JP4671400B2 - 音叉形圧電振動ジャイロの製造方法 - Google Patents

音叉形圧電振動ジャイロの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、主として自動車のナビゲーションシステムや姿勢制御、カメラ一体型VTR
の手振れ防止装置等に用いられるジャイロスコープの内、特に音叉形振動子を用いた音叉形圧電振動ジャイロの製造方法に関する。
振動ジャイロは、速度を持つ物体に角速度が与えられると、その物体自身に速度方向と直角な方向にコリオリ力が発生するという力学現象を利用した角速度センサである。
電気的な信号を印加することで機械的な振動(駆動モード)を励起させることができ、且つ、駆動振動と直交する方向の機械的な振動(検出モード)の大きさを電気的に検出可能とした系において、予め、駆動モードを励振した状態で、駆動モードの振動面と検出モードの振動面との交線と平行な軸を中心とした角速度を与えると、前述のコリオリ力の作用により、検出モードが発生し、出力電圧として検出される。検出された出力電圧は駆動モードの大きさ及び角速度に比例するため、駆動モードの大きさを一定にした状態では、出力電圧の大きさから角速度の大きさを求めることができる。振動ジャイロの中でも、電気的信号と機械的振動の変換を圧電効果で行うものを圧電振動ジャイロと呼ぶ。
現在、圧電振動ジャイロに用いられる振動子としては、振動子本体が圧電体からなる構造のものが生産性及び精度に優れるためよく利用されている。同時に、これまで更なる生産性向上や高精度化を目的とし、様々な振動子の構造が提案されてきた。特に小形・安価を目的とする場合、振動子の構造はより簡素であった方が生産性上好ましい場合が多く、こうした観点から提案された構造も少なくない。また、近年、圧電振動ジャイロの小型化が進むにつれ、圧電振動ジャイロのシステムへの取りつけ方法においても手半田付け実装から生産性に優れるリフロー半田実装に見直されるようになり、リフロー実装時における260℃程度の全体加熱に対し性能や信頼性が損なわれることが無いよう、圧電振動ジャイロの耐熱性の向上が必要になってきている。従って、小形・安価な圧電振動ジャイロに用いる振動子としては、構造がより簡素で、耐熱性に優れたものが必要とされる。
電気−機械結合係数が大きく、耐熱性にも優れる圧電単結晶であるニオブ酸リチウムLiNbO3やタンタル酸リチウムLiTaO3を使用した振動子が数多く提案されているが、これらの圧電単結晶は脆弱材料であり加工が困難であることも知られている。圧電振動ジャイロは、これまでさまざまな構造が研究、開発されてきたが、近年、デバイスの小型化、低価格化が進み、振動子加工においては、精密な加工が可能で生産性が良い方法が求められてきている。従来より、ダイシング加工としては、外周形極薄砥石を使用した切断方法が知られている。この方法においては、微細なダイアモンド砥粒20−40μmのレジノイド砥粒またはメタルボンド砥粒が使用されている。切断物をテープまたは前記切断物よりも大きな面積の水平な板に接着剤にて貼り付けてからステージに固定し、スピンドルに取り付けられた外周形極薄砥石を高速回転させ、切断部分の温度上昇を防ぐため冷却水をかけながら切断を行っている。
圧電単結晶を板状に切り出したウエハから音叉形振動子を作製する場合、ウエハは振動効率のよいカット角で切り出される。しかしながら、単結晶材料固有の劈開する方位と振動効率のよい方位が等しくなるとは限らない。
特許文献1には、タンタル酸リチウムLiTaO3を用いた圧電デバイスのレーザ活断法による切断が示されている。その切断の様子を、図11に示した。レーザ活断法とは、レーザ照射により対象物内部に発生する熱弾性力を利用して切断幅が実質的に0で対象物を切断する技術である。圧電材料は熱膨張率が等方的ではなく、また結晶特有の劈開面をもっているために直接切断することはできないので、圧電材料51を熱膨張率が等方的な下地基板50に接合して[図11(a)、図11(b)]、圧電材料51に電極52を形成する[図11(c)]。下地基板50をレーザ活断法にて切断すること[図11(d)]で圧電基板51も下地基板と同じ外形に切断される[図11(e)]という工夫がなされている。
