JPH10193951A - ビスカスヒータ機能付きウォータポンプ - Google Patents

ビスカスヒータ機能付きウォータポンプ

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JPH10193951A
JPH10193951A JP240597A JP240597A JPH10193951A JP H10193951 A JPH10193951 A JP H10193951A JP 240597 A JP240597 A JP 240597A JP 240597 A JP240597 A JP 240597A JP H10193951 A JPH10193951 A JP H10193951A
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JP
Japan
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pump
heat generating
chamber
engine
heating
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Application number
JP240597A
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English (en)
Inventor
Takahiro Moroi
隆宏 諸井
Takashi Ban
孝志 伴
Nobuaki Hoshino
伸明 星野
Kazuhiko Minami
和彦 南
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンルーム内での搭載スペースの確保が
容易で、車両用暖房装置の補助熱源として有効なビスカ
スヒータ機能付きウォータポンプを提供する。 【解決手段】 発熱室12を形成する中空形状の剪断作用
部13が、駆動軸6に一体回転可能に支持された状態でポ
ンプ室5内に収容されている。発熱室12内に収容された
発熱領域形成部材19を一体回転可能に支持する支軸20
は、剪断作用部13及び後部ハウジング2に相対回転可能
に支持されている。剪断作用部13の外面にはインペラ14
が突設され、発熱室12内には粘性流体が所要量収容され
ている。支軸20と後部ハウジング2との間にブレーキ手
段23が介在されている。エンジン駆動時には駆動軸6は
常に駆動され、剪断作用部13とインペラ14が回転してウ
ォータポンプとして機能する。ブレーキ手段23がオン状
態では、発熱領域形成部材19の回転が阻止されて粘性流
体の剪断発熱が起こり、その熱で循環水が加熱される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジンの補機とし
て使用されるビスカスヒータ機能付きウォータポンプに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用暖房装置では一般に、エンジンの
冷却水の熱を利用している。しかし、寒冷地等の外気温
度の低い環境下や、エンジンの始動時に車室の暖房が不
十分になる。また、近年自動車技術の進歩により、エン
ジンで発生する熱量の有効利用が進み、冷却水によるエ
ンジンの冷却量が少なくなっているため、冷却水がエン
ジンで暖められる割合も少なくなっている。
【0003】そのため、車両用暖房装置の補助熱源とし
て、車両のエンジンの駆動力を利用するビスカスヒータ
が注目されている。例えば、特開平2−246823号
公報には、車両用暖房装置に組み込まれるビスカスヒー
タが開示されている。このビスカスヒータでは、前部及
び後部ハウジングが対設された状態で相互に連結され、
その内部には発熱室と、この発熱室の外域にウォータジ
ャケット(放熱室)とが形成されている。前部ハウジン
グには軸受装置を介して駆動軸が回動可能に支承されて
おり、この駆動軸の一端には発熱室内で一体回動可能に
ロータが固定されている。ロータの前後外壁部及びそれ
らと対向する発熱室の内壁部は、互いに近接するラビリ
ンス溝を構成し、この発熱室の壁面とロータの壁面との
間隙に粘性流体(例えばシリコーンオイル)が介在され
ている。
【0004】そして、エンジンの駆動力が駆動軸に伝達
されると、駆動軸と共にロータが発熱室内で回転し、発
熱室内壁部とロータ外壁部との間に介在される粘性流体
が前記ロータによって剪断されて流体摩擦に基づく熱を
発生する。発熱室で発生した熱は、前記ウォータジャケ
ット内を流れる循環水に熱交換され、その加熱循環水は
外部暖房回路に供給されて車両の暖房に供される。
【0005】また、特開平2−254010号公報に
は、前記ロータを駆動する駆動軸の一端にインペラを固
定し、インペラを囲むように形成された渦室と、前記ウ
ォータジャケットとを連通させ、インペラの回転による
ポンプ作用でウォータジャケット内へ外部暖房回路の循
環水を積極的に導入するとともに、ウォータジャケット
内の循環水を積極的に外部暖房回路に排出するビスカス
ヒータが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のビスカスヒ
ータはいずれも単独の補機として構成され、特開平2−
254010号公報に開示されたビスカスヒータのよう
にポンプ機能を備えたものを使用する場合であっても、
エンジンの冷却水回路用のウォータポンプを別に設ける
のが必須となっている。エンジンの補機に対する駆動力
の伝達は各補機用に設けられたプーリと、クランクシャ
フトに装備されたプーリとの間に巻き掛けられるベルト
を介して行われる。そして、エンジンの補機にはウォー
タポンプ、オルターネータ、パワーステアリング用オイ
ルポンプ及び冷房装置用のコンプレッサ等数多くあるた
め、エンジンルーム内にビスカスヒータを搭載するスペ
ースの確保が難しい。
【0007】本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされ
たものであってその目的は、エンジンルーム内における
搭載スペースの確保が容易で、車両用暖房装置の補助熱
源として有効なビスカスヒータ機能付きウォータポンプ
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、水冷式エンジンに使用さ
れるウォータポンプであって、ポンプ室と、該ポンプ室
内に収容され剪断作用部とポンプ作用部とを備えるとと
