JP3951379B2 - 表面波装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漏洩弾性表面波を利用した表面波装置に関し、より詳細には、特定の圧電単結晶基板上に誘電体薄膜を積層してなる圧電基板を用いることにより、漏洩弾性表面波を利用した良好な特性を有する圧電共振部品を構成し得る表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電基板を用いて構成される表面波装置としては、表面波共振子、表面波フィルタあるいはエラスティックコンボルバなどの種々の装置が実用化されている。表面波装置において良好な特性を得るには、用いる基板の電気機械結合係数Ksが大きいことが求められる。
【0003】
特開平8−139565号公報には、41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板上に、該LiNbO3 基板に比べて表面波伝搬速度が遅い材料よりなる圧電薄膜を形成してなる圧電基板を用いており、かつラブ波を利用した表面波装置が開示されている。ここでは、上記特定のLiNbO3 基板上に圧電薄膜を形成することにより、ラブ波を利用した場合の電気機械結合係数Ksを高めることが可能とされている。
【0004】
しかしながら、41°回転Y板X伝搬のLiNbO3 基板上にZnO薄膜などの圧電薄膜を形成した場合、エピタキシャル膜を形成することができず、圧電薄膜の膜厚が厚くなると表面波の伝搬に伴う減衰が大きくなるという問題があった。特に、圧電薄膜の膜厚をH、ラブ波の波長をλとしたとき、H/λ=0.045〜0.09の範囲とされている好ましい範囲では、インターデジタルトランスデューサ(以下、IDTと略す)を用いてラブ波を励振させた場合、その減衰が大きかった。
【0005】
また、比較的圧電薄膜の膜厚が大きいため、圧電薄膜を形成したことによる表面波の減衰も大きかった。
なお、従来、ZnOなどの圧電薄膜を圧電単結晶基板上に形成し、漏洩弾性表面波を励振させた場合は、減衰量はさらに大きくなると考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、漏洩弾性表面波を利用した表面波装置であって、十分な電気機械結合係数Ksを有する圧電基板を用い、漏洩弾性表面波の減衰が抑制されており、良好な特性を実現し得る表面波装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明によれば、41°±3°回転Y板X伝搬LiNbO 3 基板と、前記LiNbO 3 基板上に形成されており、かつ前記LiNbO 3 基板に比べて表面波伝搬速度が遅い材料よりなる圧電薄膜とを有する圧電基板と、前記圧電基板に設けられたインターデジタルトランスデューサとを備え、漏洩弾性表面波を利用するように構成されており、前記圧電薄膜がCdS薄膜であり、その膜厚をH、励振される漏洩弾性表面波の波長をλとしたときに、H/λが、0.035以下である、表面波装置が提供され、第2の発明によれば、41°±3°回転Y板X伝搬LiNbO 3 基板と、前記LiNbO 3 基板上に形成されており、かつ前記LiNbO 3 基板に比べて表面波伝搬速度が遅い材料よりなる圧電薄膜とを有する圧電基板と、前記圧電基板に設けられたインターデジタルトランスデューサとを備え、漏洩弾性表面波を利用するように構成されており、前記圧電薄膜がTa 2 5 薄膜であり、その膜厚をH、励振される漏洩弾性表面波の波長をλとしたときに、H/λが、0.035以下である、表面波装置が提供される。すなわち、第1,2の発明(以下、本発明と総称する)では、CdSまたはTa からなる圧電薄膜が用いられている。
【0008】
すなわち、本願発明者は、上記課題を達成すべく、種々の圧電基板材料を用いて漏洩弾性表面波を励振させる表面波装置について検討した結果、41°±3°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板上に、誘電体膜を積層してなる圧電基板を用いれば、漏洩弾性表面波の伝搬に伴う減衰を抑制することができると共に、十分な電気機械結合係数Ksを得ることができ、従って良好な特性を有する表面波装置を構成し得ることを見出し、該知見に基づき、本発明を成すに至った。
【0009】
