JP3487033B2 - Pbt樹脂成形材料 - Google Patents

Pbt樹脂成形材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、電気・電
子部品、自動車部品等に使用されるPBT樹脂成形材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】PBT樹脂は、ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂であり、このプラスチックは、エステル基を分
子内に持つ芳香族ポリエステルの一種で、結晶性熱可塑
性エンジニアリングプラスチックである。PBT樹脂成
形材料は、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械的特性等
の物性バランスが優れており、成形性が非常に良好であ
るため、電気・電子部品、自動車部品等の素材として広
く利用されている。
【0003】PBT樹脂成形材料は、結晶性樹脂である
ため、ガラス繊維で強化すると、機械的強さ、剛性及び
荷重たわみ温度等が飛躍的に向上する。また、難燃化
が、容易で、優れた難燃グレードが、供給されている。
ところが、ガラス繊維強化のPBT樹脂成形材料は、衝
撃強度及び耐トラッキング性が悪いという欠点があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の事実に
鑑みてなされたもので、その目的とするところは、耐熱
性を維持しながら、衝撃強度及び耐トラッキング性に優
れたガラス繊維強化のPBT樹脂成形材料を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
PBT樹脂成形材料は、PBT樹脂、ポリアミド樹脂、
シラノール基又はカルボキシル基の反応性官能基を有す
る数平均分子量20万〜50万の変性ポリオレフィン樹
脂、相溶化剤として数平均分子量3000〜15000
であり、カルボキシル基の反応性官能基を有する低分子
ポリプロピレン及びガラス繊維を含有する。
【0006】 本発明の請求項2に係るPBT樹脂成形
材料は、請求項1のポリアミド樹脂の含有量が、PBT
樹脂100重量部に対して、25〜150重量部である
ことを特徴とする。
【0007】 本発明の請求項3に係るPBT樹脂成形
材料は、請求項1の変性ポリオレフィン樹脂の含有量
が、PBT樹脂100重量部に対して、5〜75重量部
であることを特徴とする。
【0008】
【0009】 本発明の請求項4に係るPBT樹脂成形
材料は、請求項1の低分子ポリプロピレンを、PBT樹
脂成形材料の全量に対して、1〜10重量%含有するこ
とを特徴とする。
【0010】本発明の請求項5に係るPBT樹脂成形材
料は、難燃剤をも含有することを特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明に用いるポリブチレンテレフタレー
ト樹脂(以下PBT樹脂と記す)は、テレフタル酸(T
PA)、あるいは、テレフタル酸ジメチル(DMT)と
1,4?ブチレングリコール(1,4?BG)とから製
造される。
【0015】本発明に用いるポリアミド樹脂(以下PA
樹脂と記す)は、ジアミンとジカルボン酸とを重縮合す
るか、アミノカルボン酸を重縮合するか、あるいは、ラ
クタムを開環重合することによって製造される。
【0016】本発明に用いるガラス繊維としては、通常
プラスチックの補強材として用いることができるもの
を、そのまま用いることができる。
【0017】本発明に係るPBT樹脂成形材料は、PB
T樹脂、PA樹脂、シラノール基又はカルボキシル基の
反応性官能基を有する数平均分子量20万〜50万の変
性ポリオレフィン樹脂、相溶化剤として数平均分子量3
000〜15000であり、カルボキシル基の反応性官
能基を有する低分子ポリプロピレン及びガラス繊維を含
有することが必要である。すなわち、PBT樹脂成形材
料に、補強材としてガラス繊維を使用することにより、
PBT樹脂成形材料を成形して得られる成形品の機械的
強さ、剛性及び荷重たわみ温度等が向上し、かつ、PA
樹脂を含むことにより、耐トラッキング性が付与され、
衝撃強度、熱変形温度等が向上する。ガラス繊維として
は、例えば、繊維長さが3mm程度で、繊維径が10〜
13μm程度のものが、強度及び外観上から好ましく、
また、カップリング剤処理されたものは、樹脂との濡れ
性を良くするので、さらに好ましい。
【0018】本発明に係るPBT樹脂成形材料は、例え
ば、シラノール基又はカルボキシル基の反応性官能基を
有する変性ポリプロピレン樹脂(以下変性PP樹脂と記
す)の変性ポリオレフィン樹脂をも含有することが必要
で、成形品の衝撃強度を向上させる。この変性ポリオレ
