JPH11315000A - 単結晶SiCおよびその製造方法 - Google Patents

単結晶SiCおよびその製造方法

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JPH11315000A
JPH11315000A JP9495498A JP9495498A JPH11315000A JP H11315000 A JPH11315000 A JP H11315000A JP 9495498 A JP9495498 A JP 9495498A JP 9495498 A JP9495498 A JP 9495498A JP H11315000 A JPH11315000 A JP H11315000A
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益三 山田
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吉弥 谷野
Toshiyuki Maeda
利之 前田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常に
少ない高品位の単結晶を非常に生産性よく製造すること
ができるようにする。 【解決手段】 α−SiC単結晶基板1とSi原子及び
C原子により構成されるβ−SiC多結晶板2とを両者
の対向面1a,2a間に微少隙間3を形成するように互
いに平行に対峙させた状態で、それら両板1,2を不活
性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気圧の雰囲気下で、
α−SiC単結晶基板1側が低温に保たれるように熱処
理することにより、微少隙間3内でSi及びC原子を昇
華再結晶させてα−SiC単結晶基板1上に単結晶を析
出させ、その析出された単結晶を種結晶としてβ−Si
C多結晶板2を単結晶に変態させることによりα−Si
C単結晶基板1の結晶軸と同方位に配向された単結晶を
一体に育成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶SiCおよ
びその製造方法に関するもので、詳しくは、発光ダイオ
ードやX線光学素子、高温半導体電子素子の基板ウエハ
などとして用いられる単結晶SiCおよびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SiC(炭化珪素)は、耐熱性および機
械的強度に優れているだけでなく、放射線にも強く、さ
らに不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御が容
易である上、広い禁制帯幅を持つ(因みに、6H型のS
iC単結晶で約3.0eV、4H型のSiC単結晶で
3.26eV)ために、Si(シリコン)やGaAs
(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材料では実現する
ことができない大容量、高周波、耐圧、耐環境性を実現
することが可能で、次世代のパワーデバイス用半導体材
料として注目され、かつ期待されている。
【0003】この種のSiC単結晶の成長(製造)方法
として、従来、種結晶を用いた昇華再結晶法によってS
iC単結晶を成長させる方法や、Si(シリコン)基板
上に化学気相成長法(CVD法)を用いてエピタキシャ
ル成長させることにより立方晶のSiC単結晶(β−S
iC)を成長させるエピタキシャル方法等が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の製造方法のうち、昇華再結晶法にあっては、マ
イクロパイプ欠陥と呼ばれ半導体デバイスを作製した際
の漏れ電流等の原因となる結晶の成長方向に貫通する直
径数ミクロンのピンホールが100〜1000/cm2
程度成長結晶中に残存しやすく、品質的に優れた単結晶
SiCが得られないという問題があり、エピタキシャル
方法は、基板温度が高い上に、基板が高温なため再蒸発
量も多く、高純度の還元性雰囲気を作ることも必要で設
備的に非常に困難であり、さらに、エピタキシャル成長
のため結晶成長速度にも自ずと限界があって、単結晶S
iCの生産性が非常に悪いという問題があり、このこと
が既述のようにSiやGaAsなどの既存の半導体材料
に比べて多くの優れた特徴を有しながらも、その実用化
を阻止する要因になっている。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、マイクロパイプ欠陥等の非常に少ない高品位の単結
晶SiCと、このような高品位単結晶を非常に生産性よ
く製造することができ、半導体材料としての実用化を可
能とする単結晶SiCの製造方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明に係る単結晶SiCは、Si
C単結晶基板とSi原子及びC原子により構成された板
材とを微少隙間を隔てて互いに平行に対峙させた状態
で、大気圧以下の不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和
蒸気雰囲気下で、上記SiC単結晶基板側が上記板材よ
りも低温に保たれるように熱処理することにより、上記
微小隙間内でSi原子及びC原子を昇華再結晶させて上
記SiC単結晶基板上に単結晶を析出させるとともに、
この析出単結晶を種結晶して上記板材を単結晶に変態さ
せて上記SiC単結晶基板の結晶軸と同方位に配向され
た単結晶が一体に成長されていることを特徴とするもの
であり、また、請求項4に記載の発明に係る単結晶Si
Cの製造方法は、SiC単結晶基板とSi原子及びC原
子により構成された板材とを両者の対向面間に微少隙間
を形成するように互いに平行に対峙させた後、それらS
iC単結晶基板及び板材を大気圧以下の不活性ガス雰囲
気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で、上記SiC単結
晶基板側が上記板材よりも低温に保たれるように熱処理
することにより、上記微小隙間内でSi原子及びC原子
を昇華再結晶させて上記SiC単結晶基板上に単結晶を
析出させ、この析出した単結晶を種結晶として上記板材
を単結晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸と
同方位に配向された単結晶を一体に育成することを特徴
とするものである。
【0007】上記のような構成要件を有する請求項1及
び請求項4に記載の発明によれば、SiC単結晶基板と
Si原子及びC原子により構成された板材とを微少隙間
を隔てて互いに平行に対峙させた状態で、不活性ガス雰
囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理すること
によって、微少隙間を通しての伝熱作用により両板の対
向面を共に平滑にしてそれら平滑面を密着させた状態で
熱処理する場合に比べて、両板全域を単結晶化に必要な
熱処理温度にまで昇温させる速度を早めることが可能で
ある。また、熱処理時にはSiC単結晶基板側が上記板
材よりも低温に保たれるとともに、この低温のSiC単
結晶基板側の対向面のうちでも両対向板の外周辺側より
も内側の中央側ほど低温であることから、外周辺の高温
部で昇華して微少隙間に入り込んだSi原子及びC原子
並びに板材を構成するSi原子及びC原子の運動エネル
ギーが低温のSiC単結晶基板の中央部側ほど小さく抑
えられる。それゆえに、上記微少隙間内の中央部分に存
在するSi原子及びC原子が最も早く昇華再結晶されて
低温のSiC単結晶基板側の中央部面上に優先的に単結
晶が析出され、そのような単結晶の析出作用が中央部か
ら周辺部にかけて順次拡張し進行していく過程でも昇華
再結晶が繰り返されることによりSi原子,C原子の昇
華再結晶に伴い析出される単結晶の単結晶化率が向上さ
れることになり、そのように析出された単結晶を種結晶
とする固相成長により板材の全体が単結晶に変態される
ことになる。
【0008】上記のように、対峙させた両板全域の所定
熱処理温度への昇温速度が早くなること、両板間の微小
隙間内でのSi原子及びC原子の昇華再結晶による単結
晶の析出がSiC単結晶基板側で優先されること、並び
に、Si原子及びC原子により構成された板材の単結晶
への変態速度が周辺部よりも中央部側ほど早くなるよう
な速度差のある変態パターンにしてSi原子、C原子の
昇華再結晶の繰り返しにより析出される単結晶の単結晶
化率が向上されることの相乗作用によって、少ない熱エ
ネルギーで上記板材の全域を効率よく単結晶化して、格
子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常に少ない高品質
な単結晶SiCを生産性よく得ることが可能である。
【0009】上記請求項1に記載の発明に係る単結晶S
iC及び請求項4に記載の発明に係る単結晶SiCの製
造方法において、SiC単結晶基板と対峙される板材と
しては、請求項2及び請求項5に記載のように、SiC
多結晶板、SiCアモルファスもしくは高純度焼結体の
いずれを使用する場合も、上記と同様に、微小隙間内で
のSi原子とC原子との昇華再結晶の繰り返しによって
高品質な単結晶SiCを生産性よく得ることが可能であ
る。
【0010】また、上記請求項1または2に記載の発明
に係る単結晶SiC及び請求項4または5に記載の発明
に係る単結晶SiCの製造方法において、上記SiC単
結晶基板の結晶面としては、アチソン法により作られた
SiC単結晶塊からSiC単結晶基板を切り出したとき
の(0001)面であってもよいが、特に、請求項3及
び請求項6に記載のように、(0001)面を(11-
2 0)面方向に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面
を使用することによって、結晶面の熱エッチングなどに
よる欠陥の発生がなくなり、SiC単結晶の品質を一層
高めることができる。
【0011】また、上記請求項4ないし6のいずれかに
記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法において、上
記SiC単結晶板とSi原子及びC原子により構成され
た板材との対向面間の微小隙間としては、請求項7に記
載のように、100μm以下、望ましくは10μm以下
に保持させることが好ましい。それは、微小隙間を通し
ての伝熱作用によって両板全域を単結晶化に必要な熱処
理温度にまで昇温させる速度を両板の密着の場合に比べ
て大きく保てる範囲で両板をできるだけ接近させること
により、両板の温度差を極力少なくして、熱平衡状態に
近い条件の中で高品質なSiC単結晶層を種結晶の上面
全域に形成し、その高品質再結晶面を種結晶として用い
ることができるからである。
【0012】請求項8に記載の発明に係る単結晶SiC
は、SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを微少隙間を
隔てて対峙させた状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、S
iC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することにより、上記微
少隙間に入り込んで析出された単結晶を種結晶として上
記SiC多結晶板を単結晶に変態させて上記SiC単結
晶基板の結晶軸と同方位に配向された単結晶が一体に成
長されていることを特徴とするものであり、また、請求
項12に記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法は、
SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを両者の対向面間
に微少隙間を形成するように対峙させた後、それらSi
C単結晶基板及びSiC多結晶板を不活性ガス雰囲気、
かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することによ
り、上記Si,C原子を上記微少隙間に入り込ませて気
相成長によって該微少隙間に単結晶を析出させ、この析
出した単結晶を種結晶として上記SiC多結晶板を単結
晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸と同方位
に配向された単結晶を一体に育成することを特徴とする
ものである。
【0013】上記のような構成要件を有する請求項8及
び請求項12に記載の発明によれば、SiC単結晶基板
とSiC多結晶板とを微少隙間を隔てて対峙させた状態
で、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下
で熱処理することにより、微少隙間を通しての伝熱作用
により両板の対向面を共に平滑にしてそれら平滑面を密
着させた状態で熱処理する場合に比べて、両板全域を単
結晶化に必要な熱処理温度にまで昇温させる速度を早め
