JP3461500B2 - 振動ジャイロ・センサ及び複合センサ - Google Patents

振動ジャイロ・センサ及び複合センサ

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JP3461500B2
JP3461500B2 JP2003000719A JP2003000719A JP3461500B2 JP 3461500 B2 JP3461500 B2 JP 3461500B2 JP 2003000719 A JP2003000719 A JP 2003000719A JP 2003000719 A JP2003000719 A JP 2003000719A JP 3461500 B2 JP3461500 B2 JP 3461500B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動ジャイロ・セ
ンサに関し、特に、振動子が振動しながら回転したとき
に発生するコリオリ力を利用して、回転角速度を検出す
るようにした振動ジャイロ・センサ(スコープ)とその
製造方法並びに該振動ジャイロ・センサを有する複合セ
ンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、回転角速度を検出するセンサ
たるジャイロ(スコープ)は、航空機や船舶の慣性航法
システム等に用いられているが、近年になって、車載用
ナビゲーションシステムやロボット無人走行車の姿勢制
御、さらにはVTRカメラの画面振れ防止装置等にも用
いられるようになってきている。そして、それら各種の
分野での使用に適するジャイロセンサとしては、小型の
ものが必要になっており、そこで、振動ジャイロ・セン
サが注目されてきている(特許文献1〜7)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−258079号公報(図1)
【特許文献2】特開平4−157311号公報(図1、
図2)
【特許文献3】特開平4−62414号公報(図3)
【特許文献4】特開昭60−47913号公報(図1)
【特許文献5】実公平7−23689号公報(図1)
【特許文献6】特開平6−347471号公報(図3)
【特許文献7】実開平3−90079号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の振
動ジャイロ・センサ(スコープ)は、よく知られている
ように、エリンバ合金にて代表される恒弾性金属により
形成された振動子に、駆動用の圧電素子と検出用の圧電
素子が粘着されてなる基本構造を有しており、x、y、
zの直角座標軸系において、その駆動用の圧電素子にて
振動子にx軸方向への曲げ振動を与えながら、振動子を
z軸を中心として回転させると、かかる振動子に対して
y軸方向へコリオリ力が作用することとなり、そしてこ
のコリオリ力による振動子のy軸方向の曲げ振動が、検
出用圧電素子により電圧として検出され、その検出電圧
から、角速度が求められるようになっている。
【0005】しかしながら、そのような従来の振動ジャ
イロ・センサにあっては、駆動用の圧電素子にて惹起さ
れる振動に基づくところの振動子の変位量が小さく、そ
のために、検出用圧電素子にて検出される電圧(起電
力)が小さい結果、感度が低いという問題を内在するも
のであった。
【0006】加えて、駆動用の圧電素子や検出用の圧電
素子は、振動子に対して接着剤にて接着固定されている
ことから、それら圧電素子と振動子との間に接着剤が存
在することとなり、そしてこの接着剤にて応力の吸収が
生じること等により、検出感度が低くなる問題もあっ
た。
【0007】また、振動子がエリンバ合金にて形成され
た音片や音叉からなる部材にて構成される場合において
は、エリンバ合金が強磁性体であるために、振動子の特
性は周囲の磁場による影響を受けやすい問題があり、さ
らには、そのような振動子の形状や材質のために、振動
子の共振周波数を調整するに際しての加工が困難である
という問題も内在するものであった。
【0008】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その課題とするところ
は、上述の如き問題を悉く解消して、感度に優れた振動
ジャイロ・センサを提供することにあり、また、振動子
の特性も周囲の磁場による影響を受け難く、加工が容易
であって、電気的な特性の調整も有利に行い得るセラミ
ックス製の振動ジャイロ・センサを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る振動ジャイ
ロ・センサにあっては、その全体がセラミックスの一体
焼成体にて構成され、磁性体は何ら用いられていないと
ころから、周囲の磁場による影響を受けることがほとん
どないことに加えて、振動子が変位せしめられる駆動方
向及び検出方向のそれぞれにおいて、曲がり易い部位と
してそれぞれ薄肉の第1の板状部及び第2の板状部が存
在せしめられているところから、それら検出方向及び駆
動方向の何れにおいても大変位が得られ、以て圧電/電
歪素子にて検出される変位に対応した起電力(電圧)が
大きくなり、検出感度が効果的に高められ得るのであ
る。特に、検出部は、応力が集中する構造となっている
ために、大出力が得られる。
【0010】しかも、本発明に係る振動ジャイロ・セン
サにあっては、セラミックスの一体焼成体にて構成され
る検出部を与える第1の板状部に対して、検出用の圧電
/電歪素子が膜形成法にて一体的に形成され、それら第
1の板状部と圧電/電歪素子とが、接着層を介在せしめ
ることなく、直接に接しているところから、そのような
接着層の存在による応力の吸収が効果的に回避され、以
て振動子が回転するときに惹起されるコリオリ力による
振動子の変位(曲げ振動)を、効果的に圧電/電歪素子
にて検出することができ、その感度の向上に有利に寄与
し得ることとなる。
【0011】また、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
においては、その検出部に設けられる圧電/電歪素子に
おける電極面積等を、レーザ等の適当な除去手段にて容
易に変更せしめ得るところから、その電気的な特性の調
整も容易である特徴を有する。
【0012】この場合、前記振動子にその先端部から延
び出した薄肉の切除部を設け、該切除部の切除量に従っ
て、振動子の共振周波数の調整を行うようにしてもよ
い。この振動子の端部に設けられる薄肉の切除部は、加
工の容易な部分であって、予めそのようなトリミング用
の切除部を設けて、それをレーザ加工や超音波加工等の
適当な切除手段にて切除せしめることによって、振動子
の共振周波数を容易に所望の値に調整することができ
る。
【0013】また、前記構成において、振動子の2つを
互いに平行に前記支台に支持させ、前記駆動手段にて該
2つの振動子を互いに逆方向に励振振動させるようにし
てもよい。この場合、駆動手段を、振動子よりも薄肉と
され、かつ、振動子と共にセラミックスの一体焼成体に
て構成された第3の板状部と、該第3の板状部上に膜形
成法にて一体的に形成された駆動用圧電/電歪素子を有
して構成することができる。
【0014】また、前記構成において、2つの振動子の
間で、かつ、それら振動子から離れた位置に支柱を配置
し、前記支柱を、2つの振動子と共に支台に一体的に支
持させるようにしてもよい。
【0015】また、前記構成において、前記支台を、前
記振動子を取り囲むように、前記振動子の外側に所定距
離を隔てて位置する取付枠部にて構成するようにしても
よい。取付枠部を設けることによって、振動ジャイロ・
センサを強固に固定することができ、また、設置場所の
自由度も大きいという特徴を発揮する。
【0016】そして、駆動手段の配置位置としては、以
下に示す態様を採用することができる。即ち、前記駆動
手段を2つの振動子間に一体的に設けるようにしてもよ
いし、あるいは前記第2の板状部間に一体的に設けるよ
うにしてもよい。
【0017】また、支柱がある場合においては、前記駆
動手段を前記各振動子と前記支柱との間にそれぞれ一体
的に設けるようにしてもよいし、あるいは前記各第2の
板状部と前記支柱との間にそれぞれ一体的に設けるよう
にしてもよい。
【0018】取付枠部がある場合は、前記駆動手段を前
記各振動子と前記取付枠部との間にそれぞれ一体的に設
けるようにしてもよいし、前記各第2の板状部と前記取
付枠部との間にそれぞれ一体的に設けるようにしてもよ
い。
【0019】次に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
の第2のタイプのものにあっては、2つの振動子を支持
する枠体に対して、その対向する部位に、第2の板状部
と第3の板状部とを一体的に設け、該第3の板状部上
に、駆動用圧電/電歪素子を一体的に形成して、該駆動
用圧電/電歪素子による枠体の変形振動にて、2つの振
動子を励振振動せしめることができる。
【0020】なお、このような枠体の変形振動を行う振
動ジャイロ・センサにあっては、そのような枠体の固定
を容易とするために、前記枠体の前記第2の板状部の形
成部位の外面に、該枠体を固定するための取付部を一体
的に形成してなる構成が有利に採用され、また、前記取
付部が、前記枠体を取り囲むように、該枠体の外側に所
定距離を隔てて位置する取付枠部を一体的に有している
構造が有利に採用されることとなる。そのような取付枠
部にて、振動ジャイロ・センサの強固な固定が実現され
得ることになる。
【0021】次に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
の第3のタイプのものにあっては、上述した2つのタイ
プの振動ジャイロ・センサとは異なり、2つの振動子を
それぞれ支持する支台部分が、外側の取付枠部との間を
連結する第3の板状部上に設けた駆動用圧電/電歪素子
にて、それぞれ別個に変形振動せしめられ、以てそれぞ
れの支台部分に支持された二つの振動子が、それぞれ別
個に、同一面内において振動せしめられるようになって
いる。
【0022】なお、この振動ジャイロ・センサの第3の
タイプのものも、上述した第2のタイプのものと共に、
振動子が、その先端部から延び出した薄肉の切除部を有
しており、該切除部の切除量に従って、該振動子の共振
周波数の調整が行われるようになっている構成が有利に
採用され、これによって、レーザ加工や超音波加工等の
切除手段にて、容易にトリミングが為され得て、以て共
振周波数の調整が容易とされている。
【0023】次に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
の第4のタイプのものにあっては、まず、振動子が振動
している状態において、前記一方向及び前記支台の延在
方向を含む面と直交する軸周りに角速度が印加される
と、前記振動子に前記一方向の力(コリオリ力)が振動
に伴って交番的に発生し、その結果、検出部に対して上
記一方向に力が作用し、この力によって検出部が振動す
る。即ち、前記振動子と前記支台とからなる部分には上
記回転軸周りに回転振動が生じ、この振動が検出部での
圧電/電歪素子により、起電力(電圧)として検出され
る。
【0024】この場合、振動子、支台及び検出部が共
に、セラミックスの一体焼成体にて構成されているた
め、その構成材料に、従来のエリンバ合金のような磁性
体は存在しない。その結果、センサとしての特性におい
て、周囲の磁場による影響を受けることがない。
【0025】また、検出部が、その高さ方向について振
動子よりも薄肉とされた第1の板状部にて構成されて、
剛性の低い構造とされているため、前記角速度によって
前記回転軸周りの振動に生じたときに検出部において大
きな歪みが得られ、前記圧電/電歪素子での検出感度が
大幅に向上する。
【0026】特に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
においては、前記角速度が印加された場合にのみ検出部
に振動が生じることとなるため、角速度がない状態での
圧電/電歪素子からの出力(ヌル電圧)が非常に小さく
なり、検出感度が大幅に向上する。しかも、振動による
検出部での疲労破壊の発生確率が低くなり、センサの長
寿命化を図ることができる。
【0027】また、振動子の長軸周りの角速度を測定す
るのではなく、前記一方向及び前記支台の延在方向を含
む面と直交する軸周りの角速度を測定する構造であるた
め、振動子、支台及び枠体をその高さ方向において薄く
することができ、センサの小型軽量化を促進させること
ができる。
【0028】振動子は、薄肉の検出部が存在せず、単独
で高強度な支台に支持された構造となっているため、振
動子自体を大質量化することができ、これにより、振動
子に発生するコリオリ力(Fc=2mΩ)が大きくな
るため、検出部での歪み検出に関する高感度化を実現さ
せることができる。
【0029】前記本発明に係る振動ジャイロ・センサに
おいて、検出部を、前記支台と前記枠体との間に形成さ
れたリング部材と、該リング部材内に前記支台の延在方
向と平行に架設された前記第1の板状部にて構成するよ
うにしてもよい。
【0030】この場合、前記振動子が振動している状態
において、前記一方向及び前記支台の延在方向を含む面
と直交する軸周りに角速度が印加された際に、検出部に
対して上記一方向に力が作用することとなるが、この力
の作用によって、リング部材が前記一方向を長軸又は短
軸とする楕円形状となりながら振動することとなる。
【0031】このリング部材での前記一方向に沿った振
動が圧電/電歪素子により、起電力(電圧)として検出
される。
【0032】前記本発明に係る振動ジャイロ・センサに
おいて、少なくとも2つの前記振動子を互いに平行に前
記支台に支持し、かつ、これら2つの振動子間に、各振
動子を互いに逆方向に励振振動させるための駆動手段を
配設するようにしてもよい。
【0033】この場合、前記少なくとも2つの振動子が
互いに逆方向に、即ち一つの面内(前記一方向及び前記
支台の延在方向を含む面内)において互いに離間及び接
近する方向に励振振動することとなる。前記駆動手段と
しては、例えば、その高さ方向について前記振動子より
も薄肉とされ、かつ前記振動子と共にセラミックスの一
体焼成体にて構成された第3の板状部と、前記第3の板
状部上に形成された駆動用の圧電/電歪素子とを設けて
構成するようにしてもよい。
【0034】前記構成において、前記駆動手段を前記2
つの振動子間に一体的に設けるようにしてもよい。特
に、前記駆動手段を、前記両振動子の各重心を結ぶ線上
に配設するようにすれば、前記少なくとも2つの振動子
を互いに接近又は離間させることを効率よく行うことが
でき、検出部での感度を向上させる上で有利となる。ま
た、前記駆動手段を、前記各振動子と前記支台との間に
一体的に設けるようにしてもよい。
【0035】そして、前記構成において、前記駆動手段
の振動が一定となるようにフィードバック制御するため
の参照手段を設けることが好ましい。この参照手段は、
その高さ方向について前記振動子よりも薄肉とされ、か
つ前記振動子と共にセラミックスの一体焼成体にて構成
された第4の板状部と、前記第4の板状部上に形成され
た参照用の圧電/電歪素子を有して構成することができ
る。
【0036】前記参照手段は、前記各振動子間に一体的
に設けるようにしてもよいし、前記各振動子と前記支台
との間に一体的に設けるようにしてもよい。
【0037】また、前記構成において、前記各振動子と
前記支台との間に、それぞれ加振部を一体的に設けるこ
ともできる。該加振部は、前記振動子と前記支台間に配
され、かつ前記支台の長手方向と平行に延びる第5の板
状部と、前記支台と第5の板状部を連結する第6の板状
部と、前記振動子と前記第5の板状部を連結する第7の
板状部とを有して構成することができる。この場合、前
記駆動手段は、各加振部間に一体的に設けるようにして
もよいし、前記各加振部と前記支台との間に一体的に設
けるようにしてもよい。
【0038】また、前記構成において、前記振動子の自
由端に駆動側の共振周波数を調整するための薄肉の第1
の張出し部を設け、前記支台の長手方向両端に検出側の
共振周波数を調整するための薄肉の第2の張出し部を設
け、更に、上記第1及び第2の張出し部を、前記振動子
及び前記支台と共に、セラミックスの一体焼成体にて構
成するようにしてもよい。
【0039】この場合、駆動側の共振周波数を第1の張
出し部に対するトリミング処理(切除処理)にて調整す
ることができ、検出側の共振周波数が第2の張出し部に
対するトリミング処理(切除処理)にて調整することが
できる。即ち、駆動側及び検出側の共振周波数をそれぞ
れ独立して調整することができるため、例えば駆動側の
共振周波数の調整によって検出側の共振周波数が影響を
受けるという不都合を回避することができる。なお、前
記共振周波数の調整は、まず、駆動側の共振周波数の調
整を行った後、検出側の共振周波数の調整を行うことが
好ましい。
【0040】前記第1及び第2の張出し部は、例えば前
記振動子に対して高さ方向について薄肉とされた板状に
して構成するようにしてもよいし、前記振動子に対して
前記支台の延在方向について薄肉とされた板状にして構
成するようにしてもよい。前者の構成の場合は、上面か
ら例えばレーザ光を走査するだけで簡単にトリミング処
理することができるという利点を有し、後者の場合は、
振動子の振動方向に垂直な面全体にわたってトリミング
処理対象の部位が存在することとなるため、質量バラン
スが非常によくなる。この場合のトリミング処理として
は、例えばレーザ照射の後、超音波等の打撃を加えて、
不要部位を切除することにより行われる。
【0041】また、前記構成において、前記駆動手段に
おける第3の板状部を駆動側の共振周波数の調整対象と
して兼用させ、前記検出部における第1の板状部を検出
側の共振周波数の調整対象として兼用させるようにして
もよい。具体的には、前記駆動手段における前記第3の
板状部の幅方向をトリミング処理することにより、駆動
側の共振周波数の調整を行い、前記検出部における第1
の板状部の幅方向をトリミング処理することにより、前
記検出側の共振周波数を調整する。即ち、振動子及び支
台の質量を変えることによって駆動側及び検出側の共振
周波数を調整するのではなく、第3の板状部及び第1の
板状部のバネ定数を変えることによって駆動側及び検出
側の共振周波数を調整する方法となっている。
