JP3676588B2 - 熱発生器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘性流体をせん断により発熱させ、放熱室内を循環する循環流体に熱交換して暖房熱源に利用する熱発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平8−337110号公報に車両用暖房装置に利用される熱発生器が開示されている。この熱発生器では、ハウジング内に発熱室と、この発熱室に隣接して循環流体を循環させる放熱室としてのウォータジャケットとが形成されている。また、ハウジングには軸受装置及び軸封装置を介して駆動軸が回動可能に支承されており、ハウジングと駆動軸の前端とにはエンジンにより駆動軸をベルト駆動可能に電磁クラッチが設けられ、駆動軸の後端には発熱室内で回動可能にロータが一体的に形成されている。そして、発熱室の壁面とロータの外面との液密的間隙にはロータの回動により発熱されるシリコーンオイル等の粘性流体が介在されている。
【0003】
車両の暖房装置に組み込まれたこの熱発生器では、駆動軸がエンジンにより駆動されれば、発熱室内でロータが回動するため、粘性流体が発熱室の壁面とロータの外面との液密的間隙でせん断により発熱する。この発熱はウォータジャケット内の冷却水に熱交換され、加熱された冷却水が暖房回路で車室等の暖房に供されることとなる。
【0004】
しかし、上記従来の熱発生器では、駆動軸の駆動中は発熱室内の粘性流体が常にロータによりせん断されることとなるため、粘性流体が過剰な発熱により熱的に劣化したり、分子鎖の切断により低分子量のものとなって機械的に劣化したりしやすい。このため、この熱発生器では、粘性流体に粘性の低下を生じ、耐久性に欠けるきらいがある。そして、粘性の低下した粘性流体を新たな粘性流体と交換することとすれば、車両等に搭載された熱発生器の分解が必要となり、整備上好ましくない。
【0005】
そこで、ドイツ公開公報3832966号記載の熱発生器では、ハウジング内に発熱室と回収通路及び供給通路により連通する貯留室を設け、発熱室内の粘性流体を貯留室との間で循環させることにより、粘性流体の劣化を防止している。ここに、この熱発生器では、発熱室と貯留室との隔壁に回収通路及び供給通路を形成することで発熱室と貯留室とを連通しており、該回収通路及び供給通路を通じて発熱室と貯留室との間で粘性流体を循環させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記貯留室を設けた熱発生器では、例えば供給通路を介して貯留室内の粘性流体を積極的に発熱室へ供給するための工夫がなされていない。このため、この熱発生器では、特に起動初期において発熱室内の粘性流体不足により発熱量の不足や立ち上がり遅れが生じたり、あるいは貯留室と発熱室との間における粘性流体の循環が不十分となって粘性流体の劣化を効果的に防止できなかったりするという問題があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、粘性流体を貯留室から発熱室へ積極的に導入せしめて、発熱室内の粘性流体不足による発熱量の不足や立ち上がり遅れの問題を解消するとともに、粘性流体の劣化を効果的に防止することのできる熱発生器を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱発生器は、内部に作動室及び該作動室に隣接して循環流体を循環させる放熱室を形成するハウジングと、該ハウジングに軸受装置を介して回動可能に支承された駆動軸と、該作動室内で該駆動軸により回動可能に設けられたロータと、該作動室内に収容された粘性流体とを有する熱発生器において、
上記作動室は、上記ロータの外面とで液密的間隙を確保し、該ロータの回動により該液密的間隙で上記粘性流体をせん断して発熱させる発熱領域と、該作動室の残余をなして該液密的間隙の容積を超える該粘性流体を収容し、該ロータの端面に開口して該発熱領域との間で該粘性流体の循環を行う貯留領域とからなり、上記貯留領域にある粘性流体は上記ロータの回転の影響を受けて流動可能となされ、該貯留領域には、該粘性流体の流動方向を変化せしめて該粘性流体を上記発熱領域へ導く方向規制手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
この熱発生器では、駆動軸の駆動中、粘性流体が作動室内の発熱領域と貯留領域との間で循環する。この際、ロータの端面に開口する貯留領域にある粘性流体は、ロータの回転の影響を受けて(ロータの回転力が攪拌作用として伝達されて)流動し、貯留領域に設けられた方向規制手段によりその流動方向を変化せしめられて強制的に発熱領域へと導かれる。こうして、貯留領域から発熱領域へ粘性流体が強制的に導入されることにより、貯留領域から発熱領域へ供給される粘性流体の積極的な流れが生じ、発熱領域と貯留領域との間で粘性流体が積極的に循環されることとなる。したがって、この熱発生器では、発熱領域の特定の粘性流体が常にロータによりせん断されることがなくなり、粘性流体の劣化を効果的に防止することができ、耐久性に優れる。また、粘性流体の交換がほとんど必要なくなり、車両等に搭載された熱発生器の分解がほとんど不要なことから、整備上好ましい。さらに、ロータの回転に伴い貯留領域から発熱領域へ粘性流体が積極的に供給されるので、起動初期から迅速かつ十分に発熱領域に粘性流体を介在させることができ、発熱領域内の粘性流体不足による発熱量の不足や立ち上がり遅れの問題を効果的に解消することが可能となる。
【0010】
本発明の熱発生器においては、前記作動室は隔壁を挟んで発熱領域と貯留領域とを形成し、該隔壁は、前記ロータの端面に開口して該発熱領域と該貯留領域とを連通させる開口部と、該開口部を区画し、該ロータの回転方向に対して対面するエッジ部とを有し、上記開口部は、少なくとも一部が上記貯留領域内の液体相に位置し、上記ロータの回転による影響を上記発熱領域にある粘性流体から該貯留領域にある粘性流体に伝達して該貯留領域にある粘性流体が流動することを可能とする回転伝達部と、該貯留領域内の液体相の位置にて該ロータの回転方向に延在するように該回転伝達部と一体に形成され、前記方向規制手段により導かれた粘性流体を上記発熱領域へ供給する供給部とを有している構成とすることができる。
【0011】
かかる構成であれば、駆動軸の駆動によりロータが回転すると、このロータの回転の影響、すなわちロータの回転による攪拌作用が上記開口部の回転伝達部を介して発熱領域にある粘性流体から貯留領域にある粘性流体へ伝達される。すなわち、ロータの回転に伴い、作動室の発熱領域にある粘性流体が連れ回りにより回転、流動すると、この発熱領域における粘性流体の回転、流動が開口部の回転伝達部を介して貯留領域にある粘性流体に伝わり、貯留領域においても粘性流体が同方向に回転、流動する。このようにロータの回転の影響を受けて貯留領域で流動する粘性流体は、貯留領域に設けられた方向規制手段によりその流動方向が変化せしめられ、上記開口部の供給部を介して強制的に発熱領域に導かれる。また、上記隔壁のエッジ部及び上記供給部の存在により、貯留領域から発熱領域への粘性流体の導入がより促進される。すなわち、貯留領域においてロータと同方向に回転、流動する粘性流体は、ロータの回転方向に対して対面するエッジ部との衝突により流動方向が変化せしめられ、一部が発熱領域へ、また他の一部が供給部へ導かれる。また貯留領域においてロータと同方向に回転、流動する粘性流体は、ロータの回転方向に延在する供給部へ容易に導かれ、該供給部から発熱領域へと導かれる。こうして、貯留領域から発熱領域へ供給される粘性流体の積極的な流れが生じ、発熱領域と貯留領域との間で粘性流体が積極的に循環されることとなる。なお、発熱領域にある粘性流体は、開口部の回転伝達部を介して貯留領域に回収される。
【0012】
またこの熱発生器において、上記回転伝達部の一部が貯留領域内の液体相に位置する場合(上記回転伝達部が貯留領域内における粘性流体の液位を跨いでいる場合)、すなわち発熱領域及び貯留領域からなる作動室内に気体とともに粘性流体が充填されて貯留領域の上方部に気体相が存在する場合は、以下に示す作用効果も奏する。
【0013】
すなわち、発熱領域及び貯留領域からなる作動室内に気体とともに粘性流体が充填されていれば、発熱時の発熱領域内における粘性流体の膨張を貯留領域内の粘性流体以外の気体により吸収することができる。このため、駆動軸を高速で駆動したり、常用回転数でも長時間駆動し続けたりするような過酷な運転条件下においても、作動室内における内部圧力の過度の上昇を招くことがなく、粘性流体の漏れを生じにくい。したがって、作動室内の粘性流体の量が減少しにくく、搭載する例えば車両のエンジンルーム等の汚染や分解整備の必要性がなくなる。また、起動時の発熱領域内の粘性流体の量を低減し得るため、起動トルクの低減を実現可能である。このため、搭載する例えば車両に不具合を生じない。
【0014】
ここに、発熱領域にある粘性流体から貯留領域にある粘性流体にロータの回転力の影響を伝達することに対して実質的に寄与する部分は、上記回転伝達部のうち貯留領域内の液体相に位置する部分(液体相連通部)である。なお、回転伝達部の全部が貯留領域内の液体相に位置すれば、回転伝達部がそのまま全部液体相連通部となる。また回転伝達部において、そのうちの一部が貯留領域内の液体相に位置すれば当該一部が液体相連通部となり、当該一部以外の他の部が貯留領域内の気体相に位置する気体相連通部となる。かかる液体相連通部の断面積は、上記隔壁に形成する開口部及び貯留領域の位置や大きさ、あるいは貯留領域内に介在させる粘性流体の充填率等を適宜設定することにより調整可能である。
