JP3688419B2 - 弾性表面波フィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は弾性表面波フィルタに関し、特に複数の弾性表面波共振子を組み合わせて構成した弾性表面波フィルタに関する。また本発明は特に移動体通信に用いられる弾性表面波フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信分野の発展はめざましく、様々なシステムが開発されている。これらの移動体通信システムに用いられている通信機器の小型化に伴って、使用される電子部品もその小型化が求められている。
【0003】
通信機器の性能を左右する電子部品のひとつにフィルタがある。移動体通信機器に用いる際に求められるフィルタ特性は、低損失、広帯域、急峻な帯域外減衰特性である。一般的に、弾性表面波フィルタはこのような要求を満足する電子部品であるため、近年、移動体通信機器に多く用いられている。
【0004】
しかし、弾性表面波フィルタは電気信号を弾性表面波という機械的なエネルギーに変換した後、再び電気信号に変換するといった動作原理から、挿入損失が大きいという課題を有し、低損失化を実現するために様々な方式が提案、検討されている。
例えば、一方向性のフィルタや、複数のIDΤ(Inter DigitalTransducer)を組み合わせたIIDT方式、共振特性を利用した共振子型フィルタや、ラダー型フィルタ等がある。特に移動体通信機器では、通信機器の小型化という観点より、複雑なチューニング回路を必要とせず、フィルタそのものが小型である共振特性を利用した共振子型フィルタや、複数の1ポート型弾性表面波共振子を直列・並列に組み合わせたラダー型フィルタが主流となっている。
また、最近では共振子型フィルタとラダー型フィルタ双方の利点を活かした共振子型フィルタとラダー型フィルタとを組み合わせた複合型のフィルタも提案されている。
【0005】
従来、1ポート型弾性表面波共振子を利用したラダー型フィルタや、共振子型フィルタとラダー型フィルタとの複合型フィルタに用いられる1ポート型弾性表面波共振子では、この弾性表面波共振子のΙDΤの最端部の電極指の中心から、この電極指と対向する反射器(グレーティング状反射器)最端部の電極指の中心まで距離Ρは、IDTの励振する弾性表面波の波長λで規格化されており、用いる圧電性基板にとって最も挿入損失が小さくなるように固定されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、共振子型フィルタや1ポート型弾性表面波共振子を直列、並列に接続しているラダー型およびその複合型のフィルタ等の共振特性を利用したフィルタでは広帯域で低損失なフィルタを比較的容易に作成することができるが、その特性はフィルタが有している反射器の反射特性とΙDTを構成している電極指の本数に依存するために、設計の自由度が小さく所望のフィル夕特性を得ることが困難であるという問題がある。
【0007】
従来、所望の特性を得るためには、共振子フィルタの場合、共振子の対数を変えたり、IDTの周波数と反射器の周波数とを変えるといった手段がとられており、またラダー型フィルタの場合、直列共振子のIDTと並列共振子のIDTが有する容量の比を調節することによって設計の自由度を上げていた。しかしながら、フィルタの入出力インピーダンスが制限されることの多い移動体通信用フィルタでは、これらの手法でフィルタの特性を向上し、また設計の自由度を向上することには限界があった。
【0008】
また、1ポート型弾性表面波共振子を用いるラダー型フィルタや共振子型フィルタとラダー型フィルタの複合型フィルタでは、1ポート型弾性表面波共振子に生じる高次の縦モードや横モードによるスプリアスが構成したフィルタの帯域内特性に悪影響を及ぼし、フィルタの平坦性が阻害したり、最悪の場合このスプリアスがノッチとして現れてしまうために、必要な帯域幅を確保できないといった問題が生じている。
【0009】
通常の1ポート型弾性表面波共振子では、これら高次モードのスプリアスを抑制するために次の2つの手法を用いている。
【0010】
縦モードによるスプリアスの抑圧には、IDTと反射器のピッチを変えること、すなわちIDTと反射器の周波数の関係を調節することにより、発生する高次モードスプリアスの周波数が共振効率の低下する周波数になるようにしている。しかし、1ポート型弾性表面波共振子の基本的特性は反射器のストップバンドの幅とその特性により制限されるため、IDΤと反射器のピッチを変える方法には限界があり、IDTの周波数が反射器のストップバンド内にはいる範囲内でしか制御することができないという問題がある。
