JP3479529B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記憶装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記憶装置

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JP3479529B2
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亮 矢野
悟 松沼
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及び
磁気記憶装置に関し、更に詳細には、大量の情報を迅速
かつ正確に記録し、記録した情報を低ノイズで再生する
ための磁気記録媒体及びその製造方法並びにその磁気記
録媒体を用いた磁気記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展に対応し
て、情報記録装置の大容量化・高密度化に対するニーズ
は高まる一方である。かかるニーズに応える情報記録装
置の一つとして磁気記憶装置が知られている。磁気記憶
装置は、例えば、大型サーバー、並列型コンピュータ、
パーソナルコンピュータ、ネットワークサーバー、ムー
ビーサーバー、モバイルPC等の大容量記憶装置として
使用されている。磁気記憶装置は、情報が記録される磁
気記録媒体と、磁気記録媒体の情報を記録再生するため
の磁気ヘッドを備える。磁気記録媒体は、円板状の基板
の上に記録層としてコバルト合金などの強磁性薄膜がス
パッタ法などにより形成されており、記録層上には、耐
摺動性、耐食性を高めるために、保護層と潤滑膜が形成
されている。
【0003】磁気記憶装置の大容量化に伴って、磁気記
録媒体の記録層に微細な記録磁区を記録することによる
磁気記録媒体の記録密度の向上が進められており、記録
磁区を微細に記録するための方法として垂直磁気記録方
式が注目されている。垂直磁気記録方式では、垂直磁化
を示す記録層を有する磁気記録媒体を用いて、記録層に
垂直磁化を有する磁区を形成することによって磁気記録
を行なう。かかる垂直磁気記録方式では記録層に微細な
磁区を形成できるため磁気記録媒体の記録密度を高める
ことができる。
【0004】かかる垂直磁気記録方式に従う磁気記録媒
体の記録層の材料としては、従来、Co−Cr系の多結
晶膜が用いられてきた。この多結晶膜は、強磁性を有す
るCoリッチな領域と非磁性のCrリッチな領域とが互
いに分離された構造を有し、非磁性領域が、隣り合う強
磁性領域の間で働く磁気的相互作用を断ち切っている。
【0005】磁気記録媒体の面記録密度を更に向上させ
るためには、媒体ノイズを低減させる必要がある。その
ためには、磁化反転単位の微細化や読み取りヘッドの高
感度化が有効なことがわかっている。このうち、磁化反
転単位の微細化は、磁性結晶粒の微細化が有効であるこ
とがわかっている。しかし、磁性結晶粒をあまり微細化
してしまうと、磁性結晶粒の磁化状態が熱的に不安定に
なる、いわゆる熱減磁を起こしてしまう。これを防ぐた
めに、例えば、特開平8−30951号公報には、非磁
性基板上に、軟磁性層、炭素からなる第1シード層、第
2シード層及び人工格子構造を持つ記録膜を順に積層し
た磁気記録媒体が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、人工格子多
層膜や規則格子合金膜は高い磁気異方性を有するため、
熱擾乱に対して高い耐性が期待される。しかし、これら
の膜はCo−Cr系多結晶膜と異なり、面内方向(基板
表面に対して平行な方向)の磁気的相互作用が強いため
に小さな磁区が形成できす、転移性の媒体ノイズが大き
いという欠点があった。前述の特開平8−30951号
公報に開示されている磁気記録媒体では、軟磁性層上に
形成した炭素からなる第1シード層の上にPtまたはP
dからなる第2シード層を設け、その上にCo/Ptあ
るいはCo/Pd人工格子層を形成することにより、人
工格子層の結晶配向を向上させ、垂直磁気異方性を高く
して保磁力を向上させている。しかしながら、かかる磁
気記録媒体では、記録層の面内方向の磁気的交換結合力
が強くなり、線記録密度が高くなったときにジッターと
して現れる遷移ノイズが高くなってしまい、高記録密度
の記録再生は困難であった。また、第1シード層と第2
シード層の2つのシード層を用いているため、磁気ヘッ
ドからの書き込み磁界が軟磁性層まで有効に到達せず、
飽和記録特性が劣るという問題があった。
【0007】第24回日本応用磁気学会学術講演会(2
000)において、大森らは、基板上に、シード層とし
てAu−SiOとPdB−Oとを用い、記録層として
CoB−O層とPdB−O層とからなる人工格子層を用
いた磁気記録媒体を開示している。
【0008】また、AIT−MINT Worksho
p 2001において、JackH.Judyらは、シ
ード層としてITO(Indium-Tin-Oxide)/Pdを用
い、記録層としてCoB層とPd層とからなる人工格子
層を用いた磁気記録媒体を開示している。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題を解決する
ためになされたものであり、その目的は、記録層の面内
方向の磁気的交換結合力が低く、遷移ノイズの低減され
た磁気記録媒体を提供することにある。
【0010】本発明の別の目的は、優れた耐熱擾乱特性
を備え、高い面記録密度で情報を記録してもその情報を
高S/Nで再生できる磁気記憶装置を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、 磁気記録媒体であって、基板と;該基板上に直
接または間接的に形成され、且つPdと、Si、C及び
Zrからなる群から選ばれる1種とから形成されたシー
ド層と;該シード層上に直接形成され、Pd層とCo層
とを交互に積層して形成され、且つ酸素を含まない磁気
記録層と;を備える磁気記録媒体が提供される。
【0012】 本発明の磁気記録媒体は、記録層の下地
として、Pd元素と、Si、C及びZrからなる群から
選ばれる1種とからなるシード層を備えている。シード
層は、特に、PdとSiとから形成されていることが好
ましい。シード層をPdとSiとから形成した場合は、
50at%〜90at%のPdと、10at%〜50a
t%のSiとから形成されていることが望ましい。シー
ド層は、微結晶構造あるいは微結晶の構造内に部分的に
非晶質が存在するような構造を有することが好ましい。
また、本発明では、磁気記録媒体であって、基板と;該
基板上に直接または間接的に形成され、且つ40at%
〜80at%のPdと、20at%〜60at%のBと
から形成されたシード層と;該シード層上に直接形成さ
れ、Pd層とCo層とを交互に積層して形成され、且つ
酸素を含まない磁気記録層と;を備える磁気記録媒体が
提供される。
【0013】本発明においてシード層は、その上に形成
される記録層の結晶配向性を最適に制御することができ
る。シード層を、例えば、Pd結晶のみから形成した場
合、中間層上には粒界が不明瞭な記録層が形成され、記
録層の結晶粒子間で働く面内方向における磁気的交換結
合力が強くなる。それゆえ、記録層に形成される記録磁
区のサイズが大きくなってしまい、微細な記録磁区を形
成することができなかった。一方、シード層を、例え
ば、PdとSiまたはPdとBから形成すると、Siま