【0015】
そして、回転伝達部における伝達性を高めて貯留領域における粘性流体の流動性を高める観点からは、上記液体相連通部の断面積をできるだけ大きくすることが望ましい。ただし、上述したように上記隔壁のエッジ部及び上記開口部の供給部の存在により、貯留領域から発熱領域への粘性流体の導入性、ひいては貯留領域及び発熱領域間での粘性流体の循環性を向上させることができる。このため、貯留領域及び発熱領域間での粘性流体の循環性を向上させることのできるエッジ部及び供給部を存在させつつ、上記伝達性を高めるべく液体相連通部の断面積をできるだけ大きくすることが好ましい。一方、隔壁に設ける開口部の回転伝達部を大きくすれば、発熱領域の有効面積の低減、ひいては発熱量の低減につながることになる。開口部の回転伝達部の形成による発熱領域の有効面積の低減を抑えるためには、隔壁の開口部は、発熱性の低下につながり難い発熱領域(ロータ)の中央域に対応する位置に設けることが好ましい。以上より、開口部の回転伝達部の具体的形態としては、ロータの半径に対して1/8〜2/3の半径を有し、中心角が 90度の1/4円形状〜中心角が270度の3/4円形状(本実施形態では中心角が180度の1/2円形状とした)の部分円形状とすることが好ましい。
【0016】
貯留領域内に設ける前記方向規制手段としては、貯留領域を区画するハウジング(リヤハウジング)又は該ハウジングに対面して貯留領域を区画する前記隔壁に突設された衝立板とすることができる。貯留領域内に衝立板を突設させれば、該貯留領域内で流動する粘性流体を該衝立板に衝突させることにより、粘性流体の流動方向を容易に変化させることができる。ただし、貯留領域で流動している粘性流体を衝立板との衝突によりその流動方向を変化せしめて開口部の供給部により多く導くためには、供給部が設けられる隔壁と該衝立板との間に隙間がない方が好ましく、かかる観点から衝立板は隔壁に突設されることが好ましい。衝立板を供給部が設けられる隔壁に突設させれば、上記隙間を確実になくすことができる。なお、衝立板は、隔壁若しくはハウジング(リヤハウジング)との一体成形品として形成してもよいし、又は隔壁若しくはハウジング(リヤハウジング)に別部品として固着してもよい。
【0017】
また、上記衝立板の位置や衝立面の角度は、貯留領域で流動する粘性流体が衝立面に衝突することにより、該粘性流体が発熱領域へ導かれ得る態様であれば特に限定されない。ただし、作動室が隔壁を挟んで発熱領域と貯留領域とに形成され、該隔壁に前記供給部及び供給溝が設けられている場合は、衝立面に衝突した粘性流体を積極的に該供給部及び該供給溝に導くことができるように衝立板の位置や衝立面の角度を調整することが望ましい。具体的には、供給部に対応する位置、望ましくは該供給部のうち流動する粘性流体の下流側に対応する位置に、供給溝が延びる方向に対して垂直、平行又は斜めの方向に衝立面が延在するように衝立板を設けることが望ましい。
【0018】
前記隔壁には、前記供給部の粘性流体を前記発熱領域の外周域へ導く供給溝が凹設されていることが好ましい。こうであれば、供給溝が発熱領域の粘性流体を供給部を介して最も盛んに発熱する発熱領域の外周域に導くため、貯留領域とその部位との間で迅速に粘性流体の循環を行うことができるとともに、起動時に迅速に発熱を始めることができる。
【0019】
前記隔壁には、前記発熱領域の外周域の粘性流体を前記開口部に導く回収溝が凹設されていることが好ましい。こうすれば、回収溝が発熱領域の外周域の粘性流体を開口部に導くため、貯留領域とその部位との間で粘性流体の循環を迅速に行うことができる。なお、この回収溝を開口部の気体相連通部に連通させれば、発熱領域の外周域の粘性流体が大量に開口部に導かれるため、貯留領域内への粘性流体の回収が好適に行われ、粘性流体の劣化防止の効果が大きい。一方、回収溝を開口部の液体相連通部に連通させれば、発熱領域の外周域の粘性流体が少量だけ開口部に導かれるため、貯留領域内への粘性流体の回収が抑制され、起動時の発熱を迅速に行うことができる。
【0020】
従来、発熱室から貯留室に回収された直後の粘性流体は高温のままであって、すでに充分に冷えた粘性流体との間で温度格差がある。加えて、冷えた粘性流体は相対的に流動性が低下する一方、高温の粘性流体は流動性に富む。このため、貯留室に滞在する粘性流体には、その滞在位置により温度及び粘度の格差が生じがちである。この点、本発明の熱発生器では、作動室内に貯留領域があるため、貯留領域内の粘性流体に対してロータの回動が攪拌作用として伝達され得る。このため、低温高粘度の粘性流体と高温低粘度の粘性流体とが効果的に混じり合い、粘性流体の温度及び粘度を均一化する。このことは、熱発生器内に収容した粘性流体のすべてを万遍なく連続使用することを可能とし、貯留領域内の局部において粘性流体が高温度を保持するという事態を防止し、耐久性を持続できることを意味する。
【0021】
また、ロータには、作動室内の粘性流体を攪拌する攪拌部が形成されていることが好ましい。こうであれば、ロータの攪拌部が作動室内の粘性流体を積極的に攪拌するため、さらに上記作用及び効果を生じる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
図1〜図6に示す実施形態1の熱発生器としてのビスカスヒータVHでは、前部ハウジング本体1、前部プレート2、略リング状の後部プレート3及び後部ハウジング本体4が各々積層され、これらがそれぞれ間にOリングを介して複数本のボルト5により締結されている。前部プレート2の後面には円形の凹部が凹設されており、この凹部は後部プレート3の前面とにより発熱領域6を形成している。また、後部プレート3と後部ハウジング本体4とにより貯留領域SRが形成されている。発熱領域6と貯留領域SRとにより作動室が構成されている。
【0023】
前部プレート2の前面には円弧状のフィン2aが複数条軸方向前方に突設され、前部ハウジング本体1とこれらフィン2aとにより前部放熱室としての前部ウォータジャケットFWが形成されている。また、後部プレート3の後面にも円弧状のフィン3aが複数条軸方向後方に突設され、後部ハウジング本体4とこれらフィン3aとにより後部放熱室としての後部ウォータジャケットRWが形成されている。前部及び後部ウォータジャケットFW、RW内の循環流体としての冷却水はこれらフィン2a、3aに従って流れるようになっており、フィン2a、3aはその際に受熱面積を向上させている。
【0024】
前部ハウジング本体1の周囲の上方には、外部の図示しない暖房回路から循環流体としての冷却水を取り入れる入水ポート20と、冷却水を暖房回路へ送り出す出水ポート21とが隣接して形成され(図5参照)、入水ポート20と出水ポート21とは前部プレート2及び後部プレート3の外周支持壁に径方向に貫設された図示しない入水口と出水口とを介して前部及び後部ウォータジャケットFW、RWに連通されている。
【0025】
前部プレート2の軸孔には軸封装置内蔵の軸受装置7(軸封機能をもつ装置を別体で設けることも可能)が設けられ、この軸受装置7により駆動軸8が回動可能に支承されている。駆動軸8の後端には発熱領域6内で前部及び後部プレート2、3との間に液密的間隙を有して回動可能なロータ9が圧入されている。貯留領域SRは液密的間隙の容積を超えるシリコーンオイルSOを収容可能であり、前部及び後部プレート2、3とロータ9との液密的間隙及び貯留領域SRには粘性流体としてのシリコーンオイルSOが50〜90vol%の充填率で封入され、残余には空気が残存されている。
【0026】
ロータ9は、図6に示すように、円板状をなしており、複数条の案内部9aが放射方向に形成されている。これらの案内部9aは中央側では溝、外周側では切り欠けに形成されており、粘性流体としてのシリコーンオイルSOのせん断効果を高めるとともに発熱領域6内のシリコーンオイルSOを外周域に移行させるべく、二点鎖線で示すロータ9の回転方向Rに対して後方側に傾斜している。また、このロータ9の中央域には前後に貫通する連通孔9bが複数個形成されている。これらの連通孔9bはロータ9を挟んだ発熱領域6の前後を繋ぐ機能をするとともに、発熱領域6内のシリコーンオイルSOを積極的に攪拌する攪拌部として機能する。
【0027】
なお、上記前部プレート2、後部プレート3、ロータ9、発熱領域6及び貯留領域SRの軸直角断面形状は、駆動軸8と同一の軸心をもつ同心円形状とされている。
図1及び図2に示すように、後部プレート3は発熱領域6と貯留領域SRとの間で隔壁を構成している。そして、貯留領域SRをロータ9の端面に開口させるべく、後部プレート3の中央域、すなわち発熱性の低下につながり難い発熱領域6の中央域に対応する位置には、貯留領域SR内のシリコーンオイルSOの液位を跨いで位置する開口部3cが貫設されている。すなわち、この開口部3cはロータ9の端面に開口して発熱領域6と貯留領域SRとを連通させている。後部プレート3は開口部3cを狭めるべく突出する突出壁3kを有し、突出壁3kはロータ9の回転方向Rに対して対面するエッジ部3dを有している。
【0028】
