JPH11208252A - 車輌用熱発生器 - Google Patents

車輌用熱発生器

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JPH11208252A
JPH11208252A JP10015622A JP1562298A JPH11208252A JP H11208252 A JPH11208252 A JP H11208252A JP 10015622 A JP10015622 A JP 10015622A JP 1562298 A JP1562298 A JP 1562298A JP H11208252 A JPH11208252 A JP H11208252A
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JP
Japan
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chamber
rotor
heat
region
viscous fluid
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Application number
JP10015622A
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English (en)
Inventor
Takashi Ban
孝志 伴
Tatsuyuki Hoshino
辰幸 星野
Takanori Okabe
孝徳 岡部
Takahisa Saka
高寿 坂
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F24HEATING; RANGES; VENTILATING
    • F24VCOLLECTION, PRODUCTION OR USE OF HEAT NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F24V40/00Production or use of heat resulting from internal friction of moving fluids or from friction between fluids and moving bodies

Abstract

(57)【要約】 【課題】車輌用熱発生器において、ロータが起動する際
の負荷トルクを速やかに低減させることでロータ起動の
円滑化を図ると共に粘性流体の酸化劣化を防ぐ。 【解決手段】ハウジング内には、発熱室7の周壁を挟ん
で発熱室7の反対側位置(外側位置)に回収及び供給通
路20,21を介して貯留室10が設けられる。この貯
留室10は、前部ハウジング本体1の一部に形成された
凹室(10)を後部ハウジング本体2で塞ぐことによっ
て現出される。かかる貯留室10の内部は、上狭下広な
断面形状を有し、上狭な第1領域10aと、下広な第2
領域10bとに二分される。従って、第2領域10bの
内容積は第1領域10aのそれよりもかなり大きくなる
ため、ロータの停止時には、発熱室内の残留粘性流体が
第2領域10bに移動していく。故に、ロータの表面と
シリコーンオイルとの接触面積が小さくなるため、ロー
タ14起動時の負荷トルクが低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ハウジング内に
区画された発熱室及び放熱室を備え、駆動軸に作動連結
されたロータを、粘性流体を収容した発熱室内で回転さ
せて粘性流体の剪断作用に基づく熱を発生させ、その熱
を放熱室を流れる循環流体に熱交換する車輌用熱発生器
に関する。
【0002】
【従来の技術】車輌のエンジンの駆動力を利用する熱発
生器として、例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第
3832966号公報(1990年4月5日公表のDE
3832966A1)は、車輌用暖房装置に組み込まれ
る熱発生器としての加熱アセンブリーを開示する。以下
に、該ドイツ語公報のFIG.2を参照しつつ、そこで
の部材番号を引用しながら、前記加熱アセンブリーの概
要を説明する。
【0003】この加熱アセンブリーでは、ハウジング
は、その内部に作業空間48(発熱室に対応)と、この
作業空間48の半径方向に隣接するリング空間62(ウ
ォータジャケットに対応)とを備えている。更に、該ハ
ウジングは、貯蔵空間58(貯留室に対応)を作業空間
48の前方に隣接して有している。この作業空間48と
貯蔵空間58とは、中間壁60により分離され、かかる
中間壁60には作業空間48と貯蔵空間58とを結ぶ流
体供給用の通口66及び流体回収用の結合通路68が形
成されている。通口66は、バイメタル板バネ76によ
って揺動制御されるレバー72によって開閉が可能な通
路であり、この通口66の開閉によって加熱アセンブリ
ーの発熱能力を調整できるように設定されている。ハウ
ジング後方には駆動軸52が回転可能に支承されてお
り、この駆動軸52の一端には作業空間48内で一体回
動可能な車輪50(ロータに対応)が固着され、駆動軸
52の他端には、ベルトプーリ44が固着されている。
ベルトプーリ44はベルトを介してエンジンとつながれ
る。作業空間48及び貯蔵空間58内には所要量の粘性
流体78が充填され、相対向する車輪50の外壁部と作
業空間48の内壁面との間隙に行き渡るようにしてい
る。尚、本公報のFIG.2に示されるように、ハウジ
