JP3458989B2 - ビスカスヒータ - Google Patents

ビスカスヒータ

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JP3458989B2
JP3458989B2 JP14193896A JP14193896A JP3458989B2 JP 3458989 B2 JP3458989 B2 JP 3458989B2 JP 14193896 A JP14193896 A JP 14193896A JP 14193896 A JP14193896 A JP 14193896A JP 3458989 B2 JP3458989 B2 JP 3458989B2
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heat generating
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rotor
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    • F24HEATING; RANGES; VENTILATING
    • F24VCOLLECTION, PRODUCTION OR USE OF HEAT NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F24V40/00Production or use of heat resulting from internal friction of moving fluids or from friction between fluids and moving bodies

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  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Air-Conditioning For Vehicles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘性流体をせん断
により発熱させ、放熱室内を循環する循環流体に熱交換
して暖房熱源に利用するビスカスヒータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、実開平3−98107号公報に能
力可変のビスカスヒータが開示されている。このビスカ
スヒータでは、前部及び後部ハウジングが対設された状
態で締結され、内部に発熱室と、この発熱室の外域にウ
ォータジャケットとを形成している。ウォータジャケッ
ト内では循環水が入水ポートから取り入れられ、出水ポ
ートから外部の暖房回路へ送り出されるべく循環されて
いる。前部及び後部ハウジングには軸受装置を介して駆
動軸が回動可能に支承され、駆動軸には発熱室内で回動
可能なロータが固着されている。発熱室の壁面とロータ
の外面とは互いに近接する軸方向のラビリンス溝を構成
し、これら発熱室の壁面とロータの外面との間隙にはシ
リコンオイル等の粘性流体が介在される。
【0003】また、このビスカスヒータの特徴的な構成
として、前部及び後部ハウジングの下方には内部にダイ
アフラムを備えた上下カバーが設けられ、上カバーとダ
イアフラムとにより制御室が区画されている。発熱室は
前部及び後部ハウジングの上端に貫設された貫通孔によ
り大気と連通されているとともに、上下カバーに設けら
れた連通管により制御室と連通されており、ダイアフラ
ムはマニホールド負圧及びコイルスプリング等により制
御室の内部容積を調整可能になされている。
【0004】車両の暖房装置に組み込まれたこのビスカ
スヒータでは、駆動軸がエンジンにより駆動されれば、
発熱室内でロータが回動するため、粘性流体が発熱室の
壁面とロータの外面との間隙でせん断により発熱する。
この発熱はウォータジャケット内の循環水に熱交換さ
れ、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供され
ることとなる。
【0005】ここで、このビスカスヒータの能力変化は
同公報によれば以下の作用となる。すなわち、暖房が過
強である場合、マニホールド負圧でダイアフラムを下方
に変位させて制御室の内部容積を拡大する。これによ
り、発熱室内の粘性流体が制御室内に回収されるため、
発熱室の壁面とロータの外面との間隙の発熱量が減少