【0042】この場合、前記振動子の自由端及び支台の
長手方向両端にそれぞれ第1の張出し部及び第2の張出
し部を形成する必要がなくなるため、製造工程が簡略化
でき、しかも、トリミング処理される部位が薄肉となっ
ているため、共振周波数の調整が容易になる。また、質
量を変えて共振周波数を調整する方法と異なり、駆動側
の共振周波数と検出側の共振周波数を完全に独立して調
整することができる。
【0043】次に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
の第5のタイプのものにあっては、幅広で長尺の第1の
板状部によって振動子が構成されるため、振動子の質量
及びモーメントが大きくなり、結果として、駆動振動に
よる速度(∝振幅)が大きくなるため、更に感度を向上
させることができる。
【0044】前記検出用圧電/電歪素子は、前記第1の
板状部の表面におけるほぼ全面に一体的に形成するよう
にしてもよい。この場合、多くの電荷を蓄積することが
可能となるため、電流検出方式において有利になる。
【0045】また、前記構成において、前記第1の板状
部の裏面に複数の凹部を設け、前記第1の板状部の表面
中、前記複数の凹部に対応した位置に前記検出用圧電/
電歪素子を島状に形成するようにしてもよい。この場
合、第1の板状部のうち、凹部が形成された部分の強度
が低下するため、コリオリ力によって第1の板状部が変
形する際に、前記凹部が形成された部分において、凹部
のない部分よりも大きな歪みが生じる。そのため、前記
凹部に対応した部分に検出用圧電/電歪素子を形成する
ことにより、大きな検出出力を得ることができ、更に感
度の向上を図ることができる。
【0046】また、前記構成において、前記第1の板状
部と前記第2の板状部間に厚肉のブロック部位を一体的
に設けるようにしてもよい。この場合、前記ブロック部
位の存在により、前記境界部分の強度を大きくすること
ができ、信頼性の向上において有利になる。
【0047】前記支台としては、前記振動子を取り囲む
ように、前記振動子の外側に所定距離を隔てて位置する
枠体にて構成することもできる。支台を枠体とすること
によって、取付けの自由度が広くなり、また、剛性も良
好となることから、実用上、好ましい。
【0048】前記駆動手段は、前記各第2の板状部間に
一体的に設けるようにしてもよいし、前記各ブロック部
位間に一体的に設けるようにしてもよい。また、前記ブ
ロック部位と前記枠体との間に一体的に設けるようにし
てもよい。
【0049】そして、前記構成において、前記駆動手段
の振動が一定となるようにフィードバック制御するため
の参照手段を設けることが好ましい。この参照手段は、
前記各第2の板状部間に一体に設けることができる。
【0050】また、前記各第2の板状部のうち、一方の
板状部に前記駆動手段を一体的に設け、他方の板状部に
前記参照手段を一体的に設けることも可能である。
【0051】この場合、前記支台の振動部を臨む側面の
ほぼ中央部分に端部が自由端とされた中継部を一体的に
設け、前記一方の第2の板状部と前記中継部との間に前
記駆動手段を一体的に設け、前記他方の第2の板状部と
前記中継部との間に前記参照手段を一体的に設けるとい
う構成を採用することができる。
【0052】また、前記支台の振動部を臨む側面の幅方
向両端の位置にそれぞれ端部が自由端とされた複数の中
継部を一体的に設け、前記一方の第2の板状部と一方の
中継部との間に前記駆動手段を一体的に設け、前記他方
の第2の板状部と他方の中継部との間に前記参照手段を
一体的に設けるという構成も採用することができる。
【0053】また、前記構成において、前記支台の前記
第2の板状部が形成されている面とは反対の面に、該支
台を固定するための取付部を一体的に設け、前記支台と
前記取付部との間に、前記支台の幅方向に対して薄肉と
された第5の板状部を一体的に設け、少なくとも前記支
台と前記振動子にて音叉体を構成するようにしてもよ
い。この場合、前記第5の板状部が音叉体を支持する支
持棒の機能を果たすことになるため、振動ジャイロ・セ
ンサにおいて必要なモードと不要なモードとの差別化が
容易になり、検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0054】前記構成において、前記取付部を、前記音
叉体を取り囲むように、前記音叉体の外側に所定距離を
隔てて位置する取付枠部にて構成することが好ましい。
この場合、検出精度の向上を図ることができ、また、取
付部を取付枠部としていることから、取付けの自由度や
剛性等の点で実用上、好ましい。
【0055】前記取付枠部を有する構成においては、該
取付枠部の内壁面のうち、前記振動子の延在方向に沿う
一対の内壁面の間を橋絡するように、かつ前記振動子を
上方に臨むように支持部を一体に架設し、前記第5の板
状部を、前記支持部と前記支台との間に一体的に設ける
という構成を採用することができる。
【0056】この場合、第5の板状部の長さを長くして
も、センサの全長はある範囲まで変わらずに済ませるこ
とができため、第5の板状部の延長化を図ることが可能
となり、検出精度の向上を更に実現させることができ
る。
【0057】そして、本発明にあっては、上記した振動
ジャイロ・センサのうち、取付枠部を設けてなるものに
おいて、その取付枠部に隣接して、該取付枠部と一体の
第2の取付枠部を設け、そして該第2の取付枠部内に、
該振動ジャイロ・センサとは異なる機能を有する他のセ
ンサを一体的に支持せしめることにより、複合センサを
構成することも有利に実現し得る。
【0058】特に、従来の振動ジャイロ・センサにあっ
ては、単に、一機能しか有しない素子が実現されるのみ
であるが、前述の如く、取付枠部を利用して、他の機能
を有するセンサを設ければ、単に、振動ジャイロ・セン
サとして機能せしめるだけでなく、同時に他の機能をも
奏せしめ得る複合センサ乃至は集積センサとすること
も、容易に可能となる。
【0059】次に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
の製造方法は、グリーンシートからなる少なくとも基板
層と薄板層を積層一体化させた後、焼成して、一方向を
長軸とする振動子と、前記一方向と直交する方向に延在
し、かつ前記振動子の一端を支持する支台と、枠面が前
記一方向及び前記支台の延在方向を含む面と平行であっ
て、かつ前記振動子及び前記支台を取り囲む枠体と、前
記支台と前記枠体間に取り付けられた検出部とを一体的
に有する焼成体を作製する工程と、少なくとも前記検出
部上に圧電/電歪素子を膜形成法にて形成する工程と、
前記振動子の一部をトリミング処理して駆動側の共振周
波数を調整する工程と、前記支台の一部をトリミング処
理して検出側の共振周波数を調整する工程を含むことを
特徴とする。
【0060】この方法においては、支台及び振動子が枠
体にて取り囲まれ、かつ支台と枠体とが検出部にて連結
された構造の振動ジャイロ・センサを容易に、かつ高い
信頼性をもって作製することができる。また、振動子の
一部及び支台の一部をそれぞれトリミング処理すること
により、簡単に駆動側及び検出側の共振周波数を調整す
ることができるため、工数の削減化において有利にな
る。
【0061】前記振動ジャイロ・センサとして、少なく
とも2つの前記振動子が互いに平行に前記支台に支持さ
れ、かつ、これら2つの振動子間に、各振動子を互いに
逆方向に励振振動させるための駆動手段が配設され、前
記駆動手段が、その高さ方向について前記振動子よりも
薄肉とされ、かつ前記振動子と共にセラミックスの一体
焼成体にて構成された第3の板状部と、前記第3の板状
部上に形成された駆動用の圧電/電歪素子を有するもの
を使用するようにしてもよい。
【0062】また、前記駆動側の共振周波数の調整を、
前記振動子の自由端から一体に張り出す薄肉の第1の張
出し部をトリミング処理することにより行い、前記検出
側の共振周波数の調整を、前記支台の長手方向両端から
一体に張り出す薄肉の第2の張出し部をトリミング処理
することにより行ってもよい。この場合、駆動側の共振
周波数が第1の張出し部に対するトリミング処理(切除
処理)にて調整することができ、検出側の共振周波数が
第2の張出し部に対するトリミング処理(切除処理)に
て調整することができる。即ち、駆動側及び検出側の共
振周波数をそれぞれ独立して調整することができるた
め、例えば駆動側の共振周波数の調整によって検出側の
共振周波数が影響を受けるという不都合を回避すること
ができる。
【0063】また、前記駆動側の共振周波数の調整を前
記駆動手段における前記第3の板状部の幅方向をトリミ
ング処理することにより行い、前記検出側の共振周波数
の調整を前記検出部における第1の板状部の幅方向をト
リミング処理することにより行ってもよい。
【0064】この場合、前記振動子及び支台の質量を変
えることによって駆動側及び検出側の共振周波数を調整
するのではなく、第3の板状部及び第1の板状部のバネ
定数を変えることによって駆動側及び検出側の共振周波
数を調整する方法となる。従って、前記振動子の自由端
及び支台の長手方向両端にそれぞれ第1の張出し部及び
第2の張出し部を形成する必要がなくなるため、製造工
程が簡略化でき、しかも、トリミング処理される部位が
薄肉となっているため、共振周波数の調整が容易にな
る。また、質量を変えて共振周波数を調整する方法と異
なり、駆動側の共振周波数と検出側の共振周波数を完全
に独立して調整することができる。
【0065】なお、前記駆動側の共振周波数を調整した
後に、前記検出側の共振周波数を調整することが好まし
い。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、図面に示される振動ジャイロ・センサ
の各種の具体例を参照しつつ、本発明の構成について、
詳細に説明することとする。
【0067】まず、図1に示される、本発明に係る振動
ジャイロ・センサの一例(第1の具体例)にあっては、
セラミックスの焼成体からなる、矩形断面形状を有する
長手の角棒状の振動子2の二つが、互いに平行に、所定
間隔を隔てて配置せしめられ、そしてそれら二つの振動
子2、2が、それらの基端側において、セラミックスの
焼成体からなる矩形角棒状の支台4に対してそれぞれ一
体的に連結されて、支持せしめられるようになってい
る。また、各振動子2には、その支台4にやや近接した
部位が薄肉とされて、主面が振動子2、2の配列方向に
延びる、検出部たる第1の板状部6が、一体的に形成さ
れている。また、各振動子2の基端側部位は、振動子2
の幅よりも細幅とされた、第1の板状部6に対して垂直
な方向に延びる主面を有する薄肉の第2の板状部8とさ
れ、この第2の板状部8を介して、支台4に対して一体
的に連結されている。更に、それら二つの振動子2、2
は、それぞれの第1の板状部6と第2の板状部8との間
の部位において、該第1の板状部6の主面に平行な主面
を有する、振動子2よりも薄肉の第3の板状部10に
て、互いに一体的に連結せしめられている。要するに、
かかる二つの振動子2、2、支台4、第1の板状部6、
6、第2の板状部8、8、及び第3の板状部10は、セ
ラミックスの一体焼成体にて構成され、以て一体構造と
されているのである。
【0068】即ち、このようなセラミックスの一体焼成
体にて構成される振動ジャイロ・センサは、図2に示さ
れる如く、薄板層22と基板層24とスペーサ層26と
の一体積層体として把握することができ、そこで、第1
の板状部6や第3の板状部10が薄板層22にて与えら
れる一方、薄板層22と基板層24の積層一体化によっ
て、振動子2や第2の板状部8が与えられることとな
る。更に、薄板層22と基板層24とスペーサ層26の
積層一体化によって、支台4が与えられるようになって
いるのである。
【0069】そして、各振動子2に形成された薄肉の第
1の板状部6上には、公知の膜形成法によって、検出用
圧電/電歪素子12が、それぞれ、一体的に形成されて
いる。なお、この検出用圧電/電歪素子12は、図3に
拡大して示されているように、薄膜状の下部電極12a
と圧電/電歪層12bと上部電極12cが積層一体化せ
しめられた形態において、第1の板状部6上に直接に形
成されているのである。この検出用圧電/電歪素子12
は、二つの振動子2、2の配置面に垂直な方向におい
て、振動子2に惹起される振動乃至は変位を検出するよ
うになっているのである。また、第3の板状部10上に
も、駆動手段としての駆動用圧電/電歪素子14が、検
出用圧電/電歪素子12と同様な構成において、公知の
膜形成法にて、一体的に形成せしめられている。そし
て、この駆動用圧電/電歪素子14の駆動によって、二
つの振動子2、2は、それらの配列面内において、x軸
方向において互いに逆方向に、即ち、互いに近接離隔す
る方向に曲げ振動せしめられるようになっているのであ
る。
【0070】なお、それぞれの振動子2の、支台4に対
する連結部とは反対側となる先端部には、そこから一体
的に延び出した薄肉の切除部16、16が設けられてお
り、この切除部16が、レーザ加工や超音波加工等によ
り、容易にトリミングされ得るようになっている。ま
た、支台4は、その上面が、振動子2の上面と面一とさ
れている一方、振動子2よりも厚さが厚い形状とされる
ことによって、その下面が振動子2よりも下方に位置す
るようになっている。即ち、支台4は、その下部に図2
のスペーサ層26を与えるスペーサ部18を一体的に有
しており、このスペーサ部18の厚さだけ、振動子2よ
りも厚くなっているのである。このようなスペーサ部1
8の存在にて、振動ジャイロ・センサが、その支台4部
分において、鉛直方向の平坦な取付面に対して、ボルト
20にて取り付けられた場合にあっても、振動子2、2
が、そのような取付面に対して干渉されることがないよ
うになっている。
【0071】従って、このような構造の振動ジャイロ・
センサにあっては、アクチュエータである駆動用圧電/
電歪素子14の駆動によって、第3の板状部10が変形
を受けることにより、二つの振動子2、2が、図1にお
けるx、y、zからなる直角座標軸系において、x軸方
向に互いに逆向きに、換言すれば互いに近接・離間する
方向に、励振振動(曲げ振動)せしめられる。そして、
そのような状態下において、それら振動子2、2に対し
て、z軸周りの回転力が作用すると、該z軸周りの角速
度に基づいて、それら振動子2、2に対して、y軸方向
へコリオリ力が作用し、以てこのコリオリ力にて、それ
ら振動子2、2は、y軸方向に互いに逆向きに振動する
ようになるのである。そして、そのようなy軸方向の振
動子2、2の曲げ振動が、検出用圧電/電歪素子12、
12により、起電力(電圧)として検出されるのであ
る。
【0072】このように、かかる振動ジャイロ・センサ
にあっては、その全体がセラミックスの一体焼成体にて
構成されているところから、その構成材料に、従来のエ
リンバ合金の如き磁性体が存在せず、そのために、セン
サとしての特性が周囲の磁場による影響を受けるような
問題を発生することがないのであり、また検出用圧電/
電歪素子12や駆動用圧電/電歪素子14が、第1の板
状部6や第3の板状部10上に、膜形成法によって直接
に一体的に形成されており、それら素子と板状部との間
に、何等の接着層も存在するものではないところから、
そのような接着層による応力の吸収が惹起されること等
による感度の低下の問題が、効果的に解消され得ること
となる。
【0073】しかも、アクチュエータたる駆動用圧電/
電歪素子14は、薄肉の第3の板状部10上に一体的に
形成されていることによって、該駆動用圧電/電歪素子
14の駆動による変形が有利に行われ得ることは勿論、
各振動子2が支台4に対して、薄肉の第2の板状部8に
て一体的に連結せしめられ、かつ該第2の板状部8が、
振動子2の振動方向(x軸方向)に垂直な方向(y軸方
向)に主面が延びる薄板部とされていることにより、振
動方向における剛性が効果的に低下せしめられて、振動
が容易となっているのであり、以て振動子2の駆動用圧
電/電歪素子14による駆動振動にて、大変位が得られ
ることとなるのである。特に、かかる第2の板状部8の
幅(厚さ)と高さの比を小さくすることにより、感度を
下げる要因となる垂直方向(y軸方向)の振動を抑制す
ることができるのである。また、検出用圧電/電歪素子
12の配設部位にあっても、それが一体的に形成される
第1の板状部6は、その主面が振動子2の振動方向(x
軸方向)に延びるように、換言すれば、振動子2の振動
面内に位置するように、振動子2よりも薄肉にて形成さ
れているのであり、これによって、コリオリ力にて惹起
される、x軸方向に対して垂直な方向であるy軸方向の
曲げ振動が生じたときに、大変位が得られるようになっ
ている。
【0074】そして、このように検出振動方向(y軸方
向)及び駆動振動方向(x軸方向)の何れにおいても曲
がり易い部位が存在せしめられて、駆動及び検出の何れ
においても大変位が得られるようになっているところか
ら、振動ジャイロ・センサの感度が著しく高められ得る
のであり、特に、検出部を与える、検出用圧電/電歪素
子12の設けられる第1の板状部6が薄肉とされて、応
力が集中する構造とされているために、大出力が得られ
ることとなるのである。
【0075】また、上述の具体例においては、振動子2
の先端部から一体的に延び出した薄肉の切除部16が設
けられていることから、かかる切除部16に対して、レ
ーザ加工や超音波加工等のトリミング加工を容易に実施
し得て、振動子2の共振周波数の調整が容易となるので
ある。更に、検出用圧電/電歪素子12や駆動用圧電/
電歪素子14において、その電極面積をレーザ等で容易
に変えることも可能となり、その電気的な特性の調整も
容易と為し得るのである。
【0076】加えて、本具体例に係る振動ジャイロ・セ
ンサの構造にあっては、駆動用圧電/電歪素子14の設
けられる第3の板状部10が、二つの振動子2、2の基
部側端部間を橋絡するように一体的に形成されていると
ころから、それら振動子2、2の振動が第3の板状部1
0にて拘束されるのを、効果的に抑制することができる
という利点も併せ有している。
【0077】ところで、本発明に係る振動ジャイロ・セ
ンサは、上例の構造の他にも、本発明の趣旨を逸脱しな
い範囲内において、各種の構造を取り得るものであり、
その代表的な例が、図4以降に示されている。なお、そ
れらの例の説明は、特徴的な部分についてのみの説明に
止め、前記第1の具体例と同様な部分には、同一の符号
を付して、詳細な説明は省略することとする。
