JP3482114B2 - インク転写プリンタ及びインク転写用アタッチメント - Google Patents
インク転写プリンタ及びインク転写用アタッチメントInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを記録紙に
転写することにより記録紙上に画像を形成するインク転
写プリンタに関するものである。
転写することにより記録紙上に画像を形成するインク転
写プリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクを普通紙等の記録紙に
転写するプリンタとして、ノズルからインクを微粒子と
して記録紙に吹き付けるインクジェットプリンタが知ら
れている。
転写するプリンタとして、ノズルからインクを微粒子と
して記録紙に吹き付けるインクジェットプリンタが知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなインクジェットプリンタは、ノズルと記録紙との間
にある程度のギャップを必要とするため、ノズルから噴
射されたインクが広い範囲に飛び散るという欠点があ
り、これが解像度を向上させる上での障害となってい
る。また、ノズルの内径が大きすぎると解像度が低下
し、小さすぎると目詰まりを起し易くなることから、ノ
ズルの内径を高精度に加工しなければならず、製造コス
トがかかるという問題点がある。さらに、複数のノズル
を一方向に配列してラインヘッド化するのが難しいこと
から、プリント速度が遅いという問題点がある。
うなインクジェットプリンタは、ノズルと記録紙との間
にある程度のギャップを必要とするため、ノズルから噴
射されたインクが広い範囲に飛び散るという欠点があ
り、これが解像度を向上させる上での障害となってい
る。また、ノズルの内径が大きすぎると解像度が低下
し、小さすぎると目詰まりを起し易くなることから、ノ
ズルの内径を高精度に加工しなければならず、製造コス
トがかかるという問題点がある。さらに、複数のノズル
を一方向に配列してラインヘッド化するのが難しいこと
から、プリント速度が遅いという問題点がある。
【0004】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたも
のであり、高解像度を得ることができると共に、製造コ
ストを低減することができ、且つラインヘッド化の容易
なインク転写プリンタを提供することを目的とするもの
である。
のであり、高解像度を得ることができると共に、製造コ
ストを低減することができ、且つラインヘッド化の容易
なインク転写プリンタを提供することを目的とするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明のインク転写プリンタは、複数の発熱体を所
定の方向に配列したサーマルラインヘッドと、該サーマ
ルラインヘッドに対向配置され所定の貫通孔を有するフ
ィルムと、記録紙をフィルムのサーマルラインヘッドと
反対側の面に密着させる付勢手段と、サーマルラインヘ
ッドとフィルムの間に設けられたインクを保持するため
のスペースと、記録紙を順次搬送する搬送手段とを備え
て構成されるものである。そして、サーマルラインヘッ
ドの発熱体により当該スペース中のインク及びフィルム
を選択的に加熱することによって、該インクがフィルム
の貫通孔を透過して記録紙に転写されるよう構成される
ものである。
め、本発明のインク転写プリンタは、複数の発熱体を所
定の方向に配列したサーマルラインヘッドと、該サーマ
ルラインヘッドに対向配置され所定の貫通孔を有するフ
ィルムと、記録紙をフィルムのサーマルラインヘッドと
反対側の面に密着させる付勢手段と、サーマルラインヘ
ッドとフィルムの間に設けられたインクを保持するため
のスペースと、記録紙を順次搬送する搬送手段とを備え
て構成されるものである。そして、サーマルラインヘッ
ドの発熱体により当該スペース中のインク及びフィルム
を選択的に加熱することによって、該インクがフィルム
の貫通孔を透過して記録紙に転写されるよう構成される
ものである。
【0006】このように構成すれば、フィルムが記録紙
に接触しているため、(ノズルと記録紙の間にギャップ
が必要なインクジェットプリンタと異なり)インクの飛
び散りによる解像度の低下が生じない。従って、それだ
け高い解像度を得ることができる。また、インクジェッ
トプリンタのノズルの代わりにフィルムの貫通孔を利用
するため、構成が簡単になり、製造コストを大幅に低減
することができる。また、フィルムの貫通孔を利用する
ことによって、ラインヘッド化が容易となり、プリント
速度の高速化が可能になる。
に接触しているため、(ノズルと記録紙の間にギャップ
が必要なインクジェットプリンタと異なり)インクの飛
び散りによる解像度の低下が生じない。従って、それだ
け高い解像度を得ることができる。また、インクジェッ
トプリンタのノズルの代わりにフィルムの貫通孔を利用
するため、構成が簡単になり、製造コストを大幅に低減
することができる。また、フィルムの貫通孔を利用する
ことによって、ラインヘッド化が容易となり、プリント
速度の高速化が可能になる。
【0007】また、フィルムが記録紙に接触しているた
め、インクの転写状態が記録紙の表面状態によって変化
する。例えば、表面のなめらかな記録紙に比べ、表面の
粗い記録紙にはインクが多く転写される。通常のインク
ジェットプリンタでは、記録紙の表面状態に関わらず吐
出量が一定であるため、表面の粗い記録紙の場合、表面
のなめらかな記録紙に比べドットが小さくなってしま
う。これに対し、本発明では、記録紙の表面状態によっ
てインクの転写量が変化するため、記録紙の表面状態に
かかわらず良好なドット径が得られる。
め、インクの転写状態が記録紙の表面状態によって変化
する。例えば、表面のなめらかな記録紙に比べ、表面の
粗い記録紙にはインクが多く転写される。通常のインク
ジェットプリンタでは、記録紙の表面状態に関わらず吐
出量が一定であるため、表面の粗い記録紙の場合、表面
のなめらかな記録紙に比べドットが小さくなってしま
う。これに対し、本発明では、記録紙の表面状態によっ
てインクの転写量が変化するため、記録紙の表面状態に
かかわらず良好なドット径が得られる。
【0008】なお、インクの加熱に伴ってインク内に生
じる圧力により、インクの貫通孔の透過が可能になるよ
う構成すれば、不必要な時にはインクが貫通孔に入り込
まないため、インクの目詰まりを防止することができ
る。さらに、加熱により弾性係数が小さくなるフィルム
を使用すれば、上記のインク内圧力と、フィルムの弾性
係数の低下との相乗効果によってインクの上記貫通孔の
透過が可能になるよう構成することが可能になる。この
ように構成すれば、インク内の圧力を比較的小さくする
ことができる。
じる圧力により、インクの貫通孔の透過が可能になるよ
う構成すれば、不必要な時にはインクが貫通孔に入り込
まないため、インクの目詰まりを防止することができ
る。さらに、加熱により弾性係数が小さくなるフィルム
を使用すれば、上記のインク内圧力と、フィルムの弾性
係数の低下との相乗効果によってインクの上記貫通孔の
透過が可能になるよう構成することが可能になる。この
ように構成すれば、インク内の圧力を比較的小さくする
ことができる。
【0009】通常のインクジェットプリンタでは、吐出
されたインクが記録紙上で早く乾燥することが望ましい
(特にカラープリンタの場合)。そこで、インクが記録
紙に早く染み込むよう、インクの濃度は低く設定されて
いる。そのため、記録紙上でのインクがにじみ易いとい
う問題点がある。これに対し、本発明のインク転写プリ
ンタでは、インクが加熱された状態で記録紙に転写され
る上、インクが転写された記録紙もフィルムに接触して
ある程度加熱されることから、記録紙に転写されたイン
クが乾きやすい。このようにインクが乾きやすい上、上
述したように貫通孔が目詰まりし難いことから、インク
の濃度を高く設定できる。そのため、にじみが少なく、
高品質のプリント画像を得ることができる。
されたインクが記録紙上で早く乾燥することが望ましい
(特にカラープリンタの場合)。そこで、インクが記録
紙に早く染み込むよう、インクの濃度は低く設定されて
いる。そのため、記録紙上でのインクがにじみ易いとい
う問題点がある。これに対し、本発明のインク転写プリ
ンタでは、インクが加熱された状態で記録紙に転写され
る上、インクが転写された記録紙もフィルムに接触して
ある程度加熱されることから、記録紙に転写されたイン
クが乾きやすい。このようにインクが乾きやすい上、上
述したように貫通孔が目詰まりし難いことから、インク
の濃度を高く設定できる。そのため、にじみが少なく、
高品質のプリント画像を得ることができる。
【0010】あるいは、温度により極性が親水性と疎水
性の間で可逆的に変化する素材で上記フィルムを構成す
れば、加熱に伴うフィルムの極性変化によってインクの
貫通孔の透過が可能になるよう構成することも可能であ
る。さらに、上記親水性/疎水性の変化と、加熱に伴う
インクの粘度の低下との相乗効果である表面張力の低下
によってインクの上記貫通孔の透過が可能になるよう構
成しても良い。
性の間で可逆的に変化する素材で上記フィルムを構成す