ング内に収容される粘性流体78の充填量は、貯蔵空間
58のほぼ半分となるように満たされている。
【0004】エンジンの駆動力が加熱アセンブリーの駆
動軸に伝達されると、駆動軸と共に車輪が作業空間内で
回転し、車輪外壁部と作業空間内壁面との間に介在され
る粘性流体が剪断されて流体摩擦に基づく熱を発生す
る。作業空間で発生した熱は、前記リング空間内を流れ
る冷却媒体(エンジン冷却液)にハウジングの隔壁を介
して熱伝達され、その車輌の熱交換器に供給されて車室
内の暖房に供される。尚、冷却媒体が加熱に必要な温度
に達していないときには、バイメタル板バネはレバーを
前記通口方向に押圧せず、通口は開放状態に維持され
て、貯蔵空間から作業空間への粘性流体の供給が許容さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この種の車輌用熱発生
器では、車輪(ロータ)を起動させる際の負荷トルクを
いかに低減させるかが主要な技術的課題のひとつとなる
ことを以下に説明する。上記従来の加熱アセンブリーの
場合、当該加熱アセンブリーの運転中にエンジンが停止
されると、車輪の停止にともなって結合通路を介した作
業空間から貯蔵空間への粘性流体の放出は中止されるた
め、作業空間内には相当量の粘性流体が残留することに
なる。このとき、車輪の表面と粘性流体との接触面積を
小さくさせるための方途が採られていないため、その
後、車輪を再起動させる場合、作業空間に残留する相当
量の粘性流体は車輪を拘束して車輪の起動を妨げようと
する。このため、加熱アセンブリーの起動時には、車輪
及びベルトを介してエンジンに大きな負荷トルクが加わ
る。従って、車輪の起動を強行したときには、大きな起
動ショックが生じたり、ベルトが空滑りを起こすおそれ
があり、その結果として、異音を生じさせたり、加熱ア
センブリーの各部の摩耗を早める原因となる。
【0006】また、この加熱アセンブリーの場合、貯蔵
空間のほぼ半分まで粘性流体が充填されている。従っ
て、貯蔵空間のほぼ半分は空気が入り込む結果となり、
粘性流体は、該空気に含まれる酸素に起因して酸化劣化
するおそれが高い。
【0007】本発明の目的は、ロータが起動する際の負
荷トルクを可能な限り最小限に止めることでロータの起
動を円滑化し、過大な負荷トルクに起因する異音の発生
や部材の早期摩耗という不都合を解消した車輌用熱発生
器を提供することにある。
【0008】また、粘性流体が貯留される領域に入り込
む酸素の量をできるだけ少なくして、粘性流体の酸化劣
化を極力遅らせることができる車輌用熱発生器を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ハウ
ジング内に区画された発熱室及び放熱室を備え、前記発
熱室内に収容された粘性流体を前記発熱室内に回動可能
に設けられたロータで剪断して熱を発生させ、その熱を
前記放熱室を流れる循環流体に熱交換する車輌用熱発生
器において、前記ハウジング内には、前記発熱室以外で
粘性流体を収容する貯留室と、前記ロータの回動によっ
て前記貯留室と前記発熱室との間で粘性流体の循環を行
うべく前記貯留室と前記発熱室とを連通させる回収通路
及び供給通路が設けられ、前記貯留室の内部は、第1領
域と、その第1領域の下に位置すると共に、該第1領域
よりも内容積が大きな第2領域とに二分されることをそ
の要旨とする。
【0010】この車輌用熱発生器によれば、発熱室と粘
性流体を収容する貯留室との間で回収通路及び供給通路
を介した粘性流体の循環流動が達成される。この循環流
動は、特定の粘性流体のみが発熱室における剪断によっ
て熱劣化するに到る事態を回避させる。
【0011】そして、ロータの停止時においては、粘性
流体の循環流動が止まると共に、発熱室内に残留するこ
ととなった粘性流体が流下する。このとき、残留粘性流
体は、供給通路を介した貯留室の第2領域への流動が許
容される。このため、例えば、貯留室の第1領域と第2
領域とが同じ内容積を有すると共に貯留室全体の内容積
が本発明と同じである場合に比べて、より多くの粘性流
体が貯留室の下部、即ち、第2領域に収容される結果、
発熱室における残留粘性流体の液面レベルが下がる。従
って、発熱室内において粘性流体とロータ表面との接触
面積を小さくさせることができる。当該接触面積が小さ
くなるほど粘性流体によるロータの拘束が少なくなるた
め、本発明によれば、停止したロータを起動する際の起
動トルクが低減される。
【0012】請求項2の発明は、請求項1に記載の車輌
用熱発生器において、前記貯留室の第2領域及び供給通
路は、前記ロータの回動軸線よりも下方に配設されてい
ることを特徴とする。
【0013】この構成によれば、ロータ停止時におい
て、ハウジング内の粘性流体を発熱室と貯留室とで分担
収容するとき、粘性流体のほとんどが貯留室の第2領域
に貯えられる。この場合、発熱室における粘性流体の液
面レベルは、前記第2領域に収容された粘性流体の液面
レベルとほぼ同じになるため、双方の液面レベルが少な
くともロータの回動軸線よりは下に位置される。このよ
うに、ロータ停止時における粘性流体の液面レベルが極
力低く抑えられる一方、第2領域が形成されることによ
って、より多くの粘性流体をハウジング内に充填するこ
とが可能となる。
【0014】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載
の車輌用熱発生器において、前記貯留室は、前記発熱室
の周壁を挟んで発熱室の反対側位置に区画されているこ
とを特徴とする。
