JP2003057035A - 振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法 - Google Patents

振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法

Info

Publication number
JP2003057035A
JP2003057035A JP2001242600A JP2001242600A JP2003057035A JP 2003057035 A JP2003057035 A JP 2003057035A JP 2001242600 A JP2001242600 A JP 2001242600A JP 2001242600 A JP2001242600 A JP 2001242600A JP 2003057035 A JP2003057035 A JP 2003057035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibrating
piezoelectric
bodies
support
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001242600A
Other languages
English (en)
Inventor
Takafumi Koike
隆文 小池
Tetsuo Ootsuchi
哲郎 大土
Mitsuhiro Yamashita
光洋 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2001242600A priority Critical patent/JP2003057035A/ja
Publication of JP2003057035A publication Critical patent/JP2003057035A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gyroscopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工精度に優れ、高感度で、感度等の特性ば
らつきのきわめて小さい振動ジャイロおよび振動ジャイ
ロ素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 積層方向への分極の投影成分方向が互い
に逆方向となるように形成された2層の圧電体4a、4
bからなる、直方体形状の複数の振動体3と、少なくと
も1つの平面を有し、複数の振動体3の長手方向が互い
に平行となるように、複数の振動体3を平面上に設置し
ている支持体5と、振動体3の積層方向の対向する面に
形成された電極6、7と、複数の振動体3の屈曲振動を
励振させる駆動手段11と、振動体3に作用したコリオ
リ力を検出する検出手段14、15とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ビデオカ
メラやムービーの手振れ検知、バーチャルリアリティ装
置における動作検知、またはカーナビゲーションシステ
ムにおける方向検知に用いられる振動ジャイロおよび振
動ジャイロ素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の振動ジャイロとして、例えば、特
開2000−193458号公報に、音叉型の振動ジャ
イロが提案されている。従来の音叉型振動ジャイロにつ
いて、図を用いて説明する。
【0003】図15は、従来の振動ジャイロ素子を示す
斜視図である。図15において、101は振動ジャイロ
素子である。振動ジャイロ素子101は2つの振動体1
03と、その表裏主面にそれぞれ形成された駆動電極1
06、107および検出電極108と、支持体105に
よって構成されている。
【0004】振動体103は、圧電セラミックまたは高
弾性高比重の材料よりなる2枚の圧電体104a、10
4bをエポキシ樹脂で接合することによって形成され
る。このとき、2枚の圧電体104a、104bの分極
方向が、逆向きになるように積層配置されている。
【0005】駆動電極106、107は、振動体103
の上部表面上に、振動体103の幅方向に並んでいて、
振動体103の長手方向に延びるように形成される。一
方、検出電極108は、振動体103の裏面全面に形成
されている。
【0006】支持体105は、圧電体104a、104
bと同じ材料または高弾性高比重の材料で形成されてい
る。支持体5に形成された2個所の溝に、それぞれの振
動体103の一端が挿入され、エポキシ樹脂で接合され
る。
【0007】前述したように構成された従来の振動ジャ
イロ素子101は、回路基板(図示せず)等に固定され
ている。
【0008】このように構成された音叉型の振動ジャイ
ロ素子101に配線を施し、回路を接続することで振動
ジャイロが形成される。図16は、従来の振動ジャイロ
の回路構成を示す図である。従来の振動ジャイロでは、
駆動電極106、107間に発振回路111によって交
流電圧を与えて、それぞれ振動体103をY方向に振動
させる。その結果、それぞれの振動体103が開閉する
ように振動する。この状態で、振動体103の長手方向
(X方向)を中心軸として振動ジャイロを回転させる
と、2つの振動体103に振動方向(Y方向)と直交す
る向き(Z方向)にコリオリ力が働く。このコリオリ力
によって、振動体103の振動方向が変化する。検出電
極108によってコリオリ力に対応した信号が検出さ
れ、検出された信号を差動回路114、同期検波回路1
15、平滑回路116、直流増幅回路117によって変
換して、振動ジャイロに加わった回転角速度を出力す
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の振動ジャイロの
ように、振動体と支持体を別々に作って、組み立てるよ
りも、一体形成すれば、製造コストも低減でき、精度も
向上するが、加工時において、精度が低下するという問
題が生じる。
【0010】例えば、直方体の接合板に、直接切り込み
を入れれば、音叉形状の振動ジャイロ素子を一体形成す
ることができる。しかし、この方法では、振動子3の長
さ分の、深い溝を形成する必要がある。そのためには、
突出しの大きな刃を用いて加工しなけらばならないが、
突き出しが大きくなればなるほど、加工時の、刃の先端
の振れが大きくなる。そのため、振動子の加工精度が低
くなり、振動ジャイロの精度を上げることは難しい。
【0011】また、圧電体104a、104b間にはエ
ポキシ樹脂が介在しているため、エポキシ樹脂による振
動損失が生じ、感度低下を招いている。また、この樹脂
層の厚みのばらつきを抑制することは難しく、樹脂層の
厚みに応じて振動体103の振動速度が低下するため、
感度にばらつきが生じる。
【0012】また、振動体103と支持体105間にも
樹脂層が介在することから、支持固定状態にもばらつき
が生じ、共振周波数のばらつきや感度のばらつきを生じ
させる。
【0013】さらに、振動ジャイロ素子101を回路基
板等に固定する方法として、リフローはんだ付けを用い