れば、加熱に伴うフィルムの極性変化によってインクの
貫通孔の透過が可能になるよう構成することも可能であ
る。さらに、上記親水性/疎水性の変化と、加熱に伴う
インクの粘度の低下との相乗効果である表面張力の低下
によってインクの上記貫通孔の透過が可能になるよう構
成しても良い。
【0011】なお、フィルムは、サーマルラインヘッド
に、インクを透過しない素材で構成されたスペーサーを
介して貼り合わされ、フィルムとサーマルラインヘッド
及びスペーサーに囲まれた領域が上記スペースとなる
(なお、スペーサーは接着剤であっても良い)。このよ
うに構成すれば、インクを保持するための構成が簡単に
なる。また、当該スペースにインクを補給するインク容
器を、発熱体の配列方向に長い容器とすることも可能で
ある。このように構成すれば、インク容器の側面視にお
けるサイズを小さくすることができる。また、発熱体を
当該スペース内に位置させれば、発熱体の熱をより効果
的にインクに伝達することができる。
に、インクを透過しない素材で構成されたスペーサーを
介して貼り合わされ、フィルムとサーマルラインヘッド
及びスペーサーに囲まれた領域が上記スペースとなる
(なお、スペーサーは接着剤であっても良い)。このよ
うに構成すれば、インクを保持するための構成が簡単に
なる。また、当該スペースにインクを補給するインク容
器を、発熱体の配列方向に長い容器とすることも可能で
ある。このように構成すれば、インク容器の側面視にお
けるサイズを小さくすることができる。また、発熱体を
当該スペース内に位置させれば、発熱体の熱をより効果
的にインクに伝達することができる。
【0012】なお、一つの発熱体にフィルムの複数の貫
通孔が対応するよう構成すれば、フィルムの孔と発熱体
の位置を正確に合わせる必要がなくなる。あるいは、発
熱体の配列方向において、一つの貫通孔に複数の発熱体
が対応するよう構成すれば、一つの貫通孔に対応する発
熱体のうち幾つを加熱させるかによって、階調付けを行
うことが可能になる。
通孔が対応するよう構成すれば、フィルムの孔と発熱体
の位置を正確に合わせる必要がなくなる。あるいは、発
熱体の配列方向において、一つの貫通孔に複数の発熱体
が対応するよう構成すれば、一つの貫通孔に対応する発
熱体のうち幾つを加熱させるかによって、階調付けを行
うことが可能になる。
【0013】また、通常のインクジェットプリンタでは
ノズル径が変化しないため、インクが出るか出ないかの
2通りしかない。そのため、階調付けを行うためには、
インクの吐出回数を変えるなど、複雑な制御が要求され
る。これに対し、本発明では発熱体に印可するエネルギ
ーにより貫通孔の径が変化することから、一つの貫通孔
から記録紙に転写されるインクの量を微妙に可変するこ
とができる。即ち、簡単な方法でエネルギー階調が可能
になる。
ノズル径が変化しないため、インクが出るか出ないかの
2通りしかない。そのため、階調付けを行うためには、
インクの吐出回数を変えるなど、複雑な制御が要求され
る。これに対し、本発明では発熱体に印可するエネルギ
ーにより貫通孔の径が変化することから、一つの貫通孔
から記録紙に転写されるインクの量を微妙に可変するこ
とができる。即ち、簡単な方法でエネルギー階調が可能
になる。
【0014】また、フィルムは、記録紙の搬送方向(発
熱体の配列方向と直交する方向)に記録紙と摺接するた
め、記録紙に転写されるドットの形状は、発熱体の配列
方向と直交する方向に変形する可能性がある。そこで、
記録紙の搬送を逐次停止してプリントを行うことも可能
だが、フィルムの貫通孔を発熱体の配列方向に長く形成
すれば、記録紙との摺接に伴うドットの変形を補正する
ことが可能になる。このようにすれば、記録紙の搬送を
逐次停止してプリントを行う場合に比べ、プリント速度
が高速になる。
熱体の配列方向と直交する方向)に記録紙と摺接するた
め、記録紙に転写されるドットの形状は、発熱体の配列
方向と直交する方向に変形する可能性がある。そこで、
記録紙の搬送を逐次停止してプリントを行うことも可能
だが、フィルムの貫通孔を発熱体の配列方向に長く形成
すれば、記録紙との摺接に伴うドットの変形を補正する
ことが可能になる。このようにすれば、記録紙の搬送を
逐次停止してプリントを行う場合に比べ、プリント速度
が高速になる。
【0015】フィルムの貫通孔は針などで穿孔すること
ができる。フィルムへの穿孔は、(インクジェットプリ
ンタにおける)ノズルの加工に比べはるかに簡単である
ことから、製造コストを大幅に低減することができる。
また、貫通孔を、フィルムの厚み方向に対して所定角度
傾斜するよう形成すれば、インクの溶剤の蒸発量を減ら
すことができる。また、このフィルムをサーマルヘッド
と例えばプラテンローラとの間で常時加圧するよう構成
すれば、貫通孔が押しつぶされ閉口するので、プリンタ
の未使用時に不用意な振動を与えても、インクが貫通孔
から漏れることが無い。また、フィルムを多孔性材料で
構成すれば、貫通孔を穿孔する必要が無くなり、製造コ
ストがさらに低減する。
ができる。フィルムへの穿孔は、(インクジェットプリ
ンタにおける)ノズルの加工に比べはるかに簡単である
ことから、製造コストを大幅に低減することができる。
また、貫通孔を、フィルムの厚み方向に対して所定角度
傾斜するよう形成すれば、インクの溶剤の蒸発量を減ら
すことができる。また、このフィルムをサーマルヘッド
と例えばプラテンローラとの間で常時加圧するよう構成
すれば、貫通孔が押しつぶされ閉口するので、プリンタ
の未使用時に不用意な振動を与えても、インクが貫通孔
から漏れることが無い。また、フィルムを多孔性材料で
構成すれば、貫通孔を穿孔する必要が無くなり、製造コ
ストがさらに低減する。
【0016】フィルムを形状記憶樹脂、即ち温度により
ガラス状態とゴム状態との間で可逆的に変化する材質で
構成しても良い。この場合、フィルムをゴム状態(ガラ
ス転移点以上形状付与温度以下)にした上で貫通孔を穿
孔すれば、常温では貫通孔が閉じたままガラス状態にな
るようにすることができる。このように構成すれば、プ
リンタの未使用時に不用意な振動を与えても、貫通孔が
閉じているため、インクが貫通孔から漏れることが無
い。
ガラス状態とゴム状態との間で可逆的に変化する材質で
構成しても良い。この場合、フィルムをゴム状態(ガラ
ス転移点以上形状付与温度以下)にした上で貫通孔を穿
孔すれば、常温では貫通孔が閉じたままガラス状態にな
るようにすることができる。このように構成すれば、プ
リンタの未使用時に不用意な振動を与えても、貫通孔が
閉じているため、インクが貫通孔から漏れることが無
い。
【0017】また、本発明のインク転写用アタッチメン
トは、支持プレートと、所定の貫通孔を有するフィルム
とを対向配置すると共に、支持プレートとフィルムの間
のスペースにインクを保持するよう構成されている。当
該アタッチメントを、支持プレートがサーマルラインヘ
ッドに対向し、フィルムが記録紙搬送経路に対向するよ
う、サーマルラインプリンタに装着することにより、サ
ーマルラインヘッドにより加熱されたアタッチメント内
のインクがフィルムを透過して記録紙に転写されること
が可能になる。また、アタッチメントを外せば、そのま
まサーマルラインプリンタとして使用することができ
る。
トは、支持プレートと、所定の貫通孔を有するフィルム
とを対向配置すると共に、支持プレートとフィルムの間
のスペースにインクを保持するよう構成されている。当
該アタッチメントを、支持プレートがサーマルラインヘ
ッドに対向し、フィルムが記録紙搬送経路に対向するよ
う、サーマルラインプリンタに装着することにより、サ
ーマルラインヘッドにより加熱されたアタッチメント内
のインクがフィルムを透過して記録紙に転写されること
が可能になる。また、アタッチメントを外せば、そのま
まサーマルラインプリンタとして使用することができ
る。
【0018】このように構成することにより、既存のサ
ーマルラインプリンタにアタッチメントを装着するだけ
でインク転写プリンタとして使用する事が可能になる。
なお、アタッチメントをサーマルラインプリンタの挿入
口から挿入できるよう構成すれば、アタッチメントの装
着が容易になる上、メンテナンスも容易になる。
ーマルラインプリンタにアタッチメントを装着するだけ
でインク転写プリンタとして使用する事が可能になる。
なお、アタッチメントをサーマルラインプリンタの挿入
口から挿入できるよう構成すれば、アタッチメントの装
着が容易になる上、メンテナンスも容易になる。
【0019】また、本発明のインク転写プリンタは、イ
ンクを含浸した多孔性の円筒支持体と、円筒支持体上で
摺動可能に保持され、所定の貫通孔を有するフィルム
と、円筒支持体と平行に、且つフィルムとの間で記録紙
を挟み込むよう配置されたプラテンローラと、円筒支持
体に組み込まれ該円筒支持体の軸方向と平行に複数の発
熱体を配列したサーマルラインヘッドと、を備えて構成
することができる。このように構成すれば、記録紙の搬
送に伴いフィルムが(円筒支持体上を)移動するため、
フィルムと記録紙との滑り接触が生じない。従って、円
筒支持体の表面を平滑に構成すれば、フィルムにかかる
ずれ応力を低減することができる。また、インクが尾を
