JP3487254B2 - 単結晶SiC及びその製造方法 - Google Patents
単結晶SiC及びその製造方法Info
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Description
その製造方法に関するもので、詳しくは、発光ダイオー
ドや整流素子、スイッチング素子、増幅素子、光センサ
ーなどの高温半導体電子素子の基板ウエハなどに適用さ
れる単結晶SiC及びその製造方法に関するものであ
る。
性および機械的強度に優れているだけでなく、不純物の
添加によって電子や正孔の価電子制御が容易である上、
広い禁制帯幅を持つ(因みに、6H型のSiC単結晶で
約3.0eV、4H型のSiC単結晶で3.26eV)
ために、Si(シリコン)やGaAs(ガリウムヒ素)
などの既存の半導体材料では得ることができない優れた
高温特性、高周波特性、耐圧特性、耐環境特性を実現す
ることが可能で、次世代のパワーデバイス用半導体材料
として注目され、かつ期待されている。
法として、従来では、所定の面、例えば(0001)面
を露出させたSiC単結晶基板を種結晶として用い、こ
のSiC単結晶基板の(0001)面上に昇華再結晶法
による気相成長によってSiC単結晶を一体に育成する
改良レーリー法が一般的に知られている。
た従来の改良レーリー法による製造方法は、結晶成長速
度が約100μm/hr.程度と非常に低いのはもとよ
り、気相成長によって得られたSiC単結晶には多くの
欠陥が存在し品質面で十分満足することができないばか
りでなく、気相成長時にSiC単結晶基板の(000
1)面に対してオーバーハング状態に育成されるSiC
単結晶によりSiC単結晶基板が徐々に大きくなる程度
で、面積的に大きくて応用範囲の拡大に繋がるような大
型の単結晶SiCは到底得ることができない。因みに、
改良レーリー法によって製造され現在市販されている単
結晶SiCは、直径2インチ(約5cm)程度のものが
最大サイズであり、それ以上に大きいサイズの単結晶S
iCは現存しない。したがって、既述のようにSiやG
aAsなどの既存の半導体材料に比べて多くの優れた特
徴を有する単結晶SiCの実用化を促進する上で、応用
範囲の拡大に繋がるような大型で、かつ、高品質な単結
晶SiCの出現が強く要望されている。
もので、品質の向上だけでなく、面積的に大型サイズで
応用範囲の著しい拡大を図ることができる単結晶SiC
及びその製造方法を提供することを目的としている。
に提案した請求項1に記載の発明に係る単結晶SiC
は、所定の面に対して傾斜する端面を有する複数枚のS
iC単結晶基板をそれらの傾斜端面同士の突き合わせ状
に重ねた状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、Siの過剰
雰囲気下で熱処理することにより、複数枚のSiC単結
晶基板同士を接合し一体化してなることを特徴とし、ま
た、請求項5に記載の発明に係る単結晶SiCの製造方
法は、所定の面に対して傾斜する端面を有する複数枚の
SiC単結晶基板をそれらの傾斜端面同士が突き合わせ
られるように重ねた状態で、これら複数枚のSiC単結
晶基板を不活性ガス雰囲気、かつ、Siの過剰雰囲気下
で熱処理することにより、複数枚のSiC単結晶基板同
士を接合し一体化することを特徴とするものである。
発明によれば、複数枚のSiC単結晶基板の所定の面、
例えば(0001)面に対して傾斜する端面同士を突き
合わせ状に重ねて熱処理することにより、(0001)
面などの所定の面に対して平行な端面同士を突き合わせ
て熱処理する場合のように、端面同士の全体が密着しな
いままで熱処理されて複数枚のSiC単結晶基板同士の
接合一体化が不完全となったり、あるいは、端面同士の
密着性が悪いためにSiC単結晶基板同士の接合が部分
的なものとなり、熱処理による端面間の品質改善効果が
得られなかったりすることがなく、端面同士全体の密着
性がよくSiC単結晶基板同士の接合一体化を確実にし
て単結晶SiCの大型化が図れるとともに、その大型の
単結晶SiC全体に熱処理による品質改善効果を現出さ
せることが可能である。
わす4H、6H、3Cの最初の数字は、結晶の1単位胞
に含まれる原子単位層の層数を示し、後ろのアルファベ
ットは、結晶系、すなわち、Hは六方晶系、Cは立方晶
系を示し、3C−SiCをβ−SiC、その他をα−S
iCと総称することもある。
SiCは、所定の面に対し傾斜する端面を有する複数枚
のSiC単結晶基板をそれらの傾斜端面同士を突き合わ
