JP3457360B2 - 共重合体およびその製造法 - Google Patents

共重合体およびその製造法

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JP3457360B2
JP3457360B2 JP21500493A JP21500493A JP3457360B2 JP 3457360 B2 JP3457360 B2 JP 3457360B2 JP 21500493 A JP21500493 A JP 21500493A JP 21500493 A JP21500493 A JP 21500493A JP 3457360 B2 JP3457360 B2 JP 3457360B2
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義治 土肥
志郎 北村
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Kaneka Corp
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Kaneka Corp
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な共重合体およびそ
の製造法に関する。さらに詳しくは、自然環境下で微生
物の作用を受けて分解するプラスチック様高分子および
その製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】現在まで
数多くの微生物において、エネルギー貯蔵物質としてポ
リエステルを菌体内に蓄積することが知られている。そ
の代表例がポリ−3−ヒドロキシブチレート(以下、P
(3HB)と略す)であり、下記の式で示されるモノマ
ーユニット(3HB)からなるホモポリマーである。
【0003】
【化11】
【0004】P(3HB)は確かに自然環境(土壌、河
川、海)の下で生物的に分解するいわゆる生分解性プラ
スチックであるが、結晶性が高く、硬く、かつ脆い性質
を持っており、高分子材料としてみた場合、実用性に乏
しいものであった。このような欠点を克服する方法とし
て、ポリエステルを構成しているモノマーユニットとし
て3HBとは異なるモノマーユニットをコポリマーとし
て組み込むことが提案されている。例えば、特開昭57
−150393号公報、特開昭58−69225号公
報、特開昭63−269989号公報、特開昭64−4
8821号公報、特開平1−156320号公報によれ
ば、本来P(3HB)を産生する微生物であるアルカリ
ゲネス・ユートロファスを培養する際に、炭素源として
グルコースのような糖の他に、炭素数が奇数個のカルボ
ン酸、例えばプロピオン酸や吉草酸を与えることによ
り、3HBと共に3−ヒドロキシバリレート(以下3H
Vと略す)をポリエステルの構成モノマーとする2成分
系共重合体P(3HB−co−3HV)が得られてい
る。同様に炭素源として4−ヒドロキシ酪酸やγ−ブチ
ロラクトンを与えることにより、3HBと共に4−ヒド
ロキシブチレート(以下4HBと略す)をポリエステル
の構成モノマーとする2成分系共重合体P(3HB−c
o−4HB)が得られている。
【0005】
【化12】
【0006】
【化13】
【0007】一方、特開昭63−226291号公報
は、炭化水素資化菌であるシュードモナス・オレオボラ
ンス(菌寄託番号;ATCC29347)に炭素源とし
てアルカンを与えることにより、炭素数が6〜12まで
の3−ヒドロキシアルカノエート(以下3HAと略す)
をモノマーユニットとする共重合体P(3HA)を発酵
合成することができることを報告している。
【0008】
【化14】
【0009】さらに、USP5,138,029(特開
平2−179170号公報)によれば、上記したアルカ
リゲネス・ユートロファスを培養する際、炭素源として
γ−バレロラクトンを与えると下記のような4−ヒドロ
キシバリレート(以下4HVと略す)を含む3成分系共
重合体P(3HB−co−3HV−co−4HV)が得
られている。
【0010】
【化15】
【0011】このように現在までに知られている微生物
産生ポリエステルは、カルボニル炭素から数えて3〜4
位の炭素原子にアルキル基が結合した構造を持つユニッ
トからなっている。しかし、2位の炭素原子にアルキル
基が結合したモノマーユニットを含むポリエステルはこ
れまで報告されていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カルボニ
ル炭素から数えて2位の炭素原子にアルキル基が結合し
たモノマーユニットを含む共重合体を発酵合成させる方
法を研究していたところ、分岐したヒドロキシ脂肪酸を
