JP3564941B2 - ビスカスヒータ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘性流体をせん断により発熱させ、放熱室内を循環する循環流体に熱交換して暖房熱源に利用するビスカスヒータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平2−246823号公報に車両用暖房装置に利用されるビスカスヒータが開示されている。このビスカスヒータでは、前部及び後部ハウジングが対設された状態で通しボルトにより締結され、内部に発熱室と、この発熱室の外域にウォータジャケットとを形成している。ウォータジャケット内では循環水が入水ポートから取り入れられ、出水ポートから外部の暖房回路へ送り出されるべく循環されている。前部ハウジングには軸受装置を介して駆動軸が回動可能に支承され、駆動軸には発熱室内で回動可能なロータが固定されている。発熱室の壁面とロータの外面とは互いに近接するラビリンス溝を構成し、これら発熱室の壁面とロータの外面との間隙にはシリコンオイル等の粘性流体が介在される。
【0003】
車両の暖房装置に組み込まれたこのビスカスヒータでは、駆動軸がエンジンにより駆動されれば、発熱室内でロータが回動するため、粘性流体が発熱室の壁面とロータの外面との間隙でせん断により発熱する。この発熱はウォータジャケット内の循環水に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供されることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ビスカスヒータにおける発熱量は、粘性流体の接触面積、すなわちロータ外面及び発熱室を区画するハウジング壁面の表面積が大きいほど向上する。一方、ビスカスヒータを例えば車両用暖房熱源に利用する場合、エンジンルーム内で他の車両用補機類の搭載スペースを確保する観点から、ビスカスヒータの大型化を避ける必要がある。このため、上記従来のビスカスヒータでは、ロータの前後端面及びこのロータの前後端面と対面するハウジングの前後壁面にラビリンス溝を形成することにより、ロータ及びハウジングの大型化を避けつつ、ロータの外面と発熱室の壁面との所定間隔を確保して、粘性流体の接触面積、すなわちロータ外面及びハウジング壁面の表面積(発熱有効領域)を拡大してビスカスヒータの発熱量を向上させている。
【0005】
しかし、上記ラビリンス溝の形成によりロータ外面及びハウジング壁面の表面積を拡大することは、製造技術及び製造コスト等の面で限界がある。このため、ラビリンス溝等を形成して粘性流体の接触面積を拡大させることにより、発熱量のさらなる向上を図ることは困難である。また、ロータやハウジングにラビリンス溝を形成することは面倒であるため、製造コストの高騰化を招くという問題もある。さらに、上記従来のビスカスヒータでは、これらのラビリンス溝が軸心回りに同心状のものであるため、これらを極めて精度よく製造し、かつ組付けなければ、駆動軸の傾斜に伴ってロータがハウジングと干渉してしまうという問題もある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、発熱有効領域を拡大することなく、発熱量を効率的に向上させることのできるビスカスヒータを創出することを解決すべき技術課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1のビスカスヒータは、内部に発熱室及び該発熱室に隣接して循環流体を循環させる放熱室を形成するハウジングと、該ハウジングに軸受装置を介して回動可能に支承された駆動軸と、該発熱室内で該駆動軸により回動可能に設けられたロータと、該発熱室の壁面と該ロータの外面との間隙に介在され、該ロータの回動により発熱される粘性流体とを有するビスカスヒータにおいて、
前記ロータ及び前記発熱室の壁面の少なくとも一方は、前記間隙の間隔を周方向において変化せしめるように設けられた、前記粘性流体のせん断力を向上させるせん断向上手段を有することを特徴とする。
【0008】
このビスカスヒータでは、ロータ及び発熱室の壁面間の間隙の間隔が周方向において変化せしめられているので、その間隙の大小により粘性流体における分子の拘束作用が助長される。この作用により、ロータの回転に伴う粘性流体の従動回転が阻止され、粘性流体のせん断力が向上される。このため、ビスカスヒータの発熱量を効率的に向上させることができる。
