JP3487043B2 - V型エンジンのシリンダブロック構造 - Google Patents
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Description
リンダブロック構造に係り、詳しくはシリンダブロック
内においてエンジン潤滑系の油を冷却するようにしたV
型エンジンのシリンダブロック構造に関するものであ
る。
る技術として、例えば、特開平5−86858号公報に
記載される技術を挙げることができる。図12及び図1
3は同公報に開示されるV型エンジンのシリンダブロッ
ク81を示すものであり、図12はその側断面図、図1
3は正断面図である。
ク81に形成された両バンク82a,82b間の谷部8
3には段部84が設けられ、この段部84上には蓋板8
5がボルト86により締付固定されている。そして、谷
部83と蓋板85とによって区画形成された空間は冷却
水通路87となっている。この冷却水通路87は図示し
ないラジエータ出口側のウォータインレット88に連通
されており、その内部には冷却水が導入されるようにな
っている。
冷却水通路87の長手方向に沿ってメインオイル通路8
9が設けられており、同通路89内には図示しないオイ
ルポンプから潤滑油が導入されている。そして、潤滑油
はメインオイル通路89内を流れる際に、前記冷却水通
路87内の冷却水により冷却されている。
造では、冷却水通路87の長手方向に沿ってシリンダブ
ロック81内にメインオイル通路89を形成し、冷却水
通路87を流れる冷却水によりメインオイル通路89内
の潤滑油を冷却するようにしている。従って、従来のシ
リンダブロック構造によれば、オイルクーラ等の潤滑油
を冷却するための冷却装置が不要となり、エンジン潤滑
系における省スペース化、低コスト化を図ることができ
る。
来技術を例えば大型エンジンのシリンダブロック構造と
して採用した場合には、以下に示す問題が生じる。即
ち、大型のエンジンにおいては、潤滑油の循環量が多い
ため、メインオイル通路89を流れる潤滑油と冷却水通
路87を流れる冷却水との熱交換をより効率的に行う必
要があるが、上記従来技術では十分な冷却作用を得られ
ないという問題があった。
れたものであり、その目的とするところは、両バンク間
の谷部に冷却水通路を形成するとともに、冷却水通路の
長手方向に沿ってエンジン潤滑系の油通路を形成し、同
通路内の潤滑油を冷却水通路内の冷却水によって冷却す
るようにしたV型エンジンのシリンダブロック構造にお
いて、その冷却効率を増大させることにある。
エンジンの出力軸を中心として略V字状に配設された一
対のバンクと、前記両バンク間の谷部により形成された
冷却水通路と、前記冷却水通路の長手方向に沿ってシリ
ンダブロック内に形成されたエンジン潤滑系の油通路と
を備え、前記出力軸を回転自在に支持する軸受部には油
供給孔を形成するとともに、その油供給孔と前記油通路
を油供給路により連通し、前記油通路内の油を前記油供
給路を介して前記油供給孔に供給するようにしたV型エ
ンジンのシリンダブロック構造において、前記油供給路
の油通路側開口と対向する位置に、前記冷却水通路内に
突出し、且つ、前記油通路内の油が流入可能な熱交換部
を配設したことをその要旨とするものである。
型エンジンのシリンダブロック構造において、前記熱交
換部は、前記油通路において、一端が前記油供給路の開
口と対向する位置に開口され、他端が前記油供給路の開
口と離間した位置に開口された連通路であることをその
要旨とするものである。
前記軸受部により前記出力軸が回転可能に支持されると
ともに、その出力軸において前記各軸受部により支持さ
れる位置には、周方向における開口位置が異なる油穴が
それぞれ形成され、その各油穴内には前記各油供給路及
び各油供給孔を介して前記油通路の油が供給される請求
項1記載のV型エンジンのシリンダブロック構造におい
て、前記熱交換部は、前記油通路において、一端が前記
一方の油供給路の開口と対向する位置に開口され、他端
が前記他方の油供給路の開口と対向する位置に開口され
た連通路であることをその要旨とするものである。
バンク間の谷部により冷却水通路が形成されるととも
に、同通路の長手方向に沿ってシリンダブロック内には
エンジン潤滑系の油通路が形成される。そして、油通路
内を流通する潤滑油は冷却水通路内を流通する冷却水に
より冷却される。
は、前記油供給路を介して、前記油供給孔に供給され、
例えば、前記軸受部と前記出力軸との軸受面における潤
滑に供される。この際、油供給路内には油通路側から軸
