JP3481455B2 - コネクタ用ブーツ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、テープ状の多心光
ファイバを収納、保持するコネクタ用ブーツに関するも
のである。 【０００２】 【従来の技術】テープ状の光ファイバ（いわゆる光ファ
イバテープ心線）同士を切替可能に接続する際には、例
えば、ＪＩＳ Ｃ ５９８１等に制定されるような、い
わゆるＭＴ形光コネクタ（Ｍｅｃｈａｎｉｃａｌｌｙ
Ｔｒａｎｓｆｅｒａｂｌｅ）やＪＩＳ Ｃ ５９８１等
に制定される光コネクタフェルールをハウジング内部に
収納した構造を有する、いわゆるＭＰＯコネクタ等が多
く用いられており、これら光コネクタの後端部には該光
コネクタで接続される光ファイバを収納、保持するコネ
クタ用ブーツが取り付けられている。 【０００３】図６に、上記コネクタ用ブーツが取り付け
られた４心のＭＰＯコネクタを示す。光コネクタ１は、
ＪＩＳ Ｃ ５９８１等に制定される光コネクタフェル
ール２（以下、フェルールと称する）と、該フェルール
２に挿通したガイドピン３をフェルール２の後端部（図
６右側）近傍にてクランプするピンクランプ（図示せ
ず）とを筒状のカップリング６に内装支持し、該カップ
リング６内に突き合わせ力発生用のコイルスプリング
（図示せず）を収容した構成となっている。 【０００４】ハウジング５は、別途設置されたハウジン
グ用スプリング（図示せず）によって前方（図中左側）
に付勢されており、フェルール２が光コネクタ１の奥方
に押し込まれた際にハウジング５がフェルール２に従動
せずに光コネクタ１の先端位置にあれば、ハウジング５
内側にフェルール２全体が入り込む。また、ハウジング
５の側面に突設した係合突起９が光コネクタアダプタ１
０等の受け側のハウジングと係脱可能に係合すること
で、該受け側のハウジングに差し込んだ光コネクタ１の
差し込み状態が維持される。 【０００５】光コネクタ１の後端からは、光コネクタフ
ェルール２によって突き合わせ接続可能に成端された光
ファイバ４が引き出されている。この光ファイバ４は、
光ファイバテープ心線をチューブにより被覆した断面偏
平の光ファイバコード１３になっている。 【０００６】光コネクタ１の後端には、光ファイバ４を
収納する筒状のブーツ１１が取り付けられている。この
ブーツ１１は、ゴム等の柔軟性を有する素材からなるた
め、光ファイバ４に曲げ力が作用したときには光ファイ
バ４とともに湾曲し、曲げ応力が光ファイバ４の特定箇
所に集中することを防止している。 【０００７】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のコネクタ用ブーツには、以下のような問
題が存在する。光ファイバ４は偏平形状を有している
が、上記の光コネクタにおいては、この光ファイバ４に
対して、テープ面に沿った横方向の曲げ力（いわゆるサ
イドプル）が作用することが多々ある。すなわち、光フ
ァイバ４は、図６に示す仮想曲線のように、矢印Ａ方向
に曲げられ、その外側のブーツ１１も一体的に湾曲、変
形する。 【０００８】ここで、光ファイバ４は、横方向の曲げに
対して、図７に示す直線状から図８に示すように捻れた
状態に変形する。このとき、このねじれ部に曲げ応力が
集中するが、ここで湾曲が急激になると、内部の光ファ
イバ素線が断線し、光特性に影響を与える可能性があ
る。そのため、この光ファイバの捻りに対する有効な解
決手段の開発が求められていた。 【０００９】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、テープ面に沿った横方向の曲げ力が作用し
たときにも、光ファイバの断線を防止することのできる
コネクタ用ブーツを提供することを目的とする。 【００１０】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、以下の構成を採用している。請求項１記
載のコネクタ用ブーツは、光コネクタの後端に取り付け
られ、該光コネクタの光ファイバ引込口から引き込まれ
るテープ状の多心光ファイバを収納、保持するコネクタ
用ブーツであって、可撓性を有し、前記多心光ファイバ
が貫通される筒状に形成されたブーツ本体と、前記光フ
ァイバ引込口の後端側にて、前記ブーツ本体の互いに対
向する両側の内面から突出し、前記多心光ファイバをそ
の厚さ方向両側から挟み込むストッパと、該ストッパの
後端側に設けられ、該ストッパから前記光コネクタに対
して離間するにしたがって、前記ブーツ本体の内面から
の突出量が漸次減少するテーパ状の傾斜部とを備えたこ
とを特徴とするものである。 【００１１】従って、本発明のコネクタ用ブーツでは、