もに駆動軸と一体回転可能なポンプ手段と、ポンプ室内
に設けられた発熱室と、ポンプ室内に設けられ前記剪断
作用部と相対回転可能に設けられた発熱領域形成部材と
を備え、前記発熱室は前記発熱領域形成部材を内包する
状態に形成された前記剪断作用部又は前記剪断作用部を
内包する状態に形成された発熱領域形成部材により形成
され、前記発熱室内に粘性流体が収容されている。
【0009】この発明のウォータポンプは、エンジンが
駆動されるとその駆動力により常に駆動軸が回転され、
ポンプ室内で駆動軸と一体的にポンプ作用部が回転され
てポンプとして機能する。そして、エンジン冷却水及び
暖房回路の循環水がポンプ室を介して循環される。ま
た、剪断作用部が駆動軸と一体的に回転され、発熱室内
に収容された粘性流体を介して剪断作用部と、発熱領域
形成部材とが相対回転する状態となり、粘性流体が剪断
されて流体摩擦に基づく熱を発生する。発熱室で発生し
た熱は、発熱室を囲繞するポンプ室内の循環水に熱交換
され、加熱された循環水は外部暖房回路に供給されて車
両の暖房に供される。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記剪断作用部は前記発熱領域形成部
材を内包するように中空形状に形成されており、その外
面にポンプ作用部としての羽(インペラ)が突設されて
いる。
【0011】この発明では、剪断作用部が中空状に形成
されて発熱室を構成しているため、発熱室が駆動軸とと
もに回転され、剪断作用部の内面と発熱領域形成部材外
面との間で粘性流体が剪断される。剪断作用部が回転す
るとその外面に突設されたポンプ作用部としての羽がポ
ンプ室内で回転してポンプ作用が生じる。発熱室の外面
に突設された羽が放熱フィンの役割を果たし、かつ羽の
ポンプ作用により発熱室周囲の循環水が円滑に移動する
ため、発熱室内の熱が循環水に効率よく熱交換される。
また、この構成では、剪断作用部とポンプ作用部とが一
体に形成されているため、剪断作用部及びポンプ作用部
の製造工数と、駆動軸への組付け工数とが低減され、全
体としての製造コストの低減が可能となる。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請
求項2に記載の発明において、前記発熱領域形成部材は
軸部においてポンプ室を構成するハウジングに対して回
動可能に支持され、前記軸部と前記ハウジングとの間に
ブレーキ手段が介在されている。
【0013】この発明では、発熱領域形成部材の軸部が
ブレーキ手段によりハウジングに対して回転不能に保持
された状態で駆動軸が駆動されると、剪断作用部と発熱
領域形成部材との速度差は駆動軸の回転速度と同じにな
り、粘性流体の剪断発熱量は駆動軸の回転速度(角速
度)の二乗に比例する。ブレーキ手段による制動が解除
された状態では、発熱領域形成部材は粘性流体を介して
剪断作用部と連れ回りするため、剪断発熱が起こり難く
なる。従って、暖房が不要な場合にはブレーキ手段の制
動作用を解除した状態に保持することにより、無駄な発
熱作用が回避されるとともにエンジンに対する負荷が軽
減される。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、前記ブレーキ手段は前記軸部の回転を
許容する状態と、阻止する状態とに選択的に切り換え可
能に構成されている。
【0015】この発明では、ブレーキ手段は、暖房を不
要とする状態では前記軸部の回転を許容する状態に切り
換えられ、暖房が必要な場合には軸部の回転を阻止する
状態に切り換えられる。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、前記ブレーキ手段は制動力可変に構成
され、前記剪断作用部の回転速度に関連した物理量を検
出する物理量検出手段によって検出された物理量に基づ
いてブレーキ手段の制動力を制御する制御手段を備えて
いる。
【0017】この発明では、ブレーキ手段の制動力が制
御手段により制御され、剪断作用部の回転速度が同じで
あれば制動力が小さいほど粘性流体の剪断発熱量が小さ
くなる。物理量検出手段により剪断作用部の回転速度に
関連している物理量(例えば、エンジンの回転速度)が
検出される。制御手段はこの検出物理量に基づいて、発
熱室内における粘性流体の剪断発熱量が過剰にならない
ようにブレーキ手段の制動力を調整する。その結果、ビ
スカスヒータの発熱能力が過大になることが未然に防止
されて粘性流体の劣化が抑制される。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、前記ブレーキ手段は制動力可変に構成
され、循環水の温度を検出する温度検出手段によって検
出された水温に基づいてブレーキ手段の制動力を制御す
る制御手段を備えている。
【0019】この発明においても、ブレーキ手段の制動
力が制御手段により制御され、剪断作用部の回転速度が
同じであれば制動力が小さいほど粘性流体の剪断発熱量
が小さくなる。温度検出手段により例えば、ポンプ室に
流入する循環水の温度が検出される。制御手段はこの検
出温度に基づいて、発熱室内における粘性流体の剪断発
熱量が過剰にならないようにブレーキ手段の制動力を調
整する。例えば、検出温度が所定温度を超えた場合は制
動力を弱める。その結果、粘性流体が過剰発熱状態とな
るのが回避されてその劣化が抑制される。
【0020】請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求
項6のいずれか一項に記載の発明において、前記ハウジ
ングはエンジンハウジングの一部を構成している。この
発明では、ポンプ室を構成するハウジングがエンジンハ
ウジングの一部を構成しているため、エンジン回りの体
格がさほど大きくならず、部品点数の削減が可能とな
る。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の
実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0022】図1に示すように、前部ハウジング1及び
後部ハウジング2は、互いに対向する状態で複数本のボ
ルト4a(図1では2本のみ図示)によって締結され、
ポンプハウジング3を構成している。後部ハウジング2
は有底筒状の前部ハウジング1の開放部を覆う状態で、
シール部材としてのガスケット4bを介して前部ハウジ
ング1に固定され、両ハウジング1,2間にポンプ室5
が形成されている。ポンプハウジング3には吸入ポート
