JP3476823B2 - 末端シリル基を有するブタジエンポリマー - Google Patents

末端シリル基を有するブタジエンポリマー

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は末端シリル基を有する水素化ブタジエンポリ
マーの製造、並びにコーティング及び他の高分子量ポリ
マーを製造するための前記ブタジエンポリマーの使用に
関する。
リチウム開始剤(例えば第2ブチルリチウム)による
共役ジエンのアニオン性重合及び残留不飽和の水素化は
米国再発行特許第27,145号を始めとする多数の文献に記
載されており、該特許はブタジエンの1,2−付加量(35
〜55%)と水素化ブタジエンポリマーのガラス転移温度
との関係を教示している。
アニオン性リビングポリマーの重合を停止し、末端官
能基を形成することは米国特許第4,417,029号、4,518,7
53号及び4,753,991号に記載されている。本発明では末
端フェノール基に変換される末端シリル基が特に有用で
ある。
米国特許第4,518,753号及び3,652,732号に教示されて
いるように、不飽和1,3−ブタジエンポリマーでは低粘
度を得るために低度の1,2−付加が必要であることが知
られている。しかしながら、これらのポリマーは水素化
されると結晶質固体となる。このような結晶質ポリマー
はMitsubishiから市販されており、72℃の融点を有する
POLYTAIL Hポリマーと呼称されている。
米国特許第4,020,125号に記載されているように、ブ
タジエンの1,2−付加が30%を越えると水素化ブタジエ
ンポリマーは非結晶質となる。米国特許第4,866,120号
及び4,020,125号に記載されているように、非結晶質水
素化ブタジエンポリマーは低分子量で粘性液体である。
Mitsubishi製POLYTAIL HAポリマー及びNippon Soda製
NISSO GI−2000ポリマーは末端官能基及び約84%の1,2
−付加を有する低分子量水素化ブタジエンポリマーの市
販例である。
本発明の目的は、末端フェノール基に変換される末端
シリル基を有する水素化ブタジエンポリマーを提供する
ことである。本発明の別の目的は、無溶媒コーティング
の製造及び高分子量ポリマーの製造のために低粘度ポリ
マーを提供することである。
1個以上の末端シリル基を有する水素化ブタジエンポ
リマーは、リビングブタジエン分子の末端で(4−ビニ
ルフェニレン)ジメチル(t−ブチル)シリルエーテル
を重合することにより製造される。シリル基はフェノー
ル基に変換される。(4−ビニルフェニレン)ジメチル
(t−ブチル)シリルエーテルは末端シリル基をもたら
す重合開始剤としても有用である。本発明の水素化ブタ
ジエンポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーにより
測定したピーク分子量が1,000〜10,000であるときに室
温で無溶媒で使用することができる。
リチウム開始剤による共役ジエン炭化水素のアニオン
性重合は米国特許第4,039,593号及び米国再発行特許第2
7,145号に記載されているように周知である。重合は各
リチウムサイトにリビングポリマー主鎖を形成するモノ
リチウム、ジリチウム又はポリリチウム開始剤により開
始される。重合共役ジエン炭化水素を含む典型的なリビ
ングポリマー構造は、X−B−Li、X−A−B−Li、X
−A−B−A−Li、Li−B−Y−B−Li、Li−A−B−
Y−B−A−Li(式中、Bはブタジエン又はイソプレン
等の1個以上の共役ジエン炭化水素の重合単位を表し、
Aはスチレン等の1個以上のビニル芳香族化合物の重合
単位を表し、Xは第2ブチルリチウム等のモノリチウム
開始剤の残基であり、Yは第2ブチルリチウム及びm−
ジイソプロペニルベンゼンの二付加物等のジリチウム開
始剤の残基である)である。ポリリチウム開始剤又はス
チレンと共役ジエンのランダム単位に属するものを含む