特許文献2では、ニオブ酸リチウムLiNbO3やタンタル酸リチウムLiTaO3等の酸化物単結晶のダイシング加工において、十分に深い溝を作製して劈開による切断を行う方法が示されている。図12に、特許文献2におけるレーザによる光化学的な反応によって結晶の分子を解離及び蒸発させて除去、溝を形成し、切断する方法を示す。酸化物単結晶ウエハ61の表面61aを機能性デバイス形成領域65とし、裏面61bを粘着テープで加工ステージに粘着させる。ウエハ表面61aに、レーザ光66を照射し、光化学的な反応によって分子を解離及び蒸発させて除去加工をすることによって溝63、64を形成する。図12(c)に示したウエハ固定ジグ70を使用して、Cの方向にウエハに対して圧力をかけ、溝63,64に沿って劈開させることでダイシング加工をおこなう。この方法で切断を行うと、冷却水によるデバイスの汚染が生じないのでこの後の洗浄工程の必要がなくなる。
特許文献3には、水晶、タンタル酸リチウムLiTaO3等を用いた音叉形振動子の外形とアームを噴射加工法にて打ち抜いて作製する方法が示されている。図13に、加工方法の説明図を示した。ノズル81より、アルミナ、シリコンカーバイトのように硬度の高い材料を水晶板83に直角方向から打ち付けている。加工されにくいマスク82によって保護することによって、所定の形状に打ち抜き、音叉形振動子を得るものである。
特開2002−9583号公報 特開平10−305420号公報 特開昭51−93885号公報
しかしながら、従来の外周形極薄砥石を使用したダイシング加工方法のように、ダイアモンド砥粒20−40μmのレジノイド砥粒またはメタルボンド砥粒で形成された外周形極薄砥石では、砥粒以上の大きさのチッピングが発生すると考えられる。デバイスが小型化されてきているため、数十μmものチッピングの発生は許されない。
本発明者も、外周形極薄砥石を使用した方法でダイシング加工を行ってきたが、砥粒粒径を小さくすることでチッピングは小さくできるが、加工速度も遅くしなくてはならなかった。そして、鏡面仕上げを行ったウエハのダイシング加工においては、特にチッピングが増加する傾向が見られた。また、切断時の表面よりも、テープまたは接着剤に固定される裏面のほうに大きなチッピングが目立つ傾向があった。
特許文献1のレーザ活断法では、図11に示したように、ダイシング加工のために下地基板50を貼り付けることで工程数が増えてしまうし、圧電基板51より下地基板50が厚くなくてはならないのでデバイスの薄型化が困難になってしまう。接合後に下地基板50を削ることもできるが工程数が増えてしまう。
特許文献2の溝を作製して劈開による切断を行う方法では、図12に示したように、レーザ光により単結晶分子を解離、蒸発させて溝を形成しているが、局所的に高温になるため材料の変質(結晶構造の変化、分極反転)が心配である。また圧電振動ジャイロの振動子は振動効率が良くなるように音叉形振動子を形成しなくてはならないので圧電単結晶固有の劈開面に沿って切断することはできない。
また、プロセスとして振動子のアーム部分内側の加工を行ってから外周を切断するため図11、図12に示したように、特許文献1、特許文献2の結晶の劈開性を利用したダイシング加工では、ウエハを小分けにする時にウエハに応力をかけなくてはならないので、その際に振動子アーム部分を破壊してしまう可能性が高い。
特許文献3の噴射加工法では、図13に示したように、噴射加工にてうち抜くには、粉末粒子径を大きくするほど早く加工ができるが、チッピングが大きくなってしまう。近年、振動子形状が小形になってきているので、精密な加工が求められている。粉末粒子径を小さくすると打ち抜くのに大変な時間がかかり、生産性が良くない。
このような圧電単結晶材料特有の脆弱性のほかに、ウエハの表面粗さも、加工精度だけでなく生産性に大きく影響を与える。すなわち、表面がラップ研磨されているものは、表面に無数のクラックが存在するために簡単に砕けやすく鏡面仕上げのウエハよりも切削幅が小さく切断でき、チッピングが生じ難いので比較的早く加工することができる。そのような利点はあるものの、落下や曲げなどの機械的な衝撃に対して振動子の強度が弱くなり、とくに焦電性のある材料では、温度差に弱くなってしまう問題点がある。