上記開口部3cは、このエッジ部3dにより区画され、貯留領域SR内の上部である気体相に位置する気体相連通部3eと、気体相連通部3eと一体にエッジ部3dにより区画され、貯留領域SR内の下部である液体相に位置する液体相連通部3fと、液体相連通部3fと一体にエッジ部3dによりロータ9の回転方向Rに延在して形成され、貯留領域SRの最下部(貯留領域SR内の液体相)に位置する供給部3gとからなる。ここに、気体相連通部3e及び液体相連通部3fは回転伝達部を構成し、このうち貯留領域SR内の液体相に位置する液体相連通部3fが、ロータ9の回転による影響を発熱領域6にあるシリコーンオイルSOから貯留領域SRにあるシリコーンオイルSOに伝達して貯留領域SRにあるシリコーンオイルSOの流動を可能とする実質的な回転伝達部として機能する。なお、貯留領域SR及び発熱領域6間でのシリコーンオイルSOの循環性を向上させることのできるエッジ部3d及び供給部3gを存在させつつ、回転伝達部における伝達性を高めるべく液体相連通部3eの軸直角断面積をできるだけ大きくするために、上記開口部3cの回転伝達部(気体相連結部3e及び液体相連結部3f)は、ロータ9の半径に対して約2/5の大きさの半径を有し、ロータ9と同心円であって中心角が180度の1/2円形状(半円形状)とされ、かつ、貯留領域SRやロータ9の中心よりも上方側に位置するように設定されている。
【0029】
こうして、このビスカスヒータVHでは、後部プレート3を挟んで発熱領域6と貯留領域SRとが形成され、上記開口部3cにより、発熱領域6と貯留領域SRとの相互の連通が図られ、突出壁3kによって発熱領域6と貯留領域SRとの間でシリコーンオイルSOの循環が促進されるようになっている。
また、後部プレート3の前面には供給部3gからロータ9の回転方向R前方側に傾斜して延在する供給溝3iが凹設されており、この供給溝3iにより貯留領域SR内のシリコーンオイルSOは開口部3cの供給部3gから発熱領域6の外周域に導かれるようになっている。さらに、後部プレート3の前面には発熱領域6の外周域からロータ9の回転方向R後方側に傾斜して液体相連通部3fまで延在する回収溝3jが凹設されており、この回収溝3jにより発熱領域6の外周域のシリコーンオイルSOは開口部3cの液体相連通部3fに導かれるようになっている。
【0030】
また、後部プレート3の前面外周域には、発熱領域6内のシリコーンオイルSOのせん断効果を高めるとともに伝熱面積向上のための溝3hが放射状に凹設されている。発熱領域6を形成する前部プレート2の後面外周域にも同様の溝(図示せず)が放射状に凹設されている。
さらに、後部ハウジング本体4の中央部は貯留領域SRの容積を拡大すべく後方に突出しており、その中心部には後部ハウジング本体4の前面から貯留領域SR内に向かって軸方向前方に突出する中央突起部4aが突設されている。そして、この中央突起部4aには貯留領域SRと外部とを連通する注入口4bが貫設されている。注入口4bは、前部ハウジング本体1、前部プレート2、略リング状の後部プレート3及び後部ハウジング本体4をボルト5により締結して組み立てた後、図示しない注入装置を用いて発熱領域6及び貯留領域SR内にシリコーンオイルSOを注入するためのもので、シリコーンオイルSOの注入後はシールワッシャを介してボルト22により閉塞される。
【0031】
上記中央突起部4aの外周面と、後部ウォータジャケットRW及び貯留領域SR間を隔離する環状壁4cの内周面と、後部ハウジング本体4の前面とにより、貯留領域SRの後端にはリング状凹部4dが形成され、したがって貯留領域SR内の後方側はリング状領域に区画されている。そして図3及び図4に示すように、貯留領域SRには、シリコーンオイルSOの流動方向を衝突により変化せしめてシリコーンオイルSOを発熱領域6へ導く方向規制手段としての衝立板23が設けられている。この衝立板23は、前記供給部3gの下方部に対応する位置、すなわち供給部3gのうち貯留領域SR内で流動するシリコーンオイルSOの下流側に対応する位置で後部ハウジング本体4の前面(リング状凹部4dの底面及び内・外周側面並びに環状壁4cの前面)に固着されており、衝立板23の衝立面(貯留領域SR内で流動するシリコーンオイルSOが衝突してその流動方向を発熱領域側へ変化せしめる面)23aは、図3に示すようにリング状凹部4dを幅方向に斜めに完全に遮るように延在しており、かつ、図5に示すように前記供給溝3iが延びる方向に対して直角の方向に延在している。また、衝立板23は貯留領域SRの軸方向長さより若干短い軸方向長さを有しており、衝立板23の前面は後部プレート3の突出壁3kの後面近傍に位置している(図1参照)。こうして、貯留領域SR内をロータ9の回転方向Rと同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOのほとんどは衝立板23の衝立面23aに衝突し、その結果衝突する前は周方向に流動していたシリコーンオイルSOのほとんどが該衝立面23aに沿う軸方向や前記リング状凹部4dの略幅方向等にその流動方向を変化せしめられ、貯留領域SRから軸方向に隔てた位置にある供給部3g、ひいては供給溝3iを介して発熱領域6へ強制的に導かれるようになっている。
【0032】
以上によりビスカスヒータVHが構成されている。
また、図1に示すように、前部ハウジング本体1及び駆動軸8には電磁クラッチMCが装着されている。ここで、電磁クラッチMCでは、ビスカスヒータVHの前部ハウジング本体1に軸受装置10を介してプーリ11が回転可能に支承されているとともに、プーリ11内に位置すべく励磁コイル12が設けられている。この励磁コイル12は図示しないエアコンECUに接続されている。そして、ビスカスヒータVHの駆動軸8にはボルト13によりハブ14が固定され、ハブ14は板ばね15を介してアーマチュア16と固定されている。プーリ11は図示しない車両のエンジンによりベルトで回転されるようになっている。
【0033】
以上のように構成されたビスカスヒータVHでは、エアコンECUの指令により、電磁クラッチMCの励磁コイル12への通電が行われておれば、アーマチュア16がプーリ11に磁着するため、駆動軸8がエンジンにより駆動される。このため、ビスカスヒータVHでは、作動室の発熱領域6内でロータ9が回動するため、シリコーンオイルSOが発熱領域6を形成する前部及び後部プレート2、3の壁面とロータ9の外面との液密的間隙でせん断により発熱する。この発熱は前部及び後部ウォータジャケットFW、RW内の冷却水に熱交換され、加熱された冷却水が循環回路を循環する。このため、図示しないヒータコアで車両の室内暖房が得られるとともに、エンジンの暖機が行われる。
【0034】
この間、このビスカスヒータVHでは、ロータ9の回転の影響、すなわちロータ9の回転による攪拌作用が実質的に回転伝達部として機能する液体相連結部3fを介して発熱領域6にあるシリコーンオイルSOから貯留領域SRにあるシリコーンオイルSOへ伝達される。すなわち、ロータ9の回転に伴い、作動室の発熱領域6にあるシリコーンオイルSOが連れ回りにより回転、流動すると、この発熱領域6におけるシリコーンオイルSOの回転、流動が、開口部3cの液体相連結部3fを介して貯留領域SRにあるシリコーンオイルSOに伝わり、貯留領域SRにおいてもシリコーンオイルSOが同方向に回転、流動する。このようにロータ9の回転の影響を受けて貯留領域SRで流動するシリコーンオイルSOは、そのほとんどが貯留領域SRに設けられた衝立板23の衝立面23aに衝突してその流動方向を変化せしめられ、供給部3g及び供給溝3iを介して強制的に発熱領域6に導かれる。また、上記突出壁3kのエッジ部3d及び上記供給部3gの存在により、貯留領域SRから発熱領域6へのシリコーンオイルSOの導入がより促進される。すなわち、貯留領域SRにおいてロータ9と同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOは、ロータ9の回転方向に対して対面するエッジ部3dとの衝突により流動方向が変化せしめられ、一部が発熱領域6へ、また他の一部が供給部3gへ導かれる。また貯留領域SRにおいてロータ9と同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOは、ロータ9の回転方向に延在する供給部3gへ容易に導かれ、該供給部3gから供給溝3iを介して最も盛んに発熱する発熱領域6の外周域へと導かれる。こうして、貯留領域SRから発熱領域6の外周域へ供給されるシリコーンオイルSOの積極的な流れが生じ、発熱領域6の外周域と貯留領域SRとの間でシリコーンオイルSOが積極的に循環されることとなる。
【0035】
また、このビスカスヒータVHでは、ロータ9の連通孔9bが貯留領域SRを含んだ作動室内のシリコーンオイルSOを積極的に攪拌するため、低温高粘度のシリコーンオイルSOと高温低粘度のシリコーンオイルSOとが混じり合い、シリコーンオイルSOの温度及び粘度を均一化するとともに、作動室内に収容したシリコーンオイルSOのすべてを万遍なく連続使用することが可能になり、貯留領域SR内の局部においてシリコーンオイルSOが高温度を保持するという事態が防止され、耐久性を持続できる。
【0036】
さらに、開口部3cの気体相連通部3e及び液体相連通部3fが発熱領域6内におけるシリコーンオイルSOを回収する。この間、回収溝3jが開口部3cの液体相連通部3fに連通しているため、発熱領域6の外周域のシリコーンオイルSOが少量だけ開口部3cに導かれ、貯留領域SR内へのシリコーンオイルSOの回収が抑制され、起動時の発熱を迅速に行うことができる。
【0037】
