JP3487695B2 - 食器洗浄機内への洗浄剤供給方法及びその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、食器洗浄機内への
洗浄剤の供給方法及びその装置に関する。

【従来の技術】従来より、食器洗浄機の洗浄タンク内へ
の洗浄剤の供給は、該洗浄タンク中の洗浄水の洗剤濃度
を電気伝導度等により感知し、設定濃度を下回ると電動
式供給装置あるいは水圧式供給装置により洗剤が供給さ
れるか、もしくはタイマーにより一定時間供給装置を作
動させることにより洗剤が供給されるのが一般的であ
り、これらの方式が洗浄剤を食器洗浄機に供給する方法
の主流となっている。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電動式
供給装置あるいは水圧式供給装置は高価であり、また小
型洗浄機の場合には、洗浄剤供給装置の据え付け場所の
確保ができないケースもあり、困難な問題をかかえてい
るのが実情である。また、据え付けも、長い時間と熟練
を要する作業である。

【０００３】一方、粉末や液体洗浄剤を洗浄の都度、洗
浄タンク内に人手によって投げ込む方式もとられている
が、食器洗浄の度に洗浄剤濃度を一定に保つことができ
ず、また手間のかかる作業でもある。

【０００４】そこで本発明の目的は、以上のような問題
点を解消し、安価で据え付けが容易で場所をとらず、し
かも食器洗浄機への洗浄剤の供給量の制御も容易に行い
得る洗浄剤の供給方法及び供給装置を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、食器洗浄機内部で循環
している洗浄水を利用し、該食器洗浄機内部の所定の場
所に納められた液体以外の洗浄剤を溶解又は未溶解の状
態で該食器洗浄機内部に供給せしめることにより上記目
的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。

【０００６】すなわち、本発明の、食器洗浄機の洗浄タ
ンク内への洗浄剤の供給方法は、該洗浄タンク内で循環
している洗浄水によって、該洗浄タンク内の洗浄水のき
っ水線より上に設置した洗浄剤を該洗浄タンク内に供給
することを特徴とするものである。

【０００７】好ましくは、洗浄剤を、上面、底面または
側面のいずれかに２以上の孔が設けられた洗浄剤収納部
または洗浄剤収納装置から供給する。

【０００８】好ましくは、上記孔のうち少なくとも１つ
が、循環洗浄水を取り入れるための取水孔であり、少な
くとも１つが洗浄剤の吐出孔である。

【０００９】好ましくは、上記孔のうち少なくとも１つ
が、洗浄される食器の位置より低く、洗浄タンク内の洗
浄水のきっ水線より上になるように洗浄剤収納部または
洗浄剤収納装置を設置する。

【００１０】また、本発明は、面のいずれかに２以上の
孔が設けられており、孔のうち少なくとも１つが、洗浄
タンク内で循環している洗浄水を取り入れるための取水
孔であり、少なくとも１つが洗浄剤の吐出孔である食器
洗浄機の洗浄タンク内への洗浄剤供給装置に関する。

【００１１】好ましくは、上記装置の一部または全部が
透明である。

【００１２】好ましくは、上記装置の底面が傾斜してお
り、孔のうち少なくとも１つが底面および／または側面
に設けられ、少なくとも１つが上面に設けられている。

【００１３】

【発明の実施の形態】食器洗浄機の洗浄は、洗浄タンク
内の洗浄水を循環させながら食器に噴射洗浄する洗浄工
程と、洗浄工程終了後に貯湯タンクの飲用適水を食器に
噴射しすすぐ、すすぎ工程とからなる。洗浄工程におい
て洗浄タンク内に供給された洗浄液は、すすぎ工程にお
いてすすぎ水が洗浄タンク内に持ち込まれることでその
濃度が低下し、最終的には除去される。

【００１４】本発明は、かかる洗浄工程とすすぎ工程の
時間が各洗浄サイクルで毎回一定であることに着目して
なされたものであり、洗浄工程において食器洗浄機内部
で循環している洗浄水を利用することを特徴とするもの
である。

【００１５】各洗浄サイクルが毎回一定であることか
ら、本発明の好適方法および本発明の装置においては、
洗浄剤の収納容器に洗浄タンク内の循環洗浄水を取り込
むための孔から取り込まれる洗浄水量は、洗浄の度に一
定であり、よって洗浄剤供給装置から洗浄タンク内に供
給される洗浄剤の量は、収納容器内に十分に洗浄剤が存
在している限り毎回の洗浄の度に一定である。

【００１６】さらに、かかる孔の数、径のサイズ及び／
又は形状を、食器洗浄機の洗浄工程とすすぎ工程の時
間、食器洗浄機の洗浄ポンプ、すすぎポンプの能力、洗
浄タンクの容量、洗浄剤の最適洗浄濃度等により適宜選
定することで、洗浄タンク内の洗浄剤濃度を所望の値に
安定して維持することができる。

