JP3458573B2 - 端面反射型表面波装置の製造方法 - Google Patents

端面反射型表面波装置の製造方法

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JP3458573B2 JP00486396A JP486396A JP3458573B2 JP 3458573 B2 JP3458573 B2 JP 3458573B2 JP 00486396 A JP00486396 A JP 00486396A JP 486396 A JP486396 A JP 486396A JP 3458573 B2 JP3458573 B2 JP 3458573B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SHタイプの表面
波を利用した端面反射型表面波装置の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、圧電基板の対向2端面間でSHタ
イプの表面波を反射させる端面反射型表面波装置が知ら
れている。SHタイプの表面波とは、BGS波やラブ波
などのように、変位が表面波伝搬方向と垂直で基板表面
と平行な成分を主成分とする表面波をいう。
【0003】従来、この種の端面反射型表面波装置は、
例えば、図3に示すように構成されている。
【0004】この端面反射型表面波装置は、矩形状の圧
電基板2を用いて構成されている。圧電基板2は、例え
ば、チタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックスやLiN
bO3圧電単結晶、LiTaO3圧電単結晶等の圧電材
料により構成されており、一方主面上には、一対のくし
歯電極3、4からなる1つのインターデジタルトランス
デューサ(以下、IDTと記す)が形成されている。く
し歯電極3、4は、それぞれ、複数本の電極指3a〜3
d,4a〜4c及びそれぞれの電極指3a〜3d,4a
〜4cを連接するバスバー3e,4eからなり、それぞ
れのバスバー3e,4eには所定の箇所に引出電極部3
f,4fが形成されている。
【0005】引出電極部3f,4fは、バスバー3e,
4eの一部を所定の幅で端縁側に延設するように形成さ
れている。引出電極部3f,4fには入出力接続用のワ
イヤー(図示せず)がボンディングされる。
【0006】電極指3a〜3dと各電極指4a〜4cと
は互いに間挿し合うように配置されている。隣り合う電
極指の間の間隔は、励振される表面波の波長をλとした
ときに、λ/4とされている。表面波伝搬方向両端に位
置する電極指3a,3dの幅は、λ/8とされており、
他の電極指3b〜3c,4a〜4cの幅はλ/4とされ
ている。また、電極指3a,3dの外側端縁は、圧電基
板2の端面2a,2bに沿うように形成されている。
【0007】端面反射型表面波装置では、くし歯3、4
の引出電極部3f,4fに交流電圧を印加することによ
りBGS波が励振され、該BGS波は、上記各電極指3
a〜3d、4a〜4cと直交する方向に伝搬し、上記圧
電基板2の対向2端面2a,2b間で反射されるように
構成されている。
【0008】すなわち、端面反射型表面波装置は、上記
のように励振された表面波を対向2端面2a,2b間で
反射させて動作させるものであり、端面反射型表面波装
置において、高性能な共振特性を得るためには、端面2
a,2bを正確な位置に精度よく形成するとともに、平
滑度のよい端面2a,2bを形成することが重要であ
る。
【0009】従来、この端面反射型表面波装置を製造す
るにあたっては、図4に示すように、比較的大きな圧電
母基板1を用意し、圧電母基板1の一方主面上に一対の
くし歯電極3、4からなるIDTを多数形成し、しかる
後、ダイサーを用いて図4に示す一点鎖線A−A,B−
B,C−C,D−Dに沿って切断して、図3に示す個々
の端面反射型表面波装置を得ていた。
【0010】すなわち、従来、図4に示す一点鎖線A−
A,B−Bに沿って電極指3a,3dとともに圧電母基
板1を切断することにより、電極指3a,3dを所定の
幅に形成するとともに端面2a,2bを形成していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の製造方法では、特性に大きな影響を及ぼす端面2
a,2bにおいてチッピングが生じがちであった。この
チッピングにより、端面2a,2bの平滑度が大幅に低
下し、不要スプリアスが発生して、所望の共振特性を得
ることができないという問題があった。
【0012】チッピングの発生を抑止するためにダイシ
ング速度を極端に遅くする方法もあるが、この場合は、
生産性が大幅に低下するという問題があり、また、チッ
ピングの発生を抑止するには限界があった。
【0013】そこで、本発明の目的は、圧電基板の切断
に際してのチッピングが生じ難く、よって、所望の共振
特性を確実に得ることができる端面反射型表面波装置の
製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、圧電基板の対向2端面間で
SHタイプの表面波を反射させる端面反射型表面波装置
の製造方法であって、圧電母基板上に複数個分の表面波
装置を構成するIDTを形成する工程と、前記圧電母基