したがって、このビスカスヒータVHでは、発熱領域6の特定のシリコーンオイルSOが常にロータ9によりせん断されることがなくなり、シリコーンオイルS0の劣化を効果的に防止することができ、耐久性に優れる。また、シリコーンオイルSOの交換がほとんど必要なくなり、車両等に搭載されたビスカスヒータVHの分解がほとんど不要なことから、整備上好ましい。さらに、ロータ9の回転に伴い貯留領域SRから発熱領域6へシリコーンオイルSOが積極的に供給され、かつ、回収溝3j及び開口部3cを介する発熱領域6から貯留領域SRへのシリコーンオイルSOの回収が抑制されるので、起動初期から迅速かつ十分に発熱領域6にシリコーンオイルSO介在させることができ、発熱領域6内のシリコーンオイルSOの不足による発熱量の不足や立ち上がり遅れの問題を効果的に解消することが可能となる。
【0038】
また、このビスカスヒータVHでは、発熱領域6及び貯留領域SRからなる作動室内に空気とともにシリコーンオイルSOを充填しているため、開口部3cの気体相連通部3eが発熱領域6内におけるシリコーンオイルSOの膨張を貯留領域SR内の空気により直接的に吸収する。このため、駆動軸8を高速で駆動したり、常用回転数でも長時間駆動し続けたりするような過酷な運転条件下においても、作動室内における内部圧力の過度の上昇を招くことがなく、シリコーンオイルSOの漏れを生じにくい。したがって、作動室内のシリコーンオイルSOの量が減少しにくく、搭載する例えば車両のエンジンルーム等の汚染や分解整備の必要性がなくなる。
【0039】
さらに、このビスカスヒータVHでは、起動時の発熱領域6内のシリコーンオイルSOの量を低減できるため、起動トルクの低減を実現している。このため、エンジン始動時においてセルモータが確実に回りやすく、小型の電磁クラッチMCであっても、電磁クラッチMCやベルトで滑りを生じず、運転中の起動ショックがほとんどない。
【0040】
加えて、貯留領域SRから発熱領域6へ衝立板23によりシリコーンオイルSOが強制的に導入されることから、貯留領域SR内に衝立板23が突設されていない場合と比較して、ビスカスヒータを車両等に搭載する際の搭載角度範囲が拡大されうる。例えば、図2において、反時計回りに数十度回転した状態でビスカスヒータが車両に搭載させると、貯留領域SR内でロータ9の回転方向Rと同方向に流動するシリコーンオイルSOが供給部3gに導入され難くなる。このため、貯留領域SR内に衝立板23が突設されていない場合は、貯留領域SRのシリコーンオイルSOを供給部3gに適切に導入することのできるビスカスヒータの搭載角度範囲が制限される。この点、このビスカスヒータVHでは、衝立板23により強制的に貯留領域SRのシリコーンオイルSOを供給部3gに導入することができるので、反時計回りに回転させた状態でビスカスヒータを搭載した場合であっても、貯留領域SRから供給部3gへシリコーンオイルSOを適切に導入することが可能となる。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2の熱発生器としてのビスカスヒータVHでは、図7に示すように、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iの延在方向に対して斜めの方向(貯留領域SRの中心から略放射状に延びる方向)に延在するように、衝立板23の設置角度を変えている。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0042】
このビスカスヒータVHでは、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iに対して斜めに延在しているため、貯留領域SR内をロータ9の回転方向Rと同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOが衝立板23の衝立面23aに衝突すると、該衝立面23aに沿う軸方向や上記略放射方向等にその流動方向を変化せしめられ、貯留領域SRから軸方向に隔てた位置にある供給部3g、ひいては供給溝3iを介して発熱領域6へ強制的に導かれる。他の作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0043】
(実施形態3)
実施形態3の熱発生器としてのビスカスヒータVHでは、図8及び図9に示すように、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iの延在方向に対して平行の方向(貯留領域SRの中心から略放射状に延びる方向)に延在するように、衝立板23の設置角度を変えている。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
このビスカスヒータVHでは、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iに対して斜めに延在しているため、貯留領域SR内をロータ9の回転方向Rと同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOが衝立板23の衝立面23aに衝突すると、該衝立面23aに沿う軸方向や上記略放射方向等にその流動方向を変化せしめられ、貯留領域SRから軸方向に隔てた位置にある供給部3g、ひいては供給溝3iを介して発熱領域6へ強制的に導かれる。他の作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0045】
(実施形態3)
実施形態3の熱発生器としてのビスカスヒータVHでは、図8及び図9に示すように、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iの延在方向に対して平行の方向(貯留領域SRの中心から略放射状に延びる方向)に延在するように衝立板23の設置角度を変えるとともに、この衝立板23をリヤハウジング本体4ではなく後部プレート3の後面に固着している。なお、衝立板23の衝立面は、リング状凹部4dを幅方向に斜めに完全に遮るように延在している。また、衝立板23は貯留領域SRの軸方向長さより若干短い軸方向長さを有しており、衝立板23の後面はリヤハウジング本体4の前面(リング状凹部4dの底面)近傍に位置している(図8参照)。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0046】
このビスカスヒータVHでは、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iに対して平行に延在しているため、貯留領域SR内をロータ9の回転方向Rと同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOが衝立板23の衝立面23aに衝突すると、該衝立面23aに沿う軸方向や供給溝3iの延在方向等にその流動方向を変化せしめられ、貯留領域SRから軸方向に隔てた位置にある供給部3g、ひいては供給溝3iを介して発熱領域6へ強制的に導かれる。他の作用及び効果は実施形態1と同一である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のビスカスヒータの縦断面図である。
【図2】実施形態1のビスカスヒータに係り、前方から見た後部プレートの平面図である。
【図3】実施形態1のビスカスヒータに係り、前方から見たリヤハウジング本体の平面図である。
【図4】実施形態1のビスカスヒータに係り、リヤハウジング本体を示す図3のA−A線矢視断面図である。
【図5】実施形態1のビスカスヒータに係り、後方から見たフロントハウジング本体及び後部プレートの平面図である。
【図6】実施形態1のビスカスヒータに係り、前方から見たロータの平面図である。
【図7】実施形態2のビスカスヒータに係り、後方から見たフロントハウジング本体及び後部プレートの平面図である。
【図8】実施形態3のビスカスヒータの縦断面図である。
【図9】実施形態3のビスカスヒータに係り、後方から見たフロントハウジング本体及び後部プレートの平面図である。
【符号の説明】
1、2、3、4…ハウジング(1…前部ハウジング本体、2…前部プレート、3…後部プレート(隔壁)、4…後部ハウジング本体)
6、SR…作動室(6…発熱領域、SR…貯留領域)
FW、RW…放熱室(FW…前部ウォータジャケット、RW…後部ウォータジャケット)
7…軸封装置内蔵軸受装置
8…駆動軸
9…ロータ
SO…粘性流体(シリコーンオイル)
3c…開口部
3d…エッジ部
3e、3f…回転伝達部(3e…気体相連通部、3f…液体相連通部)
3g…供給部
3i…供給溝
3j…回収溝
9b…攪拌部(連通孔)
23…衝立板(方向規制手段)
23a…衝立面
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘性流体をせん断により発熱させ、放熱室内を循環する循環流体に熱交換して暖房熱源に利用する熱発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平8−337110号公報に車両用暖房装置に利用される熱発生器が開示されている。この熱発生器では、ハウジング内に発熱室と、この発熱室に隣接して循環流体を循環させる放熱室としてのウォータジャケットとが形成されている。また、ハウジングには軸受装置及び軸封装置を介して駆動軸が回動可能に支承されており、ハウジングと駆動軸の前端とにはエンジンにより駆動軸をベルト駆動可能に電磁クラッチが設けられ、駆動軸の後端には発熱室内で回動可能にロータが一体的に形成されている。そして、発熱室の壁面とロータの外面との液密的間隙にはロータの回動により発熱されるシリコーンオイル等の粘性流体が介在されている。