【0011】
また、横モードによるスプリアスの抑制には、ΙDTを構成している電極指の交差幅を、IDT内の互いに交差する櫛歯状電極指1組ずつ変化させるといった、ΙDT内での弾性表面波の励振強度で制御する方法(いわゆるアポダイズによる重み付け方式)が一般的であるが、この方式では1ポート型弾性表面波共振子の開口長が、前述の重み付け方式を採用しなかった場合と比べて大きくなること、また1ポート型弾性表面波共振子自体の挿人損失が大きくなるといった問題がある。このため、移動体通信用弾性表面波フィルタで用いられるラダー型フィルタや共振子型フィルタとラダー型フィルタの複合型フィルタにこの方法を適用することは困難である。
【0012】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものである。すなわち本発明は、通過周波数帯域が広く、かつ低損失な弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。また本発明は、特に移動体通信に用いられる通過周波数帯域が広く、かつ低損失なRF用弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【0013】
さらに本発明は、移動体通信用途に適した特性を有するだけでなく、設計の自由度の高い弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の弾性表面波フィルタは、圧電性基板と、この圧電性基板上で入出力端子を接続する信号伝送線路上に直列に配置され、第1のIDTと、この第1のIDTの弾性表面波の励振方向に第1のIDTを挟むように配設された第1の反射器とを有し、互いに隣接する第1のIDTの電極指と第1の反射器の電極指との中心間距離がP1 (P 1 =λ 1 /2、ただしλ 1 は第1のIDTが励振する弾性表面波の波長)であるような第1の弾性表面波共振子と、前記圧電性基板上で、前記信号伝送線路と基準電位との間に第1の弾性表面波共振子と並列に接続して形成され、第2のIDTと、この第2のIDTの弾性表面波の励振方向に第2のIDTを挟むように配設された第2の反射器とを有し、互いに隣接する第2のIDTの電極指と第2の反射器の電極指との中心間距離がP2 2 ≠λ 2 /2、ただしλ 2 は第2のIDTが励振する弾性表面波の波長であり、0.56λ 2 〜0.63λ 2 を除く)であるような第2の弾性表面波共振子とを具備したことを特徴とする。
【0015】
本発明の弾性表面波フィルタが備える弾性表面波共振子は、第1の弾性表面波共振子、第2の弾性表面波共振子それぞれ1個ずつに限ることなく、第1の弾性表面波共振子または第2の弾性表面波共振子を多段に接続するようにしてもよい。また、第1の弾性表面波共振子、第2の弾性表面波共振子の以外にも、これらとは構成の異なる弾性表面波共振子、弾性表面波フィルタなどを接続するようにしてもよい。
【0018】
さらに、第1の弾性表面波共振子の共振周波数をfr1、反共振周波数をfar1 とし、第2の弾性表面波共振子の共振周波数をfr2、反共振周波数をfar2 としたとき、fr2<far1 であり、かつfr1とfar2 とはほぼ等しくなるように設定するようにしてもよい。
【0019】
本発明の通過周波数帯域の形成方法は、第1のIDTと、この第1のIDTの弾性表面波の励振方向に第1のIDTを挟むように配設された第1の反射器とを有し、互いに隣接する第1のIDTの電極指と第1の反射器の電極指との中心間距離がP1 (P 1 =λ 1 /2、ただしλ 1 は第1のIDTが励振する弾性表面波の波長)であるような第1の弾性表面波共振子を、圧電性基板上で入出力端子を接続する信号伝送線路上に直列に間挿するとともに、第2のIDTと、この第2のIDTの弾性表面波の励振方向に第2のIDTを挟むように配設された第2の反射器とを有し、互いに隣接する第2のIDTの電極指と第2の反射器の電極指との中心間距離がP2 2 ≠λ 2 /2、ただしλ 2 は第2のIDTが励振する弾性表面波の波長であり、0.56λ 2 〜0.63λ 2 を除く)であるような第2の弾性表面波共振子とを、前記圧電性基板上で、前記信号伝送線路と基準電位との間に第1の弾性表面波共振子と並列に間挿することを特徴とする。