ることが可能である。また、熱処理時における温度分布
において、両対向板の外周辺側よりも内側の中央側ほど
低温であることから、外周辺の高温部で昇華して微少隙
間に入り込んだSi原子及びC原子の運動エネルギーが
低温の中央部側ほど小さく、それゆえに、上記微少隙間
の中央部側からSi原子及びC原子が順次堆積して該隙
間に充満し、その充満されたSi原子及びC原子の気相
成長によって中央部側ほど早く単結晶が析出される。ま
た、この単結晶の析出作用が中央部から周辺部にかけて
順次拡張し進行していく過程でもSi原子及びC原子の
気相成長が繰り返されてSi原子及びC原子の気相成長
に伴い析出される単結晶の単結晶化率が向上されること
になり、そのように析出された単結晶を種結晶とする固
相成長によりSiC多結晶板がその中央部側から周辺部
にかけて順次単結晶に変態されることになる。
【0014】上記のように、対峙させた両板全域の所定
熱処理温度への昇温速度が早くなることと、Si多結晶
板の単結晶への変態速度が周辺部よりも低温の中央部側
ほど早くなるといった速度差のある状態での変態パター
ンにして微小隙間内でのSi原子、C原子の気相成長の
繰り返しにより析出される単結晶の単結晶化率が向上さ
れることとの相乗によって、少ない熱エネルギーでSi
C多結晶板の全域を効率よく単結晶化して、格子欠陥お
よびマイクロパイプ欠陥の非常に少ない高品質な単結晶
SiCを生産性よく得ることが可能である。
【0015】上記請求項8に記載の発明に係る単結晶S
iC及び請求項12に記載の発明に係る単結晶SiCの
製造方法において、請求項9及び請求項13に記載のよ
うに、上記SiC単結晶基板及びSiC多結晶板の対向
面のうち、SiC単結晶基板側の面はRMS1000オ
ングストローム以下、好ましくはRMS50オングスト
ローム以下の表面粗度に調整するとともに、SiC多結
晶板側の面はPV0.3〜10μm範囲の粗面に形成す
ることが望ましい。この場合は、SiC多結晶板側の面
をオングストロームオーダーの平滑面に加工するための
手間及び労力が不要である上に、SiC単結晶基板に対
峙させたとき、無数の凸部がSiC単結晶基板側の結晶
方位面に接触することになり、熱処理に伴ってSiC多
結晶板の無数の接触部からの単結晶変態が、上述したS
i原子及びC原子の気相成長による単結晶の析出と同時
進行されることになり、全体の単結晶速度を一層早める
ことが可能である。
【0016】また、上記請求項8または9に記載の発明
に係る単結晶SiC及び請求項12または13に記載の
発明に係る単結晶SiCの製造方法に使用するSiC多
結晶板として、請求項10及び請求項14に記載のよう
に、熱化学蒸着法により板状に製作されたものを使用す
ることにより、SiC多結晶板自体として不純物の少な
い高純度なものを用いて、SiC単結晶基板とSiC多
結晶板との間に結晶粒界などを形成しないで、品質の一
層高い単結晶SiCを得ることができる。
【0017】また、上記請求項12、13または14に
記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法において、請
求項15に記載したように、上記SiC単結晶基板側を
SiC多結晶板側よりも低温になるような温度勾配を持
たせて上記熱処理を行なうことによって、高温が故に構
成Si,Cの運動エネルギーの高い多結晶粗面ではな
く、上記微少隙間に入り込んだSi原子及びC原子を低
温側のSiC単結晶基板側の単結晶方位面に優先的に析
出させることが可能で、それら原子の気相成長による単
結晶化を促進し、単結晶SiCの品質を一層高くするこ
とができる。
【0018】また、上記請求項12ないし15のいずれ
かに記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法におい
て、上記SiC単結晶基板側のSiC多結晶板に対向す
る結晶面を、請求項16に記載したように、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を
切り出したときの(0001)面に設定することによっ
て、熱処理に伴う固相成長によってSiC単結晶基板の
結晶面からC軸方向へ単結晶が成長することになって、
その成長過程で結晶欠陥などの導入が非常に少なくな
り、SiC単結晶基板と同一の多形構造の結晶を容易か
つ確実に成長させて他の多形が混在しない良質の単結晶
SiCを効率よく得ることができる。
【0019】さらに、上記請求項12ないし15のいず
れかに記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法におい
て、上記SiC単結晶基板側のSiC多結晶板に対向す
る結晶面を、請求項17に記載したように、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を
切り出したときの(0001)面を(11- 2 0)面方
向に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面を使用する
ことによって、結晶面の熱エッチングなどによる欠陥の
発生がなくなり、SiC単結晶の品質を一層高めること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。図1は本発明に係る単結晶Si
Cの製造方法の第1の実施の形態による熱処理前の状態
を示す模式図であり、同図において、1は六方晶系(6
H型、4H型)のα−SiC単結晶基板で、該α−Si
C単結晶基板1は厚さ0.5mmで、その表裏両面1
a,1bは研磨加工等によってRMS1000オングス
トローム以下、好ましくは50オングストローム以下の
表面粗度を持つ平滑面に調整されている。このα−Si
C単結晶基板1は、図3に示すように、アチソン法によ
り作られたα−SiC単結晶塊1´から多数の板状Si
C単結晶片1Aを切り出したとき、C軸方向の(000
1)面を研磨加工してなるものである。
【0021】2は1300〜1900℃範囲の熱CVD
法により別途製作される立方晶系のβ−SiC多結晶板
で、このβ−SiC多結晶板2は、図示省略する焼結黒
鉛の上に熱CVD法によって(111)面が高配向とな
る約1mm厚さの膜を作製した後、上記黒鉛の焼却除去
によって単離させた0.8mm厚さの平板状材の両面2
a,2aをスリガラス状に研磨することでPV、即ち、
Rmaxが0.3〜10μm範囲、好ましくは0.5μ
mの粗面に形成されている。
【0022】上記のように製作された2枚の平板状のβ
−SiC多結晶板2,2を上記α−SiC単結晶基板1
の表裏両側に積み重ねて対峙させることにより、上記α
−SiC単結晶基板1表裏の平滑な結晶面1a,1bと
これに対向する上記β−SiC多結晶板2,2のスリガ
ラス状の粗面2a,2aとの間に、各粗面2a,2aを
形成する多数の凸部2a1…が図4に明示するように、
上記α−SiC単結晶基板1の両結晶面1a,1bに接
触するようにして2枚の平板状のβ−SiC多結晶板
2,2と上記α−SiC単結晶基板1との間に微少隙間
3,3を形成させる。
【0023】この状態で、上記α−SiC単結晶基板1
及び2枚のβ−SiC多結晶板2,2をカーボン製抵抗
発熱炉(図示省略する)内に挿入配置し、その周囲にS
iC塊4…を配置充填するとともに、Arなどの不活性
ガス気流を1atom程度注入して炉の中心温度が1100
℃より2200℃に達するまで10時間かけて平均速度
で昇温させ、かつ、その2200℃で5時間程度保持さ
せるといったように、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC
飽和蒸気雰囲気下で熱処理を施すことによって、周辺部
の高温域で上記SiC塊4…から昇華したSi原子及び
C原子が上記微少隙間3,3に入り込んで該隙間3に充
満し、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長に
よって単結晶が析出されるとともに、その析出した単結
晶を種結晶とする固相成長によりβ−SiC多結晶板
2,2が単結晶に変態されて上記α−SiC単結晶基板
1の結晶軸と同方位に配向された単結晶部分2´,2´
となり、これら単結晶部分2´,2´が上記基板1の単
結晶と一体化して図2に示すような大きな単結晶が育成
されることになる。
【0024】ところで、上記のような熱処理時におい
て、対峙された上記α−SiC単結晶基板1及び2枚の
β−SiC多結晶板2,2の間には微少隙間3,3が形
成されているので、この微少隙間3,3を通しての伝熱
作用により、両板1、2,2の対向面を共に平滑にして
それら平滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べ
て、両板1、2,2の全域を単結晶化に必要な熱処理温
度にまで昇温させる速度が早まる。また、全体の昇温速
度が早い条件下においても、上記α−SiC単結晶基板
1及び2枚のβ−SiC多結晶板2,2はそれらの外周
辺側よりも内側の中央側ほど低温であるとともに、α−
SiC単結晶基板1がそれの上方に配置されたβ−Si
C多結晶板2よりも低温であるから、外周辺の高温部で
昇華して微少隙間3,3に入り込んだSi原子及びC原
子の運動エネルギーが低温の中央部側ほど小さい。それ
ゆえに、上記微少隙間3,3に入り込んだSi原子及び
C原子はα−SiC単結晶基板1の上側結晶面1aで、
かつその中央部付近ほど早く堆積して該隙間3,3に充
満され、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長
によってα−SiC単結晶基板1の上側結晶面1aの中
央部に単結晶が早く析出されることになる。そのため
に、析出した単結晶を種結晶としてβ−SiC多結晶板
2,2、特に上方に配置されたβ−SiC多結晶板2の
中央部付近が早く単結晶に変態され、その変態が中央部
から周辺部にかけて順次移行するといった速度差のある
パターンでの単結晶変態が固相状態で進行することにな
る。
【0025】以上のように、対向板1、2,2全域の所
定熱処理温度への昇温速度が早くなることと、β−Si
C多結晶板2,2の単結晶への変態速度が周辺部よりも
低温の中央部付近ほど早くなるといった速度差のある単
結晶変態パターンとの相乗作用によって、少ない熱エネ
ルギーでβ−SiC多結晶板2,2の全域を効率よく単
結晶化して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常
に少ない高品質な単結晶SiCを生産性よく製造するこ
とができる。
【0026】因みに、上記熱処理時に使用したカーボン
製抵抗発熱炉内では、上下に100mm離れた箇所で約
100℃の温度勾配があるために、上記した諸条件下で
製造された単結晶SiCを偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、α−SiC単結晶基板1の上方に配置したβ−Si
C多結晶板2はその周辺部の一部を除く全体が所定どお
り単結晶化され、かつ、α−SiC単結晶基板1との間
の境界も消失している一方、下方に配置されたβ−Si
C多結晶板2は図2でも明らかなように、十分に単結晶
化されてなく、α−SiC単結晶基板1との間の境界も
残存していることが分かった。そこで、実際に高温半導
体電子素子の基板ウエハなどとして用いる際には、図2
の仮想線で示すように、所定どおりに単結晶化された部
分のみを切り出して使用する。なお、熱処理条件(熱処
理温度や時間、あるいは、炉内の配置姿勢を変えるな
ど)を調整することで、両β−SiC多結晶板2,2を
共に所定どおりに単結晶化することが可能であることは
もちろんである。
【0027】また、上記第1の実施の形態で述べたよう
に、上記β−SiC多結晶板2側のα−SiC単結晶基
板1との対向面2aをPV0.3〜10μm範囲、即
ち、Rmax0.3〜10μm範囲で、好ましくは5μ
mの粗面に形成する場合は、β−SiC多結晶板2側の
面2aをオングストロームオーダーの平滑面に加工する
ための手間及び労力が不要である上に、SiC単結晶基
板1に対峙させたとき、無数の凸部2a1…が図4のよ
うに、上記α−SiC単結晶基板1の平滑な結晶面1a
(1b)に接触することになり、熱処理に伴ってその無
数の接触凸部2a1…から上記β−SiC多結晶板2が
単結晶に変態しており、このような単結晶変態が上述し
たSi原子及びC原子の気相成長によって析出された単
結晶を種結晶とする固相状態における単結晶変態と同時
進行されることになり、全体の単結晶化速度を一層早め
ることが可能である。
【0028】図5は本発明に係る単結晶SiCの製造方
法の第2の実施の形態による熱処理前の状態を示す模式
図であり、この第2の実施の形態で使用するα−SiC
単結晶基板1としては、図3に示すように、アチソン法
により作られたα−SiC単結晶塊1´から切り出され
た板状SiC単結晶片1AのC軸方向の(0001)面
を図7に明示するように、(11- 2 0)面方向に1.