【0003】
車両の暖房装置に組み込まれたこの熱発生器では、駆動軸がエンジンにより駆動されれば、発熱室内でロータが回動するため、粘性流体が発熱室の壁面とロータの外面との液密的間隙でせん断により発熱する。この発熱はウォータジャケット内の冷却水に熱交換され、加熱された冷却水が暖房回路で車室等の暖房に供されることとなる。
【0004】
しかし、上記従来の熱発生器では、駆動軸の駆動中は発熱室内の粘性流体が常にロータによりせん断されることとなるため、粘性流体が過剰な発熱により熱的に劣化したり、分子鎖の切断により低分子量のものとなって機械的に劣化したりしやすい。このため、この熱発生器では、粘性流体に粘性の低下を生じ、耐久性に欠けるきらいがある。そして、粘性の低下した粘性流体を新たな粘性流体と交換することとすれば、車両等に搭載された熱発生器の分解が必要となり、整備上好ましくない。
【0005】
そこで、ドイツ公開公報3832966号記載の熱発生器では、ハウジング内に発熱室と回収通路及び供給通路により連通する貯留室を設け、発熱室内の粘性流体を貯留室との間で循環させることにより、粘性流体の劣化を防止している。ここに、この熱発生器では、発熱室と貯留室との隔壁に回収通路及び供給通路を形成することで発熱室と貯留室とを連通しており、該回収通路及び供給通路を通じて発熱室と貯留室との間で粘性流体を循環させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記貯留室を設けた熱発生器では、例えば供給通路を介して貯留室内の粘性流体を積極的に発熱室へ供給するための工夫がなされていない。このため、この熱発生器では、特に起動初期において発熱室内の粘性流体不足により発熱量の不足や立ち上がり遅れが生じたり、あるいは貯留室と発熱室との間における粘性流体の循環が不十分となって粘性流体の劣化を効果的に防止できなかったりするという問題があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、粘性流体を貯留室から発熱室へ積極的に導入せしめて、発熱室内の粘性流体不足による発熱量の不足や立ち上がり遅れの問題を解消するとともに、粘性流体の劣化を効果的に防止することのできる熱発生器を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱発生器は、内部に作動室及び該作動室に隣接して循環流体を循環させる放熱室を形成するハウジングと、該ハウジングに軸受装置を介して回動可能に支承された駆動軸と、該作動室内で該駆動軸により回動可能に設けられたロータと、該作動室内に収容された粘性流体とを有する熱発生器において、
上記作動室は、上記ロータの外面とで液密的間隙を確保し、該ロータの回動により該液密的間隙で上記粘性流体をせん断して発熱させる発熱領域と、該作動室の残余をなして該液密的間隙の容積を超える該粘性流体を収容し、該ロータの端面に開口して該発熱領域との間で該粘性流体の循環を行う貯留領域とからなり、上記貯留領域にある粘性流体は上記ロータの回転の影響を受けて流動可能となされ、該貯留領域には、該粘性流体の流動方向を変化せしめて該粘性流体を上記発熱領域へ導く方向規制手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
この熱発生器では、駆動軸の駆動中、粘性流体が作動室内の発熱領域と貯留領域との間で循環する。この際、ロータの端面に開口する貯留領域にある粘性流体は、ロータの回転の影響を受けて(ロータの回転力が攪拌作用として伝達されて)流動し、貯留領域に設けられた方向規制手段によりその流動方向を変化せしめられて強制的に発熱領域へと導かれる。こうして、貯留領域から発熱領域へ粘性流体が強制的に導入されることにより、貯留領域から発熱領域へ供給される粘性流体の積極的な流れが生じ、発熱領域と貯留領域との間で粘性流体が積極的に循環されることとなる。したがって、この熱発生器では、発熱領域の特定の粘性流体が常にロータによりせん断されることがなくなり、粘性流体の劣化を効果的に防止することができ、耐久性に優れる。また、粘性流体の交換がほとんど必要なくなり、車両等に搭載された熱発生器の分解がほとんど不要なことから、整備上好ましい。さらに、ロータの回転に伴い貯留領域から発熱領域へ粘性流体が積極的に供給されるので、起動初期から迅速かつ十分に発熱領域に粘性流体を介在させることができ、発熱領域内の粘性流体不足による発熱量の不足や立ち上がり遅れの問題を効果的に解消することが可能となる。
【0010】
本発明の熱発生器においては、前記作動室は隔壁を挟んで発熱領域と貯留領域とを形成し、該隔壁は、前記ロータの端面に開口して該発熱領域と該貯留領域とを連通させる開口部と、該開口部を区画し、該ロータの回転方向に対して対面するエッジ部とを有し、上記開口部は、少なくとも一部が上記貯留領域内の液体相に位置し、上記ロータの回転による影響を上記発熱領域にある粘性流体から該貯留領域にある粘性流体に伝達して該貯留領域にある粘性流体が流動することを可能とする回転伝達部と、該貯留領域内の液体相の位置にて該ロータの回転方向に延在するように該回転伝達部と一体に形成され、前記方向規制手段により導かれた粘性流体を上記発熱領域へ供給する供給部とを有している構成とすることができる。
【0011】
かかる構成であれば、駆動軸の駆動によりロータが回転すると、このロータの回転の影響、すなわちロータの回転による攪拌作用が上記開口部の回転伝達部を介して発熱領域にある粘性流体から貯留領域にある粘性流体へ伝達される。すなわち、ロータの回転に伴い、作動室の発熱領域にある粘性流体が連れ回りにより回転、流動すると、この発熱領域における粘性流体の回転、流動が開口部の回転伝達部を介して貯留領域にある粘性流体に伝わり、貯留領域においても粘性流体が同方向に回転、流動する。このようにロータの回転の影響を受けて貯留領域で流動する粘性流体は、貯留領域に設けられた方向規制手段によりその流動方向が変化せしめられ、上記開口部の供給部を介して強制的に発熱領域に導かれる。また、上記隔壁のエッジ部及び上記供給部の存在により、貯留領域から発熱領域への粘性流体の導入がより促進される。すなわち、貯留領域においてロータと同方向に回転、流動する粘性流体は、ロータの回転方向に対して対面するエッジ部との衝突により流動方向が変化せしめられ、一部が発熱領域へ、また他の一部が供給部へ導かれる。また貯留領域においてロータと同方向に回転、流動する粘性流体は、ロータの回転方向に延在する供給部へ容易に導かれ、該供給部から発熱領域へと導かれる。こうして、貯留領域から発熱領域へ供給される粘性流体の積極的な流れが生じ、発熱領域と貯留領域との間で粘性流体が積極的に循環されることとなる。なお、発熱領域にある粘性流体は、開口部の回転伝達部を介して貯留領域に回収される。
【0012】
またこの熱発生器において、上記回転伝達部の一部が貯留領域内の液体相に位置する場合(上記回転伝達部が貯留領域内における粘性流体の液位を跨いでいる場合)、すなわち発熱領域及び貯留領域からなる作動室内に気体とともに粘性流体が充填されて貯留領域の上方部に気体相が存在する場合は、以下に示す作用効果も奏する。
【0013】
すなわち、発熱領域及び貯留領域からなる作動室内に気体とともに粘性流体が充填されていれば、発熱時の発熱領域内における粘性流体の膨張を貯留領域内の粘性流体以外の気体により吸収することができる。このため、駆動軸を高速で駆動したり、常用回転数でも長時間駆動し続けたりするような過酷な運転条件下においても、作動室内における内部圧力の過度の上昇を招くことがなく、粘性流体の漏れを生じにくい。したがって、作動室内の粘性流体の量が減少しにくく、搭載する例えば車両のエンジンルーム等の汚染や分解整備の必要性がなくなる。また、起動時の発熱領域内の粘性流体の量を低減し得るため、起動トルクの低減を実現可能である。このため、搭載する例えば車両に不具合を生じない。
【0014】
ここに、発熱領域にある粘性流体から貯留領域にある粘性流体にロータの回転力の影響を伝達することに対して実質的に寄与する部分は、上記回転伝達部のうち貯留領域内の液体相に位置する部分(液体相連通部)である。なお、回転伝達部の全部が貯留領域内の液体相に位置すれば、回転伝達部がそのまま全部液体相連通部となる。また回転伝達部において、そのうちの一部が貯留領域内の液体相に位置すれば当該一部が液体相連通部となり、当該一部以外の他の部が貯留領域内の気体相に位置する気体相連通部となる。かかる液体相連通部の断面積は、上記隔壁に形成する開口部及び貯留領域の位置や大きさ、あるいは貯留領域内に介在させる粘性流体の充填率等を適宜設定することにより調整可能である。
【0015】
そして、回転伝達部における伝達性を高めて貯留領域における粘性流体の流動性を高める観点からは、上記液体相連通部の断面積をできるだけ大きくすることが望ましい。ただし、上述したように上記隔壁のエッジ部及び上記開口部の供給部の存在により、貯留領域から発熱領域への粘性流体の導入性、ひいては貯留領域及び発熱領域間での粘性流体の循環性を向上させることができる。このため、貯留領域及び発熱領域間での粘性流体の循環性を向上させることのできるエッジ部及び供給部を存在させつつ、上記伝達性を高めるべく液体相連通部の断面積をできるだけ大きくすることが好ましい。一方、隔壁に設ける開口部の回転伝達部を大きくすれば、発熱領域の有効面積の低減、ひいては発熱量の低減につながることになる。開口部の回転伝達部の形成による発熱領域の有効面積の低減を抑えるためには、隔壁の開口部は、発熱性の低下につながり難い発熱領域(ロータ)の中央域に対応する位置に設けることが好ましい。以上より、開口部の回転伝達部の具体的形態としては、ロータの半径に対して1/8〜2/3の半径を有し、中心角が 90度の1/4円形状〜中心角が270度の3/4円形状(本実施形態では中心角が180度の1/2円形状とした)の部分円形状とすることが好ましい。
