JPH10236142A - ビスカスヒータ - Google Patents

ビスカスヒータ

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Publication number
JPH10236142A
JPH10236142A JP4585397A JP4585397A JPH10236142A JP H10236142 A JPH10236142 A JP H10236142A JP 4585397 A JP4585397 A JP 4585397A JP 4585397 A JP4585397 A JP 4585397A JP H10236142 A JPH10236142 A JP H10236142A
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JP
Japan
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rotor
heat
rotors
viscous
drive shaft
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Pending
Application number
JP4585397A
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English (en)
Inventor
Takahiro Moroi
隆宏 諸井
Takashi Ban
孝志 伴
Hidefumi Mori
英文 森
Takanori Okabe
孝徳 岡部
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータの駆動軸の回転速度が高速度となって
も発熱量過多となるのを防止することができ、かつ能力
可変機能を有するビスカスヒータを提供する。 【解決手段】 前部及び後部ハウジング31,32間に形成
されたウォータジャケット35内に、中空形状に形成され
た発熱室39aを構成する第1のロータ39が回転可能に配
設されている。第1のロータ39の外面にフィン47が突設
されている。第2のロータ40は第1のロータ39に内包さ
れるとともに第1のロータ39と相対回転可能に設けられ
ている。発熱室39a内には粘性流体が所要量満たされて
いる。第1のロータ39が一体回転可能に支持された駆動
軸36はエンジンにより駆動され、第2のロータ40が一体
回転可能に支持された駆動軸44はモータMにより駆動さ
れる。駆動軸44は制御装置Cにより、両ロータ39,40の
相対回転速度差が必要な剪断発熱量を確保可能な値とな
るように駆動制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハウジング内に発
熱室及び放熱室を区画し、発熱室内に収容された粘性流
体をロータで剪断することにより発生した熱を放熱室内
の循環流体に熱交換する自動車用補助熱源として使用さ
れるビスカスヒータに関する。
【0002】
【従来の技術】車載用の補助熱源として、車両のエンジ
ンの駆動力を利用するビスカスヒータが注目されてお
り、例えば、特開平2−246823号公報にはビスカ
スヒータを備えた車両用暖房装置が開示されている。こ
の暖房装置では、エンジンによって駆動されるウォータ
ポンプの下流側(吐出側)からエンジンの冷却水を取り
出し、車室内用のヒータコア(暖房用熱交換器)を通
し、ポンプの上流側(吸入側)へ戻す暖房用温水回路中
に、ビスカスヒータが挿入されている。そして、温水回
路の水温が設定値以下の場合にビスカスヒータを作動さ
せるようになっている。
【0003】このビスカスヒータでは、前部及び後部ハ
ウジングが対設された状態で通しボルトにより締結さ
れ、内部に発熱室と、この発熱室の外域にウォータジャ
ケットとを形成している。前記ウォータジャケットでは
循環水が入水ポートから取り入れられ、出水ポートから
外部の暖房回路へ送り出される。前部ハウジングには軸
受装置を介して駆動軸が回動可能に支承され、駆動軸に
は発熱室内で回動可能なロータが固定されている。発熱
室の内壁面と、ロータの外面とは互いに近接するラビリ
ンス溝を構成し、これら発熱室の壁面とロータの外面と
の隙間にはシリコーンオイル等の粘性流体が介在され
る。ラビリンス溝は、発熱室の内壁面及びロータにそれ
ぞれ複数突設された環状のフィンにより形成されてい
る。
【0004】このビスカスヒータでは、エンジンの回転
が電磁クラッチを介して駆動軸に伝達されて駆動軸が回
転駆動されると、発熱室内でロータが回動するため、粘
性流体が発熱室の内壁面とロータの外面との間隙で剪断
されて発熱する。そして、その発熱室で発生した熱は、
ウォータジャケット内の循環水に熱交換され、加熱され
た循環水が暖房回路で車室内の暖房に供される。
【0005】また、実公平7−22326号公報には、
発熱室(摩擦室)と連通する粘性流体回収部を設けると
ともに、粘性流体回収部内で第1及び第2の位置に移動
可能なダイヤフラムを設け、ダイヤフラムの移動により
発熱室内に粘性流体が満たされる状態と、粘性流体が発
熱室内から粘性流体回収部内へ回収される状態とに切り
換え可能としたものが提案されている。そして、発熱が
不要な場合は粘性流体を粘性流体回収部内へ回収するよ
うになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ビスカスヒータの発熱
源となるロータの外面における発熱量は、ロータの回転
速度(角速度)の二乗に比例する。そして、ビスカスヒ
ータの駆動軸にはエンジンの回転が伝達されるため、ロ
ータの回転速度はエンジン回転数の影響を直接受ける構
成となっている。そのため、従来のビスカスヒータでは
エンジンの高速回転時に、発熱室内に存在する粘性流体
が殆ど休むことなく、高温状態で連続して剪断作用を受
ける状態となり、粘性流体の温度がその耐熱限界を超え
る値まで上昇し、粘性流体の劣化が促進される。粘性流
体が劣化するとその粘度が小さくなり、ロータの1回転
当たりの発熱量が低下し、必要な発熱量を確保できず性
能の低下となる。
【0007】この問題を解決する方法として、高速回転
時に電磁クラッチを切り離してエンジンの回転を駆動軸
に伝達させず、所定回転速度以下のときのみエンジンの
回転を駆動軸に伝達することが考えられる。しかし、電
磁クラッチではオン・オフ制御しかできないため、エン
ジン回転数がビスカスヒータの発熱量過多となる回転数
の前後で頻繁に変化する場合は、電磁クラッチの頻繁な
オン・オフが繰り返され電磁クラッチの耐久性に悪影響
を与えるだけでなく、電磁クラッチのオン、オフ時のシ
ョックで自動車の運転フィーリングが悪くなるという問
題がある。
【0008】また、オン・オフタイミングを知るためエ
ンジン回転速度センサが必要となり、制御が複雑になる
とともに、センサの故障時には発熱量過多の状態でビス
カスヒータが駆動されるという問題もある。
【0009】また、実公平7−22326号公報に開示
されたビスカスヒータでは発熱が不要な場合に、発熱室
内の粘性流体を粘性流体回収部に回収することにより、
発熱を停止することはできる。しかし、この装置は発熱
可能な状態と発熱不能な状態とに切り換え可能なだけ
で、エンジンの高速回転時に発熱量を減少させた状態で
発熱を行う機能はない。従って、前記電磁クラッチの場
合と同様に高速回転時に粘性流体を発熱室から回収し、
所定回転速度以下のときのみ粘性流体を発熱室に供給す
ることが考えられる。しかし、エンジン回転数がビスカ
スヒータの発熱量過多となる回転数の前後で頻繁に変化
する場合は、粘性流体の回収供給をそれに追従させるの
が難しいという問題がある。
【0010】また、前記両従来装置では、ロータの回転
を継続した状態で発熱量を変更する機能(能力可変機
能)は基本的にはない。本発明は前記従来の問題点に鑑