引くことも防止されるため、記録紙に転写されるドット
の変形が防止される。
ンクを含浸した多孔性の円筒支持体と、円筒支持体上で
摺動可能に保持され、所定の貫通孔を有するフィルム
と、円筒支持体と平行に、且つフィルムとの間で記録紙
を挟み込むよう配置されたプラテンローラと、円筒支持
体に組み込まれ該円筒支持体の軸方向と平行に複数の発
熱体を配列したサーマルラインヘッドと、を備えて構成
することができる。このように構成すれば、記録紙の搬
送に伴いフィルムが(円筒支持体上を)移動するため、
フィルムと記録紙との滑り接触が生じない。従って、円
筒支持体の表面を平滑に構成すれば、フィルムにかかる
ずれ応力を低減することができる。また、インクが尾を
引くことも防止されるため、記録紙に転写されるドット
の変形が防止される。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係るインク転写プリンタ
の第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実
施形態のインク転写プリンタ1の基本構成を示す側断面
図である。インク転写プリンタ1は、複数の発熱体35
を紙面に直交する方向に配列したサーマルラインヘッド
3と、当該サーマルラインヘッド3にスペーサー8を介
して貼り合わせられたフィルム2とを備えている。サー
マルラインヘッド3とフィルム2との間には約0.1m
mの隙間が設けられている。
の第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実
施形態のインク転写プリンタ1の基本構成を示す側断面
図である。インク転写プリンタ1は、複数の発熱体35
を紙面に直交する方向に配列したサーマルラインヘッド
3と、当該サーマルラインヘッド3にスペーサー8を介
して貼り合わせられたフィルム2とを備えている。サー
マルラインヘッド3とフィルム2との間には約0.1m
mの隙間が設けられている。
【0021】スペーサー8とサーマルラインヘッド3の
ケース3aは、インクを透過させない材質で形成されて
おり、スペーサー8と、サーマルラインヘッド3のケー
ス3aと、フィルム2とによって囲まれた領域がインク
を保持するインクスペースCとなる。なお、フィルム2
とサーマルヘッド3の発熱体35とは僅かに離れている
か、あるいは接している。
ケース3aは、インクを透過させない材質で形成されて
おり、スペーサー8と、サーマルラインヘッド3のケー
ス3aと、フィルム2とによって囲まれた領域がインク
を保持するインクスペースCとなる。なお、フィルム2
とサーマルヘッド3の発熱体35とは僅かに離れている
か、あるいは接している。
【0022】フィルム2の上方には、フィルム2の上面
に記録紙Pを密着させるためのプラテンローラ4が設け
られている。プラテンローラ4は所謂ゴムローラであ
り、その軸方向がサーマルラインヘッド3の発熱体35
の配列方向と一致するよう配置されている。そして、プ
ラテンローラ4が回転すると、記録紙Pとの間にトラク
ションが作用し、図中矢印方向に記録紙Pが搬送され
る。
に記録紙Pを密着させるためのプラテンローラ4が設け
られている。プラテンローラ4は所謂ゴムローラであ
り、その軸方向がサーマルラインヘッド3の発熱体35
の配列方向と一致するよう配置されている。そして、プ
ラテンローラ4が回転すると、記録紙Pとの間にトラク
ションが作用し、図中矢印方向に記録紙Pが搬送され
る。
【0023】図2は、プラテンローラ4を除くインク転
写プリンタ1の分解斜視図である。スペーサー8は、一
列に配列された発熱体35を四方から囲む薄いプレート
であり、インクスペースCには全ての発熱体35が収容
されている。スペーサー8の後方(図中左奥)には、イ
ンクスペースCにインクを補給するためのインク容器6
が設けられており、インク容器6のインクはスペーサー
8に形成された連通孔85を通って毛細管現象によって
インクスペースCまで引き込まれる。なお、スペーサー
8は接着剤であっても良い。
写プリンタ1の分解斜視図である。スペーサー8は、一
列に配列された発熱体35を四方から囲む薄いプレート
であり、インクスペースCには全ての発熱体35が収容
されている。スペーサー8の後方(図中左奥)には、イ
ンクスペースCにインクを補給するためのインク容器6
が設けられており、インク容器6のインクはスペーサー
8に形成された連通孔85を通って毛細管現象によって
インクスペースCまで引き込まれる。なお、スペーサー
8は接着剤であっても良い。
【0024】フィルム2において発熱体35の上方に当
たる部分には、多数の細孔25が穿孔されている。常温
常圧における細孔の大きさは、インク(液体)及びイン
クの溶剤蒸気を透過しない大きさに設定されている。図
3に、細孔25と発熱体35との位置関係を示す。発熱
体35の配列方向(主走査方向:X方向)において、一
つの発熱体35に対し複数の細孔25が対応している。
また、細孔25は、当該配列方向に直交する方向(副走
査方向:Y方向)において、千鳥状に配列されている。
たる部分には、多数の細孔25が穿孔されている。常温
常圧における細孔の大きさは、インク(液体)及びイン
クの溶剤蒸気を透過しない大きさに設定されている。図
3に、細孔25と発熱体35との位置関係を示す。発熱
体35の配列方向(主走査方向:X方向)において、一
つの発熱体35に対し複数の細孔25が対応している。
また、細孔25は、当該配列方向に直交する方向(副走
査方向:Y方向)において、千鳥状に配列されている。
【0025】フィルム2の材質は、ある程度の弾性が有
り、耐磨耗性、耐熱性及び転写性に優れたものが望まし
く、本実施形態では、ポリテトラフルオロエチレン(テ
フロン(商標))を用いる。また、フィルム2の厚さは
0.03〜0.08mmである。
り、耐磨耗性、耐熱性及び転写性に優れたものが望まし
く、本実施形態では、ポリテトラフルオロエチレン(テ
フロン(商標))を用いる。また、フィルム2の厚さは
0.03〜0.08mmである。
【0026】図4(a)、(b)に、インク転写プリン
タ1による画像形成の原理について模式的に示す。図4
(a)において発熱体35が発熱すると、発熱体35の
近傍のインクと発熱体35にほぼ接しているフィルム2
が加熱される。図4(b)に示すように、加熱されたイ
ンクは気化・膨張し、その蒸気圧によりインクに局所的
な圧力が生ずる。また、フィルム2の加熱部分は弾性係
数が低下する。かくして、上記圧力によりインクがフィ
ルム2の細孔25に押し込まれ、フィルム2の(柔らか
くなった)細孔25は押し広げられる。そして、インク
は、フィルム2の細孔25を透過し、フィルム2の上面
に密着している記録紙P(図4では省略)に転写され
る。転写後、インク及びフィルム2の加熱部分は周囲の
インクに冷却されるため、フィルム2の細孔25は元の
大きさ(インクを透過させない大きさ)に戻る。
タ1による画像形成の原理について模式的に示す。図4
(a)において発熱体35が発熱すると、発熱体35の
近傍のインクと発熱体35にほぼ接しているフィルム2
が加熱される。図4(b)に示すように、加熱されたイ
ンクは気化・膨張し、その蒸気圧によりインクに局所的
な圧力が生ずる。また、フィルム2の加熱部分は弾性係
数が低下する。かくして、上記圧力によりインクがフィ
ルム2の細孔25に押し込まれ、フィルム2の(柔らか
くなった)細孔25は押し広げられる。そして、インク
は、フィルム2の細孔25を透過し、フィルム2の上面
に密着している記録紙P(図4では省略)に転写され
る。転写後、インク及びフィルム2の加熱部分は周囲の
インクに冷却されるため、フィルム2の細孔25は元の
大きさ(インクを透過させない大きさ)に戻る。
【0027】従って、図1において、所望のプリント情
報に従ってサーマルラインヘッド3の発熱制御を行うと
共に、プラテンローラ4を回転制御して記録紙Pを1ラ
インづつ搬送することによって、記録紙P上に二次元の
インク画像を形成することができる。
報に従ってサーマルラインヘッド3の発熱制御を行うと
共に、プラテンローラ4を回転制御して記録紙Pを1ラ
インづつ搬送することによって、記録紙P上に二次元の
インク画像を形成することができる。
【0028】このように、第1実施形態のインク転写プ
リンタ1によると、フィルム2と記録紙Pとを接触させ
た状態でインク転写を行うため、ノズルと記録紙Pの間
にギャップがあるインクジェットプリンタのようなイン
クの飛散が生じない。従って、インクの飛散に伴う解像
度の低下が生じず、それだけ解像度を向上させることが
可能となる。また、フィルム2に細孔25を形成する加
工は、インクジェットプリンタのようなノズルの加工に
比べ簡単であることから、製造コストを低減することが
できる。
リンタ1によると、フィルム2と記録紙Pとを接触させ
た状態でインク転写を行うため、ノズルと記録紙Pの間
にギャップがあるインクジェットプリンタのようなイン
クの飛散が生じない。従って、インクの飛散に伴う解像
度の低下が生じず、それだけ解像度を向上させることが
可能となる。また、フィルム2に細孔25を形成する加
工は、インクジェットプリンタのようなノズルの加工に