3aが前部ハウジング1の周壁前部に軸方向と直交する
方向に突設され、吐出ポート3bが後部ハウジング2か
ら後方へ突出するように形成されている。ポンプ室5は
後記する発熱室に隣接する放熱室を構成する。
【0023】前部ハウジング1に形成された軸孔1aに
は駆動軸6がその中間部において、軸受装置7を介して
回動可能に支持されている。軸受装置7には軸封機能付
きの軸受装置が使用されている。前部ハウジング1に形
成された支持筒部1bの外周面にはプーリ8が軸受装置
9を介して回動可能に支持され、プーリ8は駆動軸6の
前端部にボルト10により一体回転可能に固定されてい
る。
【0024】駆動軸6の後端部(図1の右端部)には、
ポンプ室5内において回転可能にポンプ手段11が一体
回転可能に固定されている。ポンプ手段11はポンプ室
5内に発熱室12を区画形成するように中空形状に形成
された剪断作用部13と、その外面に突設されたポンプ
作用部としての複数の羽(インペラ)14とから構成さ
れている。剪断作用部13は、ほぼ円盤状の前部区画プ
レート15及び後部区画プレート16をその当接面間に
シール部材としてのOリング17を介装した状態でボル
ト18(図2にのみ図示)で締結することにより組み付
けられている。そして、前部区画プレート15の中心部
に駆動軸6が圧入固定されている。また、各区画プレー
ト15,16の外面にインペラ14がそれぞれ突設され
ている。両区画プレート15,16は、熱伝導性に優れ
た材料(例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム系
合金)で形成され、インペラ14も一体に形成されてい
る。
【0025】発熱室12内には発熱領域形成部材19が
剪断作用部13と相対回転可能に収容されている。即
ち、剪断作用部13は発熱領域形成部材19を内包す
る。発熱室12内には粘性流体として粘性の大きな流体
(例えばシリコーンオイル)が所要量満たされている。
発熱領域形成部材19は円板状に形成されるとともに、
その中心部に圧入固定された軸部としての支軸20が、
後部区画プレート16に形成された支持筒部16aを貫
通する状態で軸受装置21を介して回動可能に支持され
ている。支軸20の剪断作用部13からの突出部は、後
部ハウジング2の中心部に形成された軸孔2aに軸受装
置22を介して回動可能に支持されている。軸受装置2
1,22には軸封機能付きの軸受装置が使用されてい
る。発熱領域形成部材19の両側面と発熱室12の壁面
との隙間は、粘性流体の剪断発熱に有効な大きさ、例え
ばほぼ0.1〜0.5mm程度に設定されている。
【0026】支軸20の後端部と、後部ハウジング2に
形成された支持筒部2bとの間にはブレーキ手段23が
配設されている。ブレーキ手段23は、支持筒部2b上
に固定されたほぼ円盤状の制動部材24と、支軸20の
後端部に止着された支持リング25上にスライド可能に
設けられた円板状の可動板26とを備えている。可動板
26の背面側には、板バネ27が配設されている。板バ
ネ27は、その略中央部において支持リング25に固定
されるとともに、その外端部(図1では上下両端部)は
可動板26の外周部に対しリベット等で連結されてい
る。可動板26の正面は、制動部材24の端面24aと
対向している。後部ハウジング2には環状のソレノイド
コイル28が支持されている。ソレノイドコイル28
は、励磁状態において制動部材24の端面24aを介し
て可動板26に電磁力を及ぼし、可動板26を制動部材
24の端面24aに吸着して回動不能に保持するように
なっている。
【0027】前記のように構成されたウォータポンプ2
9は、図3に示すように、車両のエンジン30に取り付
けられ、エンジン冷却回路31及び暖房回路32に冷却
水及び循環水を送り出す状態、即ちエンジン30のウォ
ータジャケットWJに吸入ポート3aが接続され、吐出
ポート3bが各回路31,32の流路に接続された状態
で使用される。エンジン冷却回路31は、ウォータポン
プ29と、ウォータポンプ29の吐出水をラジエータ3
3を経てウォータジャケットWJに導く流路34とを備
え、流路34にはラジエータサーモスタット弁35が設
けられている。暖房回路32は、エンジン冷却回路31
の一部を共用するように設けられ、流路34から吐出ポ
ート3bとラジエータサーモスタット弁35との間で分
岐されるとともにウォータジャケットWJに接続された
流路36と、流路36の途中に設けられたヒータコア3
7とを備えている。ヒータコア37にはモータ38によ
り駆動されるファン(送風機)39により空気が送られ
るようになっている。また、ラジエータサーモスタット
弁35は冷却水の水温が設定温度より低ければ冷却水が
ラジエータ33側に流れるのを阻止し、高ければラジエ
ータ33側にも流すように作動される。なお、図3では
図示の便宜上、吸入ポート3a及び吐出ポート3bの位
置等が図1と異なっている。
【0028】プーリ8はベルト(図示せず)を介してウ
ォータポンプ29以外の補機類(例えばメインファン4
0)とともに、エンジン30に作動連結される。また、
ソレノイドコイル28及びモータ38は制御装置41に
電気的に接続されている。制御装置41には暖房用スイ
ッチ41aが装備されている。暖房用スイッチ41aの
オン操作により、ソレノイドコイル28及びモータ38
がオン状態に保持され、オフ操作によりオフ状態に復帰
するようになっている。
【0029】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。エンジン30が駆動されるとプーリ8を介し
駆動軸6が駆動され、ポンプ手段11が一体回転され
る。ポンプ室5内でインペラ14が回転することによ
り、ウォータジャケットWJ内の水が吸入ポート3aか
らポンプ室5内に吸入されるとともに、吐出ポート3b
から流路34へと吐出される。そして、冷却水回路32
内を冷却水が循環してエンジン30の冷却が行われる。
冷却水回路32内の冷却水はウォータポンプ29の駆動
によりエンジン30のウォータジャケットWJ内を循環
して加熱され、水温がラジエータサーモスタット弁35
の設定温度より高ければ、ラジエータ33を通って冷却
された後、エンジン30に戻る。水温がラジエータサー
モスタット弁35の設定温度より低ければ、流路36を
経てエンジン30に戻る。また、エンジン30のウォー
タジャケットWJ内を循環して加熱された冷却水の一部
は、暖房回路32の流路36を介してヒータコア37に
供給される。
【0030】暖房用スイッチ41aがオン操作されてい
