JP2896667B1 - 単結晶SiC及びその製造方法 - Google Patents
単結晶SiC及びその製造方法Info
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- JP2896667B1 JP2896667B1 JP2327198A JP2327198A JP2896667B1 JP 2896667 B1 JP2896667 B1 JP 2896667B1 JP 2327198 A JP2327198 A JP 2327198A JP 2327198 A JP2327198 A JP 2327198A JP 2896667 B1 JP2896667 B1 JP 2896667B1
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Abstract
【要約】
【課題】 マイクロパイプ欠陥はもとより格子歪みや格
子欠陥のない非常に良質の単結晶を低温かつ短時間の熱
処理によって効率よく成長させることができ、半導体材
料としての実用化及び適用性の拡大を促進可能とする。 【解決手段】 α−SiC単結晶基材1の表面に水素イ
オン含有層2´を介して熱CVD法でβ−SiC層3を
形成した後、その複合体Mを2000〜2200℃の温
度範囲で熱処理することによりβ−SiC層3の多結晶
体をα−SiCに転化させるとともにα−SiC単結晶
基材1の結晶軸と同方位に配向させてα−SiC単結晶
4を一体に成長させる。
子欠陥のない非常に良質の単結晶を低温かつ短時間の熱
処理によって効率よく成長させることができ、半導体材
料としての実用化及び適用性の拡大を促進可能とする。 【解決手段】 α−SiC単結晶基材1の表面に水素イ
オン含有層2´を介して熱CVD法でβ−SiC層3を
形成した後、その複合体Mを2000〜2200℃の温
度範囲で熱処理することによりβ−SiC層3の多結晶
体をα−SiCに転化させるとともにα−SiC単結晶
基材1の結晶軸と同方位に配向させてα−SiC単結晶
4を一体に成長させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶SiC及び
その製造方法に関するもので、詳しくは、発光ダイオー
ドや高温半導体電子素子、パワーデバイスの半導体基板
ウエハなどとして用いられる単結晶SiC及びその製造
方法に関するものである。
その製造方法に関するもので、詳しくは、発光ダイオー
ドや高温半導体電子素子、パワーデバイスの半導体基板
ウエハなどとして用いられる単結晶SiC及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SiC(炭化珪素)は、耐熱性および機
械的強度に優れているだけでなく、放射線にも強く、さ
らに不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御が容
易である上、広い禁制帯幅を持つ(因みに、6H型のS
iC単結晶で約3.0eV、4H型のSiC単結晶で
3.26eV)ために、Si(シリコン)やGaAs
(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材料では実現する
ことができない大容量、高周波、耐圧、耐環境性を実現
することが可能で、次世代のパワーデバイス用半導体材
料として注目され、かつ期待されている。
械的強度に優れているだけでなく、放射線にも強く、さ
らに不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御が容
易である上、広い禁制帯幅を持つ(因みに、6H型のS
iC単結晶で約3.0eV、4H型のSiC単結晶で
3.26eV)ために、Si(シリコン)やGaAs
(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材料では実現する
ことができない大容量、高周波、耐圧、耐環境性を実現
することが可能で、次世代のパワーデバイス用半導体材
料として注目され、かつ期待されている。
【0003】ところで、この種のSiC単結晶の成長
(製造)方法として、従来、SiC研磨材の工業的製法
として一般的に知られているもので、種結晶基材をそれ
の外周から高周波電極で加熱することにより種結晶基材
の中心部で多くの核発生を起こして、種結晶基材の中心
部を中心として複数の渦巻き状の結晶成長を進行させる
アチソン法と、このアチソン法で作られた粉状のSiC