【0009】
(2)請求項2記載のビスカスヒータは、請求項1記載のビスカスヒータにおいて、せん断向上手段は、非円周方向に延在して形成された凸部又は凹部であることを特徴とする。
このビスカスヒータでは、ロータの回動により主に円周方向に流れる粘性流体に対して、非円周方向に延在して形成された凸部又は凹部により効果的にせん断力を与えることができる。
【0010】
また、上記せん断向上手段が凹部である場合には、粘性流体中に混入している気体(又は気泡)が凹部内に集められるので、ロータの外面とハウジングの壁面との間隙(該凹部以外の部分の間隙)、すなわち発熱有効領域に気体がほとんど存在しなくなる。このため、より効率的に粘性流体にせん断力を与えることが可能となる。
【0011】
さらに、せん断向上手段としての凸部又は凹部が発熱室の前後壁面に形成される場合には、この凸部又は凹部は発熱室から放熱室への伝熱性を向上させる熱伝達向上手段として機能しうる。すなわち、凸部又は凹部が形成された発熱室の壁面においては、凸部又は凹部の側面積の分だけ伝熱面積が増大しており、その増大分だけ粘性流体から発熱室壁面へ熱伝達される熱流量が増大する。このため、発熱室から放熱室への伝熱量を増大させることができる。したがって、発熱室及び放熱室間において、より効果的に熱交換させることが可能となる。また、発熱室においては、放熱室への伝熱性が向上した分だけ熱がこもることを抑えることができるので、粘性流体の温度が過度に上昇することによる粘性流体の劣化を抑えることができ、粘性流体の耐久性を向上させることが可能となる。
【0012】
(3)請求項3記載のビスカスヒータは、請求項2記載のビスカスヒータにおいて、凸部又は凹部は放射状に形成されていることを特徴とする。
このビスカスヒータでは、ロータの回動により主に円周方向に流れる粘性流体に対して、該粘性流体の流れ方向に対して略垂直に交差するように放射状に形成された凸部又は凹部により効果的にせん断力を与えることができる。
【0013】
(4)請求項4記載のビスカスヒータは、請求項2又は3記載のビスカスヒータにおいて、凸部又は凹部はロータの前後端面の少なくとも一方に形成されるとともに、該凸部又は凹部が形成された該ロータの前後端面と対面する発熱室の前後壁面の少なくとも一方にも凸部又は凹部が形成され、該ロータの前後端面に形成された該凸部又は凹部と該発熱室の前後壁面に形成された該凸部又は凹部とは、ロータの回動中に相互に対向する範囲を有していることを特徴とする。
【0014】
このビスカスヒータでは、ロータの回動により主に円周方向に流れる粘性流体に対して、ロータの半径方向の少なくとも一部において、ロータの前後端面及びこのロータの前後端面と対面する発熱室の前後壁面の双方に形成された凸部又は凹部により、前後方向の両側からせん断力を効果的に与えることができる。
(5)請求項5記載のビスカスヒータは、請求項4記載のビスカスヒータにおいて、ロータの前後端面の少なくとも一方及び発熱室の前後壁面の少なくとも一方には、周方向の間隔が互いに相違する複数の凸部又は凹部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0015】
ロータの前後端面に形成された複数の凸部又は凹部の周方向の間隔と、発熱室の前後壁面に形成された複数の凸部又は凹部の周方向の間隔とが同等である場合は、ロータの回動中に、ロータの前後端面に形成された複数の凸部又は凹部と、発熱室の前後壁面に形成された複数の凸部又は凹部とは、全て同時に相互に対向するので、周方向に配設された複数の凸部又は凹部が全て同時に粘性流体にせん断力を与えて摩擦トルクを発生させる。このため、複数の凸部又は凹部による摩擦トルクのピークがそれぞれ重なってトルク変動が大きくなり、振動や騒音を発生させる原因となる。
【0016】
この点、このビスカスヒータでは、ロータの前後端面に形成された複数の凸部又は凹部の周方向の間隔と、この凸部又は凹部が形成されたロータの前後端面と対面する発熱室の前後壁面に形成された複数の凸部又は凹部の周方向の間隔とが互いに相違している。このため、ロータの回動中に、ロータの前後端面に形成された複数の凸部又は凹部と、発熱室の前後壁面に形成された複数の凸部又は凹部とが全て同時に相互に対向することはない。したがって、複数の凸部又は凹部による摩擦トルクのピークがそれぞれ重なることによる振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0017】