た場合、圧電セラミックスの材料特性の劣化が生じて、
感度変化を招くおそれがある。
【0014】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、加工精度に優れ、高感度で、感度等の特性ばら
つきのきわめて小さい振動ジャイロおよび振動ジャイロ
素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の振動ジャイロ
は、積層方向への分極の投影成分方向が互いに逆方向と
なるように形成された2層の圧電体からなる、直方体形
状の複数の振動体と、少なくとも1つの平面を有し、前
記複数の振動体の長手方向が互いに平行となるように、
複数の前記振動体を前記平面上に設置している支持体
と、前記振動体の積層方向の対向する面に形成された電
極と、複数の前記振動体の屈曲振動を励振させる駆動手
段と、前記振動体に作用したコリオリ力を検出する検出
手段とを備える。それにより、突き出し量の小さい刃に
よって圧電体を容易に加工することができるため、加工
精度が高い。
【0016】また、好ましくは、前記振動体を構成する
前記圧電体間、および前記支持体と前記振動体間の両方
またはどちらかが、直接接合で接合されている。それに
より、接着層を介していないので、各接着層による感度
低下がない上に、振動体の支持固定状態が安定し、感度
ばらつきを小さくできる。
【0017】さらに、好ましくは、前記直接接合は、酸
素原子および水酸基の内、少なくとも1つを介して、前
記圧電体および前記支持体の構成原子が互いに結合する
ことにより接合される。
【0018】さらに、好ましくは、2層の前記圧電体の
内のどちらか一方と前記支持体が一体である。それによ
り、支持体と圧電体とを接合する手間が省けるため、容
易に製造できる。
【0019】さらに、好ましくは、前記支持体は、前記
振動体の長手方向の端部に設けられている。
【0020】さらに、好ましくは、前記支持体は、前記
振動体の長手方向の中央に設けられている。それによ
り、振動体の振動の対称性が高くなるため、高い共振の
先鋭度が得られ、高感度を実現できる。
【0021】さらに、好ましくは、少なくとも1つの前
記電極が駆動手段および検出手段で兼用して用いられて
いる。
【0022】さらに、好ましくは、前記支持体は角柱形
状であり、前記振動体が形成されていない前記支持体の
面のうち、少なくとも1つの面が固定面となる。
【0023】さらに、好ましくは、前記圧電体は、14
0±6°の回転Y板のニオブ酸リチウム、または、13
0±3°回転Y板のタンタル酸リチウムである。それに
より、電気―機械変換の効率が高く、精度の高い検出が
できる上、リフローはんだ付けを施しても特性が劣化し
ない。また、温度変化による感度変化を少なくできる。
【0024】また、本発明の他の振動ジャイロは、積層
方向への分極の投影成分方向が互いに逆方向となるよう
に形成された2層の圧電体からなる、直方体形状の複数
の振動体と、少なくとも1つの平面を有し、2つの前記
振動体の長手方向が互いに平行でないように、複数の前
記振動体を前記平面上に設置している支持体と、前記振
動体の積層方向の対向する面に形成された電極と、複数
の前記振動体の屈曲振動を励振させる駆動手段と、前記
振動体に作用した互いに異なる2つの回転軸に関するコ
リオリ力を検出する検出手段とを備える。それにより、
2軸の回転角速度を同時に検出することができる。
【0025】また、好ましくは、前記圧電体は、140
±6°の回転Y板のニオブ酸リチウム、または、130
±3°回転Y板のタンタル酸リチウムであり、2つの前
記振動体同士は、厚み、幅、長さの3つの寸法のうち少
なくとも1つが異なるように形成され、2つの前記振動
体の共振周波数が互いに異なる。それにより、ノイズを
防ぎ、高精度な検出ができる。
【0026】さらに、好ましくは、前記振動体を構成す
る前記圧電体間、および前記支持体と前記振動体間の両
方またはどちらかが、直接接合で接合されている。それ
により、接着層を介していないので、各接着層による感
度低下がない上に、振動体の支持固定状態が安定し、感
度ばらつきを小さくできる。
【0027】さらに、好ましくは、前記直接接合は、酸
素原子および水酸基の内、少なくとも1つを介して、前
記圧電体および前記支持体の構成原子が互いに結合する
ことにより接合される。
【0028】また、本発明の振動ジャイロ素子の製造方
法は、振動体を構成する2つの圧電体を分極の投影成分
方向が互いに逆方向となるようにして直接接合する工程
と、前記圧電体のうち一方の面に研削または切削加工で
凹部を設ける工程と、前記圧電体の表裏主面に電極を形
成する工程と、前記凹部が形成されていない面上に、研
削または切削加工で溝を設ける工程と、前記圧電体を分
割して、個々の振動ジャイロ素子とする工程とを備え
る。それにより、突出しの短い刃を用いて加工すること
ができるので、加工精度を高い振動ジャイロ素子を製造
できる。
【0029】また、好ましくは、前記圧電体は、140
±6°の回転Y板のニオブ酸リチウム、または、130
±3°回転Y板のタンタル酸リチウムである。それによ
り、電気―機械変換の効率が高く、精度の高い検出がで
き、また、温度変化による感度変化の少ない振動ジャイ
ロ素子を製造できる。
【0030】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明の実施の
形態1にかかる振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の
製造方法について、図面を用いて説明する。
【0031】図1は、本発明の実施の形態1にかかる振
動ジャイロ素子を示す斜視図である。図示しているよう
に、圧電素子1の長手方向をX軸とし、X軸方向から見
た場合の左右方向をY軸とし、上下方向をZ軸とする。
なお、これら座標軸の方向は、全図を通じて同一であ
る。
【0032】図1に示しているように、振動ジャイロ素
子1は、音叉型振動子2と支持基板10からなる。
【0033】音叉型振動子2は、2つの振動体3と、振
動体3の表裏主面に形成された電極6、7と、それぞれ
の振動体3の端部に固定されている支持体5からなる。
振動体3は支持体5の上部に設置されている。
【0034】振動体3は、直方体形状であり、幅、厚み
に比べて長さがある形状で、お互いに平行に配置されて
いる。振動体3は、単結晶の圧電体4a、4bが分極方
向が互いに対向するように直接接合された構造である。
また、圧電体4a、4bの結晶のX軸と振動体3の長手
方向は垂直とされる。
【0035】圧電体4a、4bは、主面に加えた電界に
より、横効果伸び振動が生ずるようなカットであればよ
く、例えば、140°回転Y板のニオブ酸リチウム(L
iNbO3)が用いられる。これは、ニオブ酸リチウム
(LiNbO3)において、横効果伸び振動に関わる圧
電定数が最大および最大値の5%低下となるカット角の
範囲は、回転Y板における回転角が140±6°のもの
であるためである。また、この範囲では、140°回転
Y板が入手しやすい。140°回転Y板のニオブ酸リチ
ウムを用いることで、電気―機械変換効率を高くでき
る。
【0036】なお、圧電体は、140°回転Y板のニオ