【0015】この構成によれば、貯留室と回収通路及び
供給通路とを最短の経路でつなぐことができる。また、
発熱室の外周域と貯留室とをつなぐ回収通路及び供給通
路を直線的に延設することが可能となり、通路形状に由
来する粘性抵抗を低減(最小化)できる。従って、ロー
タ停止時には、発熱室内に残留することとなった粘性流
体が円滑に貯留室の第2領域へ流動される。
【0016】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
か一項に記載の車輌用熱発生器において、前記貯留室の
第2領域は、少なくともロータの回動軸線(X)方向に
膨らむように形成されていることを特徴とする。
【0017】この構成によれば、ハウジングの直径を必
要最小限に止めつつ、第2領域の内容積を第1領域のそ
れよりも相対的に大きく確保することができる。請求項
5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車輌
用熱発生器において、前記貯留室の第1領域は、前記回
収通路と前記第2領域とをつなぐべく略垂直方向にのび
る通路形状とされていることを特徴とする。
【0018】この構成によれば、第1領域は回収通路か
ら回収された粘性流体を第2領域に導くに必要十分な通
路として構成されているため、無駄な余剰空間として酸
素を多量に保持することがない。それ故、粘性流体の酸
化劣化が生じにくく、粘性流体の寿命が延びる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した本実施
形態について図1〜図6に基づいて説明する。
【0020】図1に示すように、車輌用熱発生器の外郭
は前部ハウジング本体1及び後部ハウジング本体2によ
って構成されている。前部ハウジング本体1は、前方
(図示左方)に向かって突出した中空筒状のボス部1a
と、該ボス部1aの基端部から後方に向かって大きく碗
形状に延在した円筒部1bとを有している。後部ハウジ
ング本体2は、前記円筒部1bの開口側を覆う蓋形状と
されている。両ハウジング本体1,2は、前部ハウジン
グ本体1の円筒部1b内に一対の前部区画プレート5及
び後部区画プレート6を内装しつつ、複数本のボルト3
(本実施形態では6本、図2参照)によって締結されて
いる。
【0021】前部区画プレート5と後部区画プレート6
とはそれぞれ、その外周部に環状のリム部5a,6aを
有している。これらリム部5a,6aを相互連結される
両ハウジング本体1,2の対向壁面間に挟着することに
より、両ハウジング本体1,2内に両区画プレート5,
6が移動不能に収納されている。また、前部区画プレー
ト5の後端面5dはそのリム部5aに対して凹んだ形状
となっており、両区画プレート5,6の相互接合によっ
て両者間には発熱室7が形成される。
【0022】このように、車輌用熱発生器のハウジング
は、前部ハウジング本体1、後部ハウジング本体2、前
部区画プレート5及び後部区画プレート6から構成され
ている。これらハウジングの構成部材は、アルミニウム
又はアルミニウム合金から作られている。
【0023】前部区画プレート5は、その前端側におい
て、その中央部に形成された支持筒部5bと、当該支持
筒部5bの外側に沿って周方向に延びる同心円弧状に形
成された複数のガイドフィン5cとを有している(図4
のガイドフィン6c参照)。前部区画プレート5は、支
持筒部5bの一部が前部ハウジング本体1の内壁部と密
接するように、前部ハウジング本体1内に嵌め込まれて
いる。この結果、前部ハウジング本体1の内壁部と前部
区画プレート5の本体部との間には、発熱室7の前側に
隣接する放熱室としての円環状の前部ウォータジャケッ
ト8が区画される。この前部ウォータジャケット8内に
おいて、前記リム部5a、支持筒部5b及びガイドフィ
ン5cは、循環流体としての循環水の流れをガイドする
ガイド壁の役目を果たし、前側放熱室内における循環水
の流通経路を設定する。
【0024】図1及び図4に示すように、後部区画プレ
ート6は、その後端側において、その中央部に形成され
た筒部6bと、当該筒部6bの外側に沿って周方向にの
びる同心円弧状に形成された複数のガイドフィン6cと
を有している。後部区画プレート6が前部区画プレート
5と共に前部ハウジング本体1内に嵌め込まれた状態で
は、後部区画プレート6の筒部6bが後部ハウジング本
体2の環状凹部2aと密接する。この結果、後部ハウジ
ング本体2と後部区画プレート6の本体部との間には、
発熱室7の後側に隣接する放熱室としての円環状の後部
ウォータジャケット9が区画される。この後部ウォータ
ジャケット9内において、前記リム部6a,筒部6b及
びガイドフィン6cは、循環流体としての循環水の流れ
をガイドするガイド壁の役目を果たし、後側放熱室内に
おける循環水の流通経路を設定する。
【0025】また、図1に示すように、後部ハウジング
本体2の後壁部には、車輌内に設けられた暖房回路(図
示略)から前部及び後部ウォータジャケット8,9の各
々に循環水を取り入れる入水ポートIPと、前部及び後
部ウォータジャケット8,9から循環水を前記暖房回路
に送り出す出水ポートOPとが並設されている。
【0026】図1に示すように、前部ハウジング本体1
及び前部区画プレート5には、軸受け11,12を介し
て駆動軸13が回動可能に支承されている。軸受け1
1,12はそれぞれシール付きの軸受装置である。軸受
け11は、前部区画プレート5の支持筒部5bの内周面
と、駆動軸13の外周面との間に介在され、発熱室7の
前方を封止している。また、軸受け12は、後部区画プ