【0016】
貯留領域内に設ける前記方向規制手段としては、貯留領域を区画するハウジング(リヤハウジング)又は該ハウジングに対面して貯留領域を区画する前記隔壁に突設された衝立板とすることができる。貯留領域内に衝立板を突設させれば、該貯留領域内で流動する粘性流体を該衝立板に衝突させることにより、粘性流体の流動方向を容易に変化させることができる。ただし、貯留領域で流動している粘性流体を衝立板との衝突によりその流動方向を変化せしめて開口部の供給部により多く導くためには、供給部が設けられる隔壁と該衝立板との間に隙間がない方が好ましく、かかる観点から衝立板は隔壁に突設されることが好ましい。衝立板を供給部が設けられる隔壁に突設させれば、上記隙間を確実になくすことができる。なお、衝立板は、隔壁若しくはハウジング(リヤハウジング)との一体成形品として形成してもよいし、又は隔壁若しくはハウジング(リヤハウジング)に別部品として固着してもよい。
【0017】
また、上記衝立板の位置や衝立面の角度は、貯留領域で流動する粘性流体が衝立面に衝突することにより、該粘性流体が発熱領域へ導かれ得る態様であれば特に限定されない。ただし、作動室が隔壁を挟んで発熱領域と貯留領域とに形成され、該隔壁に前記供給部及び供給溝が設けられている場合は、衝立面に衝突した粘性流体を積極的に該供給部及び該供給溝に導くことができるように衝立板の位置や衝立面の角度を調整することが望ましい。具体的には、供給部に対応する位置、望ましくは該供給部のうち流動する粘性流体の下流側に対応する位置に、供給溝が延びる方向に対して垂直、平行又は斜めの方向に衝立面が延在するように衝立板を設けることが望ましい。
【0018】
前記隔壁には、前記供給部の粘性流体を前記発熱領域の外周域へ導く供給溝が凹設されていることが好ましい。こうであれば、供給溝が発熱領域の粘性流体を供給部を介して最も盛んに発熱する発熱領域の外周域に導くため、貯留領域とその部位との間で迅速に粘性流体の循環を行うことができるとともに、起動時に迅速に発熱を始めることができる。
【0019】
前記隔壁には、前記発熱領域の外周域の粘性流体を前記開口部に導く回収溝が凹設されていることが好ましい。こうすれば、回収溝が発熱領域の外周域の粘性流体を開口部に導くため、貯留領域とその部位との間で粘性流体の循環を迅速に行うことができる。なお、この回収溝を開口部の気体相連通部に連通させれば、発熱領域の外周域の粘性流体が大量に開口部に導かれるため、貯留領域内への粘性流体の回収が好適に行われ、粘性流体の劣化防止の効果が大きい。一方、回収溝を開口部の液体相連通部に連通させれば、発熱領域の外周域の粘性流体が少量だけ開口部に導かれるため、貯留領域内への粘性流体の回収が抑制され、起動時の発熱を迅速に行うことができる。
【0020】
従来、発熱室から貯留室に回収された直後の粘性流体は高温のままであって、すでに充分に冷えた粘性流体との間で温度格差がある。加えて、冷えた粘性流体は相対的に流動性が低下する一方、高温の粘性流体は流動性に富む。このため、貯留室に滞在する粘性流体には、その滞在位置により温度及び粘度の格差が生じがちである。この点、本発明の熱発生器では、作動室内に貯留領域があるため、貯留領域内の粘性流体に対してロータの回動が攪拌作用として伝達され得る。このため、低温高粘度の粘性流体と高温低粘度の粘性流体とが効果的に混じり合い、粘性流体の温度及び粘度を均一化する。このことは、熱発生器内に収容した粘性流体のすべてを万遍なく連続使用することを可能とし、貯留領域内の局部において粘性流体が高温度を保持するという事態を防止し、耐久性を持続できることを意味する。
【0021】
また、ロータには、作動室内の粘性流体を攪拌する攪拌部が形成されていることが好ましい。こうであれば、ロータの攪拌部が作動室内の粘性流体を積極的に攪拌するため、さらに上記作用及び効果を生じる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
図1〜図6に示す実施形態1の熱発生器としてのビスカスヒータVHでは、前部ハウジング本体1、前部プレート2、略リング状の後部プレート3及び後部ハウジング本体4が各々積層され、これらがそれぞれ間にOリングを介して複数本のボルト5により締結されている。前部プレート2の後面には円形の凹部が凹設されており、この凹部は後部プレート3の前面とにより発熱領域6を形成している。また、後部プレート3と後部ハウジング本体4とにより貯留領域SRが形成されている。発熱領域6と貯留領域SRとにより作動室が構成されている。
【0023】
前部プレート2の前面には円弧状のフィン2aが複数条軸方向前方に突設され、前部ハウジング本体1とこれらフィン2aとにより前部放熱室としての前部ウォータジャケットFWが形成されている。また、後部プレート3の後面にも円弧状のフィン3aが複数条軸方向後方に突設され、後部ハウジング本体4とこれらフィン3aとにより後部放熱室としての後部ウォータジャケットRWが形成されている。前部及び後部ウォータジャケットFW、RW内の循環流体としての冷却水はこれらフィン2a、3aに従って流れるようになっており、フィン2a、3aはその際に受熱面積を向上させている。
【0024】
前部ハウジング本体1の周囲の上方には、外部の図示しない暖房回路から循環流体としての冷却水を取り入れる入水ポート20と、冷却水を暖房回路へ送り出す出水ポート21とが隣接して形成され(図5参照)、入水ポート20と出水ポート21とは前部プレート2及び後部プレート3の外周支持壁に径方向に貫設された図示しない入水口と出水口とを介して前部及び後部ウォータジャケットFW、RWに連通されている。
【0025】
前部プレート2の軸孔には軸封装置内蔵の軸受装置7(軸封機能をもつ装置を別体で設けることも可能)が設けられ、この軸受装置7により駆動軸8が回動可能に支承されている。駆動軸8の後端には発熱領域6内で前部及び後部プレート2、3との間に液密的間隙を有して回動可能なロータ9が圧入されている。貯留領域SRは液密的間隙の容積を超えるシリコーンオイルSOを収容可能であり、前部及び後部プレート2、3とロータ9との液密的間隙及び貯留領域SRには粘性流体としてのシリコーンオイルSOが50〜90vol%の充填率で封入され、残余には空気が残存されている。
【0026】
ロータ9は、図6に示すように、円板状をなしており、複数条の案内部9aが放射方向に形成されている。これらの案内部9aは中央側では溝、外周側では切り欠けに形成されており、粘性流体としてのシリコーンオイルSOのせん断効果を高めるとともに発熱領域6内のシリコーンオイルSOを外周域に移行させるべく、二点鎖線で示すロータ9の回転方向Rに対して後方側に傾斜している。また、このロータ9の中央域には前後に貫通する連通孔9bが複数個形成されている。これらの連通孔9bはロータ9を挟んだ発熱領域6の前後を繋ぐ機能をするとともに、発熱領域6内のシリコーンオイルSOを積極的に攪拌する攪拌部として機能する。
【0027】
なお、上記前部プレート2、後部プレート3、ロータ9、発熱領域6及び貯留領域SRの軸直角断面形状は、駆動軸8と同一の軸心をもつ同心円形状とされている。
図1及び図2に示すように、後部プレート3は発熱領域6と貯留領域SRとの間で隔壁を構成している。そして、貯留領域SRをロータ9の端面に開口させるべく、後部プレート3の中央域、すなわち発熱性の低下につながり難い発熱領域6の中央域に対応する位置には、貯留領域SR内のシリコーンオイルSOの液位を跨いで位置する開口部3cが貫設されている。すなわち、この開口部3cはロータ9の端面に開口して発熱領域6と貯留領域SRとを連通させている。後部プレート3は開口部3cを狭めるべく突出する突出壁3kを有し、突出壁3kはロータ9の回転方向Rに対して対面するエッジ部3dを有している。
【0028】
上記開口部3cは、このエッジ部3dにより区画され、貯留領域SR内の上部である気体相に位置する気体相連通部3eと、気体相連通部3eと一体にエッジ部3dにより区画され、貯留領域SR内の下部である液体相に位置する液体相連通部3fと、液体相連通部3fと一体にエッジ部3dによりロータ9の回転方向Rに延在して形成され、貯留領域SRの最下部(貯留領域SR内の液体相)に位置する供給部3gとからなる。ここに、気体相連通部3e及び液体相連通部3fは回転伝達部を構成し、このうち貯留領域SR内の液体相に位置する液体相連通部3fが、ロータ9の回転による影響を発熱領域6にあるシリコーンオイルSOから貯留領域SRにあるシリコーンオイルSOに伝達して貯留領域SRにあるシリコーンオイルSOの流動を可能とする実質的な回転伝達部として機能する。なお、貯留領域SR及び発熱領域6間でのシリコーンオイルSOの循環性を向上させることのできるエッジ部3d及び供給部3gを存在させつつ、回転伝達部における伝達性を高めるべく液体相連通部3eの軸直角断面積をできるだけ大きくするために、上記開口部3cの回転伝達部(気体相連結部3e及び液体相連結部3f)は、ロータ9の半径に対して約2/5の大きさの半径を有し、ロータ9と同心円であって中心角が180度の1/2円形状(半円形状)とされ、かつ、貯留領域SRやロータ9の中心よりも上方側に位置するように設定されている。