ブ酸リチウムに限るものではなく、カット角が140°
回転Y板以外のものであってもよく、圧電体4a、4b
としては、他に例えば、タンタル酸リチウム、水晶等で
もよい。
【0037】電極6は、振動体3の上部表面の全面に形
成されている。電極7は振動体3の裏面全面に形成され
ている。なお、図1においては、わかりやすくするため
に、電極6、7の厚みを誇張して図示している。実際に
は、このように厚いわけではない。以下の図面において
も、同様である。
【0038】支持体5は、振動体3を構成する圧電体4
bと一体形成されている。支持体5の上に、振動体3が
設置されている。
【0039】支持基板10には、音叉型振動子2が、支
持体5の裏面とエポキシ系接着剤で接着固定されてい
る。
【0040】次に本発明の実施の形態1にかかる振動ジ
ャイロ素子の製造方法について、図を用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態1の振動ジャイロ素子の製
造工程の説明図である。図2(a)、(b)、(c)、
(d)、(e)は工程順に並んでいる。
【0041】両方の圧電体4a、4bを、互いの分極方
向が対向するようにして直接接合する(図2(a))。
圧電体4a、4bとしては、例えば、厚さが約350μ
m、700μmで、両面が鏡面研磨された140°回転
Y板のニオブ酸リチウム単結晶を用いる。
【0042】次に、圧電体4b側の面を研削し、振動体
3の裏面に相当する凹部17を形成する(図2
(b))。
【0043】圧電体4a、4bの両側から真空蒸着法に
より電極を形成する。圧電体4a側には、全面に電極6
を形成し、圧電体4b側には、凹部17に電極7を形成
する。図において、電極6、7が形成されている箇所
は、ハッチングで示している(図2(c))。電極材と
しては、例えばNi層を下地にした金電極を用いる。な
お、電極材としては、例えば、金、クロム、銀や合金材
料でもよい。
【0044】次に、圧電体4a側の面に溝加工を施す。
例えば、突き出し量2mm、幅200μmの刃を用い、
横方向に深さ700μmで等間隔にダイシング加工を行
う。この深さは、凹部17まで達する量とする。つま
り、凹部17が形成された箇所は、貫通してしまい、そ
れ以外の箇所には、溝18が形成される(図2
(d))。凹部17が貫通することで、2つの振動体3
が形成される。形成する溝の深さは、振動体3の厚さ程
度でよく、刃の突き出しが小さくてすむため、精度の高
い加工ができる。
【0045】さらに、ダイシングソーを用いて図2
(d)の破線で示した切断線19に沿って、接合された
圧電体4a、4bを切断して、個々の音叉型振動子2に
分割する(図2(e))。
【0046】こうして製造された音叉型振動子2の支持
体5の裏面と支持基板10とをエポキシ系接着剤で接着
することで、振動ジャイロ素子1が完成する。なお、支
持基板10に音叉型振動子2をリフローはんだ付けで固
定してもよい。その場合であっても、ニオブ酸リチウム
のキュリー点はリフロー温度(およそ250℃)に比べ
て非常に高いため、リフローによる材料特性の劣化はな
い。
【0047】なお、音叉型振動子2の固定面は、支持体
5の裏面に限定されるわけではなく、振動体3が形成さ
れていない面であればよい。
【0048】ここで、圧電体4a、4bを接合するため
に用いた直接接合とは、接合したいものを鏡面研磨し、
その面同士を表面処理して、接触させることにより、接
着剤などの接着層を介さずに接合させることである。一
般的には、分子間力によって接合され、さらに熱処理を
施すことにより、共有結合やイオン結合などによる原子
レベルの強力な接合とされる。以下に、直接接合の原理
について具体例を用いて説明する。
【0049】図3は、直接接合の原理を説明する摸式図
である。図3(a)、(b)、(c)は、直接結合の工
程順となっている。図3中、L1、L2、L3は圧電体
4a、4b間の距離を示していて、L1>L2>L3の
関係が成り立っている。まず、2枚のニオブ酸リチウム
(LiNbO3)基板である圧電体4a、4bの両面を
鏡面研磨した。次いで、これらの圧電体4a、4bを、
洗浄液で洗浄することにより、親水化処理を施した。こ
の洗浄液としては、アンモニアと過酸化水素と水の混合
液(アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:6(容
量比))を用いた。この段階では、図3(a)に示すよ
うに、混合液で洗浄された圧電体4a、4bの表面は水
酸基(−OH基)で終端され、親水性になっている。
【0050】次に、図3(b)に示すように、親水化処
理を施した2枚の圧電体4a、4bを、分極軸の向きが
互いに逆方向となるようにして貼り合わせた。これによ
り、脱水が起こり、圧電体4aと圧電体4bは、−OH
重合や水素結合などの引力により引き合って接合され
る。
【0051】最後に、接合された圧電体4a、4bを4
50℃の温度で熱処理を施した。なお、ニオブ酸リチウ
ムのキュリー点は1210℃であり、これに近い温度履
歴によって特性が劣化するため、熱処理温度はこれ以下
であることが望ましい。
【0052】このようにして、図3(c)に示すよう
に、圧電体4aの構成原子と圧電体4bの構成原子との
間が酸素原子(O)を介して共有結合した状態となる。
このとき、圧電体4a、4bが原子レベルで強固に直接
接合されていて、接合の界面に接着剤などの接着層の存
在しない結合状態が得られる。
【0053】なお、他の直接接合としては、圧電体4a
の構成原子と圧電体4bの構成原子との間を水酸基を介
して共有結合する方法もある。
【0054】次に、上述した方法で製造された振動ジャ
イロ素子1を用いて構成された振動ジャイロについて図
を用いて説明する。図4に本発明の実施の形態1にかか
る振動ジャイロの駆動・検出回路構成図を示す。
【0055】発振回路11と一方の振動体3の電極6、
7とが接続され、他方の振動体3の電極6、7と差動増
幅回路14の入力端子とが接続されている。発振回路1
1により一方の振動体3の電極6、7間に、振動体3の
Y軸方向の共振周波数近傍に設定された周波数の交流信
号が印加される。音叉形状であるため、2つの振動体3
には、Y軸方向の開閉振動が励振される。この状態で、
振動体3に対してX軸を中心とした回転角速度を与える
と、コリオリ力が発生し、振動体3にはZ軸方向の屈曲
振動が生じる。この屈曲振動によって、他方の振動体3
の電極6、7に、発生する検出信号を、差動増幅回路1
4により差動増幅し、同期検波回路15により同期検波
し、検波された信号からコリオリ力に比例した出力信号
を得る。
【0056】また、振動ジャイロの他の回路構成を図5
に示す。図5の回路構成は、発振回路11と2つの振動
体3の電極6、7とが接続され、電極発振回路11と電
極6とが抵抗13を介して接続されている。また、2つ
の振動体3の各電極6は差動増幅回路14に接続されて
いる。
【0057】発振回路11により、振動体3がY軸方向
に振動するような交流信号が、電極6、7に印加される
と、振動体3がY軸方向に励振される。この状態で、コ
リオリ力が発生した場合には、振動体3にはZ軸方向の
屈曲振動が生じる。この屈曲振動によって、各振動体3