を原料として用い、単一の結晶核上に結晶を成長させる
昇華再結晶法などが知られている。
(製造)方法として、従来、SiC研磨材の工業的製法
として一般的に知られているもので、種結晶基材をそれ
の外周から高周波電極で加熱することにより種結晶基材
の中心部で多くの核発生を起こして、種結晶基材の中心
部を中心として複数の渦巻き状の結晶成長を進行させる
アチソン法と、このアチソン法で作られた粉状のSiC
を原料として用い、単一の結晶核上に結晶を成長させる
昇華再結晶法などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の製造方法のうちアチソン法は、種結晶基材を長
時間かけて加熱することで単結晶がゆっくりと成長する
ものであって、結晶成長速度が1μm/hr.程度と非
常に低いだけでなく、このアチソン法で作られた粉状の
SiCを原料とする昇華再結晶法にあっては、昇華原料
自体が不純物を含んでおり、この不純物が成長する結晶
内に入り込んでマイクロパイプ欠陥と呼ばれ半導体デバ
イスを作製した際の漏れ電流等の原因となる結晶の成長
方向に貫通する直径数ミクロンのピンホールが100〜
1000/cm2 程度成長結晶中に残存しやすく、品質
的に十分なものが得られないという問題があり、このこ
とが既述のようにSiやGaAsなどの既存の半導体材
料に比べて多くの優れた特徴を有しながらも、その実用
化及び適用性の拡大を阻止する要因になっている。
た従来の製造方法のうちアチソン法は、種結晶基材を長
時間かけて加熱することで単結晶がゆっくりと成長する
ものであって、結晶成長速度が1μm/hr.程度と非
常に低いだけでなく、このアチソン法で作られた粉状の
SiCを原料とする昇華再結晶法にあっては、昇華原料
自体が不純物を含んでおり、この不純物が成長する結晶
内に入り込んでマイクロパイプ欠陥と呼ばれ半導体デバ
イスを作製した際の漏れ電流等の原因となる結晶の成長
方向に貫通する直径数ミクロンのピンホールが100〜
1000/cm2 程度成長結晶中に残存しやすく、品質
的に十分なものが得られないという問題があり、このこ
とが既述のようにSiやGaAsなどの既存の半導体材
料に比べて多くの優れた特徴を有しながらも、その実用
化及び適用性の拡大を阻止する要因になっている。
【0005】本出願人らは、上記したアチソン法や昇華
再結晶法による技術的課題を解消する手段として、α−
SiC単結晶基材の表面に熱化学的蒸着法によりβ−S
iC層を形成した後、その複合体を熱処理することによ
りβ−SiC層の多結晶体をα−SiCに相変位(転
化)させてα−SiC単結晶基材の結晶軸と同方位に配
向して単結晶を一体化し育成するようにした単結晶Si
Cの製造方法を既に提案している。
再結晶法による技術的課題を解消する手段として、α−
SiC単結晶基材の表面に熱化学的蒸着法によりβ−S
iC層を形成した後、その複合体を熱処理することによ
りβ−SiC層の多結晶体をα−SiCに相変位(転
化)させてα−SiC単結晶基材の結晶軸と同方位に配
向して単結晶を一体化し育成するようにした単結晶Si
Cの製造方法を既に提案している。
【0006】本出願人らが既に提案した上記の単結晶S
iC製造方法によれば、従来のアチソン法や昇華再結晶
法に比べて、結晶成長速度が速く、また、結晶核の発生
や不純物の拡散によるマイクロパイプ欠陥の発生も非常
に少なくすることができるものの、高純度の単結晶と得
るためには、α−SiC単結晶基材とその表面に熱化学
的蒸着法により形成され多結晶体に成長されたβ−Si
C層とを2200〜2300℃の非常に高い温度で長時
間(20時間以上)かけて熱処理することが必要であ
り、そのため、Si原子とC原子の結合が高温度熱処理
時の熱エネルギーにより生じる格子振動に耐えられなく
なって切れるなど分解し、これによって、格子歪みや原
子の空孔によるSiC格子の欠陥を招きやすく、良質な
単結晶の成長には未だ改善の余地があった。
iC製造方法によれば、従来のアチソン法や昇華再結晶
法に比べて、結晶成長速度が速く、また、結晶核の発生
や不純物の拡散によるマイクロパイプ欠陥の発生も非常
に少なくすることができるものの、高純度の単結晶と得
るためには、α−SiC単結晶基材とその表面に熱化学
的蒸着法により形成され多結晶体に成長されたβ−Si
C層とを2200〜2300℃の非常に高い温度で長時
間(20時間以上)かけて熱処理することが必要であ
り、そのため、Si原子とC原子の結合が高温度熱処理
時の熱エネルギーにより生じる格子振動に耐えられなく
