JP2000228547A - 圧電基板の製造方法 - Google Patents

圧電基板の製造方法

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JP2000228547A
JP2000228547A JP3088999A JP3088999A JP2000228547A JP 2000228547 A JP2000228547 A JP 2000228547A JP 3088999 A JP3088999 A JP 3088999A JP 3088999 A JP3088999 A JP 3088999A JP 2000228547 A JP2000228547 A JP 2000228547A
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substrate
piezoelectric
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Atsushi Komatsu
敦 小松
Akihiko Nanba
昭彦 南波
Yuko Okano
祐幸 岡野
Yoshihiro Tomita
佳宏 冨田
Osamu Kawasaki
修 川▲さき▼
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、割れや欠けを生じることなく、圧電デ
バイスに必要とされる平面度、平行度、表面粗さを保持
しながら、所定の厚さに圧電基板を薄層化加工すること
が困難であった。 【解決手段】 所定の深さの有底溝103を有する圧電
基板101と、所定の補助基板102とを用意し、圧電
基板101の有底溝103が設けられている接合予定面
111と、補助基板102の接合予定面112とを直接
接合により貼り合わせ、圧電基板101の接合予定面1
11の反対側の加工面121から、圧電基板101を、
有底溝103の少なくとも底部を取り除き、所定の厚み
になるように薄く研磨し、圧電基板101の有底溝10
3が形成されていた位置に対応する位置で、補助基板1
02を切断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波振動子やフ
ィルター素子、圧電センサ、アクチュエータ等に用いら
れる圧電基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体通信機器や情報機器などに
用いられる振動子やフィルター、圧電センサ、アクチュ
エータ等の圧電デバイスは、機器の小型化および通信回
路の混雑化、高品位通信の発達、情報機器の高品位化な
どにより、高周波化や高機能化の傾向にある。
【0003】そこで、従来の圧電デバイスでは、圧電基
板の加工精度を上げて薄層化、および対応する形状に加
工することで高周波化や高機能化を実現してきた。以下
に図面を参照しながら従来の圧電デバイスを、水晶振動
子を例にとって説明する。
【0004】図16は従来の水晶振動子を示したもので
あるが、21は水晶板で、ATカットの水晶板を所定の
厚さまで両面研磨し、その両主面に励振電極22および
引き出し電極23を設けたものである。通常、引き出し
電極23を延出した両端外周部を保持部材により保持
し、気密な容器に収納している。そして、保持部材を介
して引き出し電極23を発信回路に接続することによっ
て、両主面間で互いに反対方向に変位する厚みすべり振
動を励振する。
【0005】この厚みすべりモードの水晶振動子では、
厚みt(μm)によって共振周波数f(MHz)が決定
され、ほぼf=1670/tの関係がある。したがっ
て、このような水晶振動子では、水晶板を所要厚みに加
工して、共振周波数を調整している。したがって高い共
振周波数を得る場合には、水晶板の厚みを薄くするよう
に両面研磨加工を行っている。
【0006】上述した水晶振動子を製造するさい、例え
ば300μmの厚さの振動用水晶板を30μmの厚さに
薄層化するのであるが、その振動用水晶板を薄層化する
方法として、水晶板に補強板として、単板や貫通孔を有
した補助基板を貼りつけて補強した状態で薄層化加工
し、加工後もその補強板を貼りつけたままで水晶振動子
として組み立てる方法が考えられている(例えば、特開
平3−116882号公報や特開平7−74569号公
報)。このようにして、薄層化加工や組み立てを行え
ば、水晶板が機械的に補強されているため、割れや欠け
の問題を生じることがなくなる。
【0007】また、圧電アクチュエータや圧電センサな
どの圧電デバイスも同様に、機器の小型化に伴って素子
を小型化するために圧電基板の厚さを薄くする必要性が
高まっている。
【0008】図17は、圧電アクチュエータや圧電セン
サとして典型的な構成を示したもので、圧電基板31と
バネ材32とが接着剤により接着され、バネ材32の両
端が支持体33に固定された、いわゆるモノモルフ構造
である。バネ材32と電極34に電圧を加えると、圧電
基板31が伸び、バネ材32は伸びないことから、圧電
基板31とバネ材32が共にたわみ、アクチュエータと
して動作する。一方、モノモルフ部に力を加えてたわみ
変形させると、圧電基板31がひずむことから、起電力
が生じ、センサとして動作する。ここで、モノモルフ部
は曲げモーメントに対して厚さの三乗に比例して硬くな
ることから、大きな変形を得ようとすると、圧電基板3
1の厚さを極めて薄くする必要がある。
【0009】このような圧電アクチュエータやセンサに
は圧電セラミックが用いられ、一部高精度なものには圧
電単結晶のニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムが用
いられている。圧電基板の加工法としては、専ら厚いブ
ロックから両面研磨で薄くする方法が用いられている。
また、圧電セラミックの場合、シート状に成形した原料
粉を焼成して薄いシートを製造する方法も用いられてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで従来は、例え
ば水晶振動子を製造するさい、所定の厚さの振動用水晶
板の両面を研磨機で研磨し薄い水晶板を作製しており、
高い周波数の水晶振動子を製造するさいは、水晶板を非
常に薄くする必要があるので、研磨加工中に水晶板に割
れや欠けが生じたり、また組み立て時に、取り扱いによ
り水晶板が破損するなどの問題がある。したがって従来
は、両面研磨をする場合、量産可能な厚みレベルとし
て、厚み30μm程度が限界であった。
【0011】また、片面研磨の場合においても、水晶板
が30μm以下の厚さになると、両面研磨の場合と同様
の問題が生じるので、30μm程度のものが量産可能な
限界である。
【0012】そこで、上述した問題を解決するために、
特開平3−116882号公報に開示の研磨方法があ
る。その研磨方法とは、貫通孔を有した補強板を、接着
剤を用いて水晶板と貼り合わせてその水晶板の片面を研
磨するというものであるが、この方法を用いることによ
り薄層化加工は可能となるが、水晶板と補強板とを接着
剤を用いて貼り合わせているため、貼り合わせ時に、接
着剤の厚さが実質上均一にならないという接着むらが生
じ、研磨後に圧電基板の厚みにむらが生じるという問題
がある。
【0013】また、水晶基板を薄くするさいの問題を解
決するために、特開平7−74569号公報の研磨方法
がある。その研磨方法とは、2枚の水晶板を用意し、一
方の水晶板を補強板として用い、その補強板の例えば中
央部に凹部を形成しておき、そして凹部を形成した面
と、研磨しようとする水晶板の片面とを直接接合し、凹
部を有しない方の水晶板を研磨するというものである。
この場合、水晶板の薄層化加工は可能となるが、その後
補強板の凹部の底を取り除き貫通孔を設ける必要があ
り、例えばフッ酸系のエッチング液を用いて凹部の底の
除去することになる。そのさい、研磨面は所定の耐エッ
チング性を有する薄膜でマスクすることができるが、補
強板との接合面にはマスクをすることができないので、
振動板に損傷を与えることなく、完全に補強板の凹部の
底を取り除くことが難しく、量産性に限界が生じてい
た。なぜなら、補強板の水晶などの単結晶を深くエッチ
ングするさい、結晶欠陥が存在する部分が早くエッチン
グされていわゆるエッチトンネルが生じ、大部分のエッ
チング完了よりも早い時期にエッチング液の一部が研磨
面の反対側の面に侵入して接合界面など耐エッチング性
薄膜のない部分から振動板を浸食する可能性があるから
である。
【0014】そこで、上述した特開平3−116882
号公報や、特開平7−74569号公報に示した研磨方
法の問題を解決するために、大面積圧電基板と、複数の
