JPH11205081A - 弾性表面波フィルタ - Google Patents
弾性表面波フィルタInfo
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Abstract
のスプリアスを抑える。 【解決手段】 入力側および出力側のIDT4、6を含
み、IDT4、6はアルミニウムなどの薄膜を水晶から
成る圧電基板8上に被着させて形成され、基板8上に間
隔をおいて配置されている。各IDT4、6の各電極指
12の幅は、共振時の弾性表面波の波長の1/4となっ
ている。そして、電極指1本当たりの反射係数をε、入
力側および出力側のIDT4、6を構成する電極指12
の総対数をNとしたとき、Nε≧0.55が成立するよ
うに反射係数εおよび総対数Nが設定されている。ま
た、弾性表面波伝送路の開口長をW(波長)、フィルタ
の中心周波数をf(Hz)、電極指の膜厚をH(m)と
したとき、fH≦−17.5W+210が成立するよう
に開口長W、中心周波数f、電極指の膜厚Hが設定され
ている。
Description
側のIDTを相互に間隔をおいて圧電基板上に形成した
弾性表面波フィルタに関するものである。
を示す平面図である。この弾性表面波フィルタ102
は、水晶などから成る圧電基板104上に、弾性表面波
変換器である入力側および出力側のIDT(Inter
Digital Transducer)106、1
08を相互に間隔をおいて形成して成り、各IDT10
6、108の各電極指112の幅は、共振時の弾性表面
波の波長をλとしてλ/4となっている。そして、ID
T106、108の一方の電極114はそれぞれ入力端
子116および出力端子118に接続され、もう一方の
電極120は共に接地されている。
入力端子116より交流信号を供給すると、IDT10
6により圧電基板104上に弾性表面波が励起され、I
DT106を構成する各電極指112の延在方向に直交
する方向に伝播し、IDT106、108の間で多重反
射を繰り返しながら定在波を形成し、そしてIDT10
8で受信されて出力端子118より電気信号として出力
される。このような構成の弾性表面波フィルタ102
は、弾性表面波が上記方向に伝播し、その伝播方向と同
一方向に分布するモードの共振を利用していることから
縦モード共振器型弾性表面波フィルタとも呼ばれてい
る。
波数特性を示すグラフである。図中、横軸が周波数、縦
軸が減衰率をそれぞれ表している。帯域通過フィルタで
ある弾性表面波フィルタ102の理想的な周波数特性
は、中心周波数f近辺の通過帯域においてのみ信号を通
過させるというものであるが、実際には中心周波数から
離れた箇所においても信号はある程度通過してしまい、
その現象は周波数特性上ではスプリアスとして現れる。
特に、縦モード共振器型弾性表面波フィルタである弾性
表面波フィルタ102では、中心周波数より高い領域
に、特有のスプリアス122が発生し、帯域外減衰量を
低下させ帯域通過フィルタとしての周波数特性が劣化す
る原因となっていた。
ような縦モード共振器形弾性表面波フィルタに特有のス
プリアスの発生を抑えて周波数特性を改善した弾性表面
波フィルタを提供することにある。
するため、複数対の電極指から成る入力側および出力側
のIDTを相互に間隔をおいて圧電基板上に形成した弾
性表面波フィルタにおいて、前記電極指の反射係数を
ε、前記入力側および出力側のIDTを構成する前記電
極指の総対数をNとして、Nε≧0.55が成立し、前
記入力側および出力側のIDTにより形成される弾性表
面波伝送路の開口長をW(波長)、フィルタの中心周波
数をf(Hz)、前記電極指の膜厚をH(m)として、
fH≦−17.5W+210が成立する、構成としたこ
とを特徴とする。本発明の弾性表面波フィルタでは、N
ε≧0.55が成立するように電極指の反射係数εおよ
びIDTの電極指の総対数Nを設定し、かつ、fH≦−
17.5W+210が成立するように弾性表面波伝送路
の開口長W、フィルタの中心周波数f、ならびに電極指
の膜厚をHを設定するので、IDTにおけるバルクモー