光コネクタの光ファイバ引込口から引き込まれる多心光
ファイバを、ブーツ本体内に収納するとともに、ブーツ
本体の内面から突出するストッパによって挟み込んで保
持することができる。ブーツ本体内の傾斜部における多
心光ファイバ収納空間は、ストッパから光コネクタに対
して離間するにしたがって漸次広くなっているので、光
ファイバにテープ面に沿った横方向の曲げ力が作用した
ときに、光ファイバの捻れを傾斜部の長さに沿って緩や
かに形成することができる。 【００１２】 【発明の実施の形態】以下、本発明のコネクタ用ブーツ
の実施の形態を、図１ないし図５を参照して説明する。
これらの図において、従来例として示した図６ないし図
８と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を簡
略化する。 【００１３】図１において、符号１４はブーツである。
ブーツ１４は、光コネクタ１の後端（図１中右側）に取
り付けられ、光コネクタ１の光ファイバ引込口１５から
引き込まれる多心光ファイバとしての多心光コード１６
を収納するものであって、ブーツ本体１７とストッパ１
８と傾斜部１９とを主体として構成されている。この多
心光コード１６は、４心、８心等の光ファイバテープ心
線１６ａのフェルール近傍を除いた部分をチューブ１２
により被覆してテープ状にしたものである。 【００１４】ブーツ本体１７は、ゴム等の可撓性を有す
る材料で筒状に形成されており（図１は、便宜上、分断
した状態を示してある）、図２に示すように、幅方向の
側面２３，２３は、後端側（図２中右側）へ向かうにし
たがって、互いに接近している。また、図３に示すよう
に、上面２４および下面２５は互いに並行するように形
成されている。 【００１５】一方、ブーツ本体１７の内部には、光コネ
クタ１側に位置し、多心光コード１６を固定するための
固定リング（図示せず）が取り付けられるリング収納空
間２０と、ブーツ本体１７の後端側に位置し、多心光コ
ード１６を収納するコード収納空間２１とが形成されて
いる。 【００１６】図４に示すように、ブーツ本体１７のコー
ド収納空間２１に臨む内面２２は、多心光コード１６の
長手方向に対して直交する方向の幅寸法よりも僅かに大
きい径寸法を有する略断面円形に形成されている。そし
て、この内面２２には、外面２３，２４，２５の内、隣
接する三面に亙って貫通する直線状の貫通溝２６…２６
が上記長手方向に一定間隔をあけて形成されている。 【００１７】 ストッパ１８は、光ファイバ引込口１
５の後端側にて、内面２２の対向する両側からコード収
納空間２１へ向けて突出し、多心光コード１６を両側か
ら挟み込んで略水平状態に保持するものであって、図２
に示すように、その幅は光コネクタ１から離間するにし
たがって、漸次狭くなるように形成されている。 【００１８】傾斜部１９は、図３に示すように、ストッ
パ１８の後端（図３中右側）を始点として、光コネクタ
１に対して離間するにしたがって、ブーツ本体１７の内
面２２からの突出量が漸次減少するように、且つ図２に
示すように、その幅も光コネクタ１から離間するにした
がって、漸次狭くなるようなテーパ状に形成されてい
る。すなわち、傾斜部１９におけるコード収納空間２１
は、ストッパ１８の後端から光コネクタ１に対して離間
するにしたがって、漸次広くなるように形成されてい
る。 【００１９】上記の構成のコネクタ用ブーツの作用につ
いて以下に説明する。図１に示すように、多心光コード
１６の一端が、光コネクタ１の光ファイバ引込口１５に
引き込まれた状態で、ブーツ本体１７の後端から突出す
る多心光コード１６にテープ面に沿った横方向（例え
ば、図１中矢印Ｂ方向）の曲げ力（サイドプル）が作用
すると、多心光コード１６の曲がりに従動して、ブーツ
本体１７は仮想曲線１７ａで示すように、一体的に湾曲
・変形する。このとき、ブーツ本体１７は可撓性であ
り、また貫通溝２６が複数形成されているので、容易に
変形して多心光コード１６に生じる変形を緩和させると
ともに、曲げ応力が特定箇所に集中することを防止す
る。 【００２０】一方、図５に示すように、多心光コード１
６には、ストッパ１８で保持される水平部分と、上記サ
イドプルによって生じた垂直部分とができるが、この垂
直部分はブーツ本体１７の後端に当接する。そして、こ
れら垂直部分と水平部分との間に形成される捻れ部２７
は、コード収納空間２１の傾斜部１９上に位置すること
になる。 【００２１】ここで、傾斜部１９におけるコード収納空
間２１は、ストッパ１８の後端から光コネクタ１に対し
て離間するにしたがって、漸次広くなるように形成され
ているので、多心光コード１６に発生する捻れ部２７は
急激に形成されることなく、傾斜部１９の長さに亙っ