5〜10°の角度(θ)範囲、具体的には3.5°傾斜
させて研磨加工してRMS1000オングストローム以
下、好ましくは50オングストローム以下の表面粗度を
持つ平滑な結晶面1aに調整されたものを用いるととも
に、Si原子及びC原子により構成される板材の一例と
して、上記第1の実施の形態と同様に、図示省略する焼
結黒鉛の上に熱CVD法によって(111)面が高配向
となるように作製された膜から上記黒鉛を焼却除去して
単離させることにより平板状に別途製作された粗表面を
持つ立方晶系のβ−SiC多結晶板2を用いる。
【0029】そして、上記α−SiC単結晶基板1をカ
ーボン板5上に載置するとともに、このα−SiC単結
晶基板1より外周辺のカーボン板5上に設けたスペーサ
6を介して上記平板状のβ−SiC多結晶板2を上記α
−SiC単結晶基板1上に載置して互いに平行に対峙さ
せることにより、上記α−SiC単結晶基板1の平滑な
結晶面1aとこれに対向する上記β−SiC多結晶板2
の粗表面2aとの間に100μm以下、好ましくは10
μm以下の微少隙間3を形成させる。
【0030】この状態で、上記α−SiC単結晶基板1
及びβ−SiC多結晶板2をカーボン製抵抗発熱炉(図
示省略する)内に上記カーボン板5が水平姿勢となるよ
うに挿入することにより、熱処理時には下側に位置する
上記α−SiC単結晶基板1側がβ−SiC多結晶板2
よりも低温に保たれるように配置し、その周囲にSiC
塊4…を配置充填するとともに、Arなどの不活性ガス
気流を1atom程度注入して炉の中心温度が2000〜2
300℃に達するまで10時間かけて平均速度で昇温さ
せ、かつ、その2000〜2300℃で5時間程度保持
させるといったように、不活性ガス雰囲気、かつ、Si
C飽和蒸気雰囲気下で熱処理を施すことによって、周辺
部の高温域で上記SiC塊4…から昇華したSi原子及
びC原子が上記微少隙間3,3に入り込んで該隙間3に
充満し、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長
並びにβ−SiC多結晶板2の表面2aを構成する一部
のSi原子及びC原子の昇華再結晶によって低温側のα
−SiC単結晶基板1の結晶面1aに単結晶が析出され
るとともに、その析出した単結晶を種結晶とする固相成
長によりβ−SiC多結晶板2の全体が単結晶に変態さ
れて上記α−SiC単結晶基板1の結晶軸と同方位に配
向された単結晶部分2´となり、この単結晶部分2´が
上記基板1の単結晶と一体化して図6に示すような大き
な単結晶が育成されることになる。
【0031】上記した第2の実施の形態による場合も、
熱処理時において、互いに平行に対峙された上記記α−
SiC単結晶基板1及びβ−SiC多結晶板2の間に形
成されている微少隙間3を通しての伝熱作用により、両
板1、2の対向面1a,2aを共に平滑にしてそれら平
滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べて、両板
1、2の全域を単結晶化に必要な熱処理温度にまで昇温
させる速度を早めることが可能であるのはもちろん、こ
の熱処理時にα−SiC単結晶基板1側が上記β−Si
C多結晶板2よりも低温に保たれるとともに、この低温
のα−SiC単結晶基板1側の対向結晶面1aのうちで
も両板1,2の外周辺側よりも内側の中央部付近ほど低
温であることから、外周辺の高温部で昇華して微少隙間
3に入り込んだSi原子及びC原子並びにβ−SiC多
結晶板2を構成するSi原子及びC原子の運動エネルギ
ーが低温のα−SiC単結晶基板1の中央部付近ほど小
さく抑えられる。それゆえに、上記微少隙間3内の中央
部分に存在するSi原子及びC原子が最も早く昇華再結
晶されて低温のα−SiC単結晶基板1側の中央部の結
晶面1a上に優先的に単結晶が析出され、そのような単
結晶の析出作用が中央部から周辺部にかけて順次拡張し
進行していく過程でも昇華再結晶が繰り返されることに
よりSi,C原子の昇華再結晶に伴い析出される単結晶
の単結晶化率が向上されることになり、そのように析出
された単結晶を種結晶とする固相成長によりβ−SiC
多結晶板2の全体が単結晶に変態されることになる。
【0032】上記のように、対峙させた両板1,2全域
の所定熱処理温度への昇温速度が早くなること、両板
1,2間の微小隙間3内でのSi原子及びC原子の昇華
再結晶による単結晶の析出がα−SiC単結晶基板1側
で優先されることと、Si原子及びC原子により構成さ
れたβ−SiC多結晶板2の単結晶への変態速度が周辺
部よりも中央部付近ほど早くなるような速度差のある変
態パターンにしてSi原子、C原子の昇華再結晶の繰り
返しにより析出される単結晶の単結晶化率が向上される
ことと、両板1,2をできるだけ接近させて両板1,2
の温度差を少なくすることとの相乗によって、少ない熱
エネルギーで上記β−SiC多結晶板2の全域を効率よ
く単結晶化して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の
非常に少ない高品質な単結晶SiCを生産性よく得るこ
とが可能である。
【0033】特に、この第2の実施の形態では、上記α
−SiC単結晶基板1の結晶面1aとして、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊1´から切り出された板
状SiC単結晶片1AのC軸方向の(0001)面を
(11- 2 0)面方向に3.5°の角度(θ)で傾斜さ
せて研磨加工した面を使用しており、これによって、結
晶面1aの熱エッチングなどによる欠陥の発生がなくな
り、SiC単結晶の品質を一層高めることができる。
【0034】なお、上記第1及び第2の実施の形態で
は、上記α−SiC単結晶基板1として6H型のものを
用いたが、4H型のものを使用してもよい。
【0035】また、上記第1及び第2の実施の形態で
は、Si原子及びC原子により構成される板材として、
β−SiC多結晶板2を用いたもので説明したが、これ
に代えて、高純度(1014atm /cm3 以下)のSiC
アモルファス板、高純度SiC焼結体を使用しても、上
記と同様な高品位の単結晶SiCを得ることが可能であ
る。
【0036】なお、本明細書の中で、(11- 2 0)面
と記載したものは、日本工業規格X0208号に定めら
れている文字以外の文字に相当するものであり、正式に
は次の通りである。
【0037】
【0038】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び請求項4に
記載の発明によれば、SiC単結晶基板とSiC多結晶
板を代表例とするSi原子とC原子により構成された板
材とを微少隙間を隔てて互いに平行に対峙させた状態
で、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下
で熱処理することで、両板の対向面を平滑にしてそれら
平滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べて、両
板全域を単結晶化に必要な熱処理温度にまで昇温させる
速度を早めることができることと、微少隙間に入り込ん
だSi原子及びC原子並びに板材を構成するSi原子及
びC原子の運動エネルギーが低温に保たれているSiC
単結晶基板の中央部側ほど小さく抑えられてそのSiC
単結晶基板の中央部分に単結晶を優先的に析出させるこ
とができることと、そのような単結晶の析出作用が中央
部から周辺部にかけて順次拡張し進行していく過程でも
Si原子,C原子の昇華再結晶を繰り返えしてSi原
子,C原子の昇華再結晶に伴い析出される単結晶の単結
晶化率を向上することができることとの相乗によって、
少ない熱エネルギーでSiC多結晶板の全域を効率よく
単結晶化して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非
常に少ない高品質な単結晶SiCを非常に生産性よく得
ることができ、これによって、Si(シリコン)やGa
As(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材料に比べて
大容量、高周波、耐圧、耐環境性に優れパワーデバイス
用半導体材料として期待されている単結晶SiCの実用
化を促進することができるという効果を奏する。
【0039】特に、請求項3及び請求項6に記載したよ
うに、SiC単結晶基板の結晶面として、アチソン法に
より作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を切
り出したときの(0001)面を(11- 2 0)面方向
に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面を使用するこ
とによって、結晶面の熱エッチングなどによる欠陥の発
生をなくして、SiC単結晶の品質を一層高めることが
できる。
【0040】また、請求項8及び請求項12に記載の発
明によれば、SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを微
少隙間を隔てて対峙させた状態で、不活性ガス雰囲気、
かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することで、両
板の対向面を共に平滑にしてそれら平滑面を密着させた
状態で熱処理する場合に比べて、両板全域を単結晶化に
必要な熱処理温度にまで昇温させる速度を早めることが
できることと、微小隙間に入り込んだSi原子及びC原
子の気相成長による単結晶の析出及びその析出された単
結晶を種結晶とするSiC多結晶板の単結晶への変態速
度を周辺部よりも低温の中央部付近ほど早めるといった
ように、中央部から周辺部に向かって速度差のある変態
パターンにできることとの相乗作用によって、少ない熱
エネルギーでSiC多結晶板の全域を効率よく単結晶化
して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常に少な
い高品質な単結晶SiCを生産性よく得ることができる
という効果を奏する。
【0041】ここで、請求項9及び請求項13に記載し
たように、SiC単結晶基板側の面をRMS1000オ
ングストローム以下、好ましくはRMS50オングスト
ローム以下の表面粗度に調整するとともにSiC多結晶
板側の面をPV0.3〜10μm範囲の粗面に形成する
ことによって、面の加工手間及び労力を省ける上に、S
iC多結晶板側の単結晶変態速度を早めて単結晶SiC
の生産性を一層高めることができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の第1の
実施の形態による熱処理前の状態を示す模式図である。
【図2】同上第1の実施の形態による熱処理後の状態を
示す模式図である。
【図3】同上第1の実施の形態による単結晶SiCの製
造方法に使用するα−SiC単結晶基板の作製に際して
作られたα−SiC単結晶塊の概略斜視図である。
【図4】同上第1の実施の形態による熱処理時における
様子を説明する要部の拡大模式図である。
【図5】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の第2の
実施の形態による熱処理前の状態を示す模式図である。
【図6】同上第2の実施の形態による熱処理後の状態を
示す模式図である。
【図7】同上第1の実施の形態による単結晶SiCの製
造方法に使用するα−SiC単結晶基板を示す概略斜視
図である。
【符号の説明】
1 α−SiC単結晶基板 1´ α−SiC単結晶塊 1a,1b 平滑な結晶面 2 β−SiC多結晶板 2a 粗表面 3 微少隙間
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 単結晶SiCおよびその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶SiCおよ
びその製造方法に関するもので、詳しくは、発光ダイオ
ードやX線光学素子、高温半導体電子素子の基板ウエハ
などとして用いられる単結晶SiCおよびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SiC(炭化珪素)は、耐熱性および機
械的強度に優れているだけでなく、放射線にも強く、さ
らに不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御が容
易である上、広い禁制帯幅を持つ(因みに、6H型のS
iC単結晶で約3.0eV、4H型のSiC単結晶で
3.26eV)ために、Si(シリコン)やGaAs
(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材料では実現する
ことができない大容量、高周波、耐圧、耐環境性を実現
することが可能で、次世代のパワーデバイス用半導体材
料として注目され、かつ期待されている。
【0003】この種のSiC単結晶の成長(製造)方法
として、従来、種結晶を用いた昇華再結晶法によってS
iC単結晶を成長させる方法や、Si(シリコン)基板
上に化学気相成長法(CVD法)を用いてエピタキシャ
ル成長させることにより立方晶のSiC単結晶(β−S
iC)を成長させるエピタキシャル方法等が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の製造方法のうち、昇華再結晶法にあっては、マ
イクロパイプ欠陥と呼ばれ半導体デバイスを作製した際
の漏れ電流等の原因となる結晶の成長方向に貫通する直
径数ミクロンのピンホールが100〜1000/cm2
程度成長結晶中に残存しやすく、品質的に優れた単結晶
SiCが得られないという問題があり、エピタキシャル
方法は、基板温度が高い上に、基板が高温なため再蒸発
量も多く、高純度の還元性雰囲気を作ることも必要で設
備的に非常に困難であり、さらに、エピタキシャル成長
のため結晶成長速度にも自ずと限界があって、単結晶S
iCの生産性が非常に悪いという問題があり、このこと
が既述のようにSiやGaAsなどの既存の半導体材料
に比べて多くの優れた特徴を有しながらも、その実用化
を阻止する要因になっている。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、マイクロパイプ欠陥等の非常に少ない高品位の単結
晶SiCと、このような高品位単結晶を非常に生産性よ
く製造することができ、半導体材料としての実用化を可
能とする単結晶SiCの製造方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明に係る単結晶SiCは、Si
C単結晶基板とSi原子及びC原子により構成された板
材とを微少隙間を隔てて互いに平行に対峙させた状態
で、大気圧以下の不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和
蒸気雰囲気下で、上記SiC単結晶基板側が上記板材よ
りも低温に保たれるように熱処理することにより、上記
微小隙間内でSi原子及びC原子を昇華再結晶させて上
記SiC単結晶基板上に単結晶を析出させるとともに、
この析出単結晶を種結晶して上記板材を単結晶に変態さ
せて上記SiC単結晶基板の結晶軸と同方位に配向され
た単結晶が一体に成長されていることを特徴とするもの
であり、また、請求項4に記載の発明に係る単結晶Si
Cの製造方法は、SiC単結晶基板とSi原子及びC原
子により構成された板材とを両者の対向面間に微少隙間
を形成するように互いに平行に対峙させた後、それらS
iC単結晶基板及び板材を大気圧以下の不活性ガス雰囲
気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で、上記SiC単結
晶基板側が上記板材よりも低温に保たれるように熱処理
することにより、上記微小隙間内でSi原子及びC原子
を昇華再結晶させて上記SiC単結晶基板上に単結晶を
析出させ、この析出した単結晶を種結晶として上記板材
を単結晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸と
同方位に配向された単結晶を一体に育成することを特徴
とするものである。
【0007】上記のような構成要件を有する請求項1及
び請求項4に記載の発明によれば、SiC単結晶基板と
Si原子及びC原子により構成された板材とを微少隙間
を隔てて互いに平行に対峙させた状態で、不活性ガス雰
囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理すること
によって、微少隙間を通しての伝熱作用により両板の対
向面を共に平滑にしてそれら平滑面を密着させた状態で
熱処理する場合に比べて、両板全域を単結晶化に必要な
熱処理温度にまで昇温させる速度を早めることが可能で
ある。また、熱処理時にはSiC単結晶基板側が上記板
材よりも低温に保たれるとともに、この低温のSiC単
結晶基板側の対向面のうちでも両対向板の外周辺側より
も内側の中央側ほど低温であることから、外周辺の高温
部で昇華して微少隙間に入り込んだSi原子及びC原子
並びに板材を構成するSi原子及びC原子の運動エネル
ギーが低温のSiC単結晶基板の中央部側ほど小さく抑
えられる。それゆえに、上記微少隙間内の中央部分に存
在するSi原子及びC原子が最も早く昇華再結晶されて
低温のSiC単結晶基板側の中央部面上に優先的に単結
晶が析出され、そのような単結晶の析出作用が中央部か
ら周辺部にかけて順次拡張し進行していく過程でも昇華
再結晶が繰り返されることによりSi原子,C原子の昇
華再結晶に伴い析出される単結晶の単結晶化率が向上さ
れることになり、そのように析出された単結晶を種結晶
とする固相成長により板材の全体が単結晶に変態される
ことになる。
【0008】上記のように、対峙させた両板全域の所定
熱処理温度への昇温速度が早くなること、両板間の微小