たはBがPd中に偏析して存在する。かかるシード層上
に形成される記録層は、シード層中のPdを核として成
長するため、記録層に明瞭な結晶粒界が形成され、結晶
粒子間で働く面内方向の磁気的交換結合力が低減され
る。また、シード層中のPdとSiまたはPdとBの比
率を所定の値に制御することにより、記録層の結晶配向
と面内方向の交換結合力とを最適化することができる。
したがって、記録層に微細な記録磁区を確実に形成する
ことができるとともに、磁化遷移領域も明瞭となるため
ノイズを低減することができる。すなわち、本発明の磁
気記録媒体は低ノイズ性と高分解能の相反する特性を両
立することができる。
【0014】シード層の膜厚は1nm〜30nmの範囲
内にあることが望ましい。シード層の膜厚が1nm未満
では、その上の記録層の結晶配向を制御できなくなるお
それがある。また、30nmより厚いと記録用磁気ヘッ
ドの磁極と軟磁性層との距離が増加して、記録用磁気ヘ
ッドからの記録磁界が記録層に十分に印加されなくなる
おそれがある。また、記録層に、記録用磁気ヘッドから
の磁界が広がった状態で印加されてしまい分解能が低下
したり、磁化遷移領域の乱れが増加してジッター性のノ
イズの原因となるおそれがある。
【0015】本発明の磁気記録媒体において、記録層は
シード層上に直接形成され、主として白金族元素とCo
とから構成され、白金族元素とCoとを数原子程度また
は単原子程度の厚みで交互に積層した交互積層多層膜で
ある。白金族元素は例えばPt及びPdの少なくとも一
方を用い得る。かかる膜は室温または比較的低い基板温
度で成膜することができ、しかも大きな磁気異方性を有
するため、高密度記録用の記録層として最適である。本
発明の磁気記録媒体において、記録層は酸素(O)を含
まない。また、記録層は人工格子構造を有し且つ垂直磁
化を示すことが望ましい。
【0016】本明細書において、用語「人工格子構造」
とは、複数の異なる物質を単原子或いは数原子の厚さで
一方向に互いに周期的に積層して得られる構造を意味す
る。かかる人工格子構造を有する膜のことを人工格子膜
或いは交互積層多層膜とも呼ぶ。
【0017】記録層としては、0.05nm〜0.5n
mの範囲から選択された膜厚を有するCo層と、0.5
nm〜2nmの範囲内から選択された膜厚を有するPd
層とを交互に積層したCo/Pd人工格子膜、あるい
は、0.05nm〜0.5nmの範囲内から選択された
膜厚を有するCo層と、0.1nm〜2nmの範囲内か
ら選択された膜厚を有するPt層とを交互に積層したC
o/Pt人工格子膜であることが望ましい。かかる構造
の人工格子膜は最も垂直磁気異方性が発現しやすい。
【0018】本発明の磁気記録媒体において、上述のC
o/Pd人工格子層、またはCo/Pt人工格子層を用
いて記録層を形成した場合、Pd層あるいはPt層に添
加元素を含んでもよい。このように、Pd層あるいはP
t層中に添加元素を含ませることによって組成の揺らぎ
が発生し、記録層の面内方向の磁気的交換結合力を低減
することができる。添加元素は、Si、Zr、Cまたは
Bが望ましく、特にBが好ましい。Pd層あるいはPt
層への添加であればCo層への添加に比べて垂直磁気異
方性の低下が少ない。
【0019】また、Co/Pd人工格子層、あるいはC
o/Pt人工格子層中のCoは面内方向において不連続
に分布していることが好ましい。人工格子層中で不連続
に分布しているCoは磁気的交換結合力を部分的に切断
するので、記録層の面内方向の磁気的交換結合力を低減
することができる。
【0020】また、記録層は、例えば、円柱形状(カラ
ム状)の結晶粒子の集合体から形成され得る。カラム状
の結晶粒子の直径は2nm〜15nmにし得、結晶粒子
の表面の最上部と、最下部(結晶粒子の境界部の高さ位
置)との差は1nm〜10nmにし得る。かかる構造を
有する記録層は面内方向の磁気的交換結合力が低減して
おり、記録層に微細な記録磁区を形成しても、その磁区
は安定に存在し、また、磁化遷移領域の直線性も高い。
それゆえ、再生時にノイズを一層低減することができ
る。
【0021】本発明において、記録層は、通常のスパッ
タ装置を用いて成膜することが可能であり、例えば、異
なる材料から構成された2つ以上のターゲットを並設
し、それぞれのターゲットに対して基板キャリアを交互
に相対移動させることによっても形成することができ
る。或いは、直径の異なる少なくとも2種類のリング型
ターゲットを同一平面で且つ同軸上に配置し、それらタ
ーゲットに対向するように基板を配置させ、リング型タ
ーゲットを交互に放電させることにより成膜することも
可能である。
【0022】記録膜の膜厚としては、磁気特性の点から
5nm〜60nmが好適である。記録層は、基板表面に
対して垂直な方向で測定したときの保磁力が1.5〔k
Oe〕〜10〔kOe(キロエルステッド)〕であるこ
とが望ましく、記録層の膜厚tと残留磁化Mrの積であ
る(Mr・t)が、0.3〜1.0m〔emu/c
〕の範囲にあることが望ましい。保磁力が1.5
〔kOe〕よりも小さくなると、高記録密度(600k
FCI以上)で記録した情報を再生したときの出力が小
さくなるおそれがある。また、磁気異方性エネルギーが
小さくなり、熱減磁しやすくなるおそれがある。また、
Mr・tの値が1.0m〔emu/cm〕より大きく
なると分解能が低下し、0.3m〔emu/cm〕よ
りも小さくなると出力が小さくなりすぎるため、150
ギガビット/平方インチ以上の高記録密度を行ったとき
に十分な記録再生特性を得ることが困難となる。
【0023】本発明の磁気記録媒体では、基板とシード
層との間に軟磁性層を備えていても良い。軟磁性層は、
磁気ヘッドからの磁界を記録層に効率的に印加するとい
う観点から、Fe中にTa、Nb、Zrのうちより選ば
れる少なくとも1種類の元素の窒化物あるいは炭化物を
均一に分散させた微結晶構造を有する軟磁性膜が好適で
ある。また、かかる材料以外に、例えば、Co−Zrを
主体とし、これにTa、Nb、Tiのうちより選ばれる
少なくとも1種類の元素を含んだ非晶質合金であっても
よい。これらの軟磁性膜は1.5T以上の大きな飽和磁
束密度を有するため高密度記録に適している。具体的な
材料としては、高透磁率を有するNiFe、CoTaZ
r、CoNbZr、FeTaC等を用いることができ、
これらの材料からなる磁性層は、膜厚1000nm以下
でスパッタ法や蒸着等によって形成することができる。
【0024】本発明の磁気記録媒体は、軟磁性層とシー
ド層との間に鉄酸化物を含む酸化物層を備え得る。酸化
物層は、鉄酸化物を主成分(全体の80vol%以上)と
して含んでおり、かかる酸化物層は、例えば、鉄と酸素
との反応性スパッタ法、もしくは高温酸化法によって作
製することができる。鉄酸化物を主成分とする酸化物層
の厚さは、磁気スペーシングとなって記録効率が低下し
ないようにするために30nm以下であることが好まし
い。
【0025】鉄酸化物を主成分として含む酸化物層は、
PdとSiまたはPdとBを含むシード層に対して濡れ
性が低い。それゆえ、酸化物層上にかかるシード層を形
成すると、まず、シード層の結晶粒子の核が面内方向に
おいて島状(アイランド状)に分散して発生し、酸化物
層上で分散して発生した核を単位としてシード層の結晶
粒子がそれぞれ成長する。このため、シード層には、微
細に分散した結晶粒子の集合体が形成されることにな
る。更に、シード層の結晶粒子は、記録層の磁性粒子が
成長するための核として機能する。それゆえ、シード層