ド変換が増大し、その結果、縦モード共振器型弾性表面
波フィルタに特有のスプリアスが抑圧され、帯域通過フ
ィルタとしての周波数特性が改善される。
にもとづき図面を参照して説明する。図1は本発明によ
る弾性表面波フィルタの一例を示す平面図である。本実
施例の弾性表面波フィルタ2は、帯域通過フィルタとし
て機能する縦モード共振器型弾性表面波フィルタであ
り、入力側および出力側のIDT4、6を含み、IDT
4、6は本実施例ではアルミニウムあるいはアルミニウ
ム合金の薄膜をSTカット水晶基板8(以下、圧電基板
8ともいう)上に被着させて形成され、圧電基板8上に
相互に間隔をおいて配置されている。各IDT4、6は
それぞれ複数対のインタデジタル形電極から成り、各電
極指12の幅は、共振時の弾性表面波の波長をλとして
λ/4となっている。IDT4、6の一方の電極14は
それぞれ入力端子16および出力端子18に接続され、
もう一方の電極20は共に接地されている。
の反射係数(すなわち音響インピーダンス不連続係数)
をε、入力側および出力側のIDT4、6を構成する電
極指の総対数をNとしたとき、[数1]が成立するよう
に反射係数εおよび電極指の総対数Nが設定されてい
る。
に0.55以上に設定するということは、弾性表面波導
波路全体の反射係数を1.5以上に設定することと等価
であり、この値は、本実施例の弾性表面波フィルタ2の
ような一般的構成の縦モード共振器型弾性表面波フィル
タにおいて既存の技術により実現可能である。
表面波伝送路の開口長をW(波長)、フィルタの中心周
波数をf(Hz)、電極指の膜厚をH(m)としたと
き、[数2]が成立するように開口長W、中心周波数
f、電極指の膜厚Hが設定されている。なお、開口長が
W(波長)とは、開口長が、共振状態の弾性表面波の波
長のW倍であることを表している。
極指の膜厚Hを従来どうりとした場合は、弾性表面波伝
送路の開口長Wを従来の弾性表面波フィルタにくらべて
短くすることになる。
の基本的な動作は従来の弾性表面波フィルタ2と同じで
ある。すなわち、入力端子16より交流信号を供給する
と、IDT4により圧電基板8上に弾性表面波が励起さ
れ、IDTを構成する各電極指12の延在方向に直交す
る方向に伝播し、IDT4、6の間で多重反射を繰り返
しながら定在波を形成し、そしてIDT6で受信されて
出力端子18より電気信号として出力される。
では、上記[数1]、[数2]が成立するように上記パ
ラメータが設定されているため、IDT4、6における
バルクモード変換が増大し、その結果、縦モード共振器
型弾性表面波フィルタに特有のスプリアスが抑圧され、
帯域通過フィルタとしての周波数特性が改善される。図
2は、この弾性表面波フィルタ2の周波数特性を示すグ
ラフであり、横軸が周波数、縦軸が減衰率をそれぞれ表
している。図2を、従来の弾性表面波フィルタ102の
周波数特性を示す図9と比べるて分るように、本実施例
の弾性表面波フィルタ2では、中心周波数fより高域側
に発生する縦モード共振器型弾性表面波フィルタに特有
のスプリアス22が大きく減少し、帯域通過フィルタと
しての周波数特性が改善されている。なお、図2におい
て点線24は従来の弾性表面波フィルタ102の場合の
スプリアス122(図9)のレベルを示している。
3は本発明の第2の実施例を示す平面図である。図中、
図1と同一の要素には同一の符号が付されており、それ
らに関する詳しい説明はここでは省略する。この弾性表
面波フィルタ26では、入力側および出力側のIDT
4、6を挟んで1対のグレーティング反射器28、30
が圧電基板8上に形成され、さらに、IDT4、6なら
びに1対のグレーティング反射器28、30の組みが圧
電基板8上に2組み形成されている。これらのグレーテ
ィング反射器28、30も、IDT4、6と同様、本実
施例ではアルミニウムまたはアルミニウム合金の薄膜を
圧電基板8上に被着させることで形成されている。各グ
レーティング反射器28、30により形成される弾性表
面波伝送路の開口長は、IDT4、6により形成される
弾性表面波伝送路の開口長Wにほぼ一致している。ま
