JP3464730B2 - アクリルゾル - Google Patents

アクリルゾル

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JP3464730B2
JP3464730B2 JP10262895A JP10262895A JP3464730B2 JP 3464730 B2 JP3464730 B2 JP 3464730B2 JP 10262895 A JP10262895 A JP 10262895A JP 10262895 A JP10262895 A JP 10262895A JP 3464730 B2 JP3464730 B2 JP 3464730B2
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plasticizer
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幸弘 池上
俊宏 笠井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリル重合体粒子、
可塑剤および充填剤からなるアクリルプラスチゾル、お
よびこれに有機溶剤を加えたアクリルオルガノゾルに関
する。
【0002】
【従来の技術】現在、工業的に広く用いられているプラ
スチゾルは、ポリ塩化ビニルパウダーと充填剤を可塑剤
に分散させて得られる塩ビゾルを主成分とし、さらに、
用途により顔料、熱安定剤、発泡剤、希釈剤などを含む
ものが一般的である。このプラスチゾルは、自動車、カ
ーペット、壁紙、床等の種々の分野で用いられている。
【0003】一方、環境問題の点から、焼却時に塩化水
素ガスを発生させる塩ビゾル関連製品は、オゾン層の破
壊、酸性雨の原因となるばかりでなく、焼却炉を著しく
損傷させ、さらにダイオキシンという有害物質を発生す
るという深刻な問題点を有しており、各種商品分野で塩
ビゾルに替わるプラスチゾルの出現が待たれていた。
【0004】この要求に対し、焼却時に塩化水素ガスを
発生しないプラスチゾルとして、特公昭55−1617
7号公報に、アクリルゾル組成物が提案されている。こ
れは均一組成系のアクリルポリマー粒子を用いたもので
あり、ジオクチルフタレートのような汎用可塑剤を用い
た場合、前記粒子への溶解性が高く、混合後数分間でア
クリルゾルの粘度上昇が起きて塗工不能となるため、実
用上使用することができない。また、アクリルゾルの塗
工安定性および貯蔵安定性を向上するために、アクリル
ポリマーに溶解性の低いモノマー成分を共重合させたも
のが提案されているが、これは、硬化後の塗膜表面に可
塑剤がブリードアウトしやすいという問題点を有してい
る。このように、従来のアクリルゾルでは、焼却時に塩
化水素ガスを発生しないものの、塗工特性と貯蔵時に増
粘しないといった貯蔵安定性等の実用性能を満足できな
いのが現状である。
【0005】また、特開平6−25365号公報では、
可塑剤と良好な相溶性を有するスチレンポリマーをコア
層に、可塑剤と非相溶性を有するメチルメタクリレー
ト、不飽和カルボン酸及び不飽和アルコールの共重合ポ
リマーをシェル層とすることを特徴としたプラスチゾル
が開示されている。しかしながら、このようにコア層と
シェル層が、可塑剤との相溶性の異なる2種類のモノマ
ー単位から構成された複層構造を有している場合には、
高温度、短時間加熱というゲル化条件で形成した硬化塗
膜は、本質的に可塑剤との相溶性が不足し、且つコア・
シェル構造のポリマーの相溶性も不足するため該ポリマ
ー内で層分離現象を起こしやすく、脆くなる。特に、発
泡剤により成膜時に気泡セルを形成させる場合には、ゲ
ル化膜の不良は顕著となり、塩ビゾル製品に比べ、極め
て可撓性が不足した塗膜となる。さらに、このようなプ
ラスチゾルでは、可塑剤としてリン酸エステル系を使用
し、且つエステル部に芳香環を有するような限られた条
件下でのみ、良好な硬化塗膜を形成できるというもので
あり、塩ビゾルで汎用されている安価なジオクチルフタ
レートやジイソノニルフタレート等の可塑剤は、塗膜上
に可塑剤のブリードアウトが発生するため使用すること
ができなかった。
【0006】そこで、可塑剤のブリードアウトの対策と
して、本発明者らは可塑剤と相溶性の高いポリマーをコ
ア部に多く配合したプラスチゾルを試みたが、可塑剤に
よりポリマーが膨潤・溶解し、ゾル粘度が増加するた
め、長期分散安定性が不十分であり、未だ十分に満足で
きるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、焼却時に塩
化水素ガスを発生することなく、かつジオクチルフタレ
ート、ジイソノニルフタレート等の安価で工業的に有利
な汎用のジアルキルフタレート系可塑剤の使用が可能で
あり、室温条件下では可塑剤に対する分散安定性が良く
粘度変化が少なく、高温条件下では容易に溶解・ゲル化
するとともに、可塑剤のブリードアウトがなく可撓性の