上に記録層を形成すれば、記録層の磁性粒子は、シード
層の微細な結晶粒子を単位として個別に且つ孤立した状
態で成長する。このため記録層には比較的微小な磁性粒
子が得られることになる。このように、鉄酸化物を含む
酸化物層上に、PdとSiまたはPdとBとを含むシー
ド層を形成し、かかるシード層上に記録層を形成するこ
とにより、記録層に極めて微細な結晶粒子の集合体を極
めて容易に形成することができる。かかる記録層には、
微小な記録磁区を形成することができるとともに磁化遷
移領域も極めて明瞭になるため、従来よりもノイズを低
減することができると考えられる。
【0026】本発明の磁気記録媒体の基板は、例えば、
アルミニウム・マグネシウム合金基板、ガラス基板、グ
ラファイト基板などの非磁性基板を用い得る。アルミニ
ウム・マグネシウム合金基板には、表面をニッケル・リ
ンでメッキしてもよい。基板を回転させながら、基板表
面にダイヤモンド砥粒や研磨用テープを押し当てること
により基板表面を平坦に処理してもよい。これにより、
磁気記録媒体上を磁気ヘッドを浮上させたときに、磁気
ヘッドの走行特性を向上させることができる。基板表面
の中心線粗さRaは、基板上に形成される保護層の中心
線粗さが1nm以下となるように望ましい。ガラス基板
においては、強酸などの薬品により表面を化学的にエッ
チングして平坦化してもよい。また、化学的に表面に微
細な高さ、例えば、1nm以下の突起を形成することに
より、負圧スライダーを用いた場合に安定な低浮上量を
実現することができる。
【0027】磁気記録媒体の基板上には、前記軟磁性層
を成膜する前に密着性を向上させるためにTiなどの接
着層を形成しても良い。
【0028】本発明の磁気記録媒体は記録層上に保護層
を備え得る。保護層としては、例えば、非晶質炭素、ケ
イ素含有非晶質炭素、窒素含有非晶質炭素、ホウ素含有
非晶質炭素、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム及び立方晶
窒化ホウ素のうちのいずれか一種を好適に用いることが
できる。これら非晶質炭素保護層の形成方法としては、
例えば、グラファイトをターゲットとした不活性ガス
中、あるいは不活性ガスとメタンなどの炭化水素ガスの
混合ガス中のスパッタリングによって形成する方法や、
炭化水素ガス、アルコール、アセトン、アダマンタンな
どの有機化合物を単独あるいは水素ガス、不活性ガスな
どを混合してプラズマCVDにより形成する方法、ある
いは有機化合物をイオン化して電圧をかけて加速し、基
板に衝突させて形成する方法などがある。更には、高出
力のレーザー光をレンズで集光し、グラファイト等のタ
ーゲットに照射するアブレーション法によって保護層を
形成してもよい。
【0029】保護層の上には、耐摺動特性を良好なもの
にするために、潤滑剤を塗布することができる。潤滑剤
としては、主鎖構造が炭素、フッ素、酸素の3つの元素
からなるパーフルオロポリエーテル系高分子潤滑剤が用
いられる。或いは、フッ素置換アルキル化合物を潤滑剤
として用いることもできる。安定な摺動と耐久性を有す
る材料であれば、他の有機系潤滑剤や無機系潤滑剤を用
いてもよい。
【0030】これらの潤滑剤の形成方法としては溶液塗
布法が一般的である。また、地球温暖化を防ぐため、あ
るいは工程を簡略化するために、溶剤を使わない光CV
D法によって潤滑膜を形成してもよい。光CVD法は、
フッ化オレフィンと酸素の気体原料に紫外光を照射する
ことによって行われる。
【0031】潤滑剤の膜厚としては、平均値として0.
5nm〜3nmが適当である。0.5nmより薄いと、
潤滑特性が低下し、3nmよりも厚くなるとメニスカス
力が大きくなり、磁気ヘッドと磁気ディスクの静摩擦力
(スティクション)が大きくなるため好ましくない。こ
れら潤滑膜を形成した後に100℃前後の熱を1〜2時
間窒素中あるいは空気中で与えてもよい。これにより、
余分な溶剤や低分子量成分を飛ばして潤滑膜と保護層の
密着性を向上させることができる。かかる後処理以外
に、例えば、潤滑膜形成後に紫外線ランプにより紫外線
を短時間照射させる方法を用いてもよく、かかる方法に
よっても同様の効果が得られる。
【0032】本発明の第2の態様に従えば、磁気記録媒
体であって、基板と;該基板上に直接または間接的に形
成され、且つPd及びBを含むシード層と;該シード層
上に直接形成され、且つPt及びPdの少なくとも一方
とBとを含む磁気記録層と;を備え、前記シード層中の
Bの平均濃度が前記記録層中のBの平均濃度よりも高
く、前記記録層の前記シード層側の境界面におけるB濃
度B1と、前記記録層の前記シード層側の境界面及び前
記記録層の前記シード層側とは反対側の境界面の中間に
おけるB濃度B2との間に、B1>B2の関係が成立す
る磁気記録媒体が提供される。
【0033】本発明の第2の態様の磁気記録媒体では、
上記シード層がPdとBを含み、シード層中のBの平均
濃度が上記記録層中のBの平均濃度よりも高く、上記記
録層の上記シード層側の境界面におけるB濃度B1と、
上記記録層の上記シード層側の境界面及び上記記録層の
上記シード層側とは反対側の境界面の中間におけるB濃
度B2との間に、B1>B2の関係が成立することが好
ましい。この場合、B濃度B1が17.0〜70.0a
t%であり、上記B濃度B2が6.0〜17.0at%
であることが望ましい。また、上記記録層内の膜厚方向
に0.2〜4.2at%/nmのBの濃度勾配を有する
ことが望ましい。
【0034】本発明の第3の態様に従えば、基板上に直
接または間接的に、Pdと、Si、B、C及びZrから
なる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含むシー
ド層を形成することと;該シード層上に直接、Pt及び
Pdの少なくとも一方の白金族層とCo層とを交互に積
層し、且つ酸素を含まない磁気記録層を形成すること
と;を含む磁気記録媒体の製造方法が提供される。
【0035】上記シード層がPdとBを含み且つ上記記
録層がBを含み、上記シード層形成材料中のBの含有量
Bsと、上記記録層形成材料中のBの含有量Brとの間
に、Bs>Brの条件が成立することが望ましい。成膜
時にシード層のBの含有量を記録層のBの含有量より十
分大きくすることにより、シード層内のBの一部を記録
層へ拡散させ、記録層内の結晶粒界部におけるBの偏析
を促進し、記録層内の結晶粒間の磁気的相互作用を一層
低減することができる。
【0036】本発明の第4の態様に従えば、第1の態様
の磁気記録媒体と;情報を記録または再生するための磁
気ヘッドと;上記磁気記録媒体を上記磁気ヘッドに対し
て駆動するための駆動装置と;を備えることを特徴とす
る磁気記憶装置が提供される。
【0037】本発明の磁気記憶装置は、本発明の第1の
態様の磁気記録媒体を備えるので、高い面記録密度で情
報を記録してもその情報を高S/Nで再生できるととも
に、優れた耐熱擾乱特性を備えている。
【0038】本発明の磁気記憶装置において、磁気ヘッ
ドは、磁気記録媒体に情報を記録するための記録用磁気
ヘッドと、磁気記録媒体に記録された情報を再生するた
めの再生用磁気ヘッドとから構成され得る。記録用磁気
ヘッドのギャップ長は、0.2μm〜0.02μmが望
ましい。ギャップ長が0.2μmを越えると、400k
FCI以上の高い線記録密度で記録することが困難にな
る。また、ギャップ長が0.02μmより小さい記録ヘ
ッドは製造が困難であり、静電気誘起による素子破壊が
起こりやすくなる。
【0039】再生用磁気ヘッドは、磁気抵抗効果素子を