受部側へと向かう潤滑油の移動が生じ、この移動により
油供給路の内圧は油通路の内圧より低下する。
は熱交換部が配設されており、前記油通路に対して低圧
となった油供給路内の圧力は、油通路側開口から圧力波
となって前記熱交換部へ伝播される。そして、熱交換部
内に流入している潤滑油は吸引されて前記油供給路の油
通路側開口側へ移動するとともに、熱交換部内には油通
路内を流通している潤滑油が再び流入する。即ち、熱交
換部内における潤滑油は、前記油供給路内における潤滑
油の移動に伴って、順次入換えられる。
れているため、熱交換部内の潤滑油と冷却水通路内にお
ける冷却水との間における熱交換率が向上されている。
本発明では、熱交換部内の潤滑油が強制的に入換えられ
るため、潤滑油は熱交換部において効果的に冷却され
る。
えて、熱交換部は連通路によって構成され、同連通路の
一端は油通路において油供給路の開口と対向する位置に
開口され、他端は同じく油通路において前記油供給路の
開口と離間した位置に開口されている。そして、前述し
たように油供給路内における潤滑油が移動し油供給路内
の圧力が低下すると、その圧力は圧力波となって前記連
通路の一端側開口に伝播する。そして、連通路の一端側
開口近傍にある潤滑油は油供給路の開口側に吸引され
る。従って、油通路内の潤滑油は連通路の他端側開口か
ら吸引されて、同連通路の一端側開口に向けて移動す
る。このように、油通路内の潤滑油は強制的に連通路内
を通過するため、同連通路内において潤滑油はより効果
的に冷却される。
の発明の作用に加え、出力軸は少なくとも一対の軸受部
により支持され、同軸には各軸受部に支持される位置に
開口する油穴がそれぞれ形成されている。従って、出力
軸が回転すると、その回転位相に応じて前記各油穴にお
ける開口は、各軸受部の油供給孔に対して連通された状
態と遮断された状態とを繰り返す。そして、油穴の開口
が前記各油供給孔に対して連通された状態となると、前
記油通路内の潤滑油は各油供給路及び油供給孔を介して
油穴内に導入されるようになり、前記各油供給路内には
潤滑油の移動が生じる。
において異なる位置に形成されているため、各油穴の開
口のうち一方が油供給孔に対して連通された状態となる
と、他方は油供給孔に対して遮断された状態となり、ま
た、各油穴の開口の他方が連通された状態となると、一
方が油供給孔に対して遮断された状態となる。即ち、前
記各油供給路内における潤滑油の移動は交互に生じるこ
ととなる。
路によって構成され、同通路の一端は油通路において一
方の油供給路の開口と対向する位置に開口され、他端は
同じく油通路において他方の油供給路の開口と対向する
位置に開口されている。従って、前述したように各油供
給路内の潤滑油が交互に移動すると、連通路内の潤滑油
はその移動に伴って往復移動をするようになる。
移動が生じると、同油供給路内の圧力は低下し、その低
下した圧力は圧力波となって前記連通路の一端側開口に
伝播する。その結果、連通路において一端側開口近傍に
ある潤滑油は、一方の油供給路の開口側へ吸引される。
従って、油通路内の潤滑油は連通路の他端側開口から吸
引されて、同連通路の一端側開口に向けて移動する。
潤滑油の移動が生じると、上記と同様の作用により連通
路の他端側開口近傍にある潤滑油は、他方の油供給路の
開口側へ吸引される。従って、油通路内の潤滑油は連通
路の一端側開口から吸引されて、同連通路の他端側開口
に向けて移動する。
連通路内の潤滑油が往復動することにより、油通路内の
潤滑油は強制的に連通路内を通過するため、同連通路内
において潤滑油はより効果的に冷却される。
ンジンのシリンダブロックに具体化した第1の実施の形
態について図1〜5を参照して説明する。
ロック11の側断面図であり、図2は同シリンダブロッ
ク11の正断面図である。また、図2はシリンダブロッ
ク11にエンジンの出力軸としてのクランクシャフト1
2が配設された状態を示している。
合金よりなり、クランクシャフト12上部を覆うように
して配置されるクランクケース13を備えている。クラ
ンクケース13の内部上側には油供給孔14が形成され
た複数の軸受部15a,15b,15c,15d(図5
では、クランクケース13の中央部に形成された軸受部
15b,15cを示す)が設けられており、前記クラン
クシャフト12のクランクジャーナル16a,16b,
16c,16dは、その上部が前記軸受部15a〜15
dにより支持されるとともに、その下部は図示しないベ
アリングキャップの軸受部により支持されて回転自在と
なっている。
ト12の中央における2つのクランクジャーナル16