の電極6に発生する検出信号を差動増幅回路14により
差動増幅し、同期検波回路15により同期検波し、検波
された信号からコリオリ力に比例した出力信号を得る。
【0058】図4の回路では、駆動用と検出用の電極を
分けていたが、図5の回路では、電極を駆動および検出
用として兼用で用いている。発振回路11と電極6との
間に挿入された抵抗13の抵抗値を適宜調整すること
で、振動ジャイロ素子1の個々の特性を、補正すること
ができる。それにより、個々の振動ジャイロの特性のば
らつきを抑制することができる。
【0059】以上のように、実施の形態1の振動ジャイ
ロおよび振動ジャイロ素子の製造方法によれば、支持体
5上に振動体3を設置することとしたので、突き出し量
の小さい刃による溝加工で振動体3を製造することがで
きる。それにより、容易に生産できる上、加工精度に優
れ、量産に適し、高感度で、感度等の特性ばらつきのき
わめて小さい振動ジャイロを得ることができる。
【0060】また、圧電体4a、4bは直接接合によっ
て接合されていて、振動体3と支持体5とは一体形成さ
れているため、接着層による振動エネルギーの損失がな
く、支持固定状態が安定している。それにより、高い共
振の先鋭度が得られ、共振の先鋭度のばらつきおよび振
動速度のばらつきをなくすことができ、高感度であり、
感度特性のばらつきがきわめて小さい振動ジャイロを得
ることができる。
【0061】なお、実施の形態1においては、圧電体4
a、4bの分極軸が互いに逆方向となるようにして接合
して振動体3を形成したが、分極軸の方向が、対向しな
くとも、圧電体の厚み方向への分極方向の投影成分が反
対であるだけであっても同様の効果が得られる。
【0062】また、電極の形成方法は、真空蒸着に限る
ものでなく、例えば、めっきやスパッタ法あるいはCV
D法などの気相成膜法や、印刷などの方法を用いてもよ
い。
【0063】また、圧電体の溝加工および切断において
は、研削に限るものではなく、フォトレジストパターン
をマスキング材としたサンドブラスト法などを用いるこ
とができる。また、ドライエッチング、ウエットエッチ
ング、レーザ加工、ダイシングやワイヤーソーやダイシ
ングブレードなどの機械加工、ウオータージェット加
工、放電加工などを用いてもよい。
【0064】(実施の形態2)本発明の実施の形態2に
かかる振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法
について図面を用いて説明する。なお、全図を通じて同
様の部品には、同一符号を付与する。
【0065】図6は本発明の実施の形態2にかかる振動
ジャイロ素子の斜視図である。実施の形態2の振動ジャ
イロ素子は、基本構造は実施の形態1の振動ジャイロ素
子と同一である。異なる点は、圧電体の材料がニオブ酸
リチウムではなくタンタル酸リチウムを用いている点、
1つの振動体の上部表面上に2つの電極を形成している
点および支持体と振動体が一体形成でない点である。
【0066】6a、6bは電極であり、振動体3の上部
表面に設置されている。電極6a、6bは振動体3の長
手方向(X軸方向)に伸びる形状で、振動体3の幅方向
(Y軸方向)に並んで設置されている。
【0067】実施の形態2では、圧電体4a、4bとし
て、130°回転Y板のタンタル酸リチウム単結晶を用
いた。一般に、タンタル酸リチウムは、実施の形態1で
用いたニオブ酸リチウム単結晶に比べると、圧電定数が
小さく、材料定数の温度係数は小さいので、振動ジャイ
ロの素子としては、良好な感度の温度特性を得ることが
できる。特に、130±3°回転Y板のタンタル酸リチ
ウムを用いると、共振周波数の温度係数をほぼ零と設定
することができるため、素子感度の温度依存性を非常に
小さくすることができるという効果がある。この零温度
係数となるカット角の範囲については、例えば、電子情
報通信学会技術研究報告、1973年発行、US−73
巻、16号、1−14頁において、発表されている。
【0068】実施の形態2の振動ジャイロ素子の製造方
法について説明する。図7は、本発明の実施の形態2の
振動ジャイロ素子の製造工程の説明図である。図7
(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は工程順に並
んでいる。
【0069】両方の圧電体4a、4bの結晶軸が互いに
逆方向となるようにして直接接合する。このときの圧電
体には、130°回転Y板のタンタル酸リチウム単結晶
を用いている(図7(a))。
【0070】支持体5は、あらかじめ、角柱のダイシン
グブレード等を用いて、内部を切削、貫通して、矩形の
穴部16を設けてある。支持体5と圧電体4bとを直接
接合して、3層構造の基板を形成する(図7(b))。
【0071】3層構造の基板の両面に真空蒸着法により
電極6、7を形成する。具体的には、圧電体4a側の全
面に電極6を形成し、その裏面に当たる、支持体5の穴
部16によって露呈している圧電体4bに電極7を形成
する。電極材としては、例えばNi層を下地にした金電
極を用いる(図7(c))。
【0072】次に、例えば、幅50μmのダイシングブ
レードを用いて、深さ20μmの溝(図示せず)を横方
向に適宜形成していく。この溝は、電極6を電気的に分
断して、図1における電極6a、6bを形成するための
溝であるため、その深さは、電極6の厚さ程度であれば
よい。また、溝を形成する位置は、振動ジャイロ素子が
完成した場合の位置に合わせて決める。なお、図が見に
くくなるため、図7には、その溝は示していない。
【0073】図7(d)、図7(e)に関しては、図2
(d)、図2(e)と同様に、ダイシングソーを用い
て、3層の基板に振動体3を形成するための溝18を形
成し、切断線19に沿って基板を切断して、個々の音叉
型振動子2に分割する。なお、基板の上下端部は不要と
なる。
【0074】実施の形態1と同様に、音叉型振動子2を
支持基板10に固定して、振動ジャイロ素子1が完成す
る。
【0075】次に、上述した方法で製造された振動ジャ
イロ素子1を用いて構成された振動ジャイロについて図
を用いて説明する。図8に本発明の実施の形態2にかか
る振動ジャイロの駆動・検出回路構成図を示す。
【0076】発振回路11は、各振動体3の電極6aお
よび電極6bと接続され、各振動体3の電極7と差動増
幅回路14の入力端子とが接続されている。発振回路1
1により、各振動体3の電極6a、6b間に、振動体3
のY軸方向の共振周波数近傍に設定された周波数の交流
信号が印加される。2つの振動体3には、Y軸方向の開
閉振動が励振される。この状態で、振動体3に対してX
軸を中心とした回転角速度を与えると、コリオリ力が発
生し、振動体3にはZ軸方向の屈曲振動が生じる。この
屈曲振動によって、各振動体3の電極7に、発生する検
出信号を、差動増幅回路14により差動増幅し、同期検
波回路15により同期検波し、検波された信号からコリ
オリ力に比例した出力信号を得る。
【0077】このように、駆動回路と検出回路とが分離
されている回路構成であるため、駆動信号と検出信号が
混在することがなく、静止時の駆動による漏れ量が少な
く、出力信号のノイズを小さくすることができる。
【0078】なお、振動ジャイロ素子1の支持固定方法
