JP2939615B2 - 単結晶SiC及びその製造方法 - Google Patents

単結晶SiC及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶SiC及び
その製造方法に関するもので、詳しくは、発光ダイオー
ドや高温半導体電子素子、パワーデバイスの半導体基板
ウエハなどとして用いられる単結晶SiC及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SiC(炭化珪素)は、耐熱性および機
械的強度に優れているだけでなく、放射線にも強く、さ
らに不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御が容
易である上、広い禁制帯幅を持つ(因みに、6H型のS
iC単結晶で約3.0eV、4H型のSiC単結晶で
3.26eV)ために、Si(シリコン)やGaAs
(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材料では実現する
ことができない大容量、高周波、耐圧、耐環境性を実現
することが可能で、次世代のパワーデバイス用半導体材
料として注目され、かつ期待されている。
【0003】ところで、この種の単結晶SiCの成長
(製造)方法として、従来、SiC研磨材の工業的製法
として一般的に知られているもので、種結晶基材をそれ
の外周から高周波電極で加熱することにより種結晶基材
の中心部で多くの核発生を起こして、種結晶基材の中心
部を中心として複数の渦巻き状の結晶成長を進行させる
アチソン法と、このアチソン法で作られた粉状のSiC
を原料として用い、単一の結晶核上に結晶を成長させる
昇華再結晶法などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の製造方法のうちアチソン法は、種結晶基材を長
時間かけて加熱することで単結晶がゆっくりと成長する
ものであって、結晶成長速度が1μm/hr.程度と非
常に低いだけでなく、このアチソン法で作られた粉状の
SiCを原料とする昇華再結晶法にあっては、昇華原料
自体が不純物を含んでおり、この不純物が成長する結晶
内に入り込んでマイクロパイプ欠陥と呼ばれ半導体デバ
イスを作製した際の漏れ電流等の原因となる結晶の成長
方向に貫通する直径数ミクロンのピンホールが100〜
1000/cm2 程度成長結晶中に残存しやすく、品質
的に十分なものが得られないという問題があり、このこ
とが既述のようにSiやGaAsなどの既存の半導体材
料に比べて多くの優れた特徴を有しながらも、その実用
化及び適用性の拡大を阻止する要因になっている。
【0005】本出願人らは、上記したアチソン法や昇華
再結晶法による技術的課題を解消する手段として、α−
SiC単結晶基材の表面に熱化学的蒸着法によりβ−S
iC層を形成した後、その複合体を熱処理することによ
りβ−SiC層の多結晶体をα−SiCに相変位(転
化)させてα−SiC単結晶基材の結晶軸と同方位に配
向して単結晶を一体化し育成するようにした単結晶Si
Cの製造方法を既に提案している。
【0006】本出願人らが既に提案した上記の単結晶S
iC製造方法によれば、従来のアチソン法や昇華再結晶
法に比べて、結晶成長速度が速く、また、結晶核の発生
や不純物の拡散によるマイクロパイプ欠陥の発生も非常
に少なくすることができるものの、高純度の単結晶と得
るためには、α−SiC単結晶基材とその表面に熱化学
的蒸着法により形成され多結晶体に成長されたβ−Si
C層とを2100〜2300℃の非常に高い温度で長時
間かけて熱処理することが必要であり、そのため、Si
原子とC原子の結合が高温度熱処理時の熱エネルギーに
より生じる格子振動に耐えられなくなって切れるなど分
解し、これによって、格子歪みや原子の空孔によるSi
C格子の欠陥を招きやすく、良質な単結晶の成長には未
だ改善の余地があった。
【0007】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、マイクロパイプ欠陥はもとより格子歪みや格子欠陥
のない非常に良質の単結晶に効率よく成長させることが
でき、半導体材料としての実用化及び適用性の拡大を促
進可能とする単結晶SiCおよびその製造方法を提供す
ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明に係る単結晶SiCは、α−
SiC単結晶基材の表面に硼素を含んだ層を介して熱化
学的蒸着法でβ−SiC層を形成してなる複合体を熱処
理することにより、上記β−SiC層の多結晶体をα−
SiCに転化させるとともに上記α−SiC単結晶基材
の結晶軸と同方位に配向させて単結晶を一体に成長させ
ていることを特徴とするものであり、また、請求項4に
