として所定粒度より
細かい篩で篩処理をするが、粉末状CMC−Naの粒度
分布が異なり、これでも充分繊維状物を取り除くことが
できないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、混在する繊
維状品が低減された粉末状CMC−Naおよびその製造
方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、粒度が250
μm以下の粉末状CMC−Naに対して、10〜20重
量%の炭素数が4以下のアルコールを添加し湿潤させた
のち、さらに水を添加して乾燥させ、そののち250μ
m以下の篩にかけて繊維状品を取り除く繊維状品が低減
された粉末状CMC−Naの製造方法に関する。
【0008】また、好ましい実施態様として、前記繊維
状品の含有量が3.0重量%以下である粉末状CMC−
Naの製造方法に関する。
【0009】本発明は、前記方法により製造された繊維
状品を3.0重量%以下含有する粉末状CMC−Naに
関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、粉末状CMC
−Naに対して、低級アルコールを添加し湿潤させたの
ち、さらに水を添加して乾燥させ、そののち250μm
以下の篩にかけることによって繊維状品を取り除き、繊
維状品が低減された粉末状CMC−Naを製造する。
【0011】本発明に用いる粉末状CMC−Naの粒度
の上限は粉末状である点で、250μmであることが必
要であり、好ましくは200μm、より好ましくは18
0μmである。一方、粒度の下限は120μmであるこ
とが好ましく、より好ましくは100μmである。本発
明に用いる粉末状CMC−Naのエーテル化度、粘度お
よび純度などは限定されない。本発明においては、公知
の各種の方法で製造した粉末状CMC−Naから繊維状
品が低減された粉末状CMC−Naを製造することがで
きる。本発明においては、繊維状品を含む粉末状CMC
−Naを湿潤状態で混練処理することにより、篩を通し
たときの繊維状品の分別が容易になり、繊維状品が低減
された粉末状CMC−Naを容易に製造することができ
る。
【0012】粉末状CMC−Naに低級アルコールを添
加することにより、湿潤させることができる。低級アル
コールを添加し、湿潤させることにより粉末状CMC−
Naが加湿状態となり、粒度分別しやすくなるという効
果が得られる。
【0013】前記低級アルコールとしては、低価格、入
手のしやすさという点で、メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどの炭素数
が4以下のアルコールが好ましく、これらのアルコール
を混合して使用することもできる。また、炭素数が4以
下のアルコールに炭素数が5以上のアルコールを混合し
て用いることもできる。本発明により得られる粉末状C
MC−Naを食品、医薬香粧品用途に用いる場合には、
処理後の低級アルコールの取り除きやすさの点で、メタ
ノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールが好
ましい。
【0014】前記低級アルコールは、水に対する相溶性
が大きく、溶液の粘度が小さい点で、80重量%以上の
水溶液として用いることが好ましく、85重量%以上の
水溶液として用いることがより好ましい。
【0015】前記低級アルコールの添加量の上限は、粉
末状CMC−Naに対して20重量%とする必要があ
り、好ましくは18重量%である。添加量が20重量%
より多くなると、粉末状CMC−Naが溶解を生じダン
ゴ状になるという欠点が生じる。一方、添加量の下限
は、粉末状CMC−Naに対して10重量%とする必要
があり、好ましくは12重量%である。添加量が10重
量%より少ないと充分な湿潤効果が得られない。
【0016】本発明においては、粉末状CMC−Naに
10〜20重量%の低級アルコールを加え充分に湿潤さ
せたのち、CMC−Naの粉末形状による分別を容易と
する点で、さらに水を加える。
【0017】前記水の添加量の上限は、粉末状CMC−
Naに対して10重量%が好ましく、8重量%がより好
ましい。水の添加量が10重量%より多いと粉末状CM
C−Naが溶解を生じダンゴ状になり著しく比重が高く
なる。一方、添加量の下限は、粉末状CMC−Naに対
して5重量%が好ましく、より好ましくは3重量%であ
る。水の添加量が不足すると、粉末状CMC−Naに水
が作用して低比重の粉末を形成することができない。
【0018】本発明においては、水を添加後、攪拌して
均一に混合したのち、乾燥する。また、乾燥後の粉末状
CMC−Naの揮発分は10重量%以下が好ましい。揮
発分が10重量%より大きくなると、食品添加物、日本
薬局方などの公的規格に適合せず使用できない。
【0019】本発明においては、前記乾燥後の粉末状C
MC−Naを250μm以下の篩にかけて繊維状品を除
去することにより繊維状品が低減された粉末状CMC−
Naを製造する。処理前の粉末状CMC−Na(原粉)
と同一粒度の篩にかけることにより、原粉と同一粒度の
粉末状CMC−Naを製造することができる。繊維状品
を除去することにより、粉末状CMC−Naの粉体流動
性の低下を防止し、水に溶解させて使用するときにママ
コの発生を抑え、さらには粉末状CMC−Naを小麦粉
などとプレミックスして使用するときなどにおいて均一
な混合物が得られる。
【0020】前記繊維状品とは、CMC−Naではある
が綿状になった軽比重品をいい、CMC−Naの粉体中
に綿くずのように混在する。
【0021】本発明によれば、たとえば、繊維状品の混
入量が5.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以
下、より好ましくは1.0重量%以下の粉末状CMC−
Naを製造することができる。繊維状品の混入量が5.