し、暖房が弱められることとなる。逆に、暖房が過弱で
ある場合、気圧調整孔及びコイルスプリングの作用でダ
イアフラムを上方に変位させて制御室の内部容積を縮小
する。これにより、制御室内の粘性流体は発熱室内に送
り出されるため、発熱室の壁面とロータの外面との間隙
の発熱量が増大し、暖房が強められることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来ビス
カスヒータでは、それが能力固定型のものであろうと、
能力可変型のものであろうと、軸方向前後における発熱
室の壁面とロータの外面との間隙が中央域と外周域とで
等しくされているため、起動時の早期暖房のうれしさを
発揮しにくいことが明らかとなった。
【0007】すなわち、ビスカスヒータでは、粘性係数
をμ、ロータの半径をR、発熱室の壁面とロータの外面
との軸方向前後における間隙の長さをδ、角速度をωと
すれば、前後面における発熱量Lは、 L=πμω 2 4 /δ であり、間隙が狭いほど発熱能力に優れていることが知
られている。
【0008】この一方、発熱室の壁面とロータの外面と
の間隙には、粘性流体が介在されている他、組付け時に
不可避の空気が残留されている。そして、粘性流体がそ
の自重により間隙の下方に移動している起動前の状態か
ら、電磁クラッチやプーリを介して起動するとすると、
軸方向前後の間隙全体を狭めたビスカスヒータでは、起
動後迅速に粘性流体に遠心力が作用しにくいことから
か、粘性流体が下方から間隙の全体に広がりにくい。
【0009】かといって、軸方向前後の間隙全体を広げ
るとすると、上記関係式から、好適な発熱能力を確保で
きないこととなってしまう。こうして、上記従来ビスカ
スヒータでは、起動時の早期暖房のうれしさを発揮しに
くい。また、上記従来ビスカスヒータでは、能力可変型
のものとして優れてはいるものの、粘性流体を発熱室か
ら制御室内に回収する際、これによる発熱室内の負圧を
貫通孔から導かれる新たな空気により相殺している。粘
性流体は、こうして能力縮小の度に新たな空気と接触し
て随時空気中の水分が補充される形となり、水分によっ
て劣化が進行しやすい。このため、発明者らは、ハウジ
ングに発熱室の中央域と回収通路及び供給通路により連
通される貯溜室(制御室)を密閉状態で配設したビスカ
スヒータを提案した(特願平7−285266号)。こ
のビスカスヒータでは、ワイセンベルク効果と内部の不
可避の空気の膨脹・収縮とにより、粘性流体を回収通路
により発熱室から貯溜室(制御室)内に回収可能である
とともに、粘性流体を供給通路により貯溜室(制御室)
から発熱室内に供給可能である。そして、こうすれば、
発熱室等に介在される粘性流体が新たな空気と接触する
ことはなく、随時空気中の水分が補充される訳ではない
ので、劣化しにくい。
【0010】さらに、上記従来のビスカスヒータにおい
て、拡大時の制御室の容積を発熱室の壁面とロータの外
面との間隙の容積とほぼ等しくするならば、制御室の内
部容積の拡大・縮小により制御室と発熱室との間で粘性
流体を移動させているに過ぎないこととなるため、せん
断される粘性流体の量に余裕がなく、やはり粘性流体の
劣化を生じやすい。この点、発明者らが先に提案したビ
スカスヒータでは、貯溜室(制御室)内に比較的大量の
粘性流体と不可避の空気とを収容することとして検討し
たため、せん断される粘性流体の量に余裕を生じ、粘性
流体の劣化遅延を図ることが可能になる。
【0011】しかしながら、かかる提案のビスカスヒー
タにおいて、やはりその軸方向前後の間隙全体を狭めて
いると、ワイセンベルク効果を有効に作用させることが
できない。このため、そのビスカスヒータが能力可変型
にものであれば、水分による粘性流体の劣化遅延のうれ
しさは発揮できるものの、回収通路を経て粘性流体を発
熱室から貯溜室内に迅速に回収しにくく、迅速な能力縮
小を行いにくい。また、能力固定型と能力可変型とを問
わず、そのビスカスヒータは発熱室と貯溜室(制御室)
との間で粘性流体を迅速に入れ換えにくく、特定の粘性
流体のみが常にせん断されやすいこととなって、粘性流
体の劣化を生じてしまう。粘性流体の劣化は、ビスカス
ヒータにおける長期間使用後の耐久後の発熱効率を低下
してしまう。
【0012】本発明の第1の課題は、能力固定型と能力
可変型とを問わず、起動時の早期暖房のうれしさを発揮
可能なビスカスヒータを提供することにある。本発明の
第2の課題は、能力可変型にものにおいて、水分による