によっては、振動体3のZ方向振動の共振の先鋭度が、
Y方向振動の共振の先鋭度よりも高くなる場合がある。
この場合には、検出振動と駆動振動の方向を入れ替えた
ほうが、より精度の高い検出ができる。実施の形態2の
振動ジャイロは、電極6a、6bの分割電極を備えてい
るため、検出振動と駆動振動の方向の入れ替えが可能で
ある。
【0079】検出振動と駆動振動の方向を入れ替える場
合には、発振回路11と各振動体3の電極7とが接続さ
れ、各振動体3の電極6a、6bと差動増幅回路14の
入力端子とが接続されるようにすることで、振動体3の
Z軸方向の振動を励振して、Y軸方向の振動を検出する
回路とすることができる。このように、検出振動の方向
を選択することができ、設計の自由度が高い。
【0080】以上のように、本発明の実施の形態2の振
動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法によれ
ば、音叉型振動子2を形成する圧電体4a、4bに、支
持体5を直接接合するので、圧電体4a、4bに加工を
施し、支持体5を形成する必要がない。それにより、加
工の精度に影響を受けることがないため、振動体3の裏
面の表面粗さが良くなり、また、音叉型振動子2の対称
性が向上するため、駆動振動の共振先鋭度を高くでき、
振動ジャイロの感度を高めることができる。また、電極
6a、6bを振動体3の上部表面に形成したので、駆動
回路と検出回路とを分離させることができ、ノイズを低
減できる。また、圧電体4a、4bとして、タンタル酸
リチウムを用いたので、温度特性が良好である。
【0081】なお、電極6a、6bを形成するために
は、マスク蒸着方法等を用いても良い。
【0082】また、実施の形態2の回路構成において、
圧電体4a、4bや支持体5はタンタル酸リチウムに限
られるわけではなく、ニオブ酸リチウムや水晶等を用い
てもよい。
【0083】(実施の形態3)本発明の実施の形態3に
かかる振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法
について図面を用いて説明する。
【0084】図9は本発明の実施の形態3にかかる振動
ジャイロ素子を示す斜視図である。実施の形態3の振動
ジャイロ素子と実施の形態1の振動ジャイロ素子1との
相違点は、支持体5が、振動体3の中央部を固定してい
る点、および、電極の数と設置位置が異なる点である。
【0085】1つの振動体3の上部表面には、長手方向
(X軸方向)に並んで、電極61と電極62が形成さ
れ、裏面には、振動体の両端に電極71と電極72が形
成されている。このような4脚のH型音叉による振動ジ
ャイロは、実施の形態1、2の2脚の音叉型振動ジャイ
ロに比べて共振の先鋭度が高く、早い振動速度を得るこ
とができ、感度を高めることができるという効果を有す
る。
【0086】実施の形態3の振動ジャイロ素子1の製造
方法について説明する。図10は、本発明の実施の形態
3の振動ジャイロ素子の製造工程の説明図である。図1
0(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は工程順に
並んでいる。
【0087】実施の形態3の振動ジャイロ素子の製造方
法において、図10(a)、(b)、(c)に示してい
る工程は、実施の形態1の図2(a)、(b)、(c)
に示した工程と同様である。すなわち、圧電体4a、4
bを直接接合して、圧電体4b側に凹部17を形成し、
圧電体の両面に電極を形成する。
【0088】図10(d)、図10(e)においても、
実施の形態1の図2(d)、図2(e)と同様に、電極
が形成された圧電体4a、4bに、凹部17の箇所では
貫通するようダイシングソーを用いて溝18を形成し
て、振動体3を形成する。また、ダイシングソーを用い
て、分断線20に沿って溝を形成して、電極6を分断し
て、電極61、62を形成する。圧電体4a、4bを切
断線19に沿って切断して、個々の音叉型振動子2に分
割する。なお、圧電体4a、4bの左右端部は不要とな
る。
【0089】実施の形態1と同様に、音叉型振動子2を
支持基板10に固定して、振動ジャイロ素子1が完成す
る。
【0090】次に、上述した方法で製造された振動ジャ
イロ素子1を用いて構成された振動ジャイロについて図
を用いて説明する。図11に本発明の実施の形態3にか
かる振動ジャイロの駆動・検出回路構成図を示す。図1
1(a)はX方向の一端から振動体を見た場合であり、
図11(b)はX方向の他端から振動体を見た場合を示
す。
【0091】発振回路11と各振動体3の一端の各電極
61、71とが接続され、各振動体3の他端の各電極6
2、72は差動増幅回路14に接続されている。発振回
路11により、各振動体3の電極61、71に電圧が印
加されると、各振動体3にはY方向の開閉振動が励振さ
れる。この状態で、振動体3に対してX軸を中心とした
回転角速度を与えると、コリオリ力が発生し、振動体3
にはZ軸方向の屈曲振動が生じる。この屈曲振動によっ
て、各振動体3の電極62、72に、発生する検出信号
を、差動増幅回路14により差動増幅し、同期検波回路
15により同期検波し、検波された信号からコリオリ力
に比例した出力信号を得る。
【0092】以上のように、実施の形態3の振動ジャイ
ロおよびその製造方法は、支持体5上に中央部が位置す
るように振動体3を設置して、音叉型振動子2を4脚音
叉形状としたので、加工精度に優れ、また、物理的な対
称性に優れ、高い共振先鋭度を得ることができ、高い感
度が得られる。また、駆動回路と検出回路とが分離され
ていることとしたので、駆動信号と検出信号が混在しな
いため、静止時の駆動による漏れ量が少なく、出力信号
のノイズを小さくすることができる。
【0093】(実施の形態4)本発明の実施の形態4に
かかる振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法
について図面を用いて説明する。図12は本発明の実施
の形態4にかかる振動ジャイロ素子の斜視図である。
【0094】図12に示しているように、振動ジャイロ
素子1は、二軸の音片型振動子22と支持基板10から
なる。
【0095】音片型振動子22は、2つの振動体3と振
動体3の表裏主面上に形成された電極26a、26b、
27と圧電体部21とその表裏主面上に形成された接地
電極26c、26d、27aとそれぞれの振動体3の端
部に固定されている支持体5からなる。
【0096】振動体3は、それぞれ、直方体形状であ
り、お互いの長手方向の軸が、略直交するように配置さ
れ、長い方の振動体3の長手方向の軸がX軸と平行に、
短い方の振動体3の長手方向の軸がY軸と平行に配置さ
れている。
【0097】振動体3は、単結晶の圧電体4a、4bが
結晶軸が互いに対向するように直接接合された構造であ
る。圧電体4a、4bは、主面に加えた電界により、横
効果伸び振動が生ずるようなカットの材料であればよ
く、例えば、140°回転Y板のニオブ酸リチウム(L
iNbO3)である。
【0098】電極26a、26bは、振動体3の上部表
面に形成されている。電極26aと電極26bは、振動
体3の長手方向に、伸びる形状で、幅方向に平行に並ん