なって切れるなど分解し、これによって、格子歪みや原
子の空孔によるSiC格子の欠陥を招きやすく、良質な
単結晶の成長には未だ改善の余地があった。
【0007】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、マイクロパイプ欠陥はもとより格子歪みや格子欠陥
のない非常に良質の単結晶を低温かつ短時間の熱処理に
よって効率よく成長させることができ、半導体材料とし
ての実用化及び適用性の拡大を促進可能とする単結晶S
iCおよびその製造方法を提供することを目的としてい
る。
で、マイクロパイプ欠陥はもとより格子歪みや格子欠陥
のない非常に良質の単結晶を低温かつ短時間の熱処理に
よって効率よく成長させることができ、半導体材料とし
ての実用化及び適用性の拡大を促進可能とする単結晶S
iCおよびその製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明に係る単結晶SiCは、α−
SiC単結晶基材の表面に水素イオンの含有層を介して
熱化学的蒸着法でβ−SiC層を形成してなる複合体を
熱処理することにより、上記β−SiC層の多結晶体を
α−SiCに転化させるとともに上記α−SiC単結晶
基材の結晶軸と同方位に配向させて単結晶を一体に成長
させていることを特徴とするものであり、また、請求項
4に記載の単結晶SiCの製造方法は、α−SiC単結
晶基材の表面に水素イオンの含有層を形成した後、その
水素イオン含有層の表面に熱化学的蒸着法によりβ−S
iC層を形成し、次に、その複合体を熱処理して上記β
−SiC層の多結晶体をα−SiCに転化させるととも
に上記α−SiC単結晶基材の結晶軸と同方位に配向し
て単結晶を一体化し育成することを特徴とするものであ
る。
に、請求項1に記載の発明に係る単結晶SiCは、α−
SiC単結晶基材の表面に水素イオンの含有層を介して
熱化学的蒸着法でβ−SiC層を形成してなる複合体を
熱処理することにより、上記β−SiC層の多結晶体を
α−SiCに転化させるとともに上記α−SiC単結晶
基材の結晶軸と同方位に配向させて単結晶を一体に成長
させていることを特徴とするものであり、また、請求項
4に記載の単結晶SiCの製造方法は、α−SiC単結
晶基材の表面に水素イオンの含有層を形成した後、その
水素イオン含有層の表面に熱化学的蒸着法によりβ−S
iC層を形成し、次に、その複合体を熱処理して上記β
−SiC層の多結晶体をα−SiCに転化させるととも
に上記α−SiC単結晶基材の結晶軸と同方位に配向し
て単結晶を一体化し育成することを特徴とするものであ
る。
【0009】すなわち、請求項1に記載の発明及び請求
項4に記載の発明はいずれも、α−SiC単結晶基材の
表面とその表面に熱化学的蒸着法で形成されるβ−Si
C層との界面に水素イオン含有層が介在されており、こ
の層の水素イオンの大部分がSiC格子のすき間に存在
してSiCの原子配列に歪みを与え、それら歪んだ結合
部の原子移動と他の不整合な部分(例えば粒界)の原子
移動との整合化が促進される状態となっている。このよ
うな状態で複合体が熱処理されると、該熱処理時に加え
られる熱エネルギーにより上記原子移動の整合化、つま
り、歪みを含んだSiC格子の原子配列を安定化させよ
うとするSi原子とC原子の移動が早く生起されること
になる。これによって、低温かつ短時間の熱処理によっ
てSiC格子の歪みを解消しつつ、SiC格子が最も安
定なSi原子とC原子の位置への再配列が促進され、マ
イクロパイプ欠陥はもとより歪みや原子の空孔によるS
iC格子の欠陥のない良質の単結晶SiCを熱効率よく
得ることが可能である。
項4に記載の発明はいずれも、α−SiC単結晶基材の
表面とその表面に熱化学的蒸着法で形成されるβ−Si
C層との界面に水素イオン含有層が介在されており、こ
の層の水素イオンの大部分がSiC格子のすき間に存在
してSiCの原子配列に歪みを与え、それら歪んだ結合
部の原子移動と他の不整合な部分(例えば粒界)の原子
移動との整合化が促進される状態となっている。このよ
うな状態で複合体が熱処理されると、該熱処理時に加え
られる熱エネルギーにより上記原子移動の整合化、つま
り、歪みを含んだSiC格子の原子配列を安定化させよ
うとするSi原子とC原子の移動が早く生起されること
になる。これによって、低温かつ短時間の熱処理によっ
てSiC格子の歪みを解消しつつ、SiC格子が最も安
定なSi原子とC原子の位置への再配列が促進され、マ
イクロパイプ欠陥はもとより歪みや原子の空孔によるS