貫通孔を有する大面積補強板とを用意し、両者を接着剤
または直接接合によって貼り合わせ、大面積圧電基板を
所定の厚さになるように薄く研磨するという方法が考え
られている。この場合、大面積圧電基板と大面積補強板
とを接着剤を用いて貼り合わせても、余分な接着剤が補
強板の貫通孔を形成している凹部等に逃げるので、貼り
合わせのさいに接着剤の厚さが実質上均一となり、研磨
後の大面積圧電基板の厚さも実質上均一になる。他方、
直接接合の場合には、大面積圧電基板と大面積補強板と
を実質上場所によらず均一に貼り合わせることができる
ので、研磨後の大面積圧電基板の厚さは実質上均一にな
る。そして、大面積圧電基板を所定厚みに研磨した後、
各貫通孔に対応した部分毎に大面積圧電基板を切断し、
1枚の大面積圧電基板から複数の圧電素子を製造するも
のである。
【0015】ところで、このように1枚の大面積圧電基
板から複数の圧電素子を製造するさい、薄層化された大
面積圧電基板を切断分離加工するので、分離加工中に素
子に割れやかけが生じる可能性が大きくなり、素子の歩
留まり低減につながる可能性がある。
【0016】上記課題は、水晶の加工に限ったことでは
なく、もろい圧電セラミックや圧電単結晶においてはよ
り深刻な問題である。圧電セラミックの研磨の限界は8
0ミクロン程度である。
【0017】さらに、上述した方法で多数の圧電素子を
製造する場合、一旦、個片に分割してから一つずつ支持
体などに固定しなくてはならないので、個々の素子ごと
に正確に位置あわせをして、支持体へマウントする必要
があり、極めて生産性が悪いという課題もある。さら
に、薄くなった素子を個別に扱うことから、取り扱い中
に割れや欠けを生ずる確率が極めて高くなるという製造
上の課題が生ずる。
【0018】なお、圧電セラミックをシート成形した原
料粉を焼成して薄いシートを製造するという方法もある
が、焼成後で40ミクロンまで形成できるが、焼成時の
収縮率が大きいために変形し、平坦なものが焼けず、水
晶よりももろいため取り扱いが困難であるという問題が
生じる。
【0019】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、割れや欠けを生じることなく、圧電デバイスに必要
とされる平面度、平行度、表面粗さを保持しながら、所
定の厚さに圧電基板を薄層化加工する圧電基板の製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0020】また、本発明は、多数の薄い圧電素子を歩
留まり良く生産することができる圧電基板の製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】第1の本発明(請求項1
に対応)は、所定の深さの相対的凹部を有する圧電基板
材と、所定の補助基板とを用意し、前記圧電基板材の前
記相対的凹部が設けられている相対的凹部形成面と、前
記補助基板の貼り合わせ面とを貼り合わせ、前記圧電基
板材の前記相対的凹部形成面の反対側の表面から、前記
圧電基板材を、前記相対的凹部の少なくとも底部を取り
除き、所定の厚みになるように薄くすることを特徴とす
る圧電基板の製造方法である。
【0022】第2の本発明(請求項2に対応)は、第1
の本発明の圧電基板の製造方法において、前記補助基板
が、前記貼り合わせ面の所定の部分に所定の深さの凹部
を有するものであり、その凹部を取り囲む凸部と前記相
対的凹部形成面とを貼り合わせることを特徴とする圧電
基板の製造方法である。
【0023】第3の本発明(請求項3に対応)は、第1
の本発明の圧電基板の製造方法において、前記補助基板
が、開口部を有するものであることを特徴とする圧電基
板の製造方法である。
【0024】第4の本発明(請求項4に対応)は、第3
の本発明の圧電基板の製造方法において、前記圧電基板
材と前記補助基板とを貼り合わせた後に、前記補助基板
の開口部および前記圧電基板材の相対的凹部の全部また
は一部に、所定の充填材を充填し、前記圧電基板材を薄
くした後に、前記充填材を除去することを特徴とする圧
電基板の製造方法である。
【0025】第5の本発明(請求項5に対応)は、第1
の本発明の圧電基板の製造方法において、前記圧電基板
材と前記補助基板とを貼り合わせる前に、前記圧電基板
材の相対的凸部の上面に、所定の金属薄膜を形成してお
くことを特徴とする圧電基板の製造方法である。
【0026】第6の本発明(請求項6に対応)は、第1
の本発明の圧電基板の製造方法において、前記補助基板
が、前記貼り合わせ面の所定の部分に所定の深さの凹部
を有するものであって、かつその凹部の中央部に前記深
さより低い凸部を有するものであり、前記補助基板の凹
部を取り囲む凸部と前記相対的凹部形成面とを貼り合わ
せることを特徴とする圧電基板の製造方法である。
【0027】第7の本発明(請求項7に対応)は、第6
の本発明の圧電基板の製造方法において、前記圧電基板
材が、相対的凸部の、前記補助基板の前記凹部の中央部
に形成されている前記凸部の位置に対応する位置に、所
定の金属薄膜が形成されたものであることを特徴とする
圧電基板の製造方法である。
【0028】第8の本発明(請求項8に対応)は、第1
の本発明の圧電基板の製造方法において、前記補助基板
が櫛状のものであって、それぞれの前記櫛の歯が、前記
圧電基板材の相対的凸部に対応する位置に形成されてお
り、前記圧電基板材の相対的凸部と、対応する前記補助
基板の櫛の歯とが実質上重なるように、前記圧電基板材
と前記補助基板とを貼り合わせることを特徴とする圧電
基板の製造方法である。
【0029】第9の本発明(請求項9に対応)は、第1
から第8の本発明のいずれかの圧電基板の製造方法にお
いて、所定の厚さを有し、前記圧電基板材を薄くするさ
いの前記圧電基板材の薄さの程度を調整するための薄さ
調整部材をさらに用意し、前記圧電基板材を薄くする前
に、前記薄さ調整部材を、前記圧電基板材と前記補助基
板との貼り合わせ面であって、前記圧電基板材と前記補
助基板とを貼り合わせた部分以外の部分に設け、前記圧
電基板材を薄くするさい、前記薄さ調整部材を利用する
ことを特徴とする圧電基板の製造方法である。
【0030】第10の本発明(請求項10に対応)は、
第9の本発明の圧電基板の製造方法において、前記薄さ
調整部材が、前記圧電基板より加工速度の遅いものであ
ることを特徴とする圧電基板の製造方法である。
【0031】第11の本発明(請求項11に対応)は、
第1から第10のいずれかの本発明の圧電基板の製造方
法において、前記圧電基板材と前記補助基板との貼り合
わせを、直接接合により行うことを特徴とする圧電基板
の製造方法である。
【0032】第12の本発明(請求項12に対応)は、
第1から第11のいずれかの本発明の圧電基板の製造方
法において、前記圧電基板材の相対的凸部に、前記圧電
基板材の相対的凹部の深さと実質上同一の深さの第2凹
部が形成されていることを特徴とする圧電基板の製造方
法である。
【0033】第13の本発明(請求項13に対応)は、
第1から第12のいずれかの本発明の圧電基板の製造方
法において、前記圧電基板材を薄くした後、その圧電基
板材の相対的凹部に対応する位置で、前記補助基板を切
断することを特徴とする圧電基板の製造方法である。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しながら説明する。
【0035】(第1の実施の形態)先ず、本発明の第1
の実施の形態の圧電基板の製造方法を述べる。
【0036】図1および2に、本発明の第1の実施の形
態の圧電基板の製造方法として、タンタル酸リチウム基
板を用いた、温度補償型弾性表面波フィルターの製造方
法を斜視図で示す工程図を示す。
【0037】圧電基板101として、36度Yカットタ
ンタル酸リチウム基板を用い(図1(a))、補助基板
102として石英ガラス基板(図1(b))を用いた例
であるが、まず圧電基板101の補助基板102との接
合予定面111にダイシングソーを用いて幅200μm
深さ10μmの有底溝103を形成する。なお、補助基
板102は実質上直方体である。
【0038】そして、圧電基板101と補助基板102
とを貼り合わせる(図1(c))。その貼り合わせの工
程には、直接接合法を用いる。この直接接合法とは、鏡
面研磨された2枚の無機基板を親水化処理して表面にO
H基などの親水基を生成させ、両面を直接的に面接して
加熱処理することにより2枚の無機基板を接合させると
いう方法である。その直接接合によって、上述した親水
化処理により生じる接合表面のOH基による水素結合
や、それぞれの基板表面を構成する元素間ないしOH基
に起因する酸素を介した共有結合やイオン結合などのた
めに、圧電基板101と補助基板102とは原子レベル