記載の単結晶SiCの製造方法は、α−SiC単結晶基
材の表面に硼素を含んだ層を形成した後、その硼素含有
層の表面に熱化学的蒸着法によりβ−SiC層を形成
し、次に、その複合体を熱処理して上記β−SiC層の
多結晶体をα−SiCに転化させるとともに上記α−S
iC単結晶基材の結晶軸と同方位に配向して単結晶を一
体化し育成することを特徴とするものである。
【0009】すなわち、請求項1に記載の発明及び請求
項4に記載の発明はいずれも、α−SiC単結晶基材の
表面とその表面に熱化学的蒸着法で形成されるβ−Si
C層との界面に硼素含有層が介在されており、この硼素
含有層によりその層表面近くのSiC格子に歪みを発生
させているとともに、SiC格子の中に存在する硼素原
子がSiC格子の格子間隔と原子間距離が異なる結合部
分を構成して局部的な歪みを与えている。このような状
況にある複合体を熱処理すると、該熱処理時に加えられ
る熱エネルギーにより硼素原子が振動し、その振動がS
i原子やC原子の移動を誘発し、さらにその原子移動が
上記のSiC格子の歪み発生領域から他の領域に及び、
歪みを含んだSiC格子の原子配列を安定化させようと
するSi原子とC原子の移動が格子全域に亘って誘発さ
れることになる。このような作用により、SiC格子の
歪みを解消しつつ、SiC格子が最も安定なSi原子と
C原子の位置への再配列が促進される。つまり、歪みを
含んでいたSiC格子が歪みのない単結晶に再配列さ
れ、したがって、マイクロパイプ欠陥はもとより歪みや
原子の空孔によるSiC格子の欠陥のない良質の単結晶
SiCを効率よく得ることが可能である。
【0010】ここで、上記硼素含有層としては、請求項
2及び請求項5に記載のように、硼素を含んだβ−Si
Cの熱化学的蒸着法によりα−SiC単結晶基材の表面
に形成されたもの、または、請求項3及び請求項6に記
載のように、α−SiC単結晶SiC基材の表面への硼
素イオンの注入によりそのα−SiC単結晶基材の表面
に形成されたもの、のいずれであってもよい。
【0011】また、上記請求項4に記載の発明に係る単
結晶SiCの製造方法において、請求項7に記載のよう
に、上記α−SiC単結晶基材として、矩形状のα−S
iC単結晶の複数枚を密着状態に並設したものを用いる
ことにより、面積的にも体積的にも十分な大きさを確保
し、かつ、上述したような良質の単結晶SiCを工業的
規模で安定に製造することができる。
【0012】さらに、請求項4に記載の発明に係る単結
晶SiCの製造方法において、請求項8に記載のよう
に、上記α−SiC単結晶基材の表面に硼素含有層を介
して熱化学的蒸着法によりβ−SiC層を形成すると
き、上記α−SiC単結晶基材の表面の外周縁よりも外
方へ突出する多結晶体部分をカーボンまたはシリコン製
のダミー部材で支持させ、β−SiC層の形成後、ダミ
ー部材を除去し、かつ、そのダミー部材が除去された複
合体を上記α−SiC単結晶基材以外は非接触状態で支
持させて熱処理を行なうという方法を採用することによ
って、大きな面積のβ−SiC層の多結晶体をα−Si
C単結晶基材の結晶方位面に沿わせて安定よく形成する
ことができるとともに、その後の熱処理時に突出する多
結晶体部分の結晶成長がダミー部材によって妨げられる
こともなく、α−SiC単結晶のうち外方へ突出するほ
どに大きい多結晶体対応部分に格子乱れ等による不良部
分が発生することを抑え、硼素含有層の存在によるSi
C格子歪みの解消およびSiC格子の原子配列の促進と
相俟って、高品質化を図りつつ大面積化を促進すること
ができる。
【0013】さらにまた、上記請求項4に記載の発明に
係る単結晶SiCの製造方法において、請求項9に記載
のように、一体成長された単結晶SiCの上記突出部分
を含む表面に、該表面の外周縁よりも更に外周に突出す
る状態で硼素含有層を介して熱化学的蒸着法によりβ−
SiC層を形成する工程と、この工程で得られた複合体
に対する熱処理工程とを少なくとも1回以上繰り返すこ
とによって、より一層の大面積化とともに、厚肉化を図
ることができ、また、熱処理の繰り返しによって単結晶
化が不完全な部分があっても、その部分の再々熱処理に
より単結晶化を促進し、大面積かつ厚肉で高品質の単結
晶SiCを得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。図1〜図3は本発明に係る単結
晶SiCの製造方法の一例を製造工程順に説明する模式
図であり、図1は第1成膜工程を示し、アチソン法によ
り縦×横が10mm×10mm、厚さ0.5mmの平板
状に製作された六方晶系(6H型、4H型)のα−Si
C単結晶基材1の表面1aに、1200〜1500℃の
温度範囲(好ましくは1400℃)の水素気流中で熱化
学的蒸着法により硼素を含んだ立方晶系β−SiCを形
成させて厚さ10μmの硼素含有層2を成膜する。この