比べ簡単であることから、製造コストを低減することが
できる。
【0029】また、フィルム2と記録紙Pが接触してい
るため、インクの転写状態が記録紙Pの表面状態によっ
て変化する。例えば、表面のなめらかな記録紙Pに比
べ、表面の粗い記録紙Pにはインクが多く転写される。
通常のインクジェットプリンタでは、記録紙の表面状態
に関わらず吐出量が一定であるため、表面の粗い記録紙
の場合、表面のなめらかな記録紙に比べドットが小さく
なってしまう。これに対し、実施形態のインク転写プリ
ンタ1によると、記録紙の表面状態によってインクの転
写量が変化するため、記録紙の表面状態にかかわらず良
好なドット径が得られる。
るため、インクの転写状態が記録紙Pの表面状態によっ
て変化する。例えば、表面のなめらかな記録紙Pに比
べ、表面の粗い記録紙Pにはインクが多く転写される。
通常のインクジェットプリンタでは、記録紙の表面状態
に関わらず吐出量が一定であるため、表面の粗い記録紙
の場合、表面のなめらかな記録紙に比べドットが小さく
なってしまう。これに対し、実施形態のインク転写プリ
ンタ1によると、記録紙の表面状態によってインクの転
写量が変化するため、記録紙の表面状態にかかわらず良
好なドット径が得られる。
【0030】また、図3に示すように、主走査方向(X
方向)において一つの細孔25に複数の発熱体35が対
応しており、細孔25が副走査方向(Y方向)に千鳥状
に配置されているため、フィルム2とサーマルラインヘ
ッド3との位置が正確に合っていなくても発熱体35に
はいずれかの細孔25が対応する。従って、フィルム2
とサーマルラインヘッド3との位置合わせを比較的粗く
行うことができる。
方向)において一つの細孔25に複数の発熱体35が対
応しており、細孔25が副走査方向(Y方向)に千鳥状
に配置されているため、フィルム2とサーマルラインヘ
ッド3との位置が正確に合っていなくても発熱体35に
はいずれかの細孔25が対応する。従って、フィルム2
とサーマルラインヘッド3との位置合わせを比較的粗く
行うことができる。
【0031】さらに、記録紙Pの搬送に伴って、細孔2
5の形状は記録紙Pの搬送方向(副走査方向:Y方向)
に長く変形する上、フィルム2から記録紙Pに転写され
るインクはY方向に尾を引くため、記録紙P上のドット
形状はY方向に長くなる傾向がある。そこで、図3に示
すように、フィルム2の細孔を予め主走査方向(X方
向)に長く形成しておけば、細孔25の変形及びインク
の尾引きによるドット形状の変形を補正することができ
る。
5の形状は記録紙Pの搬送方向(副走査方向:Y方向)
に長く変形する上、フィルム2から記録紙Pに転写され
るインクはY方向に尾を引くため、記録紙P上のドット
形状はY方向に長くなる傾向がある。そこで、図3に示
すように、フィルム2の細孔を予め主走査方向(X方
向)に長く形成しておけば、細孔25の変形及びインク
の尾引きによるドット形状の変形を補正することができ
る。
【0032】なお、図5に示すように、主走査方向(X
方向)において一つの細孔25に複数の発熱体35’を
対応させる構成も可能である。このように構成すれば、
一つの細孔25に対応する複数の発熱体35’のうち幾
つを加熱させるかによって、記録紙Pに転写されるドッ
トの大きさを段階的に変えることができる。即ち、階調
付けが可能になる。なお、図3の発熱体35を用いた場
合には、個々の発熱体35に与える発熱エネルギー(電
圧又は印加時間)を変えることによって、やはり階調付
けが可能になる。
方向)において一つの細孔25に複数の発熱体35’を
対応させる構成も可能である。このように構成すれば、
一つの細孔25に対応する複数の発熱体35’のうち幾
つを加熱させるかによって、記録紙Pに転写されるドッ
トの大きさを段階的に変えることができる。即ち、階調
付けが可能になる。なお、図3の発熱体35を用いた場
合には、個々の発熱体35に与える発熱エネルギー(電
圧又は印加時間)を変えることによって、やはり階調付
けが可能になる。
【0033】通常のインクジェットプリンタではノズル
径が変化しないため、インクが出るか出ないかの2通り
しかない。そのため、階調付けを行うためには、インク
の吐出回数を変えるなど、複雑な制御が要求される。こ
れに対し、本実施形態のインク転写プリンタ1では、発
熱体35に印可するエネルギーにより貫通孔25の径が
変化することから、一つの貫通孔25から記録紙Pに転
写されるインクの量を微妙に可変することができる。即
ち、簡単な方法でエネルギー階調を行うことができる。
径が変化しないため、インクが出るか出ないかの2通り
しかない。そのため、階調付けを行うためには、インク
の吐出回数を変えるなど、複雑な制御が要求される。こ
れに対し、本実施形態のインク転写プリンタ1では、発
熱体35に印可するエネルギーにより貫通孔25の径が
変化することから、一つの貫通孔25から記録紙Pに転
写されるインクの量を微妙に可変することができる。即
ち、簡単な方法でエネルギー階調を行うことができる。
【0034】さらに、通常のインクジェットプリンタで
は、吐出されたインクが記録紙上で早く乾燥することが
望ましい(特にカラープリンタの場合)ことから、イン
クが記録紙に早く染み込むよう、インクの濃度は低く設
定されている。そのため、記録紙上でのインクがにじみ
易いという問題点がある。これに対し、本実施形態のイ
ンク転写プリンタ1では、インクが加熱された状態で記
録紙Pに転写される上、記録紙Pもフィルムに接触して
ある程度加熱されることから、記録紙Pに転写されたイ
ンクが乾きやすい。このようにインクが乾きやすい上、
上述したように貫通孔が目詰まりし難いことから、イン
クの濃度を高く設定できる。そのため、にじみが少な
く、高品質のプリント画像を得ることができる。
は、吐出されたインクが記録紙上で早く乾燥することが
望ましい(特にカラープリンタの場合)ことから、イン
クが記録紙に早く染み込むよう、インクの濃度は低く設
定されている。そのため、記録紙上でのインクがにじみ
易いという問題点がある。これに対し、本実施形態のイ
ンク転写プリンタ1では、インクが加熱された状態で記
録紙Pに転写される上、記録紙Pもフィルムに接触して
ある程度加熱されることから、記録紙Pに転写されたイ
ンクが乾きやすい。このようにインクが乾きやすい上、
上述したように貫通孔が目詰まりし難いことから、イン
クの濃度を高く設定できる。そのため、にじみが少な
く、高品質のプリント画像を得ることができる。
【0035】また、図2では、一つのインクスペースC
の中に全ての発熱体35が配置されているが、図6に示
すように、発熱体35を別々のインクスペースC’に収
容する構成も可能である。このように構成すれば、発熱
体35の熱あるいはそれに伴う圧力を効率的にインクの
透過圧に変換することができる。
の中に全ての発熱体35が配置されているが、図6に示
すように、発熱体35を別々のインクスペースC’に収
容する構成も可能である。このように構成すれば、発熱
体35の熱あるいはそれに伴う圧力を効率的にインクの
透過圧に変換することができる。
【0036】さらに、フィルム2の細孔25を、図7に
示すようにフィルム2の厚み方向tに対して所定角度傾
斜するよう形成し、プラテンローラ4とサーマルヘッド
3との間で常時フィルム2を加圧するよう構成すれば、
フィルム2の細孔25はつぶれた状態で閉口する。その
ため、未使用時に不用意な圧力が加わっても、インクが
細孔25を透過することが無い。
示すようにフィルム2の厚み方向tに対して所定角度傾
斜するよう形成し、プラテンローラ4とサーマルヘッド
3との間で常時フィルム2を加圧するよう構成すれば、
フィルム2の細孔25はつぶれた状態で閉口する。その
ため、未使用時に不用意な圧力が加わっても、インクが
細孔25を透過することが無い。
【0037】なお、フィルム2は、形状記憶樹脂により
構成することが可能である。形状記憶樹脂は、図8に温
度と縦弾性係数の一例を示すように、ガラス転移温度T
g以下ではガラス状態(領域a)、Tg以上ではゴム状
態(領域b)となるものである。この場合、フィルム2
をTg以上(且つ形状付与温度To以下)に加熱しゴム
状態とした上で細孔25を穿孔すれば、Tg以下では貫
通孔が閉じたままガラス状態となる。そのため、プリン
タ未使用時に不用意な圧力が加わっても、インクが細孔
25を透過することが無い。また、インクの溶剤の蒸発
が抑制されるため、目詰まりを防止することもできる。
なお、このような形状記憶樹脂としては、ポリノルボル
ネン、トランス−1,4−ポリイソプレン、ポリウレタ
ン等からなる樹脂がある。
構成することが可能である。形状記憶樹脂は、図8に温
度と縦弾性係数の一例を示すように、ガラス転移温度T
g以下ではガラス状態(領域a)、Tg以上ではゴム状
態(領域b)となるものである。この場合、フィルム2
をTg以上(且つ形状付与温度To以下)に加熱しゴム
状態とした上で細孔25を穿孔すれば、Tg以下では貫
通孔が閉じたままガラス状態となる。そのため、プリン
タ未使用時に不用意な圧力が加わっても、インクが細孔
25を透過することが無い。また、インクの溶剤の蒸発
が抑制されるため、目詰まりを防止することもできる。
なお、このような形状記憶樹脂としては、ポリノルボル
