JP3458910B2 - 印影受理層を有するシート - Google Patents
印影受理層を有するシートInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、印影のセット性に劣る
被印刷物、とりわけ、アート紙、コート紙、あるいは合
成樹脂シート等の印刷シート面の所定部に設けられた印
影のセット性を有した印影受理層を有したシートに関
し、さらに詳しくは、印影のセット性を向上させるため
に、印鑑朱肉、あるいはスタンプインキの吸収乾燥を促
進する多数の微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型イン
キの塗膜を形成してなる印影受理層を有したシートに関
するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来において、印影のセット性に劣る印
刷シート、とりわけ、アート紙、コート紙、あるいは合
成樹脂シート等の印刷シート表面の所定部に、印鑑朱
肉、あるいはスタンプインキの印影受理部を設ける場合
は、例えば、ホットスタンプによる箔押し、あるいは溶
剤系のインキによるサインパネルの形成により、その受
理部に印影のセット性を付与するものであった。しかし
ながら、これらの方法は、複雑な加工工程を経るもので
あったり、あるいは、火災、人体保護のための作業環境
の整備等が必要なものであった。 【０００３】したがって、複雑な加工工程を経ず、ま
た、無害に、印影の受理部を形成できるといった技術が
望まれていたが、その要求を満たすものとして、例え
ば、被印刷物表面をレーザー照射により削り取ってなる
表面改質部を設けたり、あるいはシリカ粒子と水溶性高
分子のバインダーを主体とする組成物を被印刷物表面に
塗布するといった技術が示唆されてはいたが、本発明の
如くの、通常の印刷機により、シート表面に、多数の微
小孔を有した多孔質の紫外線硬化型インキからなる捺印
受理層を形成するといった技術は、現在に至るまで開
示、示唆されてはいなかった。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】近年、表面処理技術の
進歩、合成樹脂等の新素材の開発等で、被印刷物、とり
わけ、印刷シートにとって、その諸耐性の向上、印刷適
性の向上、あるいは、より美しい外観が得られるといっ
たメリットを享受するようになってきたが、その反面、
被印刷物の表面が、印鑑朱肉、あるいはスタンプインキ
による印影の受理に適さなくなった。その一方で、商業
印刷の高級化と印刷機の性能向上と共に、アート紙、コ
ート紙を使用した申込用紙や送り状等の印刷シートが増
加しつつあり、また、プラスチックカード等の普及等に
よりプラスチックシート、合成樹脂シートといった紙以
外の基材シートからなる印刷物も近年では急速な増加傾
向にあり、そのシート面に捺印するケースも多くなって
きた。 【０００５】しかしながら、アート紙、コート紙は、上
質紙に近似した原紙の表面にカオリン、硫酸バリウム等
の顔料をカゼイン・デンプン等の接着剤と混ぜ合わせた
ものを塗布し、乾燥後スーパーカレンダーで光沢をつけ
たもので、紙面の平滑姓に優れ、白色度も高いが、この
ように加工処理された印刷シートは、一般に、紙の繊維
の目がつんだ、緻密な表面を有するため、通常の印刷イ
ンキによる印刷ではインキのセット性に問題は無いが、
これら印刷シート面に、印鑑朱肉、スタンプインキにて
捺印した場合には、シート基材内部への印鑑朱肉、スタ
ンプインキの吸収が速やかに行なわれないため、吸収乾
燥性に劣り印影のセット性が悪くなり、その結果、シー
ト面への受理に相当な時間を要し、捺印後、短時間内に
人の手やその他の物が、その印影に触れて擦れると、そ
れが判読不能になったり、あるいは消失したりすること
もある。また、プラスチックシート、合成樹脂シートと
いった紙以外の合成シートにあっては、印鑑朱肉、スタ
ンプインキのシート基材内部への吸収が全く行なわれな
いため、これら合成シート面に、印鑑朱肉、スタンプイ
ンキにて捺印した場合には、印影のセット性は非常に悪
いものであった。 【０００６】したがって、本発明では、印刷シート、と
りわけ、印影の吸収乾燥性に劣るアート紙、コート紙、
あるいは合成樹脂シート等からなるシートに対し、その
シート面に捺印をした際、印鑑朱肉、あるいはスタンプ
インキをもって形成された印影が、人の手やその他の物
に触れられ擦れた場合でも、それが判読不能になった
り、あるいは消失するようなことのない印影の受理層
を、複雑な加工工程を経ることなく、通常の印刷機によ