硼素含有層2の成膜時においては、初期5分間に亘って
蒸着部に向けてSiCl41モル、CCl4 0.3モル
に対してBCl3 0.05モルの反応ガスを供給する。
【0015】上記硼素含有層2の成膜後は、BCl3
供給を断ち、SiCl4 、CCl4及びH2 を蒸着部に
向けて供給しながら、熱化学的蒸着法により硼素を含ま
ない高純度立方晶系β−SiCを用いて厚さが約500
μmのβ−SiC層3を成膜することにより(第2成膜
工程)、図2に示すような複合体Mを得る。
【0016】しかる後、上記複合体Mの全体を、Arお
よびSiCの飽和蒸気雰囲気中で、1900〜2400
℃、好ましくは2000〜2200℃の範囲の温度で熱
処理することにより、上記β−SiC層3の多結晶体及
び硼素含有層2のβ−SiC多結晶体をα−SiCに転
化すると共に上記α−SiC単結晶基材1の結晶軸と同
方位に配向して基材1の単結晶と一体化させて図3に示
すような大きな単結晶SiC4が育成される。
【0017】上記のようにα−SiC単結晶基材1の表
面に硼素含有層2を介して熱化学的蒸着法によりβ−S
iC層3が形成された複合体Mに熱処理を施すことによ
り、熱処理時に加えられる熱エネルギーにより硼素含有
層2内の硼素原子が振動し、その振動がβ−SiC層3
のSi原子やC原子の移動を誘発し、さらにその原子移
動が、例えば硼素BとCとの化合によるB4Cのような
硼素化合物の存在によって歪みを発生しているSiC格
子の歪み発生領域から他の領域に及び、歪みを含んだS
iC格子の原子配列を安定化させようとするSi原子と
C原子の移動が格子全域に亘って誘発され、このような
作用により、SiC格子の歪みを解消しつつ、SiC格
子が最も安定なSi原子とC原子の位置への再配列が促
進される。すなわち、歪みを含んでいたSiC格子が歪
みのない単結晶に再配列され、ほぼ全面に亘ってマイク
ロパイプ欠陥はもとより歪みや原子の空孔によるSiC
格子の欠陥のない良質の単結晶SiC4を効率よく得る
ことが可能である。
【0018】図4は本発明に係る単結晶SiCの製造方
法の他の例を説明する模式図であり、この例では、上記
α−SiC単結晶基材1として、矩形状に整えて加工さ
れたα−SiC単結晶1Aの複数枚を密着状態(隙間な
く)に並設したものを使用し、その表面に上記と同様に
硼素含有層2を介して熱化学的蒸着法により高純度β−
SiCを用いたβ−SiC層3を成膜した後、その複合
体Mを上記と同様に熱処理する方法であり、この場合
は、面積的にも体積的にも十分な大きさを有し、かつ、
上述と同様に良質の単結晶SiC4を工業的規模で安定
に製造することができる。
【0019】また、図5〜図8は本発明に係る単結晶S
iCの製造方法のもう一つの例を製造工程順に説明する
模式図であり、図5に示すβ−SiC層3の成膜工程に
おいて、その表面に上記硼素含有層2を成膜しているα
−SiC単結晶基材1をカーボン製またはシリコン製の
サセプター(ダミー部材)5に形成した凹部5b内
者の表面2a,5aが面一になるように嵌合保持させた
上で、熱化学的蒸着法によりβ−SiC層3をその外周
縁3eが上記α−SiC単結晶基材1の外周縁部1eよ
りも外方へ突出し、その突出するβ−SiC層部分3a
が上記サセプター5の表面5aに支持される状態に成膜
する。
【0020】上記の成膜工程終了後にサセプター5を消
却または酸溶解(エッチング)により除去することで図
6に示すような複合体Mを得る。続いて、その複合体M
におけるα−SiC単結晶基材1および硼素含有層2を
図7に示すように、別個に準備したカーボン製サセプタ
ー6に形成の凹部6b内に嵌合保持させることにより上
記突出β−SiC層部分3aは非接触状態にして複合体
Mを支持させた上、該複合体Mを上記と同様に熱処理す
ることによって、単結晶SiC4を一体成長させる。
【0021】このようにして一体成長された単結晶Si
C4のうち、上記突出β−SiC層部分3aに対応する
突出単結晶部分4aの外周部を切断し端部を除去するこ
とにより、最終製品として、図8に示すような略T字状
の単結晶SiC4´を製造する。さらに、高品質な単結
晶SiC4´を得るためには、突出単結晶部分4aの中
間部を切断し、その外周側縁部を除去することが好まし
い。
【0022】以上の工程を経て製造された単結晶SiC
4´は、小面積のα−SiC単結晶基板1を使用しなが
ら、大きな面積を有しているとともに、結晶中に不純物
が入り込んだり、マイクロパイプ欠陥や結晶粒界などを
発生したりすることがなく、また、硼素含有層2の存在
によるSiC格子歪みの解消およびSiC格子の原子配
列の促進と相俟って、高純度、高品質である。
【0023】さらに、上記図5〜図8に示した製造方法
では、一回の成膜工程、熱処理工程および中間部分の切
断除去工程により所定の単結晶SiC4´を製造するも