【0020】
第1の弾性表面波共振子と第2の弾性表面波共振子とは、第1の弾性表面波共振子の互いに隣接する第1のIDTの電極指と第1の反射器の電極指との中心間距離P1 を、第1のIDTが励振する弾性表面波の波長をλ1 としたとき、
Ρ1 ={(4/8)×n×λ} (nは1以上の整数)
を満たすとともに、第2の弾性表面波共振子の互いに隣接する第2のIDTの電極指と第2の反射器の電極指との中心間距離P2 を、第2のIDTが励振する弾性表面波の波長をλ2 としたとき
2 ={(1/8)×(4n−1)×λ} (nは1以上の整数)
を満たすように設定するようにしてもよい。
【0021】
同様に、第1の弾性表面波共振子と第2の弾性表面波共振子とは、第1の弾性表面波共振子の互いに隣接する第1のIDTの電極指と第1の反射器の電極指との中心間距離P1 を、第1のIDTが励振する弾性表面波の波長をλ1 としたとき、
Ρ1 ={(1/8)×(4n−1)×λ} (nは1以上の整数)
を満たすとともに、第2の弾性表面波共振子の互いに隣接する第2のIDTの電極指と第2の反射器の電極指との中心間距離P2 を、第2のIDTが励振する弾性表面波の波長をλ2 としたとき
2 ={(4/8)×n×λ} (nは1以上の整数)
を満たすように設定するようにしてもよい。
【0022】
さらに、第1の弾性表面波共振子の共振周波数をfr1、反共振周波数をfar1 とし、第2の弾性表面波共振子の共振周波数をfr2、反共振周波数をfar2 としたとき、far2 <far1 であり、かつfr1 とfr2 とがほぼ等しくなるように設定するようにしてもよい。
【0023】
すなわち本発明の弾性表面波フィルタは、圧電性基板上に、導体薄膜からなる櫛歯型電極を互いに交差させてなるインターディジタル変換器(IDT:Inter Digital Transducer)と、このIDTの励振する弾性表面波の励振方向に、IDTを挟み込むように配設された導体薄膜からなるグレーティング(周期摂動回路)状の反射器とを有する弾性表面波共振子を、複数個圧電性基板上に接続した弾性表面波フィルタであって、IDTによって励振される弾性表面波の波長(λ)で規格化された弾性表面波共振子のIDTの最端部の電極指と、この電極指と対向する反射器の電極指との中心間距離をPとしたとき、少なくとも1個の弾性表面波共振子のPの値は、他の弾性表面波共振子のPの値と異なるものである。
【0024】
つまり本発明の弾性表面波フィルタは、共振効率・挿入損失よりも周波数特性を重視したものである。従来の移動体通信用弾性表面波フィルタに用いられていた1ポート型弾性表面波共振子のIDTの端部の電極指の中心から、この電極指と対向する反射器端部の反射器の中心までのλで規格化された距離Ρが、挿入損失に固執するあまり、用いる圧電性基板にとって損失が最も小さくなるような値で固定してあり、自ら設計自由度を低く拘束していた。
【0025】
前述した課題を解決するために本発明の弾性表面波フィルタにおいては、ΙDTの最端部の電極指の中心から、この電極指と対向する反射器の最端部の反射器の中心までの、弾性表面波共振子のIDTの励振する弾性表面波の波長λで規格化された中心間距離Ρが異なる複数の1ポート型弾性表面波共振子を少なくとも1個備えたものである。
そして、このようなΙDTの最端部の電極指と、この電極指と対向する反射器の最端部の電極指との中心間距離Pが異なる複数の弾性表面波共振子を、弾性表面波フィルタの入出力端子間に直列および並列に間挿することにより、通過周波数帯域が広く、帯域外減衰特性が急峻で、挿入損失が小さい弾性表面波フィルタを構成することができる。
【0026】
このような本発明の弾性表面波フィルタは、ΙDTの最端部の電極指と、この電極指と対向する反射器の最端部の電極指との中心間距離Pを調節することにより、所望の周波数にトラップを形成することができ、設計の自由度が大きく向上する。このことは、同一構成の弾性表面波フィルタにおいて、比較的限定の少ないパラメータを変化させることにより、様々な用途の弾性表面波フィルタを提供できることを意味する。
【0027】
一般に、1ポート型弾性表面波共振子の特性はΙDTの対数、IDΤと反射器の周波数の関係に依存している。 しかしながら、先に述べたようにIDΤの対数による弾性表面波共振子の特性制御はフィルタのインピーダンスにより制限される。