用いて構成することができる。再生用磁気ヘッドの再生
シールド間隔は、0.2μm〜0.02μmが望まし
い。再生シールド間隔は、再生分解能に直接関係し、短
いほど分解能が高くなる。再生シールド間隔の下限値
は、素子の安定性、信頼性、耐電気特性、出力等に応じ
て上記範囲内で適宜選択することが望ましい。
【0040】本発明の磁気記憶装置において、駆動装置
は、磁気記録媒体を回転駆動させるスピンドルを用いて
構成することができ、スピンドルの回転速度は毎分30
00回転〜20000回転が望ましい。毎分3000回
転より遅いとデータ転送速度が低くなるため好ましくな
い。また、毎分20000回転を越えると、スピンドル
の騒音や発熱が大きくなるため望ましくない。これらの
回転速度を勘案すると、磁気記録媒体と磁気ヘッドの最
適な相対速度は2m/秒〜30m/秒となる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従う磁気記録媒体
及びそれを用いた磁気記憶装置の実施例について図面を
用いて具体的に説明する。以下の実施例では、磁気記録
媒体として、磁気ディスク(ハードディスク)を作製し
たが、本発明は、フレキシブルディスク、磁気テープ、
磁気カードなどのように、記録または再生時に磁気ヘッ
ドと磁気記録媒体が接触するタイプの記録媒体にも適用
できる。
【0042】
【実施例1】図1に、本発明の磁気記録媒体の概略断面
図を示す。磁気記録媒体100は、密着層2を有する基
板1上に、軟磁性層3、鉄酸化物層4、シード層5、記
録層6、保護層7及び潤滑層8を備える。かかる積層構
造を有する磁気記録媒体100を次のような方法により
製造した。
【0043】まず、直径65mmのガラス基板1を用意
し、ガラス基板1上に連続スパッタ装置により、密着層
2として厚さ5nmのTiを成膜した。
【0044】次いで、密着層2上に、軟磁性層3とし
て、Fe79Ta12を膜厚400nmにて成膜し
た。更に、成膜されたFe79Ta12を真空中で
カーボンヒーターにより450℃の温度で30秒間加熱
した後、徐冷した。こうしてFeの微結晶を含有する軟
磁性層3を形成した。
【0045】つぎに、軟磁性層3上に鉄酸化物層4を反
応性スパッタ法により成膜した。すなわち、アルゴンと
酸素の混合ガス(アルゴンに対する酸素の流量比が20
%)を導入しながらFeターゲットをDCスパッタし
た。かかる反応性スパッタにより、鉄酸化物層4を5n
mの膜厚で形成した。
【0046】次いで、鉄酸化物層4が形成された基板1
を、同心円のリングターゲットを用いるスパッタチャン
バーに移送し、鉄酸化物層4上にシード層5を成膜し
た。シード層5の成膜では、チャンバー内にアルゴンガ
スを導入しながら、PdターゲットとSiターゲットを
それぞれDCスパッタした。これにより、鉄酸化物層4
上に、74at%のPdと、26at%のSiとからな
るシード層5を膜厚4nmで成膜した。
【0047】つぎに、シード層5上に人工格子構造の記
録層6を成膜した。記録層6の成膜では、Arガス中
で、CoターゲットとPdターゲットのシャッターを交
互に開閉しながらDCスパッタして、Co層とPd層と
が交互に積層された人工格子構造の記録層6を形成し
た。Co層の1層あたりの膜厚は0.11nm、Pd層
の1層あたりの膜厚は0.92nmであり、Pd層とC
o層の積層数は、Pd層が26層であり、Co層が25
層であった。
【0048】次いで、記録層6上に、アモルファスカー
ボンからなる保護層7をプラズマCVD法により膜厚3
nmにて形成した。保護層7の形成後、基板を成膜装置
から取り出した。最後に、保護層7上にパーフルオロポ
リエーテル系潤滑剤を1nmの厚さで溶液塗布して潤滑
層8を形成した。
【0049】こうして図1に示す積層構造を有する磁気
記録媒体100を作製した。
【0050】つぎに、作製した磁気記録媒体100を、
図2に模式的に示すような平面構造を有する磁気記憶装
置200に組み込んだ。磁気記憶装置200は、磁気記
録媒体100と、磁気記録媒体100を回転駆動するた
めの回転駆動部18と、磁気ヘッド10と、磁気ヘッド
10を磁気記録媒体上で所望の位置に移動させるヘッド
駆動装置11と、記録再生信号処理装置12を備える。
磁気ヘッド10は、単磁極型書き込み素子とGMR(Gi
ant Magneto-Resistive)読み込み素子を備え、ヘッド
駆動装置11のアームの先端に設けられている。磁気ヘ
ッド10の単磁極型書き込み素子は、情報記録時に磁気
記録媒体に記録するデータに応じた磁界を印加して磁気
記録媒体に情報を記録することができる。磁気ヘッド1
0のGMR読み込み素子は、磁気記録媒体からの漏洩磁
界の変化を検出して磁気記録媒体に記録されている情報
を再生することができる。記録再生信号処理装置12
は、磁気記録媒体100に記録するデータを符号化して
磁気ヘッド10の単磁極型書き込み素子に記録信号を送
信することができる。また、記録再生信号処理装置12
は、磁気ヘッド10のGMR読み込み素子により検出さ
れた磁気記録媒体100からの再生信号を復号すること
ができる。
【0051】かかる磁気記憶装置200を駆動し、磁気
的スペーシング(磁気ヘッド10の主磁極表面と磁気記
録媒体9の記録層表面との距離)を13nmに維持しな
がら、線記録密度1000kBPI、トラック密度15
0kTPIの条件にて情報を記録し、記録した情報を再
生して記録再生特性を評価したところ、トータルS/N
として24.5dBを得た。更に、面記録密度150ギ
ガビット/平方インチの記録密度にて記録再生すること
ができた。また、ヘッドシーク試験として、磁気ヘッド
を磁気記録媒体上の内周から外周まで10万回シークさ
せ、かかるヘッドシーク試験後に磁気記録媒体のビット
エラーを測定したところビットエラー数は10ビット/
面以下であり、30万時間の平均故障間隔を達成するこ
とができた。なお、上記S/Nは下記式を用いて求め
た。 S/N=20log(S0−p/Nrms) 式中、S0−pは、ゼロ点からピークまで(zero to pe
ak)の再生信号振幅の半分の値であり、Nrmsはスペ
クトルアナライザーにより測定したノイズの振幅の平方
自乗平均値である。
【0052】〔電磁変換特性の測定〕つぎに、磁気記録
媒体の電磁変換特性を、スピンスタンドの記録再生試験
機を用いて測定した。記録再生試験機の磁気ヘッドとし
ては単磁極型書き込み素子とGMR読み取り素子の複合
型ヘッドを使用した。単磁極型書き込み素子のメインポ
ール(主磁極)の実効書き込みトラック幅は110n
m、Bsは2.1Tであった。また、GMR素子の実効
トラック幅は97nm、シールド間隔は45nmであっ
た。記録再生試験の際、磁気ヘッドの単磁極型書き込み
素子の主磁極表面と磁気記録媒体の記録層表面との間隔
を13nmとした。電磁変換特性の測定結果を図4に示
す。図4において、S/Ndは500kFCIにおける
S/Nであり、Reは孤立波出力で割った出力分解能で
ある。図4には、比較のために、従来の磁気記録媒体と
して、Co−Cr系の多結晶材料から構成された記録層
を用いた磁気記録媒体(比較例1)と、面内磁気記録方
式に従う磁気記録媒体(比較例2)の測定結果も示し
た。図4から明らかなように、本実施例で作製した磁気
記録媒体は、従来の磁気記録媒体に比べて良好なS/N
が得られており、分解能も18%以上と高い。このこと
から、本実施例の磁気記録媒体は、高域でも遷移性ノイ
ズが低減しており、高分解能と高S/Nが両立されてい