b,16cには、同クランクジャーナル16b,16c
から隣接するクランクピン17に潤滑油を供給するため
の油穴18が形成されている。より詳細に説明すれば、
この油穴18は、クランクジャーナル16b,16cの
径方向に貫通して設けられ両端部がクランクジャーナル
16b,16cの外周面に開口する油受穴19と、同油
受穴19から分岐して、隣接するクランクピン17の外
周面に開口する分岐孔20により構成されている。
って油受穴19が軸受部15b,15cの油供給孔14
と連通状態となると、後述するクランク用オイル通路4
1b,41c及び前記油供給孔14を介して潤滑油が各
油受穴19に導入されるとともに、その潤滑油は各分岐
孔20を介してクランクピン17のジャーナル面へ供給
され、同面の潤滑に供される。
いずれもクランクジャーナル16b,16cの外周面に
開口されているが、図5に示すように各油受穴19の開
口位置はクランクジャーナル16b,16cの周方向に
おいて90°ずれた状態となっている。尚、図2に示す
ように、クランクシャフト12の両端側にあるクランク
ジャーナル16a,16dにも同様の油受穴19がそれ
ぞれ形成されるとともに、各油受穴19から分岐した分
岐孔20は隣接するクランクピン17の外周面に開口さ
れている。
ク11には、クランクケース13から上方に突出形成さ
れるとともに、クランクシャフト12を中心としてV字
状に分岐された一対のバンク21a,21bが設けられ
ている。各バンク21a,21bの上面には、図示しな
いガスケットを介して図示しないシリンダヘッド、ヘッ
ドカバー等が取り付けられるようになっている。
a,21bには、図示しないシリンダを摺動可能に支持
するシリンダボア22が複数形成されている。また、図
1に示すように、両バンク21a,21b内において、
各シリンダボア22の周囲には、ウォータジャケット2
3が形成されている。そして、このウォータジャケット
23内に冷却水を循環させることにより、両バンク21
a,21bが冷却されるようになっている。
21b間のV字状の谷部24には段部25が一体形成さ
れており、同段部25には複数のネジ穴26が形成され
ている。そして、段部25の上面にはアルミニウム合金
製の蓋板27が載置されている。この蓋板27には、段
部25に形成されたネジ穴26と対応する位置に図示し
ない複数の透孔が形成されている。そして、図1,2に
示すように、この蓋板27の上から各透孔及び各ネジ穴
26を通してボルト28を締付けることにより、蓋板2
7が両バンク21a,21bの段部25に固定され、蓋
板27と段部25との間は密封されるとともに、蓋板2
7によって閉塞された谷部24の空間により冷却水通路
29が形成されている。尚、図3はシリンダブロック1
1の蓋板27を取り外した状態を示す平面図である。
の右端部には、図示しないラジエータの出口部から延び
るウォータインレット30が接続されており、その内部
は前記冷却水通路29に連通されている。そして、ラジ
エータから圧送される冷却水は、このウォータインレッ
ト30を介して冷却水通路29内に導入され、同通路2
9内を図2の左方に流れるようになっている。
ク11の左端部には、冷却水通路29に連通するウォー
タポンプ室31が形成されるとともに、同室31を覆う
ようにしてウォータポンプ32が設けられている。この
ウォータポンプ32はケーシング33内にて回転可能に
支持された駆動軸34と、同駆動軸34の一端に一体回
転可能に取着され、冷却水を遠心力によって外方に圧送
するインペラ35とを備えている。また、駆動軸34の
他端には、プーリ36が設けられ、そのプーリ36は図
示しないベルトを介してクランクシャフト12に駆動連
結されている。そして、クランクシャフト12の回転に
連動してプーリ36が回転駆動されることによってウォ
ータポンプ32が駆動されるようになっている。
ク11の左端部には、ウォータポンプ室31に連続する
一対の吐出ポート37及び同ポート37から両バンク2
1a,21bのウォータジャケット23内に連通する一
対の開口部38が形成されている。
エンジン潤滑油の通路について説明する。図4に示すよ
うに、シリンダブロック11の左端部には、図示しない
オイルポンプに接続されたオイル供給通路39が形成さ
れている。また、図1,2に示すように、シリンダブロ
ック11内には、前記冷却水通路29の下側において同
通路29と平行に延びる油通路としてのメインオイル通
路40が形成されている。
中央部には各軸受部15a〜15dに対応して前記メイ
ンオイル通路40から下方に延びる油供給路としてのク