また、IDTと反射器の周波数を制御する方法も反射器のストップバンドの幅により制限されることになる。
【0028】
一方、従来の弾性表面波フィルタでは、IDTと反射器との距離は、IDTの励振する弾性表面波の波長λで規格化されており、用いる圧電性基板にとって最も挿入損失が小さくなるように固定されている。
しかしながら、IDTと反射器との距離Pは前述のような制限を受けることはない。したがって、距離Pを変化させることにより、限られた設計パラメータ内で1ポート型弾性表面波共振子の特性は制御される。
【0029】
通常の1ポート型弾性表面波共振子のIDTの端部の電極指の中心から対面する反射器端部の反射器の中心までの距離Ρは基板の種類によって異なるが、もっとも挿入損失の少ないλ/2の倍数、もしくはλ/2の倍数よりλ/8を引いたものどちらか一方が選択される。
これは、反射器による弾性表面波の反射源には電気的なものと音響的なものとがあり、電気的な反射はλ/2の倍数が、音響的な反射はλ/2の倍数よりλ/8を引いたものが最も共振効率がよいため、圧電性基板の有している反射源が電気的なものが支配的な場合と、音響的なものが支配的な場合とにより選択している。
【0030】
しかしながら、移動体通信用の弾性表面波フィルタを構成する1ポート型弾性表面波共振子においては、従来のように、必ずしもこれらの代表的なΡの値を選択する必要はない。
すなわち、IDTと反射器との距離Ρを共振効率で最適化した場合、反射器による反射効率が最大になるため、不必要な高次モードのスプリアスも誘発しやすいのである。先に述べたように装置の大きさ、挿入損失、インピーダンスに制限がある移動体通信用フィルタにおいては、高次モードスプリアスの抑制手法が限られている。また、移動体通信用弾性表面波フィルタを構成する1ポート型弾性表面波共振子は、共振点近傍でフィルタの帯域を作成し反共振点近傍で不必要な周波数を除外するトラップを作成するものである。したがって、本発明の弾性表面波フィルタは、共振効率・挿入損失よりも周波数特性を重視したものであり、IDTの最端部の電極指と、この電極指と対向する反射器の電極指との中心間隔Pを変化させている。そして、このようなPを変化させた複数の弾性表面波共振子を組み合わせて接続して弾性表面波フィルタを構成することにより、帯域外減衰特性を急峻にするとともに、弾性表面波フィルタの設計の自由度を大きく向上したものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の弾性表面波フィルタについてさらに詳細に説明する。
【0032】
(実施形態1)
図1は本発明の弾性表面波フィルタの構成の1例を模式的に示す図であり、図2は図1の弾性表面波フィルタの構成の1例を概略的に示す図である。図3は図2の弾性表面波共振子の一部を拡大して示す図である。
本発明の弾性表面波フィルタは、圧電性基板上に形成した少なくとも2個の弾性表面波共振子を有する弾性表面波フィルタであって、第1の弾性表面波共振子11の第1のIDT13の最端部の電極指13aと、この電極指13aと隣接する反射器14の電極指14aとの中心間距離P1 と、第2の弾性表面波共振子12の第2のIDT15の最端部の電極指15aと、この電極指15aと隣接する反射器16の電極指16aとの中心間距離をP2 とを調節することにより特性を制御したものである。
【0033】
例えば第1の弾性表面波共振子13は、1個の第1のIDT13を1対の反射器14で挟み込んだ構造の1ポート型弾性表面波共振子であり、第1のIDT13の最端部の電極指13aと、この電極指13aと対向する反射器14の電極指14aとの中心間隔をP1 に設定している(図3(a)参照)。一方、第2の弾性表面波共振子も、1個の第2のIDT15を1対の反射器16で挟み込んだ構造の弾性表面波共振子であるが、第2のIDT15の最端部の電極指15aと、この電極指15aと対向する反射器16の電極指16aとの中心間隔をP2 に設定している(図3(b)参照)。
そして、このようなIDTの最端部の電極指と、この電極指と対向する反射器の電極指との中心間隔Pを変化させた複数の弾性表面波共振子を組み合わせて弾性表面波フィルタを構成することにより、帯域外減衰特性を急峻にするとともに、弾性表面波フィルタの設計の自由度を大きく向上することができる。
【0034】
(実施形態2)
本発明の弾性表面波フィルタを、64°YカットΧ伝搬LiNbO3 基板を用いた900MHz帯のRFフィルタに適用した例について説明する。
