JP4014630B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

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Description

[技術分野]
本発明は、移動体通信機器の中間周波フィルタ等に使用される弾性表面波装置に関するものである。
[背景技術]
弾性表面波装置によるフィルタは、小型、軽量、高性能なため、移動体通信などの通信機器、放送機器、測定装置などに多く使用されている。従来、アナログ通信方式で使用される中間周波フィルタは、狭帯域特性が要求され、加えて、中心周波数の温度変化が小さく、帯域外減衰特性にも厳しいものが要求される。このような用途には、STカット水晶基板を用い、3dB比帯域幅(以下、比帯域幅と略す)が0.33〜1.0%程度であるトランスバーサル型弾性表面波フィルタなどが使用されていた。
ところが、周波数の有効利用や秘話性などのため、移動体通信などにおいて、アナログ通信方式からデジタル通信方式への移行が進んでいる。デジタル通信方式に用いられる中間周波フィルタは、比帯域幅が0.2〜0.5%程度と比較的広く、群遅延時間が平坦で、減衰特性もアナログ通信方式用の中間周波フィルタを越える特性が要求されている。特に、移動体通信用の携帯機器では、小型で低消費電力が要求され、弾性表面波フィルタとしても小型で、最小挿入損失が低く、帯域外減衰特性とシェイプファクタが良いものが求められている。そのため、従来からさまざまな検討が行なわれている。
第1の従来例として、2個の櫛形電極からなるトランスバーサル型弾性表面波フィルタが知られている。このフィルタは、所望の振幅特性と位相特性を独立に設計できるという利点を有している。
しかしながら、トランスバーサル型弾性表面波フィルタは、挿入損失が大きく、0.2〜0.5%程度の比帯域幅を得るためには、多数の電極指が必要であり、そのため素子が大きくなり、また、帯域外減衰量も十分でない。
また、低損失で小型な弾性表面波フィルタとして、弾性表面波共振子フィルタが知られている。しかしながら、この弾性表面波共振子フィルタも、トランスバーサル型弾性表面波フィルタと同様に、挿入損失と帯域外減衰量を考慮して、その構造を決定していただけであり、所望の群遅延時間特性を得ることは困難であった。
第2の従来例として、1977年10月に発行された日本音響学会誌に記載された多対のIDTと反射器を用いた2端子対弾性表面波共振器フィルタが知られている(小山田弥平、吉川正吉郎、「多対IDTを用いた2端子対弾性表面波共振器」、日本音響学会誌第33巻第10号、第557〜564頁、1977年10月)。
このフィルタは、水晶基板上に完全周期構造の2個の櫛形電極とその両外側に反射器を配置し、規格化アルミニウム膜厚が1.25%、開口長が15L(Lは反射器周期)、各櫛形電極の対数が300対、各反射器の本数が200本である。終端インピーダンスを50Ωとして測定すると、最小挿入損失3dB、比帯域幅0.033%、帯域外減衰量30dBのフィルタ特性が得られる。
さらに、良好な帯域外減衰量を得るために、上述した電極構造列を2つ縦続接続すると、最小挿入損失が6dB、比帯域幅が0.028%、帯域外減衰量が70dBのフィルタ特性が得られている。
しかしながら、この従来例の場合、群遅延時間特性は不明であり、その比帯域幅も狭い。また、挿入損失が大きいため、より低損失化が望まれていた。
第3の従来例として、1986年6月に発行された東洋通信機技報に記載された縦結合2重モードSAW共振器フィルタが知られている(田中昌喜、森田孝夫、小野和男、中沢祐三、「縦結合2重モードSAW共振器による高周波低損失フィルタ」、東洋通信機技報、No.39、第9〜16頁、1986年6月)。
このフィルタは、Xカット112°Y伝搬タンタル酸リチウム基板上に、各櫛形電極対数50対の2個の櫛形電極と両外側に400本の反射器を配置したものである。このフィルタは、ATカット水晶の厚みすべり振動を利用したモノリシッククリスタルフィルタに構造及び動作原理が類似していると記載されている。したがって、モノリシッククリスタルフィルタと類似の対称モードと反対称モードを利用した2重モードフィルタが可能である。
具体例として、規格化アルミニウム膜厚を2.5%とし、開口長を50LL(LLは櫛形電極の周期)とし、櫛形電極にコサインの重み付けをし、反射器周期を櫛形電極周期より僅かに広くすることにより、反対称モードについても高い反射率を得ている。つまり、高次モードである反対称モードの閉じ込め効率を良くしている。
さらに、良好な帯域外減衰量を得るために、上述した電極構造列を2つ縦続接続すると、最小挿入損失が2.2dB、比帯域幅が0.24%、帯域外減衰量が75dBのフィルタ特性が得られている。ここで、終端インピーダンスは、50Ωである。
しかしながら、この従来例の場合、通過帯域の低域側にいくつかのスプリアスがある。特に帯域近傍のスプリアスがあるため、中間周波フィルタとして利用することはできない。
また、この従来例では、群遅延時間特性が考慮されてない。そこで、本願発明者等は、この従来例について、中間周波フィルタとして重要な評価項目である群遅延時間特性を検討した。この従来例のフィルタの場合、開口長が50LLと広いために、櫛形電極のコサイン重み付けで抑圧されているとはいえ、本質的に横モードが帯域内に発生する。したがって、特に群遅延時間のリップルが大きく、中間周波フィルタとしては実用に耐えないことが判明した。
このような2重モードフィルタの動作原理は、バルク振動を利用したエネルギー閉じ込めモノリシッククリスタルフィルタにおいて良く知られている。所定の厚さを持つATカット水晶基板の表面と裏面に正負の電極を形成し、この電極を2組近接配置した2重モードモノリシッククリスタルフィルタにおいて、2組の電極の中央に関する対称性を利用し、電気的に等価な対称格子形回路を想定し、対称モードを表わす格子腕インピーダンスと反対称モードを表わす直列腕インピーダンスにおける共振周波数及び反共振周波数位置を調整することにより、帯域内特性が良好なフィルタを実現することができる。
ここで、帯域内リップルを低減するためには、いわゆる「周波数合わせ」をすることが有効であるとされている。しかしながら、直列腕インピーダンス又は格子腕インピーダンスの高周波側の反共振周波数は一致させなくても良いことも知られており、重要なことはフィルタの影像インピーダンスを平坦とすることである。
そこで、バルク振動を利用したモノリシッククリスタルフィルタの影像インピーダンスによる設計方法を参考に弾性表面波フィルタの影像パラメータについて考察してみる。
まず、トランスバーサル型弾性表面波フィルタにおいては、櫛型電極の双方向性損失に起因した本質的な損失があるため、電気的入出力端子での影像インピーダンスとの整合を考慮しても低損失フィルタが得られない。むしろ、トリプルトランジットエコーによるスプリアスを抑圧するために、影像インピーダンスの整合をしないことが行われていた。
ところが、弾性表面波共振子フィルタ等のエネルギー閉じ込め構造の場合、弾性表面波フィルタ内での損失が少なく、電気的入出力端子での影像インピーダンスの整合をとると、入出力端子での電気的反射損失が減少するため低損失フィルタが得られる。一般に、弾性表面波フィルタを表わす電気的等価回路の伝送行列要素は複素数であるため、その影像インピーダンスも複素数である。
1989年にウー・ホクホア等により共役影像インピーダンス法によるSAWフィルタの設計方法が発表されている(ウー・ホクホア、笠置昌克、坂本信義、「共役影像インピーダンス法による整合回路の設計(SAWフィルタへの応用)」、電子情報通信学会研究報告CPM89−72、第19〜24頁、1989年)。共役影像インピーダンス法により1個の弾性表面波伝搬トラックに形成されたIIDT構造の弾性表面波フィルタの整合回路の設計方法である。これによれば、周波数により変化する共役影像インピーダンスで終端した場合に得られる最小挿入損失限界において、挿入損失が大きい帯域内の周波数を終端周波数とし、この周波数における共役影像インピーダンス値を持つT型整合回路をインダクタとキャパシタで形成し、これで終端すると、帯域内が平坦な周波数応答が得られると報告されている。ただし、この文献には、影像パラメータの一部である伝達定数に関しては議論されていない。
第4の従来例として、特公平3−51330号公報に記載された縦型2重モードSAWフィルタが知られている。