ランク用オイル通路41a〜41dがそれぞれ形成さ
れ、同通路41a〜41dを介して各軸受部15a〜1
5dに対して潤滑油が供給されるようになっている。ま
た、図3に示すように、シリンダブロック11にはメイ
ンオイル通路40から各バンク21a,21bに対応し
て上方に延びる2つのヘッド用オイル通路42が形成さ
れ、それらの開口42aが各バンク21a,21bの上
端面に位置している。そして、これらの開口42aから
シリンダヘッド内部の通路を介して図示しないカムシャ
フトのジャーナル面へ潤滑油が供給されるようになって
いる。
両バンク21a,21b間の谷部24には、図1,2に
示すように、前記冷却水通路29内に突出された突出部
43,44が2つ形成されている。そして、各突出部4
3,44内には図2に示すように全体がコ字状をなす連
通路45,46がそれぞれ形成されており、各連通路4
5,46における両開口45a,45b,46a,46
bはいずれも前記メインオイル通路40に開口されてい
る。
通路45,46の左端側開口45a,46aは、シリン
ダブロック11の中央部分に設けられた2つのクランク
用オイル通路41b,41cの開口47b,47cと対
向する位置にそれぞれ開口されている。これに対して、
各連通路45,46の右端側開口45b,46bは図5
に示すように、クランク用オイル通路41b,41c,
41dの各開口47b,47c,47dの間にそれぞれ
形成されている。従って、各連通路45,46内にはメ
インオイル通路40内の潤滑油が流入可能となってい
る。尚、前記突出部43,44及び連通路45,46に
より熱交換部が形成されている。
におけるシリンダブロック11の作用について説明す
る。図2において、図示しないラジエータの出口部から
圧送された冷却水が、ウォータインレット30を介して
シリンダブロック11の冷却水通路29に導入される。
すると、冷却水は冷却水通路29内を図中左方向へ流れ
た後、ウォータポンプ室31に導入される。そして、そ
の冷却水はウォータポンプ32に設けられたインペラ3
5の回転による遠心力によって外方へ圧送され、吐出ポ
ート37から開口部38を経てウォータジャケット23
へと圧送される。冷却水はウォータジャケット23を循
環して各バンク21a,21bを冷却した後、ラジエー
タ内に戻される。
れた潤滑油は前記オイル供給通路39を介してメインオ
イル通路40に導入され、図2において、同通路40内
を図中右方向に流れる。この際、潤滑油はメインオイル
通路40に隣接している冷却水通路29を流れる冷却水
によって冷却される。
分岐してクランク用オイル通路41a〜41d及びヘッ
ド用オイル通路42内へと導入される。そして、クラン
ク用オイル通路41a〜41dに導入された潤滑油は、
クランクケース13の軸受部15a〜15dからクラン
クシャフト12のクランクジャーナル16a〜16dに
供給され、各ジャーナル面の潤滑に供される。また、ヘ
ッド用オイル通路42に導入された潤滑油は、その開口
42aからシリンダヘッド内部の通路を通じてカムシャ
フトのジャーナルに供給され、そのジャーナル面の潤滑
に供される。
ーナル16a〜16dに油受穴19がそれぞれ開口され
ているため、クランクシャフト12が回転すると、その
回転に伴って各油受穴19と軸受部15a〜15dの油
供給孔14とが一時的に連通した状態となる。このよう
に、油受穴19と油供給孔14が連通した状態となる
と、メインオイル通路40内の潤滑油はクランク用オイ
ル通路41a〜41d及び油供給孔14を介して各油受
穴19内に導入される。従って、クランク用オイル通路
内41a〜41dを図5の下方に移動している潤滑油の
量が一時的に増大するとともに、同通路41a〜41d
内における内圧は低下する。即ち、クランク用オイル通
路41a〜41d内における内圧は、クランクシャフト
12の回転に伴って高圧状態と低圧状態が交互に繰り返
される脈動圧となっている。
けられている2つのクランク用オイル通路41b,41
c内においてこのような圧力脈動が生じると、その圧力
は各クランク用オイル通路41b,41cの開口47
b,47cから圧力波となって、同開口47b,47c
と対向して位置する前記各連通路45,46の左端側開
口45a,46aに達する。すると、各連通路45,4
6内の左端側開口45a,46a近傍の潤滑油は図5の
下方、即ち、クランク用オイル通路41b,41cの開
口47b,47c側に向けて移動する。
の矢印にて示すように、右端側開口45b,46bから
左端側開口45a,46aに向かう潤滑油の移動が生
じ、メインオイル通路40内の潤滑油は各連通路45,