【0078】そして、まず、図4に示される第2の具体
例においては、振動子2が、薄肉の第1の板状部6を介
して、U字形状の支台4におけるU字の先端部に一体的
に連結せしめられていると共に、第2の板状部8が振動
子2の先端側に位置せしめられ、更に、該第2の板状部
8よりも先端側に位置するように、二つの振動子2、2
を一体的に連結する薄肉の第3の板状部10が一体的に
形成されているところに特徴を有している。
【0079】この第2の具体例においては、前記第1の
具体例よりも第3の板状部10が振動子2の先端側に設
けられているところから、かかる振動子2の振動を第3
の板状部10にて拘束しやすい問題はあるが、それで
も、なお、従来の振動ジャイロ・センサよりも大きな変
位を得ることが可能である。
【0080】また、図5及び図6にそれぞれ示される第
3の具体例及び第4の具体例は、前記第1及び第2の具
体例において、二つの振動子2、2間に、それら振動子
2、2と互いに平行な、断面が矩形の角柱状の支柱28
が配置されてなる構造を有するセラミックスの一体焼成
体にて構成されているところに特徴を有している。
【0081】即ち、かかる支柱28は、二つの振動子
2、2間で、それら振動子から所定距離隔てた位置にお
いて、支台4に対して一体的に連結支持せしめられてい
る一方、支柱28とその左右に位置する振動子2、2と
の間に、薄肉の第3の板状部10、10が一体的に形成
され、更に、それら第3の板状部10、10上に、それ
ぞれ、駆動用圧電/電歪素子14、14が形成されて、
それら駆動用圧電/電歪素子14、14の作動によっ
て、左右の二つの振動子2、2が、それぞれ、互いに逆
方向に励振振動せしめられるようになっている。
【0082】また、図7及び図8には、それぞれ、第5
及び第6の具体例が示されており、そこにおいては、セ
ラミックスの一体焼成体構造において、二つの振動子
2、2をそれらの基端側において支持する支台4が、矩
形形状の取付枠部30にて構成されており、そして該取
付枠部30内に、二つの振動子2、2が収容され、それ
ら振動子2、2と取付枠部30との間に、所定の間隙が
形成された状態の構造とされている。
【0083】そして、このように、二つの振動子2、2
を取り囲む取付枠部30に対して、それら二つの振動子
2、2との間に、それぞれ、独立した駆動手段(アクチ
ュエータ)が一体的に設けられているのである。即ち、
それら二つの振動子2、2とそれらに対向する取付枠部
30の辺との間に、薄肉の第3の板状部10が一体的に
形成され、そして、該第3の板状部10上に、駆動用圧
電/電歪素子14が膜形成法によって一体的に形成され
ているのである。
【0084】このような構成の振動ジャイロ・センサに
あっては、その取付枠部30を、スペーサ部18を介し
て、平坦な取付面に対して、ボルト20等によって、強
固に固定することができることとなり、設置場所の自由
度が大きいという利点を有している。
【0085】更に、図9及び図10にそれぞれ示され
る、第7及び第8の具体例にあっては、前記第1及び第
2の具体例における支台4を、二つの振動子2、2を取
り囲むように、矩形形状の取付枠部30としたものと同
様な構造を、セラミックスの一体焼成体構造において有
している。
【0086】即ち、それら第7及び第8の具体例に係る
振動ジャイロ・センサにあっては、矩形枠構造の取付枠
部30内に配置された二つの振動子2、2間に、駆動手
段(10、14)が一体的に形成されているのである。
これらの具体例にあっても、前記第5及び第6の具体例
と同様に、スペーサ部18を介して、取付枠部30を強
固に固定することができるのであり、設置場所の自由度
が大きいという利点を享受することができるのである。
【0087】また、図11には、本発明に係る振動ジャ
イロ・センサの第9の具体例が示されており、そこで
は、セラミックスの一体焼成体構造において、二つの振
動子2、2をその基端側において支持する支台たる矩形
形状の枠体32が、それら二つの振動子2、2を取り囲
むように設けられている。そして、かかる枠体32の二
つの振動子2、2の支持部位間に位置する部分に、それ
ら振動子2、2の振動方向における剛性を低下せしめ
て、振動を容易と為す薄肉の第2の板状部8が、該振動
方向(振動子2、2の配設面)に垂直な方向に延びる主
面を与えるように一体的に形成されている一方、該第2
の板状部8の形成部位に対向する枠体32の部分に、該
枠体32よりも薄肉の第3の板状部10が、第1の板状
部6の主面に平行な主面を有するように形成され、更に
該第3の板状部10上に、駆動用圧電/電歪素子14が
膜形成法にて一体的に形成されている。
【0088】従って、このような構造の振動ジャイロ・
センサにあっては、駆動用圧電/電歪素子14の作動に
よる第3の板状部10の変形にて、枠体32に第2の板
状部8の部位を中心にした曲げ振動が惹起され、そして
それに基づいて、二つの振動子2、2が励振振動せしめ
られるようになっているのである。
【0089】そして、図12及び図13には、それぞ
れ、第10及び第11の具体例として、図11に示され
る振動ジャイロ・センサの固定を容易に行うための構造
の一例が、セラミックスの一体焼成体構造において示さ
れている。
【0090】それらのうち、図12に示される例におい
ては、矩形の枠体32に設けた第2の板状部8の形成部
位の外面に対して、該枠体32を固定するための取付部
34が一体的に設けられている。具体的には、この取付
部34は、三角形状を呈し、その三角形の頂角部分にお
いて、第2の板状部8の外面に対して一体的に連結せし
められているのである。なお、この取付部34の第2の
板状部8に対する連結部の幅(図において左右方向の長
さ)は、第2の板状部8の幅(図において左右方向の長
さ)よりも小さくされている。けだし、取付部34の連
結によって、第2の板状部8の変形に対する拘束を極力
抑制せしめることが望ましいからである。そして、かか
る取付部34において、スペーサ部18を介して、ボル
ト20、20等にて固定せしめられることにより、振動
ジャイロ・センサの固定が行われるのである。
【0091】また、図13に示される具体例にあって
は、図12に示される具体例における取付部34の変形
例を示しており、そこでは、振動ジャイロ・センサを与
える枠体32を取り囲むように、該枠体32の外側に所
定距離を隔てて位置する取付枠部36を一体的に有する
構造とされている。このような矩形枠体形状の取付枠部
36を、ボルト20にて固定するようにすれば、強固な
固定構造を実現することが可能となる。
【0092】更に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
の第12の具体例が、セラミックスの一体焼成体構造に
おいて、図14に示されているが、そこにおいて、二つ
の振動子2、2をその基端側において支持する支台4
は、角ばったU字形状を呈し、そして該支台4の二つの
振動子2、2の支持部位間に位置する部分に、第2の板
状部8が形成されている一方、支台4を固定するための
取付部34が、図13に示される例と同様に、第2の板
状部8の外面に対して一体的に連結されていると共に、
該取付部34に対して一体的に形成された矩形枠体形状
の取付枠部36が、それら二つの振動子2、2及び支台
4を取り囲むように、それらの外側に所定距離を隔て
て、配置されている。
【0093】そして、かかる取付枠部36と、第2の板
状部8の両側に位置する支台4部分との間をそれぞれ橋
絡するように、それら取付枠部36及び支台4よりも薄
肉の第3の板状部10、10が、第1の板状部6の主面
に平行な主面を有するように一体的に形成され、更にそ
れら第3の板状部10、10上に、駆動用圧電/電歪素
子14、14が、膜形成法にて一体的に形成されている
のである。
【0094】このような構造の振動ジャイロ・センサに
あっては、第2の板状部8の両側に位置する支台4部分
が、それらと取付枠部36との間に設けられた駆動手段
たる、駆動用圧電/電歪素子14、14の作動にて振動
せしめられ、それに基づいて振動子2、2が振動せしめ
られるようになっているのである。
【0095】また、上述の如き本発明に係る振動ジャイ
ロ・センサの構造によれば、他のセンサとの複合化を容
易に実現し得ることとなるのであり、具体的には、図7
〜図10や図13、図14に示される取付枠部30、3
6を利用して、セラミックスの一体焼成体構造におい
て、該取付枠部に隣接して、該取付枠部と一体の第2の
取付枠部を設け、そして該第2の取付枠部内に、該振動
ジャイロ・センサとは異なる機能の他のセンサを一体的
に支持せしめることにより、複合センサとすることが可
能であり、その一例が、図15に示されている。
【0096】かかる図15に例示の複合センサは、図1
3に示される振動ジャイロ・センサの取付枠部36に隣
接して、セラミックスの一体焼成体構造において、該取
付枠部36と一体の第2の取付枠部38を設けて、該第
2の取付枠部38内に、振動ジャイロ・センサとは別個
の機能を有する加速度センサを一体的に設けたものであ
って、図において、左方に、振動ジャイロ・センサを構
成するz軸周りの角速度を検知する角速度センサ部40
が構成される一方、右方には、加速度センサ部42が第
2の取付枠部38内に形成されている。即ち、加速度セ
ンサ部42は、y軸方向の加速度を検知する第1のセン
サ44A及び第2のセンサ44Bと、x軸方向の加速度
を検知する第3のセンサ44C及び第4のセンサ44D
とから構成されている。
【0097】そして、第1及び第2のセンサ44A、4
4Bは、何れも、慣性マスたる振動子46a、46b
と、それらを取付枠部38に一体的に連結する薄板状の
検出部48a、48bと、それら検出部上に一体的に膜
形成法にて形成された、前記検出用圧電/電歪素子14
と同様な構成の検出用圧電/電歪素子50a、50bと
から構成されている。従って、y軸方向の加速度が入力
されると、検出部48a、48bがそれぞれ変形し、そ
の変形に基づいて、検出用圧電/電歪素子50a、50
bから、所定の起電力(電圧)が出力されることとなる
のである。なお、これら第1及び第2のセンサ44A、
44Bは、x軸方向の加速度も感知するが、その場合に
おいて、それら二つのセンサは互いに逆方向の変位とな
るところから、y軸方向の加速度の場合に生じる同方向
の変位とは異なるため、信号分離が可能となるのであ
る。
【0098】また、第3及び第4のセンサ44C、44
Dも、それぞれ、慣性マスとなる振動子46c、46d
と、それらを取付枠部38に一体的に連結する薄板状の
検出部48c、48dと、それら検出部上に一体的に膜
形成法にて形成された、前記検出用圧電/電歪素子12
と同様な構造の検出用圧電/電歪素子50c、50d
と、振動子46c、46dを、x軸方向に変位容易な状
態において、取付枠部38に連結、支持せしめる薄板状
の連結部46c'、46d'とから構成されている。従っ
て、x軸方向の加速度が入力されると、二つの検出部4
8c、48dの変形に基づいて、検出用圧電/電歪素子
50c、50dから、所定の起電力(電圧)が出力され
ることとなるのである。
【0099】図16には、また、複合センサの異なる構
造の一例が示されており、そこに開示の複合センサは、
図15に例示のものと同様に、セラミックスの一体焼成
体構造において、角速度センサ部40と加速度センサ部
42とが一体的に設けられてなる構造を有しているが、
第1及び第2のセンサ44A、44Bの構造において、
前例とは異なっている。
【0100】即ち、第1及び第2のセンサ44A、44
Bにおける慣性マスたる振動子46a、46bを、それ
ぞれ、取付枠部38に一体的に連結せしめる連結部46
a'、46b'が、それぞれ、z軸方向に変形の容易な薄
板形状において形成されているのである。従って、z軸
方向の加速度が入力されると、慣性マスである振動子4
6a、46bが、変形の容易な連結部46a'、46b'
の存在により、大きな変位を与え、それに基づいて、検
出用圧電/電歪素子50a、50bにて、所定の起電力
(電圧)が出力されることとなるのである。
【0101】ところで、このような本発明に係る振動ジ
ャイロ・センサや複合センサは、何れも、圧電/電歪素
子12、14及び50a〜50dを除き、セラミックス
の一体焼成体にて構成されているものであり、具体的に
は、次のようにして作製されることとなる。
【0102】まず、本発明において、振動子2や支台
4、更には第1乃至第3の板状部6、8、10、スペー
サ部18等からなるセンサ本体を与えるセラミックスの
一体焼成体に関して、それを形成する材料としては、機
械的強度が大きく、後述するように、1400℃程度の
熱処理が可能で、また接着剤等を用いることなく、圧電
/電歪素子12、14等と積層一体化し得る絶縁体若し
くは誘電体であれば、酸化物系のセラミックス材料であ
っても、また非酸化物系のセラミックス材料であって
も、何等差し支えないが、その中でも、少なくとも酸化
アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、
窒化アルミニウム、窒化珪素のうちの何れかを主成分と
した材料が、変位や発生力が大きく、応答速度も速いと
いう優れた作動特性を得るために好適に採用され、特
に、酸化アルミニウム/酸化ジルコニウムを主成分とし
たセラミックス材料の使用が推奨される。更に、その中
でも、特に、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、
酸化セリウム、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムか
らなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物で安定化
された酸化ジルコニウムを主成分とする材料が、薄い板
厚においても高い機械的強度が得られること、高靭性で
あること等の特徴を発揮するところから、有利に用いら
れ得ることとなる。
【0103】なお、酸化ジルコニウムを安定化するため
の、前記せる如き化合物の添加量としては、酸化イット
リウムや酸化イッテルビウムでは1モル%〜30モル
%、酸化セリウムでは6モル%〜50モル%、酸化カル
シウムや酸化マグネシウムでは5モル%〜40モル%と
することが好ましいが、その中でも、特に、酸化イット
リウムを安定化剤として用いることが望ましく、その場
合には、1.5モル%〜6モル%とすることが、更に好
ましくは2モル%〜4モル%とすることが望ましい。こ
のような添加範囲で、酸化イットリウムを添加した酸化
ジルコニウムは、その結晶相が部分安定化されることと
なり、以て優れたセンサ本体としての特性を与える。
【0104】また、薄板層として安定化若しくは部分安
定化ジルコニアを使用する場合、下表に示す助剤の含有
が好ましい。圧電/電歪素子に以下の助剤を含有させて
も同様の効果を得ることができる。
【0105】
【表1】
【0106】また、そのようなセンサ本体を構成するセ
ラミックスの一体焼成体は、有利には、図2に示される
如く、薄板層22と、基板層24と、必要ならば、スペ
ーサ層26とから構成されることとなるが、少なくとも
薄板層22を与える材料中には、酸化珪素(SiO,S
iO2)が有利に含有せしめられる。この酸化珪素の含
有量は、0.5重量%以上、5重量%以下とすることが
好ましく、特に1重量%以上、3重量%以下とすること
が望ましい。このような割合の酸化珪素の含有は、薄板
層22上に形成される圧電/電歪素子12、14の熱処
理時において、圧電/電歪材料との過剰な反応を避け、
良好なアクチュエータ特性乃至は検出特性を得る上にお
いて有効である。
【0107】更に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
やそれを含む複合センサにおいては、その高速応答性と
大きな変位を得るために、圧電/電歪素子が一体的に形
成される薄板層22の厚さ、換言すれば第1の板状部6
や第3の板状部10の厚さは、一般に50μm以下、好
ましくは30μm以下、更に好ましくは15μm以下と
することが好ましい。一方、基板層24の厚さは、適宜
に決定されることとなるが、一般に30μm以上、好ま
しくは50μm以上、更に好ましくは100μm以上と
することが好ましい。また、アクチュエータや検出部と
して、大きな変位と大きな発生力を得るために、少なく
とも薄板層22については、結晶の平均粒子径が0.1
〜2μmであることが好ましく、更に好ましくは1μm
以下の平均粒子径を有するセラミックス材料にて構成さ
れていることが望ましい。
【0108】なお、このような薄板層22と基板層24
(とスペーサ層26)とから構成されるセンサ本体を与
えるセラミックス一体焼成体を得るには、例えば、それ
ら薄板層22、基板層24、スペーサ層26をグリーン
シートの状態で積層するグリーンシート積層法の他、成
形型を用いる加圧成形、鋳込み成形、射出成形等の各種
成形法、更には超音波加工、切削・研削加工等の機械加
工によって、振動子2や支台4、第1乃至第3の板状部
6、8、10等を形成する加工法等が挙げられるが、中
でも、加工応力が残らず、薄板層22の板厚の精度も高
い方法であるグリーンシート積層法が好ましく用いられ
る。このグリーンシート積層法では、好適には、それら
薄板層22、基板層24及びスペーサ層26をそれぞれ
与える第1、第2及び第3のグリーンシートが用いら
れ、それらを熱圧着により積層した後、焼成することに
より、一体化せしめる手法が採用されるのである。ま
た、その一体化に際して、第1乃至第3のグリーンシー
トとしては、少なくとも焼成による収縮率が同程度にな
るようにしたグリーンシートを用いることが、好まし
い。
【0109】ところで、かかるグリーンシート積層法
は、具体的には、第1乃至第3のグリーンシートに対し
て、図2に示される薄板層22、基板層24及びスペー
サ層26に対応する形状をそれぞれ与え、それらを積層
一体化した後、焼成を行い、一体的な焼成体と為した
後、薄板層22の所定部位に圧電/電歪素子(12、1
4)を膜形成法にて一体的に形成せしめる第1の手法の
他、第1のグリーンシートに薄板層22の形状を与える
ことなく、基板層24及びスペーサ層26に対応する形
状を有する第2及び第3のグリーンシートに対して、積
層一体化せしめ、更に焼成して、一体的な焼成体とした
後、レーザ加工や超音波加工等にて、薄板層22の形状
を実現し、その後、かかる薄板層22上の所定部位に、