良好な硬化塗膜を形成できるプラスチゾルを提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、特定のモノマー単位の構成
比率が粒子中心部から最外部に向けて多段階もしくは連
続的に変化するグランジェント型構造を有するアクリル
重合体粒子とすることにより、上記課題を解決できるこ
とを見いだし、本発明に至った。すなわち、本発明は、
アクリル重合体粒子(I)、可塑剤(II)および充填剤
(III)を含有するアクリルゾルにおいて、該アクリル
重合体粒子(I)が、粒子の中心部から最外部に向け
て、その構成単位の構成比率が多段階もしくは連続的に
変化するグランジェント型構造を有するアクリルゾルに
ある。
【0009】以下、本発明のアクリルゾルについて、詳
細に説明する。本発明のアクリルゾルは、アクリル重合
体粒子(I)、可塑剤(II)および充填剤(III)から
なる。この(I)成分のアクリル重合体粒子は、少なく
とも可塑剤と相溶性が良好な(メタ)アクリレート単位
(a-1)と可塑剤との相溶性が低いメタアクリレート単
位(b-1)及びメチルメタクリレート、ベンジルメタクリ
レートから選ばれる少なくとも一種のメタクリレート単
位 (b-1)、及びメタクリル酸、アクリル酸、イタコン
酸、クロトン酸から選ばれる少なくとも一種のカルボン
酸単位 (b-2)とから構成され、これらの構成単位の構成
比率が粒子中心部から最外部に向けて、多段的もしくは
連続的に変化するグランジェント型構造を有する。具体
的には、(メタ)アクリレート単位(a-1)の構成比率が
アクリル重合体粒子(I)の中心部から最外部にむけて
多段階もしくは連続的に減少し、該メタクリレート単位
(b-1)及び不飽和カルボン酸単位(b-2)の構成比率がアク
リル重合体粒子(I)の中心部から最外部にむけて多段
階もしくは連続的に増加する、グランジェント型構造を
有する。このような構造にすることにより、100℃以
上の加熱で可塑剤が拡散してゲル化し、硬化塗膜を形成
することができるアクリルゾルを得ることができる。
【0010】本発明の(I)成分であるアクリル重合体
粒子の分子量は、用途によって異なるが、重量平均分子
量で10,000〜2,000,000が好ましい。こ
れは、重量平均分子量が10,000より小さい場合に
は、得られたアクリル重合体粒子は可塑剤に溶解しやす
くなる傾向にあり、重量平均分子量が2,000,00
0より大きい場合には、乳化重合でアクリル重合体粒子
を製造することが難しくなる傾向にあるためである。
【0011】この(I)成分の粒子径は、加熱成膜性と
貯蔵安定性のバランスの点から、一次粒子及び/又は一
次粒子が凝集した二次粒子で0.1〜100μmである
ことが好ましく、さらに好ましくは3〜30μmであ
る。この粒子径が大き過ぎると、加熱成膜時に可塑剤の
拡散が不良となり、完全なゲル化が起こらない傾向にあ
る。また、粒子径が小さすぎるとアクリルゾルの貯蔵安
定性が不十分となる傾向にある。そこで要求性能に合わ
せ、粒子径を最適化することが好ましい。
【0012】本発明に用いるアクリル重合体粒子(I)
の製造方法は、その粒子構造が中心部から最外部に向け
て特定のモノマーからなる構成単位の構成比率が多段階
もしくは連続的に変化する構造となるものであれば特に
限定されるものではないが、アクリル重合体粒子(I)
を含むエマルションが効率よく得られる点では、乳化重
合法が特に好ましい。得られたアクリル重合体粒子
(I)を含有するエマルションは、例えばスプレードラ
イ法、もしくは酸又は塩析により凝固・乾燥させること
によって、本発明のアクリル重合体粒子(I)が得られ
る。
【0013】本発明に用いるアクリル重合体粒子(I)
を構成する(メタ)アクリレート単位(a-1)は、可塑剤
との親和性が高い成分であり、この具体例としては、エ
チルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−
ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレー
ト、Tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシル
メタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、エチ
ルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、及びtert−ブチルアクリレート
等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用して
用いても良い。
【0014】また、本発明に用いるアクリル重合体粒子
(I)を構成するメタクリレート単位(b-1)は、可塑剤
との相溶性の低い成分であり、具体例として、メチルメ
タクリレート、ベンジルメタクリレートが挙げられ、こ