せ状に重ねた状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、Siの
過剰雰囲気下で熱処理することにより、複数枚のSiC
単結晶基板同士を接合してなる単結晶SiCを種結晶と
し、この種結晶の所定の面上に気相、液相もしくは固相
成長によりSiC単結晶を一体に育成してなることを特
徴とし、また、請求項7に記載の発明に係る単結晶Si
Cの製造方法は、所定の面に対し傾斜する端面を有する
複数枚のSiC単結晶基板をそれらの傾斜端面同士が突
き合わせられるように重ねた状態で、不活性ガス雰囲
気、かつ、Siの過剰雰囲気下で熱処理することによ
り、複数枚のSiC単結晶基板同士が接合された単結晶
SiCを製造し、この製造された単結晶SiCを種結晶
として使用し、この種結晶の所定の面上に気相、液相も
しくは固相成長によりSiC単結晶を一体に育成するこ
とを特徴とするものである。
発明は、上述した請求項1及び請求項5に記載の発明に
より得られた大型かつ高品質の単結晶SiCを種結晶と
して活用し、この種結晶の所定の面、例えば(000
1)面上に気相、液相もしくは固相成長によりSiC単
結晶を一体に育成することで、一層大型で応用範囲の拡
大が図れる単結晶SiCを得ることができる。
にもとづいて説明する。図1は請求項1及び請求項5に
記載の発明に係る単結晶SiCの熱処理前の状態の断面
構造を示す模式図であり、同図において、1は六方晶系
(4H型)のSiC単結晶基板、2は六方晶系(6H
型)のSiC単結晶基板であり、これら両SiC単結晶
基板1,2の(0001)Si面1a及び(0001)
C面2aを精密研磨により鏡面仕上げして厚みt1,t
2を揃えるとともに、その面1a,2aに対して垂直方
向(結晶方位を合わせた)の端面1b,2bは(000
1)面に対して5〜60°、好ましくは20°傾斜した
面に切断されている。
1b,2bを精密研磨して鏡面仕上げした後、それら鏡
面仕上げされた傾斜端面1b,2b同士が突き合わせに
より互いに密着状態に重ねられるように、両SiC単結
晶基板1,2をカーボンるつぼ(図示省略する)内のカ
ーボン治具(グラフォイル)上に固定しカーボンるつぼ
にセットする。
吹き込むとともに、助剤として平均粒径が1700μm
のα−SiC粉体の約20gと平均粒径が8μmのα−
SiC粉体の約2gを加えることで不活性ガス雰囲気
で、かつ、Siの過剰雰囲気とする。この雰囲気下で1
900〜2400℃、好ましくは2000℃まで1時間
かけて平均速度で昇温するとともに、その2000℃の
温度を30分間保持させるといった熱処理を行なうこと
により、上記両SiC単結晶基板1,2同士をそれらの
傾斜端面1b,2bが温度差によって全面において完全
に接合された状態に一体化し、これによって、図2に示
すように、面積的に大型サイズで高品質の単結晶SiC
3が製造される。
SiC3は、それを所望の大きさに切断することで、例
えば高温半導体電子素子の基板ウエハなどとして用いる
ことができるのはもちろん、図3に示すように、製造さ
れた大型の単結晶SiC3を種結晶とし、この種結晶と
なる大型単結晶SiC3の表面、即ち、(0001)面
3aに熱化学的蒸着法などにより3C−SiC層4を成
膜し、この複合体Mを上記と同様に、不活性ガス雰囲気
で、かつ、Siの過剰雰囲気下で熱処理するという固相
成長により、3C−SiC層4の少なくとも一部に単結
晶SiC3に倣って同一の結晶方位を持つ単結晶部分6
を一体に育成させることによって、図4に示すように、
面積的に大型サイズであるだけでなく、肉厚Tも一層大
きく、しかも、突き合わせ界面における歪みを消失させ
て品質的にも一段と優れた単結晶SiC5を製造するこ
とができる。
3を種結晶として使用し、この種結晶の(0001)面
3a上に固相成長によりSiC単結晶を一体に育成する
大型単結晶SiCの製造方法について説明したが、これ
以外に種結晶の(0001)
育成してもよく、いずれの場合も、面積的に大型で、か
つ、肉厚の大きい単結晶SiCを得ることができる。
一例である4H−SiC単結晶基板1と6H−SiC単
結晶基板2とを組み合わせて熱処理することについて説
明したが、傾斜面同士が突き合わせ状に重ねられるSi
C単結晶基板としては、α−SiC同士の組み合わせ、
α−SiCとβ−SiCの組み合わせ、β−SiC同士
の組み合わせのいずれでもよい。いずれの場合も上記の
ごとく製造された大型の単結晶SiC3は、ヘテロジャ
ンクションを利用したHEMT{(High Electron Mobil
ity Transister) 、たとえば、高電子移動度の3C(1