ない状態では、ブレーキ手段23のソレノイドコイル2
8は消磁状態に保持され、発熱領域形成部材19はポン
プハウジング3に対して回動可能な状態にある。この状
態では、剪断作用部13が回転すると、粘性流体を介し
て発熱領域形成部材19が連れ回りするため、粘性流体
の剪断発熱量は小さい。また、ポンプ手段11を駆動す
るためにエンジン30に作用する負荷が小さくなる。
【0031】暖房用スイッチ41aがオン操作される
と、制御装置41からソレノイドコイル28の励磁信号
と、モータ38の駆動信号とが出力される。ソレノイド
コイル28が励磁されるとともに、ファン39が駆動さ
れる。ソレノイドコイル28が励磁されると、その電磁
力により可動板26が板バネ27のバネ力に抗して制動
部材24の端面24aに吸着されて、ブレーキ手段23
は可動板26の回転が阻止されたオン状態に保持され
る。そして、ブレーキ手段23がオン状態に保持される
ため発熱領域形成部材19の回転が阻止され、剪断作用
部13と発熱領域形成部材19との速度差は剪断作用部
13の回転速度と同じになる。その結果、剪断作用部2
3の回転に伴って粘性流体が発熱室12の壁面と発熱領
域形成部材19の外面との間隙で剪断されて発熱量が大
きくなる。この熱は両区画プレート15,16を介して
ポンプ室5内の循環水に熱交換され、加熱された循環水
が吐出ポート3bから吐出され、流路36を介してヒー
タコア37に送られる。
【0032】ヒータコア37に送られた循環水はヒータ
コア37を通過する間に、ファン39から送られる空気
流に熱を伝達する。そして、暖められた空気が車室内の
暖房に供される。ヒータコア37で熱が奪われた循環水
はエンジン30のウォータジャケットWJを経て再びウ
ォータポンプ29へ送られ、ウォータポンプ29で加熱
される。
【0033】この実施の形態では以下の効果を有する。 (イ) ポンプ室5内に収容されたポンプ手段11が駆
動軸6と共に回転すると、剪断作用部13が発熱領域形
成部材19と相対回転することにより粘性流体が剪断発
熱してビスカスヒータとして機能するとともに、インペ
ラ14のポンプ作用によりウォータポンプとして機能す
る。従って、エンジンルーム内における車両用暖房装置
の補助熱源(ビスカスヒータ)の搭載スペースの確保が
容易となる。また、ウォータポンプとビスカスヒータで
部品の一部が共用されることにより、部品点数の削減が
図れ製造コストの低減が可能となる。
【0034】(ロ) ポンプ室5内に発熱室12が収容
されているため、発熱室12の周囲が循環水に囲繞され
た状態となり、しかも発熱室12の周囲の水が常に吸入
ポート3aから供給された温度の低い新たな循環水と円
滑に置換されるため、発熱室12内の熱が循環水に効率
よく熱交換される。
【0035】(ハ) 剪断作用部13が発熱領域形成部
材19を内包するように中空形状に形成されて発熱室1
2を構成し、その外面にポンプ作用部としてのインペラ
14が突設されているため、剪断作用部13及びインペ
ラ14を一体成形することが可能となる。従って、剪断
作用部13及びポンプ作用部の製造工数と、駆動軸6へ
の組付け工数とが低減され、全体としての製造コストの
低減が可能となる。
【0036】また、インペラ14が放熱フィンの役割を
果たし、かつインペラ14のポンプ作用により発熱室1
2の周囲の循環水が円滑に移動するため、発熱室12内
の熱が循環水に効率よく熱交換される。
【0037】(ニ) 発熱領域形成部材19がブレーキ
手段23のオン、オフにより、剪断発熱が有効に起こる
状態即ちビスカスヒータとして機能する状態と、剪断発
熱が有効に起こらない状態即ちビスカスヒータとして有
効に機能しない状態とに切り換えられる。従って、暖房
が不要な場合にはブレーキ手段をオフ状態(制動作用を
解除した状態)にすることにより、無駄な発熱作用が回
避されるとともにエンジン30に対する負荷が軽減され
る。
【0038】(ホ) 暖房用スイッチ41aのオン、オ
フにより、ブレーキ手段23のオン、オフの切換が行わ
れるため、車両の搭乗者が暖房の必要を感じて暖房用ス
イッチ41aのオン操作を行ったとき以外は、ブレーキ
手段が23がオフ状態に保持される。従って、暖房が必
要なときにのみ確実にビスカスヒータとして有効に機能
し、夏季など暖房が不要なときには、エンジン30に無
駄な負荷をかけずにウォータポンプとして有効に機能す
る。
【0039】(ヘ) ブレーキ手段23はソレノイドコ
イル28の励消磁によりオン、オフ制御される構成のた
め、機械式のブレーキ手段に比較して構造が簡単で遠隔
操作が容易となる。
【0040】(ト) 両区画プレート15,16が熱伝
導率の良い材質で形成されているため、発熱室12で発
生した熱が効率良くポンプ室12内の循環水に伝達され
る。 (チ) 流路34の途中にラジエータサーモスタット弁
35が設けられ、循環水の温度が低い場合はラジエータ
33側に循環水が流れず、少ない量の循環水をポンプ室
5で加熱できるため、エンジン始動時に早期に循環水の
温度が暖房に適した温度に上昇する。
【0041】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図4及び図5に従って説明する。この実施の形態で
はポンプハウジング3の一部がエンジンハウジングの一
部を構成している点と、ブレーキ手段23が制動力可変
に構成されるとともに制御手段としての制御装置41に
より制動力が調整される点とが前記実施の形態と大きく
異なっている。なお、前記実施の形態と同一部分は同一
符号を付して詳しい説明を省略する。
【0042】図5に示すように、エンジンハウジングの
一部を構成する取付けハウジング42と、その前側開放
部を覆う前部ハウジング43とによりポンプハウジング
3が形成されている。前部ハウジング43は取付けハウ
ジング42との間にガスケット44が介装された状態
で、ボルト(図示せず)により取付けハウジング42に
締め付け固定されている。前部ハウジング43には前記
実施の形態と同様に、駆動軸6が支持されている。
【0043】ポンプ室5内に循環水を吸入する吸入ポー
ト3aと、循環水を吐出する吐出ポート3bとは取付け
ハウジング42の後部側に配設されている。発熱領域形
成部材19を支持する支軸20の後端部と、取付けハウ
ジング42との間に、支軸20に対する制動力の変更可
能なブレーキ手段45が設けられている。ブレーキ手段
45は基本的構造が前記実施の形態のブレーキ手段23
と同様に構成され、ソレノイドコイル28の励磁状態に
おける電磁力の強さが調整可能に構成されている。ソレ