iC格子の欠陥のない良質の単結晶SiCを熱効率よく
得ることが可能である。
【0010】ここで、上記水素イオン含有層としては、
請求項2及び請求項5に記載のように、α−SiC単結
晶基材の表面に熱化学的蒸着法により形成された薄いβ
−SiC層への水素イオンの注入により形成されたも
の、または、請求項3及び請求項6に記載のように、α
−SiC単結晶基材の表面への水素イオンの直接注入に
よりそのα−SiC単結晶基材の表面部に形成されたも
の、のいずれであってもよい。
請求項2及び請求項5に記載のように、α−SiC単結
晶基材の表面に熱化学的蒸着法により形成された薄いβ
−SiC層への水素イオンの注入により形成されたも
の、または、請求項3及び請求項6に記載のように、α
−SiC単結晶基材の表面への水素イオンの直接注入に
よりそのα−SiC単結晶基材の表面部に形成されたも
の、のいずれであってもよい。
【0011】また、上記請求項4に記載の発明に係る単
結晶SiCの製造方法において、請求項7に記載のよう
に、上記α−SiC単結晶基材として、矩形状のα−S
iC単結晶の複数枚を密着状態に並設したものを用いる
ことにより、面積的にも体積的にも十分な大きさを確保
し、かつ、上述したような良質の単結晶SiCを工業的
規模で安定に製造することができる。
結晶SiCの製造方法において、請求項7に記載のよう
に、上記α−SiC単結晶基材として、矩形状のα−S
iC単結晶の複数枚を密着状態に並設したものを用いる
ことにより、面積的にも体積的にも十分な大きさを確保
し、かつ、上述したような良質の単結晶SiCを工業的
規模で安定に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。図1〜図3は本発明に係る単結
晶SiCの製造方法の一例を製造工程順に説明する模式
図であり、図1は第1成膜工程を示し、アチソン法によ
り縦×横が10mm×10mm、厚さ0.5mmの平板
状に切り出し製作された六方晶系(6H型、4H型)の
α−SiC単結晶基材1の表面1aをRMS500オン
グストロームの表面粗さの鏡面に研磨加工した上、その
表面1aに1200〜1500℃の温度範囲(好ましく
は1400℃)の水素気流中で熱化学的蒸着法により厚
さ50μmの立方晶系β−SiC層2を形成させる。こ
のβ−SiC層2の成膜時においては、初期5分間に亘
って蒸着部に向けてSiCl4 、CH3 の反応ガスを供
給する。
にもとづいて説明する。図1〜図3は本発明に係る単結
晶SiCの製造方法の一例を製造工程順に説明する模式
図であり、図1は第1成膜工程を示し、アチソン法によ
り縦×横が10mm×10mm、厚さ0.5mmの平板
状に切り出し製作された六方晶系(6H型、4H型)の
α−SiC単結晶基材1の表面1aをRMS500オン
グストロームの表面粗さの鏡面に研磨加工した上、その
表面1aに1200〜1500℃の温度範囲(好ましく
は1400℃)の水素気流中で熱化学的蒸着法により厚
さ50μmの立方晶系β−SiC層2を形成させる。こ
のβ−SiC層2の成膜時においては、初期5分間に亘
って蒸着部に向けてSiCl4 、CH3 の反応ガスを供
給する。
【0013】上記β−SiC層2の表面部の10μm厚
さ部分を、ダイヤモンド粒を用いてRMS500オング
ストロームの表面粗さの鏡面に研磨した上、その表面に
プラズマスパッタ方式のイオン注入装置により印加電圧
4MeVのもとで図2に示すように水素イオンH+ を注
入することによって、水素イオン含有層2´を形成す
る。ここで、水素イオンH+ の注入はドーズ量5×10
14〜5×1015イオン/cm2 程度で、印加電圧を調整
することにより水素原子の濃度分布のピークがα−Si
C単結晶基材1の表面1aとの界面付近になるようにコ
ントロールされている。
さ部分を、ダイヤモンド粒を用いてRMS500オング
ストロームの表面粗さの鏡面に研磨した上、その表面に
プラズマスパッタ方式のイオン注入装置により印加電圧
4MeVのもとで図2に示すように水素イオンH+ を注
入することによって、水素イオン含有層2´を形成す
る。ここで、水素イオンH+ の注入はドーズ量5×10
14〜5×1015イオン/cm2 程度で、印加電圧を調整
することにより水素原子の濃度分布のピークがα−Si
C単結晶基材1の表面1aとの界面付近になるようにコ
ントロールされている。
【0014】水素イオン注入後は、SiCl4 及びH2
を蒸着部に向けて供給しながら、熱化学的蒸着法により