て、図４中、実線で示す位置から二点鎖線で示す位置へ
緩やかに捻れて形成される。 【００２２】また、ブーツ本体１７の外部でも、多心光
コード１６に捻れ部２７と逆方向に捻れた捻れ部２８が
形成されるが、この捻れ部２８は多心光コード１６の広
い範囲に亙って緩やかに捻れる。そして、ストッパ１８
よりも光コネクタ１側においては、多心光コード１６が
ストッパ１８で挟み込まれて保持されているので、捻り
のない状態が維持される。 【００２３】本実施の形態のコネクタ用ブーツでは、テ
ープ面に沿った横方向の曲げ力が作用しても、ブーツ本
体１７が湾曲して多心光コード１６に生じる変形を緩和
させるとともに、ブーツ本体１７のコード収納空間２１
においては傾斜部１９の長さに亙って、ブーツ本体１７
外部においても広い範囲に亙って多心光コード１６が捻
れるので、この捻れ部に曲げ応力が集中することなく、
多心光コード１６内の光ファイバ素線に断線等が生じる
ことを防止できる。また、光コネクタ１内には、捻りの
ない多心光コード１６が引き込まれるので、フェルール
近傍で光特性を阻害する要因を排除することができる。 【００２４】なお、上記実施の形態において、コネクタ
用ブーツを、ブーツ本体、ストッパ、傾斜部が一体的に
構成されたものとしたが、これに限られることなく、例
えばブーツ本体に別部材のストッパおよび傾斜部を装着
するような構成にしてもよい。また、ストッパが多心光
コードを水平に保持する構成としたが、垂直に保持する
構成にしてもよい。 【００２５】一方、多心光ファイバとして、多心光コー
ドを用いる構成としたが、光ファイバテープ心線を用い
る構成であってもよい。また、光コネクタにおいてもＭ
ＰＯコネクタ以外に、例えば光レセプラクル、光ジャッ
ク等の各種光コネクタに適用が可能である。 【００２６】 【発明の効果】以上説明したように、請求項１に係るコ
ネクタ用ブーツは、可撓性を有するブーツ本体と、多心
光ファイバを挟み込むストッパと、ブーツ本体の内面か
らの突出量が漸次減少する傾斜部とを備える構成となっ
ている。これにより、このコネクタ用ブーツでは、多心
光ファイバ内の光ファイバに断線等が生じて、光特性に
影響を与えることを防止できるという優れた効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】 【図１】 本発明の実施の形態を示す図であって、ブー
ツ本体の内面にストッパおよび傾斜部が形成された外観
斜視断面図である。 【図２】 同ブーツ本体の平面断面図である。 【図３】 同ブーツ本体の正面断面図である。 【図４】 図３における右側面図である。 【図５】 多心光コードの捻れを説明する説明図であ
る。 【図６】 従来技術のコネクタ用ブーツが取り付けられ
たＭＰＯコネクタの外観斜視図である。 【図７】 従来技術のコネクタ用ブーツにおいて、捻れ
の発生する前の多心光コードの外観斜視図である。 【図８】 従来技術のコネクタ用ブーツにおいて、捻れ
の発生した多心光コードの外観斜視図である。 【符号の説明】 １…光コネクタ、１４…ブーツ、１５…光ファイバ引込
口、１６…多心光ファイバ（多心光コード）、１７…ブ
ーツ本体、１８…ストッパ、１９…傾斜部、２２…内
面。

フロントページの続き (72)発明者 野村 義和 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フ ジクラ 佐倉工場内 (56)参考文献 特開 平８−122567（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−297246（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G02B 6/36

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 光コネクタ（１）の後端に取り付けら
   れ、該光コネクタの光ファイバ引込口（１５）から引き
   込まれるテープ状の多心光ファイバ（１６）を収納、保
   持するコネクタ用ブーツ（１４）であって、 可撓性を有し、前記多心光ファイバが貫通される筒状に
   形成されたブーツ本体（１７）と、前記光ファイバ引込口の後端側にて、前記 ブーツ本体の
   互いに対向する両側の内面（２２）から突出し、前記多
   心光ファイバをその厚さ方向両側から挟み込むストッパ
   （１８）と、該ストッパの後端側に設けられ、 該ストッパから前記光
   コネクタに対して離間するにしたがって、前記ブーツ本
   体の内面からの突出量が漸次減少するテーパ状の傾斜部
   （１９）とを備えたことを特徴とするコネクタ用ブー
   ツ。