で形成されている。また、電極27は、振動体3の裏面
に形成されている。
【0099】また、圧電体部21の上部表面および裏面
にも電極26c、26d、27aが形成されていて、こ
れらの電極は、接地電極として使用するので、各振動体
3間の電気的な結合が遮蔽でき、出力ノイズを低減させ
ることができる。
【0100】支持体5は、振動体3を構成する圧電体4
bと一体形成されている。支持体5の上に、振動体3が
設置されている。
【0101】支持基板10には、音片型振動子22が、
支持体5の裏面とエポキシ系接着剤で接着固定されてい
る。
【0102】次に本発明の実施の形態4にかかる振動ジ
ャイロ素子の製造方法について、図を用いて説明する。
図は、本発明の実施の形態4の振動ジャイロ素子の製造
工程の説明図である。図13(a)、(b)、(c)、
(d)、(e)は工程順に並んでいる。基本的には、実
施の形態1の振動ジャイロ素子の製造方法と同一であ
り、圧電体4bに形成する凹部17の形状とダイシング
加工する箇所が異なる。
【0103】まず、圧電体4a、4bを、互いの分極方
向が対向するようにして直接接合する(図13
(a))。
【0104】次に、圧電体4b側の面を研削し、振動体
3の裏面に相当する凹部17を形成する。このとき、研
削されていない部分が、支持体5に相当する(図13
(b))。
【0105】圧電体4a、4bの両側から真空蒸着法に
より電極を形成する。圧電体4a側は、全面に電極26
を形成し、圧電体4b側は、凹部17に電極27を形成
する。図において、電極26が形成されている箇所は、
ハッチングで示している(図13(c))。
【0106】圧電体4a側の面に溝加工を施して、振動
体3および電極26a、26bを形成する。一点鎖線に
沿って振動体3の厚さ分の深さの溝18を横方向および
縦方向に形成することで、2軸の振動体3が形成され
る。振動体3以外の圧電体部21の上部表面には、接地
電極26c、26dが形成され、裏面には、接地電極2
7aが形成されている。また、図示していないが、形成
された振動体3上に、2つの電極26a、26bが幅方
向に並んで形成されるよう、ダイシング加工にて、電極
の厚さ分の深さの溝を形成する(図13(d))。
【0107】さらに、ダイシングソーを用いて図13
(d)の破線で示した切断線19に沿って、接合された
圧電体4a、4bを切断して、個々の2軸の音片型振動
子22に分割する(図13(e))。
【0108】こうして製造された2軸の音片型振動子2
2の支持体5の裏面と支持基板10とをエポキシ系接着
剤で接着することで、振動ジャイロ素子1が完成する。
【0109】次に、上述した方法で製造された振動ジャ
イロ素子1を用いて構成された振動ジャイロについて図
を用いて説明する。図14に本発明の実施の形態4にか
かる振動ジャイロの駆動・検出回路構成図を示す。な
お、図14は長いほうの振動体3である。短いほうの振
動体3は座標軸が異なるだけなので省略する。
【0110】発振回路11と振動体3の電極26a、2
6bとが接続され、電極発振回路11と電極6とは抵抗
13を介して接続されている。
【0111】発振回路11により電極26a、26bに
交流信号が印加されると、振動体3がY軸方向に励振さ
れる。この状態で、コリオリ力が発生した場合には、振
動体3にはZ軸方向の屈曲振動が生じる。この屈曲振動
によって、各振動体3の電極6に発生する検出信号を差
動増幅回路14により差動増幅し、同期検波回路15に
より同期検波し、検波された信号からコリオリ力に比例
した出力信号を得る。
【0112】この振動ジャイロは、異なる軸方向に、2
つの振動体3を備えているので、それぞれの出力より、
2軸の回転角速度を検出することができる。
【0113】しかし、2つの振動体3のそれぞれの共振
周波数が同一であった場合は、2つの振動体3が音叉型
振動子として機能してしまい、一方の振動体3において
は検出振動に駆動振動が重畳してしまい、それぞれの信
号を分離することが難しくなり、正確に回転角速度を求
めることができない。
【0114】そこで、振動体3の長さ、幅、厚みの寸法
によって共振周波数が決まることを利用して、振動体3
の共振周波数を調節する。この振動ジャイロ素子1の2
つの振動体3の厚みおよび幅は同じなので、その長さを
変えることで両者の共振周波数をずらすことができる。
【0115】また、2つの振動体3の感度を等しくする
必要があるが、それは、結晶軸のカット角をずらして、
圧電定数を変化させることで感度を調節することができ
る。例えば、140°回転Y板において、振動体3の長
手方向を結晶のX軸方向と平行に取れば、得られる圧電
定数はおよそ30×10-12[C/N]であり、垂直方
向に取れば(長手方向と結晶のY軸方向とが垂直)、得
られる圧電定数は、およそ15×10-12[C/N]と
X軸方向の場合の半分となっている。この圧電定数のカ
ット角依存性は、例えば、日本音響学会平成4年秋季研
究発表会講演論文集(1992)の第1039頁から第
1040頁に発表されている。
【0116】実施の形態4では、一方の振動体3の長手
方向を結晶のX軸と平行に取り、他方の振動体3の長手
方向をY軸と垂直に取り、前者の振動体3の長さを後者
の振動体3の約2倍とした。これにより、両者の振動子
の共振周波数をずらし、同等の感度を得ることができ
る。
【0117】以上のように実施の形態4の振動ジャイロ
および振動ジャイロ素子の製造方法によれば、2つの振
動体3が異なる軸方向に設置されることとし、それら2
つの振動体3の長さを変化させることで、それぞれの共
振周波数を変化させ、カット角を変化させることで、感
度の調整をすることとしたので、2軸の回転角速度同時
に検出でき、その精度も高い。また、突き出しの小さい
刃で加工することができるので、容易に高精度な加工が
可能である。
【0118】
【発明の効果】本発明の振動ジャイロによれば、圧電体
同士が直接接合によって接合された振動体が、支持体上
に設置されているので、突き出し量の小さい刃を用いて
溝加工を施すことで製造できる。それにより、容易に生
産できる上、加工精度に優れ、量産に適し、高感度で、
感度等の特性ばらつきがきわめて小さい。
【0119】また、圧電体を直接接合によって接合し、
振動体と支持部とが一体形成されているため、接着層に
よる振動エネルギーの損失がない。それにより、高い共
振の先鋭度が得られ、共振の先鋭度のばらつきおよび振
動速度のばらつきをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかる振動ジャイロ
素子の斜視図
【図2】 本発明の実施の形態1にかかる振動ジャイロ
素子の製造工程の説明図であり、図2(a)は第1工程
を示す斜視図、図2(b)は第2工程を示す斜視図、図
2(c)は第3工程を示す斜視図、図2(d)は第4工
程を示す平面図、図2(e)は第5工程を示す図
【図3】 直接接合の原理を説明する摸式図であり、図
3(a)は直接接合の第1工程を示す断面図、図3
(b)は直接接合の第2工程を示す断面図、図3(c)
は直接接合の第3工程を示す断面図
【図4】 本発明の実施の形態1にかかる振動ジャイロ
の回路構成図
【図5】 本発明の実施の形態1にかかる振動ジャイロ
の他の回路構成図
