JPH0114825B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、絵柄に同調したシヤープな凹凸模様
を有する意匠的に優れた凹凸化粧材を極めて効率
的に製造する方法に関するものである。

従来、化粧材表面の印刷模様とエンボス模様を
同調させる手法として特に有効なものは、例え
ば、凹部としたい絵柄のインキに上塗塗料を反撥
させる性質を持たせ、その作用により凹凸効果を
出す方法、および凹部としたい絵柄のインキに上
塗塗料の硬化抑制剤を混入し、上塗塗料の硬化速
度に差をつけて凹凸効果を出す方法がある。しか
しながら、これらの方法にはそれぞれ大きな欠点
がある。例えば前者は、液体を反撥させる作用を
利用する為に巾方向に制限があり、木目の導管部
程度の絵柄にしか応用できないし、後者は硬化抑
制剤を混入した部分の上塗り塗料の硬化が阻害さ
れ、物性不良となつてしまい、又硬化抑制剤を混
入したインキ自体の保存安定性に問題がある等の
欠点を有する。

その他に浸透性の良い基材に樹脂の浸透を阻止
するインキで模様を施し上塗塗料の基材への浸
透、非浸透により凹凸を持たせる方法も知られて
いるが、基材自体の浸透性に依存する為に、非浸
透部以外の部分へは浸透を妨げるという理由でイ
ンキによる絵付は、できないという問題がある。
また、基材の含水率等によつて浸透に微妙な差が
生じ、凹凸をコントロールできない。そして通
常、上塗塗料の溶剤の蒸発、硬化の段階で凹凸の
シヤープさが著しく損われてしまい、上塗塗料の
乾燥、硬化のスピードを高速、かつ微妙にコント
ロールしないと浸透むらが出易く、得られる凹凸
の段差も凹凸というほどのものではなく、艶差程
度のものとなり、あまり有効なものでなく実生産
に利用できなかつた。

本発明は以上の様な問題点を解決する為に発明
されたものである。

以下本発明を詳細に説明する。

まず第１図に示すように基材１の表面にシリカ
系体質顔料を10〜50重量部含むインキ又は塗料で
凹部の絵柄２を形成した後に、凸部としたい部分
に上塗り塗料の浸透を阻害する為に、熱硬化性の
インキ又は耐溶剤性のある樹脂よりなるインキを
用いて凸部の絵柄３を設ける。凸部の絵柄の高さ
は任意であり、熱硬化性のインキとしてはアクリ
ルウレタン系、ウレタン系、メラミン系、アクリ
ル系等の硬化性のバインダーを使用したインキ
を、そして耐溶剤性のあるインキとしては、セル
ロース系、ウレタン系等の熱可塑性樹脂をバイン
ダーとしたインキ等が望ましい。

次に第２図に示すように上塗塗料４として紫外
線硬化型塗料に有機過酸化物触媒を加えた塗料を
10〜20μの厚さで塗布し、次いで80W/cmの高圧
水銀ランプ６本にて、ラインスピード150〜
300m／分の速度で紫外線を照射し、表面層の塗
料を硬化させた後、後キユアとして紫外線の透過
しない絵柄層内浸透部分の塗料を加熱により硬化
させる。

この紫外線照射のラインスピードは塗布された
上塗塗料が凹部の絵柄２の部分では絵柄層内に浸
透し、凸部の絵柄３の部分では皮膜を形成して全
体として凹凸模様を形成するまでに必要な時間を
確保する為に必要な限定であり、400m／分以上
になると紫外線硬化型塗料が凹部の絵柄の部分に
充分に浸透しないうちに硬化してしまい、
150m／分以下になると凸部の絵柄の部分に塗布
された紫外線硬化型塗料が凹部の絵柄の部分へ流
れ出して、いずれの場合にもシヤープな凹凸が得
られない。また、絵柄層に浸透した塗料は紫外線
が当たらず未硬化状態にあるので、後で加熱硬化
させるが、ラインスピードは限定されない。

なお、第３図に示すように基材１の表面に塗布
するシリカ系体質顔料を含むインキ、又は塗料５
は、絵柄状ではなく全面に施すこともでき、この
場合は凸部の絵柄３がその上に重なつた状態とな
り、得られる凹凸化粧材は第４図に示すようにな
る。