で強固に接合される。具体的には、圧電基板101の接
合予定面111と、補助基板102の接合予定面112
とを、アンモニアと過酸化水素水と純水の混合液で親水
化処理した後、圧電基板101の接合予定面111と、
補助基板102の接合予定面112とを面接させて、直
接接触させ、この状態で、150℃の加熱処理を行っ
て、接合する(図1(c))。
【0039】図1(c)に示すように圧電基板101と
補助基板102とを貼り合わせた後、補助基板102を
ベースとして、貼り合わせた圧電基板101の加工面1
21から、圧電基板101を、有底溝103の底部を取
り除き、例えば10μm等の所要厚みとなるように研磨
して薄くする(図1(d))。この段階で、圧電基板1
01は、有底溝103が設けられていたことによって分
離された状態になる。
【0040】この薄層化研磨後、図示していないが圧電
基板101の表面に表面波フィルターとして用いるため
に櫛形電極を形成し、圧電基板101に形成した有底溝
103の位置に対応する位置に沿って補助基板102を
切断(図2(a))することによって、圧電基板101
と補助基板102を貼り合わせた、温度補償型弾性表面
波フィルターが得られる(図2(b))。
【0041】この製造方法を用いて1.9GHzの弾性
表面波フィルターを試作したところ、従来36ppm/
℃程度であった温度特性が、10〜15ppm/℃の温
度特性になり改善効果が得られた。
【0042】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法を用いれば、圧電基板101を薄くした
後切断するさいにも割れや欠けを生じさせることがな
い。また、圧電基板101上への電極形成やハンドリン
グを容易にすることができる。
【0043】つまり、圧電基板101に有底溝103を
形成した後に薄くするための加工を行い、その加工の終
了と同時に圧電基板101が分離するようになっている
ため、薄層化加工終了直前まで有底溝103が圧電基板
101の加工面121に現れず、有底溝103部分等で
の素子の欠けなどによる圧電基板101への傷の発生な
どを防止することができるということである。また、加
工終了後に個々の素子に分離する場合に圧電基板101
には負荷をかけることなく補助基板102のみを切断す
ることが可能であるため、圧電基板101と補助基板1
02を同時に切断する場合と比較して、圧電基板101
と補助基板102の接合強度が低くても、切断時に圧電
基板101が剥離したり、欠けたりすることがなくな
る。このように接合強度が低くても切断することができ
るので、上述した第1の実施の形態では貼り合わせを直
接接合法を用いて行うとしたが、接着剤を用いて圧電基
板101と補助基板102とを貼り合わせることがで
き、その接着剤の選択範囲が広がり、かつ接着剤の厚み
を薄くすることが可能となる。この結果、接着剤による
厚みのバラツキが小さくなり、より高精度な薄層化の加
工が可能となる。
【0044】また、本実施の形態では、一括して多数の
圧電素子を製造することができ、圧電基板101を単体
で加工した場合に生じる、加工後の個別素子の取り扱い
や貼り合わせ、位置合わせなどを行ことがなくなり、圧
電素子製造において高生産性を実現することができる。
【0045】また、本実施の形態では、圧電基板101
と補助基板102との貼り合わせに直接接合法を用いて
いるため、接着剤などを用いた場合などに生じる接着剤
の塗りむらによる研磨むらをなくすことができ、かつ接
合強度を非常に強くすることが可能となる。
【0046】なお、上述した第1の実施の形態では、圧
電基板101と補助基板102を直接接触させて加熱処
理した後に、薄層化の加工を行うとしたが、直接接触さ
せた後に加熱処理を行わずに薄層化加工を行い、その後
に加熱処理を行ってもよい。直接接合による接合強度
は、加熱処理をせずに研磨等の薄層化加工をしても、圧
電基板101と補助基板102とが分離しない程度の強
度を有するからである。
【0047】また、上述した第1の実施の形態では、圧
電基板101の表面に櫛形電極を形成して、温度特性を
改善した温度補償型表面波フィルターを製造する例を示
したが、電極の構成を変えることにより、圧電フィルタ
ーの場合と同様、高精度なセンサやアクチュエータを製
造することも可能である。
【0048】また、上述した第1の実施の形態では、圧
電基板101に有底溝103を形成するさい、ダイシン
グソーを用いるとしたが、同様の効果が得られる加工で
あれば、例えばプラズマ加工法やエッチング法などを用
いてもよい。同様に、上述した第1の実施の形態では、
圧電基板101を薄くするさい、研磨機を用いるとした
が、同様の効果が得られる加工であれば、例えば研削や
エッチングなどの方法を用いてもよい。
【0049】また、上述した第1の実施の形態では、請
求項1の本発明を説明するための用語のうち、圧電基板
材の相対的凹部として有底溝103、圧電基板材の相対
的凹部形成面として接合予定面111、補助基板の貼り
合わせ面として接合予定面112をそれぞれ用いた。
【0050】また、上述した第1の実施の形態では、圧
電基板101と補助基板102とを貼り合わせた後、加
熱処理を行うとしたが、圧電基板101および/または
補助基板102として水晶板を用いる場合、573℃で
α−β転移するので、これに近い温度に加熱するには、
熱履歴により周波数特性が劣化するため、転移点以下の
低温で、例えば300℃での加熱処理が望ましい。
【0051】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態の圧電基板の製造方法を図3を参照して説
明する。
【0052】図3は、本発明の第2の実施の形態の圧電
基板の製造方法の工程図である。本第2の実施の形態
は、圧電基板101として圧電セラミック基板を用い
(図3(a))、補助基板102としてステンレス30
4基板を用いた例を示すものである。
【0053】まず、本発明の第1の実施の形態と同様に
して、圧電基板101の接合予定面111に、ダイシン
グソーを用いて幅80μm、深さ30μmの有底溝10
3を形成する。
【0054】次に補助基板102の接合予定面112
に、中央部が貫通しており30μmの厚みを持つ同種の
ステンレス基板の加工ストップ材104を、エレクトロ
ンワックスを用いて貼り合わせる(図3(b、c))。
なお、上述した加工ストップ材104の厚み30μm
は、圧電基板101を研磨して薄くするさいの目標厚み
である。
【0055】その後、圧電基板101の接合予定面11
1と、補助基板102の接合予定面112とを、エポキ
シ樹脂を介して面接させて、そのエポキシ樹脂を用いて
貼り合わせる(図3(d))。
【0056】図3(d)に示すように圧電基板101と
補助基板102とを貼り合わせた後、補助基板102を
ベースとして、貼り合わせた圧電基板101の加工面1
21から、圧電基板101を、加工ストップ材104の
表面まで研磨して薄くする(図3(e))。この段階
で、圧電基板101は、有底溝103が設けられていた
ことによって分離された状態になる。
【0057】この薄層化研磨後、図示していないが圧電
基板101の表面に電極を形成することによって、1枚
の基板上に多くのアクチュエータを配置した多連アクチ
ュエータを容易に製造することが可能となる。ただし裏
面の電極は補助基板102であるステンレス基板で代用
する。
【0058】この製造方法を用いて製造したアクチュエ
ータは、インクジェットなどの液敵制御用圧電素子とし
て広く用いることが可能である。
【0059】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法を用いれば、割れや欠けを生じさせるこ
となく圧電基板101を薄くすることができるととも
に、加工ストップ材104を用いたため圧電基板101
の薄さの程度を実質上所望厚さになるように加工するこ
とができる。つまり加工時の圧電基板101の厚み制御
が容易になるということである。その加工ストップ材1
04の厚みを精密に制御すれば、圧電基板101の厚み
を簡単に精密に制御することができる。
【0060】また、圧電基板101に有底溝103を形
成した状態で接着剤を用いて貼り合わせているため、余
分な接着剤やゴミなどの不純物が有底溝103内に流れ
込み、圧電基板101と補助基板102をより高精度に
貼り合わせることが可能となり、研磨精度の向上につな
がる。
【0061】さらに、圧電セラミックをシート成形した
場合に生じる、そりなどを生じることなく薄層化加工を
行うことができる。
【0062】なお、上述した第2の実施の形態では、圧
電基板101の表面に電極を形成して、裏面では補助基