隙間内でのSi原子及びC原子の昇華再結晶による単結
晶の析出がSiC単結晶基板側で優先されること、並び
に、Si原子及びC原子により構成された板材の単結晶
への変態速度が周辺部よりも中央部側ほど早くなるよう
な速度差のある変態パターンにしてSi原子、C原子の
昇華再結晶の繰り返しにより析出される単結晶の単結晶
化率が向上されることの相乗作用によって、少ない熱エ
ネルギーで上記板材の全域を効率よく単結晶化して、格
子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常に少ない高品質
な単結晶SiCを生産性よく得ることが可能である。
【0009】上記請求項1に記載の発明に係る単結晶S
iC及び請求項4に記載の発明に係る単結晶SiCの製
造方法において、SiC単結晶基板と対峙される板材と
しては、請求項2及び請求項5に記載のように、SiC
多結晶板、SiCアモルファスもしくは高純度SiC
結体のいずれを使用する場合も、上記と同様に、微小隙
間内でのSi原子とC原子との昇華再結晶の繰り返しに
よって高品質な単結晶SiCを生産性よく得ることが可
能である。
【0010】また、上記請求項1または2に記載の発明
に係る単結晶SiC及び請求項4または5に記載の発明
に係る単結晶SiCの製造方法において、上記SiC単
結晶基板の結晶面としては、アチソン法により作られた
SiC単結晶塊からSiC単結晶基板を切り出したとき
の(0001)面であってもよいが、特に、請求項3及
び請求項6に記載のように、(0001)面を(11-
2 0)面方向に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面
を使用することによって、結晶面の熱エッチングなどに
よる欠陥の発生がなくなり、SiC単結晶の品質を一層
高めることができる。
【0011】また、上記請求項4ないし6のいずれかに
記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法において、上
記SiC単結晶板とSi原子及びC原子により構成され
た板材との対向面間の微小隙間としては、請求項7に記
載のように、100μm以下、望ましくは10μm以下
に保持させることが好ましい。それは、微小隙間を通し
ての伝熱作用によって両板全域を単結晶化に必要な熱処
理温度にまで昇温させる速度を両板の密着の場合に比べ
て大きく保てる範囲で両板をできるだけ接近させること
により、両板の温度差を極力少なくして、熱平衡状態に
近い条件の中で高品質なSiC単結晶層を種結晶の上面
全域に形成し、その高品質再結晶面を種結晶として用い
ることができるからである。
【0012】請求項8に記載の発明に係る単結晶SiC
は、SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを微少隙間を
隔てて対峙させた状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、S
iC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することにより、上記微
少隙間に入り込んで析出された単結晶を種結晶として上
記SiC多結晶板を単結晶に変態させて上記SiC単結
晶基板の結晶軸と同方位に配向された単結晶が一体に成
長されていることを特徴とするものであり、また、請求
項12に記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法は、
SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを両者の対向面間
に微少隙間を形成するように対峙させた後、それらSi
C単結晶基板及びSiC多結晶板を不活性ガス雰囲気、
かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することによ
り、上記Si,C原子を上記微少隙間に入り込ませて気
相成長によって該微少隙間に単結晶を析出させ、この析
出した単結晶を種結晶として上記SiC多結晶板を単結
晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸と同方位
に配向された単結晶を一体に育成することを特徴とする
ものである。
【0013】上記のような構成要件を有する請求項8及
び請求項12に記載の発明によれば、SiC単結晶基板
とSiC多結晶板とを微少隙間を隔てて対峙させた状態
で、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下
で熱処理することにより、微少隙間を通しての伝熱作用
により両板の対向面を共に平滑にしてそれら平滑面を密
着させた状態で熱処理する場合に比べて、両板全域を単
結晶化に必要な熱処理温度にまで昇温させる速度を早め
ることが可能である。また、熱処理時における温度分布
において、両対向板の外周辺側よりも内側の中央側ほど
低温であることから、外周辺の高温部で昇華して微少隙
間に入り込んだSi原子及びC原子の運動エネルギーが
低温の中央部側ほど小さく、それゆえに、上記微少隙間
の中央部側からSi原子及びC原子が順次堆積して該隙
間に充満し、その充満されたSi原子及びC原子の気相
成長によって中央部側ほど早く単結晶が析出される。ま
た、この単結晶の析出作用が中央部から周辺部にかけて
順次拡張し進行していく過程でもSi原子及びC原子の
気相成長が繰り返されてSi原子及びC原子の気相成長
に伴い析出される単結晶の単結晶化率が向上されること
になり、そのように析出された単結晶を種結晶とする固
相成長によりSiC多結晶板がその中央部側から周辺部
にかけて順次単結晶に変態されることになる。
【0014】上記のように、対峙させた両板全域の所定
熱処理温度への昇温速度が早くなることと、Si多結晶
板の単結晶への変態速度が周辺部よりも低温の中央部側
ほど早くなるといった速度差のある状態での変態パター
ンにして微小隙間内でのSi原子、C原子の気相成長の
繰り返しにより析出される単結晶の単結晶化率が向上さ
れることとの相乗によって、少ない熱エネルギーでSi
C多結晶板の全域を効率よく単結晶化して、格子欠陥お
よびマイクロパイプ欠陥の非常に少ない高品質な単結晶
SiCを生産性よく得ることが可能である。
【0015】上記請求項8に記載の発明に係る単結晶S
iC及び請求項12に記載の発明に係る単結晶SiCの
製造方法において、請求項9及び請求項13に記載のよ
うに、上記SiC単結晶基板及びSiC多結晶板の対向
面のうち、SiC単結晶基板側の面はRMS1000オ
ングストローム以下、好ましくはRMS50オングスト
ローム以下の表面粗度に調整するとともに、SiC多結
晶板側の面はPV0.3〜10μm範囲の粗面に形成す
ることが望ましい。この場合は、SiC多結晶板側の面
をオングストロームオーダーの平滑面に加工するための
手間及び労力が不要である上に、SiC単結晶基板に対
峙させたとき、無数の凸部がSiC単結晶基板側の結晶
方位面に接触することになり、熱処理に伴ってSiC多
結晶板の無数の接触部からの単結晶変態が、上述したS
i原子及びC原子の気相成長による単結晶の析出と同時
進行されることになり、全体の単結晶速度を一層早める
ことが可能である。
【0016】また、上記請求項8または9に記載の発明
に係る単結晶SiC及び請求項12または13に記載の
発明に係る単結晶SiCの製造方法に使用するSiC多
結晶板として、請求項10及び請求項14に記載のよう
に、熱化学蒸着法により板状に製作されたものを使用す
ることにより、SiC多結晶板自体として不純物の少な
い高純度なものを用いて、SiC単結晶基板とSiC多
結晶板との間に結晶粒界などを形成しないで、品質の一
層高い単結晶SiCを得ることができる。
【0017】また、上記請求項12、13または14に
記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法において、請
求項15に記載したように、上記SiC単結晶基板側を
SiC多結晶板側よりも低温になるような温度勾配を持
たせて上記熱処理を行なうことによって、高温が故に構
成Si,Cの運動エネルギーの高い多結晶粗面ではな
く、上記微少隙間に入り込んだSi原子及びC原子を低
温側のSiC単結晶基板側の単結晶方位面に優先的に析
出させることが可能で、それら原子の気相成長による単
結晶化を促進し、単結晶SiCの品質を一層高くするこ
とができる。
【0018】また、上記請求項12ないし15のいずれ
かに記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法におい
て、上記SiC単結晶基板側のSiC多結晶板に対向す
る結晶面を、請求項16に記載したように、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を
切り出したときの(0001)面に設定することによっ
て、熱処理に伴う固相成長によってSiC単結晶基板の
結晶面からC軸方向へ単結晶が成長することになって、
その成長過程で結晶欠陥などの導入が非常に少なくな
り、SiC単結晶基板と同一の多形構造の結晶を容易か
つ確実に成長させて他の多形が混在しない良質の単結晶
SiCを効率よく得ることができる。
【0019】さらに、上記請求項12ないし15のいず
れかに記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法におい
て、上記SiC単結晶基板側のSiC多結晶板に対向す
る結晶面を、請求項17に記載したように、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を
切り出したときの(0001)面を(11- 2 0)面方
向に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面を使用する
ことによって、結晶面の熱エッチングなどによる欠陥の
発生がなくなり、SiC単結晶の品質を一層高めること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。図1は本発明に係る単結晶Si
Cの製造方法の第1の実施の形態による熱処理前の状態
を示す模式図であり、同図において、1は六方晶系(6
H型、4H型)のα−SiC単結晶基板で、該α−Si
C単結晶基板1は厚さ0.5mmで、その表裏両面1
a,1bは研磨加工等によってRMS1000オングス
トローム以下、好ましくは50オングストローム以下の
表面粗度を持つ平滑面に調整されている。このα−Si
C単結晶基板1は、図3に示すように、アチソン法によ
り作られたα−SiC単結晶塊1´から多数の板状Si
C単結晶片1Aを切り出したとき、C軸方向の(000
1)面を研磨加工してなるものである。
【0021】2は1300〜1900℃範囲の熱CVD
法により別途製作される立方晶系のβ−SiC多結晶板
で、このβ−SiC多結晶板2は、図示省略する焼結黒
鉛の上に熱CVD法によって(111)面が高配向とな
る約1mm厚さの膜を作製した後、上記黒鉛の焼却除去
によって単離させた0.8mm厚さの平板状材の両面2
a,2aをスリガラス状に研磨することでPV、即ち、
Rmaxが0.3〜10μm範囲、好ましくは0.5μ
mの粗面に形成されている。
【0022】上記のように製作された2枚の平板状のβ
−SiC多結晶板2,2を上記α−SiC単結晶基板1
の表裏両側に積み重ねて対峙させることにより、上記α
−SiC単結晶基板1表裏の平滑な結晶面1a,1bと
これに対向する上記β−SiC多結晶板2,2のスリガ
ラス状の粗面2a,2aとの間に、各粗面2a,2aを
形成する多数の凸部2a1…が図4に明示するように、
上記α−SiC単結晶基板1の両結晶面1a,1bに接
触するようにして2枚の平板状のβ−SiC多結晶板
2,2と上記α−SiC単結晶基板1との間に微少隙間
3,3を形成させる。
【0023】この状態で、上記α−SiC単結晶基板1
及び2枚のβ−SiC多結晶板2,2をカーボン製抵抗
発熱炉(図示省略する)内に挿入配置し、その周囲にS
iC塊4…を配置充填するとともに、Arなどの不活性
ガス気流を1atom程度注入して炉の中心温度が1100
℃より2200℃に達するまで10時間かけて平均速度
で昇温させ、かつ、その2200℃で5時間程度保持さ
せるといったように、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC
飽和蒸気雰囲気下で熱処理を施すことによって、周辺部
の高温域で上記SiC塊4…から昇華したSi原子及び
C原子が上記微少隙間3,3に入り込んで該隙間3に充
満し、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長に
よって単結晶が析出されるとともに、その析出した単結
晶を種結晶とする固相成長によりβ−SiC多結晶板
2,2が単結晶に変態されて上記α−SiC単結晶基板
1の結晶軸と同方位に配向された単結晶部分2´,2´
となり、これら単結晶部分2´,2´が上記基板1の単
結晶と一体化して図2に示すような大きな単結晶が育成
されることになる。
【0024】ところで、上記のような熱処理時におい
て、対峙された上記α−SiC単結晶基板1及び2枚の
β−SiC多結晶板2,2の間には微少隙間3,3が形
成されているので、この微少隙間3,3を通しての伝熱
作用により、両板1、2,2の対向面を共に平滑にして
それら平滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べ
て、両板1、2,2の全域を単結晶化に必要な熱処理温
度にまで昇温させる速度が早まる。また、全体の昇温速
度が早い条件下においても、上記α−SiC単結晶基板
1及び2枚のβ−SiC多結晶板2,2はそれらの外周
辺側よりも内側の中央側ほど低温であるとともに、α−
SiC単結晶基板1がそれの上方に配置されたβ−Si
C多結晶板2よりも低温であるから、外周辺の高温部で
昇華して微少隙間3,3に入り込んだSi原子及びC原
子の運動エネルギーが低温の中央部側ほど小さい。それ
ゆえに、上記微少隙間3,3に入り込んだSi原子及び
C原子はα−SiC単結晶基板1の上側結晶面1aで、
かつその中央部付近ほど早く堆積して該隙間3,3に充
満され、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長
によってα−SiC単結晶基板1の上側結晶面1aの中
央部に単結晶が早く析出されることになる。そのため
に、析出した単結晶を種結晶としてβ−SiC多結晶板
2,2、特に上方に配置されたβ−SiC多結晶板2の
中央部付近が早く単結晶に変態され、その変態が中央部
から周辺部にかけて順次移行するといった速度差のある
パターンでの単結晶変態が固相状態で進行することにな
る。
【0025】以上のように、対向板1、2,2全域の所
定熱処理温度への昇温速度が早くなることと、β−Si
C多結晶板2,2の単結晶への変態速度が周辺部よりも
低温の中央部付近ほど早くなるといった速度差のある単
結晶変態パターンとの相乗作用によって、少ない熱エネ
ルギーでβ−SiC多結晶板2,2の全域を効率よく単
結晶化して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常
に少ない高品質な単結晶SiCを生産性よく製造するこ
とができる。
【0026】因みに、上記熱処理時に使用したカーボン
製抵抗発熱炉内では、上下に100mm離れた箇所で約
100℃の温度勾配があるために、上記した諸条件下で
製造された単結晶SiCを偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、α−SiC単結晶基板1の上方に配置したβ−Si
C多結晶板2はその周辺部の一部を除く全体が所定どお
り単結晶化され、かつ、α−SiC単結晶基板1との間
の境界も消失している一方、下方に配置されたβ−Si
C多結晶板2は図2でも明らかなように、十分に単結晶
化されてなく、α−SiC単結晶基板1との間の境界も
残存していることが分かった。そこで、実際に高温半導
体電子素子の基板ウエハなどとして用いる際には、図2
の仮想線で示すように、所定どおりに単結晶化された部
分のみを切り出して使用する。なお、熱処理条件(熱処
理温度や時間、あるいは、炉内の配置姿勢を変えるな
ど)を調整することで、両β−SiC多結晶板2,2を
共に所定どおりに単結晶化することが可能であることは
もちろんである。
【0027】また、上記第1の実施の形態で述べたよう
に、上記β−SiC多結晶板2側のα−SiC単結晶基
板1との対向面2aをPV0.3〜10μm範囲、即
ち、Rmax0.3〜10μm範囲で、好ましくは5μ
mの粗面に形成する場合は、β−SiC多結晶板2側の
面2aをオングストロームオーダーの平滑面に加工する
ための手間及び労力が不要である上に、SiC単結晶基
板1に対峙させたとき、無数の凸部2a1…が図4のよ
うに、上記α−SiC単結晶基板1の平滑な結晶面1a
(1b)に接触することになり、熱処理に伴ってその無
数の接触凸部2a1…から上記β−SiC多結晶板2が
単結晶に変態しており、このような単結晶変態が上述し
たSi原子及びC原子の気相成長によって析出された単
結晶を種結晶とする固相状態における単結晶変態と同時
進行されることになり、全体の単結晶化速度を一層早め
ることが可能である。
【0028】図5は本発明に係る単結晶SiCの製造方
法の第2の実施の形態による熱処理前の状態を示す模式
図であり、この第2の実施の形態で使用するα−SiC
単結晶基板1としては、図3に示すように、アチソン法
により作られたα−SiC単結晶塊1´から切り出され
た板状SiC単結晶片1AのC軸方向の(0001)面
を図7に明示するように、(11- 2 0)面方向に1.