みてなされたものであって、その目的は、ロータを駆動
する駆動軸の回転速度が高速度となっても発熱量過多と
なるのを防止することができ、しかも能力可変機能を有
するビスカスヒータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、ハウジング内に発熱室及
び放熱室を区画し、前記発熱室内に収納された粘性流体
をロータで剪断することにより発生した熱を前記放熱室
内の循環流体に熱交換するビスカスヒータにおいて、前
記ハウジングに2個の軸を回転可能に設けるとともに、
各軸にロータを一体回転可能に設け、両ロータが同時に
回転する状態と一方のロータのみが回転する状態とに切
り換え可能に構成した。
【0012】このビスカスヒータでは、2個のロータが
同時に回転される状態と、一方のロータのみが回転され
る状態とに切り換えられ、エンジンの回転数が同じ状態
であっても粘性流体の剪断発熱量が変更可能となる。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記各軸が独立して駆動可能に設けら
れている。この発明では、両ロータの回転状態がそれぞ
れが独立して変更可能なため、発熱量の調整が容易とな
る。
【0014】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、前記両ロータは互いに対向する面間に
粘性流体が存在する状態で、かつその間隔が粘性流体の
剪断発熱に適した状態に配設されているこの発明では、
両ロータの互いに対向する面間に存在する粘性流体の剪
断発熱量は、両ロータの相対回転速度差に対応して変化
する。即ち、両ロータが共に回転している状態であって
も、両ロータの回転方向が同じで、同じ回転速度の場合
は、両ロータ間に存在する粘性流体の剪断発熱量は零と
なり、相対速度差が大きいほど剪断発熱量は大きくな
る。従って、両ロータの回転速度が同じであっても、他
両ロータが互いに反対方向に回転する場合は、発熱量は
一方のロータが停止した状態の2倍の量となる。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、前記両ロータのうちの一方にはエンジ
ンの回転が伝達され、他方のロータはモータにより一方
のロータと回転方向が逆方向となるように駆動可能に構
成されている。
【0016】この発明では、前記両ロータのうちの一方
にはエンジンの回転が伝達され、他方のロータはモータ
により駆動される。他方のロータが一方のロータと回転
方向が逆方向となるように駆動される場合は、各ロータ
の回転速度が小さくても剪断発熱量が大きくなる。
【0017】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記2個の軸は一方の軸が独立駆動可
能な駆動軸として設けられ、該駆動軸と他方の軸との間
には、駆動軸の回転速度が所定回転速度に達するまでは
該駆動軸の回転をその回転速度に対応して他方の軸に伝
達可能な摩擦伝動手段が設けられている。
【0018】この発明では、駆動軸の回転速度が所定回
転速度になるまでは、両ロータは駆動軸の回転速度に対
応した回転速度で回転される。所定回転速度に達した後
は、他方のロータの回転速度は所定回転速度以下とな
る。従って、他方のロータの高速回転により粘性流体が
その熱劣化を助長するほど大きな発熱量で剪断発熱を行
うことが回避される。「所定回転速度」とは他方のロー
タによる粘性流体の剪断発熱量が粘性流体の熱劣化を助
長するほど大きくなる速度より低速で予め設定された速
度をいう。この所定回転速度はロータと発熱室との隙
間、使用する粘性流体の粘性係数(粘性抵抗)、ロータ
の外径、ロータの剪断面(発熱室の内壁との間で粘性流
体を剪断するのに寄与する面)の面積等の大きさにより
変更される。
【0019】請求項6に記載の発明は、請求項3又は請
求項4に記載の発明において、前記2個のロータは、放
熱室内で回転可能に設けられるとともに発熱室を構成す
る中空形状に形成された第1のロータと、第1のロータ
に内包されるとともに第1のロータと相対回転可能に設
けられた第2のロータとにより構成されている。
【0020】この発明では、第1のロータが発熱室を構
成するため、粘性流体を収容するハウジングを別に設け
る必要がない。また、第2のロータは放熱室内で回転す
る第1のロータに内包されているため、両ロータの相対
回転による粘性流体の剪断で発生した熱が効率良く放熱
室に放熱される。
【0021】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明において、前記第1のロータの外面にフィンが突
設されている。この発明では、第1のロータの外面に設
けられたフィンが第1のロータの回転に伴って放熱室内
の循環流体を攪拌する。その結果、第1のロータの表面
と接触している循環流体が効率良く入れ替わり、発熱室
内の熱の放熱即ち放熱室内の循環流体への熱交換が効率
良く行われる。
【0022】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
の発明において、前記フィンは放射状に延びるように形
成されている。この発明では、フィンによる循環流体の
攪拌作用が効率良く行われ、発熱室内の熱の放熱即ち放
熱室内の循環流体への熱交換がより効率良く行われる。
【0023】請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求
項5のいずれか一項に記載の発明において、前記両ロー
タは筒状に形成され、少なくともその一部がオーバーラ
ップする状態に設けられている。
【0024】この発明では、筒状に形成された両ロータ
の互いにオーバーラップする状態に設けられた分だけビ
スカスヒータ全体の体格の小型化が可能となる。請求項
10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、
放熱室が前記両ロータの間と、大径のロータの外側を囲
む位置とに設けられている。
【0025】この発明では、大径のロータはその外側と
内側とを放熱室に囲まれているため、粘性流体の剪断で
発生した熱が効率良く放熱室に放熱される。また、大径
のロータの内側に配設された放熱室は小径のロータと共
有され、小径のロータ専用に放熱室を設ける場合に比較
して構造がコンパクトになる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を車両の暖房装置に
組み込まれるビスカスヒータに具体化した第1の実施の
形態を図1〜図3に従って説明する。
【0027】図1に示すように、この実施の形態のビス
カスヒータのハウジングは、前部ハウジング1、後部ハ
ウジング2、第1区画部材3及び第2区画部材4を備え
ている。後部ハウジング2は円筒状に形成されるととも
に二重に配置された第1及び第2の収容部2a,2bを
備え、大径の第1の収容部2aが小径の第2の収容部2
bより長く形成されている。第1区画部材3は円筒状に
形成され、その外周面に螺旋状に延びる一条のリブ3a
が突設されている。第2区画部材4は第2の収容部2b
と同じ長さで第2の収容部2bより大径の円筒状に形成
されるとともに、その第1端部内側に内径が第2の収容
部2bの外径とほぼ等しい円環状のリブ4aが、第2端
部外側に外径が第1の収容部2aの内径とほぼ等しい円
環状のフランジ4bがそれぞれ形成されている。両区画
部材3,4は熱伝導性に優れた材料(例えば、アルミニ
ウムあるいはアルミニウム系合金)で形成されている。
【0028】第2区画部材4は第2端部と後部ハウジン
グ2の内端面との間にガスケット5が介装された状態で
両収容部2a,2b間に嵌挿され、第1端部にはリング
6が第2の収容部2bの先端面及び第2区画部材4の第
1端面に当接するガスケット7を介してボルト8により
締めつけ固定されている。第1区画部材3は第1端部が