このSAWフィルタは、STカット水晶基板又はタンタル酸リチウム基板上に1個の弾性表面波伝搬トラックを設け、2個の櫛型電極を伝搬方向に沿って直列に近接配置し、両外側に櫛形電極周期より広い周期を持つ反射器を配置し、2個の櫛形電極内に閉じ込められた対称及び反対称モードの2振動の周波数差が通過域のほぼ半分となるように、STカット水晶基板の場合には、櫛形電極総対数を600対以下、規格化開口長を5以上とし、タンタル酸リチウム基板の場合には、櫛形電極総対数を400対以下、規格化開口長を20以上とするものである。例えば、STカット水晶基板上に規格化アルミニウム膜厚2%、規格化開口長50、櫛形電極総対数200対、各反射器本数500本を形成すると、比帯域幅0.2%が得られている。
しかしながら、この従来例においても群遅延時間特性は考慮されてない。本願発明者等の検討によれば、この従来例の場合、通過帯域の低域側にいくつかのスプリアスが発生し、特に通過帯域近傍のスプリアスは、シェイプファクタを劣化させることが判った。このため、中間周波フィルタとして利用するためには、帯域近傍のスプリアスを抑圧する必要がある。なお、この従来例のフィルタは、対称モードと反対称モードとを利用していることから、一つの弾性表面波伝搬トラック内ではその中央に関する対称性を有している。
第5の従来例として、特開平7−95003号公報に記載された弾性表面波装置が知られている。Ns対の入力用IDTとNf対の出力用IDTを有する弾性表面波装置において、入力用IDTと出力用IDTの対数の和Ns+Nfの範囲を規定して、群遅延時間が平坦で、比帯域幅が比較的広く、低挿入損失の弾性表面波フィルタを実現している。しかしながら、特開平7−95003号の実施例の図9乃至図14に示されているように、通過帯域の低域側近傍にスプリアスが発生している。従って、通過帯域の低域側近傍のスプリアスの改善については言及されていない。なお、特開平7−95003号の比較例の図15乃至図17では通過帯域の低域側近傍のスプリアスが発生していないが通過帯域内の特性(例えば群遅延時間リップル、振幅リップル)が十分ではない。
第6の従来例として、特開昭64−82706号公報に記載された弾性表面波狭帯域フィルタが知られている。入力用すだれ状電極の両側に2つの出力用すだれ状電極が設けられた3IDT構造であって、入力用IDTの対数を出力用IDTの対数よりも少なくすることにより、低損失で狭帯域の弾性表面波フィルタを実現している。しかしながら、通過帯域の低域側近傍のスプリアスの改善については言及されていない。
第7の従来例として、特開平6−252693号公報に記載された音響波トランスジューサが知られている。第1の電極構造列にあるN1対のIDTを有する音響波トランスジューサと第2の電極構造列にあるN2対のIDTを有する音響波トランスジューサを縦続接続した音響波フィルタが開示されている。
第8の従来例として、特開昭59−37724号公報に記載された弾性表面波共振器型フィルタが知られている。入力用電極と出力用電極の電極指対数を異ならせ、入力用電極と出力用電極の共振周波数が一致するように電極指間隔を異ならせることにより、低損失で狭帯域の弾性表面波共振器型フィルタを実現している。しかしながら、この従来例は、反射器を持たない電極構造であり、通過帯域の高域側近傍のスプリアスを抑圧するものであり、通過帯域の低域側近傍のスプリアスの改善や帯域内リップルの改善については言及されていない。
このように、上述した従来の弾性表面波フィルタでは、デジタル通信方式に使用される中間周波フィルタに必要とされるような、比帯域幅が比較的広く、帯域外減衰量も大きく、特に、帯域近傍にスプリアスがなく、シェイプファクタが良く、小型、低挿入損失で、群遅延時間が平坦な特性を達成することができていなかった。
本発明の目的は、群遅延時間が平坦で、比帯域幅が比較的広く、低挿入損失でシェイプファクタが良く、帯域外減衰量の大きく、帯域の低減側近傍のスプリアスを抑圧し、横モードによるリップルの影響を改善した弾性表面波装置を提供することにある。
[発明の開示]
本願発明者等は、上記課題を解決するために、1986年12月に開催された第7回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウムにおいて清水により発表された弾性表面波共振子のエネルギー閉じ込めの考え方を、2個の櫛形電極とその外側に設けられた反射器からなる電極構造列を有する弾性表面波装置に拡張することを検討した。
清水により発表された弾性表面波共振子のエネルギー閉じ込めの考え方の内容は次の通りである(清水洋、「圧電共振子におけるエネルギー閉込め」、第7回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム講演予講集、第81〜86頁、1986年12月)。
まず、エネルギー閉じ込めモードは、単純な形状を持つ振動体の一部の領域に振動エネルギーが集中し、そこからある程度離れた領域では振動の変位も応力もゼロと見なせる、すなわち、原理的にゼロに漸近するような共振モードであると定義されている。そして、弾性表面波共振子の周期的なストリップ列の分散特性は後方波(backward wave)の分岐が生じるため、ストップバンドが形成され、そこでは伝搬定数が複素数になる。
櫛形電極の両側にグレーテイング反射器を配置した弾性表面波共振子は、複素分岐によるエネルギー閉じ込めを利用したものである。反射器周期を櫛形電極周期より僅かに広くし、櫛形電極部分のストップバンドの下端が反射器のストップバンドの中心付近にくるようにすれば、櫛形電極部分の伝搬定数が実数になる周波数で、反射器部分の伝搬定数が複素数になるので、良好な閉じ込め共振モードが実現される。
また、櫛形電極を反射器と連続な周期配列で構成した場合は、櫛形電極内の伝搬定数も反射器と同じ周波数で複素数となるから、櫛形電極の短絡時には共振モードが存在せず、櫛形電極の開放時には反共振モードが櫛形電極と反射器全体に閉じ込められた形になる。
なお、反射器を設けていない多対櫛形電極の場合の共振は、ストップバンド下端より僅かに低い周波数で起こり、帯域内全域において伝搬定数は実数になるから弾性表面波が完全反射されず、原理的に無損失であることがないので、エネルギー閉じ込めの範疇に入らないと記述されている。
この考え方を2個の櫛形電極とその両側の反射器からなる電極構造列を有する弾性表面波装置に拡張する。反射器の周期を2個の櫛形電極の周期よりわずかに広くし、櫛形電極部分のストップバンドの下端が反射器部分のストップバンドの中心付近にくるようにすれば、櫛形電極部分の伝搬定数が実数になる周波数で、反射器部分の伝搬定数が複素数になるので、良好な閉じ込め共振モードが実現される。この状態を完全エネルギー閉じ込めと呼ぶことにする。
また、2個の櫛形電極を反射器と連続な周期配列で構成した場合は、これらの櫛形電極内の伝搬定数も反射器と同じ周波数で複素数となるから、櫛形電極の短絡時には共振モードが存在せず、櫛形電極の開放時には反共振モードが櫛形電極と反射器全体に閉じ込められた形になると考えられる。
なお、この考え方で前述した従来例を分類すると、第1の従来例、第2の従来例、第8の従来例は、完全エネルギー閉じ込めではなく、第3の従来例、第4の従来例は、完全エネルギー閉じ込め構造と考えられる。その他の従来例については、反射器周期や櫛形電極周期が記載されていないので、完全エネルギー閉じ込め構造かどうか判断できない。
完全エネルギー閉じ込め構造の場合には、弾性表面波フィルタの外へ弾性表面波エネルギーが漏れないため、低損失でモノリシッククリスタルフィルタと類似の反対称モードが閉じ込められるため、広帯域幅が得られると考えられる。
一方、横モードを本質的に抑圧するには開口長を狭くすれば良いことが知られている。四ほう酸リチウムの場合、横モードスプリアスが問題とならない開口長は12L以下であり、STカット水晶の場合は15L以下であり、Xカット112°Y伝搬タンタル酸リチウムの場合は20L以下である。そして、開口長を狭くした場合の問題点は実数値を持つ終端インピーダンスとの整合がとれなくなることである。
比較例1は、四ほう酸リチウム単結晶の圧電基板上に、図16に示す電極構成を形成した弾性表面波装置である。2つの電極構造列を縦続接続した電極構成をしている。
第1の電極構造列10として、圧電基板上に、入出力用IDT11を設け、この入出力用IDT11の右側に、入出力用IDT11とほぼ同一周期で同一対数の接続用IDT12を設け、入出力用IDT11と接続用IDT12の外側に、反射器13、14を設けている。
第2の電極構造列20として、圧電基板上に、入出力用IDT21を設け、この入出力用IDT21の左側に、入出力用IDT21とほぼ同一周期で同一対数の接続用IDT22を設け、接続用IDT22と入出力用IDT21の外側に、反射器23、24を設けている。
第1の電極構造列10の接続用IDT12と第2の電極構造列20の接続用IDT22とは配線により接続され、第1の電極構造列10と第2の電極構造列20とが縦続接続されている。