5〜10°の角度(θ)範囲、具体的には3.5°傾斜
させて研磨加工してRMS1000オングストローム以
下、好ましくは50オングストローム以下の表面粗度を
持つ平滑な結晶面1aに調整されたものを用いるととも
に、Si原子及びC原子により構成される板材の一例と
して、上記第1の実施の形態と同様に、図示省略する焼
結黒鉛の上に熱CVD法によって(111)面が高配向
となるように作製された膜から上記黒鉛を焼却除去して
単離させることにより平板状に別途製作された粗表面を
持つ立方晶系のβ−SiC多結晶板2を用いる。
【0029】そして、上記α−SiC単結晶基板1をカ
ーボン板5上に載置するとともに、このα−SiC単結
晶基板1より外周辺のカーボン板5上に設けたスペーサ
6を介して上記平板状のβ−SiC多結晶板2を上記α
−SiC単結晶基板1上に載置して互いに平行に対峙さ
せることにより、上記α−SiC単結晶基板1の平滑な
結晶面1aとこれに対向する上記β−SiC多結晶板2
の粗表面2aとの間に100μm以下、好ましくは10
μm以下の微少隙間3を形成させる。
【0030】この状態で、上記α−SiC単結晶基板1
及びβ−SiC多結晶板2をカーボン製抵抗発熱炉(図
示省略する)内に上記カーボン板5が水平姿勢となるよ
うに挿入することにより、熱処理時には下側に位置する
上記α−SiC単結晶基板1側がβ−SiC多結晶板2
よりも低温に保たれるように配置し、その周囲にSiC
塊4…を配置充填するとともに、Arなどの不活性ガス
気流を1atom程度注入して炉の中心温度が2000〜2
300℃に達するまで10時間かけて平均速度で昇温さ
せ、かつ、その2000〜2300℃で5時間程度保持
させるといったように、不活性ガス雰囲気、かつ、Si
C飽和蒸気雰囲気下で熱処理を施すことによって、周辺
部の高温域で上記SiC塊4…から昇華したSi原子及
びC原子が上記微少隙間3,3に入り込んで該隙間3に
充満し、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長
並びにβ−SiC多結晶板2の表面2aを構成する一部
のSi原子及びC原子の昇華再結晶によって低温側のα
−SiC単結晶基板1の結晶面1aに単結晶が析出され
るとともに、その析出した単結晶を種結晶とする固相成
長によりβ−SiC多結晶板2の全体が単結晶に変態さ
れて上記α−SiC単結晶基板1の結晶軸と同方位に配
向された単結晶部分2´となり、この単結晶部分2´が
上記基板1の単結晶と一体化して図6に示すような大き
な単結晶が育成されることになる。
【0031】上記した第2の実施の形態による場合も、
熱処理時において、互いに平行に対峙された上記記α−
SiC単結晶基板1及びβ−SiC多結晶板2の間に形
成されている微少隙間3を通しての伝熱作用により、両
板1、2の対向面1a,2aを共に平滑にしてそれら平
滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べて、両板
1、2の全域を単結晶化に必要な熱処理温度にまで昇温
させる速度を早めることが可能であるのはもちろん、こ
の熱処理時にα−SiC単結晶基板1側が上記β−Si
C多結晶板2よりも低温に保たれるとともに、この低温
のα−SiC単結晶基板1側の対向結晶面1aのうちで
も両板1,2の外周辺側よりも内側の中央部付近ほど低
温であることから、外周辺の高温部で昇華して微少隙間
3に入り込んだSi原子及びC原子並びにβ−SiC多
結晶板2を構成するSi原子及びC原子の運動エネルギ
ーが低温のα−SiC単結晶基板1の中央部付近ほど小
さく抑えられる。それゆえに、上記微少隙間3内の中央
部分に存在するSi原子及びC原子が最も早く昇華再結
晶されて低温のα−SiC単結晶基板1側の中央部の結
晶面1a上に優先的に単結晶が析出され、そのような単
結晶の析出作用が中央部から周辺部にかけて順次拡張し
進行していく過程でも昇華再結晶が繰り返されることに
よりSi,C原子の昇華再結晶に伴い析出される単結晶
の単結晶化率が向上されることになり、そのように析出
された単結晶を種結晶とする固相成長によりβ−SiC
多結晶板2の全体が単結晶に変態されることになる。
【0032】上記のように、対峙させた両板1,2全域
の所定熱処理温度への昇温速度が早くなること、両板
1,2間の微小隙間3内でのSi原子及びC原子の昇華
再結晶による単結晶の析出がα−SiC単結晶基板1側
で優先されることと、Si原子及びC原子により構成さ
れたβ−SiC多結晶板2の単結晶への変態速度が周辺
部よりも中央部付近ほど早くなるような速度差のある変
態パターンにしてSi原子、C原子の昇華再結晶の繰り
返しにより析出される単結晶の単結晶化率が向上される
ことと、両板1,2をできるだけ接近させて両板1,2
の温度差を少なくすることとの相乗によって、少ない熱
エネルギーで上記β−SiC多結晶板2の全域を効率よ
く単結晶化して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の
非常に少ない高品質な単結晶SiCを生産性よく得るこ
とが可能である。
【0033】特に、この第2の実施の形態では、上記α
−SiC単結晶基板1の結晶面1aとして、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊1´から切り出された板
状SiC単結晶片1AのC軸方向の(0001)面を
(11- 2 0)面方向に3.5°の角度(θ)で傾斜さ
せて研磨加工した面を使用しており、これによって、結
晶面1aの熱エッチングなどによる欠陥の発生がなくな
り、SiC単結晶の品質を一層高めることができる。
【0034】なお、上記第1及び第2の実施の形態で
は、上記α−SiC単結晶基板1として6H型のものを
用いたが、4H型のものを使用してもよい。
【0035】また、上記第1及び第2の実施の形態で
は、Si原子及びC原子により構成される板材として、
β−SiC多結晶板2を用いたもので説明したが、これ
に代えて、高純度(1014atm /cm3 以下)のSiC
アモルファス板、高純度SiC焼結体を使用しても、上
記と同様な高品位の単結晶SiCを得ることが可能であ
る。
【0036】なお、本明細書の中で、(11- 2 0)面
と記載したものは、日本工業規格X0208号に定めら
れている文字以外の文字に相当するものであり、正式に
は次の通りである。
【0037】
【0038】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び請求項4に
記載の発明によれば、SiC単結晶基板とSiC多結晶
板を代表例とするSi原子とC原子により構成された板
材とを微少隙間を隔てて互いに平行に対峙させた状態
で、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下
で熱処理することで、両板の対向面を平滑にしてそれら
平滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べて、両
板全域を単結晶化に必要な熱処理温度にまで昇温させる
速度を早めることができることと、微少隙間に入り込ん
だSi原子及びC原子並びに板材を構成するSi原子及
びC原子の運動エネルギーが低温に保たれているSiC
単結晶基板の中央部側ほど小さく抑えられてそのSiC
単結晶基板の中央部分に単結晶を優先的に析出させるこ
とができることと、そのような単結晶の析出作用が中央
部から周辺部にかけて順次拡張し進行していく過程でも
Si原子,C原子の昇華再結晶を繰り返えしてSi原
子,C原子の昇華再結晶に伴い析出される単結晶の単結
晶化率を向上することができることとの相乗によって、
少ない熱エネルギーでSiC多結晶板の全域を効率よく
単結晶化して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非
常に少ない高品質な単結晶SiCを非常に生産性よく得
ることができ、これによって、Si(シリコン)やGa
As(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材料に比べて
大容量、高周波、耐圧、耐環境性に優れパワーデバイス
用半導体材料として期待されている単結晶SiCの実用
化を促進することができるという効果を奏する。
【0039】特に、請求項3及び請求項6に記載したよ
うに、SiC単結晶基板の結晶面として、アチソン法に
より作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を切
り出したときの(0001)面を(11- 2 0)面方向
に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面を使用するこ
とによって、結晶面の熱エッチングなどによる欠陥の発
生をなくして、SiC単結晶の品質を一層高めることが
できる。
【0040】また、請求項8及び請求項12に記載の発
明によれば、SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを微
少隙間を隔てて対峙させた状態で、不活性ガス雰囲気、
かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することで、両
板の対向面を共に平滑にしてそれら平滑面を密着させた
状態で熱処理する場合に比べて、両板全域を単結晶化に
必要な熱処理温度にまで昇温させる速度を早めることが
できることと、微小隙間に入り込んだSi原子及びC原
子の気相成長による単結晶の析出及びその析出された単
結晶を種結晶とするSiC多結晶板の単結晶への変態速
度を周辺部よりも低温の中央部付近ほど早めるといった
ように、中央部から周辺部に向かって速度差のある変態
パターンにできることとの相乗作用によって、少ない熱
エネルギーでSiC多結晶板の全域を効率よく単結晶化
して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常に少な
い高品質な単結晶SiCを生産性よく得ることができる
という効果を奏する。
【0041】ここで、請求項9及び請求項13に記載し
たように、SiC単結晶基板側の面をRMS1000オ
ングストローム以下、好ましくはRMS50オングスト
ローム以下の表面粗度に調整するとともにSiC多結晶
板側の面をPV0.3〜10μm範囲の粗面に形成する
ことによって、面の加工手間及び労力を省ける上に、S
iC多結晶板側の単結晶変態速度を早めて単結晶SiC
の生産性を一層高めることができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の第1の
実施の形態による熱処理前の状態を示す模式図である。
【図2】同上第1の実施の形態による熱処理後の状態を
示す模式図である。
【図3】同上第1の実施の形態による単結晶SiCの製
造方法に使用するα−SiC単結晶基板の作製に際して
作られたα−SiC単結晶塊の概略斜視図である。
【図4】同上第1の実施の形態による熱処理時における
様子を説明する要部の拡大模式図である。
【図5】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の第2の
実施の形態による熱処理前の状態を示す模式図である。
【図6】同上第2の実施の形態による熱処理後の状態を
示す模式図である。
【図7】同上第1の実施の形態による単結晶SiCの製
造方法に使用するα−SiC単結晶基板を示す概略斜視
図である。
【符号の説明】 1 α−SiC単結晶基板 1´ α−SiC単結晶塊 1a,1b 平滑な結晶面 2 β−SiC多結晶板 2a 粗表面 3 微少隙間 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年6月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 単結晶SiCおよびその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶SiCおよ
びその製造方法に関するもので、詳しくは、発光ダイオ
ードやX線光学素子、高温半導体電子素子の基板ウエハ
などとして用いられる単結晶SiCおよびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SiC(炭化珪素)は、耐熱性および機
械的強度に優れているだけでなく、放射線にも強く、さ
らに不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御が容
易である上、広い禁制帯幅を持つ(因みに、6H型のS
iC単結晶で約3.0eV、4H型のSiC単結晶で
3.26eV)ために、Si(シリコン)やGaAs
(ガリウムヒ素)などの既存の半導体材料では実現する
ことができない大容量、高周波、耐圧、耐環境性を実現
することが可能で、次世代のパワーデバイス用半導体材
料として注目され、かつ期待されている。
【0003】この種のSiC単結晶の成長(製造)方法
として、従来、種結晶を用いた昇華再結晶法によってS
iC単結晶を成長させる方法や、Si(シリコン)基板
上に化学気相成長法(CVD法)を用いてエピタキシャ
ル成長させることにより立方晶のSiC単結晶(β−S
iC)を成長させるエピタキシャル方法等が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の製造方法のうち、昇華再結晶法にあっては、マ
イクロパイプ欠陥と呼ばれ半導体デバイスを作製した際
の漏れ電流等の原因となる結晶の成長方向に貫通する直