のについて説明したが、図9に示すように、その製造さ
れた単結晶SiC4´の上記突出単結晶部分4aを含む
表面4fに硼素含有層2´を形成するとともに、該表面
2´fの外周縁よりも更に外方へ突出させる状態で熱化
学的蒸着法によりβ−SiC多結晶膜3´を形成する成
膜工程と、その成膜工程で得られた複合体M´に対する
既述と同一条件での熱処理工程と、切断除去工程とをも
う一回もしくは複数回繰り返すことで、大面積かつ厚肉
の単結晶SiCを製造してもよい。この場合は、熱処理
の繰り返しによって、単結晶化が不完全な状態の部分が
あったとしても、その部分が再々熱処理されて単結晶化
が促進され、これによって、大面積かつ厚肉の単結晶S
iC製品の品質を一層高めることができる。
【0024】なお、上記α−SiC単結晶基材1として
6H型のものを使用するときは、熱処理に伴ってβ−S
iC層2の多結晶体からα−SiCに転化される単結晶
が6H型の単結晶と同じ形態で育成されやすく、また、
4H型の単結晶基材1を使用するときは、熱処理に伴っ
てその4H型の単結晶と同じ形態の単結晶が転化育成さ
れやすいことになる。
【0025】また、上記の各製造方法例では、上記硼素
含有層2が硼素を含んだβ−SiCの熱化学的蒸着法に
よりα−SiC単結晶基材1の表面に形成されるものに
ついて説明したが、α−SiC単結晶基材1の表面1a
への硼素イオンの注入によって形成しても、また、スパ
ッタリングによりα−SiC単結晶基材1の表面1aに
形成してもよく、いずれにしても、数原子層以上の厚さ
があればよい。
【0026】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明お
よび請求項4に記載の発明によれば、α−SiC単結晶
基材の表面とその表面に熱化学的蒸着法で形成されるβ
−SiC層との界面に硼素含有層を介在させることで、
硼素含有層の表面近くのSiC格子に歪みを発生させる
とともに、SiC格子の中に存在する硼素原子によって
SiC格子の格子間隔と原子間距離が異なる結合部分を
構成して局部的な歪みを与えておき、このような状況で
熱処理することにより、該熱処理時に加えられる熱エネ
ルギーをもって格子振動を誘発し、その振動によりSi
C格子の歪み発生領域から他の領域の格子全域に亘って
SiC格子の原子配列を安定化させようとする原子配列
組替え作用を活発化することが可能となる。このような
作用により、SiC格子の歪みを解消しつつ、SiC格
子が最も安定なSi原子とC原子の位置への再配列を促
進することができ、したがって、マイクロパイプ欠陥は
もとより歪みや原子の空孔によるSiC格子の欠陥のな
い良質の単結晶SiCを非常に効率よく得ることができ
るという効果を奏する。これによって、Si(シリコ
ン)やGaAs(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材
料に比べて大容量、高周波、耐圧、耐環境性に優れパワ
ーデバイス用半導体材料として期待されている単結晶S
iCの実用化及び適用性の拡大が可能となる。
【0027】特に、請求項7、8または9に記載の発明
によれば、上記請求項1及び請求項4に記載の発明で得
られる良質の単結晶SiCを大面積化あるいは大面積化
と厚肉化することができ、一層その適用性の拡充を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の一例を
説明する製造工程のうち第1成膜工程が終了した状態を
示す模式図である。
【図2】同上製造工程のうち第2成膜工程が終了した状
態を示す模式図である。
【図3】製造された単結晶SiCを示す模式図である。
【図4】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の他の例
を説明する製造工程のうち第2成膜工程が終了した状態
を示す模式図である。
【図5】本発明に係る単結晶SiCの製造方法のもう一
つの例を説明する製造工程のうち第2成膜工程が終了し
た状態を示す模式図である。
【図6】同上製造工程のうちサセプター除去後の状態を
示す模式図である。
【図7】同上製造工程のうち熱処理工程が終了した状態
を示す模式図である。
【図8】最終的に製造された単結晶SiCを示す模式図
である。
【図9】図5〜図8に示す製造方法によって得られた単
結晶SiCを更に大きく、かつ厚肉化するときの第2成
膜工程の終了状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 α−SiC単結晶基材 1A 矩形状のα−SiC単結晶 1a 表面 2 硼素含有層 3 β−SiC層 4,4´ 単結晶SiC 5 サセプター(ダミー部材) M 複合体