【図6】 本発明の実施の形態2にかかる振動ジャイロ
素子の斜視図
【図7】 本発明の実施の形態2にかかる振動ジャイロ
素子の製造工程の説明図であり、図7(a)は第1工程
を示す斜視図、図7(b)は第2工程を示す斜視図、図
7(c)は第3工程を示す斜視図、図7(d)は第4工
程を示す平面図、図7(e)は第5工程を示す図
【図8】 本発明の実施の形態2にかかる振動ジャイロ
の回路構成図
【図9】 本発明の実施の形態3にかかる振動ジャイロ
素子の斜視図
【図10】 本発明の実施の形態3にかかる振動ジャイ
ロ素子の製造工程の説明図であり、図10(a)は第1
工程を示す斜視図、図10(b)は第2工程を示す斜視
図、図10(c)は第3工程を示す斜視図、図10
(d)は第4工程を示す平面図、図10(e)は第5工
程を示す図
【図11】 本発明の実施の形態3にかかる振動ジャイ
ロの回路構成図
【図12】 本発明の実施の形態4にかかる振動ジャイ
ロ素子の斜視図
【図13】 本発明の実施の形態4にかかる振動ジャイ
ロ素子の製造工程の説明図であり、図13(a)は第1
工程を示す斜視図、図13(b)は第2工程を示す斜視
図、図13(c)は第3工程を示す斜視図、図13
(d)は第4工程を示す平面図、図13(e)は第5工
程を示す図
【図14】 本発明の実施の形態4にかかる振動ジャイ
ロの回路構成図
【図15】 従来の音叉型振動ジャイロ素子の斜視図
【図16】 従来の音叉型振動ジャイロの回路構成図
【符号の説明】
1 振動ジャイロ素子 2 音叉型振動子 3 振動体 4a、4b 圧電体 5 支持体 6、6a、6b、7 電極 10 支持基板 11 発振回路 13 抵抗 14 差動増幅回路 15 同期検波回路 16 穴部 17 凹部 18 溝 19 切断線 20 分断線 21 圧電体部 22 音片型振動子 26、26a、26b、27 電極 26c、26d、27a 接地電極 61、62、71、72 電極 101 振動ジャイロ素子 103 振動体 104a、104b 圧電体 105 支持体 106、107 駆動電極 108 検出電極 111 発振回路 114 差動増幅回路 115 同期検波回路 116 平滑回路 117 直流増幅回路 L1、L2、L3 圧電体間の距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 光洋 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2F105 AA02 AA08 BB02 BB15 CC01 CD02 CD06 CD11 CD13

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積層方向への分極の投影成分方向が互い
    に逆方向となるように形成された2層の圧電体からな
    る、直方体形状の複数の振動体と、 少なくとも1つの平面を有し、前記複数の振動体の長手
    方向が互いに平行となるように、複数の前記振動体を前
    記平面上に設置している支持体と、 前記振動体の積層方向の対向する面に形成された電極
    と、 複数の前記振動体の屈曲振動を励振させる駆動手段と、 前記振動体に作用したコリオリ力を検出する検出手段と
    を備えたことを特徴とする振動ジャイロ。
  2. 【請求項2】 前記振動体を構成する前記圧電体間、お
    よび前記支持体と前記振動体間の両方またはどちらか
    が、直接接合で接合されていることを特徴とする請求項
    1に記載の振動ジャイロ。
  3. 【請求項3】 前記直接接合は、酸素原子および水酸基
    の内、少なくとも1つを介して、前記圧電体および前記
    支持体の構成原子が互いに結合することにより接合され
    ることを特徴とする請求項2に記載の振動ジャイロ。
  4. 【請求項4】 2層の前記圧電体の内のどちらか一方と
    前記支持体が一体であることを特徴とする請求項1ない
    し請求項3のいずれかに記載の振動ジャイロ。
  5. 【請求項5】 前記支持体は、前記振動体の長手方向の
    端部に設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求
    項4のいずれかに記載の振動ジャイロ。
  6. 【請求項6】 前記支持体は、前記振動体の長手方向の
    中央に設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求
    項4のいずれかに記載の振動ジャイロ。
  7. 【請求項7】 少なくとも1つの前記電極が駆動手段お
    よび検出手段で兼用して用いられていることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の振動ジャ
    イロ。
  8. 【請求項8】 前記支持体は角柱形状であり、前記振動
    体が形成されていない前記支持体の面のうち、少なくと
    も1つの面が固定面となることを特徴とする請求項1な
    いし請求項7のいずれかに記載の振動ジャイロ。
  9. 【請求項9】 前記圧電体は、140±6°の回転Y板
    のニオブ酸リチウム、または、130±3°回転Y板の
    タンタル酸リチウムであることを特徴とする請求項1な
    いし請求項8のいずれかに記載の振動ジャイロ。
  10. 【請求項10】 積層方向への分極の投影成分方向が互
    いに逆方向となるように形成された2層の圧電体からな
    る、直方体形状の複数の振動体と、 少なくとも1つの平面を有し、2つの前記振動体の長手
    方向が互いに平行でないように、複数の前記振動体を前
    記平面上に設置している支持体と、 前記振動体の積層方向の対向する面に形成された電極
    と、 複数の前記振動体の屈曲振動を励振させる駆動手段と、 前記振動体に作用した互いに異なる2つの回転軸に関す
    るコリオリ力を検出する検出手段とを備えたことを特徴
    とする振動ジャイロ。
  11. 【請求項11】 前記圧電体は、140±6°の回転Y
    板のニオブ酸リチウム、または、130±3°回転Y板
    のタンタル酸リチウムであり、 2つの前記振動体同士は、厚み、幅、長さの3つの寸法
    のうち少なくとも1つが異なるように形成され、2つの
    前記振動体の共振周波数が互いに異なることを特徴とす
    る請求項10に記載の振動ジャイロ。
  12. 【請求項12】 前記振動体を構成する前記圧電体間、
    および前記支持体と前記振動体間の両方またはどちらか
    が、直接接合で接合されていることを特徴とする請求項
    10または請求項11に記載の振動ジャイロ。
  13. 【請求項13】 前記直接接合は、酸素原子および水酸
    基の内、少なくとも1つを介して、前記圧電体および前
    記支持体の構成原子が互いに結合することにより接合さ
    れることを特徴とする請求項12に記載の振動ジャイ
    ロ。
  14. 【請求項14】 振動体を構成する2つの圧電体を分極
    の投影成分方向が互いに逆方向となるようにして直接接
    合する工程と、 前記圧電体のうち一方の面に研削または切削加工で凹部