厚さ約500μmのβ−SiC層3を水素イオン含有層
2´上に成膜することにより(第2成膜工程)、図3に
示すような複合体Mを得る。
を蒸着部に向けて供給しながら、熱化学的蒸着法により
厚さ約500μmのβ−SiC層3を水素イオン含有層
2´上に成膜することにより(第2成膜工程)、図3に
示すような複合体Mを得る。
【0015】しかる後、上記複合体Mの全体を、Arお
よびSiCの飽和蒸気雰囲気中で、2000〜2200
℃の温度範囲、好ましくは2175℃の温度で熱処理す
ることにより、上記β−SiC層3の多結晶体及び水素
イオン含有層2を形成するβ−SiC層2の多結晶体を
α−SiCに転化すると共に上記α−SiC単結晶基材
1の結晶軸と同方位に配向して基材1の単結晶と一体化
させて図4に示すような大きな単結晶SiC4が育成さ
れる。
よびSiCの飽和蒸気雰囲気中で、2000〜2200
℃の温度範囲、好ましくは2175℃の温度で熱処理す
ることにより、上記β−SiC層3の多結晶体及び水素
イオン含有層2を形成するβ−SiC層2の多結晶体を
α−SiCに転化すると共に上記α−SiC単結晶基材
1の結晶軸と同方位に配向して基材1の単結晶と一体化
させて図4に示すような大きな単結晶SiC4が育成さ
れる。
【0016】上記のようにα−SiC単結晶基材1の表
面に水素イオン含有層2´を形成することによって、大
部分がSiC格子のすき間に存在している水素イオンH
+ によりSiCの原子配列に歪みが与えられ、それら歪
んだ結合部の原子移動と他の不整合な部分(例えば粒
界)の原子移動との整合化が促進される状態となってい
る。この状態で熱化学的蒸着法によりβ−SiC層3が
形成された複合体Mを熱処理することにより、上記水素
イオンH+ がSiC格子のすき間から外部に抜け出して
歪みを含んだSiC格子の原子配列を安定化させようと
するSi原子とC原子の移動が活発に生起されることに
なる。これによって、2175℃程度の低温で、かつ5
時間程度の短時間熱処理によってSiC格子の歪みを解
消しつつ、SiC格子が最も安定なSi原子とC原子の
位置への再配列が促進される。すなわち、歪みを含んで
いたSiC格子が歪みのない単結晶に再配列され、ほぼ
全面に亘ってマイクロパイプ欠陥はもとより歪みや原子
の空孔によるSiC格子の欠陥のない良質の単結晶Si
C4を効率よく得ることが可能である。
面に水素イオン含有層2´を形成することによって、大
部分がSiC格子のすき間に存在している水素イオンH
+ によりSiCの原子配列に歪みが与えられ、それら歪
んだ結合部の原子移動と他の不整合な部分(例えば粒
界)の原子移動との整合化が促進される状態となってい
る。この状態で熱化学的蒸着法によりβ−SiC層3が
形成された複合体Mを熱処理することにより、上記水素
イオンH+ がSiC格子のすき間から外部に抜け出して
歪みを含んだSiC格子の原子配列を安定化させようと
するSi原子とC原子の移動が活発に生起されることに
なる。これによって、2175℃程度の低温で、かつ5
時間程度の短時間熱処理によってSiC格子の歪みを解
消しつつ、SiC格子が最も安定なSi原子とC原子の
位置への再配列が促進される。すなわち、歪みを含んで
いたSiC格子が歪みのない単結晶に再配列され、ほぼ
全面に亘ってマイクロパイプ欠陥はもとより歪みや原子
の空孔によるSiC格子の欠陥のない良質の単結晶Si
C4を効率よく得ることが可能である。
【0017】図5は本発明に係る単結晶SiCの製造方
法の他の例を説明する模式図であり、この例では、上記
α−SiC単結晶基材1として、矩形状に整えて加工さ
れたα−SiC単結晶1Aの複数枚を密着状態(隙間な
く)に並設したものを使用し、その表面に上記と同様に
水素イオン含有層2´を介して熱化学的蒸着法によりβ
−SiC層3を成膜した後、その複合体Mを上記と同様
に熱処理する方法であり、この場合は、面積的にも体積
的にも十分な大きさを有し、かつ、上述と同様に良質の
単結晶SiC4を工業的規模で安定に製造することがで
きる。
法の他の例を説明する模式図であり、この例では、上記
α−SiC単結晶基材1として、矩形状に整えて加工さ
れたα−SiC単結晶1Aの複数枚を密着状態(隙間な
く)に並設したものを使用し、その表面に上記と同様に
水素イオン含有層2´を介して熱化学的蒸着法によりβ
−SiC層3を成膜した後、その複合体Mを上記と同様
に熱処理する方法であり、この場合は、面積的にも体積
的にも十分な大きさを有し、かつ、上述と同様に良質の
単結晶SiC4を工業的規模で安定に製造することがで