【００１７】なお、洗浄剤を洗浄剤供給装置から洗浄タ
ンクに供給する孔は、洗浄タンクの洗浄水のきっ水線よ
り上になるようにするが、すすぎ工程の際に孔から取り
込まれたすすぎ水によって流出した洗浄剤が食器にかか
らないように、洗浄に供される食器の位置よりも低くす
ることが好ましい。

【００１８】洗浄剤の量が不足すると、繰り返し使用さ
れる洗浄タンク中の洗浄液の洗浄剤濃度が低下し、十分
な洗浄効果が得られなくなる。よって、洗浄剤供給装置
は装置表面に内部が見える透明な部分を設けるか、もし
くは全面を透明とし、洗浄剤供給装置内部の洗浄剤の有
無を、目視で判別できるようにすることが好ましい。よ
り一層判別しやすくするために、洗浄剤を着色したり、
洗浄剤供給装置の底部を目立つ色に着色すると、より効
果的である。

【００１９】

【実施例】次に本発明を実施例に基づき説明する。図１
に、円筒形の蓋部２と収納部３とからなる本発明の一例
洗浄剤供給装置１を示す。蓋部２の上面の周辺部には等
間隔で４個の円形の孔４が設けられており、一方、収納
部３の底縁部には等間隔で４個の孔５が設けられてい
る。

【００２０】本発明においては、蓋部２と収納部３の形
状および大きさは特に制限されるべきものではなく、食
器洗浄機の機種や食器洗浄機内設置時の安定度に応じて
適宜決められる。また、蓋部２と収納部３の結合形式
は、隙間から洗浄水又はすすぎ水が入らないような形式
であればよく、図１に示すような嵌合形式や、螺子作用
による螺合形式等とすることができる。

【００２１】孔４から取り込まれる水量を安定して得る
には、孔４を図１に示すように複数にしたり、孔周辺を
図２に拡大して示すようにくぼみ状にして取水し易くす
ることが好ましい。これは、万一孔周辺に取水に影響を
及ぼす妨害物が存在しても、孔から取り込まれる水量の
誤差を小さくする効果がある。また取水孔が同時に吐出
孔になることもあり得る。

【００２２】孔４から取り込まれた洗浄水又はすすぎ水
に溶解又は未溶解の状態で洗浄タンクへ供給される洗浄
剤６を吐出する孔５は、孔４より下部にあるのは当然だ
が、孔４から取り込まれた洗浄水又はすすぎ水が洗浄剤
供給装置１中に滞留しない方が洗浄剤６を使い切ること
ができ好ましいので、洗浄剤６を吐出する孔は収納部３
の底部又はその周辺縁部に設けることが好ましい。かか
る孔４の数、径のサイズ、形状は、孔４から取り込まれ
る水量により決められ、いずれにしても吐出が速やかに
行われるようにする。あるいはまた、使用する洗浄剤に
よっては、収納部３の底部全面又は一部を目の細かい網
若しくは織布とすることもできる。

【００２３】図３は、本発明の洗浄剤供給装置の別の一
例である。洗浄剤供給装置は、洗浄ノズルやすすぎノズ
ルの動作を妨げないことが要求されるので、食器洗浄機
の隅に設置することが好ましい。この場合、容積を大き
くとるには三角柱または半円柱の形状が有利である。三
角柱または半円柱の辺部は、循環水の供給が十分でない
ので洗浄剤が詰まりやすいため、図３（イ）および
（ロ）に見られるように切り落とすのが好ましい。ま
た、洗浄剤供給装置の底面は、孔より取り入れられた循
環水を通りやすくするため、図３（ロ）に見られるよう
に傾斜しているとよい。この場合、孔の少なくとも１つ
は底面あるいは側面に、さらに１つ以上は上面に設けら
れているとよい。

【００２４】なお、本発明に使用することのできる洗浄
剤６は、苛性アルカリ等のアルカリ金属水酸化物、リン
酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩等の無機ア
ルカリ、界面活性剤等を単独又は混合して得られる洗浄
剤である。

【００２５】図４に、本発明の一例洗浄剤供給装置７を
食器洗浄機の洗浄タンク１０内に据え付けた状態の一例
を示す。洗浄剤供給装置７は食器を収納するラック１３
より下方の、ストレーナーパン２０上等、下洗浄ノズル
１５及び下すすぎノズル１４の回転を妨げない場所（例
えば四隅）に設置され、洗浄水のきっ水線よりも上に保
持されている。よって、すすぎ工程の際に洗浄剤供給装
置７の孔から取り込まれたすすぎ水は、洗浄剤を溶解し
て又は未溶解の状態で孔から流出しても、食器に降りか
かることがなく、更にきっ水線より上に保持されている
ので、洗浄剤が常時洗浄水に浸ることもない。