第1の収容部2aの先端と同じ位置に配置されるととも
に前部ハウジング1との間にガスケット9が介在され、
第2端部と第2区画部材4のフランジ4bの前端との間
にガスケット10が介在された状態で第1の収容部2a
内に収容されている。そして、前部ハウジング1及び後
部ハウジング2が、後部ハウジング2に形成された四角
形状の本体部2cを貫通して前部ハウジング1に螺着さ
れた複数本のボルト11(この実施の形態では4本)に
より締結されることにより、ハウジング内に放熱室が気
密(水密)状態に区画形成されている。
【0029】第1の収容部2aの内側と、第1区画部材
3の外側との間には放熱室としての第1のウォータジャ
ケット12が、第2区画部材4の内側と、第2の収容部
2bの外側との間には放熱室としての第2のウォータジ
ャケット13がそれぞれ形成されている。両ウォータジ
ャケット12,13は第2区画部材4のフランジ4bに
形成された連通孔4cを介して連通されている。
【0030】図1に示すように、後部ハウジング2の本
体部後端側には車両の暖房回路(図示略)から循環流体
としての循環水を第2のウォータジャケット13に取り
入れる入水ポート14aが設けられ、後部ハウジング2
の外周部前端側には第1のウォータジャケット12から
前記暖房回路へ循環水を送り出す出水ポート14bが設
けられている。また、第2区画部材4の内周面には図3
に示すように第2区画部材4の長手方向と並行に延びる
複数のガイド凸状4dが千鳥状に形成されるとともに、
入水ポート14aと連通孔4cとに挟まれた位置に1本
の区画凸状4eが形成されている。そして、入水ポート
14aから第2のウォータジャケット13内に導入され
た循環水がガイド凸状4dに案内されてウォータジャケ
ット13内を順次通過した後、第1のウォータジャケッ
ト12内に連通孔4cを経て導入されるようになってい
る。
【0031】前部ハウジング1には軸孔1a及び支持筒
部1bが形成され、軸としての第1の駆動軸15がシー
ル機能付きの軸受装置16を介して前部ハウジング1に
回動可能に支持されている。後部ハウジング2には軸孔
2d及び支持筒部2eが形成され、軸としての第2の駆
動軸17がシール機能付きの軸受装置18を介して後部
ハウジング2に回動可能に支持されている。これによ
り、ハウジング内に両駆動軸15,17の第1端部を収
納しつつ、気密な内部空間を形成している。各駆動軸1
5,17上には第1のロータ19及び第2のロータ20
がそれぞれ一体回転可能に設けられている。両ロータ1
9,20はアルミニウム合金で形成されている。
【0032】第1のロータ19は有底円筒状に形成さ
れ、筒部が第1区画部材3の内面と第2区画部材4の外
面との間に遊挿され、かつ底部(側壁)の中心に第1の
駆動軸15の第1端部が圧入固定された状態で第1の駆
動軸15に一体回転可能に支持されている。第1区画部
材3の内面と第1のロータ19の外面との間及び第2区
画部材4の外面と第1のロータ19の内面との間には、
それぞれ微少なクリアランス(間隙)が形成されてい
る。第2のロータ20は有底円筒状に形成され、筒部が
第2収容部2bの内側に位置し、かつ底部(側壁)の中
心に第2の駆動軸17の第1端部が圧入固定された状態
で第2の駆動軸17に一体回転可能に支持されている。
第2の収容部2bの内面と第2のロータ20の外面との
間には微少なクリアランスが形成されている。また、第
1のロータ19の外端面と前部ハウジング1の内端面と
の間、第1のロータ19の内端面とリング6の外端面と
の間、第2のロータ20の先端と第1のロータ19の内
端面との間及び第2のロータ20の基端面外縁部との間
にも微少なクリアランスが形成されている。前記各クリ
アランスが発熱室21を構成する。クリアランスの大き
さは、発熱室21内に存在する粘性流体に剪断作用を効
率良く与えることができる所定の大きさ(例えば、0.
1〜0.5mm)となるように設定されている。また、
第2のロータ20の内側には貯留室22が形成されてい
る。そして、発熱室21及び貯留室22内に粘性流体と
してのシリコーンオイル(図示せず)が所要量収容され
ている。
【0033】シリコーンオイルの量は発熱室21の容積
V1及び貯留室22の容積V2の和(V1+V2)より
少なく、かつ前記和の50%以上となる量が収容されて
いる。また、第1のロータ19の側壁には複数の連通孔
23(図1では1つのみ図示)が、駆動軸15を中心と
して等角度間隔で形成され、第1のロータ19がどの様
な位置にあっても少なくとも1個の連通孔23を介し
て、第1のロータ19の外面が貯留室22の下部と連通
状態を保持するように構成されている。例えば、連通孔
23の数が二つの場合にはそれらは180度の角度間隔
で配置され、連通孔23の数が四つの場合にはそれらは
90度の角度間隔で配置されている。
【0034】支持筒部1bの近傍には、第1の駆動軸1
5に外部駆動源としてのエンジン(図示せず)の回転を
伝達する電磁クラッチ24が設けられている。電磁クラ
ッチ24は、アンギュラベアリング25を介して支持筒
部1b上に回転可能に支持されたプーリ26と、第1の
駆動軸15の第2端部に止着された支持リング27上に
スライド可能に設けられた円板形状のクラッチ板28と
を備えている。クラッチ板28の背面側には、板ばね2
9が配設されている。板ばね29は、その略中央部にお
いて支持リング27に固定されるとともに、その外端部
はクラッチ板28の外周部に対しリベット等で連結され
ている。クラッチ板28の正面は、プーリ26の側端面
26aと対向しており、プーリ26の端面26aがもう
一つのクラッチ板としての役目を果たす。プーリ26
は、ベルトを介して車両のエンジン(いずれも図示せ
ず)に作動連結される。また、前部ハウジング1には環
状のソレノイドコイル30が支持されている。ソレノイ
ドコイル30は、プーリ26の外周部とアンギュラベア
リング25との間においてプーリ26内に入り込むよう
に配置されており、プーリ26の端面26aを介してク
ラッチ板28に電磁力(吸引力)を及ぼす。
【0035】第2の駆動軸17はエンジンと別の駆動
源、この実施例ではモータMの出力軸Maに連結される
ようになっている。モータMは後部ハウジング2の支持
筒部2eに固定されている。モータMは変速可能に構成
されている。モータMは制御手段としての制御装置Cか
ら指令により変速制御されるようになっている。制御装
置Cはエンジンの回転速度検出センサ、外気温を検出す
る温度センサ及び循環水温を検出する温度センサ(いず
れも図示せず)の検出信号に基づいてモータMの回転速
度を設定するようになっている。
【0036】制御装置Cには外気温及び循環水温とビス
カスヒータに必要な剪断発熱量との関係を示すマップ
と、エンジンの回転速度と第1のロータ19の剪断発熱
量との関係を示すマップと、モータMの回転速度と第2
のロータ20の剪断発熱量との関係を示すマップとが記
憶された記憶装置(図示せず)を備えている。そして、
制御装置Cは外気温、循環水温及びエンジン回転速度か
らモータMの必要回転速度を前記マップから求めて(演
算して)、その回転速度となるようにモータMを制御す
る。なお、第1のロータ19及びプーリ26の径は、エ
ンジンが最高回転速度で駆動された状態においても剪断
発熱量が発熱室21内のシリコーンオイルの熱劣化を助
長するほど大きくならないように設定されている。
【0037】次に前記のように構成されたビスカスヒー
タの作用を説明する。ビスカスヒータは入水ポート14
a及び出水ポート14bが車両の暖房回路に接続され、
プーリ26がエンジンのクランクシャフトにベルト(い
ずれも図示せず)を介して作動連結された状態で使用さ
れる。エンジンが駆動されると、ベルトを介してプーリ
26にエンジンの回転力が伝達される。この状態で電磁
クラッチ24のソレノイドコイル30が励磁されと、そ
の電磁力によりクラッチ板28が板ばね29のばね力に
抗してプーリ26の端面26aに吸引接合される。そし