ノイドコイル28の励磁状態における電磁力の強さは、
ソレノイドコイル28に供給される電流の大きさにより
変更可能となっており、電磁力の強さを変更することに
より可動板26の制動部材24に対する押圧力が変更さ
れて、ブレーキ手段の制動力が変更可能となっている。
【0044】制御装置41は剪断作用部13の回転速度
に関連した物理量を検出する物理量検出手段によって検
出された物理量に基づいてブレーキ手段45の制動力を
制御(調整)する。この実施の形態では前記物理量とし
てエンジン回転速度を採用している。図4に示すよう
に、制御装置41はCPU(中央処理装置)46及び記
憶装置47を備えており、CPU46は記憶装置47に
記憶された制御プログラムに従って作動する。記憶装置
47には制御プログラムの他にブレーキ手段45の制御
を行う場合の、エンジン回転速度とソレノイドコイル2
8への供給電流との関係を示すマップ又は関係式等のデ
ータが記憶されている。制御装置41は物理量検出手段
としてのエンジン回転速度センサ48と電気的に接続さ
れている。
【0045】CPU46は暖房用スイッチ41aがオフ
状態においては、ソレノイドコイル28に駆動指令を出
力せず、ブレーキ手段45をオフ状態に保持する。一
方、CPU46は暖房用スイッチ41aがオン状態にお
いて、エンジン回転速度センサ48の出力信号に基づい
てエンジン回転速度を演算する。そして、前記マップ又
は関係式からエンジン回転速度に対応した供給電流を設
定するとともに、駆動回路(図示せず)を介してその設
定値となるようにソレノイドコイル28に駆動指令を出
力する。
【0046】剪断作用部13の回転速度が粘性流体の剪
断発熱量が過剰となる速度に達するまでは、エンジンの
回転速度に関係なくブレーキ手段45は最大の制動力状
態すなわち、発熱領域形成部材19の回転を阻止する状
態に保持される。従って、暖房を必要とする場合、この
実施の形態では剪断作用部13の回転速度が粘性流体の
剪断発熱量が過剰となる速度に達するまでは、発熱領域
形成部材19は剪断作用部13の回転に伴って粘性流体
がその回転速度における最大の剪断発熱量を発生する状
態に保持される。
【0047】そして、剪断作用部13の回転速度が粘性
流体の剪断発熱量が過剰になる速度以上になると、制動
力が小さくなるように制動力が調整される。その結果、
発熱領域形成部材19が粘性流体の剪断力によって剪断
作用部13と連れ回り可能な状態となり、剪断作用部1
3の回転速度が同じであっても剪断発熱量が減少する。
制動力は回転速度が大きくなるほど小さくなるように調
整され、剪断発熱量が一定の値以下に抑制される。
【0048】エンジン30が高速回転中に暖房用スイッ
チ41aがオン状態になったとき、直ちにブレーキ手段
45をエンジン回転速度に対応した制動力状態にするよ
うにソレノイドコイル28に電流が供給されるような制
御を行うと、エンジン30に急に大きな負荷がかかる状
態となり、乗り心地が悪くなる。この不都合を解消する
ため、CPU46は暖房用スイッチ41aがオン状態に
なったときにエンジン回転速度を演算し、所定の制動力
にする電流が所定の時間をかけてソレノイドコイル28
に供給されるようにソレノイドコイル28に駆動信号を
出力する。
【0049】従って、この実施の形態では、前記実施の
形態の(イ)〜(チ)の効果を有する他に、以下の効果
を有する。 (リ) ブレーキ手段45の制動力が可変に構成され、
剪断作用部13の回転速度に関連する物理量(エンジン
の回転速度)に基づいて発熱室12内における粘性流体
の剪断発熱量が過剰にならないように制動力が調整され
る。従って、剪断発熱能力(ビスカスヒータ機能)が過
大になることが未然に防止されて粘性流体の劣化が抑制
される。また、暖房運転時に、無駄な発熱作用が回避さ
れて、エンジンに対する負荷が軽減される。
【0050】(ヌ) ポンプ室5を構成するポンプハウ
ジング3の一部がエンジンハウジングの一部を構成して
いるため、エンジン回りの体格がさほど大きくならず、
部品点数の削減が可能となる。
【0051】(ル) エンジンの駆動中に暖房スイッチ
41aがオン状態になった場合は、ブレーキ手段45が
所定の制動力を発揮する状態となる電流を直ちにソレノ
イドコイル28に供給せずに、所定時間をかけて所定の
電流に達するように制御される。従って、エンジンに急
激に大きな負荷がかかるのが防止され、車両の走行中に
暖房用スイッチ41aをオンにしても、乗り心地が悪く
ならない。
【0052】(ヲ) 物理量検出手段としてエンジン回
転速度センサ48を使用している。エンジン回転速度セ
ンサは一般に車両に装備されているため、新たに装備す
る必要がなく、既設のセンサの検出信号を利用すること
ができる。
【0053】(第3の実施の形態)次に第3の実施の形
態を図6に従って説明する。この実施の形態では発熱領
域形成部材19がポンプハウジング3に回動不能に固定
されている点と、発熱室12内に収容された粘性流体の
量を変更することで発熱能力を変更可能に構成した点と
が前記両実施の形態と大きく異なっている。なお、第1
の実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明
を省略する。
【0054】支軸20は後部ハウジング2の軸孔2aに
回動不能に圧入固定されている。支軸20には発熱室1
2と連通する制御孔49が形成されている。制御孔49
は支軸20の軸方向に延びるように形成された後に開口
端部が閉塞された穴49aと、穴49aと連通するよう
に形成された孔49bとにより形成されている。後部ハ
ウジング2には支軸20より下側に制御孔49と連通す
る状態で収容室50aが形成されている。収容室50a
はカバーハウジング50を後部ハウジング2に固定する
ことにより形成されている。カバーハウジング50は軸
孔2aと連通するように形成された孔に螺合され、開放
側端面にガスケットが当接された状態で固定されてい
る。収容室50a内には、制御孔49の開口端を覆うと
ともに伸長時に発熱室12内の粘性流体を回収可能な容
積になるベローズ51が収容され、ベローズ51により
制御室52が区画形成されている。
【0055】収容室50a内にはベローズ51を挟んで
制御孔49と反対側にスプール53が摺動可能に配設さ
れている。スプール53はベローズ51に固定されると
ともに、収容室50aの内壁との間に介装された押圧ば
ね54によりベローズ51を収縮即ち制御室52の容積
を縮小させる方向に付勢されている。また、収容室50