この比較例1では、圧電基板として、45°回転XカットZ伝搬四ほう酸リチウム単結晶基板(Li247)を用いた。入出力用IDT11、21の対数N1及び接続用IDT12、22の対数N2は、それぞれ31.5対であり、反射器13、14、23、24の電極本数は60本である。反射器13、14、23、24の周期をLとして、入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22の櫛形電極の周期は0.9836L、櫛形電極間距離は0.4918Lである。入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22と、反射器13、14、23、24との間の距離は0.4959Lである。電極の規格化アルミニウム膜厚h/Lは1.7%である。開口長Wは7Lと比較的狭い。
図17に比較例1の2段縦続接続した弾性表面波装置の入力用IDT(又は出力用IDT)から見た共役影像インピーダンスと伝達定数を示し、図18に比較例1の通過特性を示す。周波数は櫛形電極のストップバンドの下端周波数で規格化した規格化周波数で表示してあり、通過帯域は伝達定数の実数部を外挿したときの周波数帯域で定義される。入力用IDTから見た共役影像インピーダンスと出力用IDTから見た共役影像インピーダンスは、その対称性から同一である。
図17に示すように、比較例1の共役影像インピーダンスは、帯域内において、その虚数部は189〜2043Ωの値であり、その実数部は300〜3280Ωの値であり、大きな周波数依存性を呈している。図18に示す比較例1の通過特性は、入出力端子での終端インピーダンスを2000Ωとして測定した。図18に示すように、比較例1には通過帯域内リップルが残っている。
ここで、入出力用IDT11、21と接続用IDT13、14を同じ対数として変化させても、通過特性の帯域内リップルは減少しなかった。そして、帯域内のどの周波数における共役影像インピーダンスの実数部の値で終端しても帯域内リップルが残った。
このときの弾性表面波装置の1個の電極構造列における入力用IDT(又は出力用IDT)側から見た共役影像インピーダンスと接続用IDT側から見た共役影像インピーダンスを図18に併せて示す。入出力用IDTの対数と接続用IDTの対数は等しいので入力用IDT(又は出力用IDT)側から見た共役影像インピーダンスと接続用IDT側から見た共役影像インピーダンスは等しくなる。
図18に示すように、接続用IDT側から見た共役影像インピーダンスは帯域内において虚数部を持つため、縦続接続面での整合が十分に取れていないことがわかる。そして、図17に示すように、入出力端子から見た共役影像インピーダンスの実数部及び虚数部、特に虚数部は、終端インピーダンス2000Ωと整合が取れず帯域内リップルの原因になっていることがわかる。
比較例2は、四ほう酸リチウム単結晶の圧電基板上に、図16に示す電極構成を形成した弾性表面波装置である。2つの電極構造列を縦続接続した電極構成をしている。比較例2の電極は、圧電基板は異なるものの、第4の従来例と基本的に同じ構造である。
この比較例2では、圧電基板として、45°回転XカットZ伝搬四ほう酸リチウム単結晶基板(Li247)を用いた。入出力用IDT11、21の対数N1及び接続用IDT12、22の対数N2は、それぞれ29.5対であり、反射器13、14、23、24の電極本数は60本である。反射器13、14、23、24の周期をLとして、入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22の櫛形電極の周期は0.9836L、櫛形電極間距離は0.4918Lである。入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22と、反射器13、14、23、24との間の距離は0.4959Lである。電極の規格化アルミニウム膜厚h/Lは1.7%である。開口長Wは350Lと比較的広い。
図19に比較例2の2段縦続接続した弾性表面波装置の入力用IDT(又は出力用IDT)側から見た共役影像インピーダンスと伝達定数を示し、図20に比較例2の通過特性を示す。図20に示す比較例2の通過特性は、入出力端子での終端インピーダンスを50Ωとして測定した。
図19において、入力用IDT側から見た共役影像インピーダンスと出力用IDT側から見た共役影像インピーダンスは、その対称性から同一であり、帯域内の周波数で実数部は約50Ω、虚数部は約0Ωである。したがって、終端インピーダンスを50Ωとした場合の通過特性は、図20に示すように、リップルが比較的少ない良好な帯域内特性となっている。
この場合において、弾性表面波伝搬トラック内の電極構造は、入出力IDTと接続用IDT間の中央に関して対称であるので、弾性表面波伝搬トラックの接続用IDT側の共役影像インピーダンスも、入出力端子側の共役影像インピーダンスと同一帯内の周波数において、実数部は約50Ω、虚数部は約0Ωである。したがって、縦続接続面における複素共役インピーダンスの整合が取れている。比較例2の帯域内特性は、最小挿入損失が2dB、比帯域幅が0.56%、帯域内の群遅延時間リップルが3μsec以下と、良好な電気的特性が得られた。
しかしながら、比較例2では、図20に示すように、反射器のストップバンド内の低域側に、大きなスプリアス1とスプリアス2とが発生している。特に、スプリアス1があるためにシェイプファクタに問題があり、良好なシェイプファクタが要求されるデジタル信号の中間周波フィルタとして使用できない。
また、比較例2では、開口長が350Lもあり、電極指抵抗の影響が大きく、最小挿入損失が増大する。さらに、移動体通信機器の第1中間周波として用いられる30MHz〜100MHzの周波数帯では、電極寸法が長大となり素子の大型化を招くという問題がある。
また、図20は、数値シミュレーションによる結果を図示したものであるので、横モードの影響について示されていないが、実際の弾性表面波素子の場合には、横モードによる帯域内リップルが発生する。櫛形電極のコサイン重み付けによりリップルを若干抑圧することができたとしても、本質的には帯域内リップルが存在するという問題がある。特に、群遅延時間特性のリップルは大きく、比較例2を中間周波フィルタとしては使用できない。
なお、一般的に知られているフィルタ理論の影像パラメータを用いる設計方法では、帯域は伝達定数の実数部がゼロである範囲として定義されているが、図19から明らかなように、弾性表面波フィルタの共役影像パラメータの一部である伝達定数の実数部は、全周波数範囲にわたってゼロとならない。そこで、本明細書では、伝達定数の実数部の包絡線の極小値が上述した従来のフィルタ理論における伝達定数の実数部がゼロの場合に対応していると考え、図19に示すように、伝達定数の実数部の外挿線が周波数軸と交差している位置の周波数範囲を帯域幅として定義することとする。
図16に示すように、2つの電極構造列を縦続接続した電極構成の場合、入出力端子において虚数部を持つ共役影像インピーダンスで終端するのが最も整合が取れている状態であることを考慮して、本願発明者等は電極構造の望ましい形態を考察した。
縦続接続面での共役影像インピーダンスは、縦続接続面での複素共役インピーダンスの整合を考えると、なるべく実数であることが望ましい。一方、入出力端子では上述したように虚数部を有する複素共役影像インピーダンスで整合するので、弾性表面波伝搬トラックにおける入出力IDT側の影像インピーダンスと接続用IDT側の影像インピーダンスは非対称となることが望ましい。一方、第4の従来例及び比較例2に対する検討から、弾性表面波フィルタにおいて、電極構造が対称であると共役影像インピーダンスも対称となることがわかる。
このことから、本願発明者等は、共役影像インピーダンスを非対称にするためには弾性表面波装置の電極構成を非対称にすればよいことに思い至り、本発明をなした。
したがって、本発明による弾性表面波装置は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの一側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの外側に配置された2つの反射器とを有する第1の電極構造列と、前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの他側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記接続用IDTと前記入出力用IDTの外側に形成された2つの反射器とを有し、前記第1の電極構造列と縦続接続された第2の電極構造列とを有する弾性表面波装置であって、前記入出力用IDTの対数N1と前記接続用IDTの対数N2とが異なり、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの規格化電極膜厚をh/Lとしたとき、前記入出力用IDTの対数N1が、次式