径数ミクロンのピンホールが100〜1000/cm2
程度成長結晶中に残存しやすく、品質的に優れた単結晶
SiCが得られないという問題があり、エピタキシャル
方法は、基板温度が高い上に、基板が高温なため再蒸発
量も多く、高純度の還元性雰囲気を作ることも必要で設
備的に非常に困難であり、さらに、エピタキシャル成長
のため結晶成長速度にも自ずと限界があって、単結晶S
iCの生産性が非常に悪いという問題があり、このこと
が既述のようにSiやGaAsなどの既存の半導体材料
に比べて多くの優れた特徴を有しながらも、その実用化
を阻止する要因になっている。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、マイクロパイプ欠陥等の非常に少ない高品位の単結
晶SiCと、このような高品位単結晶を非常に生産性よ
く製造することができ、半導体材料としての実用化を可
能とする単結晶SiCの製造方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明に係る単結晶SiCは、Si
C単結晶基板とSi原子及びC原子により構成された板
材とを対峙させた状態で、大気圧以下の不活性ガス雰囲
気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で、上記SiC単結
晶基板側が上記板材よりも低温に保たれるように熱処理
することにより、上記対峙させた隙間内でSi原子及び
C原子を昇華再結晶させて上記SiC単結晶基板上に単
結晶を析出させるとともに、この析出単結晶を種結晶し
て上記板材を単結晶に変態させて上記SiC単結晶基板
の結晶軸と同方位に配向された単結晶が一体に成長され
ていることを特徴とするものであり、また、請求項4に
記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法は、SiC単
結晶基板とSi原子及びC原子により構成された板材と
を両者の対向面間に100μm以下の微少隙間を形成す
るように互いに平行に対峙させた後、それらSiC単結
晶基板及び板材を大気圧以下の不活性ガス雰囲気、か
つ、SiC飽和蒸気雰囲気下で、上記SiC単結晶基板
側が上記板材よりも低温に保たれるように熱処理するこ
とにより、上記微小隙間内でSi原子及びC原子を昇華
再結晶させて上記SiC単結晶基板上に単結晶を析出さ
せ、この析出した単結晶を種結晶として上記板材を単結
晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸と同方位
に配向された単結晶を一体に育成することを特徴とする
ものである。
【0007】上記のような構成要件を有する請求項1及
び請求項4に記載の発明によれば、SiC単結晶基板と
Si原子及びC原子により構成された板材とを対峙させ
た状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰
囲気下で熱処理することによって、対峙させた隙間を通
しての伝熱作用により両板の対向面を共に平滑にしてそ
れら平滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べ
て、両板全域を単結晶化に必要な熱処理温度にまで昇温
させる速度を早めることが可能である。また、熱処理時
にはSiC単結晶基板側が上記板材よりも低温に保たれ
るとともに、この低温のSiC単結晶基板側の対向面の
うちでも両対向板の外周辺側よりも内側の中央側ほど低
温であることから、外周辺の高温部で昇華して隙間に入
り込んだSi原子及びC原子並びに板材を構成するSi
原子及びC原子の運動エネルギーが低温のSiC単結晶
基板の中央部側ほど小さく抑えられる。それゆえに、上
対峙させた隙間内の中央部分に存在するSi原子及び
C原子が最も早く昇華再結晶されて低温のSiC単結晶
基板側の中央部面上に優先的に単結晶が析出され、その
ような単結晶の析出作用が中央部から周辺部にかけて順
次拡張し進行していく過程でも昇華再結晶が繰り返され
ることによりSi原子,C原子の昇華再結晶に伴い析出
される単結晶の単結晶化率が向上されることになり、そ
のように析出された単結晶を種結晶とする固相成長によ
り板材の全体が単結晶に変態されることになる。
【0008】上記のように、対峙させた両板全域の所定
熱処理温度への昇温速度が早くなること、両板間の隙間
内でのSi原子及びC原子の昇華再結晶による単結晶の
析出がSiC単結晶基板側で優先されること、並びに、
Si原子及びC原子により構成された板材の単結晶への
変態速度が周辺部よりも中央部側ほど早くなるような速
度差のある変態パターンにしてSi原子、C原子の昇華
再結晶の繰り返しにより析出される単結晶の単結晶化率
が向上されることの相乗作用によって、少ない熱エネル
ギーで上記板材の全域を効率よく単結晶化して、格子欠
陥およびマイクロパイプ欠陥の非常に少ない高品質な単
結晶SiCを生産性よく得ることが可能である。
【0009】上記請求項1に記載の発明に係る単結晶S
iC及び請求項4に記載の発明に係る単結晶SiCの製
造方法において、SiC単結晶基板と対峙される板材と
しては、請求項2及び請求項5に記載のように、SiC
多結晶板、SiCアモルファスもしくは高純度SiC
結体のいずれを使用する場合も、上記と同様に、微小隙
間内でのSi原子とC原子との昇華再結晶の繰り返しに
よって高品質な単結晶SiCを生産性よく得ることが可
能である。
【0010】また、上記請求項1または2に記載の発明
に係る単結晶SiC及び請求項4または5に記載の発明
に係る単結晶SiCの製造方法において、上記SiC単
結晶基板の結晶面としては、アチソン法により作られた
SiC単結晶塊からSiC単結晶基板を切り出したとき
の(0001)面であってもよいが、特に、請求項3及
び請求項6に記載のように、(0001)面を(11-
2 0)面方向に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面
を使用することによって、結晶面の熱エッチングなどに
よる欠陥の発生がなくなり、SiC単結晶の品質を一層
高めることができる。
【0011】また、上記請求項4ないし6のいずれかに
記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法において、上
記SiC単結晶板とSi原子及びC原子により構成され
た板材との対向面間の微小隙間としては、請求項7に記
載のように、100μm以下、望ましくは10μm以下
に保持させることが好ましい。それは、微小隙間を通し
ての伝熱作用によって両板全域を単結晶化に必要な熱処
理温度にまで昇温させる速度を両板の密着の場合に比べ
て大きく保てる範囲で両板をできるだけ接近させること
により、両板の温度差を極力少なくして、熱平衡状態に
近い条件の中で高品質なSiC単結晶層を種結晶の上面
全域に形成し、その高品質再結晶面を種結晶として用い
ることができるからである。
【0012】請求項に記載の発明に係る単結晶SiC
は、SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを対峙させた
状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲
気下で熱処理することにより、上記対峙させた隙間に入
り込んで析出された単結晶を種結晶として上記SiC多
結晶板を単結晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結
晶軸と同方位に配向された単結晶が一体に成長されてい
ることを特徴とするものであり、また、請求項11に記
載の発明に係る単結晶SiCの製造方法は、SiC単結
晶基板とSiC多結晶板とを対峙させた後、それらSi
C単結晶基板及びSiC多結晶板を不活性ガス雰囲気、
かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することによ
り、上記Si,C原子を上記対峙させた隙間に入り込ま
せて気相成長によって該隙間に単結晶を析出させ、この
析出した単結晶を種結晶として上記SiC多結晶板を単
結晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸と同方
位に配向された単結晶を一体に育成することを特徴とす
るものである。
【0013】上記のような構成要件を有する請求項
び請求項11に記載の発明によれば、SiC単結晶基板
とSiC多結晶板とを対峙させた状態で、不活性ガス雰
囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理すること
により、対峙させた隙間を通しての伝熱作用により両板
の対向面を共に平滑にしてそれら平滑面を密着させた状
態で熱処理する場合に比べて、両板全域を単結晶化に必
要な熱処理温度にまで昇温させる速度を早めることが可
能である。また、熱処理時における温度分布において、
両対向板の外周辺側よりも内側の中央側ほど低温である
ことから、外周辺の高温部で昇華して対峙させた隙間に
入り込んだSi原子及びC原子の運動エネルギーが低温
の中央部側ほど小さく、それゆえに、上記対峙させた隙
間の中央部側からSi原子及びC原子が順次堆積して該
隙間に充満し、その充満されたSi原子及びC原子の気
相成長によって中央部側ほど早く単結晶が析出される。
また、この単結晶の析出作用が中央部から周辺部にかけ
て順次拡張し進行していく過程でもSi原子及びC原子
の気相成長が繰り返されてSi原子及びC原子の気相成
長に伴い析出される単結晶の単結晶化率が向上されるこ
とになり、そのように析出された単結晶を種結晶とする
固相成長によりSiC多結晶板がその中央部側から周辺
部にかけて順次単結晶に変態されることになる。
【0014】上記のように、対峙させた両板全域の所定
熱処理温度への昇温速度が早くなることと、Si多結晶
板の単結晶への変態速度が周辺部よりも低温の中央部側
ほど早くなるといった速度差のある状態での変態パター
ンにして対峙させた隙間内でのSi原子、C原子の気相
成長の繰り返しにより析出される単結晶の単結晶化率が
向上されることとの相乗によって、少ない熱エネルギー
でSiC多結晶板の全域を効率よく単結晶化して、格子
欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常に少ない高品質な
単結晶SiCを生産性よく得ることが可能である。
【0015】上記請求項に記載の発明に係る単結晶S
iC及び請求項11に記載の発明に係る単結晶SiCの
製造方法において、請求項及び請求項12に記載のよ
うに、上記SiC単結晶基板及びSiC多結晶板の対向
面のうち、SiC単結晶基板側の面はRMS1000オ
ングストローム以下、好ましくはRMS50オングスト
ローム以下の表面粗度に調整するとともに、SiC多結
晶板側の面はPV0.3〜10μm範囲の粗面に形成す
ることが望ましい。この場合は、SiC多結晶板側の面
をオングストロームオーダーの平滑面に加工するための
手間及び労力が不要である上に、SiC単結晶基板に対
峙させたとき、無数の凸部がSiC単結晶基板側の結晶
方位面に接触することになり、熱処理に伴ってSiC多
結晶板の無数の接触部からの単結晶変態が、上述したS
i原子及びC原子の気相成長による単結晶の析出と同時
進行されることになり、全体の単結晶速度を一層早める
ことが可能である。
【0016】また、上記請求項またはに記載の発明
に係る単結晶SiC及び請求項11または12に記載の
発明に係る単結晶SiCの製造方法に使用するSiC多
結晶板として、請求項及び請求項13に記載のよう
に、熱化学蒸着法により板状に製作されたものを使用す
ることにより、SiC多結晶板自体として不純物の少な
い高純度なものを用いて、SiC単結晶基板とSiC多
結晶板との間に結晶粒界などを形成しないで、品質の一
層高い単結晶SiCを得ることができる。
【0017】また、上記請求項1112または13
記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法において、請
求項14に記載したように、上記SiC単結晶基板側を
SiC多結晶板側よりも低温になるような温度勾配を持
たせて上記熱処理を行なうことによって、高温が故に構
成Si,Cの運動エネルギーの高い多結晶粗面ではな
く、上記対峙の隙間に入り込んだSi原子及びC原子を
低温側のSiC単結晶基板側の単結晶方位面に優先的に
析出させることが可能で、それら原子の気相成長による
単結晶化を促進し、単結晶SiCの品質を一層高くする
ことができる。
【0018】また、上記請求項11ないし14のいずれ
かに記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法におい
て、上記SiC単結晶基板側のSiC多結晶板に対向す
る結晶面を、請求項15に記載したように、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を
切り出したときの(0001)面に設定することによっ
て、熱処理に伴う固相成長によってSiC単結晶基板の
結晶面からC軸方向へ単結晶が成長することになって、
その成長過程で結晶欠陥などの導入が非常に少なくな
り、SiC単結晶基板と同一の多形構造の結晶を容易か
つ確実に成長させて他の多形が混在しない良質の単結晶
SiCを効率よく得ることができる。
【0019】さらに、上記請求項11ないし14のいず
れかに記載の発明に係る単結晶SiCの製造方法におい
て、上記SiC単結晶基板側のSiC多結晶板に対向す