本構成により得られた凹凸模様は以下の要因で
シヤープ性および大きな凹凸段差を有している。

まず、シリカ系体質顔料を含むインキは上塗塗
料の浸透を速かにさせ、硬化性インキ、又は耐溶
剤性インキ層は上塗塗料の浸透を著しく妨げ、し
かも、上塗塗料に紫外線硬化塗料を使用すること
により、高スピードで瞬間的に表面層を硬化させ
る事ができるので、浸透の差による段差を最大の
状態に保つたまま硬化させる事ができる。通常の
熱硬化型、溶剤蒸発型の上塗塗料では、溶剤の蒸
発、硬化の過程でラインスピードは最大でも100
〜120m／分が限度であるので、瞬間的には乾燥、
硬化しない為に浸透の段差を最大の状態に保つこ
とは困難である。

また、紫外線硬化型の上塗塗料は100％固型分
の物を使用する為に溶剤の蒸発による凹凸の損失
が全くなく、シヤープさを保つことができる。そ
して有機過酸化物が添加されている為に凹部の紫
外線のあたらない部分は後加熱により硬化させる
事ができ、未硬化部分は残らない。

なお、基材は薄葉紙、チタン紙等の紙、ポリエ
ステルフイルム、塩化ビニルフイルム等のプラス
チツクフイルム、アルミ板、鉄板等の金属板等の
印刷可能なものであれば任意であり、紫外線硬化
型塗料はラジカル重合剤のものであれば特に限定
されないが、硬化スピードの点からアクリル系の
ものが有利である。

有機過酸化物触媒としては、ｔ−ブチルハイド
ロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキ
サイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイル
パーオキサイド、ｔ−ブチルパーオキシフタレー
ト等があるが特に限定されない。

次に本発明の実施例について説明する。

実施例 原紙として坪量30g/m²の薄葉紙を用い、これ
に通常のグラビア印刷法で下記組成１のインキで
タイル柄を印刷し、更にタイルの目地に相当する
以外の部分を下記組成２のインキを使用して80μ
のベタ版でその上から印刷した。次に下記組成３
の紫外線硬化型塗料を20g/m²の塗布量で上塗り
し、80W/cmの高圧水銀ランプ６本を使用してラ
インスピード150m／分の速さで表面層を硬化さ
せた後、150℃30秒で後キユアさせたところ、目
地部がシヤープな凹部となつたタイル状化粧シー
トが得られた。

組 成 １ パネルカラーインキ（東洋インキ製造(株)製）
100重量部 シリカ系体質顔料 15 〃 溶 剤 15 〃 組 成 ２ UR203インキ（東洋インキ製造(株)製）（ポリオ
ール） 100重量部 硬化剤150B（東洋インキ製造(株)製）（イソシア
ネート） 20 〃 溶 剤 適 量 組 成 ３ アロニツクス8030（東亜合成化学(株)製）
35重量部 アロニツクス6100 40 〃 トリメチロールプロパントリアクリレート
15 〃 ヒドロキシプロピルアクリレート 15 〃 ベンゾインエチルエーテル ３ 〃 過酸化ベンゾイル １ 〃 比較例として組成１のインキの代わりに下記の
組成Ｂ、および組成Ｃのインキを使用し、実施例
と同方法で化粧シートを作成したが、シリカ系体
質顔料を添加したほどのシヤープな凹凸は得られ
なかつた。

組 成 Ｂ パネルカラーインキ（東洋インキ製造(株)製）
100重量部 炭酸カルシウム系体質顔料 20 〃 溶 剤 20 〃 組 成 Ｃ パネルカラーインキ（東洋インキ製造(株)製）
100重量部 溶 剤 10 〃

【図面の簡単な説明】

第１図と第３図は紫外線硬化型樹脂を塗布する
前、第２図と第４図は得られた凹凸化粧材を各々
示す断面図である。 １……基材、２……凹部の絵柄、３……凸部の
絵柄、４……上塗塗料、５……体質顔料を含むイ
ンキ又は塗料。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 任意の基材の表面に、シリカ系体質顔料を10
   〜50重量部含有するインキ又は塗料を全面に又は
   凹部の絵柄状に施し、次いで凸部の表現をしたい
   部分に硬化性又は耐溶剤性インキによる絵柄を印
   刷形成した後、過酸化物重合触媒を含有する紫外
   線硬化型樹脂よりなる上塗塗料を全面に塗布し、
   ラインスピード150〜400m／分の速度で紫外線を
   照射して表面を硬化させ、次いで加熱して内部を
   硬化せしめる事を特徴とする凹凸化粧材の製造方
   法。