46の右端側開口45b,46bから吸引され、各連通
路45,46内を移動した後、左端側開口45a,46
aからクランク用オイル通路41b,41cの開口47
b,47c側に導入される。本実施の形態では、クラン
クジャーナル16b,16cに形成されている油受穴1
9を貫通穴としたため、前述したような各連通路45,
46内における潤滑油の移動がクランクシャフト12が
一回転する間に二回繰り返される。
インオイル通路40内の潤滑油が強制的に各連通路4
5,46内を循環している。そして、各連通路45,4
6は冷却水通路29内に突出するように形成された突出
部43,44内に形成されているため、その内部を流れ
る潤滑油と冷却水通路29内の冷却水との熱交換率が向
上されている。従って、連通路45,46内を強制的に
循環される潤滑油は、冷却水通路29内の冷却水により
効果的に冷却されることによって、その温度上昇が抑制
される。
におけるシリンダブロックは以下に示す(a)〜(d)
の効果を奏する。 (a)本実施の形態では、クランク用オイル通路41
b,41c内に生じる圧力脈動を利用することにより冷
却効率の大きい連通路45,46内にメインオイル通路
40内の潤滑油を強制的に循環させている。従って、メ
インオイル通路40内の潤滑油をより効果的に冷却する
ことができる。そのため、本実施の形態におけるシリン
ダブロック構造を、潤滑油の循環量が多い大型エンジン
に対して採用した場合でも、その潤滑油を十分に冷却す
ることができ、潤滑油の温度上昇を抑制することができ
る。
に突出する突出部43,44を2つ形成し、各突出部4
3,44内にそれぞれ連通路45,46を形成して同通
路45,46内にメインオイル通路40の潤滑油を循環
させている。このように複数の連通路45,46を形成
することによって、より多くの潤滑油を同時に冷却する
ことができ効果的に潤滑油を冷却することができる。
通路29に沿って設け、メインオイル通路40内の潤滑
油を冷却水通路29内の冷却水によって冷却するように
したため、潤滑油を冷却するためのオイルクーラ等の冷
却装置や冷却用の配管を別途設ける必要がない。従っ
て、エンジン潤滑系における省スペース化或いは低コス
ト化を図ることができる。
ル通路41b,41c内に生じる潤滑油の圧力脈動を利
用して連通路45,46内に潤滑油を強制的に循環させ
ている。従って、従来のシリンダブロック構造に対して
潤滑油を強制的に循環させるための駆動源を新たに付加
することなく、簡易な構成により潤滑油の循環させるこ
とができる。
の形態について説明する。尚、以下の第2〜4の実施の
形態は、前記突出部43,44、及びその内部に形成さ
れる連通路45,46等の構造が上記第1の実施の形態
と異なるのみであり、他の構成については同様である。
従って、上記第1の実施の形態との相違点を中心にして
説明するとともに、第1の実施の形態と同様の構成につ
いては同一の符号を付してその説明を省略する。
形態について図6及び図7を参照して説明する。本実施
の形態における突出部48は図6,7に示すように、冷
却水通路29内に突出して形成されており、その内部に
は全体がコ字状となった連通路49が形成されている。
この連通路49は、図7に示すように、両端開口49
a,49bがメインオイル通路40に開口されており、
同通路40内の潤滑油が流入可能となっている。また、
連通路49の両端開口49a,49bは、図7に示すよ
うに、クランクケース13の中央に設けられた2つのク
ランク用オイル通路41b,41cの開口47b,47
cとそれぞれ対向する位置に開口されている。
41cから潤滑油の供給を受けるクランクジャーナル1
6b,16cは、第1の実施の形態において説明したよ
うに周方向における開口位置が90°異なる油受穴19
をそれぞれ有している。従って、各クランク用オイル通
路41b,41c内において生じる潤滑油の圧力脈動は
位相の異なるものとなっている。
受部15b,15cの油供給孔14に対して連通された
状態となっている場合、他方は油供給孔14に対して遮
断された状態となり、また、各油受穴19の開口の他方
が前記油供給孔14に連通された状態となっている場
合、一方が油供給孔14に対して遮断された状態とな
る。従って、前記各クランク用オイル通路41b,41
c内における潤滑油の移動は交互に生じることとなる。
41b,41c内における潤滑油の移動が交互に生じる
と、連通路49内における潤滑油は往復移動をするよう
になる。即ち、図7において左側に示すクランク用オイ
ル通路41b内において潤滑油の移動が生じると、同ク