(6)請求項6記載のビスカスヒータは、請求項4記載のビスカスヒータにおいて、ロータの前後端面には、ロータの前後で周方向の位相が互いに相違する複数の凸部又は凹部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
このビスカスヒータでは、請求項5記載のビスカスヒータと同様、トルクピークの重なりによる振動や騒音の発生を抑制することができる。すなわち、ロータの前後端面にそれぞれ形成された凸部又は凹部の位相がロータの前後で互いに相違することから、ロータの前後において、凸部又は凹部により発生する摩擦トルクのピークがずれる。このため、ロータの前後において、摩擦トルクのピークが重なることによる振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0018】
(7)請求項7記載のビスカスヒータは、請求項2乃至6記載のビスカスヒータにおいて、凸部又は凹部は角張った凸状角部を有していることを特徴とする。このビスカスヒータでは、凸部又は凹部の角張った凸状角部により、粘性流体をより効果的にせん断することができる。また、凹部がこの凸状角部を有している場合は、一旦凹部内に集まった気体が外に逃げにくくなり、凹部の気体貯溜能力を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、各請求項記載の発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
このビスカスヒータでは、図1に示すように、製造を容易にするため、前部ハウジング本体1、前部プレート2、後部プレート3及び後部ハウジング本体4が前部ハウジング本体1と前部プレート2との間及び後部プレート3と後部ハウジング本体4との間にガスケット5、6を介し、各々積層された状態で複数本の通しボルト7により締結されている。ここで、前部ハウジング本体1及び前部プレート2が前部ハウジングを構成し、後部プレート3及び後部ハウジング本体4が後部ハウジングを構成している。そして、前部プレート2の後端面に底面が平坦に凹設された抉部2aは後部プレート3の平坦な前端面3aとともに閉塞状態に保持された断面円形状の発熱室8を形成している。ここに、前部プレート2の後端面の抉部2a及び後部プレート3の前端面3aが発熱室8の前後壁面を構成する。
【0020】
また、前部ハウジング本体1の内面と前部プレート2の前端面とが発熱室8の前部に隣接する前部放熱室としての前部ウォータジャケットFWを形成し、後部プレート3の後端面と後部ハウジング本体4の内面とが発熱室8の後部に隣接する後部放熱室としての後部ウォータジャケットRWを形成している。
後部ハウジング本体4の後面の外域には入水ポート9及び図示しない出水ポートが隣接して形成され、入水ポート9と出水ポートとは後部ウォータジャケットRWに連通されている。後部プレート3及び前部プレート2には、各通しボルト7間で等間隔に複数の流体路としての水路10が貫設され、前部ウォータジャケットFWと後部ウォータジャケットRWとは水路10により連通されている。
【0021】
また、前部プレート2のボス2b内には発熱室8に隣接して軸封装置12が設けられ、前部ハウジング本体1のボス1a内には軸受装置13が設けられている。これら軸封装置12及び軸受装置13を介して駆動軸14が回動可能に支承され、駆動軸14の後端には、図2に示すように、軸長より駆動軸14の軸心からの半径の長い前後端面を有する平円板形状のロータ15が圧入され、このロータ15は発熱室8内で回動可能になされている。なお、ロータ15の外径は発熱室8の内径よりも若干小さくされている。また、ロータ15の前後端面15a、15bと発熱室8の前後壁面との間隙はそれぞれ約0.25mmとされている。そして、発熱室8の壁面とロータ15の外面との間隙には、粘性流体としてのシリコンオイルが介在されている。また、駆動軸14の先端には図示しないプーリ又は電磁クラッチが設けられ、車両のエンジンによりベルトで回転されるようになっている。
【0022】
さて、本実施形態のビスカスヒータでは、図2に示すように、ロータ15の前後端面15a、15bに放射状に延在する6本の放射溝(せん断向上手段)16が周方向に等間隔でそれぞれ形成されている。この放射溝16は、図3の部分断面図に示すように、角張った凸状角部16aを有している。なお、この放射溝16はロータ15の中央域から外周域に向かって半径方向のほぼ全域にわたって延在している。