圧電/電歪素子を一体的に形成する第2の方法や、その
ような薄板層22の形状を与えていない第1のグリーン
シートを用いて、それと、基板層24及びスペーサ層2
6に対応する形状を有する第2、第3のグリーンシート
とを積層一体化した後、焼成して、一体的な焼成体を作
製し、そして該第1のグリーンシートの焼成体部分の所
定部位に圧電/電歪素子を一体的に形成せしめ、その
後、レーザ加工や超音波加工等にて、薄板層22形状を
実現することにより、目的とする振動ジャイロ・センサ
を得る第3の方法があるが、特に本発明にあっては、圧
電/電歪素子形成の際の熱処理による変形を避けるため
に、最後の第3の手法が有利に採用されることとなる。
なお、それら薄板層22、基板層24及びスペーサ層2
6の形状の実現は、そのような形状を与えるようにグリ
ーンシートを成形する方法の他、レーザ加工や金型によ
るプレス加工、超音波加工等を採用して、好適に実施さ
れるが、中でも、金型によるプレス加工が量産性、集積
性に優れることから、有利に用いられる。
【0110】図17には、そのようなグリーンシート積
層法による振動ジャイロ・センサの望ましい製造手法
(第3の方法)の一例が示されている。そこにおいて、
薄板層22を与える第1のグリーンシート52は、薄板
層22の形状に何等加工されておらず、単なる矩形の一
枚の薄板形状において用いられている。また、基板層2
4を与える第2のグリーンシート54は、そのような基
板層24の形状に対応した形状に加工され、又スペーサ
層26を与える第3のグリーンシート56も、同様に、
スペーサ層26の形状に対応した形状に加工されてい
る。そして、それら第1、第2及び第3のグリーンシー
ト52、54、56が積層せしめられた後、焼成一体化
され、その後、その得られた焼成体58における薄板層
22上の所定部位に対して、圧電/電歪素子12、14
が、後述する膜形成法に従って、一体的に形成されるの
である。そして、その後、かかる一体焼成体58におけ
る薄板層22部分に対して、レーザ加工や超音波加工等
による切除加工が施されて、図1に示される如き形状の
振動ジャイロ・センサが完成されるのである。
【0111】なお、前記したグリーンシート積層法によ
る第2の手法によれば、上記の圧電/電歪素子12、1
4の形成工程と薄板層22の加工工程との順序が逆にさ
れて、圧電/電歪素子12、14の一体的な形成をもっ
て、図1に示される如き振動ジャイロ・センサが完成さ
れることとなる。
【0112】また、このような第1、第2及び第3のグ
リーンシート52、54、56の積層によって、振動ジ
ャイロ・センサを得るグリーンシート積層法にあって
は、薄板層22の形状を考慮することによって、振動子
2の先端部から延び出す薄板状の切除部16を形成する
ことが、極めて容易となるのである。そして、振動ジャ
イロ・センサを作製した後、共振周波数を測定し、必要
に応じて振動子2の先端部に形成された切除部16をレ
ーザ加工や超音波加工等によって切除(欠如)するよう
にすれば、その共振周波数を容易に微調整することがで
きるのである。
【0113】ところで、図1に示される振動ジャイロ・
センサの構造にあっては、図2や図17から明らかな如
く、基板層24を与える第2のグリーンシート54は、
第1の板状部6が第1のグリーンシート52にて与えら
れる薄板層22にて形成されることとなるところから、
振動子2を与える部分が分離された形態の不連続体構造
となっており、そのために、そのような不連続部の位置
決めが困難なことに加えて、焼成時や圧電/電歪素子の
形成の際の熱処理時に変形し易い問題を内在していると
ころから、積層時には、連続体として存在せしめ、積層
一体化或いは焼成一体化せしめた後に、そのような不連
続部を形成せしめる手法が、好適に採用されるのであ
り、その一例が、図18に示されている。
【0114】即ち、図18は、図7に示される振動ジャ
イロ・センサを作製するに有効な手法の一つを示すもの
であって、そこにおいて、基板層24を与える第2のグ
リーンシート54は、図示の如く連続体とされているの
である。即ち、振動子(2)形成部58が、取付枠部
(30)形成部60に対して、連結部62をもって連結
せしめられ、不連続部のない状態の第2のグリーンシー
ト54として用いられ、第1のグリーンシート52や第
3のグリーンシート56と積層され、そして焼成一体化
せしめられた後、圧電/電歪素子12、14が一体的に
形成せしめられ、更に、第1のグリーンシート52にて
与えられる薄板層22の加工を行い、その加工と同時に
或いはその加工の前後に、振動子2と取付枠部30とを
連結する連結部62をレーザ加工や超音波加工等によっ
て切断せしめ、取付枠部30から切り離すのである。こ
の連結部62に対する切断部64の形成によって、振動
子2は、取付枠部30からの拘束が解消されることとな
り、以て図7に示される振動ジャイロ・センサが完成す
ることとなる。
【0115】なお、このように、第2のグリーンシート
54において、不連続部がない構造の実現は、図7〜図
16に示される如き、振動子2を取り囲むように取付枠
部30、36、38や枠体32を有する構造のセンサの
みならず、図5や図6に示される如き、二つの振動子
2、2の間に支柱28を設けてなる構造のセンサにあっ
ても、それら振動子2と支柱28との間に連結部(6
2)を形成した後、最終的に切断部64にて切り離すよ
うにすれば、実現可能である。
【0116】また、上述の如き振動ジャイロ・センサや
複合センサの作製工程において、薄板層22の所定部位
への圧電/電歪素子12、14の形成は、以下のように
して行われることとなる。
【0117】まず、各材料からなる電極膜(12a、1
2c)及び圧電/電歪膜(12b)を薄板層22上の所
定部位に形成するには、公知の各種の膜形成注、例えば
スクリーン印刷の如き厚膜法やディッピング等の塗布
法、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、イオン
プレーティング、CVD、メッキ等の薄膜法等が適宜に
採用され得るが、それらに何ら限定されるものではな
い。なお、圧電/電歪膜(12b)を形成するには、好
ましくはスクリーン印刷、ディッピング、塗布等による
手法が採用される。これらの手法は、圧電/電歪セラミ
ックス粒子を主成分とするペーストやスラリーを用い
て、薄板層22上に膜形成することができ、良好な作動
特性が得られるからである。また、このようにして、圧
電/電歪素子12、14の形成を膜形成法によって行う
と、接着剤等を用いずに、薄板層22と一体化すること
ができることから、信頼性、再現性に優れ、更に集積化
しやすいこと等から、特に好ましい。更に、そのような
膜の形状としては、スクリーン印刷法、フォトリソグラ
フィ法等を用いてパターン形成するほか、レーザ加工法
やスライシング、超音波加工等の機械加工法を用い、不
必要な部分を除去してパターン形成してもよい。
【0118】なお、薄板層(22)の所定部位に膜形成
法にて一体的に形成される圧電/電歪素子(12、1
4)の構造や膜の形状は、何等限定されるものではな
く、従来から知られているものが適宜に採用可能であ
り、例えば、図3に示される如き、電界誘起歪みの横効
果を用いる構造の他、電界誘起歪みの縦効果を用いる構
造のものも、適宜に採用され、また膜形状においても、
三角形、四角形等の多角形、円、楕円、円環等の円形、
櫛状、格子状、またはこれらを組み合わせた特殊形状で
あっても、何等差し支えない。
【0119】そして、このようにして、薄板層(22)
にて与えられる第1、第3の板状部(6、10)上に形
成された、それぞれの膜(12a、12b、12c)
は、各膜の形成の都度、熱処理されて、それぞれの板状
部と一体構造となるようにされてもよく、また全膜を形
成した後、同時に熱処理して、各膜が同時に板状部に一
体的に結合せしめられるようにしてもよい。なお、薄膜
化手法により、電極膜を形成する場合には、一体化する
ために、必ずしも熱処理を必要としないことがある。
【0120】更に、かかる形成された膜と板状部とを一
体化するための熱処理温度としては、一般に800℃〜
1400℃程度の温度が採用され、好ましくは1000
℃〜1400℃の範囲の温度が有利に選択される。ま
た、圧電/電歪膜(12b)を熱処理する場合には、高
温時に圧電/電歪膜の組成が不安定とならないように、
そのような圧電/電歪材料の蒸発源と共に、雰囲気制御
を行いながら、熱処理することが好ましい。
【0121】なお、上記の方法にて作製される圧電/電
歪素子を構成する電極膜(12a、12c)の材料とし
ては、前記熱処理温度並びに焼成温度程度の高温酸化雰
囲気に耐えられる導体であれば、特に限定されるもので
はなく、例えば、金属単体であっても、合金であっても
よく、また絶縁性セラミックスやガラス等の添加物と金
属や合金との混合物であっても、更には導電性セラミッ
クスであっても、何等差し支えない。より好ましくは、
白金、パラジウム、ロジウム等の高融点貴金属類、銀−
パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主
成分とする電極材料が、好適に用いられる。
【0122】また、上記混合物において、金属や合金に
添加せしめられるセラミックスとしては、前記第1の板
状部や第3の板状部の構成材料、或いは後述する圧電/
電歪材料と同様な材料を用いることが望ましく、その添
加量としては、板状部と同じ材料においては5〜30体
積%、また圧電/電歪材料と同じ材料においては5〜2
0体積%程度が好ましい。特に、それら板状部構成材料
と圧電/電歪材料を、共に、上記金属や合金に混在せし
めてなる混合物が、目的とする電極の形成に有利に用い
られる。
【0123】そして、このような材料を用いて形成され
る電極12a及び12cは、用途に応じて適宜の厚さと
されることとなるが、図3に示される如き、電界誘起歪
みの横効果を用いるタイプにおいては、一般に15μm
以下、好ましくは5μm以下の厚さにおいて形成される
こととなり、また、図19に示すように、電界誘起歪み
の縦効果を用いるタイプにおいては、3μm以上がよ
く、好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm
以上の厚さにおいて、形成されることとなる。
【0124】また、圧電/電歪素子12、14を構成す
る膜状の圧電/電歪層(12b)を与える圧電/電歪材
料は、圧電或いは電歪効果等の電界誘起歪みを示す材料
であれば、何れの材料も用いられ得るものであり、結晶
質の材料であっても、非結晶質の材料であってもよく、
また半導体材料であっても、誘電体セラミックス材料や
強誘電体セラミックス材料であっても、何等差し支えな
く、更には分極処理が必要な材料であっても、またそれ
が不必要な材料であってもよいのである。
【0125】尤も、本発明に用いられる圧電/電歪材料
としては、好ましくはジルコン酸チタン酸鉛(PZT
系)を主成分とする材料、マグネシウムニオブ酸鉛(P
MN系)を主成分とする材料、ニッケルニオブ酸鉛(P
NN系)を主成分とする材料、亜鉛ニオブ酸鉛を主成分
とする材料、マンガンニオブ酸鉛を主成分とする材料、
アンチモン錫酸鉛を主成分とする材料、チタン酸鉛を主
成分とする材料、チタン酸バリウムを主成分とする材
料、更にはこれらの複合材料等が用いられる。なお、P
ZT系を主成分とする材料に、ランタン、バリウム、ニ
オブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物や、それら
の他の化合物を添加物として含んだ材料、例えばPLZ
T系となるように、前記材料に所定の添加物を適宜に加
えても、何等差し支えない。
【0126】なお、かくの如き構成からなる圧電/電歪
素子12、14の厚さとしては、一般に100μm以
下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm
以下とされることが、望ましい。
【0127】以上、本発明を、幾つかの具体例に基づい
て、具体的に説明してきたが、本発明は、上記具体例に
何等限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の
範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づい
て、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものである
ことが、理解されるべきである。
【0128】例えば、例示の各具体例にあっては、支台
4や取付枠部30、36、取付部34等に、スペーサ部
18を設けて、各振動子2が検出振動しても、それが取
付面と干渉しないようになっているが、取付面の形状乃
至は構造によっては、そのようなスペーサ部18を設け
なくてもよい場合がある。
【0129】また、例示の具体例においては、支台4や
取付枠部30、36、取付部34等の固定を、ボルトに
より行っているが、接着剤による接着固定も有効であ
り、その場合において、スペーサ部18の下面全体を接
着剤で固定するのが、好ましい。なお、接着剤として
は、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、合成ゴム系、ホ
ットメルト系、シアノアクリレート系、ポリウレタン樹
脂系等が用いられることとなる。
【0130】更に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
の例示のものにあっては、検出用圧電/電歪素子12が
一体的に形成される第1の板状部6が、振動子2の中間
部乃至は基端部側に設けられているが、図20や図21
に示される如く、該第1の板状部6を振動子2の先端部
側に設け、切除部16に連続した一体的構造とすること
も可能である。この場合、検出用の圧電/電歪素子12
に加わるコリオリ力は低下し、感度は落ちるものの、コ
ンパクト化や破損に関しては有利となる特徴を有してい
る。
【0131】次に、本発明に係る振動ジャイロ・センサ
の第15の具体例について図22を参照しながら説明す
る。
【0132】この第15の具体例に係る振動ジャイロ・
センサは、一方向(図22ではX方向)を長手方向とす
る直方体状の支台100と、該支台100の一方の側面
に設けられ、かつ前記一方向と直交する方向(図22で
はY方向)を長軸方向とする2本の振動子102A及び
102Bと、前記支台100の他方の側面に設けられ、
かつ前記Y方向を長軸方向とする2本の振動子102C
及び102Dと、枠面が前記X方向及びY方向を含む面
と平行であって、かつ前記支台100及び4本の振動子
102A〜102Dを取り囲む枠体104とを有する。
【0133】各2本の振動子(102A,102B)及
び(102C,102D)は、所定の離間幅dにて互い
に平行に延びるように支台100に各側面に支持されて
いる。
【0134】各振動子102A〜102Dは、直方体状
とされた振動子本体106と、該振動子本体106と支
台100とを連結する薄肉の板状の連結部(第2の板状
部)108を有する。この連結部108は、振動子本体
106の支台100側の端面における幅方向中央部分か
ら支台100にかけて延在し、その高さは、振動子本体
106とほぼ同じとされ、その幅は、第1の具体例(図
1参照)と同様に、振動子本体106の幅よりも小に設
定されている。
【0135】枠体104は、その中央部分において、枠
体104の高さ方向において貫通し、かつ支台100と
4本の振動子102A〜102Dを取り囲むことができ
る程度の開口面積を有するほぼ平面矩形状の開口110
が形成されている。該開口110は、支台100の長手
両端部に対応する部分に矩形状の切欠き112を有し、
各切欠き112の底部間の距離は、支台100における
長手方向の長さよりも長く設定され、各切欠き112の
側面は、その開口110寄りの面が支台100の側面と
対向するようになっている。即ち、支台100の長手方
向両端部がそれぞれ対応する切欠き112内に入り込ん
だ形となっている。
【0136】前記支台100の両側面に連結された各2
本の振動子(102A,102B)及び(102C,1
02D)は、それぞれの振動子本体106間に、高さ方
向において薄肉とされた板状の駆動部(第3の板状部)
114が設けられている。図22の例では、各駆動部1
14は、その上面が振動子本体106の上面側であっ
て、連結部108に最も近接する位置に設けられてい
る。各駆動部114は、実際には振動子本体106の上
面側に位置するが、上に凸あるいは下に凸となってお
り、厳密には同一平面上にはない構造(板バネ構造)と
なっている。
【0137】また、支台100の両側面のうち、長手方
向両端近傍の部分と該部分と対向する切欠き112の側
面との間に、高さ方向において薄肉とされた板状部11
6が設けられている。図22の例では、前記各板状部1
16は、その上面が支台100の上面及び枠体104の
上面と面一とされた状態とされているが、実際には、前
記各板状部116は、支台100の上面側及び枠体10
4の上面側に位置するが、上に凸あるいは下に凸となっ
ており、厳密には同一平面上にはない構造(板バネ構
造)となっている。
【0138】そして、この第15の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサにおいては、前記支台100、4本の振
動子102A〜102D、枠体104、4つの連結部1
08、2つの駆動部114及び4つの板状部116が、
セラミックスの一体焼成体にて構成され、更に、前記駆
動部114上に駆動用の圧電/電歪素子118が形成さ
れ、板状部116上に検出用の圧電/電歪素子120が
形成されて構成されている。これにより、駆動部114
と駆動用の圧電/電歪素子118によって振動子102
を励振振動させるための駆動手段122が構成され、板
状部116と検出用の圧電/電歪素子120によって検
出部124が構成されることになる。そして、駆動用の
圧電/電歪素子118への通電駆動によって、各2本の
振動子(102A,102B)及び(102C,102
D)は、これらの配列面内において、X軸方向において
互いに逆方向に、即ち、互いに近接又は離間する方向に
曲げられながら振動することとなる。
【0139】ここで、振動子本体106と支台100間
に設けられる前記連結部108について説明すると、該
連結部108のアスペクト比(幅:高さ)は、1:1.