a内には励磁状態において、スプール53を押圧ばね5
4の付勢力に抗して制御孔49から離れる方向に移動さ
せるソレノイド55が配設されている。ソレノイド55
は制御装置(図示せず)からの制御信号によりオン・オ
フ(励消磁)制御されるようになっている。そして、粘
性流体はソレノイド55が消磁されて押圧ばね54の押
圧力により制御室52の容積が縮小された状態で、発熱
室12内に剪断発熱作用を生じるのに十分な量が送り込
まれ、制御室52の容積が拡大された状態で制御室52
内に発熱室12内の大部分の量が回収される。
【0056】発熱領域形成部材19には複数の孔19a
が形成されている。この孔19aは発熱領域形成部材1
9の前後両側に粘性流体の移動を促進させる役割を果た
すとともに、剪断作用部13の回転時に剪断作用を高め
る役割を果たす。
【0057】制御装置41は、原則として暖房スイッチ
41aがオン状態のときに、ソレノイド55を消磁して
制御室52を縮小状態に保持し、暖房スイッチ41aが
オフ状態のときに、ソレノイド55を励磁して制御室5
2を拡大状態に保持する。また、発熱室12内で粘性流
体が過剰発熱状態となるのを防止するため、エンジン回
転速度が所定速度以上のときには、暖房スイッチ41a
がオン状態であってもソレノイド55を励磁して制御室
52を拡大状態に保持する。前記所定速度とはその状態
で剪断発熱を行うと粘性流体の温度が熱劣化が速まる温
度以上になる速度であり、予め試験あるいは理論的に求
めた値である。エンジン回転速度が所定速度以上か否か
は、図示しないエンジン回転速度センサの検出信号に基
づいて判断される。
【0058】従って、この実施の形態では、第1の実施
の形態の(イ)〜(ハ)及び(ト)の効果を有する他
に、次の効果を有する。 (ワ) 発熱室12内に収容される粘性流体の量を調整
することにより、ビスカスヒータとして機能する状態
と、ビスカスヒータとして機能しない状態とに切り換え
可能なため、ブレーキ手段を設けなくても、暖房機能が
不要なときに剪断発熱を回避できる。従って、暖房機能
が不要なときにエンジンに対する負荷が軽減される。
【0059】(カ) 暖房スイッチがオン状態であって
も、エンジン回転速度が所定速度以上のときには、ビス
カスヒータとしての機能を発揮しない状態に保持される
ため、粘性流体が過剰発熱状態となることが回避され、
粘性流体の寿命が延びる。
【0060】(ヨ) 暖房用スイッチ41aがオン状態
にない場合は、発熱室12内に剪断発熱に必要な量の粘
性流体が供給されない。従って、暖房が必要なときにの
み確実にビスカスヒータとして有効に機能し、夏季など
暖房が不要なときには、エンジン30に無駄な負荷をか
けずにウォータポンプとして有効に機能する。暖房不要
時には粘性流体が発熱室12内から回収されるため、第
1及び第2の実施の形態のように暖房不要時にも暖房必
要時と同様に発熱室12内に粘性流体が存在するものに
比較して、暖房不要時にエンジン30にかかる負荷が小
さくなる。
【0061】(第4の実施の形態)次に第4の実施の形
態を図7に従って説明する。この実施の形態では発熱領
域形成部材が剪断作用部を内包する構成となっている点
が前記各実施の形態と大きく異なっている。なお、第1
の実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明
を省略する。
【0062】発熱領域形成部材56は、ポンプ室5内に
発熱室12を区画形成するように中空形状に形成されて
いる。発熱領域形成部材56は、ほぼ円盤状の前部区画
プレート57及び後部区画プレート58をその当接面間
にシール部材としてのOリング17を介装した状態でボ
ルト18で締結することにより組み付けられている。そ
して、後部区画プレート58の中心部に支軸20が圧入
固定されている。両区画プレート57,58は、熱伝導
性に優れた材料(例えば、アルミニウムあるいはアルミ
ニウム系合金)で形成されている。
【0063】駆動軸6は前部区画プレート57を貫通し
た状態で軸受装置60を介して発熱領域形成部材56に
相対回転可能に取り付けられている。駆動軸6の後端に
は発熱室12内に回動可能に収容された円板状の剪断作
用部59が一体回転可能に圧入固定されている。駆動軸
6にはポンプ作用部としての複数のインペラ61が、発
熱領域形成部材56の外側において一体回転可能に設け
られている。インペラ61は駆動軸6に一体回転可能に
固定されたリングの外側に突設された状態に形成されて
いる。剪断作用部59及びインペラ61がポンプ手段を
構成する。
【0064】この実施の形態においても、エンジン30
の駆動に伴って駆動軸6が駆動され、発熱領域形成部材
56及び剪断作用部59が相対回転し、発熱領域形成部
材56の内面と剪断作用部59との間に存在する粘性流
体が剪断されて発熱する。ブレーキ手段23は第1の実
施の形態と同様に制御される。また、インペラ61の回
転により循環水が吸入ポート3aからポンプ室5内に吸
入されるとともに、吐出ポート3bから吐出される。
【0065】この実施の形態においては、(イ)、
(ロ)及び(ニ)〜(チ)と同様な効果を発揮する。イ
ンペラ61が発熱室12の隔壁に一体に形成されていな
いため、放熱フィンの役割は果たさないが、発熱室12
の外側近傍で循環水を攪拌するため、発熱室12内の熱
が効率よく循環水に熱交換される。
【0066】なお、実施の形態は上記に限定されるもの
ではなく、例えば次のように変更してもよい。 (1) 第1及び第4の実施の形態において、ブレーキ
手段23を第2の実施の形態のブレーキ手段45のよう
に、制動力の変更可能に構成するとともに制御装置41
による制動力の制御を第2の実施の形態と同様にしても
よい。この場合は、(リ)及び(ル)と同様な効果も発
揮する。
【0067】(2) 第2の実施の形態及び(1)のよ
うにブレーキ手段23,45を制動力の変更可能に構成
した場合において、制動力の制御を剪断作用部13,5
9の回転速度に関連した物理量に基づいて制御する構成
に代えて、ポンプ室5に流入する(吸入される)循環水
の温度を検出する温度検出手段によって検出された水温
に基づいて制御する構成とする。温度検出手段としての
温度センサ62は、例えば図5に鎖線で示すように、吸
入ポート3aに設ける。制御装置41には検出された水
温とブレーキ手段のソレノイドコイル28への供給電流
の関係を示すマップ又は関係式が記憶されており、制動
力が水温に対応して制御される。この場合も、剪断発熱
が過剰になるのが防止され、粘性流体の寿命が延びると