て、クラッチ板28とプーリ26との接合により、プー
リ26の回転がクラッチ板28及び支持リング27を介
して第1の駆動軸15に伝達される。駆動軸15の回転
速度はエンジンの回転速度に対応して増減される。
【0038】また、エンジンが駆動されると、入水ポー
ト14aから第2のウォータジャケット13に循環流体
としての循環水が導入される。第2のウォータジャケッ
ト13に導入された循環水はガイド凸条4d及び区画凸
条4eの作用により第2のウォータジャケット13内を
流れた後、連通孔4cを経て第1のウォータジャケット
12内に導入される。そして、第1のウォータジャケッ
ト12内に導入された循環水はリブ3aの作用により第
1のウォータジャケット12内を螺旋状に流れた後、出
水ポート14bを経て外部の暖房回路に排出される。
【0039】発熱室21及び貯留室22内にはその全容
積を満たす量より少ない量のシリコーンオイルが収容さ
れているため、ビスカスヒータの運転が停止された状態
においては、発熱室21内のシリコーンオイルの一部が
貯留室22内に回収されて発熱室21の上側に空間が存
在する状態となっている場合がある。
【0040】しかし、第1の駆動軸15と一体的に第1
のロータ19が回転すると、発熱室21の下側に存在し
たシリコーンオイルが第1のロータ19の回転に伴って
その伸長粘性により上側に移動する。また、貯留室22
内のシリコーンオイルは発熱室21のうち、第1のロー
タ19の内端面と第2のロータ20の先端及びリング6
の端面の下部と対応する部分を介して順次発熱室21の
第1のロータ19の筒部と対応する部分に供給されると
ともに、遠心力により外周側へと移動して第1のロータ
19の筒部と対応する部分全体に行き渡る。この第1の
ロータ19の回転状態により、発熱室21内のシリコー
ンオイルが剪断されて流体摩擦により発熱する。この熱
は両ウォータジャケット12,13内の循環水に熱交換
され、加熱された循環水が暖房回路(図示略)を介して
車室内の暖房に供される。なお、第1のロータ19の外
端面のクリアランス領域では、粘性流体に特有のワイセ
ンベルク効果により、駆動軸15の回転によって回転中
心側へシリコーンオイルが移動する状態となり、回転中
心側へ移動したシリコーンオイルが連通孔23を介して
貯留室22内に回収される。
【0041】また、制御装置Cは外気温及び循環水温に
基づいてビスカスヒータに必要な剪断発熱量を演算し、
第1のロータ19だけで必要な剪断発熱量が確保できる
か否かを判断する。そして、必要な剪断発熱量が確保で
きない場合は、不足量を第2のロータ20によるシリコ
ーンオイルの剪断発熱量で確保するため、モータMを駆
動させる。モータMは制御装置Cからの指令により、エ
ンジンの回転速度、循環水温及び外気温に対応した所定
の回転速度で駆動される。
【0042】そして、第2のロータ20の回転により、
貯留室22内のシリコーンオイルは貯留室22の内周面
に貼り付いた状態となり、第2のロータ20と対応する
発熱室21内にもシリコーンオイルが行き渡った状態と
なる。第2のロータの回転に伴って第2のロータ20と
第2の収容部2bとの間のシリコーンオイルも剪断発熱
し、この熱は第2のウォータジャケット13内の循環水
に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路を介して車
室内の暖房等に供される。
【0043】この実施の形態では以下の効果を有する。 (イ) ハウジング内に2個のロータ19,20が設け
られ、一方のロータ19のみが回転する状態と、両ロー
タ19,20が同時に回転する状態とに切り換え可能な
ため、ビスカスヒータの発熱量(能力)が変更可能とな
る。
【0044】(ロ) 各ロータ19,20が固定された
駆動軸15,17がそれぞれ独立して駆動可能なため、
発熱量の調整が容易となる。 (ハ) エンジンが最高回転速度で回転する場合におい
て、第1のロータ19の発熱量が、シリコーンオイルの
熱劣化を助長するほどシリコーンオイルを加熱する大き
な発熱量とならないように構成されているため、シリコ
ーンオイルの熱劣化が防止される。
【0045】(ニ) 両ロータ19,20が筒状に形成
され、そのほぼ全体がオーバーラップする状態に設けら
れているため、大径のロータ(第1のロータ19)の内
側に小径のロータ(第2のロータ20)の収容部を確保
でき、ビスカスヒータ全体の体格の小型化が可能とな
る。
【0046】(ホ) ウォータジャケット12,13が
第1のロータ19の外側及び内側に設けられ、第1のロ
ータ19の回転によるシリコーンオイルの剪断で発生し
た熱が効率よくウォータジャケット12,13に放熱さ
れる。また、両区画部材3,4が熱伝導率の良い材質で
形成されているため、発熱室21で発生した熱が効率良
くウォータジャケット12,13の循環水に伝達され
る。
【0047】(ヘ) 第1のロータ19の内側に配設さ
れたウォータジャケット13が、第2のロータ20の回
転によるシリコーンオイルの剪断で発生した熱の放熱の
ために共用され、第2のロータ20専用に放熱室を設け
る場合に比較してビスカスヒータの構造がコンパクトに
なるとともに、構造も簡単になる。
【0048】(ト) ウォータジャケット12,13内
に導入された循環水がウォータジャケット12,13内
に設けられたリブ3a又はガイド凸条4dに案内され
て、ウォータジャケット12,13内全域を通った後に
ウォータジャケットから排出される。従って、ウォータ
ジャケット12,13内で循環水の流路の短絡や滞留の
発生が防止され、発熱室21からウォータジャケット1
2,13の循環水への熱交換が効率良く行われる。ま
た、リブ3a又はガイド凸条4dが発熱室21側からウ
ォータジャケット12,13内に突出するように形成さ
れているため、ウォータジャケット12,13内の循環
水と発熱室21の周囲の壁面との接触面積が増大し、熱
交換効率が向上する。
【0049】(チ) 発熱室21に連通する貯留室22
に貯留されたシリコーンオイル(粘性流体)と、発熱室
21内のシリコーンオイルとがビスカスヒータの駆動及
び運転停止に伴って順次置換される。従って、同じ粘性
流体が長時間連続して剪断作用を受けることが防止され
ることにより、シリコーンオイルの劣化がより起こり難
くなる。また、剪断作用に供されるシリコーンオイルの
絶対量を多く確保することができる。従って、シリコー
ンオイルの全量が完全に劣化するまでには相当の時間を
要するので、シリコーンオイルの交換時期を相当程度遅
らせることができ、メンテナンスの容易なビスカスヒー
タとすることができる。
【0050】(リ) 貯留室22が第2のロータ20の
内側に設けられているため、空間利用に無駄がなく、ビ
スカスヒータのコンパクト化に有利となる。 (ヌ) エンジンの回転が電磁クラッチ24を介して第
1の駆動軸15に伝達される構成のため、剪断発熱が不
要な場合は電磁クラッチ24をオフとすることにより、
無駄な動力消費が防止できる。
【0051】(ル) 制御装置Cは外気温及び循環水温
に基づいて必要な剪断発熱量を演算し、必要な量の剪断
発熱量を確保できる速度でモータMを駆動制御するた
め、必要以上に剪断発熱を行うことが回避され、無駄な
動力消費が少なくなるとともにシリコーンオイルの寿命
が延びる。
【0052】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図4〜図6に従って説明する。図4に示すように、
前部ハウジング31及び後部ハウジング32は、前部ハ
ウジング31に設けられた凹部31aの開放端を後部ハ
ウジング32が閉塞する状態で、複数本のボルト33
(図4では2本のみ図示)によって締結されている。後
部ハウジング32は筒状部32aが凹部31aに嵌挿さ
れ、両ハウジング31,32間にシールのためのOリン
グ34が介装された状態で前部ハウジング31に固定さ
れている。両ハウジング31,32間に放熱室としての