レート6の筒部6bの内周面と、駆動軸13の外周面と
の間に介在され、発熱室7の後方を封止している。
【0027】図1及び図2に示すように、駆動軸13に
は、発熱室7内に収容される円板形のロータ14が一体
回転可能に固定されている。ロータ14の前後端面及び
外周縁と、これらに対向する発熱室7の内壁面(主とし
て前部区画プレート5の後端面5d、及び後部区画プレ
ート6の前端面6d)との間には微少なクリアランスが
形成されており、例えば数十〜数百ミクロン(μm)の
範囲である。また、ロータ14の周縁近傍には前後に貫
通する複数のロータ連通孔14aが形成されている。こ
れらロータ連通孔14aは、駆動軸13の中心軸線から
等距離の位置において、駆動軸13を取り囲んで等角度
間隔にて配置されている。
【0028】駆動軸13の前端部にはボルト15によっ
てプーリ16が固着されている。プーリ16はその外周
部に巻き掛けられるVベルト17を介して、外部駆動源
としての車輌のエンジンEと駆動連結される。このエン
ジンEは、起動用のスタータモータを備えている。
【0029】本実施形態の車輌用熱発生器では、図2に
示すように、前部ハウジング本体1の円筒部1bの一部
には、発熱室7の周壁を挟んで発熱室7の反対側位置
(外側位置)に貯留室10が設けられる。
【0030】図3に示すように、この貯留室10は、前
部ハウジング本体1の一部に形成された凹室(10)を
後部ハウジング本体2で塞ぐことによって現出される。
即ち、後部ハウジング本体2の前面側に形成された突部
2bを前記凹室(10)の上部領域に進入させること
で、図3に示すような上狭下広な断面形状の貯留室10
が形成される。このように、貯留室10の内部は、前記
上狭部に対応する第1領域10aと、前記下広部に対応
する第2領域10bとに二分される。
【0031】第1領域10aは、後部ハウジング本体2
の突部2bに隣接した領域であり、後述する回収通路2
0の内径の2〜3倍程度の幅を持つ通路を構成してい
る。他方、第2領域10bは、少なくとも図3に示すよ
うに、駆動軸13の軸線方向に膨らむように形成されて
おり、かつ、図2に示されるように、前部ハウジング本
体1の横断方向においても下側ほど膨らむように形成さ
れている。結果として、第2領域10bの内容積は第1
領域10aのそれよりもかなり大きくなっている。尚、
第2領域10bは、ロータ14の回動中心(駆動軸13
の回動中心X)よりも下方に配置されている。
【0032】図2に示すように、前部ハウジング本体1
及び両区画プレート5,6には、発熱室7と貯留室10
とを相互に連通させる回収通路20及び供給通路21が
形成されている。これら回収通路20及び供給通路21
は、前部ハウジング本体1に穿設される部分と、前部区
画プレート5に設けられるほぼ断面円形状の凹部を後部
区画プレート6に設けられる窪み部で塞ぐことにより現
出される部分とが結ばれることによって構成されてい
る。かかる回収通路20を介して発熱室7と貯留室10
の第1領域10aとが連通しており、同様に供給通路2
1を介して発熱室7と貯留室10の第2領域10bとが
連通している。
【0033】更に、図2に示すように、後部区画プレー
ト6の前端面6dには、発熱室7のほぼ中心域から周域
に向かって延びる導出溝23及び導入溝24が形成され
ている。この導出溝23は、その一端部が回収通路20
の発熱室7側開口部の近傍に配置されている。従って、
ロータ14の回転に伴って、ロータ14に引きずられた
粘性流体が、導出溝23に沿って積極的に回収通路20
の方へ導かれ、発熱室7から貯留室10へオイル流出が
促される。一方、導入溝24は、ほぼロータ14の半径
方向に沿って延びていると共に、その一端部は供給通路
21の発熱室7側開口部の近傍に配置されている。この
導入溝24は、供給通路21から流れ出た粘性流体を発
熱室7の中心域へ供給する役割を担う。
【0034】回収通路20及び供給通路21を介して相
互に連通する発熱室7と貯留室10とは、この車輌用熱
発生器のハウジング内において液密な内部空間を形成す
る。この内部空間には、粘性流体としてのシリコーンオ
イルが所要量入れられている。このシリコーンオイルは
粘弾性を有している。シリコーンオイルの量は、貯留室
10の第2領域10bがほぼ一杯となるように決められ
ている。尚、シリコーンオイルの充填時において、回収
通路20は、貯留室10内に貯留されたシリコーンオイ
ルの液位よりも上方に位置し、供給通路21は当該液位
よりも下方に位置する。
【0035】図2、図5及び図6に示すように、ハウジ
ング本体1には第1電磁ソレノイド30が設けられてい
る。この第1電磁ソレノイド30は、ハウジング本体1
の外周面側に複数のボルト31により取り付けられたケ
ース32内に収容されている。第1電磁ソレノイド30
は、ケース32内に配設された第1ソレノイドコイル3
3と、その中心に配設された第1芯棒34を備えてい
る。この第1芯棒34は前部ハウジング本体1に対し
て、ハウジングの内外方向に摺動可能に取り付けられる
と共に、その前端部が回収通路20と対向するように貯
留室10内に配置されている。第1芯棒34の前端部の
直径は回収通路20の開口径(連通断面の直径)よりも
大きく設定されており、第1芯棒34が回収通路20に
接近したときに当該先端面にて回収通路20の開口径を
絞り込むようになっている。こうして、第1芯棒34
は、最大連通位置(図5に示す)と最小連通位置(図6
に示す)との間で切り替え配置可能となっている。ま
た、第1芯棒34の前端部とハウジング本体1の内壁部