本発明は、上記問題を解決し、小型で信頼性に優れる安価な音叉形圧電振動ジャイロの製造方法を提供することを目的としている。
本発明によれば、第1および第2のアームと前記アームを接続した基部が圧電単結晶にて一体的に形成され、前記第1、第2のアームおよび前記基部の主面のみに、駆動および検出用の帯状電極が6本形成された音叉形振動子を具備し、音叉振動モードおよび前記音叉振動モードと直交した面外振動モードを励振および検出に用いる音叉形圧電振動ジャイロの製造方法において、前記電極が形成される主面の算術平均表面粗さ(Ra)がRa<0.005μmの鏡面で、その裏面の算術平均表面粗さが0.05μm<Ra<0.15μmである前記圧電単結晶からなるウエハを用い、前記鏡面を切断時の表側としてダイシング加工することを特徴とする音叉形圧電振動ジャイロの製造方法が得られる。
切断部分の基板表面を荒らすことにより、ダイシング加工時の切削抵抗を低減させ加工精度を上げることができ、加工精度を保つために切断速度を下げる必要がないため生産性を向上させることができる。
電極を形成する面の裏側、または切断部分の基板表面だけを荒らすため、落下時にもっとも応力が集中する電極付近のウエハ表面は、強度のある鏡面とすることができるので、落下・曲げなどの機械的な衝撃に強い構造となり、振動子の折れを防ぐことができる。
即ち、本発明の効果として、小型で信頼性に優れる安価な音叉形圧電振動ジャイロの製造方法を提供することができる。
以下に、本発明による音叉形圧電振動ジャイロについて詳細に説明する。
図2に、本発明による音叉形圧電振動ジャイロに使用する音叉形振動子の例を示す。本発明の音叉形振動子は、第1および第2のアーム、図1の平行で左右対称に配置された2本のアーム3,4とこのアームを接続した基部2が圧電単結晶にて一体的に形成されている。
また、電極構成としては、第1、第2のアームおよび基部の主面のみに、駆動および検出用として必須の帯状電極が6本形成される。即ち、図2に示されるように、アーム3の主面には、検出電極5、駆動電極6、基準電極7を、アーム4の主面には、検出電極8、駆動電極9、基準電極10を、各々外側から順に形成する。また、電極5を基部2まで引き回し、その先端にはランド11aを形成する。同様に、電極6〜10を基部2まで引き回し、その先端にはランド12a〜15aを形成する。尚、電極7及び電極10は同一のランド13aに接続し共通電極とする。
ここで、本発明の音叉形圧電振動ジャイロの基本的な動作原理を説明する。本発明による音叉形圧電振動ジャイロは、上記のような音叉形振動子を用いて音叉振動モードおよび前記音叉振動モードと直交した面外振動モードを励振および検出に利用する。図4は、音叉形振動子のアーム部の断面図で、図4(a)は音叉振動と電界を示し、図4(b)は面外振動と電界を示す。図5は、本発明の音叉形振動子の振動状態を示す説明図で、図5(a)は音叉振動、図5(b)は面外振動を示す。図4(a)中の実線矢印が示す通り、アームの幅方向に対し、アーム内で逆向き、かつアーム3、4間でも逆向きの電界を印加すれば、音叉の外と内側において、長手方向に逆向きの伸縮が生じ、つまり図5(a)に示す音叉振動を励起させることができる。また、図5(b)に示す面外振動が生じた時には、つまりは、アームの上下面において長手方向に逆向きの伸縮が生じた時には、図4(b)中の実線矢印が示す通り、アームの幅方向に対し、アーム内で同じ向き、かつ左右アーム間で逆向きの電界が発生する。
従って、例えば、図6に示すような回路に接続すれば、振動ジャイロを構成することが可能となる。図6に示すように、電極7,10を基準電位30に接地、或いは仮想接地し、電極6,9には位相が180°異なる信号を入力することで、音叉振動を励起することができる。また、帰還抵抗24,25及びオペアンプ22,23により構成された電流検出回路により、電極5,8で得られる電流を電圧に変換する。この信号を用い前述の音叉振動を安定に保つために、自励発振回路27を電極6,9へフィードバックさせる。また一方、電流検出回路で得られた電圧は、加算回路26により音叉振動成分の信号を取り除き面外振動成分のみの信号を取り出すことができる。この信号を自励発振回路27のタイミングにて同期検波回路28で同期検波し、その後ローパスフィルタ(LPF)29により整流することで、面外振動の大きさに比例した、即ち加えられた角速度に比例した出力31が得られることとなる。