炭素源として微生物に与えると目的が達成されることを
見出し、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至っ
た。
【0013】即ち、本発明の要旨は、 (1) 3−ヒドロキシブチレート(3HB)ユニット
を60〜90モル%、3−ヒドロキシ−2−メチルプロ
ピオネート(3H2MP)ユニットを1〜10モル%、
および3−ヒドロキシバリレート(3HV)ユニットを
5〜39モル%有してなる3成分系共重合体
【0014】
【化16】
【0015】
【0016】
【化17】
【0017】
【化18】
【0018】(2) 3−ヒドロキシブチレート(3H
B)ユニットを60〜90モル%、3−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオネート(3H2MP)ユニットを1〜
10モル%、3−ヒドロキシバリレート(3HV)ユニ
ットを5〜39モル%、および4−ヒドロキシブチレー
ト(4HB)ユニットを0又は1〜34モル%有してな
3成分系または4成分系共重合体、
【0019】
【化19】
【0020】(3) 3−ヒドロキシブチレート(3H
B)ユニットを60〜90モル%、3−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオネート(3H2MP)ユニットを1〜
10モル%、3−ヒドロキシバリレート(3HV)ユニ
ットを5〜39モル%、および3−ヒドロキシプロピオ
ネート(3HP)ユニットを0又は1〜15モル%有し
てなる3成分系または4成分系共重合体、
【0021】
【化20】
【0022】() 炭素源として3−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオン酸を用い、炭素源以外の必須栄養素
の制限下にアルカリゲネス属に属する菌株を培養するこ
とを特徴とする、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオ
ネート(3H2MP)ユニットを含有する共重合体の製
造法、
【0023】
【化21】
【0024】() 炭素源として3−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオン酸の他に、グルコース、フルクトー
ス、プロピオン酸および吉草酸よりなる群から選ばれる
少なくとも1種を用い、炭素源以外の必須栄養素の制限
下にアルカリゲネス属に属する菌株を培養することを特
徴とする、3−ヒドロキシブチレート(3HB)ユニッ
ト、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート(3H
2MP)ユニットおよび3−ヒドロキシバリレート(3
HV)ユニットからなる3成分系共重合体の製造法、
【0025】
【化22】
【0026】
【化23】
【0027】() 炭素源として3−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオン酸の他に、4−ヒドロキシ酪酸およ
び/またはγ−ブチロラクトンを用い、炭素源以外の必
須栄養素の制限下にアルカリゲネス属に属する菌株を培
養することを特徴とする、3−ヒドロキシブチレート
(3HB)ユニット、3−ヒドロキシ−2−メチルプロ
ピオネート(3H2MP)ユニット、3−ヒドロキシバ
リレート(3HV)ユニットおよび4−ヒドロキシブチ
レート(4HB)ユニットからなる4成分系共重合体の
製造法、および
【0028】
【化24】
【0029】() 炭素源として3−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオン酸の他に、3−ヒドロキシプロピオ
ンおよび/または1,5−ペンタンジオールを用い、炭
素源以外の必須栄養素の制限下にアルカリゲネス属に属
する菌株を培養することを特徴とする、3−ヒドロキシ
ブチレート(3HB)ユニット、3−ヒドロキシ−2−
メチルプロピオネート(3H2MP)ユニット、3−ヒ
ドロキシバリレート(3HV)ユニットおよび3−ヒド
ロキシプロピオネート(3HP)ユニットからなる4成
分系共重合体の製造法、
【0030】
【化25】
【0031】に関する。
【0032】本発明の共重合体は、カルボニル炭素から
数えて2位の炭素原子にアルキル基が結合したモノマー
ユニットである3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネ
ート(3H2MP)ユニットを含有することを特徴とす
るものである。本発明の共重合体において、3H2MP
ユニットを含有するものであれば他のモノマーユニット
については特に限定されず、従来公知の様々のモノマー