との間には、第1コイルバネ35が配設されている。こ
の第1コイルバネ35によって第1芯棒34は、その全
体を該熱発生器の外側方向に向けて付勢されている。
尚、第1ソレノイドコイル33、第1芯棒34、第1コ
イルバネ35により第1電磁ソレノイド30が構成され
る。
【0036】ハウジング本体1には第2電磁ソレノイド
40が設けられている。この電磁ソレノイド40は、ハ
ウジング本体1の外周面側に複数のボルト41により取
り付けられたケース42内に収容されている。電磁ソレ
ノイド40は、ケース42内に配設された第2ソレノイ
ドコイル43と、その中心に配設された第2芯棒44を
備えている。この第2芯棒44は前部ハウジング本体1
に対して、ハウジングの内外方向に摺動可能に取り付け
られると共に、その前端部が供給通路21と対向するよ
うに貯留室10内に配置されている。第2芯棒44の前
端部の直径は供給通路21の開口径(連通断面の直径)
よりも大きく設定されており、当該先端面にて供給通路
21を閉塞可能となっている。こうして、第2芯棒44
は、閉塞位置(図5に示す)と連通位置(図6に示す)
との間で切り替え配置可能となっている。また、第2芯
棒44の前端部とハウジング本体1の内壁部との間に
は、第2コイルバネ45が配設されている。この第2コ
イルバネ45によって第2芯棒44は、その全体が該熱
発生器の外側方向に向けて付勢されている。尚、第2芯
棒44が連通位置に配されるときの供給通路21の連通
断面積は、第1芯棒34が最小連通位置に配されるとき
の回収通路20の連通断面積よりも大きく設定されてい
る。
【0037】図2は、本実施形態の車輌用熱発生器の制
御構成を模式的に示す。この車輌用熱発生器は、制御装
置50を自ら内蔵するか、あるいは車輌用熱発生器本体
とは別体化された制御装置50と接続されている。この
制御装置50は、発熱室7と貯留室10との間の粘性流
体の入れ替えに関する制御や、発熱室7内での粘性流体
の残留量管理に関する制御を司る。尚、制御装置50を
車輌用熱発生器本体から切り離して設ける場合には、車
輌エンジンの電子制御ユニット(ECU)に当該制御装
置50の機能を併せ持たせてもよい。
【0038】制御装置50は、CPU、ROM、RAM
及び入出力インターフェイス(いずれも図示せず) を内
蔵したマイクロコンピュータ類似の制御ユニットであ
り、そのROMには制御プログラムが予め記憶されてい
る。この制御装置50は、各種センサ群51と接続され
ている。このセンサ群51に含まれるセンサの範疇とし
ては、車輌の室内又は室外の気温を検出する温度セン
サ、暖房回路の循環水(エンジン冷却水)の温度を検出
する温度センサ、エンジンの回転数(回転速度)を検出
する回転数センサ、粘性流体の温度を検出する温度セン
サ等があげられる。制御装置50は、前掲のセンサの範
疇に含まれるものから選択される少なくとも一つと接続
されている。
【0039】センサ群51からは温度に関するデータや
エンジン回転数等のデータがアナログ又はデジタルの検
出信号として出力される。制御装置50は前記センサ群
51からの信号を入力する。また、制御装置50は、車
室内に設けられたヒータスイッチ/温度設定器52とも
接続されて各種の指令や制御情報を入力している。ヒー
タスイッチ/温度設定器52は、車室に設けられた操作
パネル内に組み込まれており、搭乗者がヒータの作動及
び停止(ON/OFF)を指令し、又、好みの車室内温
度を設定するための入力装置である。制御装置50は、
第1及び第2ソレノイドコイル33,43と接続されて
おり、制御プログラムに基づいて各ソレノイドコイル3
3,43への通電制御を行う。
【0040】次に、この実施形態の車輌用熱発生器の作
用を各場面毎に説明する。 (場面1:停止したエンジンEの起動時)車輌エンジン
が停止(回転数=0rpm )している場合には、プーリ1
6、駆動軸13及びロータ14も停止している。この状
態では、制御装置50による各ソレノイドコイル33,
43への通電制御は行われず、各コイルバネ35,45
の付勢力によって第1芯棒34は最大連通位置、第2芯
棒44は開放位置に配置される。この場合には、シリコ
ーンオイル(粘性流体)の大部分が、貯留室10の第2
領域10bと発熱室7とに分けて貯留される。特に、貯
留室10の第2領域10bが第1領域10aよりも、そ
の内容積が大きくなるように確保されているため、発熱
室7内のシリコーンオイルは、開放されている前記供給
通路21を介して内容積の大きい第2領域10bに流入
する。従って、ハウジング内に充填されたシリコーンオ
イルの液面レベルは、少なくとも駆動軸13の回動軸線
Xよりも低くなっている。
【0041】スタータモータの駆動によって車輌エンジ
ンEが起動すると、プーリ16、駆動軸13及びロータ
14も回転し始めると共に、制御装置50は直ちに第2
ソレノイドコイル43へ通電制御を開始する。即ち、図
5に示すように第2ソレノイドコイル43への通電によ
って電磁力を発生させ、これにより第2コイルバネ45
の付勢力に抗して第2芯棒44を前進(閉塞位置へ移
行)させて供給通路21を閉塞する。ロータ14の回転
に伴って発熱室7に残留していたシリコーンオイルは、
ロータ14の回転に引きずられることで、導出溝23に
ガイドされて回収通路20内へ速やかに流入して行き、
貯留室10に収容される。
【0042】このように発熱室7内の残留オイルは、そ
の液面レベルが予め低く抑えられているため、スタータ
モータがON状態になった直後のごく短時間で回収通路