れらのいずれか一方あるいは両方を使用することができ
る。(b-2)成分である不飽和カルボン酸単位としては、
具体例として、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン
酸、クロトン酸が挙げられ、これらを単独または2種以
上を組み合わせて使用することができる。
【0015】本発明に用いるアクリル重合体粒子(I)
においては、前述のようなグランジェント構造を形成さ
せるために、前記(メタ)アクリレート成分(a-1)を
含むモノマー混合物(I-a)と、前記メタクリレート成
分(b-1)及び前記不飽和カルボン酸成分を含むモノマー
混合物(I-b)とを、その配合割合を多段的または連続的
に変化させながら重合を行うことが好ましい。
【0016】モノマー混合物(I-a)としては、(a-1)成分
の他に、可塑剤との相溶性が良好な成分として不飽和カ
ルボン酸成分(a-2)を混合してもよい。また、可塑剤と
の相溶性及び貯蔵安定性のバランスを調整するために、
成分(a-1)成分および(a-2)成分以外のモノマー成分(a-
3)を混合してもよい。
【0017】この(a-2)成分である不飽和カルボン酸
の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、
クロトン酸等から選ばれる少なくとも一種の不飽和カル
ボン酸が挙げられる。
【0018】また(a-3)成分である(a-1)成分と(a-
2)成分以外のモノマーの具体例としては、炭素数1〜
13のアルコールの(メタ)アクリレート、アクリロニ
トリル、(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアクリ
ルアミド、N−ジメチルメタクリルアミド、N−ジメチ
ルアミノエチルメタアクリレート、N−ジエチルアミノ
エチルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、α−メ
チルスチレン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタ
コン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコ
ールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジル
メタクリレート、アリルメタクリレートなどが挙げられ
る。これらは一種又は2種以上を併用して用いても良
い。
【0019】これら(a-1)成分、(a-2)成分及び(a-3)成
分の比率は、硬化塗膜の可撓性の点から(a-1)/(a-
2)/(a-3)=50〜100/0〜40/0〜40(重
量%)であることが好ましい。特に好ましくは、(a-
1)/(a-2)/(a-3)=70〜90/0〜5/0〜5
(重量%)である。
【0020】また、モノマー混合物(I-b)としては、
(b-1)成分の他に、可塑剤との相溶性が低い成分として
不飽和カルボン酸単位(b-2)を混合してもよい。また、
可塑剤との相溶性及び貯蔵安定性のバランスを調整する
目的で(b-1)成分と(b-2)成分以外のモノマー単位(b-
3)を混合して用いてもよい。
【0021】(b-2)成分の具体例としては、メタクリル
酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸から選ばれる
少なくとも一種が挙げられる。
【0022】また、(b-3)成分の具体例としては、炭素
数1〜13のアルコールの(メタ)アクリレート、アク
リロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル
アクリルアミド、N−ジメチルメタクリルアミド、N−
ジメチルアミノエチルメタアクリレート、N−ジエチル
アミノエチルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、
α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレ
ングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グ
リシジルメタクリレート、アリルメタクリレートなどが
挙げられる。これらは一種又は2種以上を併用して用い
ても良い。
【0023】これら(b-1)成分、(b-2)成分、及び
(b-3)成分の比率は、アクリルゾルの貯蔵安定性の点
で、(b-1)/(b-2)/(b-3)=60.5〜99.5
/0.5〜10/0〜29.5(重量%)であることが
好ましい。特に好ましくは、(b-1)/(b-2)/(b-
3)=75〜99/1〜5/0〜20(重量%)であ
る。
【0024】本発明のアクリル重合体粒子(I)におい
て、モノマー混合物(I-a)とモノマー混合物(I-b)の混合
比率は、混合するモノマーの選択により異なるが、可塑