ともに、エンジンに無駄な負荷が加わるのが防止され
る。
【0068】(3) 第1及び第4の実施の形態におい
て、制御装置41がエンジン回転速度センサの検出信号
に基づいて、エンジン回転速度が所定速度以上か否かを
判定する機能を備え、所定速度以上の場合は、暖房用ス
イッチ41aがオン状態であっても、ブレーキ手段を2
3をオフ状態に切り換える構成とする。この場合、粘性
流体の過剰発熱が防止されて粘性流体の寿命が延びる。
【0069】(4) 第1、第3及び第4の実施の形態
においても、ポンプハウジング3の一部、特に後部ハウ
ジング2がエンジンハウジングの一部を形成する構成と
してもよい。この場合は、各実施の形態において(ヌ)
の効果も有する。
【0070】(5) 第4の実施の形態において、発熱
領域形成部材56を後部ハウジング2に固定した構成と
し、第3の実施の形態のような容積可変の制御室52を
設け、ビスカスヒータとしての機能のオン・オフ状態の
切り換えを制御室52の縮小、拡大により行ってもよ
い。この場合、(イ)、(ロ)、(ト)、(ワ)〜
(カ)と同様な効果を発揮する。
【0071】(6) (5)の構成において、発熱室1
2内に温度センサを設け、暖房スイッチ41がオン状態
において、発熱室12内の温度が粘性流体の熱劣化が生
じ易い温度に上昇した場合、発熱室12内の粘性流体を
回収する構成としてもよい。温度センサは剪断作用部5
9と干渉しない位置に取り付けられる。この場合、粘性
流体の熱劣化を防止するための制御がより的確に行われ
る。 (7) 第1〜第4及び(1)〜(6)各実施の形態に
おいて、冷却水の温度を検出する温度検出手段(温度セ
ンサ)を設け、冷却水温度が所定温度以下のときは、制
御装置41は暖房用スイッチ41aがオフであっても、
ビスカスヒータ機能を発揮するように制御を行う構成と
してもよい。但し、モータ38は駆動させない。この場
合、エンジン始動時にウォータジャケットを流れる冷却
水(循環水)の温度を、短時間でエンジンの燃焼動作に
好適な温度にすることができる。
【0072】(8) 第1〜第4及び(1)〜(7)各
実施の形態において、ポンプ室5に流入する(吸入され
る)循環水の温度を検出する温度検出手段を設け、ウォ
ータジャケットWJから排出される冷却水の温度が、暖
房用として十分な所定温度以上の場合は、暖房用スイッ
チがオン状態であっても、ビスカスヒータ機能をオフ状
態とするように制御する構成とする。この場合、ビスカ
スヒータ機能を無駄に発揮することが回避され、その分
エンジンの負荷が軽減される。
【0073】(9) 第1〜第4及び(1)〜(8)各
実施の形態において、車室内の気温を測定するセンサを
設け、車室内の温度が所定温度以下のときには、自動的
にビスカスヒータ機能が作用する状態でウォータポンプ
を運転するように制御する構成とする。この場合は暖房
スイッチをオン操作する手間が省ける。
【0074】(10) 第1〜第4及び(1)〜(9)
各実施の形態において、暖房スイッチ41aがONにな
っても、循環水の温度が所定温度に達した後にファン3
9を作動させる構成とする。この場合、冷たい風が送ら
れることを防止できる。
【0075】(11) 剪断作用部13の外面にインペ
ラ14に加えて、ポンプ作用に寄与しないフィンを設け
てもよい。この場合、発熱室12内の熱がより効率よく
循環水に伝達される。
【0076】(12) 発熱領域形成部材56の外面に
フィンを設けてもよい。この場合、発熱室12内の熱が
より効率よく循環水に伝達される。 (13) インペラ14の形状は半径方向に直線状に延
びるものに限らず、湾曲形成されたものでもよい。
【0077】(14) 剪断作用部13の外面にインペ
ラ14を設ける構成にかえて、第4の実施の形態のよう
に、駆動軸6にインペラ14を設けてもよい。 (15) 発熱領域形成部材56の後部区画プレート5
8と支軸20とを一体に形成してもよい。この場合、部
品点数が減って組み付けが容易になる。
【0078】(16) ブレーキ手段23は電磁式のブ
レーキに限らず、機械式あるいは油圧式のブレーキでも
よい。また、ブレーキ手段45も電磁式のブレーキに限
らず、油圧式のブレーキでもよい。
【0079】(17) ブレーキ手段の制動力の調整を
ソレノイドコイル28に供給する電圧を変更することに
より行う構成としてもよい。この場合も供給電流を変更
する場合と同等の効果が得られる。
【0080】(18) 発熱領域形成部材19及び剪断
作用部59を円板状に代えてラビリンス形状の円盤と
し、発熱室12を構成する区画プレート15,16、5
7,58にそれぞれ対応するラビリンスを形成する。こ
の場合は、剪断発熱の効率が良くなる。
【0081】(19) 剪断作用部13を円筒状に形成
するとともに、発熱領域形成部材19を円柱状、中空円
柱状あるいは円筒状に形成し、主な剪断発熱領域を円筒
状としてもよい。この場合、発熱室12の直径が小さく
ても、軸方向の長さを長くすることにより、必要な発熱
量を確保できる。
【0082】なお、本明細書で言う「粘性流体」とは、
剪断作用部の回転による剪断作用を受けて流体摩擦に基
づく熱を発生するあらゆる媒体を意味するものであり、
高粘度の液体や半流動体に限定されず、ましてやシリコ
ーンオイルに限定されるものではない。
【0083】前記各実施の形態から把握できる請求項記
載以外の発明について、以下にその効果とともに記載す
る。 (1) 請求項5に記載の発明において、物理量検出手
段としてエンジン回転速度センサを使用する。エンジン
回転速度センサは一般に車両に装備されているため、新
たに装備する必要がなく、既設のセンサを利用すること
ができる。
【0084】(2) 請求項5、請求項6及び(1)の
いずれかに記載の発明において、前記制御手段は暖房ス
イッチのオン状態においてブレーキ手段の制動力調整を
行うとともに、エンジンの駆動中に暖房スイッチがオン
になった場合は、エンジンに急激に大きな負荷がかかる
のを抑制する所定時間をかけて所定の制動力となるよう
に制動力の調整を行う。この場合、乗り心地が悪くなら
ない。
【0085】(3) 請求項5、請求項6、(1)及び
(2)のいずれかに記載の発明において、前記ブレーキ
手段はソレノイドの電磁力により制動作用を発揮し、そ
の制動力の調整がソレノイドに供給される電圧又は電流
の大きさで制御可能な電磁ブレーキにより構成されてい
る。この場合、機械式のブレーキ手段に比較して構造が
簡単で遠隔操作が容易となる。
【0086】(4) 請求項1又は請求項2に記載の発