粘性流体の劣化遅延のうれしさを発揮しつつ、迅速な能
力縮小が可能なビスカスヒータを提供することにある。
【0013】本発明の第3の課題は、能力固定型と能力
可変型とを問わず、水分による粘性流体の劣化遅延のう
れしさを発揮しつつ、特定の粘性流体のみが常にせん断
されることによる粘性流体の劣化遅延のうれしさを確実
に発揮可能なビスカスヒータを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1のビスカスヒータは、内部に発熱室及び
該発熱室に隣接して循環流体を循環させる放熱室を形成
するハウジングと、該ハウジングに軸受装置を介して回
動可能に支承された駆動軸と、該発熱室内で該駆動軸に
より回動可能に設けられたロータと、該発熱室の壁面と
該ロータの外面との間隙に介在され、該ロータの回動に
より発熱される粘性流体とを有するビスカスヒータにお
いて、前記発熱室の壁面と前記ロータの外面との間隙
は、軸方向前後の少なくとも一方側で中央域が外周域よ
り大きくされていることを特徴とする。
【0015】このビスカスヒータでは、起動前におい
て、間隙の中央域に大量の粘性流体が介在され得る。こ
のため、粘性流体がその自重により間隙の下方に移動し
ている起動前の状態から、電磁クラッチやプーリを介し
て起動すると、発熱室内でロータが軸心回りに回動する
ことにより、起動後迅速に粘性流体に遠心力が作用しや
すいと考えられ、粘性流体が下方から間隙の全体に広が
りやすい。
【0016】また、このビスカスヒータでは、外周域の
間隙を狭くでき、その外周域では軸心から遠いことで周
速が大きいため、好適な発熱能力は確保され得る。こう
して、このビスカスヒータでは、能力固定型と能力可変
型とを問わず、起動時の早期暖房のうれしさを発揮でき
る。 (2)請求項2のビスカスヒータは、請求項1記載のビ
スカスヒータにおいて、ハウジングには発熱室の中央域
と回収通路及び供給通路により連通される貯溜室が密閉
状態で配設されていることを特徴とする。
【0017】貯溜室は、その内部にバイメタル渦巻ばね
等の内部温度検知手段を有すれば、能力可変型のビスカ
スヒータにおける制御室となる。このビスカスヒータで
は、上記のように起動時には遠心力が作用する他、ロー
タの継続した回動によってワイセンベルク効果が作用し
た場合、間隙の中央域に大量の粘性流体を集合させるこ
とができる。
【0018】このため、このビスカスヒータが能力可変
型にものであれば、水分による粘性流体の劣化遅延のう
れしさを発揮できる他、回収通路を経て粘性流体を発熱
室から貯溜室内に迅速に回収しやすく、迅速な能力縮小
を行いやすい。また、能力固定型と能力可変型とを問わ
ず、このビスカスヒータは発熱室と貯溜室(制御室)と
の間で粘性流体を迅速に入れ換えやすい。このため、こ
のビスカスヒータでは、貯溜室(制御室)内等に比較的
大量の粘性流体と不可避の空気とを収容することとすれ
ば、水分による粘性流体の劣化遅延のうれしさを発揮で
きる他、せん断される粘性流体の量に余裕を生じ、特定
の粘性流体のみを常にせん断することにならないため、
粘性流体の劣化を生じにくい。
【0019】(3)請求項3のビスカスヒータは、請求
項1又は2記載のビスカスヒータにおいて、ロータに間
隙を確保する加工を施していることを特徴とする。請求
項1、2に係る間隙はハウジング及びロータの少なくと
も一方に加工を施すことにより得られる。ロータの加工
は、その外面であるため、容易である。このため、この
場合には、製造コストの低廉化が実現される。
【0020】(4)請求項4のビスカスヒータは、請求
項1、2又は3記載のビスカスヒータにおいて、ハウジ
ングは、一端面で発熱室の一壁面を形成し、他端面で放
熱室の一壁面を形成するプレートと、残部のハウジング
本体とを有し、該プレートに間隙を確保する加工を施し
ていることを特徴とする。プレートとハウジング本体と
を有するハウジングを採用すれば、ハウジングの製作が
容易になるとともに、その際にプレートの外面に加工を
施すことにより請求項1、2又は3に係る間隙が得られ
るため、その加工が容易である。このため、この場合に
は、製造コストの低廉化が実現される。
【0021】(5)請求項5のビスカスヒータは、請求
項1、2、3又は4記載のビスカスヒータにおいて、間
隙は軸心回りのテーパにより確保されていることを特徴
とする。軸心回りのテーパにより請求項1、2、3又は
4に係る間隙を確保するとすれば、例えば切削による加
工はやや面倒であるが、粘性流体が外周域に広がりやす