ユニットが用いられる。
【0033】本発明の共重合体を例示すると、(1)3
HB、3H2MP、3HVユニットからなる3成分系共
重合体、(2)3HB、3H2MP、3HV、4HBユ
ニットからなる4成分系共重合体、(3)3HB、3H
2MP、3HV、3HPユニットからなる4成分系共重
合体、等が好適なものとして挙げられる。
【0034】本発明の共重合体を構成する各モノマーユ
ニットの組成比については、特に限定されるものではな
いが、前記に例示した共重合体については、通常次のよ
うな組成比のものが好適である。 (1)3HBユニットを60〜90モル%、3H2MP
ユニットを1〜10モル%、および3HVユニットを5
〜39モル%有してなる3成分系共重合体、(2)3H
Bユニットを60〜90モル%、3H2MPユニットを
1〜10モル%、3HVユニットを5〜39モル%、4
HBユニットを1〜34モル%有してなる4成分系共重
合体、および(3)3HBユニットを60〜90モル
%、3H2MPユニットを1〜10モル%、3HVユニ
ットを5〜39モル%、3HPユニットを1〜15モル
%有してなる4成分系共重合体。
【0035】本発明の上記の共重合体は、いずれも新規
な化合物であり、従来かかる生分解性プラスチックの構
成モノマーユニットとしては知られていなかった3H2
MPユニットを含む。この3H2MPユニットは2位の
炭素原子にメチル基が結合したものであるため、3HB
ユニットや3HVユニットのような3位の炭素原子にア
ルキル基が結合したユニットからなるコポリマー構造の
規則性を崩し、結晶性の故に硬くて脆いという欠点を改
良する特性を有することが期待される。
【0036】次に、本発明の共重合体の製造法について
説明する。本発明に用いられる微生物は、前記のような
共重合体の合成能を有するアルカリゲネス属、バチルス
属、シュードモナス属あるいはアゾトバクター属の微生
物であれば特に限定されるものではない。特に好ましい
のは、アルカリゲネス属の微生物であり、例えばアルカ
リゲネス・ユートロファスが用いられる。
【0037】本発明の3H2MPユニットを含有する共
重合体は、例えばアルカリゲネス・ユートロファスを3
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を炭素源として
用い、炭素源以外の必須栄養素の制限下に培養すること
により、菌体内生成物として得ることができる。この場
合、後述の実施例で示すように3HB、3H2MP、3
HVユニットからなる3成分系共重合体を得ることがで
きる。本発明の共重合体を構成するモノマーユニットの
種類及び組成比は、後述のような後培養に用いられる炭
素源として3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の
他に各種の炭素化合物を添加することにより、種々の所
望のモノマーユニット及び組成比に変えることができ
る。
【0038】例えば、本発明の3HBユニット、3H2
MPユニット、3HVユニットからなる3成分系共重合
体を得るには、前記のように3−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロピオン酸を炭素源とすることにより得ることがで
きるが、炭素源として3−ヒドロキシ−2−メチルプロ
ピオン酸の他に、グルコース、フルクトース、プロピオ
ン酸および吉草酸よりなる群から選ばれる少なくとも1
種を用いることによりその組成比を所望のものに調製す
ることができる。例えば、フルクトースや吉草酸の約1
%の添加により3HBユニットの組成比は無添加の場合
と比べて90モル%から70モル%へと大きく減少し、
その分他の構成成分の組成比が上昇する。
【0039】また、本発明の4成分系共重合体を得るに
は、例えば、炭素源として3−ヒドロキシ−2−メチル
プロピオン酸の他に、4−ヒドロキシ酪酸および/また
はγ−ブチロラクトンを添加することにより、4HBユ
ニットをも構成モノマーユニットとして含む共重合体、
即ち、3HBユニット、3H2MPユニット、3HVユ
ニットおよび4HBユニットからなる4成分系共重合体
を得ることができる。同様にして、炭素源として3−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオン酸の他に、3−ヒドロ
キシプロピオン酸および/または1,5−ペンタンジオ
ールを添加することにより、3HPユニットをも含む共
重合体、即ち、3HBユニット、3H2MPユニット、
3HVユニットおよび3HPユニットからなる4成分系
共重合体を得ることができる。
【0040】本発明において微生物を用いて共重合体を
合成するには、前記のように炭素源以外の栄養源の制限