板の前記IDTが形成された面の全面に感光性樹脂膜を
形成する工程と、前記感光性樹脂膜を露光、現像して、
前記IDTの引出電極部上の感光性樹脂膜を除去する工
程と、前記圧電母基板を切断機により切断して、前記対
向2端面を形成するとともに個々の表面波装置を切り出
す工程とを備えることを特徴とするものである。
【0015】請求項2に係る発明は、請求項1に係る端
面反射型表面波装置の製造方法において、前記感光性樹
脂膜が感光性ポリイミド系樹脂からなることを特徴とす
るものである。
【0016】請求項3に係る発明は、請求項1または請
求項2に係る端面反射型表面波装置の製造方法におい
て、前記感光性樹脂膜をスピンコートにより形成したこ
とを特徴とするものである。
【0017】上記の構成によれば、圧電母基板のIDT
が形成された面に感光性樹脂膜を形成した後に、圧電母
基板を切断機により切断して、反射面となる圧電基板の
端面が形成されるので、反射面となる端面のチッピング
の発生を大幅に抑制することができる。すなわち、圧電
基板よりも柔らかい感光性樹脂膜で覆われた状態で切断
が行われるので、直接基板に加わる力が緩和され、表面
波が伝搬する表面近傍の端面角部でのチッピングの発生
が大幅に抑制される。したがって、端面精度に起因する
スプリアスが防止され、良好な共振特性を得ることがで
きるとともに、切断時間を短縮することができる。
【0018】なお、本発明においては、反射面となる端
面の切断と、個々の表面波装置を切り離す切断とを別々
に行うようにしてもよい。また、感光性樹脂膜を用いて
いるので、引出電極部上の感光性樹脂膜をフォトリソグ
ラフィすなわち露光・現像することにより容易に除去す
ることができる。
【0019】さらに、感光性樹脂膜を生産性のよいスピ
ンコートで形成することにより、低コストで感光性樹脂
膜を形成することができる。
【0020】なお、感光性樹脂膜としては、特に限定す
るものではないが、耐有機溶剤性が良好で、機械的強度
の強い感光性ポリイミド系樹脂が望ましい。また、感光
性樹脂膜は、金属粉等が直接IDTへ付着するのを防止
するための保護膜としても機能するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】図1及び図2を参照して、本発明
の一実施例に係る端面反射型表面波装置の製造方法を説
明する。図1及び図2において、従来例と同一または相
当する部分、同一機能のものについては同一符号を付
す。図1は本発明の製造方法により製造された端面反射
型表面波装置の一実施例を示す斜視図であり、図2
(a)は本発明の端面反射型表面波装置が形成された圧
電母基板の一部を示す平面図、図2(b)は、図2
(a)のX−X線断面図である。
【0022】図1に示すように、本実施例に係る端面反
射型表面波装置は、矩形状の圧電基板2の一方主面上
に、一対のくし歯電極3、4からなる1つのIDTが形
成され、IDTが形成された面であって、IDTの引出
電極部3f,4fが形成された部分を除く全面には感光
性樹脂膜11が形成されている。
【0023】すなわち、本実施例の製造方法により製造
された端面反射型表面波装置は、従来例の図3で示した
端面反射型表面波装置の一方主面上に感光性樹脂膜11
を形成した構成となっている。感光性樹脂膜11は、感
光性ポリイミド系樹脂からなり、0.1μm〜50μm
の膜厚で形成されている。この感光性樹脂膜11以外の
構成については、図3で説明したものと同様の構成であ
り、その説明を省略する。
【0024】この端面反射型表面波装置は、パッケージ
ングされて用いられ、引出電極部3f,4fとパッケー
ジ部の端子電極とはワイヤーボンディングにより接続さ
れる。
【0025】以下、本実施例の端面反射型表面波装置の
製造方法について具体的に説明する。
【0026】まず、図2(a)及び図2(b)に示すよ
うに、圧電母基板1の一方主面上に一対のくし歯電極
3、4からなるIDTを形成する。IDTの形成は、圧
電母基板1の全面に、蒸着、スパッタリングもしくはメ
ッキ等の薄膜形成法によりAlやAu等の導電性電極材
料からなる電極膜を形成した後、露光、エッチングする
ことにより行われる。なお、圧電母基板1には複数個分
の表面波装置に相当するIDTが複数個配列するように
形成されている。
【0027】次に、圧電母基板1のIDTが形成された
面の全面に、感光性ポリイミド系樹脂をスピンコートに
より塗布し、該樹脂をベーキングして、感光性樹脂膜1
1を形成する。
【0028】次に、IDTの引出電極部3f,4f上の
感光性樹脂膜11をフォトリソグラフィすなわち露光、
現像することにより除去し、引出電極部3f,4fを露
出させる。
【0029】次に、圧電母基板1を一点鎖線A−A,B
−B,C−C及びD−Dに沿って、ダイサーにより切断
する。この切断により、図1に示す端面反射型表面波装
置を得る。すなわち、上記一点鎖線A−A及びB−Bに
沿う切断により、SHタイプの表面波の反射面となる端
面2a,2bが形成される。
【0030】上記の製造方法においては、圧電母基板1
のIDTが形成された面が感光性樹脂膜11で覆われた
状態で、反射面となる端面2a,2bの切断が行われる
ので、端面2a,2b、特に特性に大きな影響を及ぼす