43−11(h/L)≦N1≦61−11(h/L)
を満足することを特徴とする。ここで、規格化電極膜厚は%表示である。なお、本明細書中の規格化電極膜厚もすべて%表示とする。
上述した弾性表面波装置において、前記入出力用IDTの対数N1が、次式
50−11(h/L)≦N1≦59−11(h/L)
を満足することが望ましい。
また、本発明による弾性表面波装置は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの一側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの外側に配置された2つの反射器とを有する第1の電極構造列と、前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの他側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記接続用IDTと前記入出力用IDTの外側に形成された2つの反射器とを有し、前記第1の電極構造列と縦続接続された第2の電極構造列とを有する弾性表面波装置であって、前記入出力用IDTの対数N1と前記接続用IDTの対数N2とが異なり、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの規格化電極膜厚をh/Lとしたとき、前記接続用IDTの対数N2と前記入出力用IDTの対数N1の比N2/N1が、次式
0.542−0.021(h/L)+0.029(h/L)2≦N2/N1≦0.734−0.028(h/L)+0.029(h/L)2
を満足することを特徴とする。
上述した弾性表面波装置において、前記接続用IDTの対数N2と前記入出力用IDTの対数N1の比N2/N1が、次式
0.597−0.020(h/L)+0.027(h/L)2≦N2/N1≦0.690−0.032(h/L)+0.031(h/L)2
を満足することが望ましい。
また、本発明による弾性表面波装置は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの一側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの外側に配置された2つの反射器とを有する第1の電極構造列と、前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの他側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記接続用IDTと前記入出力用IDTの外側に形成された2つの反射器とを有する弾性表面波装置であって、前記入出力用IDTの対数N1と前記接続用IDTの対数N2とが異なり、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの規格化電極膜厚をh/Lとしたとき、前記接続用IDTの対数N2と前記入出力用IDTの対数N1の比N2/N1が、次式
0.542−0.021(h/L)+0.029(h/L)2≦N2/N1≦0.734−0.028(h/L)+0.029(h/L)2
を満足し、前記入出力用IDTの対数N1が、次式
43−11(h/L)≦N1≦61−11(h/L)
を満足することを特徴とする。
上述した弾性表面波装置において、前記接続用IDTの対数N2と前記入出力用IDTの対数N1の比N2/N1が、次式
0.597−0.020(h/L)+0.027(h/L)2≦N2/N1≦0.690−0.032(h/L)+0.031(h/L)2
を満足し、前記入出力用IDTの対数N1が、次式
50−11(h/L)≦N1≦59−11(h/L)
を満足することが望ましい。
また、本発明による弾性表面波装置は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの一側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの外側に配置された2つの反射器とを有する第1の電極構造列と、前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの他側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記接続用IDTと前記入出力用IDTの外側に形成された2つの反射器とを有し、前記第1の電極構造列と縦続接続された第2の電極構造列とを有する弾性表面波装置であって、前記入出力用IDTの対数N1と前記接続用IDTの対数N2とが異なり、通過帯域中央の周波数foでの共役影像インピーダンスをZo=R(fo)+jI(fo)とし、前記通過帯域内でn個に分割したときの各点fiにおける周波数の共役影像インピーダンスをZ(fi)=R(fi)+jI(fi)(i=1、2、3、…、n)としたとき、次式
Figure 0004014630
であらわされる規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが、次式
0≦DCII≦0.2
を満足することを特徴とする。
上述した弾性表面波装置において、前記規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが、次式
0≦DCII≦0.13
を満足することが望ましい。
上述した弾性表面波装置において、前記圧電基板が、四ほう酸リチウム基板であることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置の電極構造を示す図である。
図2は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置と電気的に等価な対称格子形回路を示す図である。
図3は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、規格化アルミニウム膜厚h/Lが1.7%の場合に、櫛形電極総対数N1+N2を一定とし、櫛形電極対数比N2/N1を変化させた場合の低域スプリアスレベルの変化を示すグラフである。
図4は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、規格化アルミニウム膜厚h/Lが1.7%の場合に、櫛形電極対数比N2/N1を一定とし、櫛形電極総対数N1+N2を変化させた場合の低域スプリアスレベルの変化を示すグラフである。
図5は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、規格化アルミニウム膜厚h/Lが1.0%の場合に、櫛形電極総対数N1+N2を一定とし、櫛形電極対数比N2/N1を変化させた場合の低域スプリアスレベルの変化を示すグラフである。
図6は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、規格化アルミニウム膜厚h/Lが3.0%の場合に、櫛形電極総対数N1+N2を一定とし、櫛形電極対数比N2/N1を変化させた場合の低域スプリアスレベルの変化を示すグラフである。
図7は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、規格化アルミニウム膜厚を変化させた場合に、低域側スプリアスを抑圧するのに適切な櫛形電極対数比N2/N1の範囲の変化を示すグラフである。
図8は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、入出力用IDTの対数N1を変化させた場合の規格化比帯域幅、規格化群遅延時間リップル、振幅リップルの変化を示すグラフである。
図9は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、最適な櫛形電極対数より少ない場合(入出力用IDTの対数N1が19.5対で接続用IDTの対数N2が13.5対の場合)の伝達定数の実数部、共役影像インピーダンス、群遅延時間の周波数応答を示すグラフである。
図10は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、最適な櫛形電極対数の場合(入出力用IDTの対数N1が37.5対で接続用IDTの対数N2が25.5対の場合)の伝達定数の実数部、共役影像インピーダンス、群遅延時間の周波数応答を示すグラフである。