所定の構造は当分野で公知であるが、一般にその実用性
は制限されている。
共役ジエン炭化水素のアニオン性重合は、所望量の1,
4−付加を得るようにジエチルエーテル又はグリム(1,2
−ジエトキシエタン)等の構造調節剤で一般に制御され
る。米国再発行特許第27,145号に記載されているよう
に、ブタジエンポリマー又はコポリマーの1,2−付加レ
ベルは水素化後の弾性に著しく影響し得る。
末端官能基を有する1,3−ブタジエンポリマーの1,2−
付加はポリマーの粘度に影響する。例えば、6容量%の
ジエチルエーテル又は1000ppmのグリムを用いて50℃で
重合中に40%の1,2−付加が達せられる。
第2ブチルリチウム(s−BuLi)及びm−ジイソプロ
ペニルベンゼンの二付加物でジリチウム重合を開始する
にはジエチルエーテル、グリム又はトリエチルアミン等
の非反応性配位剤の存在も必要であり、このような配位
剤の不在下ではモノリチウム重合が開始される。上述の
ようにアニオン性重合中にはエーテルが一般に存在して
おり、特定ポリマー構造を得るために一般に必要なエー
テルの量はジリチウム重合を開始するために十分であっ
た。
アニオン性重合は多くの場合には水を加えてリチウム
を水酸化リチウム(LiOH)として除去するか又はアルコ
ール(ROH)を加えてリチウムをリチウムアルコキシド
(LiOR)として除去することにより停止される。末端シ
リル基を有するポリマーでは、まず最初に構造: (式中、Rは水素又は炭素原子数10までのアルキル、好
ましくは水素又は炭素原子数1もしくは2のアルキル、
より好ましくは水素又はメチルである)を有する保護ヒ
ドロキシ−スチレンモノマーに相当する(4−ビニルフ
ェニレン)ジメチル(t−ブチル)シリルエーテルを慣
用ポリマー鎖の末端に付加する。末端シリル基は式: (式中、Pはリチウムの除去前のポリマーを表す)によ
り表される。
従って、本発明は不飽和の少なくとも90%の水素化を
有する重合1,3−ブタジエンと、リチウムの除去前に構
造: (式中、Rは水素又は炭素原子数10までのアルキル、好
ましくは水素又は低級アルキルである)を形成する1分
子当たり少なくとも1個の末端シリル基とを含むポリマ
ーを提供する。
シリルエーテルモノマーは更に、アルキルリチウム
(R1−Li)、好ましくは第2ブチルリチウムと反応する
と重合開始剤を形成する。重合開始剤は構造: (式中、Rは水素又は炭素原子数10までのアルキル基で
あり、R1は炭素原子数2〜20のアルキル基である)を有
する。開始剤は慣用重合法を使用して共役ジエンから直
鎖、分枝又は星形ポリマーを生成する。
シリルエーテル開始剤を用いて製造したリビングポリ
マーは、カップリング剤(例えば四塩化ケイ素、ジクロ
ロジメチルシラン又はジビニルベンゼン)、キャッピン
グ剤(例えばエチレンオキシド、二酸化炭素)又は上記
シリルエーテルモノマーと反応させることにより重合を
停止し、多重末端基を形成することができる。
シリル基は好ましくは、加熱又は脱シリル化剤(例え
ば酸又は弗化テトラ−n−ブチルアンモニウム)との反
応、好ましくは好適方法の水素化触媒除去段階で使用す
る酸との反応により除去される。脱シリル化の結果、末
端フェノール基が形成される。
米国再発行特許第27,145号並びに米国特許第4,970,25
4号及び5,166,277号に記載されているように、ニッケル
触媒でブタジエンポリマー中の不飽和の少なくとも90
%、好ましくは少なくとも95%の水素化が達せられる。
好適ニッケル触媒は下記実施例1により詳述する2−エ
チルヘキサン酸ニッケルとトリエチルアルミニウムの混
合物である。
好ましくは、水素化後に本発明のポリマーをHClと反
応させる。
ピーク分子量が500〜50,000、好ましくは500〜20,000
であるときには、ヒドロキシル、カルボキシル、フェノ
ール、エポキシ及びアミン基から選択される2個以上の
末端官能基を有するブタジエンポリマーを使用すること
ができる。これらの官能基は顕著な原子吸引を示さない