る結晶面を、請求項16に記載したように、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を
切り出したときの(0001)面を(11- 2 0)面方
向に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面を使用する
ことによって、結晶面の熱エッチングなどによる欠陥の
発生がなくなり、SiC単結晶の品質を一層高めること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。図1は本発明に係る単結晶Si
Cの製造方法の第1の実施の形態による熱処理前の状態
を示す模式図であり、同図において、1は六方晶系(6
H型、4H型)のα−SiC単結晶基板で、該α−Si
C単結晶基板1は厚さ0.5mmで、その表裏両面1
a,1bは研磨加工等によってRMS1000オングス
トローム以下、好ましくは50オングストローム以下の
表面粗度を持つ平滑面に調整されている。このα−Si
C単結晶基板1は、図3に示すように、アチソン法によ
り作られたα−SiC単結晶塊1´から多数の板状Si
C単結晶片1Aを切り出したとき、C軸方向の(000
1)面を研磨加工してなるものである。
【0021】2は1300〜1900℃範囲の熱CVD
法により別途製作される立方晶系のβ−SiC多結晶板
で、このβ−SiC多結晶板2は、図示省略する焼結黒
鉛の上に熱CVD法によって(111)面が高配向とな
る約1mm厚さの膜を作製した後、上記黒鉛の焼却除去
によって単離させた0.8mm厚さの平板状材の両面2
a,2aをスリガラス状に研磨することでPV、即ち、
Rmaxが0.3〜10μm範囲、好ましくは0.5μ
mの粗面に形成されている。
【0022】上記のように製作された2枚の平板状のβ
−SiC多結晶板2,2を上記α−SiC単結晶基板1
の表裏両側に積み重ねて対峙させることにより、上記α
−SiC単結晶基板1表裏の平滑な結晶面1a,1bと
これに対向する上記β−SiC多結晶板2,2のスリガ
ラス状の粗面2a,2aとの間に、各粗面2a,2aを
形成する多数の凸部2a1…が図4に明示するように、
上記α−SiC単結晶基板1の両結晶面1a,1bに接
触するようにして2枚の平板状のβ−SiC多結晶板
2,2と上記α−SiC単結晶基板1との間に微少隙間
3,3を形成させる。
【0023】この状態で、上記α−SiC単結晶基板1
及び2枚のβ−SiC多結晶板2,2をカーボン製抵抗
発熱炉(図示省略する)内に挿入配置し、その周囲にS
iC塊4…を配置充填するとともに、Arなどの不活性
ガス気流を1atom程度注入して炉の中心温度が1100
℃より2200℃に達するまで10時間かけて平均速度
で昇温させ、かつ、その2200℃で5時間程度保持さ
せるといったように、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC
飽和蒸気雰囲気下で熱処理を施すことによって、周辺部
の高温域で上記SiC塊4…から昇華したSi原子及び
C原子が上記微少隙間3,3に入り込んで該隙間3に充
満し、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長に
よって単結晶が析出されるとともに、その析出した単結
晶を種結晶とする固相成長によりβ−SiC多結晶板
2,2が単結晶に変態されて上記α−SiC単結晶基板
1の結晶軸と同方位に配向された単結晶部分2´,2´
となり、これら単結晶部分2´,2´が上記基板1の単
結晶と一体化して図2に示すような大きな単結晶が育成
されることになる。
【0024】ところで、上記のような熱処理時におい
て、対峙された上記α−SiC単結晶基板1及び2枚の
β−SiC多結晶板2,2の間には微少隙間3,3が形
成されているので、この微少隙間3,3を通しての伝熱
作用により、両板1、2,2の対向面を共に平滑にして
それら平滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べ
て、両板1、2,2の全域を単結晶化に必要な熱処理温
度にまで昇温させる速度が早まる。また、全体の昇温速
度が早い条件下においても、上記α−SiC単結晶基板
1及び2枚のβ−SiC多結晶板2,2はそれらの外周
辺側よりも内側の中央側ほど低温であるとともに、α−
SiC単結晶基板1がそれの上方に配置されたβ−Si
C多結晶板2よりも低温であるから、外周辺の高温部で
昇華して微少隙間3,3に入り込んだSi原子及びC原
子の運動エネルギーが低温の中央部側ほど小さい。それ
ゆえに、上記微少隙間3,3に入り込んだSi原子及び
C原子はα−SiC単結晶基板1の上側結晶面1aで、
かつその中央部付近ほど早く堆積して該隙間3,3に充
満され、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長
によってα−SiC単結晶基板1の上側結晶面1aの中
央部に単結晶が早く析出されることになる。そのため
に、析出した単結晶を種結晶としてβ−SiC多結晶板
2,2、特に上方に配置されたβ−SiC多結晶板2の
中央部付近が早く単結晶に変態され、その変態が中央部
から周辺部にかけて順次移行するといった速度差のある
パターンでの単結晶変態が固相状態で進行することにな
る。
【0025】以上のように、対向板1、2,2全域の所
定熱処理温度への昇温速度が早くなることと、β−Si
C多結晶板2,2の単結晶への変態速度が周辺部よりも
低温の中央部付近ほど早くなるといった速度差のある単
結晶変態パターンとの相乗作用によって、少ない熱エネ
ルギーでβ−SiC多結晶板2,2の全域を効率よく単
結晶化して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常
に少ない高品質な単結晶SiCを生産性よく製造するこ
とができる。
【0026】因みに、上記熱処理時に使用したカーボン
製抵抗発熱炉内では、上下に100mm離れた箇所で約
100℃の温度勾配があるために、上記した諸条件下で
製造された単結晶SiCを偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、α−SiC単結晶基板1の上方に配置したβ−Si
C多結晶板2はその周辺部の一部を除く全体が所定どお
り単結晶化され、かつ、α−SiC単結晶基板1との間
の境界も消失している一方、下方に配置されたβ−Si
C多結晶板2は図2でも明らかなように、十分に単結晶
化されてなく、α−SiC単結晶基板1との間の境界も
残存していることが分かった。そこで、実際に高温半導
体電子素子の基板ウエハなどとして用いる際には、図2
の仮想線で示すように、所定どおりに単結晶化された部
分のみを切り出して使用する。なお、熱処理条件(熱処
理温度や時間、あるいは、炉内の配置姿勢を変えるな
ど)を調整することで、両β−SiC多結晶板2,2を
共に所定どおりに単結晶化することが可能であることは
もちろんである。
【0027】また、上記第1の実施の形態で述べたよう
に、上記β−SiC多結晶板2側のα−SiC単結晶基
板1との対向面2aをPV0.3〜10μm範囲、即
ち、Rmax0.3〜10μm範囲で、好ましくは5μ
mの粗面に形成する場合は、β−SiC多結晶板2側の
面2aをオングストロームオーダーの平滑面に加工する
ための手間及び労力が不要である上に、SiC単結晶基
板1に対峙させたとき、無数の凸部2a1…が図4のよ
うに、上記α−SiC単結晶基板1の平滑な結晶面1a
(1b)に接触することになり、熱処理に伴ってその無
数の接触凸部2a1…から上記β−SiC多結晶板2が
単結晶に変態しており、このような単結晶変態が上述し
たSi原子及びC原子の気相成長によって析出された単
結晶を種結晶とする固相状態における単結晶変態と同時
進行されることになり、全体の単結晶化速度を一層早め
ることが可能である。
【0028】図5は本発明に係る単結晶SiCの製造方
法の第2の実施の形態による熱処理前の状態を示す模式
図であり、この第2の実施の形態で使用するα−SiC
単結晶基板1としては、図3に示すように、アチソン法
により作られたα−SiC単結晶塊1´から切り出され
た板状SiC単結晶片1AのC軸方向の(0001)面
を図7に明示するように、(11- 2 0)面方向に1.
5〜10°の角度(θ)範囲、具体的には3.5°傾斜
させて研磨加工してRMS1000オングストローム以
下、好ましくは50オングストローム以下の表面粗度を
持つ平滑な結晶面1aに調整されたものを用いるととも
に、Si原子及びC原子により構成される板材の一例と
して、上記第1の実施の形態と同様に、図示省略する焼
結黒鉛の上に熱CVD法によって(111)面が高配向
となるように作製された膜から上記黒鉛を焼却除去して
単離させることにより平板状に別途製作された粗表面を
持つ立方晶系のβ−SiC多結晶板2を用いる。
【0029】そして、上記α−SiC単結晶基板1をカ
ーボン板5上に載置するとともに、このα−SiC単結
晶基板1より外周辺のカーボン板5上に設けたスペーサ
6を介して上記平板状のβ−SiC多結晶板2を上記α
−SiC単結晶基板1上に載置して互いに平行に対峙さ
せることにより、上記α−SiC単結晶基板1の平滑な
結晶面1aとこれに対向する上記β−SiC多結晶板2
の粗表面2aとの間に100μm以下、好ましくは10
μm以下の微少隙間3を形成させる。
【0030】この状態で、上記α−SiC単結晶基板1
及びβ−SiC多結晶板2をカーボン製抵抗発熱炉(図
示省略する)内に上記カーボン板5が水平姿勢となるよ
うに挿入することにより、熱処理時には下側に位置する
上記α−SiC単結晶基板1側がβ−SiC多結晶板2
よりも低温に保たれるように配置し、その周囲にSiC
塊4…を配置充填するとともに、Arなどの不活性ガス
気流を1atom程度注入して炉の中心温度が2000〜2
300℃に達するまで10時間かけて平均速度で昇温さ
せ、かつ、その2000〜2300℃で5時間程度保持
させるといったように、不活性ガス雰囲気、かつ、Si
C飽和蒸気雰囲気下で熱処理を施すことによって、周辺
部の高温域で上記SiC塊4…から昇華したSi原子及
びC原子が上記微少隙間3,3に入り込んで該隙間3に
充満し、この充満されたSi原子及びC原子の気相成長
並びにβ−SiC多結晶板2の表面2aを構成する一部
のSi原子及びC原子の昇華再結晶によって低温側のα
−SiC単結晶基板1の結晶面1aに単結晶が析出され
るとともに、その析出した単結晶を種結晶とする固相成
長によりβ−SiC多結晶板2の全体が単結晶に変態さ
れて上記α−SiC単結晶基板1の結晶軸と同方位に配
向された単結晶部分2´となり、この単結晶部分2´が
上記基板1の単結晶と一体化して図6に示すような大き
な単結晶が育成されることになる。
【0031】上記した第2の実施の形態による場合も、
熱処理時において、互いに平行に対峙された上記記α−
SiC単結晶基板1及びβ−SiC多結晶板2の間に形
成されている微少隙間3を通しての伝熱作用により、両
板1、2の対向面1a,2aを共に平滑にしてそれら平
滑面を密着させた状態で熱処理する場合に比べて、両板
1、2の全域を単結晶化に必要な熱処理温度にまで昇温
させる速度を早めることが可能であるのはもちろん、こ
の熱処理時にα−SiC単結晶基板1側が上記β−Si
C多結晶板2よりも低温に保たれるとともに、この低温
のα−SiC単結晶基板1側の対向結晶面1aのうちで
も両板1,2の外周辺側よりも内側の中央部付近ほど低
温であることから、外周辺の高温部で昇華して微少隙間
3に入り込んだSi原子及びC原子並びにβ−SiC多
結晶板2を構成するSi原子及びC原子の運動エネルギ
ーが低温のα−SiC単結晶基板1の中央部付近ほど小
さく抑えられる。それゆえに、上記微少隙間3内の中央
部分に存在するSi原子及びC原子が最も早く昇華再結
晶されて低温のα−SiC単結晶基板1側の中央部の結
晶面1a上に優先的に単結晶が析出され、そのような単
結晶の析出作用が中央部から周辺部にかけて順次拡張し
進行していく過程でも昇華再結晶が繰り返されることに
よりSi,C原子の昇華再結晶に伴い析出される単結晶
の単結晶化率が向上されることになり、そのように析出
された単結晶を種結晶とする固相成長によりβ−SiC
多結晶板2の全体が単結晶に変態されることになる。
【0032】上記のように、対峙させた両板1,2全域
の所定熱処理温度への昇温速度が早くなること、両板
1,2間の微小隙間3内でのSi原子及びC原子の昇華
再結晶による単結晶の析出がα−SiC単結晶基板1側
で優先されることと、Si原子及びC原子により構成さ
れたβ−SiC多結晶板2の単結晶への変態速度が周辺
部よりも中央部付近ほど早くなるような速度差のある変
態パターンにしてSi原子、C原子の昇華再結晶の繰り
返しにより析出される単結晶の単結晶化率が向上される
ことと、両板1,2をできるだけ接近させて両板1,2
の温度差を少なくすることとの相乗によって、少ない熱
エネルギーで上記β−SiC多結晶板2の全域を効率よ
く単結晶化して、格子欠陥およびマイクロパイプ欠陥の
非常に少ない高品質な単結晶SiCを生産性よく得るこ
とが可能である。
【0033】特に、この第2の実施の形態では、上記α
−SiC単結晶基板1の結晶面1aとして、アチソン法
により作られたSiC単結晶塊1´から切り出された板
状SiC単結晶片1AのC軸方向の(0001)面を
(11- 2 0)面方向に3.5°の角度(θ)で傾斜さ
せて研磨加工した面を使用しており、これによって、結
晶面1aの熱エッチングなどによる欠陥の発生がなくな