図11は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、最適な櫛形電極対数より多い場合(入出力用IDTの対数N1が50.5対で接続用IDTの対数N2が34.5対の場合)の伝達定数の実数部、共役影像インピーダンス、群遅延時間の周波数応答を示すグラフである。
図12は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIの入出力用櫛形電極対数N1への依存性を示すグラフである。
図13は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、規格化アルミニウム膜厚を変化させた場合に、横モードの影響を効果的に抑圧して良好な周波数特性を得るために適切な入出力用櫛形電極対数N1の範囲の変化を示すグラフである。
図14は、本発明の一実施形態による弾性表面波装置において、最適な櫛形電極対数の場合における、対称格子形回路の格子腕インピーダンスZbと直列腕インピーダンスZaの周波数特性と、周波数応答と、共役影像インピーダンスを示すグラフである。
図15は、本発明の実施例の通過特性を示すグラフである。
図16は、従来の弾性表面波装置の電極構造を示す図である。
図17は、比較例1の共役影像インピーダンスと伝達定数を示すグラフである。
図18は、比較例1の通過特性と1個の電極構造列の共役影像インピーダンスを示すグラフである。
図19は、比較例2の共役影像インピーダンスと伝達定数を示すグラフである。
図20は、比較例2の通過特性と格子腕インピーダンスZbと直列腕インピーダンスZaを示すグラフである。
[発明を実施するための最良の形態]
本発明の一実施形態による弾性表面波装置について図面を用いて説明する。
本実施形態による弾性表面波装置では、四ほう酸リチウム単結晶の圧電基板上に図1に示すような電極構造を形成する。圧電基板上に電極構造列10、20による2つの弾性表面波伝搬トラックを形成する。
第1の電極構造列10として、圧電基板上に、N1対の入出力用IDT11を設け、この入出力用IDT11の右側に、入出力用IDT11とほぼ同一周期で対数の異なるN2対の接続用IDT12を設け、入出力用IDT11と接続用IDT12の外側に、反射器13、14を設けている。
第2の電極構造列20として、圧電基板上に、N1対の入出力用IDT21を設け、この入出力用IDT21の左側に、入出力用IDT21とほぼ同一周期で対数の異なるN2対の接続用IDT22を設け、接続用IDT22と入出力用IDT21の外側に、反射器23、24を設けている。
第1の電極構造列10の接続用IDT12と第2の電極構造列20の接続用IDT22とは圧電基板上に形成された配線により接続され、第1の電極構造列10と第2の電極構造列20とが縦続接続されている。接続用IDT12と接続用IDT22の他端は接地されている。なお、接続用IDT12と接続用IDT22を圧電基板外の配線により接続してもよい。
IDTの周期LLと反射器の周期Lは、隣接する電極指間の距離の2倍として定義され、通常、電極指の中心間距離である。IDTの対数は、組み合わされた電極指が1本ずつで1対と数え、片方の電極指だけの場合は0.5対と数える。IDT間の距離Liは、各IDTの最も外側の電極指の中心間距離として定義される。IDTと反射器間の距離Lirは、IDTの最も外側の電極指と反射器の最も近い電極指との中心間距離として定義される。
IDT内の弾性表面波伝搬方向での基板上に電極が形成されている比率を示すメタライズレシオは、電極指の幅をLidtとして、2×Lidt/LLで定義される。反射器内の弾性表面波伝搬方向での基板上に電極が形成されている比率を示すメタライズレシオは、電極指の幅をLrefとして、2×Lref/Lで定義される。規格化アルミニウム膜厚h/Lは、電極の膜厚hを反射器周期Lで割った値として定義される。開口長は、各IDTの重なり幅の最大値として定義される。
このような構成の弾性表面波装置において、第1の課題である低域側スプリアスの抑圧について検討する。
圧電基板として、45°回転XカットZ伝搬四ほう酸リチウム単結晶基板を用いる。反射器13、14、23、24の電極本数は60本である。反射器13、14、23、24の周期をLとして、入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22の櫛形電極の周期は0.9836L、櫛形電極間距離は0.4918Lである。入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22と、反射器13、14、23、24との間の距離は0.4959Lである。電極の規格化アルミニウム膜厚h/Lは1.7%である。
入出力用IDT11、21の対数N1と接続用IDT12、22の対数N2の和N1+N2を59対と一定にして、接続用IDT12、22の対数N2を入出力用IDT11、21の対数N1で割った対数比N2/N1を変化させたときのスプリアスレベルの変化を図3に示す。終端インピーダンスは50Ωである。ここで、スプリアスレベルは、帯域近傍の低域側に発生するスプリアスの極大値から最小挿入損失を引いた差である。
図3から明らかなように、低域側スプリアスを30dB以上に抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1が0.590〜0.770の範囲又は1.198〜1.986の範囲に設定すればよい。低域側スプリアスを30dB以上に抑圧すると、シェイプファクタが良好な弾性表面波フィルタを実現できる。
また、低域側スプリアスを40dB以上に抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1が0.641〜0.725の範囲又は1.296〜1.766の範囲に設定すればよい。低域側スプリアスを40dB以上に抑圧すると、シェイプファクタがさらに良好な弾性表面波フィルタを実現できる。
さらに、櫛形電極対数比N2/N1を0.680又は1.500にすれば、低域側スプリアスを最も効果的に抑圧することができる。
次に、櫛形電極対数比N2/N1を低域側スプリアスの抑圧効果が大きい0.660〜0.690の範囲に含まれる一定値にして、櫛形電極総対数N1+N2を変化させた場合の低減側スプリアスの変化を図4に示す。なお、櫛形電極対数比N2/N1が一定の範囲の値となるのは、櫛形電極対数が0.5対を最小単位とした離散値しか取らないためである。図4から明らかなように、櫛形電極総対数N1+N2が変化しても、低域側スプリアスは30dB以上抑圧されている。
さらに、規格化アルミニウム膜厚h/Lが1%と3%の場合において同様な測定を行った。
図5に、規格化アルミニウム膜厚h/Lが1%で、櫛形電極対数和N1+N2を59対と一定にして、櫛形電極対数比N2/N1を変化させたときのスプリアスレベルの変化を示す。
図5から明らかなように、低域側スプリアスを30dB以上に抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1が0.547〜0.747の範囲、又は1.166〜2.161の範囲に設定すればよい。また、低域側スプリアスを40dB以上に抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1が0.610〜0.690の範囲、又は1.270〜1.817の範囲に設定すればよい。さらに、櫛形電極対数比N2/N1を0.650又は1.490にすれば、低域側スプリアスを最も効果的に抑圧することができる。
図6に、規格化アルミニウム膜厚h/Lが3%で、櫛形電極対数和N1+N2を59対と一定にして、櫛形電極対数比N2/N1を変化させたときのスプリアスレベルの変化を示す。
図6から明らかなように、低域側スプリアスを30dB以上に抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1が0.750〜0.910の範囲、又は1.066〜1.512の範囲に設定すればよい。また、低域側スプリアスを40dB以上に抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1が0.780〜0.870の範囲、又は1.128〜1.362の範囲に設定すればよい。さらに、櫛形電極対数比N2/N1を0.820又は1.231にすれば、低域側スプリアスを最も効果的に抑圧することができる。
しかしながら、開口長が5Lから12Lの範囲では,N2/N1を1より大きくした場合、振幅リップルが大きくなる。横モードによるスプリアスを十分抑圧するためには、四ほう酸リチウム単結晶の場合、開口長を5Lから12Lの範囲に設定する必要がある。以降、N2/N1<1の場合について述べる。