板102であるステンレス基板を電極として用いて多連
アクチュエータを製造する例を説明したが、電極の構成
を変えることにより、多連アクチュエータの場合と同
様、高精度な多連センサなどを製造することも可能であ
る。
【0063】さらに、上述した第2の実施の形態では、
圧電基板101に有底溝103を形成するさい、ダイシ
ングソーを用いるとしたが、同様の効果が得られる加工
であれば、例えばプラズマ加工法やエッチング法などを
用いてもよい。同様に、上述した第2の実施の形態で
は、圧電基板101を薄くするさい、研磨機を用いると
したが、同様の効果が得られる加工であれば、例えば研
削やエッチングなどの方法を用いてもよい。
【0064】また、上述した第2の実施の形態では、加
工ストップ材104として圧電基板101よりも加工速
度の遅いステンレス基板を用いるとする。しかしなが
ら、加工ストップ材104として、加工速度が圧電基板
101と同等あるいは速い基板でも、圧電基板101単
体で加工しているときの加工速度と、加工面が加工スト
ップ材104面に到達したときの加工速度に差が出るよ
うであれば、他の基板を用いてもよい。
【0065】また、上述した第2の実施の形態では、補
助基板102に加工ストップ材104を貼り合わせてい
るが、補助基板102にエッチングなどの加工法を用い
て、所要厚みの段差を設けても同様の効果を得ることが
できる。
【0066】また、加工ストップ材104は、圧電基板
101を所要厚みに加工した後に補助基板102から取
り外すことにより、複数回用いることも可能であり、製
造コストの低減および製造バラツキの低減を行うことも
できる。
【0067】最後に、上述した第2の実施の形態では、
請求項9の本発明を説明するための用語のうち、薄さ調
整部材として加工ストップ材104を用いた。
【0068】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態の圧電基板の製造方法を図4および5を参
照して説明する。
【0069】図4および5は、本発明の第3の実施の形
態の圧電基板の製造方法として、タンタル酸リチウム基
板を用いた、ストリップ型振動子の製造方法を斜視図で
示す工程図である。
【0070】圧電基板101として、Xカットタンタル
酸リチウム基板を用い(図4(a))、補助基板102
として、厚み300μmの同種のXカットタンタル酸リ
チウム基板(図4(b))を用いた例であるが、まず圧
電基板101の補助基板102との接合予定面111に
プラズマ加工法を用いて幅100μm深さ30μmの有
底溝103を200μm間隔で形成する。
【0071】次に、補助基板102の接合予定面112
に、研削機を用いて幅800μmの凹部105を、圧電
基板101に形成した有底溝103と実質上垂直な方向
に形成する。
【0072】そして、圧電基板101と補助基板102
とを貼り合わせる(図1(c))。その貼り合わせの工
程には直接接合法を用いる。まず圧電基板101の接合
予定面111と、補助基板102の接合予定面112と
を、アンモニアと過酸化水素水と純水の混合液で親水化
処理した後、圧電基板101の接合予定面111と、補
助基板102の接合予定面112とを面接させて、直接
接触させ、この状態で、300℃の加熱処理を行って、
接合する(図4(c))。
【0073】図4(c)に示すように圧電基板101と
補助基板102とを貼り合わせた後、補助基板102を
ベースとして、貼り合わせた圧電基板101の加工面1
21から、圧電基板101を、有底溝103の底部を取
り除き、例えば30μm等の所要厚みとなるように研磨
して薄くする(図4(d))。この段階で、圧電基板1
01は、有底溝103が設けられていたことによって分
離された状態になる。
【0074】この薄層化研磨後、圧電基板101の表裏
面に電極110を形成し、圧電基板101に形成した切
断用の取りしろに沿って補助基板102を切断(図5
(a))することによって、圧電基板101と補助基板
102を貼り合わせた、ストリップ形状の圧電振動子が
得られる(図5(b))。
【0075】この製造方法を用いてストリップ型振動子
を試作したところ、高周波で共振尖鋭度が高く、スプリ
アスのない単一共振の振動子を得ることができた。ま
た、ストリップ素子の幅(圧電基板101の幅)が10
0μmと非常に細くすると、通常の製造方法では取り扱
いが非常に困難であるが、本実施の形態の製造方法を用
いることにより、素子の幅がストリップの幅+有底溝の
幅+取りしろの幅となるため、全体の幅が広くなり取り
扱いが容易になる。
【0076】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法を用いれば、圧電基板101を薄くした
後切断するさいにも割れや欠けを生じさせることがな
い。また、圧電基板101上への電極形成やハンドリン
グを容易にすることができる。
【0077】また、本実施の形態では、圧電基板101
と補助基板102との貼り合わせに直接接合法を用いて
いるため、接着剤などを用いた場合などに生じる接着剤
の塗りむらによる研磨むらをなくすことができ、かつ接
合強度を非常に強くすることが可能となる。
【0078】また、本実施の形態では、補助基板102
に凹部105を形成することにより、第1および第2の
実施の形態に示した補助基板102が平板の場合と比較
して、加工後にくり貫きエッチングなどを行うときに生
じる素子の損傷を抑えることが可能となり、励振部が必
要な圧電振動子やフィルタ、センサを容易に製造するこ
とができる。
【0079】なお、上述した第3の実施の形態では、圧
電基板101と補助基板102を直接接触させて加熱処
理した後に、薄層化の加工を行うとしたが、直接接触さ
せた後に加熱処理を行わずに薄層化加工を行い、その後
に加熱処理を行ってもよい。
【0080】また、上述した第3の実施の形態では、圧
電基板101に有底溝103を形成するさい、プラズマ
加工法を用いるとしたが、同様の効果が得られる加工で
あれば、例えばダイシングソーを用いる方法やエッチン
グ法などを用いてもよい。同様に、上述した第3の実施
の形態では、圧電基板101を薄くするさい、研磨機を
用いるとしたが、同様の効果が得られる加工であれば、
例えば研削やエッチングなどの方法を用いてもよい。
【0081】さらにまた、本実施の形態では圧電基板1
01の分離用切断用の有底溝103を形成していない
が、素子分離用の有底溝103を形成して薄層化加工を
行うことにより第1の実施の形態の場合と同様に、薄層
化加工と同時に圧電基板101の分離を行うことができ
る。
【0082】(第4の実施の形態)次に、本発明の第4
の実施の形態の圧電基板の製造方法を図6および7を参
照して説明する。
【0083】図6および7は、本発明の第4の実施の形
態の圧電基板の製造方法として、ATカット水晶基板を
用いた、水晶振動子の製造方法を斜視図で示す工程図で
ある。
【0084】圧電基板101として、ATカット水晶基
板を用い(図6(a))、補助基板102として、厚み
300μmのガラス基板(図6(b))を用いた例であ
るが、まず圧電基板101の補助基板102との接合予
定面111にフッ化アンモニウムによるエッチング加工
法を用いて幅50μm深さ13μmの有底溝103を形
成する。
【0085】次に、補助基板102の接合予定面112
に、サンドブラスト加工法を用いて、開口部すなわち貫
通孔106を形成する。
【0086】そして、圧電基板101と補助基板102
とを貼り合わせる(図1(c))。その貼り合わせの工
程にはエポキシ樹脂を接着剤として使用する方法を用い
る。まず、補助基板102の接合予定面112にエポキ
シ樹脂を塗布し、圧電基板101の接合予定面111
と、補助基板102の接合予定面112とをエポキシ樹
脂を介して面接させ、この状態で、150℃の加熱処理
を行って、接合する(図6(c))。
【0087】その後、補助基板102をベースとして、
貼り合わせた圧電基板101の加工面121から、圧電
基板101を、有底溝103の底部を取り除き、例えば
13μm等の所要厚みとなるように研磨して薄くする
(図6(d))。この段階で、圧電基板101は、有底
溝103が設けられていたことによって分離された状態
になる。
【0088】この薄層化研磨後、圧電基板101の表裏
面に図示していない電極を形成し、圧電基板101に形
成した有底溝103の位置に対応する位置に沿って補助
基板102を切断(図7(a))することによって、圧
電基板101と補助基板102を貼り合わせた、片持ち
梁の圧電振動子が得られる(図7(b))。
【0089】この製造方法を用いて片持ち梁の水晶振動
子を試作したところ、発信周波数130MHzの高周波
振動子を容易に製造することができる。また、片持ち梁