ランク用オイル通路41b内の圧力は低下し、その低下
した圧力は圧力波となって前記連通路49の左端側開口
49aに伝播される。その結果、連通路49において左
端側開口49a近傍にある潤滑油は、前記クランク用オ
イル通路41bの開口47b側へ吸引される。従って、
メインオイル通路40内の潤滑油は、図7の実線矢印に
て示すように、連通路49の右端側開口49bから吸引
されて、同連通路49の左端側開口49aに向けて移動
する。
ランク用オイル通路41c内において潤滑油の移動が生
じると、上記と同様の作用により連通路49において右
端側開口49b近傍にある潤滑油は、前記クランク用オ
イル通路41cの開口47c側へ吸引される。従って、
メインオイル通路40内の潤滑油は、図7の点線矢印に
て示すように、連通路49の左端側開口49aから吸引
されて、同連通路49の右端側開口49bに向けて移動
する。
ランク用オイル通路41b,41c内における潤滑油の
移動が交互に生じることによって、連通路49内におけ
る潤滑油は往復移動する。また、本実施の形態ではクラ
ンクジャーナル16b,16cに形成された各油受穴1
9は周方向における開口位置が90°異なる貫通穴であ
るため、前述したような連通路49内における潤滑油の
往復移動はクランクシャフト12が一回転する間に2回
行われる。
における効果(c),(d)に加え、以下に示す効果
(e),(f)を奏するものである。 (e)本実施の形態では、メインオイル通路40内にお
ける潤滑油を各クランク用オイル通路41b,41c内
で生じる位相の異なる圧力脈動を利用して、冷却効果の
大きい連通路49内で往復移動させている。従って、メ
インオイル通路40内の潤滑油をより効果的に冷却する
ことができ、その温度上昇を抑制することができる。
両端開口49a,49bは、隣接したクランク用オイル
通路41b,41cのメインオイル通路40側開口47
b,47cに対向する位置に開口するようにした。従っ
て、冷却水通路29内を通過する連通路49の通路長さ
L(図7において示す)を長く設定することができ、よ
り多くの潤滑油を効果的に冷却することができる。
を参照して第3の実施の形態について説明する。本実施
の形態における突出部50,51は、図8に示すように
クランクケース13の中央部に設けられた各クランク用
オイル通路41b,41cと対応する位置において、冷
却水通路29内に突出してそれぞれ設けられている。各
突出部50,51内には、上記第1及び第2の実施の形
態において形成されていた連通路49に換えて、上端部
が閉塞された冷却穴52,53がそれぞれ形成されてい
る。この冷却穴52,53の下端部は図8に示すよう
に、メインオイル通路40において前記各クランク用オ
イル通路41b,41cの開口と対向して開口されてお
り、その内部にはメインオイル通路40内の潤滑油が流
入可能となっている。尚、前記突出部50,51、及び
冷却穴52,53により熱交換部が形成されている。
ンク用オイル通路41b,41c内において圧力脈動が
生じると、その圧力は前記各冷却穴52,53の下端側
開口に圧力波となって伝播される。従って、冷却穴5
2,53内に流入されているメインオイル通路40内の
潤滑油はクランク用オイル通路41b,41cの開口4
7b,47c側に吸引され、図9の矢印で示すように移
動する。一方、この移動とともに冷却穴52,53内に
はメインオイル通路40を流通している潤滑油が再び流
入する。即ち、各冷却穴52,53内の潤滑油は、クラ
ンク用オイル通路41b,41c内に圧力脈動が生じる
ことによって入換えられる。従って、メインオイル通路
40内の潤滑油は各冷却穴52,53内に順次流入し、
同穴52,53内にて冷却される。
おける効果(c),(d)に加えて、以下の効果
(g),(h)を奏する。 (g)本実施の形態では、各クランク用オイル通路41
b,41c内の圧力脈動を利用することにより各冷却穴
52,53内の潤滑油を入れ換えるようにしている。こ
の冷却穴52,53は冷却水通路29内に突出して形成
された突出部50,51内に形成されているため冷却作
用が大きく、従って、各冷却穴52,53内においてメ
インオイル通路40内の潤滑油を効果的に冷却すること
ができ、その温度上昇を抑制することができる。
の実施の形態における連通路49に換えて冷却穴52,
53を突出部50,51に形成し、同穴53,53内に
てメインオイル通路40内の潤滑油を冷却するようにし
た。従って、潤滑油を冷却するための構造をより簡易な
ものとすることができる。