上述した結果をまとめて図7に示す。
低域側スプリアスを最も効果的に抑圧できる櫛形電極対数比N2/N1の最適値を◎で示し、低域側スプリアスを40dB以上抑圧できる櫛形電極対数比N2/N1の上限を○で示し、下限を●で示し、低域側スプリアスを30dB以上抑圧できる櫛形電極対数比N2/N1の上限を△で示し、下限を▲で示す。
低域側スプリアスを30dB以上抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1を、次式
0.542−0.021(h/L)+0.029(h/L)2≦N2/N1≦0.734−0.028(h/L)+0.029(h/L)2
の範囲内に設定すればよい。
低域側スプリアスをさらに40dB以上抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1を、次式
0.597−0.020(h/L)+0.027(h/L)2≦N2/N1≦0.690−0.032(h/L)+0.031(h/L)2
の範囲内に設定すればよい。
低域側スプリアスを最も効果的に抑圧するためには、櫛形電極対数比N2/N1(◎)を、次式
N2/N1=0.645−0.029(h/L)+0.029(h/L)2
を満足するように設定すればよい。
次に、第2の課題である横モードの影響の抑圧について検討する。弾性表面波装置の開口長を狭くして抑圧するようにする。
図1に示す電極構造において、反射器13、14、23、24の周期をLとして、入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22の櫛形電極の周期は0.9836L、櫛形電極間距離は0.4918Lである。入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22と、反射器13、14、23、24との間の距離は0.4959Lである。電極の規格化アルミニウム膜厚h/Lは1.7%であり、開口長Wを7Lとした。
入出力用IDT11、21の対数N1と接続用IDT12、22の対数N2の櫛形電極対数比N2/N1を0.660〜0.690の範囲とし、入出力用IDT11、21の対数N1を変化させた場合の共役影像インピーダンスと伝達定数の変化を求めた。なお、櫛形電極対数比N2/N1が一定の範囲の値となるのは、櫛形電極対数が0.5対を最小単位とした離散値しか取らないためである。
この伝達定数から帯域幅を定義し、帯域内中央の周波数における共役影像インピーダンスの値で終端したときの周波数応答を求めた。この周波数応答における規格化比帯域幅(□)、規格化群遅延時間リップル(○)、振幅リップル(■)を図8に示す。
ここで、規格化比帯域幅(□)は、比帯域幅を基板の電気機械結合係数で割った規格化比帯域幅の値であり、規格化群遅延時間リップル(○)は、群遅延時間リップル、すなわち、帯域内の最大群遅延時間と最小群遅延時間との差に周波数応答の中心周波数を掛けた規格化群遅延時間リップルの値であり、振幅リップル(■)は、帯域内の最大挿入損失と最小挿入損失との差の値である。
なお、比帯域幅として規格化比帯域幅を用いることにしたのは次の理由による。弾性表面波共振子フィルタの比帯域幅は、使用した圧電基板の電気機械結合係数に比例することが知られている。判断基準が使用した圧電基板の種類によらないようにするために、比帯域幅を基板の電気機械結合係数で割った値を規格化比帯域幅とした。
また、群遅延時間リップルとして規格化群遅延時間リップルを用いることにしたのは次の理由による。群遅延時間は、その定義から中心周波数に反比例するため、弾性表面波装置の中心周波数を変えると変化する。そこで、判断基準を一般化するために群遅延時間リップルに中心周波数を掛けた規格化群遅延時間リップルを利用する。
図8から明らかなように、規格化比帯域幅は、入出力用IDT11、21の対数N1が37.5対、接続用IDT12、22の対数N2が25.5対の時に最大となる。また、振幅リップルは、入出力用IDT11、21の対数N1が少ない場合ゼロであり、対数N1が39.5対より大きくなると増加する。また、規格化群遅延時間リップルは、入出力用IDT11、21の対数N1が33.5対の時に極小となり、対数N1が33.5対より小さくなると僅かに増大し、対数N1が43対以上では600を越える。
櫛形電極対数の最適な範囲を限定するための基準を、規格化比帯域幅が0.38以上、規格化群遅延時間リップルが600以下、振幅リップルが3dB以下とすると、規格化アルミニウム膜厚1.7%の場合は、入出力用IDT11、21の対数N1が25対〜43対の範囲のときに良好な電気的特性が得られることがわかった。
次に、入出力用IDT11、21の対数N1と接続用IDT12、22の対数N2を種々変化させた場合の伝達定数の実数部、共役影像インピーダンス、群遅延時間の周波数応答を図9乃至図11に示す。規格化アルミニウム膜厚は1.7%である。
図9は、入出力用IDT11、21の対数N1が上記範囲より小さい19.5対で接続用IDT12、22の対数N2が13.5対の場合の伝達定数の実数部、共役影像インピーダンス、群遅延時間の周波数応答である。
図9により明らかなように、伝達定数の実数部から得られる帯域幅は広いが、この範囲内の共役影像インピーダンスは大きく変化している。そこで、帯域中央での共役影像インピーダンスの値215+j1902Ωで整合を取り、50Ω系で終端すると、その周波数では整合するが、その両外側の周波数では共役影像インピーダンスが大きく変化しているので、整合が取れず、その通過特性は単峰性で狭帯域な特性となる。振幅リップルはゼロで群遅延時間リップルも比較的小さい。
図10は、入出力用IDT11、21の対数N1が上記範囲内である37.5対で接続用IDT12、22の対数N2が25.5対の場合の伝達定数の実数部、共役影像インピーダンス、群遅延時間の周波数応答である。
図10から明らかなように、伝達定数の実数部から得られる帯域幅は比較的広く、この範囲の共役影像インピーダンスは平坦であり、特にその虚数部は平坦である。帯域中央での共役影像インピーダンス759+j580Ωで整合を取り、50Ω系で終端すると、振幅が平坦で群遅延時間リップルが少ない周波数応答が得られる。
図11は、入出力用IDT11、21の対数N1が上記範囲より大きい50.5対で接続用IDT12、22の対数N2が34.5対の場合の伝達定数の実数部、共役影像インピーダンス、群遅延時間の周波数応答である。
図11から明らかなように、伝達定数の実数部から得られる帯域幅は狭く、しかもこの範囲内での共役影像インピーダンスが大きく変化しているので、帯域中央での共役影像インピーダンス464−j127Ωで整合を取り、50Ω系で終端すると、狭帯域で、振幅リップルも群遅延時間リップルも大きな周波数応答となる。
これらの変化を数値化するために帯域内の周波数における共役影像インピーダンスの帯域内中央での値に対する自乗偏差を求めた。帯域内の規格化周波数を0.0001刻みでn個に分割し、各点fi(i:1,2,3,…,n)における共役影像インピーダンスの実数部R(fi)と虚数部I(fi)からそれぞれの帯域中央での値R(f0)とI(f0)の差を求めて自乗し、n個の和の平方根を求め、それぞれを帯域中央での値R(f0)とI(f0)で規格化し、さらに帯域の分割数nで割る。これの実数部と虚数部を足して、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIとした。したがって、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIは次式であらわされる。
Figure 0004014630
図12に、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIの入出力用櫛形電極対数N1への依存性を示す。ここで、櫛形電極対数比N2/N1は、0.660〜0.690の範囲とした。
図12から明らかなように、入出力用櫛形電極対数N1が25対〜43対の範囲では、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.2以下となり、広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さい良好な特性が得られる。また、入出力用櫛形電極対数N1が31対〜40.5対の範囲では、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.13以下となり、さらに広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さいさらに良好な特性が得られる。また、入出力用櫛形電極対数N1が37対の場合には、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが最小値となり、広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さい最も良好な特性が得られる。