きる。
【0018】なお、上記α−SiC単結晶基材1として
6H型のものを使用するときは、熱処理に伴ってβ−S
iC層2の多結晶体からα−SiCに転化される単結晶
が6H型の単結晶と同じ形態で育成されやすく、また、
4H型の単結晶基材1を使用するときは、熱処理に伴っ
てその4H型の単結晶と同じ形態の単結晶が転化育成さ
れやすいことになる。
6H型のものを使用するときは、熱処理に伴ってβ−S
iC層2の多結晶体からα−SiCに転化される単結晶
が6H型の単結晶と同じ形態で育成されやすく、また、
4H型の単結晶基材1を使用するときは、熱処理に伴っ
てその4H型の単結晶と同じ形態の単結晶が転化育成さ
れやすいことになる。
【0019】また、上記の各製造方法例では、上記水素
イオン含有層2´がα−SiC単結晶基材1の表面1a
に熱化学的蒸着法により形成された薄いβ−SiC層2
への水素イオンの注入によって形成されるものについて
説明したが、α−SiC単結晶基材1の表面1aへの水
素イオンH+ の直接注入によってα−SiC単結晶基材
1の表面部に形成されるものであってもよい。
イオン含有層2´がα−SiC単結晶基材1の表面1a
に熱化学的蒸着法により形成された薄いβ−SiC層2
への水素イオンの注入によって形成されるものについて
説明したが、α−SiC単結晶基材1の表面1aへの水
素イオンH+ の直接注入によってα−SiC単結晶基材
1の表面部に形成されるものであってもよい。
【0020】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明お
よび請求項4に記載の発明によれば、α−SiC単結晶
基材の表面とその表面に熱化学的蒸着法で形成されるβ
−SiC層との界面に水素イオン含有層を介在させるこ
とで、SiC格子のすき間に存在する水素イオンによっ
てSiCの原子配列に歪みを与え、それら歪んだ結合部
の原子移動と他の不整合な部分(例えば粒界)の原子移
動との整合化が促進される状態を作っておき、このよう
な状態で複合体を熱処理することにより、該熱処理時に
加えられる熱エネルギーをもって上記原子移動の整合
化、つまり、歪みを含んだSiC格子の原子配列を安定
化させようとするSi原子とC原子の移動を早く生起さ
せることが可能となる。これによって、低温かつ短時間
の熱処理によってSiC格子の歪みを解消しつつ、Si
C格子が最も安定なSi原子とC原子の位置への再配列
を促進して、マイクロパイプ欠陥はもとより歪みや原子
の空孔によるSiC格子の欠陥のない良質の単結晶Si
Cを非常に熱効率よく得ることができるという効果を奏
する。その結果、Si(シリコン)やGaAs(ガリウ
ムヒ素)などの既存の半導体材料に比べて大容量、高周
波、耐圧、耐環境性に優れパワーデバイス用半導体材料
として期待されている単結晶SiCの実用化及び適用性
の拡大が図れる。
よび請求項4に記載の発明によれば、α−SiC単結晶
基材の表面とその表面に熱化学的蒸着法で形成されるβ
−SiC層との界面に水素イオン含有層を介在させるこ
とで、SiC格子のすき間に存在する水素イオンによっ
てSiCの原子配列に歪みを与え、それら歪んだ結合部
の原子移動と他の不整合な部分(例えば粒界)の原子移
動との整合化が促進される状態を作っておき、このよう
な状態で複合体を熱処理することにより、該熱処理時に
加えられる熱エネルギーをもって上記原子移動の整合
化、つまり、歪みを含んだSiC格子の原子配列を安定
化させようとするSi原子とC原子の移動を早く生起さ
せることが可能となる。これによって、低温かつ短時間
の熱処理によってSiC格子の歪みを解消しつつ、Si
C格子が最も安定なSi原子とC原子の位置への再配列
を促進して、マイクロパイプ欠陥はもとより歪みや原子
の空孔によるSiC格子の欠陥のない良質の単結晶Si
Cを非常に熱効率よく得ることができるという効果を奏
する。その結果、Si(シリコン)やGaAs(ガリウ
ムヒ素)などの既存の半導体材料に比べて大容量、高周
波、耐圧、耐環境性に優れパワーデバイス用半導体材料
として期待されている単結晶SiCの実用化及び適用性
の拡大が図れる。
【0021】特に、請求項7に記載の発明によれば、上
記請求項1及び請求項4に記載の発明で得られる良質の
単結晶SiCを大面積化することができ、一層その適用
性の拡充を図ることができる。
記請求項1及び請求項4に記載の発明で得られる良質の
単結晶SiCを大面積化することができ、一層その適用
性の拡充を図ることができる。