【0029】
こうして、このビスカスヒータVHでは、後部プレート3を挟んで発熱領域6と貯留領域SRとが形成され、上記開口部3cにより、発熱領域6と貯留領域SRとの相互の連通が図られ、突出壁3kによって発熱領域6と貯留領域SRとの間でシリコーンオイルSOの循環が促進されるようになっている。
また、後部プレート3の前面には供給部3gからロータ9の回転方向R前方側に傾斜して延在する供給溝3iが凹設されており、この供給溝3iにより貯留領域SR内のシリコーンオイルSOは開口部3cの供給部3gから発熱領域6の外周域に導かれるようになっている。さらに、後部プレート3の前面には発熱領域6の外周域からロータ9の回転方向R後方側に傾斜して液体相連通部3fまで延在する回収溝3jが凹設されており、この回収溝3jにより発熱領域6の外周域のシリコーンオイルSOは開口部3cの液体相連通部3fに導かれるようになっている。
【0030】
また、後部プレート3の前面外周域には、発熱領域6内のシリコーンオイルSOのせん断効果を高めるとともに伝熱面積向上のための溝3hが放射状に凹設されている。発熱領域6を形成する前部プレート2の後面外周域にも同様の溝(図示せず)が放射状に凹設されている。
さらに、後部ハウジング本体4の中央部は貯留領域SRの容積を拡大すべく後方に突出しており、その中心部には後部ハウジング本体4の前面から貯留領域SR内に向かって軸方向前方に突出する中央突起部4aが突設されている。そして、この中央突起部4aには貯留領域SRと外部とを連通する注入口4bが貫設されている。注入口4bは、前部ハウジング本体1、前部プレート2、略リング状の後部プレート3及び後部ハウジング本体4をボルト5により締結して組み立てた後、図示しない注入装置を用いて発熱領域6及び貯留領域SR内にシリコーンオイルSOを注入するためのもので、シリコーンオイルSOの注入後はシールワッシャを介してボルト22により閉塞される。
【0031】
上記中央突起部4aの外周面と、後部ウォータジャケットRW及び貯留領域SR間を隔離する環状壁4cの内周面と、後部ハウジング本体4の前面とにより、貯留領域SRの後端にはリング状凹部4dが形成され、したがって貯留領域SR内の後方側はリング状領域に区画されている。そして図3及び図4に示すように、貯留領域SRには、シリコーンオイルSOの流動方向を衝突により変化せしめてシリコーンオイルSOを発熱領域6へ導く方向規制手段としての衝立板23が設けられている。この衝立板23は、前記供給部3gの下方部に対応する位置、すなわち供給部3gのうち貯留領域SR内で流動するシリコーンオイルSOの下流側に対応する位置で後部ハウジング本体4の前面(リング状凹部4dの底面及び内・外周側面並びに環状壁4cの前面)に固着されており、衝立板23の衝立面(貯留領域SR内で流動するシリコーンオイルSOが衝突してその流動方向を発熱領域側へ変化せしめる面)23aは、図3に示すようにリング状凹部4dを幅方向に斜めに完全に遮るように延在しており、かつ、図5に示すように前記供給溝3iが延びる方向に対して直角の方向に延在している。また、衝立板23は貯留領域SRの軸方向長さより若干短い軸方向長さを有しており、衝立板23の前面は後部プレート3の突出壁3kの後面近傍に位置している(図1参照)。こうして、貯留領域SR内をロータ9の回転方向Rと同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOのほとんどは衝立板23の衝立面23aに衝突し、その結果衝突する前は周方向に流動していたシリコーンオイルSOのほとんどが該衝立面23aに沿う軸方向や前記リング状凹部4dの略幅方向等にその流動方向を変化せしめられ、貯留領域SRから軸方向に隔てた位置にある供給部3g、ひいては供給溝3iを介して発熱領域6へ強制的に導かれるようになっている。
【0032】
以上によりビスカスヒータVHが構成されている。
また、図1に示すように、前部ハウジング本体1及び駆動軸8には電磁クラッチMCが装着されている。ここで、電磁クラッチMCでは、ビスカスヒータVHの前部ハウジング本体1に軸受装置10を介してプーリ11が回転可能に支承されているとともに、プーリ11内に位置すべく励磁コイル12が設けられている。この励磁コイル12は図示しないエアコンECUに接続されている。そして、ビスカスヒータVHの駆動軸8にはボルト13によりハブ14が固定され、ハブ14は板ばね15を介してアーマチュア16と固定されている。プーリ11は図示しない車両のエンジンによりベルトで回転されるようになっている。
【0033】
以上のように構成されたビスカスヒータVHでは、エアコンECUの指令により、電磁クラッチMCの励磁コイル12への通電が行われておれば、アーマチュア16がプーリ11に磁着するため、駆動軸8がエンジンにより駆動される。このため、ビスカスヒータVHでは、作動室の発熱領域6内でロータ9が回動するため、シリコーンオイルSOが発熱領域6を形成する前部及び後部プレート2、3の壁面とロータ9の外面との液密的間隙でせん断により発熱する。この発熱は前部及び後部ウォータジャケットFW、RW内の冷却水に熱交換され、加熱された冷却水が循環回路を循環する。このため、図示しないヒータコアで車両の室内暖房が得られるとともに、エンジンの暖機が行われる。
【0034】
この間、このビスカスヒータVHでは、ロータ9の回転の影響、すなわちロータ9の回転による攪拌作用が実質的に回転伝達部として機能する液体相連結部3fを介して発熱領域6にあるシリコーンオイルSOから貯留領域SRにあるシリコーンオイルSOへ伝達される。すなわち、ロータ9の回転に伴い、作動室の発熱領域6にあるシリコーンオイルSOが連れ回りにより回転、流動すると、この発熱領域6におけるシリコーンオイルSOの回転、流動が、開口部3cの液体相連結部3fを介して貯留領域SRにあるシリコーンオイルSOに伝わり、貯留領域SRにおいてもシリコーンオイルSOが同方向に回転、流動する。このようにロータ9の回転の影響を受けて貯留領域SRで流動するシリコーンオイルSOは、そのほとんどが貯留領域SRに設けられた衝立板23の衝立面23aに衝突してその流動方向を変化せしめられ、供給部3g及び供給溝3iを介して強制的に発熱領域6に導かれる。また、上記突出壁3kのエッジ部3d及び上記供給部3gの存在により、貯留領域SRから発熱領域6へのシリコーンオイルSOの導入がより促進される。すなわち、貯留領域SRにおいてロータ9と同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOは、ロータ9の回転方向に対して対面するエッジ部3dとの衝突により流動方向が変化せしめられ、一部が発熱領域6へ、また他の一部が供給部3gへ導かれる。また貯留領域SRにおいてロータ9と同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOは、ロータ9の回転方向に延在する供給部3gへ容易に導かれ、該供給部3gから供給溝3iを介して最も盛んに発熱する発熱領域6の外周域へと導かれる。こうして、貯留領域SRから発熱領域6の外周域へ供給されるシリコーンオイルSOの積極的な流れが生じ、発熱領域6の外周域と貯留領域SRとの間でシリコーンオイルSOが積極的に循環されることとなる。
【0035】
また、このビスカスヒータVHでは、ロータ9の連通孔9bが貯留領域SRを含んだ作動室内のシリコーンオイルSOを積極的に攪拌するため、低温高粘度のシリコーンオイルSOと高温低粘度のシリコーンオイルSOとが混じり合い、シリコーンオイルSOの温度及び粘度を均一化するとともに、作動室内に収容したシリコーンオイルSOのすべてを万遍なく連続使用することが可能になり、貯留領域SR内の局部においてシリコーンオイルSOが高温度を保持するという事態が防止され、耐久性を持続できる。
【0036】
さらに、開口部3cの気体相連通部3e及び液体相連通部3fが発熱領域6内におけるシリコーンオイルSOを回収する。この間、回収溝3jが開口部3cの液体相連通部3fに連通しているため、発熱領域6の外周域のシリコーンオイルSOが少量だけ開口部3cに導かれ、貯留領域SR内へのシリコーンオイルSOの回収が抑制され、起動時の発熱を迅速に行うことができる。
【0037】
したがって、このビスカスヒータVHでは、発熱領域6の特定のシリコーンオイルSOが常にロータ9によりせん断されることがなくなり、シリコーンオイルS0の劣化を効果的に防止することができ、耐久性に優れる。また、シリコーンオイルSOの交換がほとんど必要なくなり、車両等に搭載されたビスカスヒータVHの分解がほとんど不要なことから、整備上好ましい。さらに、ロータ9の回転に伴い貯留領域SRから発熱領域6へシリコーンオイルSOが積極的に供給され、かつ、回収溝3j及び開口部3cを介する発熱領域6から貯留領域SRへのシリコーンオイルSOの回収が抑制されるので、起動初期から迅速かつ十分に発熱領域6にシリコーンオイルSO介在させることができ、発熱領域6内のシリコーンオイルSOの不足による発熱量の不足や立ち上がり遅れの問題を効果的に解消することが可能となる。
【0038】
また、このビスカスヒータVHでは、発熱領域6及び貯留領域SRからなる作動室内に空気とともにシリコーンオイルSOを充填しているため、開口部3cの気体相連通部3eが発熱領域6内におけるシリコーンオイルSOの膨張を貯留領域SR内の空気により直接的に吸収する。このため、駆動軸8を高速で駆動したり、常用回転数でも長時間駆動し続けたりするような過酷な運転条件下においても、作動室内における内部圧力の過度の上昇を招くことがなく、シリコーンオイルSOの漏れを生じにくい。したがって、作動室内のシリコーンオイルSOの量が減少しにくく、搭載する例えば車両のエンジンルーム等の汚染や分解整備の必要性がなくなる。