圧電材料には、リフロー実装時に加わる温度で圧電性が損なわれることの無いよう、耐熱性を考慮した材料を用いる。例えばLiNbO3、LiTaO3、水晶等の単結晶を用いるのが好ましい。
単結晶は、一般に結晶軸の方向に対し、圧電定数、コンプライアンス、誘電率が異なる。そのため、振動子を効率良く所定の方向に屈曲振動させるためには、音叉形状に対し結晶軸をどのようにとるか十分考慮する必要がある。一例として、LiNbO3を用いる場合について図3を用い説明する。LiNbO3の場合は、三方晶の3m点群の中心対称性を有する結晶であるので、結晶のX軸を音叉の長手方向及び主面に対し垂直にとる。また、音叉の幅方向の電界に対する長手方向の伸縮の効率即ち電気機械結合係数が最も大きくなるよう、結晶のY軸と音叉の長手方向がなす角度が50°となるようなカット角を利用する構成にする。この時、結晶のY軸をX軸中心に140°回転させた方向を140Yと呼ぶこととすると、音叉の幅方向は140Yの方向となっていることが望ましい。
このように本発明の音叉形振動子を用いた音叉形圧電振動ジャイロは、振動子の1側面に全ての電極を集中させる電極構成でありながら、ジャイロとして機能する。なお、上記説明では音叉振動モードを励振、面外振動モードを検出に利用したが、逆に面外振動モードを励振、音叉振動モードを検出に利用しても良い。また、上記回路構成や単結晶の方位等も一例を示したもので、夫々、効率が良いように適宜設定すれば良い。
次に、本発明である音叉形圧電振動ジャイロで用いる音叉形振動子及びその製造方法について説明する。
図1、図7に、本発明における音叉形圧電振動ジャイロに使用する音叉形振動子の作製工程ごとの説明図を示す。図1は複数の振動子のアーム部の断面を模式的に表しており、図7は複数の振動子の斜視図である。
イ)図1(a)、図7(a)を参照して、単結晶圧電材料から切り出したウエハ40に電極41を形成する。ウエハ40は、両面が鏡面仕上げ(表面粗さRa<0.005μm)であるか、電極41を形成する主面ではない、裏面の表面粗さがRa<0.15μmのものを使用する。電極41は、フォトリソグラフィーの手法を使って、レジストにてパターニングし、スパッタリングなどにより導通膜を形成した後、リフトオフにて電極パターンを形成すれば良い。電極41は、金(下地膜クロム)にて形成するのが望ましい。電極41は、エッチングによってパターニングしてもかまわないし、蒸着、めっきなどの手法にて形成してよい。また電極材料は、電気的な接続方法に合わせて変更できる。このとき、音叉形振動子の基部2の表面が粗いと、表面に形成されている加工歪層の影響で、振動子表面が破壊されやすく、図2で示したような形成したランド11a〜15aが結晶ごと剥がれてしまうことがある。表面がRa<0.005μm以下の鏡面の場合は、十分な強度がえられる。
ロ)次に、図1(b)、図7(b)を参照して、加工形状に合わせた工具と粒径の細かい砥粒を使用して音叉形振動子アーム部42を超音波加工にて打ち抜く。
ハ)次に、図1(c)、図7(c)を参照して、ウエハ40の両面が鏡面仕上げである場合には、音叉形振動子外周加工部分の前処理としてサンドブラスト法によって、ウエハ40の両面に溝44を作製する。表面が粗くなれば良いので、時間をかけて深く加工する必要はない。20μm径の砥粒を使用して2分程度加工を行うと10μm程度の溝44が形成される。
ニ)次に、図1(d)、図7(d)を参照して、音叉形振動子の外周を外周形極薄砥石にてダイシング加工し、レジスト膜を除去して音叉形振動子1を得る。外周形極薄砥石は、ダイアモンドの粒径が2−6μmのレジノイド砥石を使用すると良い。
図8に、切り出した振動子の斜視図を示した。主面及びその裏面とその外部側面がなす角の部分、即ち、破線で示した部分の表面粗さは少なくとも、0.05μm以上となっている。