ウォータジャケット35が構成されている。
【0053】後部ハウジング32に形成された支持筒部
32bには第1の駆動軸36がその中間部において、軸
受装置37,38を介して回動可能に支持されている。
両軸受装置37,38には軸封機能付きの軸受装置が使
用されている。第1の駆動軸36の先端部(図4の左端
部)には、ウォータジャケット35内において回転可能
に第1のロータ39が一体回転可能に固定されている。
第1のロータ39は第2のロータ40を内包するととも
に粘性流体を収容可能に中空形状に形成され、第1のロ
ータ39の内部が発熱室39aを構成している。第1の
ロータ39はほぼ円盤状の第1区画プレート41a及び
第2区画プレート41bを締付け手段としての複数の小
ネジ42で締結して組み付けられている。両区画プレー
ト41a,41b間にシール部材としてのガスケット4
3が介装されている。第1区画プレート41aの中心部
に第1の駆動軸36が圧入固定されている。両区画プレ
ート41a,41bは、熱伝導性に優れた材料(例え
ば、アルミニウムあるいはアルミニウム系合金)で形成
されている。
【0054】第1のロータ39内には第2のロータ40
が第1のロータ39と相対回転可能に収容されている。
第2のロータ40は円板状に形成されている。第2のロ
ータ40には孔40aが複数形成されている。第2のロ
ータ40は第2の駆動軸44に一体回転可能に固定され
ている。第2の駆動軸44は前部ハウジング31に形成
された支持筒部31bに軸受装置45を介して回動可能
に支持され、その第1端部が第2のロータ40の中心部
に圧入固定されている。
【0055】第2の駆動軸44と第1のロータ39との
間には、外輪が第2区画プレートに圧入されるとともに
内輪が第2の駆動軸44に圧入された状態で軸受装置4
6が介装されている。これにより、第1のロータ39内
に第2の駆動軸44の後端部(第1端部)を収納しつ
つ、第1のロータ39内を気密(液密)な内部空間とし
ている。軸受装置46の外輪は前部ハウジング31に対
して相対回転可能な状態に配設されている。両軸受装置
45,46にはシール機能付きの軸受装置が使用されて
いる。第1のロータ39内即ち発熱室39aには粘性流
体としてシリコーンオイルが所要量満たされている(図
示せず)。第1のロータ39の内面と第2のロータ40
の壁面との隙間は、粘性流体の剪断発熱に有効な大き
さ、例えば0.1〜0.5mm程度に設定されている。
【0056】第1のロータ39の外面には多数のフィン
47が突設されている。図5に示すように、フィン47
は円弧状に形成され、径の異なる同心円上に位置するよ
うに複数列(この実施の形態では2列)に設けられてい
る。また、前部ハウジング31の外周部には、車両内に
設けられた暖房回路(図示略)からウォータジャケット
35内に循環水を取り入れる入水ポート48と、ウォー
タジャケット35から循環水を暖房回路に送り出す出水
ポート49とが形成されている。両ポート48,49は
ほぼ180度位相がずれた位置に突設されている。
【0057】後部ハウジング32の支持筒部32bの外
周面には、第1の駆動軸36にエンジン(図示せず)の
回転を伝達するプーリ50が軸受装置51を介して回動
可能に支持され、プーリ50は第1の駆動軸36の後端
部にボルト52を介して一体回転可能に固定されてい
る。
【0058】前部ハウジング1の支持筒部31bには、
モータMがブラケット53を介して固定されている。第
2の駆動軸44はモータMの出力軸Maに継手54を介
して一体回転可能に連結されるようになっている。モー
タMは正逆回転駆動可能かつ変速可能に構成され、制御
手段としての制御装置Cから指令により変速制御される
ようになっている。制御装置Cには外気温及び循環水温
とビスカスヒータに必要な剪断発熱量との関係を示すマ
ップと、第1及び第2のロータ39,40の回転速度差
と剪断発熱量との関係を示すマップと、粘性流体の熱劣
化を助長する剪断発熱量とが記憶された記憶装置(図示
せず)を備えている。制御装置Cは外気温を検出する温
度センサ及び循環水温を検出する温度センサ(いずれも
図示せず)の検出信号に基づいて必要な剪断発熱量を演
算する。そして、制御装置Cはその剪断発熱量を確保す
ることが可能な両ロータ39,40の回転速度差を演算
し、その値とエンジンの回転速度検出センサの検出信号
とに基づいてモータMの回転方向及び回転速度を設定す
るようになっている。なお、制御装置Cは両ロータ3
9,40の回転速度差が、粘性流体の熱劣化を助長する
剪断発熱量となる値未満となるようにモータMを駆動制
御する。
【0059】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。ビスカスヒータは入水ポート48及び出水ポ
ート49が車両の暖房回路(図示せず)に接続された状
態でエンジンルーム内に配設されて使用される。エンジ
ンが駆動されるとベルト及びプーリ50を介して第1の
駆動軸36が駆動され、第1の駆動軸36の回転速度は
エンジンの回転速度に対応して増減される。
【0060】第1のロータ39は第1の駆動軸36と一
体的に回転される。第2のロータ40はモータMの駆動
により第1のロータ39と同方向あるいは逆方向に回転
される。両ロータ39,40間に存在する粘性流体は両
ロータ39,40の相対回転に伴って剪断されて流体摩
擦により発熱し、その発熱量は両ロータ39,40の相
対回転速度差に対応して増減し、相対回転速度差が大き
いほど剪断発熱量が大きくなる。発生した熱は、第1の
ロータ39を介してウォータジャケット35内の循環水
に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路(図示略)
を介して車室内の暖房に供される。
【0061】制御装置Cは外気温及び循環水温に基づい
てビスカスヒータに必要な剪断発熱量を演算し、必要な
剪断発熱量を確保するための両ロータ39,40の回転
速度差を演算する。そして、その値と回転速度検出セン
サの検出信号とから第2のロータ40の回転速度及び回
転方向を演算し、その回転速度及び回転方向となるよう
にモータMを駆動させる。但し、必要な回転速度差が粘
性流体の熱劣化を助長する剪断発熱量となる値の場合
は、その値より小さな回転速度差でかつできるだけ大き
な回転速度差となるようにモータMを駆動させる。
【0062】即ち、第1のロータ39の回転速度が前記
演算された回転速度差と同じ場合は、制御装置Cはモー
タMを駆動させず、第2のロータ40は停止状態に保持
される。第1のロータ39の回転速度が前記演算された
回転速度差より大きな場合は、制御装置Cは第2のロー
タ40を第1のロータ39と同方向に回転させるように
モータMを駆動させ、両ロータ39,40はその相対回
転速度差が所定の値となるように駆動される。また、第
1のロータ39の回転速度が前記演算された回転速度差
より小さな場合は、制御装置Cは第2のロータ40を第
1のロータ39と逆方向に回転させるようにモータMを
駆動させ、両ロータ39,40はその相対回転速度差が
所定の値となるように駆動される。
【0063】図6は発熱室39a内の熱がウォータジャ
ケット35内の循環水に伝達されるときの簡易モデルを
示す模式図である。第2のロータ40の表面温度をT1
、第1のロータ39の発熱室39a側表面温度をT3
f、第1のロータ39のウォータジャケット35側表面
温度をT3r、ウォータジャケット35内の水温をT4 、
粘性流体の熱伝達率をh1 、水の熱伝達率をh2 、第1
のロータ39の熱伝導率をk、第1のロータ39の厚み
をΔx、伝熱面積をAとすると、熱流量qは(1)〜
(3)式で表される。
【0064】q=h1 A(T1 −T3f)…(1) q=(kA/Δx)(T3f−T3r)…(2) q=h2 A(T3r−T4 )…(3) (1)〜(3)式より(4)式が導かれる。
【0065】 q=(T1 −T4 A/{(1/h1)+(Δx/k)+(1/h2)}…(4) ここで、両ロータ39,40の相対回転速度差が同じ状