端面2a,2bの表面近傍角部でのチッピングの発生が
大幅に抑制される。したがって、チッピングに起因する
不要なスプリアスが防止され良好な共振特性を有する端
面反射型表面波装置を得ることができる。さらに、切断
時間を短縮することもできる。
【0031】また、感光性樹脂膜11は簡便なスピンコ
ートにより形成されており、引出電極部上の感光性樹脂
膜11はフォトリソグラフィ(露光、現像)により容易
に除去することができ、感光性樹脂膜11の成膜及び除
去を低コストで行うことができる。
【0032】なお、上記実施例では、反射面となる端面
の形成と表面波装置の切り離しが1回の切断により行わ
れているが、反射面となる端面の切断と、個々の表面波
装置を切り離す切断とを別々に行うようにしてもよい。
この場合は、表面波装置の表面波伝搬方向の両端面の近
傍には反射面を形成する溝が形成される、あるいは表面
波装置の表面波伝搬方向の両端面は段差状に形成された
ものとなる。
【0033】また、上記実施例では、引出電極部3f,
4fはバスバー3e,4eの一部を延設するように形成
されているが、引出電極部3f,4fの形状、形成位置
は特に限定されるものではなく、例えば、一定の幅で形
成されたバスバーの一部を引出電極部としてもよい。
【0034】また、感光性樹脂膜の形成はスピンコート
に限るものではなく、スプレー等他の方法を用いてもよ
く、また、切断機としてダイサーを用いたが、切断手段
としてワイヤー・ソー等他の切断機を用いてもよい。
【0035】また、上記実施例では1つのIDTで構成
された端面反射型表面波装置で説明したが、本発明の製
造方法は、複数のIDTで構成される端面反射型表面波
装置、例えば端面反射型表面波フィルタにも適用できる
ことは勿論である。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る端面
反射型表面波装置の製造方法によれば、圧電母基板のI
DTが形成された面に感光性樹脂膜を形成した後に、圧
電母基板を切断機により切断して、反射面となる圧電基
板の端面が形成されるので、反射面となる端面のチッピ
ングの発生を大幅に抑制することができる。
【0037】したがって、端面精度に起因するスプリア
スが防止され、良好な共振特性を有する端面反射型表面
波装置を得ることができるとともに、切断時間を短縮す
ることもできる。
【0038】また、感光性樹脂膜は簡便なスピンコート
により形成することができ、引出電極部上の感光性樹脂
膜はフォトリソグラフィにより容易に除去することがで
きるので、感光性樹脂膜の成膜及び除去を低コストで行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により製造された端面反射型
表面波装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明の端面反射型表面波装置が形成
された圧電母基板の一部を示す平面図、(b)は、図2
(a)のX−X線断面図である。
【図3】従来の端面反射型表面波装置の斜視図である。
【図4】従来の端面反射型表面波装置が形成された圧電
母基板の一部を示す平面図である。
【符号の説明】
1 圧電母基板 2 圧電基板 3、4 くし歯電極 3a〜4c 電極脂 3e,4e バスバー 3f、4f 引出電極部 11 感光性樹脂膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−239210(JP,A) 特開 昭61−208916(JP,A) 特開 平2−305207(JP,A) 特開 昭55−109018(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 3/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電基板の対向2端面間でSHタイプの
    表面波を反射させる端面反射型表面波装置の製造方法で
    あって、 圧電母基板上に複数個分の表面波装置を構成するIDT
    を形成する工程と、前記圧電母基板の前記IDTが形成
    された面の全面に感光性樹脂膜を形成する工程と、 前記感光性樹脂膜を露光、現像して、前記IDTの引出
    電極部上の感光性樹脂膜を除去する工程と、 前記圧電母基板を切断機により切断して、前記対向2端
    面を形成するとともに個々の表面波装置を切り出す工程
    と、を備えることを特徴とする端面反射型表面波装置の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記感光性樹脂膜が感光性ポリイミド系
    樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の端面反
    射型表面波装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記感光性樹脂膜をスピンコートにより
    形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載の端面反射型表面波装置の製造方法。
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