剤との相溶性、本発明のアクリルゾルの造膜性、貯蔵安
定性、等の目的性能を考慮すると、(I-a)/(I-b)=30
/70〜70/30が好ましい。
【0025】本発明の(II)成分である可塑剤は、特に
限定されないが、通常塩ビゾルで汎用されているジオク
チルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシ
ルフタレート、ジウンデシルフタレートなどの溶解力の
高いジアルキルフタレート系可塑剤を使用することがで
きる。特にジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレ
ート等が、安価で工業的にも好ましい。
【0026】本発明に用いる可塑剤(II)の使用量は、
アクリル重合体粒子(I)100重量部に対して50〜
500重量部であることが好ましい。この可塑剤の使用
量が(I)成分100重量部に対して50重量部より少
ないと、アクリルゾルの粘度が高くなり塗工不能となる
場合があり、500重量部より多い場合には、可塑剤の
含有量が多くなりすぎて、ゲル化させた硬化被膜は可塑
剤がブリードアウトしやすくなる傾向にある。
【0027】本発明に用いる充填剤(III)は、アクリ
ルゾルを増量し、着色することにより隠蔽性を付与でき
る成分であれば、特に限定しない。この具体例として
は、炭酸カルシウム、パライタ、クレー、コロイダルシ
リカ、マイカ粉、硅藻土、カオリン、タルク、ペントナ
イト、ガラス粉末、砂、酸化アルミニウム、水酸化アル
ミニウム、三酸化アンチモン、二酸化チタン、カーボン
ブラック、金属石けん、染料、顔料等が挙げられる。特
に好ましくは、アクリルゾルを増量する目的で、炭酸カ
ルシウム、二酸化チタン等が挙げられる。
【0028】本発明に用いる(III)成分の使用割合
は、アクリル重合体粒子(I)100重量部に対して5
0〜500重量部であることが好ましい。この使用量が
アクリル重合体粒子100重量部に対して50重量部よ
り少ない場合には、アクリルゾルの各種性能が発現しに
くくなる傾向にあり、500重量部より多い場合には、
アクリルゾルの粘度が高くなりすぎる傾向にある。
【0029】本発明のアクリルゾルには、前記(I)〜
(III)成分の他に、希釈剤として例えば、ミネラルタ
ーベン等を加えてオルガノゾルとすることもできる。更
に目的に応じて、接着促進剤、レベリング剤、タック防
止剤、離型剤、消泡剤、発泡剤、界面活性剤、紫外線吸
収剤、滑剤、難燃剤、香料等の各種の添加剤を配合する
ことができる。
【0030】本発明のアクリルゾルは各種用途で適用す
ることができ、例えば刷毛塗り法、スプレーコーティン
グ法、ディップコーティング法、ナイフコーティング
法、ロールコーティング法、カーテンフローコーティン
グ法、静電コーティング法等で用いられるコーティング
材料や、ディップモールディング法、キャストモールデ
ィング法、スラッシュモールディング法、ローテーショ
ナルモールディング法等で用いられる成型用材料として
用いることができる。
【0031】本発明のアクリルゾルを用いてゲル化させ
て得られる硬化塗膜は、ゲル形成温度が70〜260℃
の範囲であれば処理時間が30秒〜90分の範囲で形成
することができ、アクリルゾルの組成により適宜この範
囲の条件を適宜選択して行えばよい。また、用途によっ
ては、得られた硬化塗膜に、印刷、エンボス加工、発泡
処理を行うこともできる。
【0032】本発明のアクリルゾルは、塗料、インキ、
接着剤、粘着剤、シーリング剤等に応用でき、雑貨、玩
具、工業部品、電気部品等の成型品にも応用できる。ま
た、例えば紙や布等に適用すると、人工皮革、敷物、医
療、防水シート等を得ることができ、金属板に適用すれ
ば防蝕性金属板とすることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。但し、実施例中の部は重量部を示す。
【0034】[評価方法]
【0035】〈ゾル性能〉 粘度変化:6日間放置後の粘度(25℃)/初期粘度
(25℃)を、東京計器(株)のE型粘度計により測定
した。 ○…<2.0 △… 2.0〜3.0 ×…>3.0 貯蔵安定性;アクリルゾルを調製して25℃で6日間放
置した後に、基材に塗布し塗工性を評価した。 ○…塗工可能 △…部分ゲル化により増粘し、塗工が困難 ×…ゲル化が進行し、増粘が激しく塗工不可能
【0036】〈塗膜性能〉 非ブリードアウト性:硬化塗膜を形成した後、10℃、
1週間保持後の該塗膜表面を指触にて評価した。 ○…ブリードアウトなし ×…ブリードアウトあり 塗膜均一性:200℃で焼き付けを45秒間行った後の
硬化塗膜の状態を目視にて評価した。 ○…ポリマーの熱融着が良好で平滑な塗膜 △…ポリマーの熱融着が一部不良で凹凸のある塗膜 ×…ポリマーの熱融着が不良で凹凸の多い塗膜 可撓性:硬化塗膜を形成した後、180度折り曲げて、
該塗膜の状態を目視にて評価した。 ○…クラックなし ×…クラックあり