2〜1:1000の範囲が好ましく、1:1.8〜1:
50の範囲がより好ましい。
【0140】これは、連結部108のアスペクト比が
1:1.2よりも大きいと、振動子102A〜102D
にZ軸方向の不要振動が生じやすくなり、その結果、検
出部124に不要振動が生じやすくなる。一方、前記ア
スペクト比が1:1000より小さいと、連結部108
の加工が困難となり、加工精度が悪くなるからである。
【0141】前記セラミックスの一体焼成及び圧電/電
歪素子の形成については、既に詳述したのでここではそ
の説明を省略する。
【0142】この第15の具体例に係る振動ジャイロ・
センサにおいては、駆動用の圧電/電歪素子118の駆
動によって、駆動部114が変形を受けることにより、
各2本の振動子(102A,102B)及び(102
C,102D)がX軸方向に互いに逆向きに励振振動
(曲げ振動)する。
【0143】このように、各2本の振動子(102A,
102B)及び(102C,102D)が振動している
状態下において、前記一方向及び前記支台100の延在
方向を含む面と直交する軸周り(図22ではZ軸周り)
に角速度が印加されると、検出部124における板状部
116に対してY軸方向に力が作用し、この力によって
検出部124が撓み振動することとなる。即ち、上記Z
軸周りに回転振動が生じ、この振動が検出部124にお
ける圧電/電歪素子120により、起電力(電圧)とし
て検出される。
【0144】この場合、振動子102、支台100及び
検出部124が共に、セラミックスの一体焼成体にて構
成されているため、その構成材料に、従来のエリンバ合
金のような磁性体は存在せず、センサとしての特性にお
いて、周囲の磁場による影響を受けることがない。
【0145】また、検出部124が、その高さ方向につ
いて振動子本体106よりも薄肉とされた板状部116
を有して構成されて、剛性の低い構造とされているた
め、前記角速度によって前記Z軸周りに振動が生じた場
合、板状部116において大きな歪みが得られ、該板状
部116上に形成されている検出用の圧電/電歪素子1
20での検出感度が大幅に向上する。
【0146】特に、前記第15の具体例に係る振動ジャ
イロ・センサにおいては、前記角速度が印加された場合
にのみ検出部124に振動が生じることとなるため、角
速度がない状態での検出用の圧電/電歪素子120から
の出力(ヌル電圧)が非常に小さくなり、検出感度が大
幅に向上する。しかも、振動による検出部124での疲
労破壊の発生確率が低くなり、振動ジャイロ・センサの
長寿命化を図ることができる。
【0147】また、振動子本体106の長軸周り(Y軸
周り)の角速度を測定するのではなく、前記一方向及び
前記支台100の延在方向を含む面と直交する軸周り
(Z軸周り)の角速度を測定する構造であるため、振動
子102、支台100及び枠体104をその高さ方向に
おいて薄くすることができ、振動ジャイロ・センサの小
型軽量化を促進させることができる。
【0148】前記4本の振動子102A〜102Dにお
ける各振動子本体106には、薄肉の板部材が存在せ
ず、それぞれ単独で高強度な支台100に支持された構
造となっているため、各振動子本体106を大質量化す
ることができ、これにより、振動子102A〜102D
に発生するコリオリ力(Fc=2mvル)が大きくな
り、検出部124での歪み検出に関する高感度化を実現
させることができる。
【0149】次に、第16の具体例に係る振動ジャイロ
・センサについて図23を参照しながら説明する。な
お、図22と対応するものについては同符号を付してそ
の重複説明を省略する。
【0150】この第16の具体例に係る振動ジャイロ・
センサは、図23に示すように、前記第15の具体例に
係る振動ジャイロ・センサ(図22参照)とほぼ同じ構
成を有するが、検出部124が以下の点で異なる。
【0151】即ち、検出部124は、前記支台100の
両側面のうち、長手方向両端近傍の部分と該部分と対向
する切欠き112の側面との間にセラミックによって一
体に形成されたリング部材130と、該リング部材13
0内に前記支台100の延在方向(X軸方向)と平行に
一体に架設された板状部116と、該板状部116上に
形成された検出用の圧電/電歪素子120を有して構成
されている。
【0152】この第16の具体例に係る振動ジャイロ・
センサにおいては、駆動用の圧電/電歪素子118の駆
動によって、各2本の振動子(102A,102B)及
び(102C,102D)が振動している状態下におい
て、前記一方向及び前記支台100の延在方向を含む面
と直交する軸周り(Z軸周り)に角速度が印加された際
に、検出部124に対してY軸方向に力が作用すること
となるが、この力の作用によって、リング部材130が
Y軸方向を長軸又は短軸とする楕円形状となりながら振
動することとなる。このリング部材130でのY軸方向
に沿った振動が検出用の圧電/電歪素子120により、
起電力(電圧)として検出されることとなる。この第1
6の具体例は、検出部124におけるY軸方向の歪みを
リング部材130の変形を通して検出用の圧電/電歪素
子120にて間接的に測定するものであり、耐久性に富
むという効果を有する。
【0153】前記第15及び第16の具体例に係る振動
ジャイロ・センサにおいては、上述した例えば第1の具
体例に係る振動ジャイロ・センサ(図1参照)と同様
に、共振周波数の調整が行われる。具体的に共振周波数
の調整について、代表的に第15の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサを通じて図24及び図25を参照しなが
ら説明する。
【0154】第15の具体例に係るジャイロ・センサに
おいては、実際には、共振周波数の調整のために、図2
4に示すように、各2本の振動子(102A,102
B)及び(102C,102D)におけるそれぞれの自
由端から外方に張り出す薄肉の第1の張出し部132を
セラミックスにて一体に形成し、更に、前記支台100
の長手方向両端から外方に張り出す薄肉の第2の張出し
部134をセラミックスにて一体に形成する。
【0155】そして、前記第1の張出し部132をトリ
ミング処理することにより、駆動側の共振周波数の調整
を行い、前記第2の張出し部134をトリミング処理す
ることにより、検出側の共振周波数の調整を行う。
【0156】この場合、駆動側の共振周波数が第1の張
出し部132に対するトリミング処理(切除処理)にて
調整することができ、検出側の共振周波数が第2の張出
し部134に対するトリミング処理(切除処理)にて調
整することができる。即ち、駆動側及び検出側の共振周
波数をそれぞれ独立して調整することができるため、例
えば駆動側の共振周波数の調整によって検出側の共振周
波数が影響を受けるという不都合を回避することができ
る。
【0157】第1及び第2の張出し部132及び134
の形状としては、例えば図24に示すように、各振動子
本体106に対して高さ方向について薄肉とされた板状
にして構成するようにしてもよいし、図25に示すよう
に、各振動子本体106に対して前記支台100の延在
方向(X軸方向)について薄肉とされた板状にして構成
するようにしてもよい。
【0158】図24に示す形状の場合、上面から例えば
レーザ光を走査するだけで簡単にトリミング処理するこ
とができるという利点を有し、図25に示す形状の場
合、各2本の振動子(102A,102B)及び(10
2C,102D)の振動方向に垂直な面全体にわたって
トリミング処理対象の部位が存在することとなるため、
質量バランスが非常によくなる。この場合のトリミング
処理としては、例えばレーザ照射の後、超音波等の打撃
を加えることにより、不要部位を切除することにより行
うことができる。
【0159】なお、前記共振周波数の調整においては、
実際は、駆動側の共振周波数を調整する目的で第1の張
出し部132をトリミング処理すると、検出側の共振周
波数が少なからず影響を受けることになる。しかし、検
出側の共振周波数を調整する目的で第2の張出し部13
4をトリミング処理しても駆動側は影響を受けないた
め、実際の共振周波数の調整においては、まず、第1の
張出し部132をトリミング処理して駆動側の共振周波
数の調整を行った後、第2の張出し部134をトリミン
グ処理して検出側の共振周波数の調整を行うことが好ま
しい。
【0160】次に、第17の具体例に係る振動ジャイロ
・センサについて図26を参照しながら説明する。な
お、図22と対応するものについては同符号を付してそ
の重複説明を省略する。
【0161】この第17の具体例に係る振動ジャイロ・
センサは、図26に示すように、前記第15の具体例に
係る振動ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有するが、
駆動手段122における板状の駆動部114が各振動子
本体106の重心を結ぶ線上に配設されている点で異な
る。
【0162】この場合、駆動部114を連結部108近
傍に配設した振動ジャイロ・センサ(第15の具体例
等)と比して、各2本の振動子(102A,102B)
及び(102C,102D)を互いに接近又は離間させ
ることを効率よく行うことができ、検出部124での検
出感度を向上させる上で有利となる。
【0163】また、振動ジャイロ・センサに対するトリ
ミング処理による共振周波数の調整は、上述した第1の
張出し部及び第2の張出し部132及び134に対する
トリミング処理(図24及び図25参照)のほか、図2
7に示すように、各振動子本体106間に設けられる駆
動部114並びに支台100と枠体104間に設けられ
る検出部124における板状部116の各幅を予め広く
しておき、これら駆動部114及び板状部116の幅を
適宜変えることにより、駆動側及び検出側の共振周波数
を調整するようにしてもよい。
【0164】この調整方法は、振動子本体106及び支
台100の質量を変えることによって駆動側及び検出側
の共振周波数を調整するのではなく、駆動部144及び
板状部116のバネ定数を変えることによって駆動側及
び検出側の共振周波数を調整する方法である。
【0165】具体的には、駆動側の周波数を変える場合
は、各振動子本体106間にある2つの板状の駆動部1
14をレーザ加工、超音波加工等によって切除し、検出
側の周波数を変える場合は、支台100と枠体104間
にある4つの板状部116をレーザ加工、超音波加工等
によって切除することにより行う。
【0166】この場合、各振動子本体106の自由端及
び支台100の長手方向両端にそれぞれ第1の張出し部
132及び第2の張出し部134を形成する必要がなく
なるため、製造工程が簡略化でき、しかも、トリミング
処理される部位が薄肉となっているため、共振周波数の
調整が容易になる。また、質量を変えて共振周波数を調
整する方法と異なり、駆動側の共振周波数と検出側の共
振周波数を完全に独立して調整することができるという
利点もある。
【0167】前記第15〜第17の具体例においては、
振動子本体106間に駆動部114を形成した例を示し
たが、その他、支台100と振動子本体106間に形成
するようにしてもよい。この構成についてのいくつかの
例を第18及び第19の具体例として図28及び図29
に示す。
【0168】即ち、第18の具体例に係る振動ジャイロ
・センサは、図28に示すように、振動子本体106の
支台100側端面における枠体104寄りの部分から支
台100にかけて駆動部114が形成され、第19の具
体例に係る振動ジャイロ・センサは、図29に示すよう
に、振動子本体106の支台100側端面における支台
100の長手方向中央寄りに対応する部分から支台10
0にかけて駆動部114が形成されている。
【0169】これら第18及び第19の具体例に係る振
動ジャイロ・センサは共に、隣接する振動子本体106
間に駆動部114が形成されないため、前記隣接する振
動子本体106間の間隔を狭くすることができ、振動ジ
ャイロ・センサの小型化を更に促進させることができ
る。
【0170】前記第15〜第19の具体例においては、
各振動子本体106と支台100間に形成される連結部
108の各振動子本体106での形成位置を、振動子本
体106における支台100側端面の中央部分とした
が、必ずしも当該中央部分にする必要はなく、例えば図
30に示すように、前記連結部108の各振動子本体1
06での形成位置を、振動子本体106における支台1
00側端面の枠体104寄りの部分としてもよいし(第
20の具体例)、図示しないが、振動子本体10の支台
100側端面における支台100の長手方向中央寄りに
対応する部分としてもよい。
【0171】また、図31〜図33に示すように、駆動
手段122における駆動用の圧電/電歪素子118によ
る駆動部114の振動を一定に保つために、駆動手段1
22とは別の位置に設けられた参照手段140における
参照用圧電/電歪素子142からの信号を駆動手段12
2にフィードバックする機構を採用するようにしてもよ
い。
【0172】即ち、図31に示す第21の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図26に示す第17の具体例
に係る振動ジャイロ・センサにおいて、各振動子本体1
06の連結部108近傍に参照手段140が設けられた
構成を有する。参照手段140は、駆動手段122とほ
ぼ同様の構成を有し、高さ方向において薄肉とされた板
状の参照部(第4の板状部)144と、該参照部144
上に形成された参照用の圧電/電歪素子142とを有す
る。参照部144は、前記駆動部114と同様にセラミ
ックにて一体に形成される。
【0173】そして、各振動子本体106の重心を結ぶ
線上に形成された駆動手段122の振動が一定となるよ
うに、参照手段140における参照用の圧電/電歪素子
142からの信号が駆動用の圧電/電歪素子118にフ
ィードバックされる。
【0174】前記例では、各振動子本体106の重心を
結ぶ線上に設けられた板状部と該板状部上に形成された
圧電/電歪素子を駆動手段122として用い、各振動子
本体106の連結部108近傍に設けられた板状部と該
板状部上に形成された圧電/電歪素子を参照手段140
として用いたが、その逆の構成を採用するようにしても
よい。
【0175】次に、図32に示す第22の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図28に示す第18の具体例
に係る振動ジャイロ・センサにおいて、振動子本体10
6の支台100側端面における支台100の長手方向中
央寄りに対応する部分から支台100にかけて参照手段
140が設けられた構成を有する。
【0176】そして、振動子本体106の支台100側
端面における枠体104寄りの部分から支台100にか
けて設けられた駆動手段122の振動が一定となるよう
に、前記参照手段140における参照用の圧電/電歪素
子142からの信号が駆動用の圧電/電歪素子118に
フィードバックされる。
【0177】前記例では、振動子本体106の支台10
0側端面における枠体104寄りの部分から支台100
にかけて設けられた板状部と該板状部上に形成された圧
電/電歪素子を駆動手段122として用い、振動子本体
106の支台100側端面における支台100の長手方
向中央寄りに対応する部分から支台100にかけて設け
られた板状部と該板状部上に形成された圧電/電歪素子
を参照手段140として用いたが、その逆の構成を採用
するようにしてもよい。
【0178】次に、図33に示す第23の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図26に示す第17の具体例
に係る振動ジャイロ・センサにおいて、振動子本体10
6の支台100側端面における支台100の長手方向中
央寄りに対応する部分から支台100にかけて参照手段
140が設けられた構成を有する。
【0179】そして、各振動子本体106の重心を結ぶ
線上に形成された駆動手段122の振動が一定となるよ
うに、前記参照手段140における参照用の圧電/電歪
素子142からの信号が駆動用の圧電/電歪素子118
にフィードバックされる。
【0180】前記例では、各振動子本体106の重心を
結ぶ線上に設けられた板状部と該板状部上に形成された
圧電/電歪素子を駆動手段122として用い、振動子本
体106の支台100側端面における支台100の長手
方向中央寄りに対応する部分から支台100にかけて設
けられた板状部と該板状部上に形成された圧電/電歪素
子を参照手段140として用いたが、その逆の構成を採
用するようにしてもよい。
【0181】前記第1〜第23の具体例に係る振動ジャ
イロ・センサにおいては、いずれも、振動子2(又は1
02)を直接駆動部により振動させるいわゆる強制振動
方式の構造であるが、図34〜図36に示すように、自
由振動方式の構造を採用してもよい。
【0182】まず、図34に示す第24の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、支台100と各振動子本体1
06間に支台100の長手方向と平行に延びる板状の加
振部(第5の板状部)150を配置し、支台100と加
振部150とを連結する薄肉の板状の第1の連結部(第
6の板状部)152と、振動子本体106と加振部15
0とを連結する薄肉の板状の連結部(第7の板状部)1
54と、各加振部150間に設けられた駆動手段122
とを有して構成された例を示す。
【0183】第1及び第2の連結部152及び154
は、前記第15〜第23の具体例に係る振動ジャイロ・
センサの連結部108とほぼ同様の寸法関係を有し、前
記加振部150は、その高さが振動子本体106とほぼ
同じとされ、その幅は、振動子本体106の幅よりも小
で、かつ第1及び第2の連結部152及び154よりも
僅かに大に設定されている。
【0184】図35に示す第25の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサは、前記第24の具体例に係る振動ジャ
イロ・センサとほぼ同じ構成を有するが、駆動手段12
2が、加振部150の支台100側端面における枠体1
04寄りの部分から支台100にかけて設けられている
点で異なる。
【0185】また、図36に示す第26の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、前記第24の具体例に係る振
動ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有するが、駆動手
段122が、加振部150の支台100側端面における
支台100の長手方向中央寄りに対応する部分から支台
100にかけて設けられている点で異なる。
【0186】そして、これら第24〜第26の具体例に
係る振動ジャイロ・センサにおいては、振動子本体10
6と支台100間に存する加振部150に駆動手段12
2を通じて振動を与えることにより、間接的に振動子1
02A〜102Dを振動させるものであり、その利点
は、振動子本体106が駆動部114による影響を受け
難いため、(1)振動子102A〜102Dの振動にお
いて大振幅が得易い、(2)振動子102A〜102D
での振動波形が乱れ難く、きれいなサイン波に準じた振
動波形を得ることができる、という点が挙げられる。
【0187】ところで、従来から用いられている多くの
振動ジャイロ・センサにおいては、振動子としてエリン
バ合金を用い、更に電極を形成したバルクの圧電/電歪
素子を振動子に対して接着によって固定するようにして
いるため、圧電/電歪素子の電極への外部配線の接続と
して、半田やAgペースト等を用いる必要がある。この
場合、前記半田やAgペースト等並びに外部配線自体が
付加重量となって振動子での振動特性に多大な影響を与
え、製造を困難なものとしていた。
【0188】振動子として圧電セラミックスを用いるタ
イプのものでも、振動する部分にリード線を接続すると
いう点では本質的な違いはなく、:外部配線の接続部
の信頼性が低い、:製造ばらつきが大きい、という問
題がある。
【0189】しかし、上述した第1〜第26の具体例に
係る振動ジャイロ・センサにおいては、各圧電/電歪素
子(118、120)の一対の電極への外部配線の接続
を容易に行えるという利点を有する。
【0190】この利点を図26に示す第17の具体例に
係る振動ジャイロ・センサに基づいて説明すると、この
振動ジャイロ・センサにおいては、図37に示すよう
に、駆動手段122及び検出部124における各一対の
電極以外は、セラミックス(非導電性材料)の一体焼成
体にて構成されているため、駆動手段122の圧電/電