構造としているため、圧電基板101に対しての、補助
基板102との貼り合わせ時の応力などにより発生する
特性への影響を最低限に抑えることができ、温度特性の
良好な振動子を製造できる。
【0090】ところで、本実施の形態の製造方法を用い
て水晶振動子を製造すると、図8に示すように振動子の
中央部が変形する現象が現れる。これは、補助基板10
2に貫通孔106を設けることにより、圧電基板101
に裏打ちがない状態で加工を行うために起こる現象であ
る。この現象により本実施の形態の製造方法を用いる
と、素子の中央部が約5μm膨らんだ形状となる。この
形状を利用して振動子を製造することによりエネルギー
閉じこめ効率の高い振動子を製造することが可能とな
る。
【0091】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法を用いれば、圧電基板101を薄くした
後切断するさいにも割れや欠けを生じさせることがな
い。また、圧電基板101上への電極形成やハンドリン
グを容易にすることができる。
【0092】さらに、補助基板102に貫通孔106を
形成することにより、第1および第2の実施の形態に示
した補助基板102が平板の場合と比較して、加工後に
くり貫きエッチングなどを行うときに生じる素子の損傷
を抑えることが可能となり、励振部に空隙が必要な圧電
振動子やフィルタ、センサを容易に製造することができ
る。
【0093】また、第3の実施の形態の製造方法では、
貼り合わせ後に、圧電基板101の接合予定面111に
電極の作製などの後処理を行うことが難しいが、本製造
方法を用いることにより容易に電極の作製などの後処理
を行うことができる。
【0094】さらに、圧電基板101に有底溝103を
形成した状態で接着剤を用いて貼り合わせているため、
余分な接着剤やゴミなどの不純物が有底溝103内に流
れ込み、圧電基板101と補助基板102をより高精度
に貼り合わせることが可能となり、研磨精度の向上につ
ながる。
【0095】(第5の実施の形態)次に、本発明の第5
の実施の形態の圧電基板の製造方法を図9を参照して説
明する。
【0096】図9は、上述した第4の実施の形態の圧電
基板の製造方法の変形例としての圧電基板の製造方法の
工程図である。
【0097】圧電基板101としてATカット水晶基板
を用い、補助基板102として同じATカット水晶基板
を用いて、第4の実施の形態と同様の手順で有底溝10
3と貫通孔106を設け、貼り合わせている。
【0098】圧電基板101と補助基板102とを貼り
合わせた後、補助基板102の貫通孔106および圧電
基板101の有底溝103に、充填材107としての軟
化点約70℃のエレクトロンワックスを100℃に加熱
・溶融させて充填し、放冷して硬化させる(図9
(c))。
【0099】その後、補助基板102をベースとして、
貼り合わせた圧電基板101の加工面121から、圧電
基板101を、有底溝103の底部を取り除き、例えば
13μm等の所要厚みとなるように研磨して薄くする
(図9(d))。この段階で、圧電基板101は、有底
溝103が設けられていたことによって、充填材107
にのみ挟まれた状態になる。
【0100】この薄層化研磨後、充填材107であるエ
レクトロンワックスをアセトンを用いて排出し完全に除
去する(図9(e))。
【0101】この充填材107除去後、図示していない
励振電極を圧電基板101の表裏面に形成することによ
り、水晶振動子とすることができる。
【0102】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法によれば、上述した第4の実施の形態と
同様の効果を得ることができるとともに、図8に示した
薄層化後の圧電基板101の変形を約1/10程度に減
少することができる。これは、充填材107を充填した
状態で研磨したため裏打ちのある状態で薄層化研磨を行
うことができたからである。
【0103】なお、充填材107は、圧電基板101と
補助基板102とを貼り合わせた後の、補助基板102
の貫通孔106および圧電基板101の有底溝103の
全部または一部に充填しさえすればよい。
【0104】(第6の実施の形態)次に、本発明の第6
の実施の形態の圧電基板の製造方法を図10を参照して
説明する。
【0105】図10は、上述した第4の実施の形態の圧
電基板の製造方法の変形例としての圧電基板の製造方法
の工程図である。
【0106】圧電基板101として、ニオブ酸リチウム
基板に、電極110としての所定の金属薄膜を形成した
バイモルフ基板を用い、補助基板102としてガラス基
板を用い、第4の実施の形態で説明したようにして有底
溝103と貫通孔106を設ける(図10(a、
b))。金属薄膜を形成する工程は、有底溝103が設
けられる前の圧電基板101に、真空蒸着法を用いて行
い、クロム−金の2層電極を形成する。
【0107】そして、第4の実施の形態の場合と同様の
手順で、圧電基板101と補助基板102を貼り合わせ
る(図10(c))。
【0108】その後、補助基板102をベースとして、
貼り合わせた圧電基板101の加工面121から、圧電
基板101を、有底溝103の底部を取り除き、例えば
50μm等の所要厚みとなるように研磨して薄くする
(図10(d))。この段階で、圧電基板101は、有
底溝103が設けられていたことによって分離された状
態になる。
【0109】この薄層化研磨後、図示していない励振電
極を圧電基板101の表面に形成することにより、ニオ
ブ酸リチウムを用いたバイモルフ型圧電センサとするこ
とができる。
【0110】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法によれば、上述した第4の実施の形態と
同様の効果を得ることができるとともに、貼り合わせ工
程の前に圧電基板101に電極110を形成しているた
め、薄層化研磨時にこの電極110を用いて圧電基板1
01の厚みのその場観測をすることができる。これによ
り、厚みの管理がより精密になりさらに高精度な薄層基
板を製造することができる。
【0111】なお、薄層化工程の前に第5の実施の形態
の製造方法のように、充填材107を充填してもよい。
それにより、第5の実施の形態で説明したように、圧電
基板101の薄層化加工後の形状をより平坦にすること
ができる。この場合、研磨中等の厚み確認は、レーザー
等を用いることによって測定することもできる。
【0112】(第7の実施の形態)次に、本発明の第7
の実施の形態の圧電基板の製造方法を図11および12
を参照して説明する。
【0113】図11および12は、本発明の第7の実施
の形態の圧電基板の製造方法として、ATカット水晶基
板を用いた、水晶振動子の製造方法を斜視図で示す工程
図である。
【0114】圧電基板101として、ATカット水晶基
板を用い(図11(a))、補助基板102として、厚
み300μmのATカット水晶基板(図11(b))を
用いた例であるが、まず圧電基板101の補助基板10
2との接合予定面111にフッ化アンモニウムによるエ
ッチング加工法を用いて幅40μm深さ1.6μmの有
底溝103を形成する。さらに、図11(a)に示すよ
うに、互いに実質上直交する複数の有底溝103によっ
て区切られた各ブロック内の中央部の脇に、有底溝10
3と実質上同一深さの第2有底溝113を4つ形成す
る。第2有底溝113は、補助基板102との貼り合わ
せ時に発生する応力を緩和する目的で形成されるもので
ある。なお、各ブロックの中央部は励振部になる予定の
部分である。
【0115】そして、補助基板102に、圧電基板10
1と貼り合わせたときに圧電基板101の励振部、つま
り上述した各ブロックの中央部に相当する部分を取り囲
むように深さ250μmの有底溝103を形成する。そ
して、補助基板102の有底溝103に取り囲まれた内
側に、エッチング加工法により補助基板102の接合予
定面112から0.1μm低くなるように、凸部の接合
防止手段108を形成する。つまり、図11(b)に示
すように、補助基板102の各ブロック内は中央部が周
囲より0.1μm低くなっている凸部を有する凹部にな
っている。
【0116】次に、圧電基板101と補助基板102と
を、互いの各ブロック同士が重なるように貼り合わせる
(図11(c))。その貼り合わせの工程には第1の実
施の形態の場合と同様に直接接合法を用い、第1の実施
の形態と同様の方法で基板を洗浄した後、圧電基板10
1の接合予定面111と補助基板102の接合予定面1
12を面接させて、直接接触させて350℃で熱処理を
行う。(図11(c))。なお、直接接合を行っても、
接合防止手段108の上面は、補助基板102の接合予