20を介して貯留室10内に回収される。発熱室7内の
残留オイルが貯留室10に収容されると、ロータ14は
いわば空回りの状態になるため、スタータモータのON
直後には一旦ピークをむかえた負荷トルクも速やかに軽
減される。
【0043】スタータモータの助けによってエンジンE
が始動すると、制御装置50は、第1ソレノイドコイル
33への通電を開始して第1芯棒34を前進させ(最小
連通位置への移行)、回収通路20の開口断面積を絞り
込む。但し、制御装置50は、ヒータスイッチ52がO
FFを選択されている限り、何ら制御を行わず現状を維
持する。従って、ロータ14の剪断作用面と発熱室7の
内壁面とのクリアランスにはシリコーンオイルが満たさ
れず、オイル剪断がないので発熱も生じない。
【0044】(場面2:エンジンE起動後のヒータ動
作)車輌エンジンEの駆動中にヒータスイッチ52がO
Nされると、制御装置50は車輌用熱発生器に発熱動作
をさせるべく、第2ソレノイドコイル43への通電停止
制御を行う。即ち、図6に示すように、制御装置50
は、第2ソレノイドコイル43への通電を停止して、第
2コイルバネ45の付勢力によって第2芯棒44を後退
(連通位置への移行)させて供給通路21を開放する。
これにより、貯留室10の第2領域10b内のシリコー
ンオイルが発熱室7内に流入を開始する。このとき、ロ
ータ14の回転に伴うシリコーンオイルの発熱室7内へ
の引き込み作用と、導入溝24によるオイルのガイド作
用とが相まって、貯留室10から発熱室7へのオイル流
入が円滑に行われる。こうして、ロータ14の剪断作用
面と発熱室7の内壁面との微少なクリアランスの全体に
オイルが素早く円滑に行き渡る。
【0045】発熱室7の内壁面とロータ14の剪断作用
面とのクリアランスに満たされたシリコーンオイルは剪
断されて発熱する。発熱室7で生じた熱は、前部及び後
部ウォータジャケット8,9を流れる循環水に熱交換さ
れ、加熱された循環水が暖房回路(図示略)を介して車
室内の暖房等に供される。
【0046】(場面3:ヒータ発熱量のフィードバック
制御)駆動中の車輌エンジンEによってプーリ16、駆
動軸13及びロータ14の回転が維持され、かつ、ヒー
タスイッチ52がONを選択されている限り、制御装置
50は、センサ群51からの各種データを参照しつつ車
室内の気温が温度設定器52で設定された設定温度付近
となるように、第2ソレノイドコイル43への通電制御
を介してヒータ発熱量をフィードバック制御する。
【0047】例えば、車室内の気温が設定温度を下回る
場合、制御装置50は第2ソレノイドコイル43への通
電を停止して第2芯棒44を後退させ、供給通路21を
開放したままとする。すると、回収通路20の開口断面
積は第1芯棒34によって絞り込まれており、かかる状
態の回収通路20の開口断面積と開放された供給通路2
1の開口断面積との大小関係のためにオイル回収量より
もオイル供給量が上回る。こうして、発熱室7内のオイ
ル量が次第に増大し、ロータ14の剪断作用面と発熱室
7の内壁面とのクリアランスの全体がシリコーンオイル
で満たされる。こうして、オイルの剪断力が向上し発熱
量も増大傾向となる。
【0048】他方、ヒータ発熱量等の増大によって車室
内の気温が設定温度を超えた場合には、制御装置50
は、第2ソレノイドコイル43への通電を開始して第2
芯棒44を前進させ、供給通路21を閉塞する。する
と、貯留室10から発熱室7へのオイル供給が遮断され
る一方で回収通路20を介してのオイル回収のみが行わ
れる。このため、発熱室7内のオイル量が次第に減少
し、ロータ14はあたかも空回り状態に近づき、オイル
の剪断力が低下して発熱量も低下傾向となる。このよう
に、第2芯棒44による供給通路21の開閉制御によ
り、発熱量が可変調節される。
【0049】ところで、エンジンEの駆動中にヒータス
イッチ52がOFFされた場合、制御装置50は、第2
ソレノイドコイル43への通電を開始して第2芯棒44
により供給通路21を閉塞する。そして、回収通路20
を介して発熱室7から貯留室10にオイルの相当量を収
容させ、ロータ14による剪断発熱を事実上中断させ
る。
【0050】(場面4:エンジンEの停止及び再起動
時)エンジンEが停止されると、プーリ16、駆動軸1
3及びロータ14も同時に停止する。エンジンEの停止
(ロータ14の停止)にもかかわらず、その時点でヒー
タスイッチ52がON状態にある場合には、制御装置5
0は第2ソレノイドコイル43への通電を停止し、第2
芯棒44を後退させて供給通路21を開放させる。その
時点で発熱室7内で剪断作用に供されていたシリコーン
オイルは、供給通路21を介して貯留室10の第2領域
10bに流入する。従って、シリコーンオイルの液面レ
ベルは、より低く抑えられることとなる。このとき、第
2領域10bにおけるシリコーンオイルの液面レベルと
発熱室7のシリコーンオイルの液面レベルとは、ほぼ同
じ高さとなり、少なくとも、ロータ14の回動中心
(X)よりは下となる。
【0051】その後、エンジンEが再起動される場合で
は、前記場面1で説明したように、発熱室7内の残留オ
イルは、ロータ14の回転始動(即ち、スタータモータ
のON)から短時間のうちに貯留室10に収容されるた
め、プーリ16、駆動軸13及びロータ14を起動させ
るための負荷トルクが一旦ピークに達した後、速やかに
低減される。
【0052】本実施形態の車輌用熱発生器は、次に掲げ
るような利点を有する。 ○ 外部駆動源たる車輌エンジンEが停止された場合に
は、発熱室7に残留することとなったシリコーンオイル