【0035】
図4、図5、図6、図7はIDΤ及び反射器の中心周波数を900MHzに設定した1ポート型弾性表面波共振子を入出力信号経路間に直列に配置したときの共振特性を示す図であり、IDΤの最端部の電極指の中心から、この電極指と対面する反射器の最端部の電極指の中心までの距離Ρをλ/2から、λ/8ずつ増加していったときの共振特性の変化を示している。なお、図4乃至図7に示した共振特性はP以外のパラメータを共通にしてSmithの等価回路によるシミレーションで求めたものであり、圧電性基板として64゜YカットΧ伝搬のLiNbO3 を用い、この圧電性基板上に50対の電極指を有するIDTと、100本の電極指を有する反射器(グレーティング)を、厚さ約2000オングストロームのAl合金で作成した弾性表面波共振子について求めたものである。
図4はP=λ/2に設定した場合の共振特性を、図5はP={(λ/2)+(λ/8)}に設定した場合の共振特性を、図6はP={(λ/2)+(2λ/8)}に設定した場合の共振特性を、図7はP={(λ/2)+(3λ/8)}に設定した場合の共振特性をそれぞれ示している。
【0036】
例えば図4はPの値を従来からLiNbO3 基板で採用されていたλ/2に設定した弾性表面波共振子を入出力端子間の直列接続したときの共振特性を示したものである。この場合、共振点と反共振点のレベル差は大きく、深いトラップを形成することができるが、共振点、反共振点の周波数間隔は約20MHzあり、急峻性に欠けるという問題を有する。これを図5、図6、図7のように、Ρを変化させていくことにより、共振点、反共振点間に新たなトラップが出現することがわかる。この場合トラップレベルは浅いものとなるが、急峻性は向上することができる。
【0037】
図8、図9、図10、図11は図4、図5、図6、図7と同様の1ポート型弾性表面波共振子を入出力信号経路に対して並列に配置したときの共振特性を示す図である。図8乃至図11においても図4乃至図7と同様に、Pを変化させた場合、従来この圧電性基板で採用されていたΡ=λ/2の場合(図8)と比較して、新たなトラップが出現し、急峻性を変化させることができる。
【0038】
図4乃至図7、図8乃至図11に示したように弾性表面波共振子を入出力信号経路間に直列、並列いずれに配置した場合においても、IDΤの最端部の電極指の中心から、この電極指と対面する反射器の最端部の電極指の中心までの距離Pの値を変化させることにより、この1ポート型弾性表面波共振子の特性を大きく変化させることができる。
【0039】
すなわち、システムにより要求される弾性表面波フィルタの特性に合わせて、IDΤの最端部の電極指の中心から、この電極指と対面する反射器の最端部の電極指の中心までの距離Pを変化させた複数の1ポート型弾性表面波共振子を直列、並列に組み合わせて接続することにより、従来のように特定の値のPを有する1ポート型弾性表面波共振子のみで構成されている弾性表面波フィルタに比べ、設計の自由度を大きく向上することができる。
【0040】
弾性表面波フィルタの通過帯域に用いる周波数帯域は、直列配置の場合は最小損失点より低域側になり、並列配置の場合には最小損失点より高域側になる。そして図4乃至図7、図8乃至図11から、このような通過周波数帯域がフラットになるのは、相互に対向するIDTと反射器の電極指の中心間距離Ρが、電気的に反射効率のよいλ/2の倍数である場合か、もしくは音響的に反射効率のよいλ/2の倍数からλ/8だけ小さくした場合であることがわかる。したがって、本発明の弾性表面波フィルタを、相互に対向するIDTと反射器の電極指の中心間距離Ρをλ/2の倍数、もしくはλ/2の倍数からλ/8だけ小さく設定した弾性表面波共振子により構成するようにすれば、より平坦性の高い弾性表面波フィルタを形成することができる。
【0041】
(実施形態3)
本発明者は、実際に上述のような構成を有する本発明の弾性表面波フィルタを作成し、その特性を測定した。
【0042】
図12は本発明の弾性表面波フィルタの構成の別の1例を概略的に示す図であり、図13は図12の弾性表面波フィルタの電極パターンの1例を模式的に示す図である。図14、図15は図13に例示した電極パターンを一部拡大して示す図である。