【0037】[実施例1] [モノマー混合物(A1)の調製]イソブチルメタクリ
レート120部、ブチルアクリレート60部、メチルメ
タクリレート120部、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル(花王(株)製;商品名:エマルゲン90
5)6.0部を混合してモノマー混合物(A1)306
部を調製した。
【0038】[モノマー混合物(B1)の調製]メチル
メタクリレート550部、メタクリル酸7.2部、ジア
ルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製;商品
名:ペレックスOTP)6部を混合し、モノマー成分
(B1)563.2部を調製した。
【0039】[アクリル重合体粒子の製造(6分割滴下
重合)]5リットルの4つ口フラスコに、純水1294
部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(花王
(株)製、;商品名:エマルゲン910)7.8部、過
硫酸カリウム1.8部、を投入し、窒素雰囲気中、13
0rpmで攪拌しながら70℃に昇温した。次に、予め
調製したモノマー混合物(A1)の5/12量とモノマ
ー混合物(B1)の1/12量を混合したモノマー混合
物を、前記フラスコ中に30分間かけて滴下し、30分
間保持し、第一段目の乳化重合を行った。次に、第一段
目に重合した粒子をシード粒子として、表1に示す条件
で第2段目〜第6段目まで滴下・保持を繰り返して乳化
重合を行い、1時間保持した。さらに、80℃に昇温し
て1時間保持後、乳化重合を終了し、乳白色エマルショ
ン(固形分40.1%)を得た。
【0040】
【表1】
【0041】得られたエマルションをスプレードライヤ
ー(大川原化工機社製;商品名:L−8型)を用いてチ
ャンバー入口温度120℃、チャンバー出口温度80
℃、アトマイザー回転数25000rpmに設定し、噴
霧乾燥を行い粉体化し、平均粒径18μmのアクリル重
合体粒子を得た。そこで、この得られた粒子を電子顕微
鏡(日本電子(株)製)にて観察した結果、1μm以下
の一次粒子が凝集し、18μm前後の球状粒子を形成し
ていた。次に、得られたアクリル重合体粒子100部
に、ジオクチルフタレート80部、炭酸カルシウム(竹
原化学工業(株)製;商品名:ネオライトSP)70
部、ミネラルターぺン20部を加えてアクリルゾルを得
た。
【0042】このゾルの物性評価をした結果、初期粘度
は3200cps、25℃で6日間放置した後の粘度
(25℃)は3900cpsであり、貯蔵安定性は実用
上十分なものであった。このゾルをブリキ板にナイフコ
ーターを用いて50μm厚に塗布し、200℃で45秒
間加熱してゲル化させ、均一な硬化塗膜を得た。この硬
化塗膜は10℃で1週間保持した後も可塑剤のブリード
はなく、可塑剤との相溶性は良好であった。また、この
硬化塗膜は180度折り曲げてもクラックの発生はな
く、十分な可撓性を有していた。
【0043】[実施例2,3、比較例1〜4]実施例1
と同じ方法で表2に示す6種類のアクリル重合体粒子を
得た。
【0044】
【表2】
【0045】表中の略号は、以下の通りである。 iBMA:イソブチルメタクリレート nBMA:ノルマルブチルメタクリレート nBA :ノルマルブチルアクリレート EMA :エチルメタクリレート MMA :メチルメタクリレート MAA :メタアクリル酸 AA :アクリル酸 次に、可塑剤としてジイソノニルフタレートを用いる以
外は、実施例1と同様にして、アクリルゾル及びこれを
用いて硬化塗膜を得た。これらの評価結果は、表3に示
す。
【0046】[比較例5]モノマー混合物(A1)1/
6量と、モノマー混合物(B1)1/6量とを混合した
モノマー混合物を、第1段目から第6段目までそれぞれ
均等に滴下する以外は、実施例1と同様な手段で重合
し、グランジェント型組成構造を持たない重合体粒子を
得て、アクリルゾルを調製した。そして、実施例1と同
様にして、得られたアクリルゾル、及びこれを用いて硬
化塗膜を得た。この評価結果は表3に示す。
【0047】[比較例6] 5リットルの4つ口フラスコに、純水1251部、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル(花王(株)
製;商品名:エマルゲン910)8.5部、過硫酸カリ
ウム1.0部を投入し、窒素雰囲気中、150rpmで
攪拌しながら70℃に昇温した。この中に、第1段目の
滴下モノマーとして、n−ブチルメタクリレート140
部、n−ブチルアクリレート41.4部、エチルメタク
リレート40部、メチルメタクリレート20部、ジアル
キルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製;商品
名:ペレックスOTP)5部を混合したモノマー混合物
(A6)を2時間かけて全量滴下し、さらに1時間保持