ネン、トランス−1,4−ポリイソプレン、ポリウレタ
ン等からなる樹脂がある。
【0038】上記の形状記憶樹脂には、温度により極性
が疎水性と親水性との間で可逆的に変化するという性質
がある。即ち、ゴム領域(領域b)では親水性であり、
ガラス状態(領域a)では疎水性である。従って、フィ
ルム2を上記の形状記憶樹脂で構成し、親水性のインク
を用いた場合には、疎水性を呈するガラス状態ではイン
クを透過せず、親水性を呈するゴム状態でのみインクを
透過させる。このように構成すれば、サーマルヘッド3
の加熱によるインク内の圧力発生等を利用しなくても、
インクを選択的に透過させることが可能である。なお、
この場合、Tgは数十度であることが望ましい。
が疎水性と親水性との間で可逆的に変化するという性質
がある。即ち、ゴム領域(領域b)では親水性であり、
ガラス状態(領域a)では疎水性である。従って、フィ
ルム2を上記の形状記憶樹脂で構成し、親水性のインク
を用いた場合には、疎水性を呈するガラス状態ではイン
クを透過せず、親水性を呈するゴム状態でのみインクを
透過させる。このように構成すれば、サーマルヘッド3
の加熱によるインク内の圧力発生等を利用しなくても、
インクを選択的に透過させることが可能である。なお、
この場合、Tgは数十度であることが望ましい。
【0039】また、一般に、インクの粘度は温度と共に
低下するため、上記の極性変化との相乗効果でフィルム
2に対するインクの表面張力は低下する。このような表
面張力の低下によってインクのフィルム透過を可能にす
ることもできる。なお、温度により極性が変化する材料
は、上形状記憶樹脂に限らず、他のものでも良い。
低下するため、上記の極性変化との相乗効果でフィルム
2に対するインクの表面張力は低下する。このような表
面張力の低下によってインクのフィルム透過を可能にす
ることもできる。なお、温度により極性が変化する材料
は、上形状記憶樹脂に限らず、他のものでも良い。
【0040】なお、図9に示すように、インク容器6か
らインクスペースCへのインク供給を円滑に行うため
に、サーマルヘッド3の発熱体35とフィルム2との間
に多孔質体Dを介在させることができる。このように構
成すれば、多孔質体Dに含浸したインクがフィルム2の
各細孔25に供給される。従って、インクの細孔25へ
の侵入がインク中に残留する気泡によって妨げられるこ
とが無い。
らインクスペースCへのインク供給を円滑に行うため
に、サーマルヘッド3の発熱体35とフィルム2との間
に多孔質体Dを介在させることができる。このように構
成すれば、多孔質体Dに含浸したインクがフィルム2の
各細孔25に供給される。従って、インクの細孔25へ
の侵入がインク中に残留する気泡によって妨げられるこ
とが無い。
【0041】また、フィルム2の細孔25を針などで穿
孔して形成する代わりに、フィルム2を多孔質体で構成
し、その開気孔を細孔25として利用しても良い。
孔して形成する代わりに、フィルム2を多孔質体で構成
し、その開気孔を細孔25として利用しても良い。
【0042】次に、図1に示すインク転写プリンタを採
用したカラープリンタについて説明する。図10は、カ
ラープリンタ10の側断面図である。カラープリンタ1
0は、図1のサーマルラインヘッド3、フィルム2、プ
ラテンローラ4及びインク容器6からなるインク転写ユ
ニットを、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シア
ン),BK(ブラック)に対応するよう4組並列に配置
したものである。
用したカラープリンタについて説明する。図10は、カ
ラープリンタ10の側断面図である。カラープリンタ1
0は、図1のサーマルラインヘッド3、フィルム2、プ
ラテンローラ4及びインク容器6からなるインク転写ユ
ニットを、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シア
ン),BK(ブラック)に対応するよう4組並列に配置
したものである。
【0043】Y,M,C,BKの夫々に対応するインク
転写ユニット51,52,53,54は、夫々上から順
に、インク容器61,62,63,64と、サーマルラ
インヘッド31,32,33,34と、フィルム21,
22,23,24と、プラテンローラ41,42,4
3,44とにより構成されている。
転写ユニット51,52,53,54は、夫々上から順
に、インク容器61,62,63,64と、サーマルラ
インヘッド31,32,33,34と、フィルム21,
22,23,24と、プラテンローラ41,42,4
3,44とにより構成されている。
【0044】カラープリンタ10は、紙面に直交する方
向に延びる直方体形状のハウジング11内を有してい
る。ハウジング11の上面には記録紙Pを挿入するため
の挿入口15が形成され、ハウジング11の前面(図中
右側)には記録紙Pを排出するための排出口16が形成
されている。挿入口15と排出孔16を結ぶラインが記
録紙搬送経路(一点鎖線)となる。
向に延びる直方体形状のハウジング11内を有してい
る。ハウジング11の上面には記録紙Pを挿入するため
の挿入口15が形成され、ハウジング11の前面(図中
右側)には記録紙Pを排出するための排出口16が形成
されている。挿入口15と排出孔16を結ぶラインが記
録紙搬送経路(一点鎖線)となる。
【0045】記録紙搬送経路に対し、ハウジング11の
右上コーナー側の部位は、揺動カバー17となってお
り、挿入口15の近傍に設けられた支軸17aを中心と
して矢印方向に揺動開閉可能に構成されている。揺動カ
バー17に取り付けられたインク容器61,62,6
3,64とサーマルラインヘッド31,32,33,3
4及びフィルム21,22,23,24は記録紙搬送経
路の上方に位置し、ハウジング11本体側に設けられた
プラテンローラ41,42,43,44は記録紙搬送経
路の下方に位置する。
右上コーナー側の部位は、揺動カバー17となってお
り、挿入口15の近傍に設けられた支軸17aを中心と
して矢印方向に揺動開閉可能に構成されている。揺動カ
バー17に取り付けられたインク容器61,62,6
3,64とサーマルラインヘッド31,32,33,3
4及びフィルム21,22,23,24は記録紙搬送経
路の上方に位置し、ハウジング11本体側に設けられた
プラテンローラ41,42,43,44は記録紙搬送経
路の下方に位置する。
【0046】図11及び図12は、図10におけるY
(イエロー)のインク容器61、サーマルラインヘッド
31及びフィルム21を拡大して示す側断面図及び断面
図である。図11に示すように、サーマルラインヘッド
31は発熱体31aを下方に向けた状態で保持されてい
る。また、サーマルラインヘッド31の底面には、スペ
ーサー81を介してフィルム21が貼り付けられ、サー
マルラインヘッド31の底面とフィルム21との隙間が
Yのインクを保持するインクスペースCとなる。当該イ
ンクスペースCとインク容器61とは、図12に示すよ
うに、インク容器61の長手方向両端(図12では一端
のみ示す)に設けられたパイプ71により連結されてい
る。M,C,BKに対応する各インク転写ユニット5
2,53,54の構成も、Yに対応するインク転写ユニ
ット51と同様に構成されている。
(イエロー)のインク容器61、サーマルラインヘッド
31及びフィルム21を拡大して示す側断面図及び断面
図である。図11に示すように、サーマルラインヘッド
31は発熱体31aを下方に向けた状態で保持されてい
る。また、サーマルラインヘッド31の底面には、スペ
ーサー81を介してフィルム21が貼り付けられ、サー
マルラインヘッド31の底面とフィルム21との隙間が
Yのインクを保持するインクスペースCとなる。当該イ
ンクスペースCとインク容器61とは、図12に示すよ
うに、インク容器61の長手方向両端(図12では一端
のみ示す)に設けられたパイプ71により連結されてい
る。M,C,BKに対応する各インク転写ユニット5
2,53,54の構成も、Yに対応するインク転写ユニ
ット51と同様に構成されている。
【0047】図10に示すように、挿入口15の下方に
は、記録紙Pをサーマルラインヘッド31,32,3
3,34に導くためのスロープ14が設けられており、
スロープ14には記録紙Pの挿入を検知するための反射
型フォトセンサ19が設けられている。また、プラテン
ローラ41,42,43,44は、駆動モータ56を駆
動源とし、図示しないギア列を介して回動される。当該
ギア列は、記録紙Pに適度な張力を与えるため、下流の
プラテンローラほど早い周速で回転するように設定され
ている。なお、図中18はバッテリーである。
は、記録紙Pをサーマルラインヘッド31,32,3
3,34に導くためのスロープ14が設けられており、
スロープ14には記録紙Pの挿入を検知するための反射
型フォトセンサ19が設けられている。また、プラテン
ローラ41,42,43,44は、駆動モータ56を駆
動源とし、図示しないギア列を介して回動される。当該
ギア列は、記録紙Pに適度な張力を与えるため、下流の
プラテンローラほど早い周速で回転するように設定され
ている。なお、図中18はバッテリーである。
【0048】図13は、カラープリンタ10の制御系を