定面112より低くなっているため圧電基板101とは
接合しない。
【0117】その後、補助基板102をベースとして、
貼り合わせた圧電基板101の加工面121から、圧電
基板101を、有底溝103の底部を取り除き、例えば
1.6μm等の所要厚みとなるように研磨して薄くする
(図6(d))。この段階で、圧電基板101は、有底
溝103が設けられていたことによって分離された状態
になる。
【0118】この圧電基板101の薄層化研磨後、補助
基板102を研磨して、補助基板102の有底溝103
を取り囲む部分を除去する。この工程では、補助基板1
02を、圧電基板101をベースとして、補助基板10
2の有底溝103の下端まで研磨する(図11
(e))。有底溝103の内側部分は、接合防止手段1
08が残るだけであるので、簡単に取り除くことがで
き、これにより、補助基板102の厚み方向には、圧電
基板101に達する開口部が形成されることになる(図
11(f))。
【0119】この後、補助基板102にできた開口部を
利用して圧電基板101の表裏面に図示していない電極
を形成し、圧電基板101に形成した有底溝103の位
置に対応する位置に沿って補助基板102を切断(図1
2(a))することによって、圧電基板101の励振部
に有底溝103によりできたスリットのある構造の圧電
基板を製造することができる(図12(b,c))。
【0120】この製造方法を用いて水晶振動子を試作し
たところ、発信周波数1GHzの高周波振動子を容易に
製造することができる。また、周囲にスリットを形成し
た構造としているため、圧電基板101を補助基板10
2と貼り合わせることにより起こる、圧電基板101の
特性への影響を最低限に抑えることができ、温度特性の
良好な振動子を製造できる。
【0121】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法を用いれば、圧電基板101を薄くした
後切断するさいにも割れや欠けを生じさせることがな
い。また、圧電基板101上への電極形成やハンドリン
グを容易にすることができる。また、圧電基板101の
励振部に対応する補助基板102に接合防止手段108
を設けているため、その接合防止手段108が励振部に
は裏打ち用手段となり、第4の実施の形態で製造する場
合よりもさらに高精度な薄層化加工を行うことが可能と
なる(膨らみ量1/100以下)。また、第5の実施の
形態では、研磨時の加重などの応力により樹脂などの充
填材107の変形がある程度あるが、本実施の形態で
は、励振部の変形は、補助基板102の接合予定面11
2と接合防止手段108の上面との差、本実施の形態で
は0.1μm以下と極めて小さくなる。
【0122】なお、本実施の形態では、接合防止手段1
08を、補助基板102側にエッチング加工法を用いて
形成したが、接合防止手段108を圧電基板101側に
凸となるように形成しても同様の効果を得ることができ
る。また、圧電基板101の励振部を凹状にしてもよ
い。
【0123】また、接合防止手段108として、圧電基
板101あるいは補助基板102のどちらか一方にテフ
ロンコーティングなどのパターンを形成し、圧電基板1
01の励振部と補助基板102の凹部が貼り合わされな
いようにしても、同様の効果を得ることができる。
【0124】(第8の実施の形態)次に、本発明の第8
の実施の形態の圧電基板の製造方法を図13を参照して
説明する。
【0125】図13は、上述した第7の実施の形態の圧
電基板の製造方法の変形例としての圧電基板の製造方法
の工程図である。
【0126】圧電基板101として、圧電セラミック基
板を用い(図13(a))、補助基板102として、厚
み300μmのガラス基板(図13(b))を用いた例
であるが、まず圧電基板101の接合予定面111にサ
ンドブラスト加工法を用いて幅40μm深さ30μmの
有底溝103を形成し、圧電基板101の励振部に相当
する部分に、接合防止手段108として厚み0.05μ
mのアルミ電極に設け、その表面にテフロンコーティン
グを施す。また、上述した第7の実施の形態で説明した
ようにして第2有底溝113を形成する。
【0127】次に、補助基板102に圧電基板101の
励振部に相当する部分を取り囲む深さ250μmの有底
溝103形成し、その内側に接合防止手段108として
エッチング加工法により、接合予定面112より0.0
6μm低くなるような凸部を形成している。
【0128】次に、圧電基板101と補助基板102と
を、互いの各ブロック同士が重なるように貼り合わせる
(図13(c))。その貼り合わせの工程には、エポキ
シ樹脂を用い、補助基板102の接合予定面112にエ
ポキシ樹脂を塗布して圧電基板101の接合予定面11
1と補助基板102の接合予定面112を面接させ、電
気炉で150℃に加熱してエポキシ樹脂の硬化を行い、
貼り合わせを行う。(図13(c))。なお、圧電基板
101と補助基板102とを貼り合わせても、補助基板
102の接合防止手段108の上面は、補助基板102
の接合予定面112より低くなっているため圧電基板1
01とは接合しない。
【0129】その後、補助基板102をベースとして、
貼り合わせた圧電基板101の加工面121から、圧電
基板101を、有底溝103の底部を取り除き、例えば
30μm等の所要厚みとなるように研磨して薄くする
(図13(d))。この段階で、圧電基板101は、有
底溝103が設けられていたことによって分離された状
態になる。
【0130】この圧電基板101の薄層化研磨後、補助
基板102を研磨して、補助基板102の有底溝103
を取り囲む部分を除去する。この工程では、補助基板1
02を、圧電基板101をベースとして、補助基板10
2の有底溝103の下端まで研磨する(図13
(e))。その結果、有底溝103の内側部分は、補助
基板102の接合防止手段108が残るだけであるの
で、簡単に取り除くことができ、これにより、補助基板
102の厚み方向には、圧電基板101に達する開口部
が形成されることになる(図13(f))。
【0131】この後、補助基板102にできた開口部を
利用して圧電基板101の表裏面に図示していない電極
を形成し、圧電基板101に形成した有底溝103の位
置に沿って補助基板102を切断することによって、圧
電基板101の励振部に第2有底溝113によりできた
スリットのある構造の圧電基板を製造することができ
る。
【0132】この製造方法を用いてセラミックフィルタ
ーを試作したところ、圧電基板101を補助基板102
と貼り合わせることにより起こる特性への影響を最低限
に抑えることができ、特性の劣化の少ないセラミックフ
ィルターを製造することができる。
【0133】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法を用いれば、第7の実施の形態で説明し
た効果と同様の効果を得ることができる。また、第7の
実施の形態の場合と比較すると、圧電基板101の励振
部に、接合防止手段108としてのアルミ電極薄膜およ
びテフロンコーティングを形成するので、励振部には裏
打ち用の補助基板102の接合防止手段108が存在
し、その接合防止手段108と励振部との空隙を非常に
小さくすることが可能となる。その結果、第7の実施の
形態の圧電基板の製造方法よりも、さらに高精度な薄層
化加工を行うことが可能となる。
【0134】また、貼り合わせ工程の前に圧電基板10
1に接合防止手段108として金属薄膜を形成している
ため、第6の実施の形態で説明したように、薄層化研磨
時にその金属薄膜を用いて圧電基板101の厚みのその
場観測をすることができるという効果を得ることができ
る。これにより、厚みの管理がより精密になる。
【0135】(第9の実施の形態)次に、本発明の第9
の実施の形態の圧電基板の製造方法を図14を参照して
説明する。
【0136】図14は、本発明の第9の実施の形態の圧
電基板の製造方法として、ニオブ酸リチウム基板を用い
た、圧電センサの製造方法を斜視図で示す工程図であ
る。
【0137】圧電基板101として、ニオブ酸リチウム
基板を用い(図14(a))、補助基板102にも圧電
基板101と同種の厚み50μmのニオブ酸リチウム基
板、(図14(b))を用いた例であるが、まず圧電基
板101の補助基板102との接合予定面111にプラ
ズマ加工法を用いて幅50μm深さ50μmの有底溝1
03を実質上平行となるように複数形成する。次に、補
助基板102に圧電基板101の有底溝103に相当す
る部分に幅50μmの貫通溝109をプラズマ加工法を
用いて形成し、櫛状にする。
【0138】そして、圧電基板101と補助基板102
とを、有底溝103と貫通溝109とが実質上重なるよ