圧電性基板としては、図4乃至図7、図8乃至図11と同様に64°YカットΧ伝搬LiNbO3 を用いた。また、IDT、反射器を含む電極パターンは、圧電性基板上にスパッタ法などにより形成した膜厚約2000オングストロームのアルミニウム薄膜をフォトエッチングプロセスによりパターニングして形成した。 この弾性表面波フィルタは、入力端子17と出力端子18との間にIDTを3個有する共振子型弾性表面波フィルタ20と、1ポート型の第1の弾性表面波共振子21とを直列に間挿し、また1ポート型の第2の弾性表面波共振子22を、3IDTの共振子型弾性表面波フィルタ20と基準電位19aとの間に、第1の弾性表面波共振子21と並列に間挿したものである。
【0043】
3IDTの共振子型弾性表面波フィルタ20の中心周波数は940MHzに設定した。また、第1の弾性表面波共振子21、第2の弾性表面波共振子22とも、50対の電極指よりなるIDΤと、100本の電極指からなる1対の反射器とから構成され、IDTの中心周波数と、反射器の中心周波数は等しくなるように設定した。
【0044】
入出力端子間に直列に接続した1ポート型の第1の弾性表面波共振子21の相互に対向するIDT23の電極指23aと反射器24の電極指24aの中心間距離Ρはλ/2に設定し、また、第1の弾性表面波共振子21と並列に、基準電位19aとの間に間挿した1ポート型の第2の弾性表面波共振子22の相互に対向するIDT25の電極指25aと反射器26の電極指26aの中心間距離Ρを7λ/8に設定した。
なお、第1の弾性表面波共振子21の中心周波数と第2の弾性表面波共振子22の中心周波数は、形成する通過周波数帯域のトラップの位置に合わせてそれぞれ設定し、またインピーダンス整合をとるために開口長は変えてあるものの、他のパラメータは図4乃至図11の弾性表面波共振子と同様に同じに設定した。
【0045】
図16はこの弾性表面波フィルタの周波数特性を示すグラフ(シミュレーション)であり、IDTを3個有する共振子型弾性表面波フィルタ20、第1の弾性表面波共振子21、第2の弾性表面波共振子22それぞれ単体でシミレーションした特性を示している。開口長を変えているために、1ポート型の第1の弾性表面波共振子21、第2の弾性表面波共振子22の特性が、図4乃至図7、図8乃至図11と若干異なっているが、特性のプロファイルの傾向は図4乃至図7、図8乃至図11と同じである。
【0046】
図17は、図16でそれぞれ単体の特性として示したIDTを3個有する共振子型弾性表面波フィルタ20、第1の弾性表面波共振子21および第2の弾性表面波共振子22を合成して1つの弾性表面波フィルタとしたときの特性をシミュレーションした結果を示すグラフである。
また、図18は図13に例示した本発明の弾性表面波フィルタ実際に作成し、その周波数特性を測定した結果を示すグラフである。
【0047】
従来この圧電性基板で採用されていた相互に対向するIDTの電極指と反射器の電極指との中心間距離、すなわちλ/2とは異なるΡの値を有するにもかかわらず、実際に作成した本発明の弾性表面波フィルタの周波数特性を測定結果は、シミュレーションと同じく良好であった。すなわち、広い通過周波数帯域を有し、かつ帯域外減衰特性が急峻であり、本発明の弾性表面波フィルタの有効性が実験的に確認された。
【0048】
なお、本実施例では直列に接続した1ポート型弾性表面波共振子のP値をλ/2に、並列に接続した1ポート型弾性表面波共振子のΡ値を7λ/8に設定した組み合わせで弾性表面波フィルタを構成したが、Pの値はこれに限ることはなく必要に応じて設定するようにすればよい。例えば図4乃至図7、図8乃至図11に示したようなP値を組み合わせるようにしてもよい。
【0049】
また、上述の例では64°YカットΧ伝搬のLiNbO3 からなる圧電性基板を用いて説明したが、本発明はこれに限定されることなく、他の圧電性基板、例えばLiTaO3 、Li2 4 7 、SiO2 などにも全く同様に適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の弾性表面波フィルタはIDTの最端部の電極指と、この電極指と対向する反射器の電極指の中心間距離Pが異なる複数の弾性表面波共振子を組み合わせることにより、広い通過周波数帯域と急峻な帯域外減衰特性を得ることができる。また、本発明の弾性表面波フィルタは、従来とは異なり、IDTの最端部の電極指と、この電極指と対向する反射器の電極指の中心間距離Pを変化させて弾性表面波共振子を形成することにより、トラップの位置、減衰特性を変化させることができ、弾性表面波フィルタの設計の自由度を大幅に向上することができる。また、IDTの最端部の電極指と、この電極指と対向する反射器の電極指の中心間距離Pを共振効率、挿入損失で最適化される値からはずして設定することにより不要なスプリアスの誘発を抑制し、帯域内特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性表面波フィルタの構成の1例を模式的に示す図。