示すブロック図である。制御部50には、外部機器であ
るコンピュータからのプリント情報、記録紙Pを検知す
るフォトセンサ19からの信号等が入力され、プラテン
ローラ41,42,43,44を回動するため駆動モー
タ56の駆動制御、及びY,M,C,BKに対応するサ
ーマルラインヘッド31,32,33,34の駆動制御
を行う。
示すブロック図である。制御部50には、外部機器であ
るコンピュータからのプリント情報、記録紙Pを検知す
るフォトセンサ19からの信号等が入力され、プラテン
ローラ41,42,43,44を回動するため駆動モー
タ56の駆動制御、及びY,M,C,BKに対応するサ
ーマルラインヘッド31,32,33,34の駆動制御
を行う。
【0049】記録紙Pがフォトセンサ19によって検知
されると、制御部50はプラテンローラ41,42,4
3,44を回動させ、Y,M,C,BKのプリント情報
に応じてサーマルラインヘッド31,32,33,34
を所定のタイミングで加熱制御する。記録紙Pは、プラ
テンローラ41,42,43,44の回転によって、フ
ィルム21,22,23,24とプラテンローラ41,
42,43,44の間を順次通って搬送される。この
時、サーマルラインヘッド31,32,33,34によ
り選択的に加熱されたインクが、夫々フィルム21,2
2,23,24を透過して記録紙P上に転写される。転
写済みの記録紙Pは、排出口16から排出され、カラー
画像の形成が完了する。
されると、制御部50はプラテンローラ41,42,4
3,44を回動させ、Y,M,C,BKのプリント情報
に応じてサーマルラインヘッド31,32,33,34
を所定のタイミングで加熱制御する。記録紙Pは、プラ
テンローラ41,42,43,44の回転によって、フ
ィルム21,22,23,24とプラテンローラ41,
42,43,44の間を順次通って搬送される。この
時、サーマルラインヘッド31,32,33,34によ
り選択的に加熱されたインクが、夫々フィルム21,2
2,23,24を透過して記録紙P上に転写される。転
写済みの記録紙Pは、排出口16から排出され、カラー
画像の形成が完了する。
【0050】このように、サーマルラインヘッド31,
32,33,34、フィルム21,22,23,24、
プラテンローラ41,42,43,44及びインク容器
61,62,63,64からなる色毎のインク転写ユニ
ット51,52,53,54を、記録紙Pの搬送経路に
沿って並列配置することによって、簡単な構成でフルカ
ラーインク画像を得ることが可能になる。なお、サーマ
ルラインヘッドは、共通のベース(基板)に4列の発熱
体を設けて構成しても良い。
32,33,34、フィルム21,22,23,24、
プラテンローラ41,42,43,44及びインク容器
61,62,63,64からなる色毎のインク転写ユニ
ット51,52,53,54を、記録紙Pの搬送経路に
沿って並列配置することによって、簡単な構成でフルカ
ラーインク画像を得ることが可能になる。なお、サーマ
ルラインヘッドは、共通のベース(基板)に4列の発熱
体を設けて構成しても良い。
【0051】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。第2の実施形態は、特開平7−117307号
等に開示されている既存のサーマルラインプリンタに所
定のアタッチメントを取り付けることによって、インク
転写を行うものである。図14に、アタッチメント11
0と既存のサーマルラインプリンタ100を示す。サー
マルラインプリンタ100は、紙面に直交する方向に長
い直方体形状のハウジング105内を有し、ハウジング
105の上面と右側面に夫々設けられた挿入口104と
排紙口106とを結ぶ経路(一点鎖線で示す)に沿って
記録紙を搬送するよう構成されたものである。
明する。第2の実施形態は、特開平7−117307号
等に開示されている既存のサーマルラインプリンタに所
定のアタッチメントを取り付けることによって、インク
転写を行うものである。図14に、アタッチメント11
0と既存のサーマルラインプリンタ100を示す。サー
マルラインプリンタ100は、紙面に直交する方向に長
い直方体形状のハウジング105内を有し、ハウジング
105の上面と右側面に夫々設けられた挿入口104と
排紙口106とを結ぶ経路(一点鎖線で示す)に沿って
記録紙を搬送するよう構成されたものである。
【0052】記録紙搬送経路を挟んで上下に、プラテン
ローラ102とサーマルラインヘッド101とが対向配
置されている。サーマルラインヘッド101は支軸10
1aを中心としてプラテンローラ102に対し近接/離
間する方向に揺動可能であり、ハウジング105内に設
けられた板ばね107によりプラテンローラ102に対
し付勢されている。
ローラ102とサーマルラインヘッド101とが対向配
置されている。サーマルラインヘッド101は支軸10
1aを中心としてプラテンローラ102に対し近接/離
間する方向に揺動可能であり、ハウジング105内に設
けられた板ばね107によりプラテンローラ102に対
し付勢されている。
【0053】アタッチメント110は、紙面に直交する
方向に長い直方体のインク容器116と、当該インク容
器116の底から延出するステンレス製の支持プレート
115と、支持プレート115に対向配置されるフィル
ム112により構成されている。支持プレート115
は、紙面に直交する方向に長く、厚さ0.01〜0.0
2mmのステンレス板であり、自由に撓むことができ
る。また、フィルム112は第1の実施形態のフィルム
2と同様に構成されるものである。支持プレート115
とフィルム112との間にはインクを保持するインクス
ペースCが形成され、当該インクスペースはインク容器
116と連結されている。
方向に長い直方体のインク容器116と、当該インク容
器116の底から延出するステンレス製の支持プレート
115と、支持プレート115に対向配置されるフィル
ム112により構成されている。支持プレート115
は、紙面に直交する方向に長く、厚さ0.01〜0.0
2mmのステンレス板であり、自由に撓むことができ
る。また、フィルム112は第1の実施形態のフィルム
2と同様に構成されるものである。支持プレート115
とフィルム112との間にはインクを保持するインクス
ペースCが形成され、当該インクスペースはインク容器
116と連結されている。
【0054】アタッチメント110の延出部分120
(支持プレート115とフィルム112)は、サーマル
ラインプリンタ100の挿入口104からスロープ10
8に沿って、サーマルラインヘッド101とプラテンロ
ーラ102の間に挿入される。そして、挿入口104か
ら記録紙Pをさらに挿入すると、プラテンローラ102
と延出部分120の間に記録紙Pが挿入され、上から順
に、プラテンローラ102、記録紙P、フィルム11
2、インクスペースC、支持プレート115、サーマル
ラインヘッド101が重なった状態になる。
(支持プレート115とフィルム112)は、サーマル
ラインプリンタ100の挿入口104からスロープ10
8に沿って、サーマルラインヘッド101とプラテンロ
ーラ102の間に挿入される。そして、挿入口104か
ら記録紙Pをさらに挿入すると、プラテンローラ102
と延出部分120の間に記録紙Pが挿入され、上から順
に、プラテンローラ102、記録紙P、フィルム11
2、インクスペースC、支持プレート115、サーマル
ラインヘッド101が重なった状態になる。
【0055】この状態でサーマルラインヘッド101を
加熱すると、アタッチメント110の熱は支持プレート
115を伝わってインクスペースC内のインクに伝達さ
れる。加熱されたインクは、第1の実施形態と同様にフ
ィルム112の細孔を透過し、フィルム112に密着し
ている記録紙Pに転写される。
加熱すると、アタッチメント110の熱は支持プレート
115を伝わってインクスペースC内のインクに伝達さ
れる。加熱されたインクは、第1の実施形態と同様にフ
ィルム112の細孔を透過し、フィルム112に密着し
ている記録紙Pに転写される。
【0056】アタッチメント110は図示しない係止手
段でサーマルラインプリンタ100の上面に固定されて
いるため、プラテンローラ102が回転すると、記録紙
Pのみが搬送される。かくして、サーマルラインヘッド
101とプラテンローラ102との間にアタッチメント
110の延出部分120と記録紙Pを挿入し、サーマル
ラインプリンタ100を駆動する(即ちサーマルライン
ヘッド101を加熱制御すると共にプラテンローラ10
2を回動制御する)ことにより、記録紙Pにインク画像
を形成することが可能になる。
段でサーマルラインプリンタ100の上面に固定されて
いるため、プラテンローラ102が回転すると、記録紙
Pのみが搬送される。かくして、サーマルラインヘッド
101とプラテンローラ102との間にアタッチメント
110の延出部分120と記録紙Pを挿入し、サーマル
ラインプリンタ100を駆動する(即ちサーマルライン
ヘッド101を加熱制御すると共にプラテンローラ10
2を回動制御する)ことにより、記録紙Pにインク画像
を形成することが可能になる。
【0057】このように、この第2実施形態によると、