【0039】
さらに、このビスカスヒータVHでは、起動時の発熱領域6内のシリコーンオイルSOの量を低減できるため、起動トルクの低減を実現している。このため、エンジン始動時においてセルモータが確実に回りやすく、小型の電磁クラッチMCであっても、電磁クラッチMCやベルトで滑りを生じず、運転中の起動ショックがほとんどない。
【0040】
加えて、貯留領域SRから発熱領域6へ衝立板23によりシリコーンオイルSOが強制的に導入されることから、貯留領域SR内に衝立板23が突設されていない場合と比較して、ビスカスヒータを車両等に搭載する際の搭載角度範囲が拡大されうる。例えば、図2において、反時計回りに数十度回転した状態でビスカスヒータが車両に搭載させると、貯留領域SR内でロータ9の回転方向Rと同方向に流動するシリコーンオイルSOが供給部3gに導入され難くなる。このため、貯留領域SR内に衝立板23が突設されていない場合は、貯留領域SRのシリコーンオイルSOを供給部3gに適切に導入することのできるビスカスヒータの搭載角度範囲が制限される。この点、このビスカスヒータVHでは、衝立板23により強制的に貯留領域SRのシリコーンオイルSOを供給部3gに導入することができるので、反時計回りに回転させた状態でビスカスヒータを搭載した場合であっても、貯留領域SRから供給部3gへシリコーンオイルSOを適切に導入することが可能となる。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2の熱発生器としてのビスカスヒータVHでは、図7に示すように、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iの延在方向に対して斜めの方向(貯留領域SRの中心から略放射状に延びる方向)に延在するように、衝立板23の設置角度を変えている。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0042】
このビスカスヒータVHでは、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iに対して斜めに延在しているため、貯留領域SR内をロータ9の回転方向Rと同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOが衝立板23の衝立面23aに衝突すると、該衝立面23aに沿う軸方向や上記略放射方向等にその流動方向を変化せしめられ、貯留領域SRから軸方向に隔てた位置にある供給部3g、ひいては供給溝3iを介して発熱領域6へ強制的に導かれる。他の作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0043】
(実施形態3)
実施形態3の熱発生器としてのビスカスヒータVHでは、図8及び図9に示すように、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iの延在方向に対して平行の方向(貯留領域SRの中心から略放射状に延びる方向)に延在するように、衝立板23の設置角度を変えている。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
このビスカスヒータVHでは、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iに対して斜めに延在しているため、貯留領域SR内をロータ9の回転方向Rと同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOが衝立板23の衝立面23aに衝突すると、該衝立面23aに沿う軸方向や上記略放射方向等にその流動方向を変化せしめられ、貯留領域SRから軸方向に隔てた位置にある供給部3g、ひいては供給溝3iを介して発熱領域6へ強制的に導かれる。他の作用及び効果は実施形態1と同一である。
【0045】
(実施形態3)
実施形態3の熱発生器としてのビスカスヒータVHでは、図8及び図9に示すように、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iの延在方向に対して平行の方向(貯留領域SRの中心から略放射状に延びる方向)に延在するように衝立板23の設置角度を変えるとともに、この衝立板23をリヤハウジング本体4ではなく後部プレート3の後面に固着している。なお、衝立板23の衝立面は、リング状凹部4dを幅方向に斜めに完全に遮るように延在している。また、衝立板23は貯留領域SRの軸方向長さより若干短い軸方向長さを有しており、衝立板23の後面はリヤハウジング本体4の前面(リング状凹部4dの底面)近傍に位置している(図8参照)。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0046】
このビスカスヒータVHでは、衝立板23の衝立面23aが供給溝3iに対して平行に延在しているため、貯留領域SR内をロータ9の回転方向Rと同方向に回転、流動するシリコーンオイルSOが衝立板23の衝立面23aに衝突すると、該衝立面23aに沿う軸方向や供給溝3iの延在方向等にその流動方向を変化せしめられ、貯留領域SRから軸方向に隔てた位置にある供給部3g、ひいては供給溝3iを介して発熱領域6へ強制的に導かれる。他の作用及び効果は実施形態1と同一である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のビスカスヒータの縦断面図である。
【図2】実施形態1のビスカスヒータに係り、前方から見た後部プレートの平面図である。
【図3】実施形態1のビスカスヒータに係り、前方から見たリヤハウジング本体の平面図である。
【図4】実施形態1のビスカスヒータに係り、リヤハウジング本体を示す図3のA−A線矢視断面図である。
【図5】実施形態1のビスカスヒータに係り、後方から見たフロントハウジング本体及び後部プレートの平面図である。
【図6】実施形態1のビスカスヒータに係り、前方から見たロータの平面図である。
【図7】実施形態2のビスカスヒータに係り、後方から見たフロントハウジング本体及び後部プレートの平面図である。
【図8】実施形態3のビスカスヒータの縦断面図である。
【図9】実施形態3のビスカスヒータに係り、後方から見たフロントハウジング本体及び後部プレートの平面図である。
【符号の説明】
1、2、3、4…ハウジング(1…前部ハウジング本体、2…前部プレート、3…後部プレート(隔壁)、4…後部ハウジング本体)
6、SR…作動室(6…発熱領域、SR…貯留領域)
FW、RW…放熱室(FW…前部ウォータジャケット、RW…後部ウォータジャケット)
7…軸封装置内蔵軸受装置
8…駆動軸
9…ロータ
SO…粘性流体(シリコーンオイル)
3c…開口部
3d…エッジ部
3e、3f…回転伝達部(3e…気体相連通部、3f…液体相連通部)
3g…供給部
3i…供給溝
3j…回収溝
9b…攪拌部(連通孔)
23…衝立板(方向規制手段)
23a…衝立面
Claims (5)
- 内部に作動室及び該作動室に隣接して循環流体を循環させる放熱室を形成するハウジングと、該ハウジングに軸受装置を介して回動可能に支承された駆動軸と、該作動室内で該駆動軸により回動可能に設けられたロータと、該作動室内に収容された粘性流体とを有する熱発生器において、
上記作動室は、上記ロータの外面とで液密的間隙を確保し、該ロータの回動により該液密的間隙で上記粘性流体をせん断して発熱させる発熱領域と、該作動室の残余をなして該液密的間隙の容積を超える該粘性流体を収容し、該ロータの端面に開口して該発熱領域との間で該粘性流体の循環を行う貯留領域とからなり、上記貯留領域にある粘性流体は上記ロータの回転の影響を受けて流動可能となされ、該貯留領域には、該粘性流体の流動方向を変化せしめて該粘性流体を上記発熱領域へ導く方向規制手段が設けられていることを特徴とする熱発生器。 - 前記作動室は隔壁を挟んで発熱領域と貯留領域とを形成し、該隔壁は、前記ロータの端面に開口して該発熱領域と該貯留領域とを連通させる開口部と、該開口部を区画し、該ロータの回転方向に対して対面するエッジ部とを有し、
上記開口部は、少なくとも一部が上記貯留領域内の液体相に位置し、上記ロータの回転による影響を上記発熱領域にある粘性流体から該貯留領域にある粘性流体に伝達して該貯留領域にある粘性流体が流動することを可能とする回転伝達部と、該貯留領域内の液体相の位置にて該ロータの回転方向に延在するように該回転伝達部と一体に形成され、前記方向規制手段により導かれた粘性流体を上記発熱領域へ供給する供給部とを有していることを特徴とする請求項1記載の熱発生器。 - 前記方向規制手段は、前記貯留領域を区画する前記ハウジングに突設された衝立板であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱発生器。
- 前記方向規制手段は、前記貯留領域を区画する前記隔壁に突設された衝立板であることを特徴とする請求項2記載の熱発生器。
- 前記隔壁には、前記供給部の粘性流体を前記発熱領域の外周域へ導く供給溝が凹設されていることを特徴とする請求項2、3又は4記載の熱発生器。
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