ため、官能化ポリマーを凝固させない。
本発明のポリマーはコーティング、シーラント及びバ
インダーの形成等の慣用用途を有する。更に、米国特許
第4,994,526号に記載されているようにポリカーボネー
ト、ポリエステル及びポリアミドの製造中に約2個以上
の末端フェノール基を有するブタジエンポリマーを慣用
化合物と共重合させることができる。
本発明の好適態様によると、好ましくは式A(式中、
Rは水素又はメチルである)の(4−ビニルフェニレ
ン)ジメチル(t−ブチル)シリルエーテルから1分子
当たり約2個の末端シリル基を有する水素化1,3−ブタ
ジエンポリマーが製造される。ポリスチレン標準を使用
してゲル透過クロマトグラフィーにより測定したポリマ
ーのピーク分子量が1,000〜10,000であり且つ1,2−付加
が40〜70%であるとき、このようなポリマーは室温で低
粘度液体である。
下記実施例は本発明の特定態様を具体的に説明するも
のであり、請求の範囲を規定するものではない。
実施例中に報告するピーク分子量は、公知ピーク分子
量を有するポリスチレン標準で較正したゲル透過クロマ
トグラフィーを使用して測定した。全GPCサンプルの溶
媒はテトラヒドロフランであった。ポリマー微細構造
(1,2−付加)はクロロホルム溶液中で13C及び1H NMR
により測定した。
実施例1 1分子当たり約2個の末端シリル基を有しており、ポ
リスチレン標準を使用してゲル透過クロマトグラフィー
(GPC)により測定したピーク分子量が5,800(Mw/Mn
1.13)であり、核磁気共鳴(NMR)法により測定した1,2
−付加が88%である直鎖水素化ブタジエンポリマーを下
記のように調製した。1,3−ブタジエンの重合用シリル
エーテル開始剤を使用してリビングブタジエン前駆物質
ポリマーを合成した。シリルエーテルモノマーを使用し
てリビングポリマー鎖末端をキャップし、末端シリル官
能性を有する直鎖前駆物質ポリマーを得た。Ni/Al触媒
を使用してこのポリマーを水素化した後、シリル基を末
端フェノール基に変換した。
シリルエーテル開始剤を合成するために、約5℃の不
活性窒素雰囲気下で500ml容ガラス瓶反応容器にシクロ
ヘキサン250ml、テトラヒドロフラン10.0ml及び非置換
(4−ビニルフェニレン)ジメチル(t−ブチル)シリ
ルエーテル(SST)0.55g(0.002モル)を加えた。安定
した薄黄色になるまでs−BuLiの溶液で滴定することに
より、アニオン性重合を妨げ得る不純物を除去した。次
いで、存在するSST1当量当たり1当量のs−BuLi(0.00
2モル)で精製溶液を処理した。5℃で10分間反応さ
せ、所期シリルエーテル開始剤の溶液を得た。
開始剤の形成後、5℃の窒素雰囲気下で0.183モルの
1,3−ブタジエンを加えた。反応混合物の温度を5℃に
維持するように反応器を冷却することにより重合発熱量
を抑制した。1.5時間後、重合反応はほぼ完了した。
リビングポリマーを含有する溶液を更に5℃でSST0.5
5g(0.002モル)と反応させた。反応を40分間進めた
後、MeOH20mlで終了させた。5倍量のイソプロパノール
中でポリマーを沈殿させることによりポリマーを回収し
た。
1H NMRによりポリマーを分析した処、2モル%SST及
び98モル%ブタジエンから構成され、約90%の1,2−付
加を有する組成物であることが判明した。
末端シリル基を有するブタジエンポリマーのアリコー
ト8.95gをシクロヘキサン586gと共に1リットル容オー
トクレーブに充填し、ニッケル/アルミニウム触媒を使
用して水素化した。シクロヘキサン中で、ニッケル1モ
ルに対してアルミニウム2.6モルの比を与えるために十
分な量の2−エチルヘキサン酸ニッケルをトリエチルア
ルミニウムと反応させることにより、予め触媒(190ppm
Ni)を調製した。ポリマー溶液に32℃で2分間水素を
散布した。次いで触媒16.14gを導入した後、反応器に50
バール(700psig)の圧力まで水素を充填した。発熱水