既存のサーマルラインプリンタ100の挿入口104に
アタッチメント110を装着するだけで、インク転写を
行うことが可能となる。即ち、感熱紙しか使用できない
既存のサーマルラインプリンタ100で、普通紙を使用
することが可能になる。
既存のサーマルラインプリンタ100の挿入口104に
アタッチメント110を装着するだけで、インク転写を
行うことが可能となる。即ち、感熱紙しか使用できない
既存のサーマルラインプリンタ100で、普通紙を使用
することが可能になる。
【0058】次に、本発明の第3の実施形態について説
明する。第1及び第2の実施形態では、搬送される記録
紙がフィルムに対し滑り接触する。そのため、フィルム
から記録紙に転写されるインクが記録紙の搬送方向に尾
を引き、これにより記録紙上に形成されるドットが該搬
送方向に変形する可能性がある。そこで、この第3の実
施形態は、インクの尾引きによるドットの変形を防ぐた
め、フィルムと記録紙が共に移動するよう構成したもの
である。
明する。第1及び第2の実施形態では、搬送される記録
紙がフィルムに対し滑り接触する。そのため、フィルム
から記録紙に転写されるインクが記録紙の搬送方向に尾
を引き、これにより記録紙上に形成されるドットが該搬
送方向に変形する可能性がある。そこで、この第3の実
施形態は、インクの尾引きによるドットの変形を防ぐた
め、フィルムと記録紙が共に移動するよう構成したもの
である。
【0059】図15に示すように、第3の実施形態のプ
リンタ150では、フィルム152は、固定ローラ15
5の外周に周方向に摺動自在に支持されている。なお、
フィルム152は、細孔がフィルム全面に形成されてい
る点を除けば、第1の実施形態と同様の性質を持つもの
である。また、ローラ155は硬質の多孔性の部材(多
孔質セラミックス等)であり、その内部にはインクが含
浸されている。
リンタ150では、フィルム152は、固定ローラ15
5の外周に周方向に摺動自在に支持されている。なお、
フィルム152は、細孔がフィルム全面に形成されてい
る点を除けば、第1の実施形態と同様の性質を持つもの
である。また、ローラ155は硬質の多孔性の部材(多
孔質セラミックス等)であり、その内部にはインクが含
浸されている。
【0060】サーマルラインヘッド153は、ローラ1
55にフィルム152よりも内側に組み込まれており、
その発熱体153aがローラ155の外周近傍に位置す
るよう配置されている。ローラ155の発熱体153a
の先端に当たる位置には、微小なキャビティが設けられ
ており、これがインクを保持するインクスペースCとな
る。また、フィルム152を挟んで発熱体153aと対
向する位置には、フィルム152との間で記録紙Pを挟
み込むプラテンローラ154が配置されている。
55にフィルム152よりも内側に組み込まれており、
その発熱体153aがローラ155の外周近傍に位置す
るよう配置されている。ローラ155の発熱体153a
の先端に当たる位置には、微小なキャビティが設けられ
ており、これがインクを保持するインクスペースCとな
る。また、フィルム152を挟んで発熱体153aと対
向する位置には、フィルム152との間で記録紙Pを挟
み込むプラテンローラ154が配置されている。
【0061】このように構成されているため、プラテン
ローラ154の回転により記録紙Pが搬送されると、記
録紙Pと共にフィルム152が移動し、ローラ155の
外周に沿って摺動する。フィルム152には全面に細孔
が形成されているので、フィルム152が移動しても、
発熱体153aの下方には必ず細孔が位置する。従っ
て、発熱体153aにより加熱されたインクは、発熱体
153aの下方には位置する細孔を透過して記録紙Pに
転写される。かくして、プラテンローラ154の回転と
同期してサーマルラインヘッド152を加熱制御する
と、記録紙Pにインク画像を形成することができる。
ローラ154の回転により記録紙Pが搬送されると、記
録紙Pと共にフィルム152が移動し、ローラ155の
外周に沿って摺動する。フィルム152には全面に細孔
が形成されているので、フィルム152が移動しても、
発熱体153aの下方には必ず細孔が位置する。従っ
て、発熱体153aにより加熱されたインクは、発熱体
153aの下方には位置する細孔を透過して記録紙Pに
転写される。かくして、プラテンローラ154の回転と
同期してサーマルラインヘッド152を加熱制御する
と、記録紙Pにインク画像を形成することができる。
【0062】このように、第3の実施形態によると、フ
ィルム152が記録紙Pと共に移動する(ローラ155
の外周面を摺動する)ため、フィルム152から記録紙
Pに転写されるインクが尾を引くことは無い。従って、
インクの尾引き現象に伴うドットの変形を防止すること
ができる。
ィルム152が記録紙Pと共に移動する(ローラ155
の外周面を摺動する)ため、フィルム152から記録紙
Pに転写されるインクが尾を引くことは無い。従って、
インクの尾引き現象に伴うドットの変形を防止すること
ができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインク転
写プリンタによれば、フィルムが記録紙に接触している
ため、インクジェットプリンタのようなインクの飛び散
りによる解像度の低下が生じない。即ち、それだけ解像
度を向上させることが可能になる。また、フィルムの細
孔を利用することによって構成が簡単になり、製造コス
トを大幅に低減することができる。また、フィルムの細
孔を利用することによって、ラインヘッド化が容易にな
ることから、プリント速度を向上させることが可能にな
る。
写プリンタによれば、フィルムが記録紙に接触している
ため、インクジェットプリンタのようなインクの飛び散
りによる解像度の低下が生じない。即ち、それだけ解像
度を向上させることが可能になる。また、フィルムの細
孔を利用することによって構成が簡単になり、製造コス
トを大幅に低減することができる。また、フィルムの細
孔を利用することによって、ラインヘッド化が容易にな
ることから、プリント速度を向上させることが可能にな
る。
【図1】第1の実施の形態のインク転写プリンタの基本
構成を示す側断面図である。
構成を示す側断面図である。
【図2】プラテンローラを除くインク転写プリンタの分
解斜視図である。
解斜視図である。
【図3】サーマルラインヘッドの発熱体とフィルムの細
孔の関係を示す図である。
孔の関係を示す図である。
【図4】フィルムをインクが透過する原理を示す概略図
である。
である。
【図5】サーマルラインヘッドの発熱体とフィルムの細
孔の関係の別の例を示す図である。
孔の関係の別の例を示す図である。
【図6】サーマルラインヘッドとインクスペースの関係
の別の例を示す図である。
の別の例を示す図である。
【図7】フィルムの細孔を示す断面図である。
【図8】形状記憶樹脂の性質を示すグラフである。
【図9】インクスペースに多孔質体を設けた例を示す側
断面図である。
断面図である。
【図10】図1のインク転写プリンタを採用したカラー
プリンタの基本構成を示す側断面図である。
プリンタの基本構成を示す側断面図である。
【図11】プラテンローラを除くインク転写ユニットの
側断面図である。
側断面図である。
【図12】プラテンローラを除くインク転写ユニットの
断面図である。
断面図である。
【図13】図10のカラープリンタの制御系を示すブロ
ック図である。
ック図である。
【図14】第2の実施の形態のアタッチメントと、それ
が取り付けられるサーマルラインプリンタを示す側面図
である。
が取り付けられるサーマルラインプリンタを示す側面図
である。
【図15】第3の実施の形態のローラ型インク転写プリ
ンタを示す側面図である。
ンタを示す側面図である。
1 インク転写プリンタ
2 フィルム
25 細孔(貫通孔)
3 サーマルラインヘッド
35 発熱体
4 プラテンローラ
6 インク容器
10 カラープリンタ
21,22,23,24 フィルム
31,32,33,34 サーマルラインヘッド
41,42,43,44 プラテンローラ
100 サーマルラインプリンタ
110 アタッチメント
112 フィルム
115 支持プレート
152 フィルム
153 サーマルラインヘッド
155 ローラ
Claims (28)
- 【請求項1】複数の発熱体を所定の方向に配列したサー
マルラインヘッドと、 該サーマルラインヘッドに対向配置され、所定の貫通孔
を有するフィルムと、 記録紙を前記フィルムの前記サーマルラインヘッドと反
対側の面に密着させる付勢手段と、 前記サーマルラインヘッドと前記フィルムの間に設けら
れた、インクを保持するためのスペースと、 前記記録紙を順次搬送する搬送手段と、を備え、前記発熱体は、前記フィルムから離れた状態又は接する
状態で、前記インクを保持するためのスペース内に突出
するように配置されており、 前記サーマルラインヘッドの前記発熱体により前記スペ
ース中の前記インク及び前記フィルムを選択的に加熱す
ることによって、該インクが前記フィルムの前記貫通孔
を透過して前記記録紙に転写されるよう構成したインク
転写プリンタ。 - 【請求項2】前記インクの加熱に伴って前記インク内に
生ずる圧力により、前記インクの前記貫通孔の透過が可