た、各IDT4の電極14は共に入力端子16に接続さ
れ、各IDT6の電極14は共に出力端子18に接続さ
れている。一方、各IDT4の電極20および各IDT
6の電極20はいずれも接地されている。
ィルタ26では、上記[数1]、[数2]を満たすべ
く、電極指12の総対数Nと電極指1本当たりの反射係
数εとの積Nεは3.9に設定され、中心周波数fと電
極指12の膜厚Hとの積fHは70に、弾性表面波導波
路の開口長Wは5.5(波長)にそれぞれ設定されてい
る。
表面波フィルタ26において、入力端子16より交流信
号を供給すると、各IDT4により圧電基板8上に弾性
表面波が励起され、IDT4を構成する各電極指12の
延在方向に直交する方向に伝播し、IDT4、6および
グレーティング反射器28、30の間で多重反射を繰り
返しながら定在波を形成し、そして各IDT6で受信さ
れて出力端子18より電気信号として出力される。
の周波数特性を示すグラフ、図5は従来の弾性表面波フ
ィルタの周波数特性を示すグラフである。これらの図に
おいて、横軸は周波数を表し、縦軸は減衰率を表してい
る。また、従来の弾性表面波フィルタでは、第2の実施
例の弾性表面波フィルタ26と同一条件とするため、弾
性表面波伝送路の開口長を11(波長)(すなわち5.
5×2)とした。図4および図5でそれぞれ矢印A、B
の付近に発生しているスプリアスのレベルを比較する
と、図4に示した本実施例の弾性表面波フィルタ26の
周波数特性では、図5の従来の場合に比べ、スプリアス
は10dB以上抑圧され、弾性表面波フィルタ26の帯
域通過フィルタとしての特性は大幅に改善されているこ
とが分る。そして、この第2の実施例の構成では、2つ
のIDT4、6がそれぞれ並列に接続されているので、
上記実施例の場合に比べ入力および出力インピーダンス
を抑えることができ、入力および出力インピーダンスを
上昇させることなくスプリアスを抑圧することができ
る。
性表面波フィルタにおいて、パラメータをどのように設
定することでスプリアスの抑圧効果が得られるかを明確
にするため、パラメータが異なる種々の弾性表面波フィ
ルタを実際に作製し、スプリアスのレベルを調べた。図
6はその結果を示すグラフである。図中、横軸は開口長
Wを表し、縦軸は中心周波数fと電極指の膜厚Hとの積
を表している。そして、グラフ中の○および×はそれぞ
れ作製した弾性表面波フィルタに対応しており、○はス
プリアスのレベルが従来に比べ3dB以上抑圧(すなわ
ち1/2以下に抑圧)された場合を表し、×はそのよう
な抑圧効果が得られなかった場合を表している。
直線32の上または直線32の左側に存在し、×は直線
32の右側に存在する。したがって、直線32上および
直線32より左側では十分にスプリアスの抑圧効果が得
られ、一方、直線32の右側では十分なスプリアスの抑
圧効果が得られないことになる。そして、この直線はf
H=−17.5W+210により表され、したがって、
[数2]を満たすべく開口長W、中心周波数f、電極指
の膜厚Hを設定することで、スプリアスを抑圧できる。
7は本発明の第3の実施例を示す平面図である。図中、
図3と同一の要素には同一の符号が付されている。この
弾性表面波フィルタ34が第2の実施例の弾性表面波フ
ィルタ26と異なるのは、IDT4、6ならびに1対の
グレーティング反射器28、30の組みがさらに1組み
追加されている点である。そして、各IDT4の電極1
4はすべて入力端子16に接続され、各IDT6の電極
14はすべて出力端子18に接続されている。また、各
IDT4、6の電極20はすべて接地されている。この
ような構成では、3つのIDT4、6がそれぞれ並列に
接続されているので、第2の実施例の場合よりさらに、
入力および出力インピーダンスを抑えることができ、入
力および出力インピーダンスを上昇させることなくスプ
リアスを抑圧することができる。
カット水晶基板により構成されているとしたが、圧電基
板8としては、水晶基板に限らず、リチウムタンタレー
ト(LiTaO3)、リチウムナイオベート(LiNb