歪素子118を構成する一対の電極と、該一対の電極か
ら導出される2本の外部配線(160、162)及び
(164、166)と、検出部124の圧電/電歪素子
120を構成する一対の電極と、該一対の電極から導出
される2本の外部配線(168、170)、(172、
174)、(176、178)及び(180、182)
とをそれぞれ同一の配線材料にて膜形成法にて形成する
ことが可能である。
【0191】具体的にその配線形成パターンを説明する
と、各振動子本体106間に設けられている駆動手段1
22の圧電/電歪素子118を構成する一対の電極から
導出される2本の配線(160、162)及び(16
4、166)は、各電極に近接する振動子本体106上
面から連結部108上面、支台100上面及び前記振動
子102A及び102Bに近接する検出部124の板状
部116上面を通じて枠体104に導出されるように形
成される。
【0192】また、各検出部124における圧電/電歪
素子120の一対の電極から導出される2本の配線(1
68、170)、(172、174)、(176、17
8)及び(180、182)は、各検出部124から枠
体104に導出されるように形成される。
【0193】これら電極及び配線の構成材料としては、
上述したように、熱処理温度及び焼成温度程度の高温酸
化雰囲気に耐えられる導体であれば、特に限定されるも
のではなく、例えば金属単体であっても、合金であって
もよく、また、絶縁性セラミックスやガラス等の添加物
と金属や合金との混合物であっても、更には導電性セラ
ミックスであっても何等差し支えない。好ましくは、白
金、パラジウム、ロジウム等の高融点貴金属類、銀−パ
ラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成
分とする電極材料が好適に用いられる。
【0194】また、前記電極及び配線の形成方法として
は、例えばスクリーン印刷のような厚膜法やディッピン
グ等の塗布法、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸
着、イオンプレーティング、CVD、めっき等の薄膜法
等が適宜に採用され得るが、それらに限定されるもので
はない。
【0195】次に、更に他の具体例について説明する。
以下に示す具体例は、図1〜図21に示す各種具体例の
変形例として把握できることから、図1〜図21と対応
するものについては同符号を付してその重複説明を省略
する。
【0196】まず、図38に示す第27の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図1に示す第1の具体例に係
る振動ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有するが、駆
動用圧電/電歪素子14が設けられる第3の板状部10
が、二つの第2の板状部8間を橋絡するように一体的に
形成されている点で異なる。
【0197】図39に示す第28の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサは、図5に示す第3の具体例に係る振動
ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有するが、支柱28
とその左右に位置する第2の板状部8との間に、薄肉の
第3の板状部10が一体的に形成され、更に、それら第
3の板状部10上に、それぞれ駆動用圧電/電歪素子1
4が形成されて、それら駆動用圧電/電歪素子14の作
動によって、左右の二つの振動子2がそれぞれ互いに逆
方向に励振振動せしめられるようになっている点で異な
る。
【0198】図40に示す第29の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサは、図7に示す第5の具体例に係る振動
ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有するが、2つの第
2の板状部8とそれらに対向する取付枠部30の辺との
間に、薄肉の第3の板状部10が一体的に形成され、更
に、該第3の板状部10上に、駆動用圧電/電歪素子1
4が膜形成法によって一体的に形成されている点で異な
る。
【0199】図41に示す第30の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサは、図9に示す第7の具体例に係る振動
ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有するが、矩形枠構
造の取付枠部30内に配置された2つの第2の板状部8
間に、薄肉の第3の板状部10が一体的に形成され、更
に、該第3の板状部10上に、駆動用圧電/電歪素子1
4が膜形成法によって一体的に形成されている点で異な
る。
【0200】これら第27〜第30の具体例に係る振動
ジャイロ・センサにおいては、振動子2を直接駆動する
のではなく、第2の板状部8を駆動するように構成され
ているため、振動子2は駆動手段122を構成する第3
の板状部10の拘束を受けることなく振動することがで
きる。これにより、振動子2の振動の先鋭度が高くなる
ため、振動が減衰しにくくなり、検出用圧電/電歪素子
12にて検出される検出信号の取り扱いが容易になる。
また、振動子2の振動振幅が大きくなり、感度が更に向
上させることが可能となる。
【0201】前記第1〜第30の具体例に係る振動ジャ
イロ・センサにおいては、検出部を構成する第1の板状
部6が振動子2よりも薄肉に形成されて、構造上は一体
とされているが、機能上は、前記振動子2とは、別個の
ものとして構成されている。
【0202】次に挙げる種々の具体例は、振動子2と検
出部を構造上及び機能上、共に一体として構成したもの
であり、感度を向上させる上で更に有利となるものであ
る。
【0203】以下、具体的に説明する。なお、図1〜図
21と対応するものについては同符号を付してその重複
説明を省略する。
【0204】まず、図42に示す第31の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、所定の厚みを有する矩形ブロ
ック形状の支台4と、該支台4の長手側面を基端とし
て、互いに所定間隔を空けて支台4の前記長手側面に対
して垂直方向に延びる2本の第2の板状部8と、各第2
の板状部8の自由端上部を基端として、互いに所定間隔
を空けて支台4の前記長手側面に対して垂直方向に延び
る平面ほぼ短冊状(幅広で長尺)の2枚の第1の板状部
(図43参照)と、前記2本の第2の板状部8間を橋絡
するように形成された平面ほぼ短冊状の第3の板状部1
0とが、セラミックスの一体焼成にて一体的に構成され
た形状を有する。この場合、第1の板状部6で振動子2
が構成される。
【0205】前記第2の板状部8は、第1の板状部6の
幅よりも細い幅とされ、かつ、第1の板状部6に対して
垂直な方向に延びる主面を有する薄肉の板状部とされ、
この第2の板状部8を介して前記第1の板状部6(振動
子2)が支台4に対して一体的に連結される。
【0206】第3の板状部10は、前記第2の板状部8
間における支台4寄りの部分に一体に連結されている。
【0207】そして、この第31の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサにおいては、幅広に形成された各第1の
板状部6の上面におけるほぼ全面に検出用圧電/電歪素
子12が形成され、第3の板状部10の上面におけるほ
ぼ全面に駆動用圧電/電歪素子14が形成されている。
【0208】この第31の具体例に係る振動ジャイロ・
センサによれば、幅広で長尺の第1の板状部6によって
振動子2が構成されるため、振動子2の質量及びモーメ
ントが大きくなり、結果として、駆動振動による速度
(∝振幅)が大きくなるため、更に感度を向上させるこ
とができる。また、第1の板状部6上のほぼ全面に検出
用圧電/電歪素子12を形成するようにしているため、
多くの電荷を蓄積することが可能となり、電流検出方式
において有利になる。
【0209】次に、図44に示す第32の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、前記第31の具体例に係る振
動ジャイロ・センサ(図42参照)とほぼ同じ構成を有
するが、前記第1の板状部6と前記第2の板状部8間に
それぞれ厚肉のブロック部位70が一体的に設けられて
いる点で異なる。
【0210】図42に示す前記第31の具体例に係る振
動ジャイロ・センサにおいては、第2の板状部8に直接
第1の板状部6を設けるようにしているため、第1の板
状部6と第2の板状部8との境界部分が強度的に不利に
なるおそれがあるが、この第32の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサにおいては、前記ブロック部位70の存
在により、前記境界部分の強度を大きくすることがで
き、信頼性を向上させる上で有利になる。
【0211】次に、図45に示す第33の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図42に示す第31の具体例
に係る振動ジャイロ・センサと同様の構成を有するが、
支台4が矩形状の枠体32である点で異なり、2本の第
2の板状部8は、前記枠体32における枠内壁面の一方
の短辺を基端として、互いに所定間隔を空けて枠体32
の長辺に平行に延びるように一体に形成されている。
【0212】図42に示す第31の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサ等においては、支台4をブロック形状と
しているため、該支台4を接着剤等によって実装、固定
する際、固定できる箇所が少ないという実装上の問題
と、支台4の剛性が低くなりやすく、支台4に振動が伝
達されやすいという強度上の問題があるが、支台4を枠
体32とすることによって、取付けの自由度が広くな
り、また、剛性も良好となることから、前記問題を解決
することができ、実用上、好ましい。
【0213】次に、図46に示す第34の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、前記第33の具体例に係る振
動ジャイロ・センサ(図45)とほぼ同じ構成を有する
が、前記第1の板状部6と前記第2の板状部8間にそれ
ぞれ厚肉のブロック部位70が一体的に設けられている
点で異なる。
【0214】この場合、前記ブロック部位70の存在に
より、第1の板状部6と第2の板状部8における境界部
分の強度を大きくすることができ、しかも、枠体32を
用いていることから、実装上及び剛性上において有利に
なる。
【0215】次に、図47に示す第35の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、前記第33の具体例に係る振
動ジャイロ・センサ(図45参照)とほぼ同じ構成を有
するが、図48に示すように、前記第1の板状部6の裏
面に複数の凹部72が形成され、該第1の板状部6の上
面中、前記複数の凹部72に対応した位置に検出用圧電
/電歪素子12が島状に形成されている点で異なる。図
47の例では、凹部72の外形並びに検出用圧電/電歪
素子12の平面形状を共に円形とした例を示している。
【0216】この第33の具体例に係る振動ジャイロ・
センサによれば、第1の板状部6のうち、凹部72が形
成された部分の強度が低下するため、コリオリ力によっ
て第1の板状部6が変形する際に、前記凹部72が形成
された部分において、凹部72のない部分よりも大きな
歪みが生じる。そのため、前記凹部72に対応した部分
に検出用圧電/電歪素子12を形成することにより、大
きな検出出力を得ることができ、更に感度の向上を図る
ことができる。
【0217】次に、図49に示す第36の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図47に示す前記第35の具
体例に係る振動ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有す
るが、前記第1の板状部6と前記第2の板状部8間にそ
れぞれ厚肉のブロック部位70が一体的に設けられてい
る点で異なる。
【0218】この場合、前記ブロック部位70の存在に
より、第1の板状部6と第2の板状部8における境界部
分の強度を大きくすることができ、しかも、大きな出力
を得ることができることから、高信頼性及び感度の向上
において有利となる。
【0219】前記第35及び第36の具体例に係る振動
ジャイロ・センサにおいては、第1の板状部6の上面に
平面ほぼ円形状の検出用圧電/電歪素子12を島状に形
成した例を示したが、その他、図50及び図51に示す
ように、前記凹部72(図48参照)の外形並びに検出
用圧電/電歪素子12を共に四角形状としてもよい(第
37及び第38の具体例)。前記凹部72や検出用圧電
/電歪素子12の平面形状としては、前記円形や四角形
のほか、ひし形等も考えられ、形状上の限定はない。
【0220】次に、図52に示す第39の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図42に示す前記第31の具
体例に係る振動ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有す
るが、前記支台4の前記第2の板状部8が形成されてい
る面とは反対の面に、該支台4を固定するための取付部
74が一体に設けられ、前記支台4と取付部74との間
に、支台4の幅方向に対して薄肉とされた支持部(第5
の板状部)76が一体的に設けられている点で異なる。
【0221】即ち、この第39の具体例に係る振動ジャ
イロ・センサにおいては、前記支台4、2本の第2の板
状部8並びに2枚の振動子2(第1の板状部6)にて1
つの音叉体78が構成され、該音叉体78が支持部(第
5の板状部)76によって取付部74に一体に連結され
た構成を有する。
【0222】一般に、音叉体78を支持棒にて任意の固
定手段に支持させて該音叉体78を振動させた場合のモ
ードとしては、音叉体78の2本の振動子2が互いに逆
方向に振動するモードと、2本の振動子2が互いに同方
向に振動するモードとがある。
【0223】振動ジャイロ・センサにおいて必要なモー
ドは、前者のモード(互いに逆方向に振動するモード)
であって、後者のモードは、振動ジャイロ・センサにと
って不要なモードである。このことから、必要なモード
の振動数と不要なモードの振動数が大きく異なれば、こ
れらを容易に差別化でき、必要なモードでの検出精度を
向上させることが可能となる。
【0224】図53に、前記必要なモードの振動数と不
要なモードの振動数が前記支持棒の長さによってどのよ
うに変化するかを示したものである。この図53におい
て、曲線aが必要なモードの特性を示し、曲線bが不要
なモードの特性を示す。この図53からわかるように、
支持棒の長さが大きい場合、両モードの振動数は大きく
異なっているが、支持棒が短くなるにつれて、互いの振
動数が接近するため、両者の差別化が困難になり、検出
精度上、不利になる。
【0225】これに対して、前記第39の具体例に係る
振動ジャイロ・センサにおいては、支台4と取付部74
を支持部76にて一体に連結するようにしているため、
該支持部76が前記支持棒の機能を果たすことになり、
検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0226】次に、図54に示す第40の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図52に示す第39の具体例
に係る振動ジャイロ・センサと同様の構成を有するが、
前記第1の板状部6と前記第2の板状部8間にそれぞれ
厚肉のブロック部位70が一体的に設けられている点で
異なる。
【0227】この場合、前記ブロック部位70の存在に
より、第1の板状部6と第2の板状部8における境界部
分の強度を大きくすることができ、しかも、支持部76
に音叉体78を一体的に有する構成としていることか
ら、検出精度の向上において有利になる。
【0228】次に、図55に示す第41の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図52に示す第39の具体例
に係る振動ジャイロ・センサと同様の構成を有するが、
取付部76が矩形状の枠体(以下、取付枠部80と記
す)である点で異なり、支持部76は、前記取付枠部8
0における枠内壁面の一方の短辺を基端として、取付枠
部80の長辺に平行に延びるように一体に形成されてい
る。
【0229】この場合、検出精度の向上を図ることがで
き、また、取付部を取付枠部80としていることから、
取付けの自由度や剛性等の点で実用上、好ましい。
【0230】次に、図56に示す第42の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図55に示す第41の具体例
に係る振動ジャイロ・センサと同様の構成を有するが、
前記第1の板状部6と前記第2の板状部8間にそれぞれ
厚肉のブロック部位70が一体的に設けられている点で
異なる。
【0231】この場合、前記ブロック部位70の存在に
より、第1の板状部6と第2の板状部8における境界部
分の強度を大きくすることができ、しかも、取付枠部8
0を用いていることから、実装上及び剛性上において有
利になる。
【0232】次に、図57に示す第43の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図55に示す第41の具体例
に係る振動ジャイロ・センサと同様の構成を有するが、
図48に示すように、前記第1の板状部6の裏面に複数
の凹部72が形成され、該第1の板状部6の上面中、前
記複数の凹部72に対応した位置に検出用圧電/電歪素
子12が島状に形成されている点で異なる。図57の例
では、凹部72の外形並びに検出用圧電/電歪素子12
の平面形状を共に円形とした例を示している。
【0233】この場合、検出精度の向上を図ることがで
きると同時に、大きな検出出力を得ることができ、感度
の向上を図ることができる。
【0234】次に、図58に示す第44の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図57に示す前記第43の具
体例に係る振動ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有す
るが、前記第1の板状部6と前記第2の板状部8間にそ
れぞれ厚肉のブロック部位70が一体的に設けられてい
る点で異なる。
【0235】この場合、前記ブロック部位70の存在に
より、第1の板状部6と第2の板状部8における境界部
分の強度を大きくすることができ、しかも、大きな出力
を得ることができることから、高信頼性及び感度の向上
において有利となる。
【0236】前記第43及び第44の具体例に係る振動
ジャイロ・センサにおいては、第1の板状部6の上面に
平面ほぼ円形状の検出用圧電/電歪素子12を島状に形
成した例を示したが、その他、図59及び図60に示す
ように、前記凹部72(図48参照)の外形並びに検出
用圧電/電歪素子12を共に四角形状としてもよい(第
45及び第46の具体例)。この場合も、前記凹部72
や検出用圧電/電歪素子12の平面形状としては、前記
円形や四角形のほか、ひし形等も考えられ、形状上の限
定はない。
【0237】前記第31〜第46の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサにおいては、第2の板状部8間に、上面
に駆動用圧電/電歪素子14が形成された駆動部(第3
の板状部)10を有する駆動手段122を一体的に設け
るようにしたが、その他、図61に示すように、振動子
2の振動を一定に保つために、駆動部10とは別の位置
に設けられた参照手段140からの信号を前記駆動手段
122にフィードバックする機構を採用するようにして
もよい。
【0238】即ち、図61に示す第47の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、前記第34の具体例に係る振
動ジャイロ・センサ(図46参照)において、2本の第
2の板状部8間に前記駆動手段122と並列に参照手段
140が設けられた構成を有する。
【0239】参照手段140は、前記駆動手段122と
ほぼ同様の構成を有し、高さ方向において薄肉とされた
板状の参照部(第4の板状部)144と、該参照部14