下、通常、従来から知られている窒素源制限条件下で培
養することによって容易に得られるが、炭素源以外の必
須栄養源、例えば、リン、ミネラル、ビタミン等を制限
しても共重合体は誘導される。この場合、菌体の生育が
抑えられるので、通常共重合体の合成は2段方式で行な
われる。
【0041】1段目は菌体の増殖を目的とするものであ
り、栄養源の豊富な条件下で培養される。この際、菌体
は共重合体の合成をほとんど行なわないので、炭素源と
しては脂肪酸に限らず、資化可能なものであれば自由に
選択できる。例えば、常法により、次のように前培養を
行う。イーストエキス(1%)、ポリペプトン(1
%)、肉エキス(0.5%)および硫酸アンモニウム
(0.5%)を含む培地(pH7.0)にアルカリゲネ
ス属に属する菌株を接種し、28〜37℃にて16〜3
6時間振盪培養した後、培養ブロスから菌体を遠心分離
により分離する。
【0042】このような1段目で得られた菌体を洗浄回
収して2段目(後培養)において新たに炭素源を加えて
共重合体を誘導培養する。従って、この2段目の培養条
件が重要であり、2段目において与えられる炭素源が共
重合体の合成原料であり、この炭素源の化学構造が得ら
れる共重合体の構造を決定するといってよい。従って、
本発明において炭素源とは、2段目(後培養)で与えら
れる炭素源を意味しており、炭素源を種々調整すること
により、種々のモノマーユニットからなる共重合体(種
々の組成比からなる共重合体)を合成することができ
る。
【0043】2段目の培養は、例えば以下のように行
う。脱イオン水に3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオ
ン酸(1%)、リン酸水素二カリウム(0.008
M)、リン酸水素二ナトリウム(0.155M)、硫酸
マグネシウム(0.02%)およびミネラル溶液少量を
溶解した培地に菌体全量を加え、28〜37℃で24〜
96時間振盪培養する。前培養および後培養に用いられ
る培地成分の濃度は適宜変更が可能であり、また他の成
分を必要に応じて添加することも可能である。ただし、
本発明の後培養においては、炭素源以外の必須栄養源を
制限し、菌の増殖を抑え、共重合体の合成反応を効率的
に行わしめることが重要である。このとき、窒素源も制
限されるが、この際のC/N比は7以上が好ましく、窒
素源を加えなくても共重合体の誘導は可能である。C/
N比が7より小さいと炭素源は菌体の増殖のためのエネ
ルギー代謝用、菌体構成成分の合成用に消費され、共重
合体の合成に使用される量が減少して共重合体収率が著
しく低下する。また、この2段目の培養条件としては、
通常pH6〜8、温度25〜35℃、通気量0.5〜2
vvm、培養時間24〜96hrである。
【0044】培養終了後、菌体を蒸留水等で洗浄し、凍
結乾燥を行うことにより乾燥菌体を得る。合成された共
重合体は菌体内に顆粒状に蓄積される。従って、共重合
体を単離するには、このようにして得られる乾燥菌体よ
り、共重合体を例えばソックスレー抽出器等により溶剤
抽出する。抽出溶剤にはクロロホルム、ジクロロメタン
等が用いられる。得られた抽出液にヘキサン、ジエチル
エーテル、メタノール等の非極性溶媒を添加し、生ずる
沈澱をろ過、あるいは遠心分離により回収し、乾燥する
ことによって、高純度の共重合体を得ることができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を具体的に実施例により説明す
るが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものでは
ない。
【0046】実施例1 アルカリゲネス・ユートロファス(ATCC1769
9)を、イーストエキス(10g)、ポリペプトン(1
0g)、肉エキス(5g)、硫酸アンモニウム(5g)
を含む脱イオン水1000ml(pH7.0)からなる
培地に接種し、30℃にて24時間振盪培養(前培養)
した。培養終了後、培養ブロスを遠心分離して菌体を回
収し、さらに、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
酸(10g)、0.5Mリン酸水素二カリウム水溶液1
5ml、1.25Mリン酸水素二ナトリウム水溶液12
4ml、20%硫酸マグネシウム水溶液1ml、ミネラ
ル水溶液1mlを含む脱イオン水1000ml中に菌体
全量を懸濁し、30℃で48時間振盪培養(後培養)し
た。ここで使用したミネラル溶液とは、0.1N−HC
lの1000ml中にCOCl2 (119.0mg)、
NiCl2 ・6H2 O(118.0mg)、FeCl2
(9.7g)、CrCl2 (62.2mg)、CaCl
2 (7.8g)およびCuSO4 ・5H2 O(156.