うに、いいかえると圧電基板101の接合予定面111
と、補助基板102の接合予定面112とが実質上重な
るように、貼り合わせる(図14(c))。その貼り合
わせの工程には、第1の実施の形態で説明した直接接合
法を用い、第1の実施の形態と同様の方法で圧電基板1
01および補助基板102を洗浄した後、圧電基板10
1の接合予定面111と補助基板102の接合予定面1
12を面接させて、直接接触させて300℃で熱処理を
行う。(図14(c))。
【0139】その後、補助基板102をベースとして、
貼り合わせた圧電基板101の加工面121から、圧電
基板101を、有底溝103の底部を取り除き、例えば
50μm等の所要厚みとなるように研磨して薄くする
(図14(d))。この段階で、圧電基板101は、有
底溝103が設けられていたことによって分離された状
態になり、補助基板102も最初に貫通溝109を形成
して各歯を分離した構造としているため、圧電基板10
1の各部の上に補助基板102の各歯の部分が重なるよ
うな構造となる。
【0140】この後、圧電基板101の加工面121と
補助基板102の歯の部分とに電極を形成することによ
り、バイモルフ型の多連センサとすることができる。
【0141】この製造方法を用いて多連センサを試作し
たところ、多連化することにより誤動作の非常に少ない
センサを容易に製造することができる。また、本実施の
形態において、圧電基板101の有底溝103と、対応
する補助基板102の貫通孔109の構造を変化させる
ことにより、センサ部の長さを場所により変化させれ
ば、周波数感度幅の非常に広いセンサあるいは非常に狭
い周波数感度を有するセンサを容易に製造することがで
きる。
【0142】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法を用いれば、圧電基板101を薄くする
さい割れや欠けを生じさせず、また、圧電基板101上
への電極形成やハンドリングなどを容易にすることがで
きる。
【0143】また、圧電基板101に有底溝103を形
成し、補助基板102に貫通溝109を形成した後に薄
層化加工を行い、その加工と同時に圧電基板101が分
離して、多連素子ができる構造としているため、薄層化
加工終了直前まで有底溝103の底部が圧電基板101
の加工面121に現れない。そのため、有底溝103部
分での素子の欠けなどによる圧電基板101の表面(加
工面121)への傷の発生などを防止することができ、
加工終了後に個々の素子に分離する工程がいらないた
め、素子の歩留まりが向上する。
【0144】なお、上述した第9の実施の形態では、圧
電基板101と補助基板102とを直接接合法を用いて
貼り合わせるとしたが、接着剤を用いて貼り合わせても
よい。圧電基板101には有底溝103が形成されてい
るので、接着剤を用いて貼り合わせた場合でも、余分な
接着剤やゴミなどの不純物が有底溝103内に流れ込
み、圧電基板101と補助基板102をより高精度に貼
り合わせることが可能となり、加工精度の向上につなが
る。
【0145】また、上述した第9の実施の形態では、圧
電基板101に有底溝103を形成するさい、また補助
基板102に貫通孔109を形成するさい、プラズマ加
工法を用いるとしたが、同様の効果が得られる加工であ
れば、例えばサンドブラスト法やエッチング法などを用
いてもよい。同様に、上述した第9の実施の形態では、
圧電基板101を薄くするさい、研磨機を用いるとした
が、同様の効果が得られる加工であれば、例えば研削や
エッチングなどの方法を用いてもよい。
【0146】(第10の実施の形態)次に、本発明の第
10の実施の形態の圧電基板の製造方法を図15を参照
して説明する。
【0147】図15は、上述した第9の実施の形態の圧
電基板の製造方法の変形例としての圧電基板の製造方法
の工程図である。
【0148】圧電基板101としてセラミック基板を用
い(図15(a))、上述した第2の実施の形態で説明
した加工ストップ材104としてステンレス304基板
を用い(図15(b))、補助基板102として加工ス
トップ材104と同種のステンレス304基板を用いた
例である(図15(c))。まず圧電基板101の補助
基板102との接合予定面111にダイシングソーを用
いて幅80μm深さ10μmの有底溝103を、実質上
平行となるように複数形成し、次に補助基板102に圧
電基板101の有底溝103に相当する部分に幅80μ
mの貫通孔109をエッチング法を用いて形成する。
【0149】そして、上述した第2の実施の形態で説明
したように、まず補助基板102の接合予定面112に
加工ストップ材104をエポキシ樹脂を用いて貼り合わ
せ、その後に、同じくエポキシ樹脂を用いて、上述した
第9の実施の形態で説明したようにして圧電基板101
の接合予定面111を、補助基板102の接合予定面1
12と面接させて130℃で熱処理を行い、圧電基板1
01と補助基板102とを貼り合わせる(図15
(d))。
【0150】その後、補助基板102をベースとして、
貼り合わせた圧電基板101の加工面121から、圧電
基板101を、有底溝103の底部を取り除き、例えば
10μm等の所要厚みとなるように、加工ストップ材1
04の面に到達するまで研磨して薄くする。この段階
で、圧電基板101は、有底溝103が設けられていた
ことによって分離された状態になり、補助基板102も
最初に貫通孔109を形成して各凸部を分離した構造と
しているため、圧電基板101の各部の上に補助基板1
02の各凸部が重なるような構造となる。
【0151】この後、圧電基板101の加工面121に
電極を形成することにより、バイモルフ型の多連センサ
とすることができる(裏面電極はステンレス基板により
代用)。
【0152】この製造方法を用いて多連アクチュエータ
を試作したところ、多連化されたアクチュエータで、さ
らには素子の分離が有底溝103と貫通孔109により
完全におこなわれているため、圧電基板101の周囲の
一部を固定したアクチュエータよりも、より大きな変位
を得ることが可能である。また、非常に狭い間隔でアク
チュエータを配置することが可能である。
【0153】以上説明したように、本実施の形態の圧電
基板の製造方法を用いれば、第9の実施の形態で説明し
た効果と同様の効果を得ることができる。
【0154】また、第9の実施の形態と比較すると、加
工ストップ材104を用いているため、第2の実施の形
態で説明したように圧電基板101を所要厚みへ薄くす
る薄層化の加工が容易となり、さらに高精度な加工が可
能となる。
【0155】さらに、第10の実施の形態の製造方法を
用いて多連センサやアクチュエータを製造する場合、素
子の間隔を容易に狭くすることが可能である。
【0156】なお、本実施の形態では、圧電基板101
の表面に電極を形成し、裏面の補助基板102であるス
テンレス基板を他方の電極として用いて多連アクチュエ
ータを製造するとしたが、電極の構成を変えることによ
り、多連アクチュエータの場合と同様、高精度な多連セ
ンサやフィルタなどを製造することも可能である。
【0157】また、上述した第10の実施の形態では、
圧電基板101に有底溝103を形成するさい、ダイシ
ングソーを用いるとしたが、同様の効果が得られる加工
であれば、例えばプラズマ加工法やエッチング法などを
用いてもよい。同様に、上述した第10の実施の形態で
は、圧電基板101を薄くするさい、研磨機を用いると
したが、同様の効果が得られる加工であれば、例えば研
削やエッチングなどの方法を用いてもよい。
【0158】また、本実施の形態では、加工ストップ材
104として圧電基板101よりも加工速度の遅いステ
ンレス基板を用いるとしたが、加工ストップ材104
は、加工速度が圧電基板101と同等あるいは速い基板
でも、圧電基板101単体で加工しているときの加工速
度と加工ストップ材104面に到達したときの加工速度
に差が出るようであれば、他の基板を用いても可能であ
る。
【0159】また、本実施の形態では、補助基板102
に加工ストップ材104を貼り合わせるとしたが、補助
基板102にエッチングなどの加工法を用いて、所要厚
みの段差を設けても同様の効果を得ることができる。
【0160】また、加工ストップ材104は、圧電基板
101を所要厚みに加工した後に補助基板102から取
り外すことにより、複数回用いることも可能であり、製
造コストの低減および製造バラツキの低減を行うことも
できる。
【0161】また、上述した加工ストップ材104は、
第2および第10の実施の形態の製造方法にのみ使用さ
れるとしたが、その他の実施の形態の製造方法に用いて
もよい。
【0162】また、上述した実施の形態では、圧電基板
101として水晶基板、ニオブ酸リチウム基板、タンタ