り設けることができる技術の提供を目的とするものであ
る。 【０００７】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、シート面の所定部に、多数の空洞から
なる微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜
からなる印影受理層が設けられたことを特徴とする印影
受理層を有するシートを提供するものである。 【０００８】 【作用】本発明において、塗膜は、印影の吸収性に優れ
た多数の微小孔を有するもので、この塗膜へ捺印した場
合、印鑑朱肉、あるいはスタンプインキは、速やかに多
数の微小孔から塗膜内部に浸透するため、印鑑朱肉、あ
るいはスタンプインキの吸収乾燥は促進され、よって、
印影のセット性が向上する。 【０００９】 【実施例】以下、本発明の印影受理層を有したシートに
関しその作成方法を、好適な実施例に基づき詳述する。
本発明での紫外線硬化型インキとは、紫外線照射によっ
てインキビヒクルの重合反応を促し乾燥手段とする従来
からのタイプのもので、その組成は、顔料、ポリエステ
ルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアク
リレート、ポリオールアクリレート等のオリゴマ（プレ
ポリマ、光重合性低重合体）、単官能または多官能のモ
ノマ（反応性希釈剤、光重合性低単量体）、および光重
合開始剤（増感剤）であって、必要に応じて光重合促進
剤、安定剤、接着性付与剤、ミスチング防止剤、ワック
ス等の添加剤が配合され、速乾性に優れ、かつその乾燥
被膜が丈夫で、印刷物の諸耐性が優れ品質が安定し、あ
るいは厚膜印刷ができるといった特性を有するものであ
る。 【００１０】先ず、前述の紫外線硬化型インキ中に、該
インキのビヒクルに対し不溶で、かつ揮発性を有する液
体を混合し微細分散させている。紫外線硬化型インキの
ビヒクルに不溶で、かつ揮発性を有する液体としては、
特に、水が有効である。すなわち、水はビヒクルに不溶
であるため、これらを混合した状態では互いに交わるこ
となく水層と油層に分離するが、この混合インキを強攪
拌によってせん断力を加えたり、あるいは高圧を付与し
て微小孔より噴出させることにより、油中水滴型のエマ
ルジョン状態を現出させるものである。 【００１１】そして、その液体の微小粒子の粒径は、吸
収性と孔の数と密度の関係、および後述の通常印刷によ
るインキの塗膜の膜厚を考慮すると、０．１〜５μｍ程
度が好ましく、さらに好ましくは、０．２〜３μｍ程度
が良い。また、インキ塗膜の固化、および紫外線ランプ
から発生する輻射熱と揮発率との関係から、液体の含有
率を調整する必要があり、これらを考慮すると、その液
体のビヒクル中の含有率は、好ましくは５〜４０重量％
程度であり、さらに好ましくは１５〜３０重量％程度が
適当である。 【００１２】このように得られた混合インキは、凸版、
平版、凹版等の通常の印刷機をもって、印刷シート面の
所定部に印刷される。すなわち、本発明の混合インキ
は、従来の連肉したインキと同様に調製され、従来の凸
版用インキ、平版用インキ、スクリーンインキ等に相当
するものを随意に調製できるものであって、水あるいは
親水性の液体を含有したものであっても適性な流動性と
乾燥性を有し、印刷適性は劣ることなく、通常の印刷機
をもって印刷シート面の所定部に印刷でき、印刷後、紫
外線ランプの照射によりシート面で乾燥し塗膜を形成す
るものである。 【００１３】ここで、本発明の多孔質の紫外線硬化型イ
ンキの塗膜からなる印影受理層を有したシートの作成方
法を、さらに具体的に説明するため、図１ないし図３
に、その作成プロセスを概略的に表記する。先ず、図１
に示すように、印刷シート４の表面に印刷形成された混
合インキの塗膜１は、紫外線硬化型インキ２と、そのビ
ヒクルに不溶で、かつ揮発性を有する液体、例えば、水
が、該紫外線硬化型インキ２中に、３０重量％の含有率
で混合され、微細化され、微小粒子３として分散してな
るものである。そして、図２に示すように、この混合イ
ンキ塗膜１に紫外線ランプを照射すると、紫外線により
紫外線硬化型インキ２は固化すると共に、水の微小粒子
３はランプの輻射熱により加熱され揮発（蒸発）する。
その結果、図３に示すように、水の微小粒子３が揮発し
た部分は空洞化され微小孔３′が生成し、多数の空洞か
らなる微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型インキの塗
膜１′が形成される。 【００１４】次に、本発明の印影受理層を設けた印刷シ