本発明において用いられる上記41°±3°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板としては、41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板だけでなく、上記のように38〜44°の回転角を有する回転Y板X伝搬LiNbO3 基板を用いることができる。
【0010】
また、上記LiNbO3 基板上に形成される誘電体膜については、LiNbO3 基板に比べて表面波伝搬速度が遅い材料である限り、特に限定されず、圧電性を有する誘電体薄膜であってもよく、あるいは圧電性を有しない誘電体薄膜であってもよい。
【0013】
また、上記圧電薄膜がCdS薄膜の場合には、その膜厚をH、励振される漏洩弾性表面波の波長をλとしたとき、H/λは、0より大きく、0.035以下とされる。
【0014】
さらに、上記圧電薄膜がTa2 5 薄膜であり、その膜厚をH、励振される漏洩弾性表面波の波長をλとしたとき、好ましくは、H/λは、0より大きく0.035以下される。
【0015】
本発明に係る表面波装置の具体的に構造については特に限定されるものではなく、対向2端面の反射を利用した端面反射型の表面波装置であってもよく、あるいはIDTの表面波伝搬方向両側に反射器を形成してなる反射器付きの表面波共振子や表面波フィルタであってもよい。
【0016】
なお、圧電基板に設けられるIDTについては、圧電基板上に形成されてもよく、あるいは上記LiNbO3 基板と誘電体薄膜との間に形成してもよく、さらに、IDTの数や形状についても特に限定されるものではない。
【0017】
本発明は、漏洩弾性表面波を利用した表面波装置一般に適用することができ、例えば、表面波共振子、表面波フィルタあるいはエラスティックコンボルバなどの様々な表面波装置に適用することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の非限定的な実施例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0019】
41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板(以下、単に41°Y−X LiNbO3 基板と略す)は、減衰を伴う漏洩弾性表面波(リーキー波)を発生する表面波基板として知られている。しかしながら、従来、漏洩弾性表面波は、伝搬に伴う減衰が大きいため、使用できないと考えられていた。
【0020】
上記41°Y−X LiNbO3 基板上に、種々の誘電体薄膜を形成したところ、漏洩弾性表面波が励振されるだけでなく、十分な電気機械結合係数Ksが得られることが認められた。
【0021】
以下、上記41°Y−X LiNbO3 基板上にZnO薄膜を形成した場合を例に取り説明する。
41°Y−X LiNbO3 基板及びZnO薄膜の両方において、下記の圧電基本式、運動方程式及びMaxwellの方程式が成立する。
【0022】
【数1】
Figure 0003951379
【0023】
漏洩弾性表面波を励振させるには、これらの式が、ZnO薄膜表面及びZn薄膜と41°Y−X LiNbO3 基板との境界において、それぞれの境界条件を満たすような音速を求めればよい。
【0024】
他方、圧電基板上にIDTを形成した場合、次の式に基づいて、インターデジタル電極が存在する境界において、電気的に短絡した場合の音速Vf と、開放した場合の音速Vf から電気機械結合係数Kが求められる。
【0025】
【数2】
Figure 0003951379
【0026】
図1は、上記41°Y−X LiNbO3 基板の+面上に、種々の膜厚でZnO薄膜を形成してなる圧電基板を用いた場合の表面波の音速Vf ,Vm を測定した結果を示す。なお、図1において、○及び●は、上記LiNbO3 基板の+面上にZnO薄膜を形成した場合の表面波(漏洩弾性表面波もしくはラブ波)の音速を示し、○は境界がフリーの場合の音速Vf を、●は境界がメタライズられた場合の音速Vm である。なお、△及び▲は、LiNbO3 基板の+面上にZnO薄膜を形成した場合のレイリー波の音速を示し、△は境界がフリーの場合の音速Vf を、▲は境界がメタライズされている場合の音速Vm である。
【0027】
また、図3は、LiNbO3 基板の−面上にZnO薄膜を形成した場合の漏洩弾性表面波、ラブ波及びレイリー波の音速を示す図であり、○、●、△及び▲は、それぞれ、図1と同じ意味を示す。
【0028】