さらに、ダイシング加工による切断時には、表面よりも、テープまたは接着剤に固定される裏面のほうに大きなチッピングが目立つ傾向があるため、溝44を裏面の方にのみ形成しても、効果がある。また、裏面の表面粗さが0.05μm<Ra<0.15μmのウエハを使用する場合は、上記c)の溝44を作製する工程を省いて、d)のダイシング加工を行っても良い。この場合は、裏面の表面粗さとしてはRa=0.12μm程度のものを使用するのが望ましい。
図9に、表面粗さと曲げ強さに関する結果を示した。曲げ強さは3点曲げ強さを20試料測定し、平均値を取って、相対値で示したものである。表面粗さが小さくなるに従って、曲げ強さは大きくなる傾向がある。従って、裏面の表面粗さはRa<0.15μmが望ましい。また、表面粗さがこれ以上大きいと、振動子の共振周波数のばらつきが大きくなる問題も起こる。
また、図9中でAと示した囲みの中の点は、チッピングサイズが大きい試料である。十分に表面粗さの小さい鏡面の試料であってもチッピングサイズが大きい場合には曲げ強さが格段に小さくなってしまう。振動子の機械的な強度は、ダイシング加工によって生じるチッピングとウエハの表面仕上げが大きく影響していることがわかる。
図10は、ダイシング加工時に発生するもっとも大きなチッピングのサイズを、表面粗さの違うウエハで比較した結果を示すもので、相対値で比較している。切断速度は、どれも0.1mm/secでダイシング加工をおこなっている。表面粗さが大きいほどチッピングサイズが小さくなる傾向がみられる。切断速度を下げることでもチッピングサイズを小さくすることができるが、この場合は生産性が悪くなってしまう。
従って、本発明の製造方法のように切断部分の表面粗さを大きくしてから、ダイシング加工することにより、切断速度を落とさなくても、チッピングサイズを小さくできるため、生産性良く、電極部分の強度を保つことができる。
また、裏面の表面粗さに関しては、0.05μm<Ra<0.15μmが望ましく、振動子強度、共振周波数のばらつきの観点から上限値が、また、工程の簡略化の観点から下限値が定められる。
図14は、本発明における音叉形圧電振動ジャイロの一例を示す組立図である。本発明における音叉形圧電振動ジャイロは、図2に示す音叉形振動子1、図6に示す回路機能を有する回路部品20、これらを実装する基板16によって構成される。音叉形振動子1には、図2で説明したように、基部2にランド11a〜15aを設けている。基板16は、セラミックスやガラスエポキシ等で作製した多層基板であり、回路実装面17とそれより高い位置にある音叉形振動子実装面18を持ち、音叉形振動子実装面18上に形成されたランド11c〜15cと回路実装用ランド群19とが図6に示す回路構成となるよう立体的に配線されている。
図14に示す組み立て方法をとるため、まず、図15の音叉形振動子の基部2の拡大斜視図に示すように、ランド11a〜15aに、それぞれ金バンプ11b〜15bを形成する。バンプは、メッキ法、ボール法、蒸着法、ワイヤーバンピング法の通常の方法を用いることで形成できる。なお、音叉形振動子のアーム部電極5〜10及びランド11a〜15aは、スパッタリングにより形成した下地がクロムの金電極として、フォトリソグラフィを利用しパターンニングしているが、メッキや蒸着等の他の方法で形成したものでもかまわない。
次に、図16に示すように、音叉形振動子の電極が形成されている主面を基板16側に向け、バンプ11b〜15bが基板ランド11c〜15cにそれぞれ対応するよう接触位置決めする。なお、基板16側には音叉形振動子のランド11a〜15aに対応した位置にそれぞれ振動子実装用ランド11c〜15cを形成しておく。こうした状態で、接触部において部分的に熱、圧力、超音波などを加えて金属接合し、音叉形振動子と基板とが電気的かつ機械的に接続される。