ートの一実施例を示す。図４及び図５は、本発明の印影
受理層を設けた商品カタログ１１である。本実施例の商
品カタログ１１は、コート紙１２の基材シート１３から
なり、基材シート１３には切取線１４が設けられ、商品
カタログ部１５と申込書部１６とが区画形成されてい
る。そして、そのシート面１７にはタイトル、図柄、背
景、説明文等の印刷が施され、さらに、そのシート面１
７の所定部分には、多数の空洞からなる微小孔を有した
多孔質の紫外線硬化型インキ塗膜１８からなる印影受理
層１９が形成されてなるものである。 【００１５】尚、上述の実施例は、コート紙を基材シー
トとした商品カタログの場合であるが、本発明はこれに
限定されることなく、あらゆる種類の印刷基材に適用で
きるものであって、商品カタログ等の他、例えば、合成
紙シートあるいはプラスチックシートからなる身分証明
カード、プリペイドカード、あるいは会員カードといっ
たカード類でもよく、この場合には、本実施例の印影受
理層の代わりに、使用する紫外線硬化型インキに有色顔
料を添加し、美麗なサイン部として形成し、筆記用イン
キ、あるいは黒鉛のセット性を向上させる筆記受理層と
して構成しても構わないものである。 【００１６】 【発明の効果】本発明は、シート面の所定部に、多数の
空洞からなる微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型イン
キの塗膜からなる印影受理層が設けられたことを特徴と
する印影受理層を有するシートである。形成された塗膜
は、印影の吸収性に優れた多数の空洞からなる微小孔を
有するもので、この塗膜へ捺印した場合、印鑑朱肉、あ
るいはスタンプインキは、速やかに多数の微小孔から塗
膜内部に浸透するため、印鑑朱肉、あるいはスタンプイ
ンキの吸収乾燥は促進されるため、被印刷物、とりわ
け、印影の吸収乾燥性に劣るアート紙、コート紙、ある
いは合成樹脂シート等からなる印刷シートに対し、その
シート面に捺印をした際、印鑑朱肉、あるいはスタンプ
インキをもって形成された印影が、人の手やその他の物
に触れられ擦れた場合でも、それが判読不能になった
り、あるいは消失するようなことのない印影の受理層
を、複雑な加工工程を経ることなく、通常の印刷機によ
り設けることができるといった効果を奏するものであ
る。
被印刷物、とりわけ、アート紙、コート紙、あるいは合
成樹脂シート等の印刷シート面の所定部に設けられた印
影のセット性を有した印影受理層を有したシートに関
し、さらに詳しくは、印影のセット性を向上させるため
に、印鑑朱肉、あるいはスタンプインキの吸収乾燥を促
進する多数の微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型イン
キの塗膜を形成してなる印影受理層を有したシートに関
するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来において、印影のセット性に劣る印
刷シート、とりわけ、アート紙、コート紙、あるいは合
成樹脂シート等の印刷シート表面の所定部に、印鑑朱
肉、あるいはスタンプインキの印影受理部を設ける場合
は、例えば、ホットスタンプによる箔押し、あるいは溶
剤系のインキによるサインパネルの形成により、その受
理部に印影のセット性を付与するものであった。しかし
ながら、これらの方法は、複雑な加工工程を経るもので
あったり、あるいは、火災、人体保護のための作業環境
の整備等が必要なものであった。 【０００３】したがって、複雑な加工工程を経ず、ま
た、無害に、印影の受理部を形成できるといった技術が
望まれていたが、その要求を満たすものとして、例え
ば、被印刷物表面をレーザー照射により削り取ってなる
表面改質部を設けたり、あるいはシリカ粒子と水溶性高
分子のバインダーを主体とする組成物を被印刷物表面に
塗布するといった技術が示唆されてはいたが、本発明の
如くの、通常の印刷機により、シート表面に、多数の微
小孔を有した多孔質の紫外線硬化型インキからなる捺印
受理層を形成するといった技術は、現在に至るまで開
示、示唆されてはいなかった。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】近年、表面処理技術の
進歩、合成樹脂等の新素材の開発等で、被印刷物、とり
わけ、印刷シートにとって、その諸耐性の向上、印刷適
性の向上、あるいは、より美しい外観が得られるといっ
たメリットを享受するようになってきたが、その反面、
被印刷物の表面が、印鑑朱肉、あるいはスタンプインキ
による印影の受理に適さなくなった。その一方で、商業