図1及び図3から明らかなように、上記LiNbO3 基板の+面及び−面の何れの側にZnO薄膜を形成した場合でも、Vf とVm との差が存在することにより、漏洩弾性表面波あるいはラブ波が励振されることがわかる。
【0029】
また、図1及び図3から明らかなように、レイリー波については、境界がフリーの場合の音速Vf と、メタライズされている場合の音速Vm との差がほとんどなく、従って、レイリー波はほとんど励振されないことがわかる。しかも、レイリー波の成分は、漏洩弾性表面波の音速Vf と音速Vm との間には存在しないため、上記41°Y−X LiNbO3 基板上にZnO薄膜を形成した構造では、レイリー波の成分の影響を受け難いことがわかる。
【0030】
図2は、上記41°Y−X LiNbO3 基板の+面上にZnO薄膜を種々の膜厚で形成した場合の電気機械結合係数Kを示し、図4は、同じ基板の−面上にZnO薄膜を種々の膜厚で形成した場合の電気機械結合係数Kを示す図である。
【0031】
図2及び図4を比較すれば明らかなように、ZnO薄膜を上記LiNbO3 基板の+面及び−面の何れに形成した場合でも、電気機械結合係数Kがほぼ同等であり、もっとも、+面上に形成した場合、電気機械結合係数Kが若干大きくなることがわかる。
【0032】
電気機械結合係数Kの最大値は、図2から明らかなように、ZnO圧電薄膜の漏洩弾性表面波の波長λで規格化した膜厚H/λ=0.045で、約0.46と非常に大きいことがわかる。また、H/λが、0.045以下で、漏洩弾性表面波が良好に励振されることがわかる。すなわち、ZnO薄膜の膜厚を非常に薄くした場合でも、漏洩弾性表面波を効果的に励振し得ることがわかる。
【0033】
加えて、H/λが0.45以下の範囲では、ZnO薄膜の膜厚が厚くなるに従って、電気機械結合係数Kが大きくなることがわかる。
従って、電気機械結合係数Kが比較的大きいため、上記41°Y−X LiNbO3 基板を用いることにより、広い帯域を有する表面波装置を提供し得ることがわかる。
【0034】
また、ZnO薄膜の膜厚を薄くし得るため、伝搬に伴って減衰し易い漏洩弾性表面波の減衰を抑制することができ、それによって良好な特性の表面波装置を提供し得ることもわかる。
【0035】
また、41°Y−X LiNbO3 基板の周波数温度係数TCFは正であり、ZnO薄膜はその周波数温度係数が負の値を有することが広く知られている。従って、上記41°Y−X LiNbO3 基板とZnO薄膜とを組み合わせた場合、周波数温度特性を改善し得ることもわかる。
【0036】
次に、上記結果に基づいて、41°回転YカットX伝搬LiNbO3 基板上にZnO薄膜を形成してなる圧電基板を用いて、端面反射型表面波共振子を作製した実験例につき説明する。
【0037】
図5は、端面反射型表面波共振子を示す概略斜視図である。端面反射型表面波共振子1は、圧電基板2を用いて構成されている。圧電基板2は、41°Y−XLiNbO3 基板2a上にZnO薄膜2bを積層した構造を有する。圧電薄膜2bの下面、すなわち、LiNbO3 基板2aの上面に、図示のように、一対のくし歯電極3a,3bを形成した。なお、くし歯電極3aの複数本の電極指と、くし歯電極3bの複数本の電極指は互いに間挿し合うように配置されている。また、くし歯電極3a,3bのうち、最外側の電極指は、LiNbO3 基板2の対向2端面2c,2dと上面とのなす端縁に沿うように形成されている。
【0038】
端面反射型表面波共振子1を作製するにあたり、LiNbO3 基板2aとして、2.18×2.8×厚み0.5mmであり、X方向に表面波が伝搬するように、くし歯電極3a,3bをアルミニウムを用いて形成した。くし歯電極3a,3bについては、重み付けを施さず、正規型IDTを構成するように形成した。また、アルミニウムの膜厚は6000Åとし、λは85.5μmとし、IDTにおけるメタライゼーション比は0.5、電極指交差幅は25λ、電極指の対数は25対とした。
【0039】
また、ZnO圧電薄膜2bの厚みHは、H/λ=0.027とした。
上記のようにして作製した端面反射型表面波共振子1のインピーダンス−周波数特性を、図6に示す。
【0040】
比較のために、ZnO圧電薄膜を形成しなかったこと、並びにLiNbO3 基板の裏面にダイシングにより複数本の溝を形成したことを除いては、上記実施例の端面反射型表面波共振子と同様にして、比較例1の端面反射型表面波共振子を作製した。この比較例1の端面反射型表面波共振子のインピーダンス−周波数を図7に示す。
【0041】