して、シード粒子を重合した。次に最外部のモノマー混
合物として、メチルメタクリレート445部、メタクリ
ル酸6部、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王
(株);商品名:ペレックスOTP5部を混合したモノ
マー混合物(B5)を2時間かけて全量滴下し、さらに
2時間保持し、80℃に昇温し1時間保持してシード重
合を終了し、コア・シェル型の2層構造を有する重合体
粒子含有のエマルションを得た。得られたエマルション
を、実施例1と同様に粉体化して得たアクリル重合体粒
子を実施例1と同様の可塑剤などを配合して、アクリル
ゾルを作成した。
【0048】得られたアクリルゾルは、貯蔵安定性は良
好なものの、ゲル化膜が不透明で完全に均一な膜になら
ず、部分的に層剥離していた。また、ゲル化膜を180
度に折り曲げた場合、細かなクラックが発生し、可撓性
不足であった。
【0049】
【表3】
【0050】比較例1は、モノマー成分(A)のトータ
ル量が少ないため、アクリルゾルの貯蔵安定性は良好な
ものの、ゲル化した硬化塗膜は可塑剤のブリードアウト
が発生した。比較例2は、モノマー成分(B)のトータ
ル量が少ないためアクリル重合体粒子の耐可塑剤性が不
足しているため、室温でアクリル重合体粒子の溶解が始
まり、アクリルゾルの粘度が上昇し、貯蔵安定性が不良
となった。比較例3は、モノマー成分(A)中のMMA
の量が多すぎるため、アクリル重合体粒子と可塑剤との
相溶性が不足し、ゲル化した硬化塗膜は可塑剤のブリー
ドアウトが発生した。また、比較例4では、モノマー成
分(B)中のMMA量が少なすぎたため、室温でアクリ
ル重合体粒子の溶解が始まり、アクリルゾルの粘度が上
昇し、貯蔵安定性が不良となった。
【発明の効果】このように、本発明のアクリルゾルは、
焼却時に塩化水素ガスを発生することがなく、ジオクチ
ルフタレート、ジイソノニルフタレートなど汎用の安価
で工業的に有利な可塑剤を用いて、実用に耐えうるプラ
スチゾルおよびオルガノゾルを得ることができ、その工
業的意義は大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−71344(JP,A) 特開 昭54−117553(JP,A) 特開 平7−25953(JP,A) 特開 平6−9730(JP,A) 特開 平7−233299(JP,A) 特開 平8−3411(JP,A) 特開 平7−233303(JP,A) 特開 平7−102147(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/06 C08L 33/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル重合体粒子(I)、可塑剤(II)
    および充填剤(III)を含有するアクリルゾルにおい
    て、該アクリル重合体粒子(I)が、粒子の中心部から
    最外部に向けて、その構成単位の構成比率が多段階もし
    くは連続的に変化するグランジェント型構造を有するこ
    とを特徴とするアクリルゾル。
  2. 【請求項2】アクリル重合体粒子(I)が、エチルメタ
    クリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメ
    タクリレート、sec−ブチルメタクリレート、ter
    t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレ
    ート、エチルヘキシルメタクリレート、エチルアクリレ
    ート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリ
    レート及びtert−ブチルアクリレートから選ばれる
    少なくとも1種の(メタ)アクリレート単位(a-1)、
    メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートから選
    ばれる少なくとも一種のメタクリレート単位 (b-1)、及
    びメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸
    から選ばれる少なくとも一種の不飽和カルボン酸単位
    (b-2)とから少なくとも構成され、該(メタ)アクリレ
    ート単位(a-1)の構成比率がアクリル重合体粒子(I)
    の中心部から最外部にむけて多段階もしくは連続的に減
    少し、該メタクリレート単位(b-1)及び不飽和カルボン
    酸単位(b-2)の構成比率がアクリル重合体粒子(I)の
    中心部から最外部にむけて多段階もしくは連続的に増加
    することを特徴とする請求項1記載のアクリルゾル。
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