素化反応が生じた。
1時間後に反応溶液の温度を80℃に上げ、反応を合計
で2時間17分間続けた。
HClで酸性化し、メタノール:塩酸(水中濃度37%)
が5:1であるメタノール/酸洗浄液で4回に分けて洗浄
して水素化触媒を除去した。1H及び13C NMRの結果、エ
チレン性不飽和の少なくとも98%が水素化されているこ
とが判明した。
水素化触媒除去段階でシリル基をHClに暴露後に、水
素化ブタジエンポリマーはフェノール基を含んでいた。
実施例2 SSTの二度目の添加に代わりにジビニルベンゼン0.006
モルをエチレンビニルベンゼンと混合(約55重量%DV
B)して加えた以外は実施例1に記載した通りに末端フ
ェノール基を有するリビング水素化ブタジエンポリマー
を調製した。得られたポリマーは星形構造を有してお
り、シリル基をフェノール基に変換する前に各アームは
約5,800のピーク分子量を有していた。
実施例3 4,000のピーク分子量を得るようにシリルエーテル開
始剤とブタジエンモノマーの比を調整し且つ1,2−付加
を50%に低下させるために十分なジエチルエーテルを加
えた以外は実施例1に記載したように末端フェノール基
を有する水素化ブタジエンポリマーを調製した。
実施例4 シクロヘキサン中で重合を実施し且つ1,2−付加を15
%に低下させた以外は実施例1に記載したように末端フ
ェノール基を有する水素化ブタジエンポリマーを調製し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−154816(JP,A) 特開 昭64−38407(JP,A) 特開 昭63−6041(JP,A) 特開 昭63−6003(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/00 - 8/50

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不飽和の少なくとも90%が水素化されてい
    るブタジエン重合体と、リチウムの除去前に構造: (式中、Rは水素又は炭素原子数10までのアルキル、好
    ましくは水素又は低級アルキルである)を形成する1分
    子当たり少なくとも1個の末端シリル基とを含むポリマ
    ー。
  2. 【請求項2】末端シリル基が(4−ビニルフェニレン)
    ジメチル(t−ブチル)シリルエーテル開始剤、(4−
    ビニルフェニレン)ジメチル(t−ブチル)シリルエー
    テルモノマー又はその両者から生成される請求項1に記
    載のポリマー。
  3. 【請求項3】ポリマーが直鎖構造と、1分子当たり少な
    くとも2個のシリル基と、30〜70%の1,2−付加を有す
    る請求項2に記載のポリマー。
  4. 【請求項4】ブタジエン重合体が500〜20,000のピーク
    分子量を有する請求項3に記載のポリマー。
  5. 【請求項5】ブタジエン重合体が少なくとも95%水素化
    されている請求項4に記載のポリマー。
  6. 【請求項6】ピーク分子量が1,000〜10,000である請求
    項5に記載のポリマー。
  7. 【請求項7】(4−ビニルフェニレン)ジメチル(t−
    ブチル)シリルエーテルをブタジエン重合体と反応さ
    せ、不飽和の少なくとも90%を水素化することにより製
    造されるポリマー。
  8. 【請求項8】ブタジエン重合体が1,000〜10,000のピー
    ク分子量を有する請求項7に記載のポリマー。
  9. 【請求項9】ブタジエン重合体がシリルエーテルをアル
    キルリチウムと反応させた後、1,3−ブタジエンを加え
    ることにより製造される請求項8に記載のポリマー。
  10. 【請求項10】水素化後にポリマーをHClと反応させる
    請求項9に記載のポリマー。
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