O3)、あるいは四ほう酸リチウム(Li2B4O7)
などを用いてもよく、同様の効果を得ることができる。
電極指から成る入力側および出力側のIDTを相互に間
隔をおいて圧電基板上に形成した弾性表面波フィルタに
おいて、前記電極指の反射係数をε、前記入力側および
出力側のIDTを構成する前記電極指の総対数をNとし
て、Nε≧0.55が成立し、前記入力側および出力側
のIDTにより形成される弾性表面波伝送路の開口長を
W(波長)、フィルタの中心周波数をf(Hz)、前記
電極指の膜厚をH(m)として、fH≦−17.5W+
210が成立する、構成としたことを特徴とする。すな
わち、本発明の弾性表面波フィルタでは、Nε≧0.5
5が成立するように電極指の反射係数εおよびIDTの
電極指の総対数Nを設定し、かつ、fH≦−17.5W
+210が成立するように弾性表面波伝送路の開口長
W、フィルタの中心周波数f、ならびに電極指の膜厚を
Hを設定するので、IDTにおけるバルクモード変換が
増大し、その結果、縦モード共振器型弾性表面波フィル
タに特有のスプリアスが抑圧され、帯域通過フィルタと
しての周波数特性が改善される。
平面図である。
である。
性を示すグラフである。
グラフである。
すグラフである。
である。
グラフである。
T、8……STカット水晶基板(圧電基板)、10……
インタデジタル形電極、12……各電極指、14……電
極、16……入力端子、18……出力端子、20……電
極、22……スプリアス、24……点線、26……弾性
表面波フィルタ、28……グレーティング反射器、30
……グレーティング反射器、32……直線、34……弾
性表面波フィルタ、102……弾性表面波フィルタ、1
04……圧電基板、106……IDT、108……ID
T、112……電極指、114……電極、116……入
力端子、118……出力端子、120……電極、122
……スプリアス。
Claims (7)
- 【請求項1】 複数対の電極指から成る入力側および出
力側のIDTを相互に間隔をおいて圧電基板上に形成し
た弾性表面波フィルタにおいて、 前記電極指の反射係数をε、前記入力側および出力側の
IDTを構成する前記電極指の総対数をNとして、Nε
≧0.55が成立し、 前記入力側および出力側のIDTにより形成される弾性
表面波伝送路の開口長をW(波長)、フィルタの中心周
波数をf(Hz)、前記電極指の膜厚をH(m)とし
て、fH≦−17.5W+210が成立する、 構成としたことを特徴とする弾性表面波フィルタ。 - 【請求項2】 前記入力側および出力側のIDTを挟ん
で1対のグレーティング反射器が前記圧電基板上に形成
されていることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波
フィルタ。 - 【請求項3】 前記入力側および出力側のIDTならび
に前記1対のグレーティング反射器の組みが前記圧電基
板上に複数組み形成され、前記入力側のIDTどうし、
および前記出力側のIDTどうしが並列に電気的に接続
されていることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波
フィルタ。 - 【請求項4】 前記入力側および出力側のIDTならび
に前記1対のグレーティング反射器の組みが前記圧電基
板上に2組みまたは3組み形成されていることを特徴と
する請求項3記載の弾性表面波フィルタ。 - 【請求項5】 前記圧電基板は水晶、リチウムタンタレ
ート、リチウムナイオベート、四ほう酸リチウムのいず
れかにより形成されていることを特徴とする請求項1記
載の弾性表面波フィルタ。 - 【請求項6】 前記圧電基板はSTカット水晶基板であ
ることを特徴とする請求項5記載の弾性表面波フィル
タ。 - 【請求項7】 前記電極指はアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金により形成されていることを特徴とする請求
項1記載の弾性表面波フィルタ。
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