い。
【0022】(6)請求項6のビスカスヒータは、請求
項1、2、3又は4記載のビスカスヒータにおいて、間
隙は軸心回りのリング状に形成された段差により確保さ
れていることを特徴とする。軸心回りのリング状に形成
された段差により請求項1、2、3又は4に係る間隙を
確保するとすれば、例えば切削による加工が容易であ
る。このため、この場合には、製造コストの低廉化が実
現される。
【0023】(7)請求項7のビスカスヒータは、請求
項1、2、3、4、5又は6記載のビスカスヒータにお
いて、間隙は中央域から外周域に渡って除々に縮小され
ていることを特徴とする。このビスカスヒータでは、粘
性流体の外周域への広がりがより効果的に促進される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、各請求項記載の発明を具体
化した実施形態1〜4を図面を参照しつつ説明する。 (実施形態1)実施形態1のビスカスヒータは能力固定
型のものとして請求項1、4、6、7を具体化してい
る。
【0025】すなわち、このビスカスヒータでは、図1
に示すように、ハウジングを構成する前部ハウジング
1、後部プレート2及び後部ハウジング本体3が前部ハ
ウジング1及び後部プレート2との間にOリング4、後
部プレート2と後部ハウジング本体3との間にガスケッ
ト5を介し、各々積層された状態で複数本の通しボルト
6により締結されている。
【0026】前部ハウジング1の後端面には凹部が凹設
されており、凹部の内底面には、図2にも示すように、
中央域が外周域より深くなるように、軸心回りでリング
状に段差1aが凹設されている。また、後部プレート2
の前端面にも、中央域が外周域より深くなるように、段
差1aと同心状の段差2aが凹設されている。そして、
段差1aをもつ前部ハウジング1の凹部は段差2aをも
つ後部プレート2の前端面とともに発熱室7を形成して
いる。
【0027】また、図1に示すように、後部プレート2
の後端面と後部ハウジング本体3の内面とが発熱室7に
隣接する放熱室としてのウォータジャケットWJを形成
しており、後部ハウジング本体3の後面には入水ポート
8及び図示しない出水ポートが形成され、入水ポート8
と出水ポートとはウォータジャケットWJに連通されて
いる。
【0028】さらに、前部ハウジング1には発熱室7に
隣接して軸封装置9及び軸受装置10が設けられ、これ
ら軸封装置9及び軸受装置10を介して駆動軸11が回
動可能に支承されている。駆動軸11の後端には発熱室
7内で回動可能な平板形状のロータ12が圧入され、発
熱室7の壁面とロータ12の外面との間隙には粘性流体
としてのシリコンオイルが介在されている。こうして、
発熱室7の壁面とロータ12の外面との間隙は、図2に
示すように、軸方向前後において、中央域では長さT、
外周域では長さt(t<T)にされ、中央域から外周域
に渡って除々に縮小されている。
【0029】ここで、このビスカスヒータでは、後部プ
レート2と後部ハウジング本体3とでハウジングの一部
を構成しているため、ハウジングの製作が容易であっ
た。しかも、そのハウジングの製作の際にプレート2の
外面に段差1a、2aを切削する加工を施すことで間隙
を得たため、その加工も容易であった。このため、この
ビスカスヒータは安価に製造可能なものであった。
【0030】そして、このビスカスヒータの駆動軸11
には電磁クラッチMCが結合されている。ここで、前部
ハウジング1のボス1bには軸受装置13を介してクラ
ッチロータ14が回転可能に支承されており、ボス1b
にはクラッチロータ14内に位置すべく励磁コイル15
が設けられている。そして、駆動軸11にボルト16を
螺合させるとともにキー17を圧入することによりハブ
18が固定され、ハブ18はゴム部材19及びフランジ
20を介してアーマチュア21と固定されている。クラ
ッチロータ14は図示しない車両のエンジンによりベル
トで回転されるようになっている。
【0031】車両の暖房装置に組み込まれたこのビスカ
スヒータでは、電磁クラッチMCがOFFである起動前
において、シリコンオイルがその自重により間隙の下方
に移動している。このとき、シリコンオイルは間隙の中
央域に大量に介在されている。そして、電磁クラッチM
CがONされることにより起動されれば、発熱室7内で
ロータ12が軸心回りに回動することにより、その後迅
速にシリコンオイルに遠心力が作用すると考えられ、シ
リコンオイルが下方から間隙の全体に広がりやすい。そ