明において、前記発熱領域形成部材は軸部においてポン
プ室を構成するハウジングに対して回動不能に固定さ
れ、発熱室内の粘性流体量が粘性流体量変更手段によ
り、剪断発熱に有効な量と、剪断発熱が生じ難い量とに
変更可能に構成されている。この場合は、ブレーキ手段
を設けずに、暖房機能が不要なときに剪断発熱を回避し
て、エンジンに対する負荷を軽減することができる。
【0087】(5) 請求項3〜請求項6及び(1)〜
(4)のいずれか一項に記載の発明において、冷却水の
温度を検出する温度検出手段を設け、冷却水温度が所定
温度以下のときは、制御手段は暖房用スイッチがオフで
あってもビスカスヒータ機能を発揮するように制御を行
う構成とする。この場合、エンジン始動時にウォータジ
ャケットを流れる冷却水(循環水)の温度を、短時間で
エンジンの燃焼動作に好適な温度にすることができる。
【0088】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
7に記載の発明によれば、車両用暖房装置の補助熱源の
エンジンルーム内における搭載スペースの確保が容易と
なる。
【0089】請求項2に記載の発明によれば、剪断作用
部及びポンプ作用部の製造工数と、駆動軸への組付け工
数とが低減され、全体としての製造コストの低減が可能
となる。また、羽が放熱フィンの役割を果たし、発熱室
内の熱が循環水に効率よく熱交換される。
【0090】請求項3及び請求項4に記載の発明によれ
ば、暖房が不要な場合にはブレーキ手段をオフ状態(制
動作用を解除した状態)にすることにより、無駄な発熱
作用が回避されるとともにエンジンに対する負荷が軽減
される。
【0091】請求項5及び請求項6に記載の発明によれ
ば、剪断発熱能力(ビスカスヒータ機能)が過大になる
ことを未然に回避して粘性流体の劣化を抑制することが
可能となる。また、暖房運転時に、無駄な発熱作用を回
避してエンジンに対する負荷を軽減することが可能とな
る。
【0092】請求項7に記載の発明によれば、エンジン
回りの体格がさほど大きくならず、部品点数の削減が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の縦断面図。
【図2】 図1のA−A線断面図。
【図3】 エンジン冷却回路及び暖房回路の概略構成
図。
【図4】 第2の実施の形態の概略構成図。
【図5】 同じく縦断面図。
【図6】 第3の実施の形態の縦断面図。
【図7】 第4の実施の形態の縦断面図。
【符号の説明】
2…後部ハウジング、3…ポンプハウジング、5…ポン
プ室、6…駆動軸、11…ポンプ手段、12…発熱室、
13,59…剪断作用部、14…ポンプ作用部としての
羽(インペラ)、19,56…発熱領域形成部材、20
…軸部としての支軸、23,45…ブレーキ手段、41
…制御手段としての制御装置、41a…暖房用スイッ
チ、42…取付けハウジング、48…物理量検出手段と
してのエンジン回転速度センサ、62…温度検出手段と
しての温度センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南 和彦 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水冷式エンジンに使用されるウォータポ
    ンプであって、 ポンプ室と、 該ポンプ室内に収容され剪断作用部とポンプ作用部とを
    備えるとともに駆動軸と一体回転可能なポンプ手段と、 ポンプ室内に設けられた発熱室と、 ポンプ室内に設けられ前記剪断作用部と相対回転可能に
    設けられた発熱領域形成部材とを備え、 前記発熱室は前記発熱領域形成部材を内包する状態に形
    成された前記剪断作用部又は前記剪断作用部を内包する
    状態に形成された発熱領域形成部材により形成され、前
    記発熱室内に粘性流体が収容されているビスカスヒータ
    機能付きウォータポンプ。
  2. 【請求項2】 前記剪断作用部は前記発熱領域形成部材
    を内包するように中空形状に形成されており、その外面
    にポンプ作用部としての羽が突設されている請求項1に
    記載のビスカスヒータ機能付きウォータポンプ。
  3. 【請求項3】 前記発熱領域形成部材は軸部においてポ
    ンプ室を構成するハウジングに対して回動可能に支持さ
    れ、前記軸部と前記ハウジングとの間にブレーキ手段が
    介在されている請求項1又は請求項2に記載のビスカス
    ヒータ機能付きウォータポンプ。
  4. 【請求項4】 前記ブレーキ手段は前記軸部の回転を許
    容する状態と、阻止する状態とに選択的に切り換え可能
    に構成されている請求項3に記載のビスカスヒータ機能
    付きウォータポンプ。
  5. 【請求項5】 前記ブレーキ手段は制動力可変に構成さ
    れ、前記剪断作用部の回転速度に関連した物理量を検出
    する物理量検出手段によって検出された物理量に基づい
    てブレーキ手段の制動力を制御する制御手段を備えてい
    る請求項3に記載のビスカスヒータ機能付きウォータポ
    ンプ。
  6. 【請求項6】 前記ブレーキ手段は制動力可変に構成さ
    れ、循環水の温度を検出する温度検出手段によって検出
    された水温に基づいてブレーキ手段の制動力を制御する
    制御手段を備えている請求項3に記載のビスカスヒータ
    機能付きウォータポンプ。
  7. 【請求項7】 前記ハウジングはエンジンハウジングの
    一部を構成している請求項1〜請求項6のいずれか一項
    に記載のビスカスヒータ機能付きウォータポンプ。
JP240597A 1997-01-09 1997-01-09 ビスカスヒータ機能付きウォータポンプ Pending JPH10193951A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140112401A (ko) * 2013-03-13 2014-09-23 지에이치에스피, 아이엔씨. 동일 평면상 인터페이스 면을 지닌 2개의 펌프 디자인

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140112401A (ko) * 2013-03-13 2014-09-23 지에이치에스피, 아이엔씨. 동일 평면상 인터페이스 면을 지닌 2개의 펌프 디자인

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