ることがわかる。
【0053】〔記録層の断面構造の観察〕つぎに、磁気
記録媒体の断面構造を、高分解能透過型電子顕微鏡を用
いて観察した。図3に、人工格子構造の記録層6の断面
構造の観察結果を模式的に示した。図3に示すように、
記録層6は、円柱形状の結晶粒子31の集合体から構成
されており、それぞれの結晶粒子31の上面は半球状で
あった。結晶粒子の直径dは約8nmであり、結晶粒子
の表面の半球の最上部Aと最下部Bの差hは2nmであ
った。記録層6は、かかる円柱形状の結晶粒子から構成
されているために面内方向の磁気的結合力が低減され、
微細な記録ビットが安定になり、磁化遷移領域の直線性
がよくなると考えられる。
【0054】〔熱減磁率の測定〕次いで、磁気記録媒体
について熱減磁率の測定を行なった。熱減磁率は、24
℃の環境下において、線記録密度100kFCIにて記
録した信号を再生したときの再生信号振幅の時間に対す
る変化の割合とした。図5に、熱減磁率の測定結果を示
した。図5には、比較のために、従来の磁気記録媒体と
して、上記比較例1の磁気記録媒体の測定結果を示し
た。図5に示すように、従来の磁気記録媒体では時間の
経過とともに規格化出力が低下するのに対し、本実施例
の磁気記録媒体では時間が経過しても規格化出力は殆ど
低下せず、熱減磁がなかったことがわかる。これは、本
実施例の磁気記録媒体においては、記録層の磁化遷移領
域が明瞭で直線性が高いためであると考えられる。ま
た、オントラックで1000kBPIにてエラーレート
を測定したところ、1×10−5以下であった。
【0055】つぎに、シード層中のSi濃度を0at
%、4.1at%、26.0at%、41.0at%、
50.6at%、63.2at%に変更した以外は、上
記と同様にして磁気記録媒体を作製し、それぞれの磁気
記録媒体のS/Nd及び保磁力を測定した。測定結果を
下記表に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表からわかるように、シード層中のSi濃
度が26.0at%と41.0at%の磁気記録媒体に
おいてS/Ndが24.0dB以上であり、保磁力も2
690[Oe]と良好であった。磁気記録媒体のシード層
中のSi濃度が10at%〜50at%の範囲内にあれ
ば、良好なS/Nd及び保磁力が得られることがわかっ
た。
【0058】
【実施例2】図6に、本発明の磁気記録媒体の概略断面
図を示す。磁気記録媒体300は、密着層2を有する基
板1上に、軟磁性層3、シード層5、記録層6、保護層
7及び潤滑層8を備える。なお、図6においては、図1
に示した実施例1の磁気記録媒体を構成している層と同
じ機能を有する層には同じ符号を付した。本実施例で
は、シード層5をPdとBとから形成し、記録層6をC
o層とPdB層とを交互に積層した人工格子層から形成
した。かかる積層構造を有する磁気記録媒体300の製
造方法を以下に説明する。
【0059】まず、直径65mmのガラス基板1を用意
し、ガラス基板1上に連続スパッタ装置により、密着層
2として厚さ5nmのTiを成膜した。
【0060】次いで、密着層2上に、軟磁性層3とし
て、Fe79Ta12を膜厚400nmで成膜し
た。更に、成膜されたFe79Ta12を真空中で
カーボンヒーターにより450℃の温度で30秒間加熱
した後、徐冷した。こうしてFeの微結晶を含有する軟
磁性層3を形成した。
【0061】つぎに、軟磁性層3上にシード層5として
Pd6040を膜厚5nmにて形成した。シード層5
の成膜では、スパッタチャンバー内にアルゴンガスを導
入しながらPdターゲットをDCスパッタし、Bターゲ
ットをRFスパッタした。
【0062】つぎに、シード層5上に記録層6として、
Coからなる層と、Bを含有するPd層(以下、PdB
層)とを交互に積層した人工格子層を形成した。かかる
人工格子層の成膜では、スパッタチャンバー内にアルゴ
ンガスを導入した後、Co層を成膜するときはCoター
ゲットのみをDCスパッタした。一方、PdB層を成膜
するときは、CoターゲットのDCスパッタを停止し、
PdターゲットをDCスパッタするとともにBターゲッ
トをRFスパッタした。こうして成膜された人工格子層
のCo層の1層あたりの膜厚は0.16nm、PdB層
の1層あたりの膜厚は0.81nmであり、Pd層とC
o層の積層数は、PdB層が25層であり、Co層が2
5層であった。
【0063】本実施例では、記録層6である人工格子層
のPd層中のBの添加量を5at%、11at%、41
at%に変化させて磁気記録媒体をそれぞれ複数個作製
した。また、人工格子層のPd層中にBを含有させない
磁気記録媒体も作製した。
【0064】次いで、記録層6上に、アモルファスカー
ボンからなる保護層7をプラズマCVD法により膜厚3
nmにて形成した。保護層7の形成後、基板を成膜装置
から取り出した。最後に、保護層7上にパーフルオロポ
リエーテル系潤滑剤を1nmの厚さで溶液塗布して潤滑
層8を形成した。
【0065】こうして図6に示す積層構造を有する磁気
記録媒体300を作製した。
【0066】〔S/N及び保磁力の測定〕つぎに、人工
格子層のPd層中のBの添加量を変えて作製したそれぞ
れの磁気記録媒体についてS/Nと保磁力を測定した。
測定結果を図7及び図8のグラフにそれぞれ示す。図7
のグラフからわかるように、Pd層のBの添加量が5a
t%と11at%の磁気記録媒体は、人工格子層のPd
層にBを添加しない磁気記録媒体に比べてS/Nが増加
していた。また、図8のグラフに示すように、人工格子
層のPd層のBの添加量が5at%と11at%の磁気
記録媒体では保磁力が1500〔Oe〕以上と高く、特
にBの添加量が11at%の磁気記録媒体においては2
700〔Oe〕以上の保磁力を得ることができた。一
方、人工格子層のPd層のBの添加量が41at%の磁
気記録媒体においては、保磁力が200〔Oe〕以下と
低かった。
【0067】つぎに、シード層中のBの添加量を、1
0.8at%、40.7at%、50.9at%、6
3.6at%に変更した以外は、上記と同様にして磁気
記録媒体を作製し、それぞれの磁気記録媒体についてS
/Nd及び保磁力を測定した。測定結果を下記表に示
す。
【0068】
【表2】
【0069】表からわかるように、シード層中のB添加
量が40.7at%と50.9at%の磁気記録媒体に
おいてS/Ndが24.2dB以上であり、保磁力も2
001[Oe]以上と良好であった。磁気記録媒体のシー
ド層中のBの添加量が20at%〜60at%の範囲内
にあれば、良好なS/Nd及び保磁力が得られることが
わかった。
【0070】
【実施例3】シード層をPdCを用いて形成し、記録層
をCo層とPdC層とを交互に積層した人工格子層とし
た以外は、実施例2と同様にして磁気記録媒体を作製し
た。シード層の成膜方法としては、B(ホウ素)ターゲ
ットの代わりにC(カーボン)ターゲットを用いた以外
は、実施例2と同様であり、Pd6733のシード層
を膜厚5nmにて形成した。記録層であるCo/PdC
人工格子層は、Co層の1層あたりの膜厚を0.16n
m、PdC(Pd8812)層の1層あたりの膜厚を
0.80nmとし、Co層とPdC層の積層数をともに
25層とした。
【0071】かかる磁気記録媒体について実施例1と同
様にして電磁変換特性を測定した。測定の結果、S/N
d=24.7dB、Re=18.6%であり、S/N
d、Reともに良好であった。
【0072】
【実施例4】本実施例では、鉄酸化物層の膜厚を2nm