上述した詳細な検討は規格化アルミニウム膜厚1.7%の場合であったが、規格化アルミニウム膜厚が1%、3%の場合についても同様にして詳細な検討を行った。
規格化アルミニウム膜厚が1%の場合には、入出力用櫛形電極対数N1が32対〜50対の範囲では、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.2以下となり、広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さい良好な特性が得られる。また、入出力用櫛形電極対数N1が39対〜48対の範囲では、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.13以下となり、さらに広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さいさらに良好な特性が得られる。また、入出力用櫛形電極対数N1が45対の場合には、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが最小値となり、広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さい最も良好な特性が得られる。
規格化アルミニウム膜厚が3%の場合には、入出力用櫛形電極対数N1が10対〜28対の範囲では、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.2以下となり、広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さい良好な特性が得られる。また、入出力用櫛形電極対数N1が17対〜26対の範囲では、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.13以下となり、さらに広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さいさらに良好な特性が得られる。また、入出力用櫛形電極対数N1が23対の場合には、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが最小値となり、広帯域で振幅リップルも群遅延時間リップルも小さい最も良好な特性が得られる。
上述した結果をまとめて図13に示す。
規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが最小値となり横モードの影響の最も効果的に抑圧できる入出力用櫛形電極対数N1の最適値を◎で示し、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.13以下となり横モードの影響を非常に効果的に抑圧できる入出力用櫛形電極対数N1の上限を○で示し、下限を●で示し、規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.20以下となり横モードの影響を効果的に抑圧できる入出力用櫛形電極対数N1の上限を△で示し、下限を▲で示す。
規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.20以下となり横モードの影響を効果的に抑圧して、良好な周波数特性を得るためには、入出力用櫛形電極対数N1を、次式
43−11(h/L)≦N1≦61−11(h/L)
の範囲内に設定すればよい。
規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが0.13以下となり横モードの影響をより効果的に抑圧して、より良好な周波数特性を得るためには、入出力用櫛形電極対数N1を、次式
50−11(h/L)≦N1≦59−11(h/L)
の範囲内に設定すればよい。
規格化共役影像インピーダンス自乗偏差DCIIが最小値となり横モードの影響の最も効果的に抑圧して、最も良好な周波数特性を得るためには、
1=56−11(h/L)
を満足するように設定すればよい。
本発明による弾性表面波装置は、図1に示すように、縦続接続面に対して電気的に対称な電極構成であるので、図2に示すように、この縦続接続面に対する電気的対称格子形回路と見なすことができる。
入出力用IDT11、21の対数N1が37.5対であり、接続用IDT12、22の対数N2が25.5対であり、開口長Wが7Lであり、規格化アルミニウム膜厚h/Lが1.7%であり、反射器13、14、23、24の周期をLとして、入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22の櫛形電極の周期は0.9836Lであり、入出力用IDT11、21と接続用IDT12、22間の距離は0.4918Lである。入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22と、反射器13、14、23、24との間の距離は0.4959Lである。
このような弾性表面波装置と電気的等価な対称格子形回路における格子腕インピーダンスZbと直列腕インピーダンスZaの周波数特性を図14に示す。周波数応答は700+j334Ωで整合を取り、50Ω系で終端して測定した。
格子腕インピーダンスZbと直列腕インピーダンスZaにおいて高周波側にある一組の共振及び反共振を0次モード、低周波側にある一組の共振及び反共振を1次モードと呼ぶことにする。この場合の対称格子形回路の格子腕インピーダンスZb及び直列腕インピーダンスZaの共振、反共振周波数位置は、Zbの対称1次モードの共振周波数(fb1)とZaの反対称1次モードの反共振周波数(fa1′)はわずかにずれており、Zbの対称1次モードの反共振周波数(fb1′)とZaの反対称0次モードの共振周波数(fa0)は、一致していない。Zbの対称0次モードの共振周波数(fb0)とZaの反対称0次モードの反共振周波数(fa0′)は、ほぼ一致している。さらに、Zaの反対称1次モードの共振周波数(fa1′)とZbの対称0次モードの反共振周波数(fb0′)は、他の共振周波数又は反共振周波数と一致していない。
次に帯域を形成するために必要なモードについて考察する。
既に帯域幅は、共役影像インピーダンスの伝達関数の実数部の包絡線と伝達定数の実数部がゼロである直線との交点で定義した。
この定義に従えば、帯域内に存在するモードは、直列腕インピーダンスZaの反対称0次モードの共振周波数(fa0)と反対称1次モードの反共振周波数(fa1′)、及び格子腕インピーダンスZbの対称1次モードの反共振周波数(fb1′)と対称1次モードの共振周波数(fb1)である。
一方で、格子腕インピーダンスZbの共振周波数(fb0)及び直列腕インピーダンスZaの反対称1次モードの共振周波数(fa1)と反対称0次モードの反共振周波数(fa0′)は、上記定義された帯域内のわずかに外側に位置しているが、共役影像インピーダンスの平坦化に寄与している。この観点からすると、これら3つのモードも帯域を形成するために必要なモードといえる。
一方、比較例2の場合についても、比較例2の弾性表面波装置と電気的等価な対称格子形回路における格子腕インピーダンスZbと直列腕インピーダンスZaの周波数特性を図20中に示す。
直列腕インピーダンスZaと格子腕インピーダンスZbには、それぞれ2個の共振と2個の反共振が存在する。各インピーダンスにおいて、高周波側にある一組の共振及び反共振を0次モード、低周波側にある一組の共振及び反共振を1次モードと呼ぶことにする。格子腕インピーダンスZbの対称な1次モードの共振周波数と直列腕インピーダンスZaの反対称1次モードの反共振周波数がほぼ一致し(f1)、Zbの対称な1次モードの反共振周波数とZaの反対称な0次モードの共振周波数がほぼ一致し(f2)、Zbの対称な0次モードの共振周波数とZaの反対称な0次モードの反共振周波数がほぼ一致しており(f3)、周波数f1と周波数f3の周波数間隔が通過帯域幅とほぼ一致している。
従来の対称モードと反対称モードを利用した弾性表面波装置における「周波数合わせ」の技術は、比較例2のような場合に成立している。しかし、本発明の場合には、図17に示すように、直列腕インピーダンスZaと格子腕インピーダンスZbの共振周波数及び反共振周波数が完全には一致していない。このような条件でも、平坦な振幅リップル及び群遅延時間リップルが得られるのは、共役影像インピーダンスが平坦となっているからである。