して、シリコンオイルが発熱室7の全壁面とロータ12
の全外面との間隙でせん断により発熱する。この発熱は
ウォータジャケットWJ内の循環流体としての循環水に
熱交換され、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房
に供されることとなる。
【0032】また、このビスカスヒータでは、外周域の
間隙が中央域の長さTよりも小さい長さtであるため、
大きな周速により好適な発熱能力を確保している。こう
して、このビスカスヒータでは、起動時の早期暖房のう
れしさを発揮できるとともに、シリコンオイルの劣化遅
延により、長期間使用後の耐久後の発熱効率を低下を防
止できる。
【0033】(実施形態2)実施形態2のビスカスヒー
タは能力可変型のものとして請求項1、2、4、6、7
を具体化している。すなわち、このビスカスヒータで
は、図3に示すように、ハウジングを構成する前部ハウ
ジング本体31、前部プレート32、後部プレート33
及び後部ハウジング本体34が前部ハウジング本体31
及び前部プレート32との間にガスケット35、前部プ
レート32と後部プレート33との間にOリング36、
後部プレート33と後部ハウジング本体34との間にガ
スケット37を介し、各々積層された状態で複数本の通
しボルト38により締結されている。
【0034】前部プレート32の後端面には凹部が凹設
されており、凹部の内底面には、実施形態1と同様の段
差32aが凹設されている。また、後部プレート33の
前端面にも実施形態1と同様の段差33aが凹設されて
いる。そして、段差32aをもつ前部プレート32の凹
部は段差33aをもつ後部プレート33の前端面ととも
に発熱室39を形成している。
【0035】また、前部プレート32は中央に前方軸方
向に延在するボス32bを有し、ボス32b内には軸封
装置40が設けられている。後部プレート33には、中
央域の上方の位置に第1回収孔33bが後端面まで貫設
されているとともに、中央域の下方の位置に第1供給孔
33cがやはり後端面まで貫設されている。前部ハウジ
ング本体31の内面と前部プレート32の前端面とが発
熱室39の前部に隣接する前部放熱室としての前部ウォ
ータジャケットFWを形成している。他方、後部ハウジ
ング本体34にはガスケット37と当接する内リブ34
a及び外リブ34bがリング状に突設されており、後部
プレート33の後端面と後部ハウジング本体34におけ
る外リブ34bより外側の内面とが発熱室39の後部に
隣接する後部放熱室としての後部ウォータジャケットR
Wを形成しているとともに、後部プレート33の後端面
と後部ハウジング本体34における内リブ34a及び外
リブ34bで囲まれた内面とが貯溜室ともなる制御室C
Rを形成している。
【0036】後部ハウジング本体34の後面には図示し
ない入水及び出水ポートが隣接して形成され、入水及び
出水ポートは後部ウォータジャケットRWに連通されて
いる。後部プレート33及び前部プレート32には各通
しボルト38間で等間隔に複数の水路41が貫設され、
前部ウォータジャケットFWと後部ウォータジャケット
RWとは水路41により連通されている。
【0037】後部ハウジング本体34の制御室CR内で
は、内リブ34aに内部温度検知手段としてのバイメタ
ル渦巻ばね42の外端が係止され、バイメタル渦巻ばね
42の内端には後端が後部ハウジング本体34の底部に
回動可能に支承された弁軸43が係止されている。この
バイメタル渦巻ばね42は、設定された暖房温度の過強
・過弱に基づき、変位のための所定温度が設定されてい
る。弁軸43の先端には円板状の回転弁45が固定され
ており、この回転弁45は内リブ34aとの間に皿ばね
44により第1回収孔33b及び第1供給孔33cの制
御室CR側の開口を閉塞する方向に押圧されている。こ
の回転弁45には回転角度により第1回収孔33b又は
第1供給孔33dと連通可能な第2回収孔45a及び第
2供給孔45bが貫設されている。
【0038】また、前部ハウジング本体31には前方軸
方向に延在するボス31aが突設され、このボス31a
内には軸受装置46が設けられている。そして、軸受装
置46及び軸封装置40を介して駆動軸47が回動可能
に支承されている。駆動軸47の中央部には発熱室39
内で回動可能な平板形状のロータ48が圧入されてい
る。そして、制御室CRに比較的大量の粘性流体として
のシリコンオイルと不可避の空気とを収容する。これに