【図2】弾性表面波共振子の構成の1例を概略的に示す図。
【図3】図2の弾性表面波共振子の一部を拡大して示す図。
【図4】直列接続した1ポート型弾性表面波共振子の共振特性を示す図(P=λ/2の場合)。
【図5】直列接続した1ポート型弾性表面波共振子の共振特性を示す図(P={(λ/2)+(λ/8)}の場合)。
【図6】直列接続した1ポート型弾性表面波共振子の共振特性を示す図(P={(λ/2)+(2λ/8)の場合)。
【図7】直列接続した1ポート型弾性表面波共振子の共振特性を示す図(P={(λ/2)+(3λ/8)}の場合)。
【図8】並列接続した1ポート型弾性表面波共振子の共振特性を示す図(P=λ/2の場合)。
【図9】並列接続した1ポート型弾性表面波共振子の共振特性を示す図(P={(λ/2)+(λ/8)}の場合)。
【図10】並列接続した1ポート型弾性表面波共振子の共振特性を示す図(P={(λ/2)+(2λ/8)の場合)。
【図11】並列接続した1ポート型弾性表面波共振子の共振特性を示す図(P={(λ/2)+(3λ/8)}の場合)。
【図12】本発明の弾性表面波フィルタの構成の別の1例を概略的に示す図。
【図13】図12の弾性表面波フィルタの電極パターンの1例を模式的に示す図。
【図14】図13に例示した電極パターンを一部拡大して示す図(直列椀)。
【図15】図13に例示した電極パターンを一部拡大して示す図(並列椀)。
【図16】図13の弾性表面波フィルタ、第1の弾性表面波共振子、第2の弾性表面波共振子それぞれの周波数特性を示すグラフ。
【図17】図13の弾性表面波フィルタ全体の周波数特性を示すグラフ。
【図18】図13の本発明の弾性表面波フィルタの周波数特性を測定した結果を示すグラフ。
【符号の説明】
11……第1の弾性表面波共振子、 12……第2の弾性表面波共振子
13……第1のIDT、 13a……電極指
14……第1の反射器、 14a……電極指
15……第2のIDT、 15a……電極指
16……第2の反射器、 16a……電極指
17……入力端子、 18……出力端子
19、19a……基準電位
20……3IDT弾性表面波フィルタ
21……第1の弾性表面波共振子、 22……第2の弾性表面波共振子
23……第1のIDT、 23a……電極指
24……第1の反射器、 24a……電極指
25……第2のIDT、 25a……電極指
26……第2の反射器、 26a……電極指

Claims (2)

  1. 圧電性基板と、
    この圧電性基板上で入出力端子を接続する信号伝送線路上に直列に配置され、第1のIDTと、この第1のIDTの弾性表面波の励振方向に第1のIDTを挟むように配設された第1の反射器とを有し、互いに隣接する第1のIDTの電極指と第1の反射器の電極指との中心間距離がP1 (P 1 =λ 1 /2、ただしλ 1 は第1のIDTが励振する弾性表面波の波長)であるような第1の弾性表面波共振子と、
    前記圧電性基板上で、前記信号伝送線路と基準電位との間に第1の弾性表面波共振子と並列に接続して形成され、第2のIDTと、この第2のIDTの弾性表面波の励振方向に第2のIDTを挟むように配設された第2の反射器とを有し、互いに隣接する第2のIDTの電極指と第2の反射器の電極指との中心間距離がP2 2 ≠λ 2 /2、ただしλ 2 は第2のIDTが励振する弾性表面波の波長であり、0.56λ 2 〜0.63λ 2 を除く)であるような第2の弾性表面波共振子とを具備したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
  2. 第1の弾性表面波共振子の共振周波数をfr1、反共振周波数をfar1とし、第2の弾性表面波共振子の共振周波数をfr2、反共振周波数をfar2としたとき、fr2<far1であり、かつfr1とfar2とはほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波フィルタ。
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