共振周波数をfr、反共振周波数をfaとした場合、図7に示す比較例1の端面反射型表面波共振子の共振特性では、(fa−fr)/frは8.1%であるのに対し、図6に示した実施例の端面反射型表面波共振子では、(fa−fr)/frは9.6%に増加している。すなわち、広帯域化が図られていることがわかる。
【0042】
また、図6及び図7を比較すると、実施例の端面反射型表面波共振子では、共振点及び反共振点におけるQの若干の劣化が見られるが、これは実用上問題がない程度である。
【0043】
従って、図6及び図7の比較から、本発明に従って、ZnO圧電薄膜を上記41°Y−X LiNbO3 基板上に積層することにより、より広帯域の表面波装置を提供し得ることがわかる。
【0044】
また、上記LiNbO3 基板の裏面をダイシング加工せず、ZnO圧電薄膜を積層しなかったことのみを除いては、実施例と同様にして構成された端面反射型表面波共振子を比較例2の表面波共振子として作製し、その共振特性を測定した。結果を図8に示す。
【0045】
なお、図8の実線Aが、比較例2の端面反射型表面波共振子の共振特性を、破線が上述した比較例1の端面反射型表面波共振子の共振特性を示す。図8から明らかなように、ZnO圧電薄膜を積層しなかった場合、LiNbO3 基板の裏面にダイシング加工を施さなければ、共振特性上に、特に反共振点近傍及び反共振点よりも高周波数側に、図示の多数のスプリアスが発生していることがわかる。これは、バルク波のLiNbO3 基板底面における反射に起因するスプリアスと考えられる。
【0046】
バルク波は、漏洩弾性表面波とは異なり、LiNbO3 基板のほぼ全厚みに渡って伝搬し、該バルク波の底面における反射が無視できないため、上記のようなスプリアスが表れているものと考えられる。従って、ZnO薄膜を積層しなかった場合には、上記のようにLiNbO3 基板の底面を粗面に加工しなければ、バルク波の反射に起因するスプリアスを抑圧することができなかった。
【0047】
これに対して、図6から明らかなように、本実施例の端面反射型表面波共振子では、LiNbO3 基板の底面を粗面に加工せずとも、上記ZnO圧電薄膜を積層することにより、バルク波の反射に起因するスプリアスが抑圧されていることがわかる。すなわち、LiNbO3 基板上にZnO薄膜を形成することにより、バルク波の反射に起因するスプリアスを抑制することができ、良好な共振特性が得られる。これは、以下の理由によると考えられる。
【0048】
一般に、バルク波は、IDTにおいて電気的に直接励振されて発生したり、あるいは、表面波がグレーティング反射器に到達した場合に表面波の反射に際して、表面波からバルク波へのモード変換が生じることにより発生したりする。IDTも構造上グレーティング反射器と同様と見なされるため、IDTにおいても表面波のバルク波へのモード変換が生じると考えられる。この場合、IDTの電極指部分の音響インピーダンスと、電極指間の間隙における音響インピーダンスとの差(電界短絡効果と質量負荷効果)が大きいほど、バルク波への変換効率が高くなる。
【0049】
ところが、本実施例では、ZnO薄膜がLiNbO3 基板上に積層されているため、電極指部分と、電極指間の間隙との音響インピーダンス差が小さくされ、表面波のバルク波への変換効率が低められ、バルク波に起因する不要スプリアスが抑制されているものと考えられる。
【0050】
加えて、上記ZnO薄膜が、IDTに対してパッシベーション膜としての役割をも果たし、IDTの電極指の腐食や金属粉による短絡も生じ難い。
上記実施例として制作した端面反射型表面波共振子1を7個用い、ラダー型フィルタを作製した。このようにして得たラダー型フィルタのフィルタ特性を図9に示す。
【0051】
図9から明らかなように、このラダー型フィルタでは、挿入損失が、1.9dB、帯域外減衰量が約30dB、3dB通過帯域が45.2〜50.0MHzと、実用上問題のないことがわかる。すなわち、漏洩弾性表面波を利用した上記端面反射型表面波共振子を用い、実用に供用し得るラダー型フィルタを構成し得ることがわかる。
【0052】
なお、本発明は、上記41°Y−X LiNbO3 基板上に、該LiNbO3 基板に比べて漏洩弾性表面波の音速が遅い誘電体薄膜を形成してなる圧電基板を用いたことに特徴を有するものであり、誘電体薄膜としては、上記実施例に示したZnO圧電薄膜だけでなく、CdS薄膜やTa2 5 薄膜などの他の圧電薄膜を用いてもよく、あるいはSiO2 、PbS、Nb2 5 などの圧電性を有しない誘電体薄膜を用いてもよい。
【0053】