【００２６】図４の（イ）は食器洗浄機の洗浄工程を示
しており、洗浄ポンプ１８によりフィルター１７を介し
て汲み上げられた洗浄水は上洗浄ノズル１１及び下洗浄
ノズル１５より食器に向けて噴射されている。この際、
噴射された洗浄水の一部は洗浄剤供給装置７の孔から取
り込まれ、その中の洗浄剤を溶解して又は未溶解の状態
で洗浄剤供給装置７の孔から流出させている。このよう
にして洗浄剤を溶解して又は未溶解の状態で含んだ洗浄
水は、再び洗浄ポンプ１８により汲み上げられ、循環す
ることになる。

【００２７】一方、図４の（ロ）は食器洗浄機のすすぎ
工程を示しており、すすぎポンプ２０により貯湯タンク
から取り込まれたすすぎ水は上すすぎノズル１２及び下
すすぎノズル１４より食器に向けて噴射されている。こ
の際、噴射されたすすぎ水の一部は洗浄剤供給装置７の
孔から取り込まれ、洗浄剤を溶解して又は未溶解の状態
で洗浄剤供給装置７の孔から流出させるが、かかるすす
ぎ水は循環することなく、洗浄タンク１０の洗浄水と混
合され洗浄剤の濃度を低下させるとともに、供給された
すすぎ水量分のすすぎ水-洗浄水混合液がオーバーフロ
ーパイプ１９を介して外に排出される。

【００２８】なお、本発明においては、ラック１３自体
に、洗浄剤を収納するための収納部を設け、該収納部の
上面又は側面に孔を、また該収納容器の下面又は側面に
孔を設けてもよい。

【００２９】本発明の方法においては、洗浄剤の成分に
界面活性剤を配合して、洗浄と同時にリンス剤としての
性能を付加させ、乾燥速度の促進や仕上がり向上を満た
すこともできる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明してきたように本発明において
は上記構成とすることにより下記の効果が得られる。 洗浄剤供給装置のコストが従来のものに比し格段に安
価となる。 洗浄タンク中の洗浄液の濃度を洗浄に適する濃度範囲
に保持することができる。 洗浄剤供給装置の全部又は一部を透明とした場合、洗
浄剤の残留量を目視することができ、洗浄タンク中の洗
浄液の濃度低下による洗浄不良を防止することができ
る。 食器洗浄機内への洗浄剤供給装置の据え付けの手間と
場所をとらない。 すすぎ工程の際に、すすぎ水によって流出した洗浄剤
が食器にかからない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の洗浄剤供給装置の一例を示す断面斜視
図である。

【図２】図１に示す洗浄剤供給装置の孔部分の拡大図で
ある。

【図３】（イ）は、本発明の洗浄剤供給装置の別の一例
を示す断面斜視図である。（ロ）は、この洗浄剤供給装
置の断面図である。

【図４】（イ）は、本発明の一例洗浄剤供給装置を食器
洗浄機の中に据え付けた状態での食器洗浄工程を示す説
明図ある。（ロ）は、本発明の一例洗浄剤供給装置を食
器洗浄機の中に据え付けた状態での食器すすぎ工程を示
す説明図である。

【符号の説明】

１ 洗浄剤供給装置 ２ 蓋部 ３ 収納部 ４、５ 孔 ６ 洗浄剤 ７ 洗浄剤供給装置 １０ 洗浄タンク １１ 上洗浄ノズル １２ 上すすぎノズル １３ ラック １４ 下すすぎノズル １５ 下洗浄ノズル １６ ストレーナーパン １７ フィルター １８ 洗浄ポンプ １９ オーバーフローパイプ ２０ すすぎポンプ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 保坂 徳子 東京都荒川区東尾久七丁目２番35号 株 式会社アデカクリーンエイド内 (56)参考文献 特表 平６−503980（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47L 15/44

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 食器洗浄機の洗浄タンク内へ洗浄剤を供
   給するための洗浄剤供給装置において、洗浄剤を収納す
   る収納部と、該収納部の上面を覆う蓋部とを備え、該蓋
   部には、洗浄タンク内で循環している洗浄水を取り入れ
   るための取水孔を少なくとも１つ有し、前記収納部の底
   面の一辺部が斜めに切り落とされて傾斜面を形成し、該
   傾斜面に洗浄剤の吐出孔を少なくとも１つ有し、前記底
   面が前記傾斜面に向かって漸次低くなるように傾斜して
   いることを特徴とする洗浄剤供給装置。
2. 【請求項２】 一部または全部が透明である請求項１記
   載の洗浄剤供給装置。
3. 【請求項３】 食器洗浄機の洗浄タンク内への洗浄剤の
   供給方法において、該洗浄タンク内で循環している洗浄
   水によって、該洗浄タンク内の洗浄水のきっ水線より上
   に設置した請求項１または２記載の洗浄剤供給装置から
   洗浄剤を前記洗浄タンク内に供給することを特徴とする
   食器洗浄機内への洗浄剤供給方法。