    を設ける工程と、 前記圧電体の表裏主面に電極を形成する工程と、 前記凹部が形成されていない面上に、研削または切削加
    工で溝を設ける工程と、 前記圧電体を分割して、個々の振動ジャイロ素子とする
    工程とを備えたことを特徴とする振動ジャイロ素子の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 前記圧電体は、140±6°の回転Y
    板のニオブ酸リチウム、または、130±3°回転Y板
    のタンタル酸リチウムであることを特徴とする請求項1
    4に記載の振動ジャイロ素子の製造方法。
JP2001242600A 2001-08-09 2001-08-09 振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法 Withdrawn JP2003057035A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001242600A JP2003057035A (ja) 2001-08-09 2001-08-09 振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001242600A JP2003057035A (ja) 2001-08-09 2001-08-09 振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003057035A true JP2003057035A (ja) 2003-02-26

Family

ID=19072850

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001242600A Withdrawn JP2003057035A (ja) 2001-08-09 2001-08-09 振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003057035A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006194818A (ja) * 2005-01-17 2006-07-27 Nec Tokin Corp 音叉形圧電振動ジャイロ及びその製造方法
JP2008058061A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Epson Toyocom Corp 角速度センサおよび電子機器
WO2014020993A1 (ja) * 2012-08-03 2014-02-06 オリンパス株式会社 超音波振動デバイス、超音波振動デバイスの製造方法および超音波医療装置

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006194818A (ja) * 2005-01-17 2006-07-27 Nec Tokin Corp 音叉形圧電振動ジャイロ及びその製造方法
JP4671400B2 (ja) * 2005-01-17 2011-04-13 Necトーキン株式会社 音叉形圧電振動ジャイロの製造方法
JP2008058061A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Epson Toyocom Corp 角速度センサおよび電子機器
WO2014020993A1 (ja) * 2012-08-03 2014-02-06 オリンパス株式会社 超音波振動デバイス、超音波振動デバイスの製造方法および超音波医療装置
JP2014030795A (ja) * 2012-08-03 2014-02-20 Olympus Corp 超音波振動デバイス、超音波振動デバイスの製造方法および超音波医療装置
CN104520019A (zh) * 2012-08-03 2015-04-15 奥林巴斯株式会社 超声波振动器件,超声波振动器件的制造方法以及超声波医疗装置
EP2881183A4 (en) * 2012-08-03 2016-03-02 Olympus Corp ULTRASOUND VIBRATION DEVICES, MANUFACTURING METHOD FOR ULTRASONIC VIBRATION DEVICES, AND ULTRASONIC MEDICAL DEVICES
CN104520019B (zh) * 2012-08-03 2017-03-08 奥林巴斯株式会社 超声波振动器件,超声波振动器件的制造方法以及超声波医疗装置
US9831412B2 (en) 2012-08-03 2017-11-28 Olympus Corporation Ultrasound vibration device, method of manufacturing ultrasound vibration device, and ultrasound medical apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH1054723A (ja) 角速度検出装置
JP4068370B2 (ja) 振動ジャイロ
JPH07113645A (ja) 振動ジャイロ
JP2004357178A (ja) 圧電振動子
US8065914B2 (en) Vibration gyro
WO1998019134A1 (fr) Gyroscope a vibrations
JP5023734B2 (ja) 圧電振動片の製造方法及び圧電振動素子
JP3941736B2 (ja) 水晶振動片とその製造方法及び水晶振動片を利用した水晶デバイス、ならびに水晶デバイスを利用した携帯電話装置および水晶デバイスを利用した電子機器
JP2007163248A (ja) 圧電振動ジャイロ
JP4356881B2 (ja) 振動型ジャイロスコープ
JP2003057035A (ja) 振動ジャイロおよび振動ジャイロ素子の製造方法
JP2007500478A (ja) 積層共振器及び前記共振器を内蔵するタイムベース
JP3355998B2 (ja) 振動ジャイロ
JP2006010659A (ja) 振動ジャイロスコープ
JP2002372421A (ja) 角速度センサ及びその製造方法
JP2002048552A (ja) 圧電素子、振動ジャイロ及びその製造方法
JP2003014464A (ja) 振動ジャイロおよびその調整方法
JP2010145121A (ja) 圧電振動子および振動ジャイロ装置
JP2000193458A (ja) 振動ジャイロおよびその製造方法
JP3028999B2 (ja) 振動ジャイロ
JPH06174476A (ja) 回転角速度センサ
JPH1194555A (ja) 振動ジャイロ
JP3685224B2 (ja) エネルギー閉じ込め振動モードを利用した圧電振動ジャイロ
JP2002277246A (ja) 角速度検出装置
JP2000304543A (ja) 角速度センサー

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20081104