(粘性流体)は供給通路21を介して貯留室10の第2
領域10bへ流入することが可能である。このとき、当
該第2領域10bの内容積がその上部に設けられる第1
領域10aより大きく確保されていることによって、発
熱室7に残留するシリコーンオイルをより一層流下させ
ることができる。例えば、本実施形態と同じ内容積を有
する貯留室であって、本実施形態とは異なり内容積が上
下方向に均等である場合でも、ロータ停止時に発熱室内
のシリコーンオイルが貯留室に流入することは可能であ
る。しかし、この場合、本実施形態のように貯留室の下
部により大きな容積が確保されていない以上、ロータ停
止時に発熱室での粘性流体の液面レベルが上昇するのは
免れ得ない。この結果、ロータの表面とシリコーンオイ
ルの接触面積は大きくなり、かかる接触面積を小さくす
るにはオイル充填量を予め減らすほかない。
【0053】これに対し、本実施形態の車輌用熱発生器
では、ロータ14停止時におけるロータ14の表面とシ
リコーンオイルとの接触面積をより小さくすることがで
きる。従って、ロータ14起動時には、残留オイルによ
るロータ14の拘束が速やかに緩和され、停止したプー
リ16、駆動軸13及びロータ14を起動するための負
荷トルクの速やかな低減を実現することができる。故
に、エンジンEの再起動時に過大な起動ショックは起こ
らず、異音の発生や部材の早期摩耗という事態も回避さ
れる。
【0054】○ 貯留室10は、ロータ14の回動中心
(X)よりも下方に位置する第2領域10bと、該第2
領域10bの上方に配される第1領域10aとにより構
成されている。かかる第2領域10bは、第1領域10
aに比べ、その内容積が大きくなるように設定されてい
る。このように貯留室10は、その内容積が上下方向に
二分されるように構成されているため、ロータ停止時に
おける発熱室7のシリコーンオイルの液面レベルをでき
るだけ低く抑えつつ、所定量のシリコーンオイルをハウ
ジング内に充填させることができる。
【0055】○ 貯留室の第2領域10bは、第1領域
10aよりも、ハウジング本体1の横断方向に下側ほど
膨らむと共に、特に、駆動軸13の軸線方向に膨らむよ
うに構成されている。このため、第2領域10bの内容
積は、第1領域10aのそれよりも相対的に大きくなる
ように確保されている。従って、より大きい内容積の第
2領域10bがハウジング内に備えられながらも、ハウ
ジングの直径を必要最小限に抑えることができる。
【0056】○ 貯留室10が第1及び第2領域10
a,10bから構成にされることでシリコーンオイルと
空気との接触が極力避けられる。即ち、発熱室7と貯留
室10とからなる液密な内部空間における空気の保持量
を減らすことができるため(シリコーンオイルの充填率
を上げることが可能)、空気中の酸素に起因したシリコ
ーンオイルの酸化劣化の悪影響を小さくすることができ
る。
【0057】(変更例)上記実施形態を次のように変更
することも可能である。 ○ プーリ16と駆動軸13との間に電磁クラッチ機構
を採用し、車両エンジンEの駆動力を必要に応じて駆動
軸13に選択的に伝達可能としてもよい。即ち、図7に
示すように、電磁クラッチ60は、アンギュラベアリン
グ61を介して前部ハウジング本体1のボス部1a上に
回転可能に支持されたプーリ16と、駆動軸13の外端
部に止着された支持リング62上にスライド可能に設け
られた円板形状のクラッチ板63とを備えている。クラ
ッチ板63の背面側には、板バネ64が配設されてい
る。板バネ64は、その略中央部において支持リング6
2に固定されると共に、その外端部(図7では上下両端
部)はクラッチ板63の外周部に対しリベット等で連結
されている。クラッチ板63の片面は、プーリ16の側
端面16aと対向しており、側端面16aがもう一つの
クラッチ板としての役目を果たす。
【0058】プーリ16は、ベルト17を介して車両の
エンジンEに作動連結される。また、ハウジング本体1
には環状のソレノイドコイル65が支持されている。ソ
レノイドコイル65は、プーリ16の外周部とアンギュ
ラベアリング61との間においてプーリ16内に入り込
むように配置されており、プーリ側端面16aを通して
クラッチ板63に電磁力を及ぼす。
【0059】また、この変更例における車輌用熱発生器
においては、図8に示すように、上記実施形態とは異な
って、ハウジング本体1に第1及び第2電磁ソレノイド
30,40が設けられていない。従って、回収及び供給
通路20,21は、常に開放されたままの状態となって
いる。尚、貯留室10が第1領域10aと第2領域10
bとから構成される点については、上記実施形態と同じ
である。
【0060】そして、エンジンEが外部暖房回路に接続
された状態で駆動されると、ベルト17を介してプーリ
16にエンジンEの回転力が伝達される。この状態で電
磁クラッチ60のソレノイドコイル65が励磁されと、
その電磁力によりクラッチ板63が板バネ64のバネ力
に抗してプーリ16の側端面16aに吸引接合される。
そして、クラッチ板63とプーリ16との接合により、
プーリ16の回転がクラッチ板63及び支持リング62
を介して駆動軸13に伝達され、ロータ14が一体的に
回転される。
【0061】このように構成された車輌用熱発生器にお
いても、上記実施形態と同様に、電磁クラッチ60がオ
フ状態にあって、ロータ14が停止しているときには、
発熱室7におけるシリコーンオイルの液面レベルは低く
抑えられる。従って、ロータ14の表面とシリコーンオ
イルとの接触面積は小さいため、ロータ14起動時での