【図1】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の一例を
説明する製造工程のうち第1成膜工程が終了した状態を
示す模式図である。
説明する製造工程のうち第1成膜工程が終了した状態を
示す模式図である。
【図2】同上製造工程のうち水素イオンの注入が終了し
た状態を示す模式図である。
た状態を示す模式図である。
【図3】同上製造工程のうち第2成膜工程が終了した状
態を示す模式図である。
態を示す模式図である。
【図4】製造された単結晶SiCを示す模式図である。
【図5】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の他の例
を説明する製造工程のうち第2成膜工程が終了した状態
を示す模式図である。
を説明する製造工程のうち第2成膜工程が終了した状態
を示す模式図である。
1 α−SiC単結晶基材 1A 矩形状のα−SiC単結晶 1a 表面 2´ 水素イオン含有層 3 β−SiC層 4 単結晶SiC M 複合体
フロントページの続き (56)参考文献 Chem.abstr.,Vol. 78,No.18,7 May 1973(Co lumbus,OH,USA),pag e 337,column2, the abstract No.116269j,B erman,I.et al.,’In fluence of anneali ng on thin films o f beta SiC’,U.S.Ai r Force Cambridge Res.Lab.,Phys.Sci. Res.Pap.1972,No.516,11 pp.(Eng). Chem.abstr.,Vol. 81,No.24,16 Dec.1974(Co lumbus,OH,USA),pag e 462,column1,the a bstract No.160152b,Be rman,I.et al.,’Ann ealing of sputterd β−silicon carbid e,’Silicon Carbid e, Proc.Int.Conf., 3rd 1973(Pub.1974),42−50 (Eng). (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 28/00 - 35/00 H01L 21/205 CA(STN)
Claims (7)
- 【請求項1】 α−SiC単結晶基材の表面に水素イオ
ンの含有層を介して熱化学的蒸着法でβ−SiC層を形
成してなる複合体を熱処理することにより、上記β−S
iC層の多結晶体をα−SiCに転化させるとともに上
記α−SiC単結晶基材の結晶軸と同方位に配向させて
単結晶を一体に成長させていることを特徴とする単結晶
SiC。 - 【請求項2】 上記水素イオン含有層が、α−SiC単
結晶基材の表面に熱化学的蒸着法により形成された薄い
β−SiC層への水素イオンの注入により形成されたも
のである請求項1に記載の単結晶SiC。 - 【請求項3】 上記水素イオン含有層が、α−SiC単
結晶基材の表面への水素イオンの直接注入によりそのα
−SiC単結晶基材の表面部に形成されたものである請
求項1に記載の単結晶SiC。 - 【請求項4】 α−SiC単結晶基材の表面に水素イオ
ンの含有層を形成した後、その水素イオン含有層の表面
に熱化学的蒸着法によりβ−SiC層を形成し、次に、
その複合体を熱処理して上記β−SiC層の多結晶体を
α−SiCに転化させるとともに上記α−SiC単結晶
基材の結晶軸と同方位に配向して単結晶を一体化し育成
することを特徴とする単結晶SiCの製造方法。 - 【請求項5】 上記水素イオン含有層が、α−SiC単
結晶基材の表面に熱化学的蒸着法により形成された薄い
β−SiC層への水素イオンの注入により形成されたも
のである請求項4に記載の単結晶SiCの製造方法。 - 【請求項6】 上記水素イオン含有層が、α−SiC単
結晶基材の表面への水素イオンの直接注入によりそのα
−SiC単結晶基材の表面部に形成されたものである請
求項4に記載の単結晶SiCの製造方法。 - 【請求項7】 上記α−SiC単結晶基材が、矩形状の
α−SiC単結晶の複数枚を密着状態に並設されてなる
ものである請求項4ないし6のいずれかに記載の単結晶