印刷の高級化と印刷機の性能向上と共に、アート紙、コ
ート紙を使用した申込用紙や送り状等の印刷シートが増
加しつつあり、また、プラスチックカード等の普及等に
よりプラスチックシート、合成樹脂シートといった紙以
外の基材シートからなる印刷物も近年では急速な増加傾
向にあり、そのシート面に捺印するケースも多くなって
きた。 【０００５】しかしながら、アート紙、コート紙は、上
質紙に近似した原紙の表面にカオリン、硫酸バリウム等
の顔料をカゼイン・デンプン等の接着剤と混ぜ合わせた
ものを塗布し、乾燥後スーパーカレンダーで光沢をつけ
たもので、紙面の平滑姓に優れ、白色度も高いが、この
ように加工処理された印刷シートは、一般に、紙の繊維
の目がつんだ、緻密な表面を有するため、通常の印刷イ
ンキによる印刷ではインキのセット性に問題は無いが、
これら印刷シート面に、印鑑朱肉、スタンプインキにて
捺印した場合には、シート基材内部への印鑑朱肉、スタ
ンプインキの吸収が速やかに行なわれないため、吸収乾
燥性に劣り印影のセット性が悪くなり、その結果、シー
ト面への受理に相当な時間を要し、捺印後、短時間内に
人の手やその他の物が、その印影に触れて擦れると、そ
れが判読不能になったり、あるいは消失したりすること
もある。また、プラスチックシート、合成樹脂シートと
いった紙以外の合成シートにあっては、印鑑朱肉、スタ
ンプインキのシート基材内部への吸収が全く行なわれな
いため、これら合成シート面に、印鑑朱肉、スタンプイ
ンキにて捺印した場合には、印影のセット性は非常に悪
いものであった。 【０００６】したがって、本発明では、印刷シート、と
りわけ、印影の吸収乾燥性に劣るアート紙、コート紙、
あるいは合成樹脂シート等からなるシートに対し、その
シート面に捺印をした際、印鑑朱肉、あるいはスタンプ
インキをもって形成された印影が、人の手やその他の物
に触れられ擦れた場合でも、それが判読不能になった
り、あるいは消失するようなことのない印影の受理層
を、複雑な加工工程を経ることなく、通常の印刷機によ
り設けることができる技術の提供を目的とするものであ
る。 【０００７】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、シート面の所定部に、多数の空洞から
なる微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜
からなる印影受理層が設けられたことを特徴とする印影
受理層を有するシートを提供するものである。 【０００８】 【作用】本発明において、塗膜は、印影の吸収性に優れ
た多数の微小孔を有するもので、この塗膜へ捺印した場
合、印鑑朱肉、あるいはスタンプインキは、速やかに多
数の微小孔から塗膜内部に浸透するため、印鑑朱肉、あ
るいはスタンプインキの吸収乾燥は促進され、よって、
印影のセット性が向上する。 【０００９】 【実施例】以下、本発明の印影受理層を有したシートに
関しその作成方法を、好適な実施例に基づき詳述する。
本発明での紫外線硬化型インキとは、紫外線照射によっ
てインキビヒクルの重合反応を促し乾燥手段とする従来
からのタイプのもので、その組成は、顔料、ポリエステ
ルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアク
リレート、ポリオールアクリレート等のオリゴマ（プレ
ポリマ、光重合性低重合体）、単官能または多官能のモ
ノマ（反応性希釈剤、光重合性低単量体）、および光重
合開始剤（増感剤）であって、必要に応じて光重合促進
剤、安定剤、接着性付与剤、ミスチング防止剤、ワック
ス等の添加剤が配合され、速乾性に優れ、かつその乾燥
被膜が丈夫で、印刷物の諸耐性が優れ品質が安定し、あ
るいは厚膜印刷ができるといった特性を有するものであ
る。 【００１０】先ず、前述の紫外線硬化型インキ中に、該
インキのビヒクルに対し不溶で、かつ揮発性を有する液
体を混合し微細分散させている。紫外線硬化型インキの
ビヒクルに不溶で、かつ揮発性を有する液体としては、
特に、水が有効である。すなわち、水はビヒクルに不溶
であるため、これらを混合した状態では互いに交わるこ
となく水層と油層に分離するが、この混合インキを強攪
拌によってせん断力を加えたり、あるいは高圧を付与し
て微小孔より噴出させることにより、油中水滴型のエマ
ルジョン状態を現出させるものである。 【００１１】そして、その液体の微小粒子の粒径は、吸
収性と孔の数と密度の関係、および後述の通常印刷によ
るインキの塗膜の膜厚を考慮すると、０．１〜５μｍ程
度が好ましく、さらに好ましくは、０．２〜３μｍ程度