ル酸リチウム基板等の単結晶基板や、その他の圧電セラ
ミック基板などが使用されるとしたが、圧電基板101
としてホウ酸リチウム基板やランガサイト基板の単結晶
基板が使用されてもよい。
【0163】さらに、上述したように、補助基板102
は、圧電基板101を支持して補強するものであり、こ
の補助基板102と圧電基板101の組み合わせを調整
することにより、上述したように、圧電体構造をバイモ
ルフ構造や、ユニモルフ構造などの構造体に形成した
り、直接接合等を用いた高精度な貼り合わせが可能とな
る。
【0164】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明は、割れや欠けを生じることなく、圧電デバイス
に必要とされる平面度、平行度、表面粗さを保持しなが
ら、所定の厚さに圧電基板を薄層化加工する圧電基板の
製造方法を提供することができる。
【0165】また、本発明は、多数の薄い圧電素子を歩
留まり良く生産することができる圧電基板の製造方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の圧電基板の製造方
法を示した工程図の前半部
【図2】本発明の第1の実施の形態の圧電基板の製造方
法を示した工程図の後半部
【図3】本発明の第2の実施の形態の圧電基板の製造方
法を示した工程図
【図4】本発明の第3の実施の形態の圧電基板の製造方
法を示した工程図の前半部
【図5】本発明の第3の実施の形態の圧電基板の製造方
法を示した工程図の後半部
【図6】本発明の第4の実施の形態の圧電基板の製造方
法を示した工程図の前半部
【図7】本発明の第4の実施の形態の圧電基板の製造方
法を示した工程図の後半部
【図8】本発明の第4の実施の形態の圧電基板の製造方
法によって製造された圧電基板の断面図
【図9】本発明の第5の実施の形態の圧電基板の製造方
法を示した工程図
【図10】本発明の第6の実施の形態の圧電基板の製造
方法を示した工程図
【図11】本発明の第7の実施の形態の圧電基板の製造
方法を示した工程図の前半部
【図12】本発明の第7の実施の形態の圧電基板の製造
方法を示した工程図の後半部
【図13】本発明の第8の実施の形態の圧電基板の製造
方法を示した工程図
【図14】本発明の第9の実施の形態の圧電基板の製造
方法を示した工程図
【図15】本発明の第10の実施の形態の圧電基板の製
造方法を示した工程図
【図16】従来の水晶振動子の斜視図
【図17】従来の圧電アクチュエータや圧電センサの構
成図
【符号の説明】
101 圧電基板 102 補助基板 103 有底溝 104 加工ストップ材 105 凹部 106 貫通孔 107 充填材 108 接合防止手段 109 貫通孔 110 電極 111 圧電基板101の接合予定面 112 補助基板102の接合予定面 113 第2有底溝 121 加工面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡野 祐幸 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 冨田 佳宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 川▲さき▼ 修 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5J108 MM08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の深さの相対的凹部を有する圧電基
    板材と、所定の補助基板とを用意し、 前記圧電基板材の前記相対的凹部が設けられている相対
    的凹部形成面と、前記補助基板の貼り合わせ面とを貼り
    合わせ、 前記圧電基板材の前記相対的凹部形成面の反対側の表面
    から、前記圧電基板材を、前記相対的凹部の少なくとも
    底部を取り除き、所定の厚みになるように薄くすること
    を特徴とする圧電基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記補助基板は、前記貼り合わせ面の所
    定の部分に所定の深さの凹部を有するものであり、その
    凹部を取り囲む凸部と前記相対的凹部形成面とを貼り合
    わせることを特徴とする請求項1記載の圧電基板の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記補助基板は、開口部を有するもので
    あることを特徴とする請求項1記載の圧電基板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記圧電基板材と前記補助基板とを貼り
    合わせた後に、前記補助基板の開口部および前記圧電基
    板材の相対的凹部の全部または一部に、所定の充填材を
    充填し、前記圧電基板材を薄くした後に、前記充填材を
    除去することを特徴とする請求項3記載の圧電基板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記圧電基板材と前記補助基板とを貼り
    合わせる前に、前記圧電基板材の相対的凸部の上面に、
    所定の金属薄膜を形成しておくことを特徴とする請求項
    1記載の圧電基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記補助基板は、前記貼り合わせ面の所
    定の部分に所定の深さの凹部を有するものであって、か
    つその凹部の中央部に前記深さより低い凸部を有するも
    のであり、前記補助基板の凹部を取り囲む凸部と前記相
    対的凹部形成面とを貼り合わせることを特徴とする請求
    項1記載の圧電基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記圧電基板材は、相対的凸部の、前記
    補助基板の前記凹部の中央部に形成されている前記凸部
    の位置に対応する位置に、所定の金属薄膜が形成された
    ものであることを特徴とする請求項6記載の圧電基板の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記補助基板は櫛状のものであって、そ
    れぞれの前記櫛の歯は、前記圧電基板材の相対的凸部に
    対応する位置に形成されており、 前記圧電基板材の相対的凸部と、対応する前記補助基板
    の櫛の歯とが実質上重なるように、前記圧電基板材と前
    記補助基板とを貼り合わせることを特徴とする請求項1
    記載の圧電基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 所定の厚さを有し、前記圧電基板材を薄
    くするさいの前記圧電基板材の薄さの程度を調整するた
    めの薄さ調整部材をさらに用意し、 前記圧電基板材を薄くする前に、前記薄さ調整部材を、
    前記圧電基板材と前記補助基板との貼り合わせ面であっ
    て、前記圧電基板材と前記補助基板とを貼り合わせた部
    分以外の部分に設け、 前記圧電基板材を薄くするさい、前記薄さ調整部材を利
    用することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記
    載の圧電基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記薄さ調整部材は、前記圧電基板よ
    り加工速度の遅いものであることを特徴とする請求項9
    記載の圧電基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記圧電基板材と前記補助基板との貼
    り合わせを、直接接合により行うことを特徴とする請求
    項1から10のいずれかに記載の圧電基板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記圧電基板材の相対的凸部には、前
    記圧電基板材の相対的凹部の深さと実質上同一の深さの
    第2凹部が形成されていることを特徴とする請求項1か
    ら11のいずれかに記載の圧電基板の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記圧電基板材を薄くした後、その圧
    電基板材の相対的凹部に対応する位置で、前記補助基板
    を切断することを特徴とする請求項1から12のいずれ
    かに記載の圧電基板の製造方法。
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