とし、シード層をPdZrを用いて形成し、記録層をC
o層とPdZr層とを交互に積層した人工格子層とした
以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製し
た。シード層の成膜では、スパッタガスとしてアルゴン
を用い、Pd90Zr10ターゲットをDCスパッタし
た。シード層の膜厚は5nmとした。記録層の成膜で
は、スパッタガスとしてアルゴンガスを用い、Coター
ゲットとPd90Zr10ターゲットのシャッターを交
互に開閉しながら、それらのターゲットをDCスパッタ
した。記録層のCo層の1層あたりの膜厚を0.17n
mとし、PdZr層の1層あたりの膜厚を0.85nm
とし、Co層とPdZr層の積層数をともに25層とし
た。
【0073】かかる磁気記録媒体について実施例1と同
様にして電磁変換特性を測定した。測定の結果、S/N
d=25.7dB、Re=18.1%であり、S/N
d、Reともに良好であった。
【0074】
【実施例5】この例で作製した、磁気ディスク400の
概略断面図を図9に示す。図9に示すように、磁気ディ
スク400は、基板1上に、密着層2、軟磁性層3、シ
ード層5、記録層6及び保護層7を順次積層して作製し
た。
【0075】基板1として、直径2.5inch(6.
25cm)のガラス基板を用意し、その上に、Arガス
雰囲気中でDCマグネトロンスパッタ法により、密着層
2としてのTi膜を形成した。密着層2の膜厚は5nm
とした。
【0076】次いで、密着層2上に、軟磁性層3として
CoB膜を、Arガス雰囲気中でCo8515合金タ
ーゲットを用いてDCマグネトロンスパッタ法により形
成した。軟磁性層3の膜厚は200nmとした。
【0077】さらに、軟磁性層3上に、シード層5とし
てPdB膜を成膜した。成膜はArガス雰囲気中で同時
スパッタ法を用いて行い、PdはDCマグネトロンスパ
ッタ法を、BはRFマグネトロンスパッタ法を用いて、
シード層5の組成がPd6733となるように調整し
た。シード層5の膜厚は4nmとした。
【0078】上記のように形成したシード層5上に、記
録層6として垂直磁化を示すCoB/PdB交互多層膜
を形成した。CoB/PdB交互多層膜の成膜方法は、
Arガス雰囲気中でCoターゲットとPdターゲットを
開閉するシャッターを交互に開閉しながら、DCマグネ
トロンスパッタすることにより、Coを主体とする磁性
層とPdを主体とする金属層を交互に積層して多層膜を
形成した。ここでは、0.14nmのCo層と0.94
nmのPd層をそれぞれ25層積層した。Bは交互多層
膜形成時にRFマグネトロンスパッタ法により同時スパ
ッタして多層膜中に含有させた。この際、Bの記録層6
中の含有量が12at%となるように調整した。
【0079】最後に、記録層6上に、保護層7としてC
膜を、Arガス雰囲気中でRFマグネトロンスパッタ法
により形成した。保護層7の膜厚は3nmとした。
【0080】この例で作製した磁気ディスクの構造を、
高分解能透過電子顕微鏡(TEM)で分析した。TEM
の分析結果は図示しないが、平面TEM観察からは記録
層の結晶粒及び結晶粒界部が明瞭に観測された。高角度
散乱暗視野像(HAADF−STEM像)からは記録層
の結晶粒界部に軽元素が多く存在することが確認でき、
Bが記録層の結晶粒界部に偏析していることが分かっ
た。
【0081】次に、この例で作製した磁気ディスクに含
まれるのB濃度の膜厚方向の分布を、エックス線光電子
分光法(XPS)で分析した。その結果を図10に示し
た。図10中の破線が、実施例5の磁気ディスクにおけ
るB濃度の膜厚方向分布である。ただし、この実験では
保護層側から、エッチングとXPSによるB濃度測定と
を繰り返し行いB濃度の膜厚方向分布を調べたので、図
10の横軸はエッチング時間で表した。図10に示すよ
うに、エッチング時間0〜約1minが保護層、約1〜
約3minが記録層、約3〜約4.25minがシード
層、そして約4.25min以降が軟磁性層の領域に相
当する。
【0082】実施例5で作製した磁気ディスクの記録層
内では、図10に示すように、シード層との境界面から
保護層との境界面に向かうにしたがってB濃度が減少し
ており、記録層内の膜厚方向にB濃度の勾配が生じてい
る。これは、記録層の成膜時に、シード層に含有させた
Bの一部が記録層に拡散したためであると考えられる。
記録層とシード層との境界面近傍ではB濃度は17.0
at%であり、記録層のシード層側の境界面と記録層の
保護層側の境界面との中間のB濃度12.5at%に比
べて、シード層に近いためBの拡散量が増大しB濃度が
大きくなっているが、記録層とシード層との境界面から
保護層へ向かうにしたがって、シード層から離れるので
Bの拡散量が小さくなりB濃度は小さくなっている。な
お、記録層とシード層との境界面近傍のB濃度は、記録
層とシード層との境界面に対して、シード層側のエッチ
ング時間3.2minのB濃度測定位置におけるB濃度
分布曲線の接線と、記録層側のエッチング時間2.8m
inのB濃度測定位置におけるB濃度分布曲線の接線と
の交点により求めた。一方、記録層のシード層側の境界
面と記録層の保護層側の境界面との中間におけるB濃度
の求め方は、まず、保護層と記録層との境界面近傍のB
濃度を、記録層とシード層との境界面近傍のB濃度の求
め方と同様の方法で決定し、次いで、両境界面を基準に
して記録層内の中間位置を決定する。そして、記録層の
両境界面の位置及びB濃度と中間位置から記録層内の中
間位置のB濃度を求めた。
【0083】この例で作製した磁気ディスクでは、成膜
後、記録層の平均B濃度は15at%であり、シード層
の平均B濃度は28at%であった。シード層ではBの
一部が記録層へ拡散し流出するので、シード層の成膜後
の平均B濃度は、成膜時のシード層形成材料中のB含有
量(33at%)より小さくなる。一方、記録層ではB
がシード層からの拡散により流入するので、成膜後の記
録層の平均B濃度は、成膜時の記録層形成材料中のB含
有量(12at%)より大きくなった。
【0084】次に、この例で作製した磁気ディスク40
0の保護層7上に潤滑材(不図示)を塗布した後、磁気
ディスク400の記録再生特性を評価した。ただし、記
録には垂直磁気記録に適した単磁極ヘッドを用い、再生
にはスピンバルブ型GMR磁気ヘッドを用いた。磁気ヘ
ッド面と磁気ディスク面との距離は10nmに保った。
磁気ディスク400を評価した結果、Slf/Nd=2
3.1が得られた。なお、Slfは線記録密度が20k
FCIの信号を記録した時の再生出力であり、Ndは線
記録密度が450kFCIの信号を記録した時のノイズ
レベルであり、Slf/Ndは媒体の信号対雑音比の指
標となる。
【0085】また、この例で作製した磁気ディスク40
0を磁気記録装置に組み込んで、記録再生特性を評価し
た。
【0086】この例で作製した磁気ディスク400を、
磁気記録装置に装着して、磁気ディスク400の再生試
験を行った。ここでは、磁気ディスク400に60Gb
its/inchに相当する信号を記録した。磁気記
録装置の磁気ヘッド面と、磁気ディスク400の表面と
の距離は10nmに保った。再生試験の結果、信号対雑
音比S/N=30dBの再生信号が得られ、エラーレー
トは、信号処理を行わない場合に、1×10−5以下で
あった。
【0087】
【比較例3】この比較例3では、実施例5との比較を行
う。比較例3では、シード層の成膜時のBの含有量が、
シード層を形成する材料中12at%となるように、即