が良い。また、インキ塗膜の固化、および紫外線ランプ
から発生する輻射熱と揮発率との関係から、液体の含有
率を調整する必要があり、これらを考慮すると、その液
体のビヒクル中の含有率は、好ましくは５〜４０重量％
程度であり、さらに好ましくは１５〜３０重量％程度が
適当である。 【００１２】このように得られた混合インキは、凸版、
平版、凹版等の通常の印刷機をもって、印刷シート面の
所定部に印刷される。すなわち、本発明の混合インキ
は、従来の連肉したインキと同様に調製され、従来の凸
版用インキ、平版用インキ、スクリーンインキ等に相当
するものを随意に調製できるものであって、水あるいは
親水性の液体を含有したものであっても適性な流動性と
乾燥性を有し、印刷適性は劣ることなく、通常の印刷機
をもって印刷シート面の所定部に印刷でき、印刷後、紫
外線ランプの照射によりシート面で乾燥し塗膜を形成す
るものである。 【００１３】ここで、本発明の多孔質の紫外線硬化型イ
ンキの塗膜からなる印影受理層を有したシートの作成方
法を、さらに具体的に説明するため、図１ないし図３
に、その作成プロセスを概略的に表記する。先ず、図１
に示すように、印刷シート４の表面に印刷形成された混
合インキの塗膜１は、紫外線硬化型インキ２と、そのビ
ヒクルに不溶で、かつ揮発性を有する液体、例えば、水
が、該紫外線硬化型インキ２中に、３０重量％の含有率
で混合され、微細化され、微小粒子３として分散してな
るものである。そして、図２に示すように、この混合イ
ンキ塗膜１に紫外線ランプを照射すると、紫外線により
紫外線硬化型インキ２は固化すると共に、水の微小粒子
３はランプの輻射熱により加熱され揮発（蒸発）する。
その結果、図３に示すように、水の微小粒子３が揮発し
た部分は空洞化され微小孔３′が生成し、多数の空洞か
らなる微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型インキの塗
膜１′が形成される。 【００１４】次に、本発明の印影受理層を設けた印刷シ
ートの一実施例を示す。図４及び図５は、本発明の印影
受理層を設けた商品カタログ１１である。本実施例の商
品カタログ１１は、コート紙１２の基材シート１３から
なり、基材シート１３には切取線１４が設けられ、商品
カタログ部１５と申込書部１６とが区画形成されてい
る。そして、そのシート面１７にはタイトル、図柄、背
景、説明文等の印刷が施され、さらに、そのシート面１
７の所定部分には、多数の空洞からなる微小孔を有した
多孔質の紫外線硬化型インキ塗膜１８からなる印影受理
層１９が形成されてなるものである。 【００１５】尚、上述の実施例は、コート紙を基材シー
トとした商品カタログの場合であるが、本発明はこれに
限定されることなく、あらゆる種類の印刷基材に適用で
きるものであって、商品カタログ等の他、例えば、合成
紙シートあるいはプラスチックシートからなる身分証明
カード、プリペイドカード、あるいは会員カードといっ
たカード類でもよく、この場合には、本実施例の印影受
理層の代わりに、使用する紫外線硬化型インキに有色顔
料を添加し、美麗なサイン部として形成し、筆記用イン
キ、あるいは黒鉛のセット性を向上させる筆記受理層と
して構成しても構わないものである。 【００１６】 【発明の効果】本発明は、シート面の所定部に、多数の
空洞からなる微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型イン
キの塗膜からなる印影受理層が設けられたことを特徴と
する印影受理層を有するシートである。形成された塗膜
は、印影の吸収性に優れた多数の空洞からなる微小孔を
有するもので、この塗膜へ捺印した場合、印鑑朱肉、あ
るいはスタンプインキは、速やかに多数の微小孔から塗
膜内部に浸透するため、印鑑朱肉、あるいはスタンプイ
ンキの吸収乾燥は促進されるため、被印刷物、とりわ
け、印影の吸収乾燥性に劣るアート紙、コート紙、ある
いは合成樹脂シート等からなる印刷シートに対し、その
シート面に捺印をした際、印鑑朱肉、あるいはスタンプ
インキをもって形成された印影が、人の手やその他の物
に触れられ擦れた場合でも、それが判読不能になった
り、あるいは消失するようなことのない印影の受理層
を、複雑な加工工程を経ることなく、通常の印刷機によ
り設けることができるといった効果を奏するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】印影シートの表面に印刷形成された混合インキ
塗膜の状態説明図。 【図２】混合インキ塗膜に紫外線ランプを照射した際の