フィン樹脂の数平均分子量は、20万〜50万であるこ
とが、必要である。
【0019】本発明に係るPBT樹脂成形材料は、例え
ば、数平均分子量3000〜15000であり、カルボ
キシル基の反応性官能基をグラフト化した低分子ポリプ
ロピレン(以下低分子PPと記す)の相溶化剤をも含有
することが必要で、PBT樹脂成形材料の全量に対し
て、1〜10重量%含有することにより、衝撃強度が向
上するため、好ましい。
【0020】本発明に係るPBT樹脂成形材料は、難燃
剤をも含有することが、難燃性を付与できる点で好まし
い。この難燃剤としては、三酸化アンチモン及びテトラ
ブロムビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、赤燐、有
機燐化合物、水酸化アルミニウム等を用いることができ
る。
【0021】本発明に係るPBT樹脂成形材料は、前記
PA樹脂の含有量が、PBT樹脂100重量部に対し
て、25〜150重量部であることが好ましい。すなわ
ち、前記PA樹脂の含有量が、PBT樹脂100重量部
に対して、25重量部未満の場合には、耐トラッキング
性、衝撃強度、熱変形温度等の向上の効果が低下し、1
50重量部を越える場合には、寸法精度、耐湿性等が悪
くなる傾向にある。
【0022】本発明に係るPBT樹脂成形材料は、前記
シラノール基又はカルボキシル基の反応性官能基を有す
る変性ポリオレフィン樹脂の含有量が、PBT樹脂10
0重量部に対して、5〜75重量部であることが好まし
い。すなわち、前記反応性官能基を有する変性ポリオレ
フィン樹脂の含有量が、PBT樹脂100重量部に対し
て、5重量部未満の場合には、衝撃強度向上の効果が低
下し、75重量部を越える場合には、熱変形温度が低く
なる傾向にある。
【0023】PBT樹脂成形材料は、原材料として、前
記材料の他に、必要に応じて、ワックス等の離型剤、カ
ーボンブラック等の顔料並びにタルク及びマイカ等の充
填剤等を添加して使用してもよい。
【0024】PBT樹脂成形材料は、例えば、前記原材
料を二軸押出機等により、シリンダー温度240〜26
0℃程度で混練押出を行い、紐状のストランドにして、
冷却後、ペレタイザーでペレットにすることにより製造
される。ところが、ガラス繊維強化のPBT樹脂成形材
料は、耐トラッキング性が悪い。そこで、ガラス繊維強
化のPBT樹脂成形材料の耐トラッキング性を向上させ
るために、PA樹脂とPBT樹脂とのポリマーアロイを
形成する。さらに、PA樹脂とシラノール基又はカルボ
キシル基を有する変性PP樹脂の反応性官能基を有する
変性ポリオレフィン樹脂及び相溶化剤として数平均分子
量3000〜15000であり、カルボキシル基の反応
性官能基を有する低分子ポリプロピレンとを併用して、
PBT樹脂とポリマーアロイを形成する必要がある。す
なわち、PBT樹脂100重量部に対して、前記PA樹
脂を25〜150重量部、さらに、反応性官能基を有す
る変性ポリオレフィン樹脂をも5〜75重量部、カルボ
キシル基の反応性官能基を有する低分子ポリプロピレン
添加して、ポリマーアロイを行う。これにより、耐熱
性と機械特性と耐トラッキング性とのバランスが良い成
形品を与えるPBT樹脂成形材料が得られる。
【0025】具体的には、アイゾット衝撃強さ(ノッチ
付き)(ASTM D256)については、従来のガラ
ス繊維強化のPBT樹脂成形材料が6kgf・cm/c
m程度であるのに対して、PA樹脂とPBT樹脂とのポ
リマーアロイ品では、9kgf・cm/cm程度とな
り、PA樹脂と反応性官能基を有する変性ポリオレフィ
ン樹脂とPBT樹脂とのポリマーアロイ品では、10k
gf・cm/cm程度となり、アイゾット衝撃強さが改
善される。さらに、カルボキシル基の反応性官能基をグ
ラフト化した低分子PP等の相溶化剤、例えば、無水マ
レイン酸変性低分子PP等の相溶化剤をも、PBT樹脂
成形材料の全量に対して、1〜10重量%添加したPA
樹脂と反応性官能基を有する変性ポリオレフィン樹脂と
PBT樹脂とのポリマーアロイ品では、11〜13kg
f・cm/cm程度となり、アイゾット衝撃強さが、よ
り一層改善される。DIN KA法(DIN5348
0)に基づく耐トラッキング性は、従来のガラス繊維強
化のPBT樹脂成形材料が2〜10滴であるのに対し
て、PA樹脂と反応性官能基を有する変性ポリオレフィ
ンとカルボキシル基の反応性官能基を有する低分子PP
とPBT樹脂とのポリマーアロイ品では、101滴を越
えるようになり、耐トラッキング性が著しく改善され
る。
【0026】また、さらに、三酸化アンチモン及びテト
ラブロムビスフェノールAタイプエポキシ樹脂等の難燃
剤をも添加することにより、難燃性が向上する。
【0027】以上のようにして、耐熱性と機械特性と耐
トラッキング性とのバランスの良いPBT樹脂成形材料