能になること、を特徴とする請求項1に記載のインク転
写プリンタ。 - 【請求項3】前記フィルムの弾性係数は、前記発熱体の
前記加熱によって低下し、 前記インクの加熱に伴って前記インク内に生ずる圧力
と、前記フィルムの加熱に伴う該フィルムの弾性係数の
低下とによって、前記インクの前記貫通孔の透過が可能
になること、を特徴とする請求項1に記載のインク転写
プリンタ。 - 【請求項4】前記フィルムは、温度によりその極性が疎
水性と親水性との間で可逆的に変化する素材で構成され
ており、 前記フィルムの加熱に伴う極性変化によって、前記イン
クの前記貫通孔の透過が可能になること、を特徴とする
請求項1に記載のインク転写プリンタ。 - 【請求項5】前記フィルムの前記極性変化と、前記イン
クの加熱に伴う粘度低下とによって、前記フィルムに対
する前記インクの表面張力が低下し、 該表面張力の低下によって前記インクの前記貫通孔の透
過が可能になること、を特徴とする請求項4に記載のイ
ンク転写プリンタ。 - 【請求項6】前記加熱時以外における前記貫通孔の径
は、前記インクを透過させる最小の径よりも小さいこ
と、を特徴とする請求項1に記載のインク転写プリン
タ。 - 【請求項7】前記加熱時以外における前記貫通孔の径
は、前記インクの蒸気を透過させない程度に小さいこ
と、を特徴とする請求項6に記載のインク転写プリン
タ。 - 【請求項8】前記フィルムは、前記サーマルラインヘッ
ドにスペーサーを介して貼り合わされ、前記フィルムと
前記サーマルラインヘッド及び前記スペーサーに囲まれ
た領域が前記スペースを構成すること、を特徴とする請
求項1から7のいずれかに記載のインク転写プリンタ。 - 【請求項9】前記スペーサーは接着剤であること、を特
徴とする請求項8に記載のインク転写プリンタ。 - 【請求項10】前記発熱体は前記スペース内に位置する
こと、を特徴とする請求項8又は9に記載のインク転写
プリンタ。 - 【請求項11】前記スペースにインクを補給するインク
容器をさらに備え、該インク容器は前記発熱体の配列方
向に長い容器として構成されること、を特徴とする請求
項1から10のいずれかに記載のインク転写プリンタ。 - 【請求項12】一つの前記発熱体に対し、前記フィルム
の複数の前記貫通孔が対応していること、を特徴とする
請求項1から11のいずれかに記載のインク転写プリン
タ。 - 【請求項13】前記発熱体の配列方向において、一つの
前記貫通孔に対し、複数の前記発熱体が対応しているこ
と、を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のイ
ンク転写プリンタ。 - 【請求項14】前記フィルムの前記貫通孔は、前記発熱
体の配列方向に長く形成されていること、を特徴とする
請求項1から13のいずれかに記載のインク転写プリン
タ。 - 【請求項15】前記フィルムは多孔性材料により構成さ
れていること、を特徴とする請求項1から12のいずれ
かに記載のインク転写プリンタ。 - 【請求項16】前記貫通孔は前記フィルムに穿孔するこ
とにより形成されること、を特徴とする請求項1から1
4のいずれかに記載のインク転写プリンタ。 - 【請求項17】前記貫通孔は、前記フィルムの厚み方向
に対して所定角度傾斜して形成されること、を特徴とす
る請求項1から16のいずれかに記載のインク転写プリ
ンタ。 - 【請求項18】前記フィルムはポリテトラフルオロエチ
レン又はその化合物を含んで構成されていること、を特
徴とする請求項1から17のいずれかに記載のインク転
写プリンタ。 - 【請求項19】前記フィルムは形状記憶樹脂であり、温
度によってガラス状態とゴム状態との間で可逆的に変化
すること、を特徴とする請求項1から17に記載のイン
ク転写プリンタ。 - 【請求項20】前記貫通孔は、前記フィルムをゴム状態
にしつつ穿孔されること、を特徴とする請求項19に記
載のインク転写プリンタ。 - 【請求項21】前記付勢手段は、前記サーマルラインヘ
ッドの前記発熱体の配列方向と平行な軸を持つプラテン
ローラであること、を特徴とする請求項1から20のい
ずれかに記載のインク転写プリンタ。 - 【請求項22】前記プラテンローラは前記搬送手段も兼
ねること、を特徴とする請求項21に記載のインク転写
プリンタ。 - 【請求項23】サーマルラインヘッドとプラテンローラ
とを対向配置し、該サーマルラインヘッドと該プラテン
ローラの間を通る記録紙搬送経路を有するサーマルライ
ンプリンタに取り付けられるアタッチメントであって、 該アタッチメントは、支持プレートと、所定の貫通孔を
有するフィルムとを対向配置すると共に、前記支持プレ
ートと前記フィルムの間のスペースにインクを保持して
構成され、 前記アタッチメントを、前記支持プレートが前記サーマ
ルラインヘッドに対向し、前記フィルムが記録紙搬送経
路に対向するよう、前記サーマルラインプリンタに装着
することにより、 前記サーマルラインヘッドの加熱により、前記スペース
内に保持されたインクが前記フィルムを透過して記録紙
に転写されること、を特徴とするインク転写用アタッチ
メント。 - 【請求項24】前記インクの加熱に伴って前記インク内
に生ずる圧力により、前記インクの前記貫通孔の透過が
可能になること、を特徴とする請求項23に記載のイン
ク転写用アタッチメント。 - 【請求項25】前記アタッチメントは、前記サーマルラ
インプリンタに設けられた記録紙挿入口から挿入される
こと、を特徴とする請求項23又は24に記載のインク
転写用アタッチメント。 - 【請求項26】前記支持プレートと前記フィルムとのス
ペースと連通したインク容器をさらに備えた、請求項2
3から25のいずれかに記載のインク転写用アタッチメ
ント。 - 【請求項27】インクを含浸した多孔性の円筒支持体
と、 前記円筒支持体の外周に沿って周回可能に保持され、所
定の貫通孔を有するフィルムと、 該円筒支持体と平行に、且つ前記フィルムとの間で記録
紙を挟むよう配置されたプラテンローラと、 前記円筒支持体の前記フィルムよりも内側に組み込ま
れ、該円筒支持体の軸方向と平行に複数の発熱体を配列
したサーマルラインヘッドと、前記発熱体と前記フィルムとの間に形成され、前記円筒
支持体に含浸されたインクを保持するスペースと、 を備
えると共に、 前記サーマルラインヘッドにより前記スペースに保持さ
れたインクを内側から選択的に加熱することによって、
前記インクが前記フィルムの前記貫通孔を透過して前記
記録紙に転写されるよう構成したインク転写プリンタ。 - 【請求項28】前記インクの加熱に伴って前記インク内
に生ずる圧力により、前記インクの前記貫通孔の透過が
可能になること、を特徴とする請求項27に記載のイン
ク転写プリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28598497A JP3482114B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-10-02 | インク転写プリンタ及びインク転写用アタッチメント |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9654897 | 1997-03-31 | ||
JP9-96548 | 1997-03-31 | ||
JP28598497A JP3482114B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-10-02 | インク転写プリンタ及びインク転写用アタッチメント |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10329345A JPH10329345A (ja) | 1998-12-15 |
JP3482114B2 true JP3482114B2 (ja) | 2003-12-22 |
Family
ID=26437756
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28598497A Expired - Fee Related JP3482114B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-10-02 | インク転写プリンタ及びインク転写用アタッチメント |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3482114B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3244666B2 (ja) * | 1999-03-30 | 2002-01-07 | 旭光学工業株式会社 | インク転写プリンタの多層フィルム |
-
1997
- 1997-10-02 JP JP28598497A patent/JP3482114B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10329345A (ja) | 1998-12-15 |
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