態、即ち剪断発熱量が同じ状態において、従来装置のよ
うに発熱室39aとウォータジャケット35とを区画す
る壁(第1のロータ39)が固定の状態と、この実施の
形態のように第1のロータ39が回転する場合とを比較
する。(4)式においてT1 、T4 、k、Δx、A及び
h1 の値は第1のロータ39の回転の有無に拘らず同じ
であり、分子の値は両者とも同じとなる。しかし、第1
のロータ39が回転する場合はウォータジャケット35
内の水が攪拌されるため水の熱伝導率h2 が大きくな
る。その結果、第1のロータ39が固定の場合の(4)
式のqの値q1 と、第1のロータ39が回転する場合の
(4)式のqの値q2 とを比較するとq2 >q1 とな
る。即ち、発熱室39aを囲むウォータジャケット35
内の循環水の熱伝達率が大きくなると、粘性流体の剪断
で発生した熱のウォータジャケット35への放熱効率が
良くなる。
【0066】この実施の形態では第1の実施の形態の効
果のうち、(イ)、(ロ)及び(ル)の効果を有する他
に、以下の効果を有する。 (ヲ) 両ロータ39,40の互いに対向する面間に存
在する粘性流体の剪断により発生する熱でウォータジャ
ケット35内の循環水が加熱され、発熱量が両ロータ3
9,40の相対回転速度差に対応して変化する。従っ
て、第2のロータ40の回転速度及び回転方向を制御す
ることにより、必要な量の剪断発熱量を得ることがで
き、粘性流体の剪断発熱量が必要以上に大きくなること
が防止され、粘性流体の寿命が延びる。
【0067】(ワ) 第2のロータ40を第1のロータ
39と逆方向に回転させることにより、各ロータ39,
40個々の回転速度が小さくても相対回転速度差を大き
くすることができる。従って、両ロータ39,40の最
高回転速度を小さく設定しても必要な剪断発熱量を確保
することができ、両ロータ39,40を支持する軸受装
置37,46及びプーリ50を支持する軸受装置51の
寿命を長くできる。
【0068】(カ) 第1のロータ39が発熱室39a
を構成するため、粘性流体を収容するハウジングを別に
設ける必要がない。従って、部品点数が減少するととも
にコンパクト化が容易になる。
【0069】(ヨ) ウォータジャケット35内の循環
水と接触する第1のロータ39が回転されるため、第1
のロータ39の回転によりウォータジャケット35内の
循環水が攪拌されて循環水の熱伝達率が大きくなり、単
位時間における発熱室39a側からウォータジャケット
35への放熱が効率良く行われる。また、第1のロータ
39の外面と接触している循環水が絶えず交換されて第
1のロータ39内の粘性流体の熱が効率よくウォータジ
ャケット35内の循環水に熱交換される。従って、発熱
室39a内の粘性流体の温度上昇が抑制され、粘性流体
の寿命が長くなる。
【0070】(タ) 第1のロータ39の外面にフィン
47が突設されているため、循環水と接触する第1のロ
ータ39の表面積が大きくなり、第1のロータ39から
循環水への熱交換が効率良く行われる。また、第1のロ
ータ39の回転に伴ってフィン47が一体的に回転する
ことにより、ウォータジャケット35内の循環流体の攪
拌が効率よく行われて第1のロータ39の表面と接触し
ている循環流体が効率良く入れ替わり、第1のロータ3
9から循環水への熱交換がより効率良く行われる。
【0071】(レ) 両区画プレート41a,41bが
熱伝導率の良い材質(アルミニウムあるいはアルミニウ
ム合金)で形成されているため、粘性流体から発生した
熱が効率良くウォータジャケット35内の循環水に伝達
される。
【0072】(ソ) 制御装置Cは両ロータ39,40
の相対回転速度差を、粘性流体の剪断発熱量がシリコー
ンオイルの熱劣化を助長するほど大きくならないように
制御するため、シリコーンオイルの熱劣化が防止され
る。
【0073】(ツ) エンジンの回転中、第1のロータ
39は常に回転されるが、剪断発熱が不要な場合は、第
2のロータ40を第1のロータ39と同方向に同速度で
回転させることにより剪断発熱を実質零とすることがで
きる。
【0074】(ネ) 第2のロータ40が停止した状態
であれば第1のロータ39の回転による剪断発熱量が粘
性流体をその熱劣化を助長する温度まで加熱させる回転
速度でエンジンが長時間回転されても、第2のロータ4
0を第1のロータ39と同方向に回転させることによ
り、粘性流体の過剰発熱を確実に防止できる。また、電
磁クラッチを設けなくても剪断発熱量を実質零にするこ
とができ、電磁クラッチの配設位置を確保する必要がな
い。
【0075】(第3の実施の形態)次に第3の実施の形
態を図7に従って説明する。この実施の形態では同じ回
転速度における剪断発熱量が大きな側のロータを、剪断
発熱量の小さなロータ側から摩擦伝動手段を介して駆動
する点が第1の実施の形態と大きく異なっている。即
ち、第1の実施の形態の構成において、第2の駆動軸1
7を電磁クラッチ24を介してエンジンで駆動し、第1
の駆動軸15に代えて第1のロータ19と一体に回転す
る支軸55を設け、支軸55を摩擦伝動手段を介して第
2の駆動軸17により駆動する点が第1の実施の形態と
大きく異なっている。また、モータMが存在せず、制御
装置Cによる発熱量の制御(調整)は行われない点と、
貯留室22を設けずに、第1のロータ19と第2のロー
タ20との間にシール機能付きの軸受装置56が設けら
れている点も第1の実施の形態と異なっている。その他
の構成は基本的に同じであり、同一部分は同一符号を付
して詳しい説明を省略する。
【0076】一方の軸としての第2の駆動軸17と他方
の軸としての支軸55との間に、支軸55の回転速度が
所定回転速度に達するまでは支軸55の回転を第2の駆
動軸17の回転速度に対応して支軸55に伝達可能な摩
擦伝動手段が設けられている。摩擦伝動手段はクラッチ
スプリングとして機能するコイルばね57により構成さ
れている。コイルばね57は、その第1端部が第2の駆
動軸17に固定され、かつ第2の駆動軸17及び支軸5
5の外周面にその内面が当接する状態で巻装されてい
る。この実施の形態ではコイルばね57は第1のロータ
19に対する最大伝達トルクが、第1のロータ19の所
定高速回転時において第1のロータ19に作用する粘性
流体の摩擦トルクとほぼ等しく形成されている。
【0077】「所定回転速度」とは第1のロータ19に
よる粘性流体の剪断発熱量が粘性流体の熱劣化を助長す
るほど大きくなる速度より低速の予め設定された速度を
いう。この所定回転速度は第1のロータ19と発熱室内
壁面との隙間、使用する粘性流体の粘性係数(粘性抵
抗)、第1のロータ19の外径、第1のロータ19の剪
断面(発熱室の内壁との間で粘性流体を剪断するのに寄
与する面)の面積等の大きさにより変更される。
【0078】この発明では、支軸55が所定回転速度に
達するまでは、支軸55はコイルばね57を介して第2
の駆動軸17とほぼ一体的に駆動される。所定回転速度
を超えた状態においては、コイルばね57と支軸55と
の間に滑りが発生し、第2の駆動軸17の回転速度がそ
れより上昇しても第1のロータ19の回転速度は一定と
なって第1のロータ19による剪断発熱量は一定に保持
される。従って、エンジンが長時間高速で回転されても
第1のロータ19は粘性流体の過熱状態を招かない一定
速度で回転され、粘性流体の発熱が確保されて第2の駆
動軸17の回転力が暖房に有効に利用できる。
【0079】この実施の形態では第1の実施の形態の
(イ)、(ハ)〜(ト)及び(ヌ)の効果を有する他
に、以下の効果を有する。 (ナ) 両ロータ19,20がエンジンを駆動源として
駆動され、制御装置CによるモータMの制御が不要なた
め、制御装置Cによる制御が簡単になる。また、モータ
Mがないため、バッテリの電力消費量が少なくなるとと
もに、ビスカスヒータ全体がコンパクトになる。
【0080】(ラ) 摩擦伝動手段としてコイルばね5