4上に形成された参照用圧電/電歪素子142とを有す
る。参照部144は、前記駆動部10と同様にセラミッ
クスにて一体に形成される。参照部144と駆動部10
との配置関係は、第2の板状部8間のうち、枠体80に
近接する箇所に駆動部10が一体に形成され、駆動部1
0から僅かに第1の板状部6寄りの箇所に参照部144
が一体に形成される。
【0240】そして、第2の板状部8間に形成された駆
動手段122の振動が一定となるように、参照手段14
0における参照用圧電/電歪素子142からの信号が駆
動用圧電/電歪素子14にフィードバックされる。
【0241】図62に示すように、駆動手段122への
駆動信号の供給は、駆動用圧電/電歪素子14の上下に
形成された上部電極及び下部電極(共に図示せず)に接
続されるリード線200a及び200bを通じて行わ
れ、参照手段140からの参照信号の取り出しは、参照
用圧電/電歪素子142の上下に形成された上部電極及
び下部電極(共に図示せず)に接続されるリード線20
2a及び202bを通じて行われる。
【0242】また、第1の板状部6上に形成された検出
用圧電/電歪素子12からの検出信号の取り出しは、該
検出用圧電/電歪素子12の上下に形成された上部電極
及び下部電極(共に図示せず)に接続されるリード線2
04a及び204bを通じて行われる。
【0243】以下、前記参照手段140が形成されたそ
の他の具体例について説明する。まず、図63に示す第
48の具体例に係る振動ジャイロ・センサは、図49に
示す第36の具体例に係る振動ジャイロ・センサにおい
て、2本の第2の板状部8間に前記駆動手段122と並
列に参照手段140が設けられた構成を有する。
【0244】この場合、図64に示すように、島状に形
成された複数の検出用圧電/電歪素子12における各上
部電極とリード線204aとがそれぞれ中継導体206
aを介して電気的に接続され、複数の検出用圧電/電歪
素子12における各下部電極とリード線204bとがそ
れぞれ中継導体206bを介して電気的に接続された構
成を有し、これらリード線204a及び204bを通じ
て検出用圧電/電歪素子12からの検出信号が取り出さ
れることになる。
【0245】次に、図65に示す第49の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、第39の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサ(図52参照)において、前記支台4の
振動子2を臨む側面のほぼ中央部分に端部が自由端とさ
れた中継部(第6の板状部)208が一体的に設けら
れ、一方の第2の板状部8と中継部208との間に駆動
手段122が一体的に設けられ、更に他方の第2の板状
部8と中継部208との間に前記参照手段140が一体
的に設けられた構成を有する。
【0246】これは、支持部76(第5の板状部)が音
叉体78の線対称の位置にほぼ一致させて支台4と取付
部74との間に形成されていることから、2本の第2の
板状部8のうちの1本を振動させて、対応する振動子2
を振動させると、他方の振動子2も同じ振動数で振動す
るという性質を利用したものである。
【0247】従って、駆動手段122の駆動によって一
方の振動子2が振動すると、他方の振動子2も同じ振動
数で振動するため、参照手段140にて取り出される信
号によって、駆動手段122の振動が一定となるように
フィードバックすることが可能となる。
【0248】次に、図66に示す第50の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、第39の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサ(図52参照)において、前記支台4の
振動子2を臨む側面の長手方向両端の位置にそれぞれ端
部が自由端とされた複数の中継部210a及び210b
が一体的に設けられ、一方の第2の板状部8と一方の中
継部210aとの間に駆動手段122が一体的に設けら
れ、他方の第2の板状部8と他方の中継部210bとの
間に参照手段140が一体的に設けられた構成を有す
る。
【0249】この場合も、駆動手段122の駆動によっ
て一方の振動子2が振動すると、他方の振動子2も同じ
振動数で振動するため、参照手段140にて取り出され
る信号によって、駆動手段122の振動が一定となるよ
うにフィードバックすることが可能となる。
【0250】前記第49及び第50の具体例に係る振動
ジャイロ・センサにおいては、音叉体78をブロック形
状の取付部74に一体的に設けた構成としたが、その
他、図67及び図68に示す第51及び第52の具体例
に係る振動ジャイロ・センサのように、前記取付部74
を矩形状の枠体(取付枠部)80としてもよい。
【0251】この場合、参照手段140にて駆動手段1
22の振動が一定となるようにフィードバック制御で
き、また、取付部を取付枠部80としていることから、
取付けの自由度や剛性等の点で有利となる。
【0252】次に、図69に示す第52の具体例に係る
振動ジャイロ・センサは、図56に示す第42の具体例
に係る振動ジャイロ・センサとほぼ同じ構成を有する
が、支持部76が以下のように構成されている点で異な
る。
【0253】即ち、前記支持部76は、取付枠部80の
内壁面のうち、振動子2の延在方向に沿う一対の内壁面
の間を橋絡するように、かつ、図70A及び図70Cに
示すように、振動子2を上方に臨むように一体に架設さ
れた第1の支持部212と、該第1の支持部212と支
台4との間を橋絡するように、かつ、図70Bに示すよ
うに、駆動手段122を上方に臨むように一体に架設さ
れた第2の支持部214を有して構成されている。
【0254】上述したように、音叉体78の支持棒を長
くすることは、必要なモードと不要なモードの差別化を
より明確にすることができることから、センサの検出精
度を向上させる上で好適であるが、前記第42の具体例
に係る振動ジャイロ・センサ(図56参照)において
は、支台4と取付枠部80との間に第5の板状部にて構
成された支持部76が一体に設けられた構成を有するた
め、支持部76を長くすると、センサの全長もそれに合
わせて長くなり、支持部76の延長化には限界がある。
【0255】これに対して、前記第53の具体例に係る
振動ジャイロ・センサにおいては、実質的に音叉体78
の支持棒と同様の機能を有する第2の支持部214が、
2本の第2の板状部8と並列に設けられて、これら第2
の板状部8と同じ方向に延在する形となるため、第2の
支持部8の長さを長くしても、センサの全長はある範囲
まで変わらずに済ませることができる。そのため、第2
の支持部8の延長化を図ることが可能となり、検出精度
の向上を更に実現させることができる。
【0256】前記第1及び第2の支持部212及び21
4の構成は、その他、例えば図71及び図72に示すよ
うに、駆動手段122と参照手段140を有する振動ジ
ャイロ・センサにも適用させることができる。
【0257】図71に示す第54の具体例に係る振動ジ
ャイロ・センサは、図67に示す第51の振動ジャイロ
・センサの支持部76の代わりに前記第1及び第2の支
持部212及び214が設けられた構成を有し、図72
に示す第55の具体例に係る振動ジャイロ・センサは、
図68に示す第52の振動ジャイロ・センサの支持部7
6の代わりに前記第1及び第2の支持部212及び21
4が設けられた構成を有する。
【0258】ところで、このようなセラミックスの一体
焼成体にて構成される振動ジャイロ・センサは、図2に
示すように、薄板層22と基板層24とスペーサ層26
との一体積層体として構成することができるが、図73
に示すように、薄板層22と基板層24との間に、更に
1層(中間層)216を介在させて構成することもでき
る。
【0259】この中間層216の厚みとしては、1μm
〜500μmが使用でき、好ましくは10μm〜400
μm、更に好ましくは50μm〜300μmである。厚
みが500μmを越えると、曲がりにくくなるため、感
度が低下する。また、1μmよりも薄いと強度が低く破
損しやすいという問題がある。そのため、中間層216
の厚みとして、前記範囲を採用することが好ましい。
【0260】前記中間層216の形成は、ブロック形状
の振動子2を薄肉の第1の板状部6で支持するタイプの
もの(図1、図4〜図18、図38〜図41参照)や、
4つのブロック形状の振動子102A〜102Dが一体
に設けられた支台100を薄肉の板状部116にて支持
するタイプのもの(図22、図24〜図37参照)にお
ける強度の確保及び感度の向上を図る上で好ましい。
【0261】また、図42〜図72に示す第31〜第5
5の具体例に係る振動ジャイロ・センサのように、薄肉
の第1の板状部6にて振動子2が構成されたタイプのも
のについても、前記中間層216を介在させることによ
って、強度の確保及び感度の向上を図る上で有利にな
る。図74〜図76に、その例を示す。
【0262】図74に示す例は、図45に示す第33の
具体例に係る振動ジャイロ・センサを構成する薄板層2
2と基板層24の間に中間層216を介在させた状態を
示すものであり、薄板層22を加工することによって、
枠体32の上面部分32a、第1の板状部6の上部分6
a、第2の板状部8の上端部分8a並びに第3の板状部
10を一体に形成し、中間層216を加工することによ
って、枠体32の上面部分を除く上部分32b、第1の
板状部6の下部分6b、第2の板状部8の上端部分を除
く上部分8bを一体に形成し、基板層24を加工するこ
とによって、枠体32の残りの部分32c及び第2の板
状部8の残りの部分8cを一体に形成し、これらを積層
一体化させて焼成することにより、前記第33の具体例
に係る振動ジャイロ・センサが作製されることになる。
【0263】図75に示す例は、図46に示す第34の
具体例に係る振動ジャイロ・センサを構成する薄板層2
2と基板層24の間に中間層216を介在させた状態を
示すものであり、薄板層22を加工することによって、
枠体32の上面部分32a、第1の板状部6の上部分6
a、第2の板状部8の上端部分8a並びに第3の板状部
10を一体に形成し、中間層216を加工することによ
って、枠体32の上面部分を除く上部分32b、第1の
板状部6の下部分6b、第2の板状部8の上端部分を除
く上部分8bを一体に形戒し、基板層24を加工するこ
とによって、枠体32の残りの部分32c、第2の板状
部8の残りの部分8c並びにブロック部位70を一体に
形成し、これらを積層一体化させて焼成することによ
り、前記第34の具体例に係る振動ジャイロ・センサが
作製されることになる。
【0264】図76に示す例は、図47に示す第35の
具体例に係る振動ジャイロ・センサを構成する薄板層2
2と基板層24の間に中間層216を介在させた状態を
示すものであり、薄板層22を加工することによって、
枠体32の上面部分32a、第1の板状部6の上部分6
a、第2の板状部8の上端部分8a並びに第3の板状部
10を一体に形成し、中間層216を加工することによ
って、枠体32の上面部分を除く上部分32b、複数の
孔218(薄板層22と共に図48に示す凹部72を構
成する)が形成された第1の板状部6の下部分6b、第
2の板状部8の上端部分を除く上部分8bを一体に形成
し、基板層24を加工することによって、枠体32の残
りの部分32c及び第2の板状部8の残りの部分8cを
一体に形成し、これらを積層一体化させて焼成すること
により、前記第35の具体例に係る振動ジャイロ・セン
サが作製されることになる。
【0265】このように、第1〜第55の具体例に係る
振動ジャイロ・センサにおいては、振動子2(又は10
2)、支台4(又は100)、取付枠部(30、36、
38)、枠体32(又は104)等の全体が酸化ジルコ
ニアをはじめとするセラミックス(非導電性物質)の一
体焼成体にて構成されているため、外部配線をこれらの
上に膜形成法により直接配線形成することができるとい
う利点に加えて、圧電/電歪素子(12、14、11
8、120、142)の電極の形成にスクリーン印刷等
の膜形成法を用いており、圧電/電歪素子(12、1
4、118、120、142)の電極の形成と同時に、
これらの電極への配線を振動特性に影響を与えない枠部
(枠体104)まで行うことができるという利点を有
し、振動ジャイロ・センサの製造の容易性、歩留まりの
向上を実現させることができる。
【0266】なお、図示した振動ジャイロ・センサの各
具体例では、何れも、薄肉の第2の板状部8は、平板状
をもって示されているが、必ずしも平板状のものに限定
されるものではなく、振動子をその所望の振動方向に容
易に振動させるために剛性が低くなるような構造であれ
ばよく、その一部をくびれさせたような形状のものであ
っても、何等差し支えないことは、言うまでもないとこ
ろである。
【0267】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る振動ジャイロ・センサにあっては、その全体がセ
ラミックスの一体焼成体にて構成され、磁性体材料は何
等用いられていないところから、その特性に対する周囲
の磁場による影響を全く顧慮する必要がなく、設置場所
の制限等を受けることは全くないのであり、また第1の
板状部及び第2の板状部にて、振動子の検出方向及び駆
動方向において、大変位が得られ、且つ圧電/電歪素子
と振動子とが直接接する一体的構造とされているところ
から、大出力が効果的に得られるのであり、また、応力
の吸収による感度の低下の原因も効果的に解消され得
て、高感度のセンサが有利に提供され得ることとなった
のである。
【0268】また、本発明に係る複合センサにあって
は、一素子につき一機能しか有しない従来のセンサとは
異なり、振動ジャイロ・センサに隣接して、他のセンサ
を一体的に設けることが極めて容易となるのであり、例
えば、振動ジャイロと加速度センサを同時に一つの素子
(集積センサ)とする構造を容易に実現することができ
るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好ましい
第1の具体例を示す斜視説明図である。
【図2】図1に示される振動ジャイロ・センサの分解斜
視説明図である。
【図3】図1に示される振動ジャイロ・センサにおける
第1の板状部の部分を拡大して示す部分斜視説明図であ
る。
【図4】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好ましい
第2の具体例を示す斜視説明図である。
【図5】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好ましい
第3の具体例を示す斜視説明図である。
【図6】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好ましい
第4の具体例を示す斜視説明図である。
【図7】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好ましい
第5の具体例を示す斜視説明図である。
【図8】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好ましい
第6の具体例を示す斜視説明図である。
【図9】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好ましい
第7の具体例を示す斜視説明図である。
【図10】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第8の具体例を示す斜視説明図である。
【図11】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第9の具体例を示す斜視説明図である。
【図12】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第10の具体例を示す斜視説明図である。
【図13】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第11の具体例を示す斜視説明図である。
【図14】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第12の具体例を示す斜視説明図である。
【図15】本発明に係る複合センサの好ましい一例を示
す斜視説明図である。
【図16】本発明に係る複合センサの好ましい他の一例
を示す斜視説明図である。
【図17】図1に示される第1の具体例に係る振動ジャ
イロ・センサの製造工程の一例を示す説明図である。
【図18】図7に示される第5の具体例に係る振動ジャ
イロ・センサの製造工程の一例を示す説明図である。
【図19】電界誘起歪みの縦効果を用いるタイプの電極
構造を拡大して示す斜視図である。
【図20】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第13の具体例を示す斜視説明図である。
【図21】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第14の具体例を示す斜視説明図である。
【図22】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第15の具体例を示す斜視説明図である。
【図23】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第16の具体例を示す斜視説明図である。
【図24】第15の具体例に係る振動ジャイロ・センサ
において、共振周波数の調整に供される張出し部の構成
の一例を示す斜視説明図である。
【図25】第15の具体例に係る振動ジャイロ・センサ
において、共振周波数の調整に供される張出し部の構成
の他の例を示す斜視説明図である。
【図26】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第17の具体例を示す斜視説明図である。
【図27】第17の具体例に係る振動ジャイロ・センサ
において、駆動部及び検出部のバネ定数を変えることに
よって駆動側及び検出側の共振周波数を調整する構造の
一例を示す斜視説明図である。
【図28】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第18の具体例を示す斜視説明図である。
【図29】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第19の具体例を示す斜視説明図である。
【図30】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第20の具体例を示す斜視説明図である。
【図31】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第21の具体例を示す斜視説明図である。
【図32】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第22の具体例を示す斜視説明図である。
【図33】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第23の具体例を示す斜視説明図である。
【図34】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第24の具体例を示す斜視説明図である。
【図35】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第25の具体例を示す斜視説明図である。
【図36】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第26の具体例を示す斜視説明図である。
【図37】第17の具体例に係る振動ジャイロ・センサ
において、圧電/電歪素子における一対の電極から導出
される配線形成パターンの一例を示す斜視説明図であ
る。
【図38】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第27の具体例を示す斜視説明図である。
【図39】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第28の具体例を示す斜視説明図である。
【図40】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第29の具体例を示す斜視説明図である。