ここで重要なことは、音叉形振動子実装面18と音叉形振動子1とは直接接触させずに、バンプ11b〜15bの高さ分隙間を持って接合させていることである。このことにより、音叉形振動子の音叉振動及び面外振動におけるQmを極めてばらつきの小さいものにすることができる。バンプの高さは、20〜100μm程度の間に設計しておけば、基板のそりや、温度変化による膨張等を考慮しても、音叉形振動子1が音叉形振動子実装面18に接触したり離れたりするようなことは無く、Qmが大きく変化するようなことは生じない。
落下などの衝撃が加わった際には、音叉形振動子1の実装部分に最も外部応力が集中する。基部2におけるランド11a〜15aは、間隔をあけて広い領域に形成したほうが安定した支持ができ外部応力に対して強くなる、反面、振動子の面外振動モードにおけるQmが低下し感度が低下するため、ランド11a〜15aは強度と感度を十分考慮して設計するのが好ましい。尚、強度を確保するためにバンプの数は、端子数より多くしてもかまわない。例えば、1つのランドに2つのバンプを形成してもかまわない。
本発明における音叉形圧電振動ジャイロに使用する音叉形振動子の作製工程ごとの説明図。図1(a)は、単結晶ウェハに電極を形成した状態を示す断面図、図1(b)は、アーム部分を切断した状態示す断面図、図1(c)は、溝を作製した状態を示す断面図、図1(d)は、ダイシング加工後の断面図。 本発明における音叉形圧電振動ジャイロに使用する音叉形振動子の1例を示す斜視図。 音叉形振動子に使用する結晶方位を示す図。 本発明の音叉形振動子のアーム部の断面図、図4(a)は音叉振動と電界を示す図、図4(b)は面外振動と電界を示す図。 本発明の音叉形振動子の振動状態を示す説明図、図5(a)は音叉振動を示す図、図5(b)は面外振動を示す図。 音叉形振動子の回路接続例を示す図。 本発明における音叉形圧電振動ジャイロに使用する音叉形振動子の作製工程ごとの説明図。図7(a)は、単結晶ウェハに電極を形成した状態を示す断面図、図7(b)は、アーム部分を切断した状態示す断面図、図7(c)は、溝を作製した状態を示す断面図、図7(d)は、ダイシング加工後の断面図。 本発明における音叉形圧電振動ジャイロに使用する音叉形振動子の表面粗さが大きい領域を示す斜視図。 表面粗さと曲げ強さの関係を示す図。 表面粗さとチッピングサイズの関係を示す図。 従来におけるレーザ活断法によって作製した溝から劈開させてデバイスをダイシングする加工方法を示す図。 従来におけるレーザによる光化学的な反応によって結晶の分子を解離及び蒸発させて除去、溝を形成し、切断する加工方法の説明図。 従来における噴射加工法にて打ち抜いて圧電振動子を形成する加工方法の説明図。 本発明の音叉形圧電振動ジャイロの一例を示す組立図。 本発明の音叉形振動子の基部の拡大斜視図。 本発明の音叉形圧電振動ジャイロの組み立てを示す説明図。
符号の説明
1 音叉形振動子
2 基部
3,4 アーム
5,6,7,8,9,10 電極
11a,12a,13a,14a,15a ランド
11b,12b,13b,14b,15b バンプ
11c,12c,13c,14c,15c ランド(実装面)
16 基板
17 回路実装面
18 音叉形振動子実装面
19 ランド群(回路実装面)
20 回路部品
21 位相回路
22,23 オペアンプ
24,25 帰還抵抗
26 加算回路
27 自励発信回路
28 同期検波回路
29 LPF
30 基準電位
31 出力
40 ウエハ
41 電極
42 音叉形振動子アーム部
43 保護膜
44 溝
50 電極

Claims (1)

  1. 第1および第2のアームと前記アームを接続した基部が圧電単結晶にて一体的に形成され、前記第1、第2のアームおよび前記基部の主面のみに、駆動および検出用の帯状電極が6本形成された音叉形振動子を具備し、音叉振動モードおよび前記音叉振動モードと直交した面外振動モードを励振および検出に用いる音叉形圧電振動ジャイロの製造方法において、前記電極が形成される主面の算術平均表面粗さ(Ra)がRa<0.005μmの鏡面で、その裏面の算術平均表面粗さが0.05μm<Ra<0.15μmである前記圧電単結晶からなるウエハを用い、前記鏡面を切断時の表側としてダイシング加工することを特徴とする音叉形圧電振動ジャイロの製造方法
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