SiCの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2327198A JP2896667B1 (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | 単結晶SiC及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2327198A JP2896667B1 (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | 単結晶SiC及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2896667B1 true JP2896667B1 (ja) | 1999-05-31 |
JPH11228296A JPH11228296A (ja) | 1999-08-24 |
Family
ID=12105950
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2327198A Expired - Fee Related JP2896667B1 (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | 単結晶SiC及びその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2896667B1 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4802380B2 (ja) * | 2001-03-19 | 2011-10-26 | 株式会社デンソー | 半導体基板の製造方法 |
JP3785067B2 (ja) * | 2001-08-22 | 2006-06-14 | 株式会社東芝 | 半導体素子の製造方法 |
JP2011246315A (ja) * | 2010-05-28 | 2011-12-08 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 炭化珪素基板およびその製造方法 |
JP5447206B2 (ja) * | 2010-06-15 | 2014-03-19 | 住友電気工業株式会社 | 炭化珪素単結晶の製造方法および炭化珪素基板 |
JP2012089639A (ja) * | 2010-10-19 | 2012-05-10 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 単結晶炭化珪素基板を有する複合基板 |
FR3099637B1 (fr) * | 2019-08-01 | 2021-07-09 | Soitec Silicon On Insulator | procédé de fabrication d’unE structure composite comprenant une couche mince en Sic monocristallin sur un substrat support en sic polycristallin |
-
1998
- 1998-02-04 JP JP2327198A patent/JP2896667B1/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Chem.abstr.,Vol.78,No.18,7 May 1973(Columbus,OH,USA),page 337,column2, the abstract No.116269j,Berman,I.et al.,’Influence of annealing on thin films of beta SiC’,U.S.Air Force Cambridge Res.Lab.,Phys.Sci.Res.Pap.1972,No.516,11pp.(Eng). |
Chem.abstr.,Vol.81,No.24,16 Dec.1974(Columbus,OH,USA),page 462,column1,the abstract No.160152b,Berman,I.et al.,’Annealing of sputterd β−silicon carbide,’Silicon Carbide, Proc.Int.Conf.,3rd 1973(Pub.1974),42−50(Eng). |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11228296A (ja) | 1999-08-24 |
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