状態説明図。 【図３】多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜の状態説明
図。 【図４】本発明の一実施例である商品カタログ表面の平
面図。 【図５】図１のＡ−Ａ線部の断面図。 【符号の説明】 １…水の微小粒子を混合し微細分散させてなる混合紫外
線硬化型インキ １′…多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜 ２…紫外線硬化型インキ ３…水の微小粒子 ３′…水の微小粒子が揮発し空洞化して形成された微小
孔 ４…印刷シート面 １１…商品カタログ １２…コート紙 １３…基材シート １７…印刷シート面 １８…多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜 １９…印影受理層
塗膜の状態説明図。 【図２】混合インキ塗膜に紫外線ランプを照射した際の
状態説明図。 【図３】多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜の状態説明
図。 【図４】本発明の一実施例である商品カタログ表面の平
面図。 【図５】図１のＡ−Ａ線部の断面図。 【符号の説明】 １…水の微小粒子を混合し微細分散させてなる混合紫外
線硬化型インキ １′…多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜 ２…紫外線硬化型インキ ３…水の微小粒子 ３′…水の微小粒子が揮発し空洞化して形成された微小
孔 ４…印刷シート面 １１…商品カタログ １２…コート紙 １３…基材シート １７…印刷シート面 １８…多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜 １９…印影受理層
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 シート面の所定部に、多数の空洞からな
る微小孔を有した多孔質の紫外線硬化型インキの塗膜か
らなる印影受理層が設けられたことを特徴とする印影受
理層を有するシート。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24352394A JP3458910B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 印影受理層を有するシート |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24352394A JP3458910B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 印影受理層を有するシート |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0872385A JPH0872385A (ja) | 1996-03-19 |
| JP3458910B2 true JP3458910B2 (ja) | 2003-10-20 |
Family
ID=17105179
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24352394A Expired - Fee Related JP3458910B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 印影受理層を有するシート |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3458910B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| ES2174253T3 (es) * | 1996-04-29 | 2002-11-01 | Sicpa Holding Sa | Tinta sangrante para imprimir documentos de seguridad. |
| JP5212942B2 (ja) * | 2008-05-27 | 2013-06-19 | ケイディケイ株式会社 | 情報通信体用用紙及びそれを用いた情報通信体 |
-
1994
- 1994-08-31 JP JP24352394A patent/JP3458910B2/ja not_active Expired - Fee Related
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