【0023】
また、発熱室8を区画する前部プレート2の抉部2aの後端面には、図4に示すように、放射状に延在する6本の放射溝(せん断向上手段)17が周方向に等間隔で形成されている。同じく発熱室8を区画する後部プレート3の前端面3aには、図5に示すように、放射状に延在する6本の放射溝(せん断向上手段)18が周方向に等間隔で形成されている。これらの放射溝17及び18は、上記ロータ15に形成された放射溝16と同様、角張った凸状角部を有している。
【0024】
なお、前部プレート2の抉部2aの放射溝17及び後部プレート3の前端面3aの放射溝18は、ロータ15の回動中に、ロータ15に形成された放射溝16と相互に対向する範囲がロータ15の半径方向にできるだけ広くなるように形成されている。すなわち、放射溝17は抉部2aの内周端縁から外周端縁近くまで半径方向に延在しており、また放射溝18は後部プレート3の中心から放射溝17の外周側端部と同位置まで半径方向に延在している。
【0025】
車両の暖房装置に組み込まれたこのビスカスヒータでは、駆動軸14がプーリ等を介してエンジンにより駆動されれば、発熱室8内でロータ15が回動するため、シリコンオイルが発熱室8の壁面とロータ15の外面との間隙でせん断により発熱する。この発熱は後部ウォータジャケットRW及び前部ウォータジャケットFW内の循環流体としての循環水に充分に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供されることとなる。
【0026】
そしてこのビスカスヒータでは、発熱室8の前後壁面(前部プレート2の抉部2aの後端面及び後部プレート3の前端面3a、以下同様)とロータ15の前後端面15a、15bとの間隙の間隔が周方向において放射溝16〜18の存在により大きく又は小さくと異なったものとなっている。これにより、粘性流体の表面張力に加えて該間隙の間隔が大きくなる部分(放射溝16〜18)においては、粘性流体の分子を拘束する作用が助長されることとなり、ロータ15の回動に伴う粘性流体のせん断力が向上される。このため、ビスカスヒータの発熱量を効率的に向上させることができる。
【0027】
とくに、このビスカスヒータでは、せん断向上手段が放射溝16〜18により構成されているため、ロータ15の回動により主に円周方向に流れる粘性流体に対して、この粘性流体の流れ方向に対して略直角に延びる放射溝16〜18により、効果的にせん断力を与えることができる。
また、このビスカスヒータでは、粘性流体中に混入している気体が放射溝16〜18内に集められるので、発熱有効領域であるロータの外面とハウジングの壁面との間隙(放射溝16〜18以外の部分の間隙)に気体がほとんど存在しなくなる。このため、より効率的に粘性流体にせん断力を与えることが可能となる。
【0028】
このような放射溝16〜18の存在により、発熱有効領域は縮小することになるが、上述した粘性流体の分子の拘束作用により、せん断力を著しく向上させることができるため、発熱量は効率的に向上される。
さらに、このビスカスヒータでは、ロータ15の前後端面15a、15bの双方に放射溝16が形成されるとともに、発熱室8の前後壁面の双方にも放射溝17、18が形成されており、しかも放射溝16、16と放射溝17及び18とは、ロータ15の回動中に相互に対向する範囲が半径方向にできるだけ広くなるように形成されているので、ロータの回動により主に円周方向に流れる粘性流体に対して、ロータ15の半径方向のほぼ全域において、ロータ15の前後端面15a、15bに形成された放射溝16、16及びこのロータ15の前後端面15a、15bとそれぞれ対面する発熱室8の前後壁面の双方に形成された17、18により、前後方向の両側からせん断力を効果的に与えることができる。
【0029】
また、上記放射溝16〜18の深さは、ロータ15の前後端面15a、15bと発熱室8の前後壁面との間隙よりも大きく設定されているので、放射溝16〜18の底部と対向面との間に存在する粘性流体を、ロータ15の回動に伴う遠心力により、内周側よりも大きな摩擦トルクが発生する外周側に積極的に導くことができる。
【0030】
さらに、上記放射溝16〜18は角張った凸状角部(16a)を有しているので、放射溝16〜18の角部が面取りされて丸まっている場合と比較して、粘性流体の分子の拘束作用を助長させることが可能となり、より効果的に粘性流体にせん断力を与えることができる。また、放射溝16〜18内に集まった気体が外に逃げにくくなるので、放射溝16〜18の気体貯溜能力が高まり、上記したように粘性流体のせん断力を向上させることができる。