0重量%より大きくなるとCMC−Naの粉末比重が軽
く、粉体流動性が悪化するが、混入量をとくに3.0重
量%以下とすることによりCMC−Naの粉体流動性に
富み、CMC−Naの取り出しおよび使用時、投入時な
どに詰りなどが発生しにくいという利点が得られる。
【0022】本発明に基づいて製造される繊維状品が低
減された粉末状CMC−Naは、粉末状CMC−Naが
すでに使用されている分野、たとえば土木ボーリング用
泥水増粘安定剤、釉薬安定化剤、錠剤用崩壊剤、パップ
剤、乳飲料などの食品用増粘剤、繊維壁用糊剤、飼料用
バインダー、染毛、歯磨などの分野に使用することがで
きるが、用途はこれらの分野に限定されない。
【0023】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0024】実施例1〜6および比較例1〜5 つぎの手順で原料CMC−Naから繊維状品を除去して
製品CMC−Naを製造した。 (1)加熱装置付の3L容一軸リボンブレンダーに、1
80μmの篩で分別した原料CMC−Na(原粉)を2
00g仕込む。 (2)20rpmで攪拌しながら、メタノール0〜50
gを添加し、室温で約10分攪拌する。 (3)そののち、水0〜50gを徐々に添加したのち、
室温で約20分間攪拌する。 (4)そののち、ジャケット温度110℃で加熱し、粉
末状CMC−Naの揮発分を10重量%以下にする。揮
発分は途中でチェックするのが難しいので、2時間加熱
を継続したのち、ケット水分計で揮発分を確認し、揮発
分が10重量%以上の場合はさらに加熱を続ける。 (5)揮発分が10重量%以下になった粉末状CMC−
Naを、原粉と同一の篩(180μm)で分別し、篩の
上に残った繊維状品を取り除き、篩通過分を製品CMC
−Naとして回収した。取り除いた繊維状品の重量を測
定し、除去率(原料CMC−Naの重量に対する取り除
いた繊維状品の重量の割合)を求めた。
【0025】原料CMC−Naおよび製品CMC−Na
の評価はつぎのようにした。 1%粘度:1重量%無水物水溶液をBM型粘度計60r
pm 25℃にて測定した。 嵩比重(見掛比重):JISK3362にて分析した。 混入繊維状品量:直径200mmの円筒型容器に粉末状
CMC−Naを20g採取し、手で篩うように振動を5
分間与えた。繊維状品は、粉末状CMC−Naの上部に
浮き上り綿状物に成長した。これをピンセットで取り、
重量を測定し、粉末状CMC−Na全体の重量に対する
割合を求めた(重量%)。
【0026】原料CMC−Naの見掛比重、1%粘度お
よび混入繊維状品量、原料CMC−Na、メタノールお
よび水の添加量、繊維状品の除去率ならびに製品CMC
−Naの見掛比重および混入繊維状品量を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、粉末状CMC−Na中
に混在する繊維状品を取り除き、繊維状品が低減された
粉末状CMC−Naを容易に製造することができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒度が250μm以下の粉末状カルボキ
    シメチルセルロースナトリウムに対して、10〜20重
    量%の炭素数が4以下のアルコールを添加して湿潤させ
    たのち、さらに水を添加し、乾燥させ、そののち250
    μm以下の篩にかけて繊維状品を取り除くことを特徴と
    する繊維状品が低減された粉末状カルボキシメチルセル
    ロースナトリウムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記繊維状品の含有量が5.0重量%以
    下である請求項1記載の粉末状カルボキシメチルセルロ
    ースナトリウムの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法により製造された繊
    維状品を5.0重量%以下含有する粉末状カルボキシメ
    チルセルロースナトリウム。
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