が得られる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0029】(実施例1〜実施例2(出願当初明細書の
実施例2、3)並びに比較例1〜比較例5)PBT樹
脂、PA樹脂、変性PP樹脂の樹脂成分とガラス繊維、
相溶化剤と、難燃剤とを表1に示した配合で用い、PB
T樹脂成形材料の原材料とした。ここで、樹脂として、
PBT樹脂(三菱レイヨン社製:品番N1300)、P
A樹脂(東レ社製:商品名アミランCM1017)を用
い、さらに、変性PP樹脂としては、実施例1、2
は、数平均分子量が40万のカルボキシル基変性PP樹
脂(宇部興産社製:品番ZP644)を用いた。
【0030】相溶化剤として、数平均分子量が5000
の無水マレイン酸変性低分子PP(三洋化成工業社製:
商品名ユーメックス1001)を用いた。
【0031】難燃剤として、三酸化アンチモンとテトラ
ブロムビスフェノールAタイプエポキシ樹脂とを1対1
の重量部の割合で使用し、難燃剤配合のものは、PBT
樹脂成形材料の全量に対して、難燃剤を15重量%含有
するようにした。ガラス繊維は、繊維長3mmのガラス
繊維用いた。PBT樹脂成形材料は、表1に示した配合
でガラス繊維を除きコーンブレンダーを用いて10分間
混合した後、前記原材料を二軸押出機に供給し、ガラス
繊維は、PBT樹脂成形材料の全量に対して20重量%
になるようにサイドフィードにより供給し、シリンダー
温度240〜260℃で混練押出を行い、紐状のストラ
ンドにして、冷却後、ペレタイザーでペレットにするこ
とにより、PBT樹脂成形材料を得た。
【0032】
【表1】
【0034】表1の結果、本発明の実施例1〜実施例2
では、比較例1〜5に比べて、耐熱性を維持しながら、
耐トラッキング性、アイゾット衝撃強さ及び熱変形温度
に優れていることが確認できた。
【0035】
【発明の効果】本発明の請求項1に係るPBT樹脂成形
材料によると、PBT樹脂、ポリアミド樹脂、シラノー
ル基又はカルボキシル基の反応性官能基を有する数平均
分子量20万〜50万の変性ポリオレフィン樹脂、相溶
化剤としてカルボキシル基の反応性官能基を有する数平
均分子量3000〜15000の低分子ポリプロピレン
及びガラス繊維を含有するため、耐熱性を維持しなが
ら、衝撃強度及び耐トラッキング性に優れる。
【0036】本発明の請求項2に係るPBT樹脂成形材
料によると、前記ポリアミド樹脂の含有量が、PBT樹
脂100重量部に対して、25〜150重量部であるた
め、耐熱性を維持しながら、衝撃強度及び耐トラッキン
グ性に優れる。
【0037】本発明の請求項3に係るPBT樹脂成形材
料によると、前記変性ポリオレフィン樹脂の含有量が、
PBT樹脂100重量部に対して、5〜75重量部であ
るため、耐熱性を維持しながら、衝撃強度及び耐トラッ
キング性に優れる。
【0038】請求項4に係るPBT樹脂成形材料による
と、相溶化剤としてカルボキシル基の反応性官能基を有
する数平均分子量3000〜15000の低分子ポリプ
ロピレンを、PBT樹脂成形材料の全量に対して、1〜
10重量%含有するため、さらに、衝撃強度に優れる。
【0039】本発明の請求項5に係るPBT樹脂成形材
料によると、難燃剤をも含有するため、難燃性に優れ
る。
【0040】
【0041】

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PBT樹脂、ポリアミド樹脂、シラノー
    ル基又はカルボキシル基の反応性官能基を有する数平均
    分子量20万〜50万の変性ポリオレフィン樹脂、相溶
    化剤として数平均分子量3000〜15000であり、
    カルボキシル基の反応性官能基を有する低分子ポリプロ
    ピレン及びガラス繊維を含有することを特徴とするPB
    T樹脂成形材料。
  2. 【請求項2】 請求項1のポリアミド樹脂の含有量が、
    PBT樹脂100重量部に対して、25〜150重量部
    であることを特徴とする請求項1記載のPBT樹脂成形
    材料。
  3. 【請求項3】 請求項1の変性ポリオレフィン樹脂の含
    有量が、PBT樹脂100重量部に対して、5〜75重
    量部であることを特徴とする請求項1乃至請求項2いず
    れかに記載のPBT樹脂成形材料。
  4. 【請求項4】 請求項の低分子ポリプロピレンを、P
    BT樹脂成形材料の全量に対して、1〜10重量%含有
    することを特徴とする請求項1乃至請求項いずれかに
    記載のPBT樹脂成形材料。
  5. 【請求項5】 難燃剤をも含有することを特徴とする請
    求項1乃至請求項いずれかに記載のPBT樹脂成形材
    料。
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