り、SiC単結晶の品質を一層高めることができる。
【0034】なお、上記第1及び第2の実施の形態で
は、上記α−SiC単結晶基板1として6H型のものを
用いたが、4H型のものを使用してもよい。
【0035】また、上記第1及び第2の実施の形態で
は、Si原子及びC原子により構成される板材として、
β−SiC多結晶板2を用いたもので説明したが、これ
に代えて、高純度(1014atm /cm3 以下)のSiC
アモルファス板、高純度SiC焼結体を使用しても、上
記と同様な高品位の単結晶SiCを得ることが可能であ
る。
【0036】なお、本明細書の中で、(11- 2 0)面
と記載したものは、日本工業規格X0208号に定めら
れている文字以外の文字に相当するものであり、正式に
は次の通りである。
【0037】
【0038】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び請求項4に
記載の発明によれば、SiC単結晶基板とSiC多結晶
板を代表例とするSi原子とC原子により構成された板
材とを対峙させた状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、S
iC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することで、両板の対向
面を平滑にしてそれら平滑面を密着させた状態で熱処理
する場合に比べて、両板全域を単結晶化に必要な熱処理
温度にまで昇温させる速度を早めることができること
と、微少隙間に入り込んだSi原子及びC原子並びに板
材を構成するSi原子及びC原子の運動エネルギーが低
温に保たれているSiC単結晶基板の中央部側ほど小さ
く抑えられてそのSiC単結晶基板の中央部分に単結晶
を優先的に析出させることができることと、そのような
単結晶の析出作用が中央部から周辺部にかけて順次拡張
し進行していく過程でもSi原子,C原子の昇華再結晶
を繰り返えしてSi原子,C原子の昇華再結晶に伴い析
出される単結晶の単結晶化率を向上することができるこ
ととの相乗によって、少ない熱エネルギーでSiC多結
晶板の全域を効率よく単結晶化して、格子欠陥およびマ
イクロパイプ欠陥の非常に少ない高品質な単結晶SiC
を非常に生産性よく得ることができ、これによって、S
i(シリコン)やGaAs(ガリウムヒ素)などの既存
の半導体材料に比べて大容量、高周波、耐圧、耐環境性
に優れパワーデバイス用半導体材料として期待されてい
る単結晶SiCの実用化を促進することができるという
効果を奏する。
【0039】特に、請求項3及び請求項6に記載したよ
うに、SiC単結晶基板の結晶面として、アチソン法に
より作られたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を切
り出したときの(0001)面を(11- 2 0)面方向
に約1.5〜10°傾斜させて研磨した面を使用するこ
とによって、結晶面の熱エッチングなどによる欠陥の発
生をなくして、SiC単結晶の品質を一層高めることが
できる。
【0040】また、請求項及び請求項11に記載の発
明によれば、SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを対
峙させた状態で、不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和
蒸気雰囲気下で熱処理することで、両板の対向面を共に
平滑にしてそれら平滑面を密着させた状態で熱処理する
場合に比べて、両板全域を単結晶化に必要な熱処理温度
にまで昇温させる速度を早めることができることと、
峙させた隙間に入り込んだSi原子及びC原子の気相成
長による単結晶の析出及びその析出された単結晶を種結
晶とするSiC多結晶板の単結晶への変態速度を周辺部
よりも低温の中央部付近ほど早めるといったように、中
央部から周辺部に向かって速度差のある変態パターンに
できることとの相乗作用によって、少ない熱エネルギー
でSiC多結晶板の全域を効率よく単結晶化して、格子
欠陥およびマイクロパイプ欠陥の非常に少ない高品質な
単結晶SiCを生産性よく得ることができるという効果
を奏する。
【0041】ここで、請求項及び請求項12に記載し
たように、SiC単結晶基板側の面をRMS1000オ
ングストローム以下、好ましくはRMS50オングスト
ローム以下の表面粗度に調整するとともにSiC多結晶
板側の面をPV0.3〜10μm範囲の粗面に形成する
ことによって、面の加工手間及び労力を省ける上に、S
iC多結晶板側の単結晶変態速度を早めて単結晶SiC
の生産性を一層高めることができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の第1の
実施の形態による熱処理前の状態を示す模式図である。
【図2】同上第1の実施の形態による熱処理後の状態を
示す模式図である。
【図3】同上第1の実施の形態による単結晶SiCの製
造方法に使用するα−SiC単結晶基板の作製に際して
作られたα−SiC単結晶塊の概略斜視図である。
【図4】同上第1の実施の形態による熱処理時における
様子を説明する要部の拡大模式図である。
【図5】本発明に係る単結晶SiCの製造方法の第2の
実施の形態による熱処理前の状態を示す模式図である。
【図6】同上第2の実施の形態による熱処理後の状態を
示す模式図である。
【図7】同上第1の実施の形態による単結晶SiCの製
造方法に使用するα−SiC単結晶基板を示す概略斜視
図である。
【符号の説明】 1 α−SiC単結晶基板 1´ α−SiC単結晶塊 1a,1b 平滑な結晶面 2 β−SiC多結晶板 2a 粗表面 3 隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平本 雅信 兵庫県三田市下内神字打場541番地の1 日本ピラー工業株式会社三田工場内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiC単結晶基板とSi原子及びC原子
    により構成された板材とを微少隙間を隔てて互いに平行
    に対峙させた状態で、大気圧以下の不活性ガス雰囲気、
    かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で、上記SiC単結晶基
    板側が上記板材よりも低温に保たれるように熱処理する
    ことにより、上記微小隙間内でSi原子及びC原子を昇
    華再結晶させて上記SiC単結晶基板上に単結晶を析出
    させるとともに、この析出単結晶を種結晶として上記板
    材を単結晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸
    と同方位に配向された単結晶が一体に成長されているこ
    とを特徴とする単結晶SiC。
  2. 【請求項2】 上記板材が、SiC多結晶板、SiCア
    モルファスもしくは高純度SiC焼結体の中から選択さ
    れた一種である請求項1に記載の単結晶SiC。
  3. 【請求項3】 上記SiC単結晶基板の上記板材と対向
    する結晶面として、アチソン法により作られたSiC単
    結晶塊からSiC単結晶基板を切り出したときの(00
    01)面を(11- 2 0)面方向に約1.5〜10°傾
    斜させて研磨した面を使用している請求項1または2に
    記載の単結晶SiC。
  4. 【請求項4】 SiC単結晶基板とSi原子及びC原子
    により構成された板材とを両者の対向面間に微少隙間を
    形成するように互いに平行に対峙させた後、 それらSiC単結晶基板及び板材を大気圧以下の不活性
    ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で、上記S
    iC単結晶基板側が上記板材よりも低温に保たれるよう
    に熱処理することにより、上記微小隙間内でSi原子及
    びC原子を昇華再結晶させて上記SiC単結晶基板上に
    単結晶を析出させ、 この析出した単結晶を種結晶として上記板材を単結晶に
    変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸と同方位に配
    向された単結晶を一体に育成することを特徴とする単結
    晶SiCの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記板材として、SiC多結晶板、Si
    Cアモルファスもしくは高純度SiC焼結体の中から選
    択された一種を使用する請求項4に記載の単結晶SiC
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記SiC単結晶基板の上記板材と対向
    する結晶面として、アチソン法により作られたSiC単
    結晶塊からSiC単結晶基板を切り出したときの(00
    01)面を(11- 2 20)面方向に約1.5〜10°
    傾斜させて研磨した面を使用する請求項4または5に記
    載の単結晶SiCの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記SiC単結晶基板と上記板材との対
    向面間の微小隙間を100μm以下に保持させて熱処理
    が行なわれる請求項4ないし6のいずれかに記載の単結
    晶SiCの製造方法。
  8. 【請求項8】 SiC単結晶基板とSiC多結晶板とを
    微少隙間を隔てて対峙させた状態で、不活性ガス雰囲
    気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理することに
    より、上記微少隙間に入り込んで析出された単結晶を種
    結晶として上記SiC多結晶板を単結晶に変態させて上
    記SiC単結晶基板の結晶軸と同方位に配向された単結
    晶が一体に成長されていることを特徴とする単結晶Si
    C。
  9. 【請求項9】 上記SiC単結晶基板及びSiC多結晶
    板の対向面のうち、SiC単結晶基板側の面はRMS1
    000オングストローム以下の表面粗度に調整されてい
    るとともに、SiC多結晶板側の面はPV0.3〜10
    μm範囲の粗面に形成されている請求項8に記載の単結
    晶SiC。
  10. 【請求項10】 上記SiC多結晶板としては、熱化学
    蒸着法により板状に製作されたものを使用している請求
    項8または9に記載の単結晶SiC。
  11. 【請求項11】 上記SiC単結晶基板として、上記S
    iC多結晶板と対向する結晶面がアチソン法により作ら
    れたSiC単結晶塊からSiC単結晶基板を切り出した
    ときの(0001)面より約1.5〜10°傾いた面を
    研磨してなるものを使用している請求項8、9または1
    0に記載の単結晶SiC。
  12. 【請求項12】 SiC単結晶基板とSiC多結晶板と
    を両者の対向面間に微少隙間を形成するように対峙させ
    た後、 それらSiC単結晶基板及びSiC多結晶板を不活性ガ
    ス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で熱処理する
    ことにより、上記Si原子とC原子を上記微少隙間に入
    り込ませて気相成長によって該微少隙間に単結晶を析出
    させ、 この析出した単結晶を種結晶として上記SiC多結晶板
    を単結晶に変態させて上記SiC単結晶基板の結晶軸と
    同方位に配向された単結晶を一体に育成することを特徴
    とする単結晶SiCの製造方法。
  13. 【請求項13】 上記SiC単結晶基板及びSiC多結
    晶板の対向面のうち、SiC単結晶基板側の面はRMS
    1000オングストローム以下の表面粗度に調整されて
    いるとともに、SiC多結晶板側の面はPV0.3〜1
    0μm範囲の粗面に形成されている請求項12に記載の
    単結晶SiCの製造方法。
  14. 【請求項14】 上記SiC多結晶板としては、熱化学
    蒸着法により板状に製作されたものを使用する請求項1
    2または13に記載の単結晶SiCの製造方法。
  15. 【請求項15】 上記SiC単結晶基板側をSiC多結
    晶板側よりも低温になるような温度勾配を持たせて上記
    熱処理が行なわれる請求項12、13または14に記載
    の単結晶SiCの製造方法。
  16. 【請求項16】 上記SiC単結晶基板側のSiC多結
    晶板に対向する結晶面が、アチソン法により作られたS
    iC単結晶塊からSiC単結晶基板を切り出したときの
    (0001)面である請求項12ないし15のいずれか
    に記載の単結晶SiCの製造方法。
  17. 【請求項17】 上記SiC単結晶基板側のSiC多結
    晶板に対向する結晶面が、アチソン法により作られたS
    iC単結晶塊からSiC単結晶基板を切り出したときの
    (0001)面を(11- 2 0)面方向に約1.5〜1
    0°傾斜させて研磨した面である請求項12ないし15
    のいずれかに記載の単結晶SiCの製造方法。
  18. 【請求項18】 上記熱処理温度は、2100〜230
    0℃の範囲に設定されている請求項12ないし17のい
    ずれかに記載の単結晶SiCの製造方法。
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