7(クラッチスプリング)が使用されているため、摩擦
伝動手段の構成が簡単になる。 (ム) コイルばね57は支軸55に対する最大伝達ト
ルクが、第2の駆動軸17の所定高速回転時において第
1のロータ19に作用する粘性流体の摩擦トルクとほぼ
等しく形成されている。従って、支軸55の回転力が、
発熱過多とならない範囲で最も有効に第1のロータ19
による粘性流体の剪断発熱に利用される。
【0081】(第4の実施の形態)次に第4の実施の形
態を図8に従って説明する。この実施の形態では第1の
実施の形態の構成において、第2のウォータジャケット
13を設けずに第1のロータ19の内面と近接する状態
で第2のロータ20を設けた点が大きく異なっている。
従って、第2区画部材4及び第2の収容部2bと、それ
らの関連部品とが省略されている。また、入水ポート1
4aは第1の収容部2aの外周部に設けられている。モ
ータMは正逆回転駆動可能かつ変速可能に構成され、制
御手段としての制御装置Cから指令により変速制御され
るようになっている。制御装置Cは第2の実施の形態と
同様に構成されている。その他の構成は第1の実施の形
態と同じであり、同一部分は同一符号を付して詳しい説
明を省略する。
【0082】制御装置Cは外気温及び循環水温に基づい
てビスカスヒータに必要な剪断発熱量を演算し、必要な
剪断発熱量を確保するための両ロータ19,20の回転
速度差を演算する。そして、その値と回転速度検出セン
サの検出信号とから第2のロータ20の回転速度及び回
転方向を演算し、その回転速度及び回転方向となるよう
にモータMを駆動させる。但し、必要な回転速度差が粘
性流体の熱劣化を助長する剪断発熱量となる値の場合
は、その値より小さな回転速度差でかつできるだけ大き
な回転速度差となるようにモータMを駆動させる。
【0083】従って、この実施の形態では第1の実施の
形態の効果のうち、(イ)〜(ニ)及び(チ)〜(ル)
の効果を有する他に、第2の実施の形態の効果のうち、
(ヲ)、(ワ)及び(ソ)〜(ネ)と同様な効果を有す
る。但し、両ロータ39,40は両ロータ19,20に
置き換えられ、軸受装置37,46及び軸受装置51は
軸受装置16,18及びアンギュラベアリング25に置
き換えられる。
【0084】なお、実施の形態は前記各実施の形態に限
定されるものではなく、例えば次のようにしてもよい。 ○ 第1及び第4の実施の形態において小径のロータ
(第2のロータ20)をエンジンで駆動し、大径のロー
タ(第1のロータ19)をモータMで駆動する構成とし
てもよい。また、第2の実施の形態において、第1のロ
ータ39に内包される第2のロータ40をエンジンで駆
動し、第1のロータ39をモータMで駆動する構成とし
てもよい。いずれの場合も剪断発熱量は同等となる。し
かし、第2の実施の形態においてはエンジンで駆動され
るロータの方が一般に回転速度が大きいため、第1のロ
ータ39をエンジンで駆動する構成の方がウォータジャ
ケット35内の循環水の攪拌が良好に行われ、剪断で発
生した熱のウォータジャケット35への放熱が良好に行
われる。
【0085】○ 第1のロータ39の外周面に形成する
フィン47を(放射方向)半径方向に延びる形状とす
る。フィン47は直線状のものに限らず円弧状や波状あ
るいはジグザグ状に形成してもよい。この場合、第1の
ロータ39の回転時にフィン47による循環流体の攪拌
作用がより効率良く行われ、発熱室39a内の熱の放熱
即ちウォータジャケット35(放熱室)内の循環流体へ
の熱交換がより効率良く行われる。
【0086】○ また、第1のロータ39の外面のフィ
ン47を省略したり、攪拌作用の小さな突起を多数設け
てもよい。 ○ 前部ハウジング1と第1区画部材3を一体に形成
し、後部ハウジング2と第2区画部材4を一体に形成す
る。但し、第2区画部材4のリブ4aは省略され、第2
区画部材4及び第2の収容部2bの間に形成されたウォ
ータジャケット13は第2の収容部2bの先端側が開放
されて、その開放部がリング6により閉鎖される。この
場合、部品点数及び組付け工数が少なくなり、組付けが
簡単になる。
【0087】○ 第2及び第4の実施の形態のビスカス
ヒータにおいて、モータMとして正逆回転駆動可能なモ
ータを使用する代わりに、エンジンにより駆動される一
方のロータ(第1のロータ19,39)と逆方向にのみ
他方のロータ(第2のロータ20,40)を駆動可能な
モータを使用する。そして、制御装置Cは第1のロータ
19,39の回転のみでは必要な剪断発熱量が確保でき
ないときに、モータMを駆動させる。この場合は、制御
装置Cによる制御が簡単になるとともに、モータMとし
て低価格のものを使用できる。
【0088】○ また、モータMとして第1のロータ1
9,39と逆方向にのみ第2のロータ20,40を駆動
するものを使用する構成において、制御装置Cは第1の
ロータ19だけで必要な剪断発熱量が確保できない状態
と判断した場合、不足量に対応する剪断発熱量に正確に
対応する回転速度でモータMを駆動させるのではなく、
予め設定された所定速度でモータMを駆動させる構成と
してもよい。所定速度は複数(例えば3)設けられ、そ
の中から適正な値が選択され、その回転速度となるよう
にモータMが駆動制御される。この場合、エンジンの回
転速度の変化に対応してモータMを絶えず変速制御する
必要がなく、制御装置Cによる制御が簡単になる。
【0089】○ 制御装置Cは外気温度、循環水温及び
第1のロータの回転速度に基づいて必要な剪断発熱量を
演算する構成に代えて、循環水温度及び第1のロータ1
9,39の回転速度に基づいて第2のロータ20,40
の回転速度を設定する構成とする。この場合、センサの
数が少なくなるとともに、制御装置による制御がより簡
単になる。
【0090】○ 制御装置Cに外気温度、循環水温及び
第1のロータの回転速度に基づいて必要な剪断発熱量を
演算するために使用するマップに代えて、それらを演算
するのに必要な関係式が記憶された記憶装置(図示せ
ず)を備えてもよい。
【0091】○ 第2及び第4の実施の形態において、
制御装置Cはビスカスヒータを駆動させる場合、第1の
ロータ19,39の回転だけで必要な剪断発熱量が確保
できない場合、第2のロータを20,40を粘性流体の
熱劣化を助長しない範囲で剪断発熱量が最大となる回転
速度で回転させる。この場合、制御が簡単になる。
【0092】○ 両区画部材3,4あるいは両区画プレ
ート41a,41bの材質をアルミニウムあるいはアル
ミニウム系合金以外のものとしてもよい。 ○ 第2のロータ40を円板に代えて外周寄りの端面に
ラビリンスを有する円盤とし、第1のロータ39の内面
に対応するラビリンスを形成する。ラビリンスはロータ
40の両側に設けても片側のみに設けてもよい。この場
合は、剪断発熱の効率が良くなる。
【0093】○ 第2の実施の形態において第1の駆動
軸36とプーリ50との間に電磁クラッチを設けて、エ
ンジンの回転中においても第1の駆動軸36への回転の
伝達を断つことが可能に構成してもよい。この場合は、
剪断発熱が不要なときに両ロータ39,40を回転させ
る動力が不要となる。
【0094】○ 第2の実施の形態において、第1のロ
ータ39を両端が閉塞された円筒状(中空円柱状)に形
成し、第2のロータ40を第1のロータ39の内面との
間に剪断発熱に適した隙間を有する円柱状、中空円柱状
あるいは円筒状に形成する。この場合、第1のロータ3
9の外径が小さくても、軸方向の長さを長くすることに
より、必要な発熱量を確保できる。
【0095】○ 第1、第3及び第4の実施の形態にお
いて、エンジンの回転を電磁クラッチを介さずに駆動軸
に伝達する構成としてもよい。 ○ 第1及び第4の実施の形態において、第3の実施の
形態のように貯留室22を省略した構成としてもよい。
【0096】○ 摩擦伝動手段としてクラッチスプリン
グに限らず所定回転速度に達するまで一方の軸の回転を
他方の軸に伝達可能な他の構成、例えば、両駆動軸1