フロントページの続き (56)参考文献 特表 平10−507734(JP,A) Chem. abstr., Vo l.78,No.18,7 May 1973 (Columbus,OH USA), page 337,column2,th e abstract No.116269 j,Berman,I.et al., ’Influence of anne aling on thin film s of beta SiC,’U. S.Air Force Cambri dge Res.Lab.,Phys. Sci.Res.Pap.1972,No. 516,11 pp.(Eng). Chem. abstr., Vo l.81,No.24,16 Dec 1974 (Columbus,OH USA), page 462,column1,th e abstract No.160152 b,Berman,I.et al., ’Annealing of sput terd β−silicon car bide,’ Silicon Car bide, Proc. Int.Co nf. 3rd 1973(Pub. 1974),42−50(Eng) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 28/00 - 35/00 CA(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α−SiC単結晶基材の表面に硼素を含
    んだ層を介して熱化学的蒸着法でβ−SiC層を形成し
    てなる複合体を熱処理することにより、上記β−SiC
    層の多結晶体をα−SiCに転化させるとともに上記α
    −SiC単結晶基材の結晶軸と同方位に配向させて単結
    晶を一体に成長させていることを特徴とする単結晶Si
    C。
  2. 【請求項2】 上記硼素含有層が、硼素を含んだβ−S
    iCの熱化学的蒸着法によりα−SiC単結晶基材の表
    面に形成されたものである請求項1に記載の単結晶Si
    C。
  3. 【請求項3】 上記硼素含有層が、α−SiC単結晶基
    材の表面への硼素イオンの注入によりそのα−SiC単
    結晶基材の表面に形成されたものである請求項1に記載
    の単結晶SiC。
  4. 【請求項4】 α−SiC単結晶基材の表面に硼素を含
    んだ層を形成した後、その硼素含有層の表面に熱化学的
    蒸着法によりβ−SiC層を形成し、次に、その複合体
    を熱処理して上記β−SiC層の多結晶体をα−SiC
    に転化させるとともに上記α−SiC単結晶基材の結晶
    軸と同方位に配向して単結晶を一体化し育成することを
    特徴とする単結晶SiCの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記硼素含有層が、硼素を含んだβ−S
    iCの熱化学的蒸着法によりα−SiC単結晶基材の表
    面に形成されるものである請求項4に記載の単結晶Si
    Cの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記硼素含有層が、α−SiC単結晶基
    材の表面への硼素イオンの注入によりそのα−SiC単
    結晶基材の表面に形成されるものである請求項4に記載
    の単結晶SiCの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記α−SiC単結晶基材が、矩形状の
    α−SiC単結晶の複数枚を密着状態に並設されてなる
    ものである請求項4ないし6のいずれかに記載の単結晶
    SiCの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記α−SiC単結晶基材の表面に硼素
    含有層を介して熱化学的蒸着法によりβ−SiC層を形
    成するとき、上記α−SiC単結晶基材の表面の外周縁
    よりも外方へ突出する多結晶体部分をカーボンまたはシ
    リコン製のダミー部材で支持させ、β−SiC層の形成
    後、ダミー部材を除去し、かつ、そのダミー部材が除去
    された複合体を上記α−SiC単結晶基材以外は非接触
    状態で支持させて熱処理を行なう請求項4ないし6のい
    ずれかに記載の単結晶SiCの製造方法。
  9. 【請求項9】 一体成長された単結晶SiCの上記突出
    部分を含む表面に、 該表面の外周縁よりも更に外周に突出する状態で硼素含
    有層を介して熱化学的蒸着法によりβ−SiC層を形成
    する工程と、この工程で得られた複合体に対する熱処理
    工程とを少なくとも1回以上繰り返す請求項8に記載の
    単結晶SiCの製造方法。
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