形態について図10を参照して説明する。上記第1の実
施の形態において、突出部43,44はシリンダブロッ
ク11と一体的に設けられ、連通路49はその突出部4
3,44の内部に形成されるものであるが、図10に示
すような構成によって熱交換部としての連通路54を形
成することができる。
ク11において、図5に示す各連通路45,46の左端
側開口45a,46aに相当する位置には、図10に示
すような第1円筒部55(図10では、一方の第1円筒
部55のみを示す)がそれぞれ形成されている。同円筒
部55の内部には油孔56が形成されており、同油孔5
6の下端側は、メインオイル通路40において各クラン
ク用オイル通路41b,41cの開口47b,47cと
対向する位置に開口されるとともに、その上端側は冷却
水通路29側に開口されている。
5に示す各連通路45,46の右端側開口45b,46
bに相当する位置には、図10に示すように第2円筒部
57(同図では、一方の第2円筒部57のみを示す)が
形成されている。同円筒部57の内部には第1円筒部5
5と同様に下端側がメインオイル通路40に開口され、
上端側が冷却水通路29側に開口された油孔58が形成
されている。また、第2円筒部57の上端周縁部は図1
0に示すように斜状に形成されている。
ぞれ形成された油孔56,58は連通パイプ59によっ
て連通されている。この連通パイプ59は熱伝導率の大
きいCu(銅)からなり、全体が略円管状に形成されて
いる。そして、連通パイプ59の一端側は、閉塞される
とともに、同パイプ59の管壁が対向するように形成さ
れた平坦部60となっている。そして、平坦部60にお
いて管壁の対向した部分には挿通孔61が同軸上にそれ
ぞれ形成されている。また、連通パイプ59の他端側は
フレア状に拡径形成された拡径部62となっている。
部55の上端部にシール用ガスケット63を介して載置
されている。そして、平坦部60の上面には別のシール
用ガスケット64が配設されるとともに、前記挿通孔6
1内には固定ボルト65が挿通されている。同固定ボル
ト65の下端部分は第1円筒部55の油孔58内にて螺
合されており、この螺合により平坦部60は前記両シー
ル用ガスケット63,64を介して固定ボルト65の頭
部と第1円筒部55との間で締付固定されている。ま
た、前記固定ボルト65の内部には図10に示すような
T字孔66が形成されており、第1円筒部55の油孔5
8内と連通パイプ59内とはこのT字孔66により連通
されている。
10に示すように、前記第2円筒部57の上端部周縁部
において斜状に形成された部分に当接して配置されてい
る。連通パイプ59にはフレアナット67が挿通されて
おり、同フレアナット67は第2円筒部57の外周部分
に螺合されている。この螺合により前記拡径部62はフ
レアナット67と第2円筒部57との間で締付固定され
ている。
56、T字孔66、連通パイプ59の内部、及び第2円
筒部57の油孔58により前記連通路54が形成されて
おり、この連通路54により第1の実施の形態における
連通路54と略同様の作用を得ることができる。従っ
て、本実施の形態では第1の実施の形態における効果
(a)〜(d)と同様の効果を奏することができる。ま
た、本実施の形態では前記効果に加えて、以下に示す効
果(i)を奏する。
うに連通路54の大部分が連通パイプ59の内部により
構成されている。この連通パイプ59は熱伝率の大きい
Cuにより形成されるとともに、その外周部分において
冷却水通路29内の冷却水と接している。従って、冷却
水通路29内の冷却水と連通パイプ59内の潤滑油との
間における熱交換率を大幅に増加させることができ、潤
滑油をより効果的に冷却することができる。
にその構成を変更して具体化することができる。 (1)各実施の形態において、クランクジャーナル16
b,16cにおいて形成される油受穴19は貫通孔とし
たが、例えば、一端が閉塞されるものであってもよい。
突出部43,44,48に形成される連通路45,4
6,49は断面コ字状としたが、同形状に限定されるこ
となく、いかなる形状であってもよい。
43,44内に形成される冷却穴52,53は、例え
ば、図11に示すように断面三角形状とすることによっ
て、冷却水と潤滑油との熱交換率を増加させ、また、冷
却穴52,53内において澱みなく潤滑油が流れるよう
にすることができる。
イプ59の肉厚を薄くすることによって、冷却水通路2
9内の冷却水と連通パイプ59内の潤滑油との熱交換率
を増加させ、更に潤滑油を効果的に冷却することができ
る。
プ59の材質はCuの他にも、例えばAl(アルミニウ