より、発熱室39の壁面とロータ48の外面との間隙の
下方にシリコンオイルが介在される。
【0039】そして、このビスカスヒータの駆動軸47
にはプーリ49がボルト50により結合されている。プ
ーリ49は図示しない車両のエンジンによりベルトで回
転されるようになっている。車両の暖房装置に組み込ま
れたこのビスカスヒータでは、エンジン停止時の起動前
において、シリコンオイルがその自重により間隙の下方
に移動している。このとき、シリコンオイルは間隙の中
央域に大量に介在されている。
【0040】そして、エンジンが始動されることにより
起動されれば、駆動軸47がプーリ50を介してベルト
によりエンジン駆動され、発熱室39内でロータ48が
軸心回りに回動することにより、その後迅速にシリコン
オイルに遠心力が作用すると考えられ、シリコンオイル
が下方から間隙の全体に広がりやすい。そして、シリコ
ンオイルが発熱室39の全壁面とロータ48の全外面と
の間隙でせん断により発熱する。この発熱は前部及び後
部ウォータジャケットFW、RW内の循環流体としての
循環水に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路で車
両の暖房に供されることとなる。
【0041】この間、ロータ48が回動されたままであ
れば、発熱室39内のシリコンオイルは、ワイセンベル
ク効果により、中央域に集合しようとする。このとき、
このビスカスヒータでは、間隙の中央域に大量のシリコ
ンオイルを集合させることができる。ここで、制御室C
R内のシリコンオイルの温度が低ければ、暖房が過弱で
あるため、バイメタル渦巻ばね42が弁軸43を介して
回転弁45を正転し、第1回収孔33bと第2回収孔4
5aとの連通を閉じ、第1供給孔33cと第2供給孔4
5bとを連通させる。このため、制御室CR内に回収さ
れていたシリコンオイルが第2供給孔45b及び第1供
給孔33cを経て発熱室39内に供給される。このた
め、発熱室39の壁面とロータ48の外面との間隙の発
熱量が増大し(能力拡大)、暖房が強められることとな
る。
【0042】他方、制御室CR内のシリコンオイルの温
度が高くなれば、暖房が過強になりつつあるため、バイ
メタル渦巻ばね42が弁軸43を介して回転弁45を反
転し、第1回収孔33bと第2回収孔45aとを連通さ
せ、第1供給孔33cと第2供給孔45bとの連通を閉
じる。このため、発熱室39内のシリコンオイルが第1
回収孔33b及び第2回収孔45aを経て制御室CR内
に迅速に回収される。このため、発熱室39の壁面とロ
ータ48の外面との間隙の発熱量が迅速に減少し(能力
縮小)、暖房が迅速に弱められることとなる。
【0043】また、こうして、このビスカスヒータで
は、発熱室39と制御室CRとの間でシリコンオイルを
迅速に入れ換える。このため、このビスカスヒータで
は、制御室CR内等に比較的大量のシリコンオイルと不
可避の空気とを収容しているため、せん断されるシリコ
ンオイルの量に余裕を生じ、特定のシリコンオイルのみ
を常にせん断することにならないため、シリコンオイル
の劣化を生じにくい。
【0044】なお、他の作用及び効果は実施形態1と同
様である。 (実施形態3)実施形態3のビスカスヒータは能力固定
型のものとして請求項1、3、4、5、7を具体化して
いる。すなわち、このビスカスヒータでは、図4に示す
ように、前部ハウジング51の後端面に単に凹部のみを
設けるとともに、前端面が平坦な後部プレート52を採
用している。そして、前後端面に軸心回りのテーパ53
aを切削したロータ53を採用する。こうして間隙を確
保している。他の構成は実施形態1と同様であるため、
同一の構成については同一符号を付して詳説は省略す
る。
【0045】このビスカスヒータでは、ロータ53がそ
の外面にテーパ加工を施せば容易に製作可能であり、前
部ハウジング51及び後部プレート52も比較的簡易な
形状であることで比較的容易に製作可能であるため、よ
り安価に製造可能なものである。なお、他の作用及び効
果は実施形態1と同様である。
【0046】(実施形態4)実施形態4のビスカスヒー
タは能力固定型のものとして請求項1、4、5、7を具
体化している。すなわち、このビスカスヒータでは、図
5に示すように、凹部の内底面に軸心回りのテーパ54
aを切削した前部ハウジング54を採用するとともに、
前端面に軸心回りのテーパ55aを切削した後部プレー
ト55を採用している。そして、実施形態1と同様、平
板形状のロータ12を採用する。こうして間隙を確保し