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、櫛形電極間の距離Liを0.4918Lとし、櫛形電極と反射器間の距離Lirを0.4959Lとして検討したが、この値に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、開口長が7Lとして説明したが、開口長を5L〜12Lの範囲においても同様の結果が得られた。
また、上記実施形態に限らず、開口長を50L〜350Lと広くした場合にも、終端インピーダンスを20〜130Ωの実数で終端した場合、横モードによる帯域内リップルの影響は観察され、また弾性表面波装置の寸法が大きくなるが、良好な周波数応答(低域側スプリアスの抑圧の効果)が得られた。
また、上記実施形態では、2つの電極構造列を2段縦続したが、この2段従属した電極構造を更に縦続接続して、4段、6段、8段、…と更に多数段縦続接続してもよい。
また、櫛形電極の材料として、アルミニウムに銅、シリコン、チタン、HfB2等を添加してもよいし、他の導電性材料を用いて電極を形成してもよい。
また、櫛形電極を形成する方法としては、リフトオフにより形成してもよいし、エッチングによりパターニングして形成してもよい。
(実施例)
図1に示す構造の弾性表面波装置を作製して評価した。図15に通過特性を示す。圧電基板として45°Y回転X板の四ほう酸リチウム単結晶基板を用い、弾性表面波の伝搬方向はZ方向とした。櫛形電極及び反射器のパターン形成は、周知のフォトリソグラフィ技術により形成したレジストパターン上にアルミニウム金属膜を真空蒸着した後、リフトオフすることにより行った。
櫛形電極は対となる電極指が重なっている長さがほぼ等しい所謂正規型であり、その開口長は6.88Lである。入出力用IDT11、21の対数N1は37.5対であり、接続用IDT12、22の対数N2は25.5対であり、反射器13、14、23、24の本数は60本である。メタライズレシオは0.5である。反射器13、14、23、24の周期をL(=12μm)として、入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22の櫛形電極の周期は0.9836Lであり、入出力用IDT11、21と接続用IDT12、22間の距離は0.4918Lであり、入出力用IDT11、21及び接続用IDT12、22と、反射器13、14、23、24との間の距離は0.4959Lである。
終端インピーダンスは、伝達定数の実数部から求めた帯域中央での共役影像インピーダンスの値から759+j580Ωとなるように、インダクタとキャパシタでL型整合回路を形成した。
その電気的特性は、最小挿入損失が2dB、振幅リップルが0.2dB、群遅延時間リップルが2μsec、比帯域幅が0.46%、シェイプファクタ(3dB帯域幅/30dB帯域幅)が0.55、ストップバンド内の低域側スプリアスが50dB以上の優れたフィルタ特性が得られた。
[産業上の利用可能性]
本発明による弾性表面波装置は、挿入損失が小さく、振幅リップルと群遅延時間リップルが少なく、比帯域幅が比較的広く、シェイプファクタが良く、帯域外減衰量が大きい優れた特性を実現することができ、移動体通信等に用いるフィルタ、特に、デジタル通信用の中間周波フィルタとして有用である。

Claims (7)

  1. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの一側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの外側に配置された2つの反射器とを有する第1の電極構造列と、
    前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの他側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記接続用IDTと前記入出力用IDTの外側に形成された2つの反射器とを有し、前記第1の電極構造列と縦続接続された第2の電極構造列とを有する弾性表面波装置であって、
    前記入出力用IDTの対数N1と前記接続用IDTの対数N2とが異なり、
    前記入出力用IDTと前記接続用IDTの規格化電極膜厚をh/Lとしたとき、前記入出力用IDTの対数N1が、次式
    43−11(h/L)≦N1≦61−11(h/L)
    を満足することを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 請求の範囲第1項記載の弾性表面波装置において、
    前記入出力用IDTの対数N1が、次式
    50−11(h/L)≦N1≦59−11(h/L)
    を満足することを特徴とする弾性表面波装置。
  3. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの一側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの外側に配置された2つの反射器とを有する第1の電極構造列と、
    前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの他側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記接続用IDTと前記入出力用IDTの外側に形成された2つの反射器とを有し、前記第1の電極構造列と縦続接続された第2の電極構造列とを有する弾性表面波装置であって、
    前記入出力用IDTの対数N1と前記接続用IDTの対数N2とが異なり、
    前記入出力用IDTと前記接続用IDTの規格化電極膜厚をh/Lとしたとき、前記接続用IDTの対数N2と前記入出力用IDTの対数N1の比N2/N1が、次式
    0.542−0.021(h/L)+0.029(h/L)2≦N2/N1≦0.734−0.028(h/L)+0.029(h/L)2
    を満足することを特徴とする弾性表面波装置。
  4. 請求の範囲第3項記載の弾性表面波装置において、
    前記接続用IDTの対数N2と前記入出力用IDTの対数N1の比N2/N1が、次式
    0.597−0.020(h/L)+0.027(h/L)2≦N2/N1≦0.690−0.032(h/L)+0.031(h/L)2
    を満足することを特徴とする弾性表面波装置。
  5. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの一側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記入出力用IDTと前記接続用IDTの外側に配置された2つの反射器とを有する第1の電極構造列と、
    前記圧電基板上に形成され、N1対の入出力用IDTと、前記入出力用IDTの他側に近接して配置されたN2対の接続用IDTと、前記接続用IDTと前記入出力用IDTの外側に形成された2つの反射器とを有し、前記第1の電極構造列と縦続接続された第2の電極構造列とを有する弾性表面波装置であって、
    前記入出力用IDTの対数N1と前記接続用IDTの対数N2とが異なり、
    前記入出力用IDTと前記接続用IDTの規格化電極膜厚をh/Lとしたとき、前記接続用IDTの対数N2と前記入出力用IDTの対数N1の比N2/N1が、次式
    0.542−0.021(h/L)+0.029(h/L)2≦N2/N1≦0.734−0.028(h/L)+0.029(h/L)2
    を満足し、
    前記入出力用IDTの対数N1が、次式
    43−11(h/L)≦N1≦61−11(h/L)
    を満足することを特徴とする弾性表面波装置。
  6. 請求の範囲第5項記載の弾性表面波装置において、
    前記接続用IDTの対数N2と前記入出力用IDTの対数N1の比N2/N1が、次式
    0.597−0.020(h/L)+0.027(h/L)2≦N2/N1≦0.690−0.032(h/L)+0.031(h/L)2
    を満足し、
    前記入出力用IDTの対数N1が、次式
    50−11(h/L)≦N1≦59−11(h/L)
    を満足することを特徴とする弾性表面波装置。
  7. 請求の範囲第1項乃至第6項のいずれかに記載の弾性表面波装置において、
    前記圧電基板が、四ほう酸リチウム基板であることを特徴とする弾性表面波装置。
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