シリコーンオイルの拘束が速やかに緩和される。故に、
電磁クラッチ60のオン状態移行時に過大な起動ショッ
クは起こらない。また、必要に応じて駆動伝達を遮断す
ることができ、発熱室7内でのシリコーンオイルの剪断
作用を抑制することができるため、過剪断に起因するシ
リコーンオイルの過熱劣化を遅らせることが可能にな
る。
【0062】○ 上記実施形態の場面2において、供給
通路21を開放した直後の一定期間、第2芯棒44に粘
性流体の圧送を目的とする連続的な往復動(ポンピング
動作)を行わせるようにしてもよい。即ち、第2ソレノ
イドコイル43への最初の通電が停止された直後に再び
通電をし、そして更に通電を停止するということを繰り
返す。このようにして、制御装置50が制御プログラム
に定める所定回数(例えば、2〜10回)だけ第2ソレ
ノイドコイル43への通電・遮断を繰り返すことで、第
2芯棒44が複数回にわたり進退を繰り返す。このよう
に構成すれば、この第2芯棒44の連続的な往復動によ
って、貯留室10の第2領域10bに収容されるシリコ
ーンオイルを供給通路21を介して発熱室7へ積極的に
圧送することができる。従って、更に迅速な貯留室10
から発熱室7へのオイル流入を実現することができる。
【0063】○ 各芯棒34,44はそれぞれ各電磁ソ
レノイド30,40によって駆動されていたが、これ
を、例えば油圧や空気圧を利用した駆動機構に変更して
もよい。このように構成しても上記実施形態と同様の効
果を得ることができると共に、各芯棒34,44をハウ
ジングの内外方向に摺動させることができる。
【0064】(用語の定義)「粘性流体」とは、ロータ
の剪断作用を受けて流体摩擦に基づく熱を発生するあら
ゆる媒体を意味するものであり、高粘度の液体や半流動
体に限定されず、ましてやシリコーンオイルに限定され
るものではない。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように各請求項に記載の車
輌用熱発生器によれば、ロータが起動する際の負荷トル
クを可能な限り最小限に止めることでロータの起動を円
滑化し、過大な負荷トルクに起因する異音の発生や部材
の早期摩耗という不都合を解消することができるという
効果を奏する。また、粘性流体が貯留される領域に入り
込む酸素の量をできるだけ少なくして粘性流体の酸化劣
化を極力遅らせることができるという効果をも奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に従う車輌用熱発生器の縦断面図。
【図2】図1のA−A線における断面図。
【図3】図2のC−C線における一部破断断面図。
【図4】図1のB−B線における一部破断断面図。
【図5】図2相当の断面図で、ロータ始動時を示す。
【図6】図2相当の断面図で、発熱量増大時を示す。
【図7】変更例に従う車輌用熱発生器の縦断面図。
【図8】図7のD−D線における断面図。
【符号の説明】 1…前部ハウジング本体、2…後部ハウジング本体、5
…前部区画プレート、6…後部区画プレート(1,2,
5,6はハウジングを構成する)、7…発熱室、8…放
熱室としての前部ウォータジャケット、9…放熱室とし
ての後部ウォータジャケット、10…貯留室、10a…
第1領域、10b…第2領域、14…ロータ、20…回
収通路、21…供給通路、X…回動軸線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂 高寿 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング内に区画された発熱室及び放
    熱室を備え、前記発熱室内に収容された粘性流体を前記
    発熱室内に回動可能に設けられたロータで剪断して熱を
    発生させ、その熱を前記放熱室を流れる循環流体に熱交
    換する車輌用熱発生器において、 前記ハウジング内には、前記発熱室以外で粘性流体を収
    容する貯留室と、前記ロータの回動によって前記貯留室
    と前記発熱室との間で粘性流体の循環を行うべく前記貯
    留室と前記発熱室とを連通させる回収通路及び供給通路
    が設けられ、 前記貯留室の内部は、第1領域と、その第1領域の下に
    位置すると共に、該第1領域よりも内容積が大きな第2
    領域とに二分されることを特徴とする車輌用熱発生器。
  2. 【請求項2】 前記貯留室の第2領域及び供給通路は、
    前記ロータの回動軸線よりも下方に配設されていること
    を特徴とする請求項1に記載の車輌用熱発生器。
  3. 【請求項3】 前記貯留室は、前記発熱室の周壁を挟ん
    で発熱室の反対側位置に区画されていることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の車輌用熱発生器。
  4. 【請求項4】 前記貯留室の第2領域は、少なくともロ
    ータの回動軸線(X)方向に膨らむように形成されてい
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載
    の車輌用熱発生器。
  5. 【請求項5】 前記貯留室の第1領域は、前記回収通路
    と前記第2領域とをつなぐべく略垂直方向にのびる通路
    形状とされていることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか一項に記載の車輌用熱発生器。
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