ち、Pd:B=88:12となるように調節して作製し
た以外は実施例5と同様に磁気ディスクを作製した。こ
のシード層のB含有量は、記録層の成膜時のB含有量と
同じ値である。
【0088】この例で作製した磁気ディスクに含まれる
Bの濃度分布を、実施例5と同様に、エックス線光電子
分光法(XPS)で分析した。その結果を図10に示し
た。図10中の実線が比較例3の磁気ディスクにおける
B濃度の膜厚方向分布である。この例で作製した磁気デ
ィスクでは、図10に示すように、実施例5の結果(図
10中の破線)と比べて、記録層内でB濃度の勾配が殆
どなかった。これは、シード層と記録層の成膜時のB含
有量が同じ値であるため、記録層の成膜時に、シード層
から記録層へのBの拡散が生じなかったためであると考
えられる。また、記録層内のB濃度について実施例5と
比較例3の結果を比較すると、図10に示すように、実
施例5で作製した磁気ディスクの記録層中のB濃度が、
比較例3で作製したものより大きくなった。この濃度差
はシード層から記録層へ拡散したBの拡散量に相当する
ものと考えられる。
【0089】また、この例で作製した磁気ディスクにつ
いて、実施例5と同様に、Slf/Ndを測定した。そ
の結果を、実施例5の結果と一緒に表3に示した。ただ
し、表3中のBrは記録層の成膜時のB含有量であり、
Bsはシード層の成膜時のB含有量であり、B1は成膜
後の記録層とシード層との境界面近傍におけるB濃度で
あり、そして、B2は成膜後の記録層のシード層側の境
界面と記録層の保護層側の境界面との中間位置における
B濃度である。
【0090】
【表3】
【0091】比較例3で作製した磁気ディスクでは、表
3に示すように、Slf/Nd=18.1dBとなり、
実施例5の磁気ディスクより低い値となった。これは、
シード層と記録層のB含有量が同じ値であるため、シー
ド層から記録層へのBの拡散が殆どなく、記録層内の結
晶粒界部におけるBの偏析が促進されなかったためであ
ると考えられる。従って、実施例5のように、シード層
の成膜時のB含有量を記録層のそれより十分大きくする
ことにより、シード層から記録層へBが拡散され、記録
層の結晶粒界部でのBの偏析が促進されて、遷移ノイズ
が低減するために、Slf/Ndが増大するものと考え
られる。
【0092】
【実施例6】実施例6では、磁気ディスクの成膜時に、
シード層のB含有量を33.0〜100.0at%、記
録層のB含有量を5.0〜15.0at%の範囲でそれ
ぞれ変化させて種々の磁気ディスクを作製した以外は、
実施例5と同様に磁気ディスクを作製した。
【0093】この例で作製した種々の磁気ディスクにつ
いて、実施例5と同様に、Slf/Ndを測定した。そ
の結果を表4に示した。表4中のBrは記録層の成膜時
のB含有量であり、Bsはシード層の成膜時のB含有量
であり、B1は成膜後の記録層とシード層との境界面近
傍におけるB濃度であり、そして、B2は成膜後の記録
層のシード層側の境界面と記録層の保護層側の境界面と
の中間位置におけるB濃度である。また、表4には、実
施例5及び比較例3の結果も一緒に記載した。
【0094】
【表4】
【0095】表4に示したように、シード層の成膜時の
B含有量Bsを33.0〜100.0at%とし、記録
層の成膜時のB含有量Brを5.0〜15.0at%と
し、且つBsとBrの含有量差を18.0〜95.0a
t%とすることにより、22.0dB以上のSlf/N
dが得られることが分かった。その時、磁気ディスクの
記録層中のB1は18.0〜60.0at%であり、B
2は7.0〜17.0at%であった。
【0096】以上、本発明の磁気記録媒体について具体
的に説明したが、本発明はこれらに限定されるものでは
なく、種々の変形例及び改良例を含み得る。
【0097】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、人工格子構造
を有する記録層の下地として、Si、C、Zr及びBの
うちから選ばれる一種とPdとからなるシード層を用い
ているので、記録層の面内方向の磁気的結合力を低減す
ることができる。これにより、記録層の磁化遷移領域の
乱れが低減するため、線記録密度を高めても低ノイズで
情報を再生することができる。また。磁気異方性の高い
人工格子膜を記録層と用いているため、高い熱安定性を
有している。
【0098】本発明の磁気記録媒体の製造方法によれ
ば、成膜時にシード層のBの含有量を記録層のBの含有
量より十分大きくすることにより、シード層内のBの一
部を記録層へ拡散させ、記録層内の結晶粒界部における
Bの偏析を促進し、記録層内の結晶粒間の磁気的相互作
用を一層低減することができる。これにより、媒体ノイ
ズが低減され高S/Nで情報再生可能な磁気記録媒体を
提供することができる。
【0099】本発明の磁気記憶装置は、本発明の磁気記
録媒体を備えるため、150ギガビット/平方インチ
(約23.25ギガビット/平方センチメートル)の高
い面記録密度で情報を記録しても高S/Nで情報を再生
することができるとともに、高い耐熱減磁特性を有して
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う磁気記録媒体の概略断面図であ
る。
【図2】本発明に従う磁気記憶装置の平面模式図であ
る。
【図3】磁気記録媒体の記録層の断面構造を模式的に示
した図である。
【図4】実施例1で製造した磁気記録媒体の電磁変換特
性の測定結果である。
【図5】実施例1で製造した磁気記録媒体の時間に対す
る再生信号出力のグラフである。
【図6】実施例2で製造した磁気記録媒体の概略断面図
である。
【図7】磁気記録媒体の記録層のPd層へのBの添加量
に対するS/Nのグラフである。
【図8】磁気記録媒体の記録層のPd層へのBの添加量
に対する保磁力のグラフである。
【図9】実施例5で作製した磁気ディスクの概略断面図
である。
【図10】実施例5及び比較例3で作製した磁気ディス
クのB濃度の膜厚方向分布図である。
【符号の説明】
1 基板 2 密着層 3 軟磁性層 5 シード層 6 記録層 7 保護層 100,300,400 磁気記録媒体 200 磁気記憶装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高山 孝信 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立 マクセル株式会社内 (56)参考文献 特開2003−123245(JP,A) 特開2002−352409(JP,A) 特開2002−352408(JP,A) 特開 平8−30951(JP,A) 特開2001−155329(JP,A) 特開2002−197636(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 - 5/858

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体であって、 基板と; 該基板上に直接または間接的に形成され、且つPdと、
    Si、C及びZrからなる群から選ばれる1種とから形
    成されたシード層と; 該シード層上に直接形成され、Pd層とCo層とを交互
    に積層して形成され、且つ酸素を含まない磁気記録層
    と;を備える磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記シード層が、50at%〜90at
    %のPdと、10at%〜50at%のSiとから形成
    されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 磁気記録媒体であって、 基板と; 該基板上に直接または間接的に形成され、且つ40at
    %〜80at%のPdと、20at%〜60at%のB
    とから形成されたシード層と; 該シード層上に直接形成され、Pd層とCo層とを交互
    に積層して形成され、且つ酸素を含まない磁気記録層
    と;を備える磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記シード層が微結晶構造または部分的
    に非晶質を含む結晶構造を有することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記シード層の膜厚が1nm〜30nm
    の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か一項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記磁気記録層が人工格子構造を有し且
    つ垂直磁化を示し、前記磁気記録媒体がさらに前記基板
    と前記シード層との間に軟磁性層を備えることを特徴と
    する請求項1に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記軟磁性層が、Fe中にTa、Nb及
    びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の
    窒化物または炭化物を分散させてなる構造を有すること
    を特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記軟磁性層が、Co−Zrを主体と
    し、これにTa、Nb及びTiからなる群から選ばれる
    少なくとも1種の元素を含む非晶質合金を用いて形成さ
    れていることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒
    体。
  9. 【請求項9】 前記軟磁性層とシード層との間に、鉄酸
    化物を含む酸化物層を備えることを特徴とする請求項6
    〜8のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記酸化物層の膜厚が30nm以下で
    あることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記磁気記録層が、Co層とPd層と
    の人工格子層であり、Coが基板表面に平行な方向に不
    連続に分布していることを特徴とする請求項1〜10の
    いずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記磁気記録層のPd層に、Cまたは
    Zrが含まれ、前記磁気記録層のPd層にCが含まれる
    場合には前記シード層にCが含まれ、前記磁気記録層の
    Pd層にZrが含まれる場合には前記シード層にZrが
    含まれることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  13. 【請求項13】 前記磁気記録層のPd層に、Bが含ま
    れることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 前記磁気記録層が、Pd層とCo層と
    を交互に積層して形成された人工格子層であり、前記人
    工格子層は、Bを含み、Bの含有量がPdとBの合計量
    に対して10at%〜40at%であることを特徴とす
    る請求項に記載の磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】 前記磁気記録層が結晶粒子の集合体か
    ら構成され、各結晶粒子は前記基板の表面に対して垂直
    な方向に円柱状に延び且つその先端が磁気記録層表面に
    おいて隆起しており、該結晶粒子の直径が2nm〜15
    nmの範囲内にあり、該結晶粒子の隆起の高さが1nm
    〜10nmであることを特徴とする請求項1〜14のい
    ずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】 前記磁気記録層が、0.05nm〜
    0.5nmの範囲内の膜厚を有するCo層と、0.5n
    m〜2nmの範囲内の膜厚を有するPd層とを交互に積
    層して形成されたCo/Pd人工格子層であることを特
    徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の磁気
    記録媒体。
  17. 【請求項17】 磁気記録媒体であって、 基板と; 該基板上に直接または間接的に形成され、且つPd及び
    Bを含むシード層と; 該シード層上に直接形成され、且つPt及びPdの少な
    くとも一方とBとを含む磁気記録層と;を備え、 前記シード層中のBの平均濃度が前記磁気記録層中のB
    の平均濃度よりも高く、前記磁気記録層の前記シード層
    側の境界面におけるB濃度B1と、前記磁気記録層の前
    記シード層側の境界面及び前記磁気記録層の前記シード
    層側とは反対側の境界面の中間におけるB濃度B2との
    間に、B1>B2の関係が成立する磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 前記B濃度B1が17.0〜70.0
    at%であり、前記B濃度B2が6.0〜17.0at
    %であることを特徴とする請求項17に記載の磁気記録
    媒体。
  19. 【請求項19】 前記磁気記録層内の膜厚方向に0.2
    〜4.2at%/nmのBの濃度勾配を有することを特
    徴とする請求項17または18に記載の磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 基板上に直接または間接的に、Pd
    と、Si、B、C及びZrからなる群から選ばれる少な
    くとも1種の元素とを含むシード層を形成することと; 該シード層上に直接、Pt及びPdの少なくとも一方の
    白金族層とCo層とを交互に積層し、且つ酸素を含まな
    い磁気記録層を形成することと;を含む磁気記録媒体の
    製造方法。
  21. 【請求項21】 前記シード層がPdとBを含み且つ前
    磁気記録層がBを含み、前記シード層形成材料中のB
    の含有量Bsと、前記磁気記録層形成材料中のBの含有
    量Brとの間に、Bs>Brの条件が成立することを特
    徴とする請求項20に記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項1に記載の磁気記録媒体と; 情報を記録または再生するための磁気ヘッドと; 前記磁気記録媒体を前記磁気ヘッドに対して駆動するた
    めの駆動装置と;を備えることを特徴とする磁気記憶装
    置。
  23. 【請求項23】 前記磁気ヘッドは磁気抵抗効果型磁気
    ヘッドを含むことを特徴とする請求項22に記載の磁気
    記憶装置。
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