【図41】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第30の具体例を示す斜視説明図である。
【図42】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第31の具体例を示す斜視説明図である。
【図43】図42のA−A線上の断面図である。
【図44】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第32の具体例を示す斜視説明図である。
【図45】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第33の具体例を示す斜視説明図である。
【図46】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第34の具体例を示す斜視説明図である。
【図47】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第35の具体例を示す斜視説明図である。
【図48】図47のB−B線上の断面図である。
【図49】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第36の具体例を示す斜視説明図である。
【図50】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第37の具体例を示す斜視説明図である。
【図51】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第38の具体例を示す斜視説明図である。
【図52】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第39の具体例を示す斜視説明図である。
【図53】音叉体を支持する支持棒の長さによる共振角
周波数比の変化を示す特性図である。
【図54】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第40の具体例を示す斜視説明図である。
【図55】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第41の具体例を示す斜視説明図である。
【図56】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第42の具体例を示す斜視説明図である。
【図57】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第43の具体例を示す斜視説明図である。
【図58】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第44の具体例を示す斜視説明図である。
【図59】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第45の具体例を示す斜視説明図である。
【図60】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第46の具体例を示す斜視説明図である。
【図61】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第47の具体例を示す斜視説明図である。
【図62】第47の具体例に係る振動ジャイロ・センサ
におけるリード線の引き出し部分の構成を示す拡大図で
ある。
【図63】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第48の具体例を示す斜視説明図である。
【図64】第48の具体例に係る振動ジャイロ・センサ
におけるリード線の引き出し部分の構成を示す拡大図で
ある。
【図65】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第49の具体例を示す斜視説明図である。
【図66】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第50の具体例を示す斜視説明図である。
【図67】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第51の具体例を示す斜視説明図である。
【図68】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第52の具体例を示す斜視説明図である。
【図69】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第53の具体例を示す斜視説明図である。
【図70】図70Aは図69のC−C線上の断面図であ
り、図70Bは図69のD−D線上の断面図であり、図
70Cは図69のE−E線上の断面図である。
【図71】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第54の具体例を示す斜視説明図である。
【図72】本発明に係る振動ジャイロ・センサの好まし
い第55の具体例を示す斜視説明図である。
【図73】図1に示される第1の具体例に係る振動ジャ
イロ・センサにおける他の構成の分解斜視説明図であ
る。
【図74】図45に示される第33の具体例に係る振動
ジャイロ・センサの分解斜視説明図である。
【図75】図46に示される第34の具体例に係る振動
ジャイロ・センサの分解斜視説明図である。
【図76】図47に示される第35の具体例に係る振動
ジャイロ・センサの分解斜視説明図である。
【符号の説明】
2…振動子 4…支台 6…第1の板状部 8…第2の
板状部 10…第3の板状部 12…検出
用圧電/電歪素子 14…駆動用圧電/電歪素子 122…駆
動手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 孝生 愛知県西春日井郡西枇杷島町泉町40番地 サンコート西枇杷島2号棟401号室 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 19/56 G01P 9/04

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動用圧電/電歪素子が設けられた駆動手
    段にて励振振動せしめられる振動子の少なくとも一つ
    と、 前記振動子を基端側において支持する支台と、 前記振動子が回転したときに、該振動子の振動方向に対
    して垂直な方向に生じる変位を検出する検出用圧電/電
    歪素子が設けられた検出部とを有する振動ジャイロ・セ
    ンサにおいて、 前記振動子は、前記支台と共にセラミックスの一体焼成
    体にて構成されると共に、前記支台よりも薄肉で、か
    つ、その主面が前記振動方向に延びる第1の板状部で構
    成され、 前記検出部は、前記第1の板状部と、該第1の板状部上
    に膜形成法によって一体的に形成された前記検出用圧電
    /電歪素子とを有して構成され、 前記振動子に対して、前記振動方向における剛性を低下
    させて振動を容易にするための薄肉の第2の板状部が、
    その主面が前記振動方向に対して垂直な方向に延びるよ
    うに一体的に設けられ、 前記駆動手段は、前記支台よりも薄肉とされ、かつ、そ
    の主面が前記第1の板状部の主面に平行な方向に延びる
    第3の板状部を有し、 前記第3の板状部は、前記第2の板状部と一体のセラミ
    ック焼成体にて構成されていることを特徴とする振動ジ
    ャイロ・センサ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の振動ジャイロ・センサにお
    いて、 前記振動子の2つが互いに平行に前記支台に支持され、
    かつ、前記各第2の板状部間に前記駆動手段が配設され
    て、該駆動手段にて該2つの振動子が互いに逆方向に励
    振振動されるようになっていることを特徴とする振動ジ
    ャイロ・センサ。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の振動ジャイロ・セン
    サにおいて、 前記駆動手段は、 前記第3の板状部上に膜形成法にて一体的に形成された
    駆動用圧電/電歪素子を有することを特徴とする振動ジ
    ャイロ・センサ。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動
    ジャイロ・センサにおいて、 前記検出用圧電/電歪素子は、前記第1の板状部の表面
    におけるほぼ全面に一体的に形成されていることを特徴
    とする振動ジャイロ・センサ。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の振動
    ジャイロ・センサにおいて、 前記第1の板状部は、その裏面に複数の凹部を有し、 前記第1の板状部の表面中、前記複数の凹部に対応した
    位置に前記検出用圧電/電歪素子が島状に形成されてい
    ることを特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の振動
    ジャイロ・センサにおいて、 前記第1の板状部と前記第2の板状部間に厚肉のブロッ
    ク部位が一体的に設けられていることを特徴とする振動
    ジャイロ・センサ。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動
    ジャイロ・センサにおいて、 前記支台は、前記振動子を取り囲むように、前記振動子
    の外側に所定距離を隔てて位置する枠体にて構成されて
    いることを特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載の振動
    ジャイロ・センサにおいて、 前記駆動手段は、前記各第2の板状部間に一体的に設け
    られていることを特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  9. 【請求項9】請求項6又は7記載の振動ジャイロ・セン
    サにおいて、 前記駆動手段は、前記各ブロック部位間に一体的に設け
    られていることを特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  10. 【請求項10】請求項7記載の振動ジャイロ・センサに
    おいて、 前記駆動手段は、前記ブロック部位と前記枠体との間に
    一体的に設けられていることを特徴とする振動ジャイロ
    ・センサ。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれか1項に記載の
    振動ジャイロ・センサにおいて、 前記駆動手段の振動が一定となるようにフィードバック
    制御するための参照手段を有することを特徴とする振動
    ジャイロ・センサ。
  12. 【請求項12】請求項11記載の振動ジャイロ・センサ
    において、 前記参照手段は、その高さ方向について前記支台よりも
    薄肉とされ、かつ前記振動子と共にセラミックスの一体
    焼成体にて構成された第4の板状部と、前記第4の板状
    部上に形成された参照用の圧電/電歪素子を有すること
    を特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  13. 【請求項13】請求項11又は12記載の振動ジャイロ
    ・センサにおいて、 前記参照手段は、前記各第2の板状部間に一体に設けら
    れていることを特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  14. 【請求項14】請求項11〜13のいずれか1項に記載
    の振動ジャイロ・センサにおいて、 前記各第2の板状部のうち、一方の板状部に前記駆動手
    段が一体的に設けられ、他方の板状部に前記参照手段が
    一体的に設けられていることを特徴とする振動ジャイロ
    ・センサ。
  15. 【請求項15】請求項14記載の振動ジャイロ・センサ
    において、 前記支台の振動部を臨む側面のほぼ中央部分に端部が自
    由端とされた中継部が一体的に設けられ、前記一方の第
    2の板状部と前記中継部との間に前記駆動手段が一体的
    に設けられ、前記他方の第2の板状部と前記中継部との
    間に前記参照手段が一体的に設けられていることを特徴
    とする振動ジャイロ・センサ。
  16. 【請求項16】請求項14記載の振動ジャイロ・センサ
    において、 前記支台の振動部を臨む側面の幅方向両端の位置にそれ
    ぞれ端部が自由端とされた複数の中継部が一体的に設け
    られ、前記一方の第2の板状部と一方の中継部との間に
    前記駆動手段が一体的に設けられ、前記他方の第2の板
    状部と他方の中継部との間に前記参照手段が一体的に設
    けられていることを特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  17. 【請求項17】請求項1〜16のいずれか1項に記載の
    振動ジャイロ・センサにおいて、 前記支台の前記第2の板状部が形成されている面とは反
    対の面に、該支台を固定するための取付部が一体に設け
    られ、 前記支台と前記取付部との間に、前記支台の幅方向に対
    して薄肉とされた第5の板状部が一体的に設けられ、 少なくとも前記支台と前記振動子にて音叉体が構成され
    ていることを特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  18. 【請求項18】請求項17記載の振動ジャイロ・センサ
    において、 前記取付部は、前記音叉体を取り囲むように、前記音叉
    体の外側に所定距離を隔てて位置する取付枠部にて構成
    されていることを特徴とする振動ジャイロ・センサ。
  19. 【請求項19】請求項18記載の振動ジャイロ・センサ
    において、 前記取付枠部の内壁面のうち、前記振動子の延在方向に
    沿う一対の内壁面の間を橋絡するように、かつ前記振動
    子を上方に臨むように支持部が一体に架設され、 前記第5の板状部は、前記支持部と前記支台との間に一
    体に設けられていることを特徴とする振動ジャイロ・セ
    ンサ。
  20. 【請求項20】振動ジャイロ・センサを含む複合センサ
    において、 前記振動ジャイロ・センサは、 駆動用圧電/電歪素子が設けられた駆動手段にて励振振
    動せしめられる振動子の少なくとも一つと、 前記振動子を基端側において支持する支台と、 前記振動子が回転したときに該振動子の振動方向に対し
    て垂直な方向に生じる変位を検出する検出用圧電/電歪
    素子が設けられた検出部とを有し、 前記検出部が前記振動子及び前記支台と共に、セラミッ
    クスの一体焼成体にて構成されると共に、前記振動子よ
    りも薄肉でその主面が前記振動方向に延びる第1の板状
    部にて構成され、 前記第1の板状部上に前記検出用圧電/電歪素子が膜形
    成法によって一体的に形成され、 前記振動子に対して、前記振動方向における剛性を低下
    させて振動を容易にするための薄肉の第2の板状部が、
    その主面が前記振動方向に対して垂直な方向に延びるよ
    うに一体的に設けられ、 前記支台が、前記振動子を取り囲むように、該振動子の
    外側に所定距離を隔てて位置する取付枠部にて構成さ
    れ、 前記駆動手段が、前記支台よりも薄肉とされ、かつ、そ
    の主面が前記第1の板状部の主面に平行な方向に延びる
    第3の板状部を有し、 前記取付枠部と前記振動子との間に、前記駆動手段が一
    体的に設けられてなり、 前記振動ジャイロ・センサにおける前記取付枠部に隣接
    して、該取付枠部と一体の第2の取付枠部が設けられ、 前記第2の取付枠部内に、前記振動ジャイロ・センサと
    は異なる機能を有する他のセンサが一体的に支持されて
    なることを特徴とする複合センサ。
  21. 【請求項21】振動ジャイロ・センサを含む複合センサ
    において、 前記振動ジャイロ・センサは、 互いに平行に位置され、かつ、駆動用圧電/電歪素子に
    よって互いに励振振動せしめられる2つの振動子と、 これら振動子を取り囲み、これら振動子を基端側におい
    て支持する枠体と、 前記振動子が回転したときに前記振動子の振動方向に対
    して垂直な方向に生じる変位を検出する検出用圧電/電
    歪素子が設けられた検出部とを有し、 前記検出部が、前記振動子及び前記枠体と共に、セラミ
    ックスの一体焼成体にて構成されると共に、前記振動子
    よりも薄肉で、かつ、その主面が前記振動方向に延びる
    第1の板状部にて構成され、 前記第1の板状部上に前記検出用圧電/電歪素子が膜形
    成法によって一体的に形成され、 前記枠体の前記2つの振動子の支持部位間に位置する部
    分に対して、前記振動方向における剛性を低下させて振
    動を容易にするための薄肉の第2の板状部が、その主面
    が前記振動方向に対して垂直な方向に延びるように一体
    的に形成され、 前記第2の板状部の形成部位に対向する前記枠体の部分
    が、その主面が前記第1の板状部の主面に対して平行な
    方向に延びるように、前記枠体よりも薄肉の第3の板状
    部とされ、 前記第3の板状部上に、前記駆動用圧電/電歪素子が膜
    形成法にて一体的に形成され、 前記駆動用圧電/電歪素子による前記枠体の振動に基づ
    いて、前記2つの振動子が励振振動されるように構成さ
    れ、 前記枠体の前記第2の板状部の形成部位の外面に、該枠
    体を固定するための取付部が一体的に形成され、 前記取付部が、前記枠体を取り囲むように、該枠体の外
    側に所定距離を隔てて位置する取付枠部一体的に有し
    てなり、 前記振動ジャイロ・センサにおける前記取付枠部に隣接
    して、該取付枠部と一体の第2の取付枠部が設けられ、 前記第2の取付枠部内に、前記振動ジャイロ・センサと
    は異なる機能を有する他のセンサが一体的に支持されて
    なることを特徴とする複合センサ。
  22. 【請求項22】互いに平行に位置され、かつ、駆動用圧
    電/電歪素子によって互いに励振振動せしめられる2つ
    の振動子と、 これら振動子を基端側において支持する支台と、 前記振動子が回転したときに該振動子の振動方向に対し
    て垂直な方向に生じる変位を検出する検出用圧電/電歪
    素子が設けられた検出部とを有する振動ジャイロ・セン
    サを具備した複合センサにおいて、 前記検出部は、前記振動子及び前記支台と共に、セラミ
    ックスの一体焼成体にて構成されると共に、前記振動子
    よりも薄肉で、かつ、その主面が前記振動方向に延びる
    第1の板状部にて構成され、 前記第1の板状部上に前記検出用圧電/電歪素子膜形
    成法によって一体的に形成され、 前記支台の前記2つの振動子の支持部位間に位置する部
    分に対して、前記振動方向における剛性を低下させて振
    動を容易にするための薄肉の第2の板状部が、その主面
    が前記振動方向に対して垂直な方向に延びるように一体
    的に形成され、 前記第2の板状部の形成部位の外面に一体的に連結さ
    れ、前記2つの振動子及び支台を取り囲むように、それ
    らの外側に所定距離を隔てて位置する取付枠部を備えた
    取付部が設けられ、 前記取付枠部と前記第2の板状部の両側に位置する支台
    部分との間をそれぞれ橋絡するように、かつ、その主面
    が前記第1の板状部の主面に対して平行な方向に延びる
    ように、前記支台よりも薄肉の第3の板状部が一体的に
    形成され、 前記第3の板状部上に前記駆動用圧電/電歪素子が膜形
    成法にて一体的に形成され、 前記駆動用圧電/電歪素子による前記支台の振動に基づ
    いて、前記2つの振動子が励振振動されるように構成さ
    れた前記振動ジャイロ・センサにおける前記取付枠部に
    隣接して、該取付枠部と一体の第2の取付枠部が設けら
    れ、前記第2の取付枠部内に、前記振動ジャイロ・セン
    サとは異なる機能を有する他のセンサが一体的に支持さ
    れていることを特徴とする複合センサ。
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