ている。他の構成は実施形態1と同様であるため、同一
の構成については同一符号を付して詳説は省略する。
【0047】このビスカスヒータにおいても、後部プレ
ート55がその外面にテーパ加工を施せば容易に製作可
能であり、かつ前部ハウジング54がその内面にテーパ
加工を施せば比較的容易に製作可能であるため、同様に
安価に製造可能なものである。なお、他の作用及び効果
は実施形態1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のビスカスヒータ等の断面図であ
る。
【図2】実施形態1のビスカスヒータにおける要部拡大
断面図である。
【図3】実施形態2のビスカスヒータ等の断面図であ
る。
【図4】実施形態3のビスカスヒータにおける要部拡大
断面図である。
【図5】実施形態4のビスカスヒータにおける要部拡大
断面図である。
【符号の説明】
7、39…発熱室 WJ、FW、RW…放熱室(ウォータジャケット) 1、2、33、3、34、31、32…ハウジング(1
…前部ハウジング、2、33…後部プレート、3、34
…後部プレート本体、31…前部ハウジング本体、32
…前部プレート) 10、46…軸受装置 11、47…駆動軸 12、48…ロータ 33b、45a…回収通路(33b…第1回収通路、4
5a…第2回収通路) 33c、45b…供給通路(33c…第1供給通路、4
5b…第2供給通路) CR…貯溜室(制御室) 53a、54a、55a…テーパ 1a、2a、32a、33a…段差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 達也 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社豊田自動織機製作所内 (56)参考文献 特開 平3−57877(JP,A) 特開 平2−254010(JP,A) 実開 平3−98107(JP,U) 実開 平4−11716(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/03 - 1/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に発熱室及び該発熱室に隣接して循環
    流体を循環させる放熱室を形成するハウジングと、該ハ
    ウジングに軸受装置を介して回動可能に支承された駆動
    軸と、該発熱室内で該駆動軸により回動可能に設けられ
    たロータと、該発熱室の壁面と該ロータの外面との間隙
    に介在され、該ロータの回動により発熱される粘性流体
    とを有するビスカスヒータにおいて、 前記発熱室の壁面と前記ロータの外面との間隙は、軸方
    向前後の少なくとも一方側で中央域が外周域より大きく
    されていることを特徴とするビスカスヒータ。
  2. 【請求項2】ハウジングには発熱室の中央域と回収通路
    及び供給通路により連通される貯溜室が密閉状態で配設
    されていることを特徴とする請求項1記載のビスカスヒ
    ータ。
  3. 【請求項3】ロータに間隙を確保する加工を施している
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のビスカスヒー
    タ。
  4. 【請求項4】ハウジングは、一端面で発熱室の一壁面を
    形成し、他端面で放熱室の一壁面を形成するプレート
    と、残部のハウジング本体とを有し、該プレートに間隙
    を確保する加工を施していることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載のビスカスヒータ。
  5. 【請求項5】間隙は軸心回りのテーパにより確保されて
    いることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のビ
    スカスヒータ。
  6. 【請求項6】間隙は軸心回りのリング状に形成された段
    差により確保されていることを特徴とする請求項1、
    2、3又は4記載のビスカスヒータ。
  7. 【請求項7】間隙は中央域から外周域に渡って除々に縮
    小されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5又は6記載のビスカスヒータ。
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