ム)等の熱伝導率の大きい材料を採用することができ
る。 (6)第4の実施の形態では、主に連通パイプ59によ
り第1の実施の形態における連通路45,46に相当す
る連通路54を構成したが、第2の実施の形態における
連通路49も同様にして連通パイプ59により構成する
ことができる。即ち、図7にて示す第2の実施の形態に
おいて、シリンダブロック11には連通路49の左端側
開口49aに相当する位置に、第4の実施の形態と同様
の第1円筒部55を形成するとともに、連通路49の右
端側開口49bに相当する位置に第2円筒部57を形成
する。そして、両円筒部55,57の内部を連通パイプ
59により連通させる。このような構成とすれば、第2
の実施の形態と略同様の作用効果を奏することができる
ことに加え、潤滑油の冷却効率を更に向上させることが
できる。
ム合金製のシリンダブロック11及び蓋板27を用いた
が、鋳鉄製のシリンダブロックを用いたり、鋳鉄製、ス
テンレス製の蓋板を用いるようにしてもよい。
リンダブロック構造をガソリンエンジンについて適用し
たが、ディーゼルエンジンにも適用することができる。
以上、本発明を具体化した実施の形態について詳細に説
明したが、各実施の形態から把握される技術的思想につ
いてその効果とともに以下に記載する。 (イ)請求項1に記載したV型エンジンのシリンダブロ
ック構造において、冷却水通路に突出して形成される熱
交換部は複数設けられるものであること。
る潤滑油を更に効果的に冷却することができる。 (ロ)請求項2に記載したV型エンジンのシリンダブロ
ック構造において、連通路をパイプ材により形成し、同
パイプ材の外周部分を冷却水通路の冷却水に接するよう
にしたこと。
る潤滑油と冷却水通路内における冷却水との熱交換率を
増加させることができ、潤滑油を効果的に冷却すること
ができる。
換部内の潤滑油が強制的に入れ換えられるため、油通路
内の潤滑油を効果的に冷却することができる。また、請
求項2及び3記載の発明では、熱交換部を連通路により
形成し、同連通路内に油通路内の潤滑油を強制循環させ
るようにしたため、その冷却効率を更に向上させること
ができる。
側断面図。
正断面図。
正断面図。
部分拡大断面図。
分拡大断面図。
図。
図。
力軸)、14…油供給孔、15a〜15d…軸受部、1
8…油穴、19…油受穴(油穴)、20…分岐孔(油
穴)、21a,21b…バンク、24…谷部、29…冷
却水通路、40…メインオイル通路(油通路)、41a
〜41d…クランク用オイル通路(油供給路)、43,
44…突出部(熱交換部)、45,46…連通路(熱交
換部)、48…突出部(熱交換部)、49…連通路(熱
交換部)、50,51…突出部(熱交換部)、52,5
3…冷却穴(熱交換部)、54…連通路(熱交換部)。
Claims (3)
- 【請求項1】 エンジンの出力軸を中心として略V字状
に配設された一対のバンクと、前記両バンク間の谷部に
より形成された冷却水通路と、前記冷却水通路の長手方
向に沿ってシリンダブロック内に形成されたエンジン潤
滑系の油通路とを備え、前記出力軸を回転自在に支持す
る軸受部には油供給孔を形成するとともに、その油供給
孔と前記油通路を油供給路により連通し、前記油通路内
の油を前記油供給路を介して前記油供給孔に供給するよ
うにしたV型エンジンのシリンダブロック構造におい
て、 前記油供給路の油通路側開口と対向する位置に、前記冷
却水通路内に突出し、且つ、前記油通路内の油が流入可
能な熱交換部を配設したことを特徴とするV型エンジン
のシリンダブロック構造。 - 【請求項2】 前記熱交換部は、 前記油通路において、一端が前記油供給路の開口と対向
する位置に開口され、他端が前記油供給路の開口と離間
した位置に開口された連通路であることを特徴とする請
求項1記載のV型エンジンのシリンダブロック構造。 - 【請求項3】 少なくとも一対の前記軸受部により前記
出力軸が回転可能に支持されるとともに、その出力軸に
おいて前記各軸受部により支持される位置には、周方向
における開口位置が異なる油穴がそれぞれ形成され、そ
の各油穴内には前記各油供給路及び各油供給孔を介して
前記油通路の油が供給される請求項1記載のV型エンジ
ンのシリンダブロック構造において、 前記熱交換部は、前記油通路において、一端が前記一方
の油供給路の開口と対向する位置に開口され、他端が前
記他方の油供給路の開口と対向する位置に開口された連
通路であることを特徴とするV型エンジンのシリンダブ
ロック構造。
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