CdS圧電薄膜を上記LiNbO3 基板の+面上に形成した場合の規格化膜厚H/λと音速との関係を図10に、規格化膜厚H/λと電気機械結合係数Ksとの関係を図11に示す。同様に、Ta2 5 薄膜を41°Y−X LiNbO3 基板上に形成した場合の、Ta2 5 薄膜の規格化膜厚H/λと音速との関係、並びに該規格化膜厚H/λと電気機械結合係数Ksとの関係を、それぞれ、図12及び図13に示す。
【0054】
図10〜図13から明らかなように、CdS薄膜及びTa2 5 薄膜を用いた場合、H/λを0.035以下とすれば、漏洩弾性表面波を効率よく励振することができ、大きな電気機械結合係数の得られることがわかる。従って、ZnO薄膜を形成した上記実施例と同様に、広い帯域を有し、かつ共振特性が良好な表面波装置を提供し得ることがわかる。
【0055】
PbSまたはNb2 5 圧電薄膜を上記LiNbO3 基板の+面上に形成した場合の規格化膜厚H/λと音速との関係を図14に、規格化膜厚H/λと電気機械結合係数Ksとの関係を図15に示す。
【0056】
図14,15から明らかなように、PbSまたはNb2 5 薄膜を用いた場合も漏洩弾性表面波を効率よく励振することができ、大きな電気機械結合係数の得られることがわかる。従って、ZnO薄膜を形成した上記実施例と同様に、広い帯域を有し、かつ共振特性が良好な表面波装置を提供し得ることがわかる。
【0057】
なお、本発明は、上記圧電基板を用いており、かつ漏洩弾性表面波を利用した表面波装置に関するものであり、表面波装置の具体的な構造、すなわち、IDTの数及び形状等については、特に限定されるものではなく、従来より公知の構造を適宜採用し得る。
【0058】
すなわち、上述した端面反射型表面波共振子に限らず、例えば、図16に示す表面波共振子11のように、IDT12の両側にグレーティング反射器13,14を配置した反射器付きの表面波共振子であってもよい。なお、図16において、16を圧電基板を、16aは41°Y−X LiNbO3 基板、15bは誘電体薄膜を示す。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係る表面波装置では、41°±3°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板上に、該LiNbO3 基板より表面波の音速の遅い材料からなり、CdSまたはTa からなる電薄膜が形成されている圧電基板を用いているため、漏洩弾性表面波を効率よく励振することができ、かつ電気機械結合係数が十分な大きさとされる。従って、漏洩弾性表面波を利用して、広帯域の表面波装置を提供することができる。
【0060】
また、41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板は、温度係数Tcが60〜65ppmと小さいことが知られているため、表面波装置の周波数温度特性も良好なものとなる。
【0061】
電薄膜として、CdSまたはTa2 5 のような圧電薄膜を用いているので、該圧電薄膜の周波数温度特性の係数TCFが負であり、上記、Y−X LiNbO3 基板の周波数温度特性の係数TCFが正であるため、より一層温度特性の良好な表面波装置を提供することができる。
【0062】
CdS薄膜やTa2 5 膜の規格化膜厚H/λ0.035以下とされているので、漏洩弾性表面波を良好に励振することができ、かつ伝搬に伴う減衰を抑制し得るので、良好な共振特性を有する表面波装置を提供し得る。
【0063】
また、本発明に係る表面波装置を端面反射型の表面波装置とした場合には、反射器を有せず、従って、小型であり、かつ漏洩弾性表面波のIDT外への伝搬が生じないため、漏洩弾性表面波を利用して一層良好な共振特性を有する表面波装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の+面上にZnO薄膜を形成してなる圧電基板におけるZnO薄膜の相対的膜厚H/λと、励振される各種表面波の音速との関係を示す図。
【図2】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の+面上にZnO薄膜を形成してなる圧電基板のZnO薄膜の相対的膜厚H/λと、電気機械結合係数との関係を示す図。
【図3】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の−面上にZnO薄膜を形成してなる圧電基板を用いた場合のZnO薄膜の相対的膜厚H/λと、表面波の音速との関係を示す図。