【0031】
したがって、このビスカスヒータでは、発熱有効領域を拡大することなく、発熱量のさらなる向上を図ることが可能となる。
なお、上記放射溝16〜18の幅が広すぎると、前述したように、発熱有効領域であるロータ15の前後端面15a、5bと発熱室8の前後壁面との間隙の狭い部分における粘性流体の摩擦面積が減少して発生する摩擦トルクが減少し、せん断向上による摩擦トルクの増大を加味してもトータルで摩擦トルクが減少する。そのため、ロータ15の一端面に形成する放射溝16の総面積は、ロータ15の一端面の面積の20%以下とすることが好ましい。
【0032】
加えて、このビスカスヒータでは、発熱室8の前後壁面に形成された放射溝17、18が、発熱室8から放熱室FW、RWへの伝熱性を向上させる熱伝達向上手段として機能しうる。すなわち、発熱室8の壁面においては、放射溝16、18の側面積の分だけ伝熱面積が増大しており、その増大分だけ粘性流体から発熱室8の壁面へ熱伝達される熱流量が増大する。このため、発熱室8から放熱室FW、RWへの伝熱量を増大させることができる。したがって、発熱室8及び放熱室FW、RW間において、より効果的に熱交換させることが可能となる。また、発熱室8においては、放熱室FW、RWへの伝熱性が向上した分だけ熱がこもることを抑えることができるので、粘性流体の温度が過度に上昇することによる粘性流体の劣化を抑えることができ、粘性流体の耐久性を向上させることが可能となる。
【0033】
(実施形態2)
本実施形態のビスカスヒータは、図6に示すように、ロータ15の前後端面15a、15bに放射状に延在する5本の放射溝(せん断向上手段)16が周方向に等間隔でそれぞれ形成されている。この放射溝16の深さ、幅、長さ及び断面形状は、上記実施形態1のものと同様である。また、その他の構成も上記実施形態1と同様である。
【0034】
したがって、このビスカスヒータでは、ロータ15の前後端面15a、15bにそれぞれ形成された放射溝16、16の周方向の間隔と、発熱室8の前後壁面にそれぞれ形成された放射溝17、18の周方向の間隔とが互いに異なっている。このため、ロータ15の回動中に、ロータ15の前後端面15a、15bに形成された5本の放射溝16、16と、発熱室の前後壁面に形成された6本の放射溝17、18とが全て同時に相互に対向することはなく、トルク変動に基づく振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0035】
なお、このビスカスヒータも上記実施形態1と同様、放射溝16〜18により発熱量を効果的に向上させうることは勿論である。
(実施形態3)
本実施形態のビスカスヒータは、図7及び図8に示すように、ロータ15の外周域部に8個の外周円形凹部(せん断向上手段)19が周方向に等間隔で形成されるとともに、ロータ15の内周域部にも4個の内周円形凹部(せん断向上手段)20が周方向に等間隔で形成されている。なお、外周円形凹部19の直径は内周円形凹部20の直径よりも大きくされている。また、外周円形凹部19及び内周円形凹部20は、ともに角部が面取りされておらず、凸状角部19a及び20aを有している。その他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0036】
したがって、このビスカスヒータも上記実施形態1及び2と同様の作用効果を奏するとともに、気体の貯留がこの円形凹部19、20の形状により、さらに効果的に達成することができる。また、上記円形凹部19、20を軸方向前後に貫通する円形孔とすれば、この円形孔を介して粘性流体をロータ15の前後に流通させることができる。このため、ロータ15の前後両側における粘性流体の圧力分布を均一化することができ、粘性流体の量がロータ15の前方側及び後方側で均一化される。したがって、粘性流体の偏在により発熱量が低下することを回避することができる。なお、ロータ15が駆動軸14に相対回動不能かつ駆動軸14の軸芯に対して軸方向の変位可能にスプライン嵌合されている場合は、ロータ15の前後両側における粘性流体の圧力分布が均一化されることから、ロータ15を軸方向の適性位置に保持することが可能となる。
【0037】
(実施形態4)