000cm2 V/s.)や4H−SiC(900cm2
V/s.)と比較的電子移動度の低い6H−SiC(4
50cm2 V/s.)との組み合わせによる}などに有
効に応用することが可能である。
晶基板1,2の傾斜端面1b,2bを直接に突き合わせ
密着状態に重ねた上、熱処理したが、両傾斜端面1b,
2b間にSiOまたはSiあるいはそれらの混合物を介
在させて重ねることで、両傾斜端面1b,2bの密着性
をより高めて熱処理してもよい。
記載の発明によれば、複数枚のSiC単結晶基板の所定
の面、例えば(0001)面に対して傾斜する端面同士
を突き合わせ状に重ねて熱処理することにより、傾斜端
面同士の密着性がよくなり、SiC単結晶基板同士の接
合一体化を確実にして大型で、しかも、全体に熱処理に
よる品質改善効果が現出された高品質な単結晶SiCを
得ることができる。これによって、単結晶SiCの応用
範囲の著しい拡大を図れ、既存の半導体材料に比べて高
温、高周波、耐電圧、耐環境性などに優れパワーデバイ
ス用半導体材料として期待されている単結晶SiCの実
用化を強力に促進することができるという効果を奏す
る。
によれば、上述した請求項1及び請求項5に記載の発明
により得られた大型かつ高品質の単結晶SiCを種結晶
として活用し、この種結晶の所定の面、例えば(000
1)面上に気相、液相もしくは固相成長によりSiC単
結晶を一体に育成することにより、一層大型かつ肉厚の
大きい単結晶SiCを得ることができ、その応用範囲を
一段と拡大することができる。特に、固相成長による場
合は、突き合わせ界面における歪みを消失させて品質的
にも一段と優れた単結晶SiC5を得ることができる。
断面構造を示す模式図である。
単結晶SiCの断面構造を示す模式図である。
てSiC単結晶を一体に育成する時の熱処理前の状態の
断面構造を示す模式図である。
単結晶SiCの断面構造を示す模式図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 所定の面に対して傾斜する端面を有する
複数枚のSiC単結晶基板をそれらの傾斜端面同士の突
き合わせ状に重ねた状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、
Siの過剰雰囲気下で熱処理することにより、複数枚の
SiC単結晶基板同士を接合し一体化してなることを特
徴とする単結晶SiC。 - 【請求項2】 互いに接合されるSiC単結晶基板は、
そのポリタイプが4H同士、6H同士、4Hと6H、3
Cと4H、3Cと6Hまたは3C同士の組み合わせの中
から選択された一つである請求項1に記載の単結晶Si
C。 - 【請求項3】 所定の面に対し傾斜する端面を有する複
数枚のSiC単結晶基板をそれらの傾斜端面同士を突き
合わせ状に重ねた状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、S
iの過剰雰囲気下で熱処理することにより、複数枚のS
iC単結晶基板同士を接合してなる単結晶SiCを種結
晶とし、この種結晶の所定の面上に気相、液相もしくは
固相成長によりSiC単結晶を一体に育成してなること
を特徴とする単結晶SiC。 - 【請求項4】 【外1】
- 【請求項5】 所定の面に対して傾斜する端面を有する
複数枚のSiC単結晶基板をそれらの傾斜端面同士が突
き合わせられるように重ねた状態で、これら複数枚のS
iC単結晶基板を不活性ガス雰囲気、かつ、Siの過剰
雰囲気下で熱処理することにより、複数枚のSiC単結
晶基板同士を接合し一体化することを特徴とする単結晶
SiCの製造方法。 - 【請求項6】 互いに接合されるSiC単結晶基板とし
て、そのポリタイプが4H同士、6H同士、4Hと6
H、3Cと4H、3Cと6Hまたは3C同士の組み合わ
せの中から選択された一つを用いる請求項5に記載の単
結晶SiCの製造方法。 - 【請求項7】 所定の面に対し傾斜する端面を有する複
数枚のSiC単結晶基板をそれらの傾斜端面同士が突き
合わせられるように重ねた状態で、不活性ガス雰囲気、
かつ、Siの過剰雰囲気下で熱処理することにより、複
数枚のSiC単結晶基板同士が接合された単結晶SiC
を製造し、この製造された単結晶SiCを種結晶として
使用し、この種結晶の所定の面上に気相、液相もしくは
固相成長によりSiC単結晶を一体に育成することを特
徴とする単結晶SiCの製造方法。 - 【請求項8】 【外2】
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