5,17の外周面に圧接される作用位置と、外周面から
離間した非作用位置とに移動可能なクラッチ片を備えた
ものとする。クラッチ片はいずれか一方の駆動軸と一体
回転可能に設け、所定回転速度に達するまでクラッチ片
を作用位置に保持する付勢手段(例えば、ばね)を設け
る。
【0097】なお、本明細書で言う「粘性流体」とは、
剪断作用部の回転による剪断作用を受けて流体摩擦に基
づく熱を発生するあらゆる媒体を意味するものであり、
高粘度の液体や半流動体に限定されず、ましてやシリコ
ーンオイルに限定されるものではない。
【0098】前記各実施の形態から把握できる請求項記
載以外の発明について、以下にその効果とともに記載す
る。 (1) 請求項3に記載の発明において、他方のロータ
を一方のロータと反対方向に駆動する駆動手段を備えて
いる。この場合、各ロータの回転速度が小さくても両ロ
ータの回転速度差を大きくすることができ、小さな動力
消費量で大きな剪断発熱量を確保できる。
【0099】(2) 請求項3又は(1)に記載の発明
において、一方のロータはエンジンにより駆動可能に構
成され、他方のロータはモータにより駆動可能に構成さ
れ、前記モータを制御する制御手段は、一方のロータの
駆動軸の回転速度を検出する検出手段の検出信号と、必
要な剪断発熱量とに基づいて他方のロータの駆動軸の回
転速度及び回転方向を演算して、それを満足するように
前記モータを制御する。この場合、無駄な剪断発熱がな
くなり、粘性流体の寿命が延びる。
【0100】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
10に記載の発明によれば、ロータを駆動する駆動軸の
回転速度が高速度となっても発熱量過多となるのを防止
することができる。また、2個のロータが同時に回転さ
れる状態と、一方のロータのみが回転される状態とに切
り換えられ、エンジンの回転数が同じ状態であっても粘
性流体の剪断発熱量が変更可能、即ち発熱能力が変更可
能となる。
【0101】請求項2に記載の発明によれば、各ロータ
をそれぞれ独立して駆動可能なため、発熱量の調整が容
易となる。請求項3及び請求項4に記載の発明によれ
ば、両ロータを互いに逆方向に回転させることにより、
各ロータの回転速度が小さくても剪断発熱量が大きくな
る。
【0102】請求項5に記載の発明によれば、駆動源が
1個となって構成が簡単になるとともに、制御手段によ
るロータの駆動制御が簡単になる。また、他方のロータ
の高速回転により粘性流体がその熱劣化を助長するほど
大きな発熱量で剪断発熱を行うことが回避される。
【0103】請求項6に記載の発明によれば、第1のロ
ータが発熱室を構成するため、粘性流体を収容するハウ
ジングを別に設ける必要がない。また、第2のロータは
放熱室内で回転する第1のロータに内包されているた
め、両ロータの相対回転による粘性流体の剪断で発生し
た熱が効率良く放熱室に放熱される。
【0104】請求項7に記載の発明によれば、フィンの
存在により循環流体の攪拌作用が効率良く行われ、第1
のロータからの放熱がより効率良く行われる。請求項8
に記載の発明によれば、フィンが放射方向に延びるよう
に形成されているため、フィンによる循環流体の攪拌作
用がより効率良く行われ、発熱室内の熱の放熱即ち放熱
室内の循環流体への熱交換がより効率良く行われる。
【0105】請求項9に記載の発明によれば、筒状に形
成された両ロータの互いにオーバーラップする状態に設
けられた分だけビスカスヒータ全体の体格の小型化が可
能となる。
【0106】請求項10に記載の発明によれば、大径の
ロータはその外側と内側とを放熱室に囲まれているた
め、粘性流体の剪断で発生した熱が効率良く放熱室に放
熱される。また、大径のロータの内側に配設された放熱
室は小径のロータと共有され、小径のロータ専用に放熱
室を設ける場合に比較して構造がコンパクトになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のビスカスヒータの断面
図。
【図2】 図1のII−II線断面図。
【図3】 第2区画部材の内周面の模式展開図。
【図4】 第2の実施の形態の断面図。
【図5】 図4のV−V線断面図。
【図6】 発熱室から放熱室への熱伝達の簡易モデルを
示す模式図。
【図7】 第3の実施の形態の図1に対応する断面図。
【図8】 第4の実施の形態の図1に対応する断面図。
【符号の説明】
1,31…ハウジングを構成する前部ハウジング、2,
32…同じく後部ハウジング、12,13,35…放熱
室としてのウォータジャケット、15,36…軸として
の第1の駆動軸、17,44…軸としての第2の駆動
軸、19,39…第1のロータ、20,40…第2のロ
ータ、21,39a…発熱室、47…フィン、55…軸
としての支軸、57…摩擦伝導手段としてのコイルば
ね。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡部 孝徳 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング内に発熱室及び放熱室を区画
    し、前記発熱室内に収納された粘性流体をロータで剪断
    することにより発生した熱を前記放熱室内の循環流体に
    熱交換するビスカスヒータにおいて、 前記ハウジングに2個の軸を回転可能に設けるととも
    に、各軸にロータを一体回転可能に設け、両ロータが同
    時に回転する状態と一方のロータのみが回転する状態と
    に切り換え可能に構成したビスカスヒータ。
  2. 【請求項2】 前記各軸が独立して駆動可能に設けられ
    ている請求項1に記載のビスカスヒータ。
  3. 【請求項3】 前記両ロータは互いに対向する面間に粘
    性流体が存在する状態で、かつその間隔が粘性流体の剪
    断発熱に適した状態に配設されている請求項2に記載の
    ビスカスヒータ。
  4. 【請求項4】 前記両ロータのうちの一方にはエンジン
    の回転が伝達され、他方のロータはモータにより一方の
    ロータと回転方向が逆方向となるように駆動可能に構成
    されている請求項3に記載のビスカスヒータ。
  5. 【請求項5】 前記2個の軸は一方の軸が独立駆動可能
    な駆動軸として設けられ、該駆動軸と他方の軸との間に
    は、駆動軸の回転速度が所定回転速度に達するまでは該
    駆動軸の回転をその回転速度に対応して他方の軸に伝達
    可能な摩擦伝動手段が設けられている請求項1に記載の
    ビスカスヒータ。
  6. 【請求項6】 前記2個のロータは、放熱室内で回転可
    能に設けられるとともに発熱室を構成する中空形状に形
    成された第1のロータと、第1のロータに内包されると
    ともに第1のロータと相対回転可能に設けられた第2の
    ロータとにより構成されている請求項3又は請求項4に
    記載のビスカスヒータ。
  7. 【請求項7】 前記第1のロータの外面にフィンが突設
    されている請求項6に記載のビスカスヒータ。
  8. 【請求項8】 前記フィンは放射状に延びるように形成
    されている請求項7に記載のビスカスヒータ。
  9. 【請求項9】 前記両ロータは筒状に形成され、少なく
    ともその一部がオーバーラップする状態に設けられてい
    る請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のビスカス
    ヒータ。
  10. 【請求項10】 放熱室が前記両ロータの間と、大径の
    ロータの外側を囲む位置とに設けられている請求項9に
    記載のビスカスヒータ。
JP4585397A 1997-02-28 1997-02-28 ビスカスヒータ Pending JPH10236142A (ja)

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