本実施形態のビスカスヒータは、図示は省略するが、実施形態1のビスカスヒータにおいて、ロータ15の前後端面15a、15bにそれぞれ形成する6本の放射溝16について、周方向の位相をロータの前後で互いに相違させたものである。
【0038】
このビスカスヒータでは、ロータ15の前後端面15a、15bにそれぞれ形成された放射溝16の位相がロータ15の前後で互いに相違することから、ロータ15の前後において、放射溝16により発生する摩擦トルクのピークがずれる。このため、ロータ15の前後において、摩擦トルクのピークが重なることによる振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0039】
なお、上記実施形態1〜4では、いずれもせん断向上として凹部を採用する例について説明したが、これが凸部であっても凹部と同様に粘性流体の分子の拘束作用を助長させて、粘性流体のせん断向上を図ることにより発熱量を向上させうることは勿論である。
また、上記プーリの代わりに電磁クラッチを用いて駆動軸14の断続駆動を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のビスカスヒータの断面図である。
【図2】実施形態1のビスカスヒータに係るロータ等の平面図である。
【図3】実施形態1のビスカスヒータに係るロータの部分断面図である。
【図4】実施形態1のビスカスヒータに係り、図1のI−I線矢視断面図である。
【図5】実施形態1のビスカスヒータに係り、図1のII−II線矢視断面図である。
【図6】実施形態2のビスカスヒータに係るロータ等の平面図である。
【図7】実施形態3のビスカスヒータに係るロータ等の平面図である。
【図8】実施形態3のビスカスヒータに係るロータの断面図である。
【符号の説明】
8…発熱室
FW…前部放熱室(前部ウォータジャケット)
RW…後部放熱室(後部ウォータジャケット)
1、2、3、4…ハウジング(1…前部ハウジング本体、2…前部プレート、3…後部プレート、4…後部ハウジング本体)
13…軸受装置
14…駆動軸
15…ロータ
7…通しボルト
16、17、18…放射溝(せん断向上手段)
19…外周円形凹部(せん断向上手段)
20…内周円形凹部(せん断向上手段)
16a、19a、20a…凸状角部

Claims (7)

  1. 内部に発熱室及び該発熱室に隣接して循環流体を循環させる放熱室を形成するハウジングと、該ハウジングに軸受装置を介して回動可能に支承された駆動軸と、該発熱室内で該駆動軸により回動可能に設けられたロータと、該発熱室の壁面と該ロータの外面との間隙に介在され、該ロータの回動により発熱される粘性流体とを有するビスカスヒータにおいて、
    前記ロータ及び前記発熱室の壁面の少なくとも一方は、前記間隙の間隔を周方向において変化せしめるように設けられた、前記粘性流体のせん断力を向上させるせん断向上手段を有することを特徴とするビスカスヒータ。
  2. せん断向上手段は、非円周方向に延在して形成された凸部又は凹部であることを特徴とする請求項1記載のビスカスヒータ。
  3. 凸部又は凹部は放射状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のビスカスヒータ。
  4. 凸部又は凹部はロータの前後端面の少なくとも一方に形成されるとともに、該凸部又は凹部が形成された該ロータの前後端面と対面する発熱室の前後壁面の少なくとも一方にも凸部又は凹部が形成され、該ロータの前後端面に形成された該凸部又は凹部と該発熱室の前後壁面に形成された該凸部又は凹部とは、ロータの回動中に相互に対向する範囲を有していることを特徴とする請求項2又は3記載のビスカスヒータ。
  5. ロータの前後端面の少なくとも一方及び発熱室の前後壁面の少なくとも一方には、周方向の間隔が互いに相違する複数の凸部又は凹部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項4記載のビスカスヒータ。
  6. ロータの前後端面には、ロータの前後で周方向の位相が互いに相違する複数の凸部又は凹部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項4記載のビスカスヒータ。
  7. 凸部又は凹部は角張った凸状角部を有していることを特徴とする請求項2乃至6記載のビスカスヒータ。
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