【図4】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の−面上にZnO薄膜を形成した場合のZnO薄膜の相対的膜厚H/λと、電気機械結合係数との関係を示す図。
【図5】本発明の一実施例の端面反射型表面波共振子を示す斜視図。
【図6】図5に示した端面反射型表面波共振子の共振特性を示す図。
【図7】比較のために用意した、ZnO薄膜が積層されていない端面反射型表面波共振子の共振特性を示す図。
【図8】比較のために用意した、ZnO薄膜が形成されていない端面反射型表面波共振子において、底面に溝加工した場合と、溝加工を施さなかった場合の共振特性を示す図。
【図9】図5に示した端面反射型表面波共振子を複数用いて構成されたラダー型フィルタのフィルタ特性を示す図。
【図10】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の+面上にCdS薄膜を形成してなる圧電基板におけるCdS薄膜の相対的膜厚H/λと、励振される各種表面波の音速との関係を示す図。
【図11】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の+面上にCdS薄膜を形成してなる圧電基板のCdS薄膜の相対的膜厚H/λと、電気機械結合係数との関係を示す図。
【図12】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の+面上にTa2 5 薄膜を形成してなる圧電基板におけるTa2 5 薄膜の相対的膜厚H/λと、励振される各種表面波の音速との関係を示す図。
【図13】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の+面上にTa2 5 薄膜を形成してなる圧電基板のTa2 5 薄膜の相対的膜厚H/λと、電気機械結合係数との関係を示す図。
【図14】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の+面上にPbSまたはNb2 5 薄膜を形成してなる圧電基板におけるPbSまたはNb2 5 薄膜の相対的膜厚H/λと、励振される各種表面波の音速との関係を示す図。
【図15】41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板の+面上にPbSまたはNb2 5 薄膜を形成してなる圧電基板のPbSまたはNb2 5 薄膜の相対的膜厚H/λと、電気機械結合係数との関係を示す図。
【図16】本発明が適用される表面波装置の一例としての反射器付き表面波共振子を示す斜視図。
【符号の説明】
1…表面波装置としての端面反射型表面波共振子
2…圧電基板
2a…41°Y板X伝搬LiNbO3 基板
2b…ZnO薄膜
3a,3b…くし歯電極
11…表面波共振子
12…IDT
13,14…反射器
15…圧電基板
15a…41°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板
15b…誘電体薄膜

Claims (3)

  1. 41°±3°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板と、前記LiNbO3 基板上に形成されており、かつ前記LiNbO3 基板に比べて表面波伝搬速度が遅い材料よりなる圧電薄膜とを有する圧電基板と、
    前記圧電基板に設けられたインターデジタルトランスデューサとを備え、漏洩弾性表面波を利用するように構成されており、
    前記圧電薄膜がCdS薄膜であり、その膜厚をH、励振される漏洩弾性表面波の波長をλとしたときに、H/λが、0.035以下である、表面波装置。
  2. 41°±3°回転Y板X伝搬LiNbO3 基板と、前記LiNbO3 基板上に形成されており、かつ前記LiNbO3 基板に比べて表面波伝搬速度が遅い材料よりなる圧電薄膜とを有する圧電基板と、
    前記圧電基板に設けられたインターデジタルトランスデューサとを備え、漏洩弾性表面波を利用するように構成されており、
    前記圧電薄膜がTa2 5 薄膜であり、その膜厚をH、励振される漏洩弾性表面波の波長をλとしたときに、H/λが、0.035以下である、表面波装置。
  3. 端面反射型の表面波装置である、請求項1または2に記載の表面波装置。
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