4mg)を含む水溶液をいう。
【0047】培養終了後、菌体を蒸留水で洗浄し、凍結
乾燥して乾燥菌体を得た。このようにして得られた乾燥
菌体から生成した共重合体を単離するため、ソックスレ
ー抽出器を用いて乾燥菌体をクロロホルムで61℃、5
時間抽出処理した。このクロロホルム抽出液にヘキサン
を10倍量加えて共重合体を沈澱回収した。収量は、3
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸に対して16%
であった。
【0048】得られた共重合体を硫酸酸性下で100
℃、140分メタノリシスを行ない、モノマー体をメチ
ルエステルとしてキャピラリーガスクロマトグラフによ
り昇温分析した。その結果を図1に示した。また、得ら
れた共重合体を重クロロホルムに溶解し、500MHZ
−NMRにてスペクトルを測定し、その構造を解析し
た。その結果を図2に示す。図1および図2から明らか
なように、炭素源として、3−ヒドロキシ−2−メチル
プロピオン酸を用いると、3HBユニットおよび3HV
ユニット以外に、2位の炭素原子にメチル基が結合した
3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート(3H2M
P)ユニットを含む3成分系共重合体が得られたことが
分かる。なお、このときのモル分率は、3HBユニッ
ト:3H2MPユニット:3HVユニット=90:3:
7であった。
【0049】実施例2 後培養において、炭素源としてフルクトース10g/リ
ットルをさらに添加したこと以外は実施例1と同一の条
件で実験を行った。その結果、3HBユニット:3H2
MPユニット:3HVユニット=72:10:18のモ
ル分率からなる3成分系共重合体が得られた。その収量
はフルクトースおよび3−ヒドロキシ−2−メチルプロ
ピオン酸に対して21%であった。
【0050】実施例3 後培養において、炭素源として4−ヒドロキシ酪酸10
g/リットルをさらに添加したこと以外は実施例1と同
一の条件で実験を行った。その結果、3HBユニット:
3H2MPユニット:3HVユニット:4HBユニット
=86:3:5:8のモル分率からなる4成分系共重合
体が得られた。その収量は4−ヒドロキシ酪酸および3
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸に対して14%
であった。
【0051】実施例4 後培養において、炭素源として3−ヒドロキシプロピオ
ン酸10g/リットルをさらに添加したこと以外は実施
例1と同一の条件で実験を行った。その結果、3HBユ
ニット:3H2MPユニット:3HVユニット:3HP
ユニット=82:5:7:6のモル分率からなる4成分
系共重合体が得られた。その収量は3−ヒドロキシプロ
ピオン酸および3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
酸に対して13%であった。
【0052】実施例5 後培養において、炭素源としてプロピオン酸10g/リ
ットルをさらに添加したこと以外は実施例1と同一の条
件で実験を行った。その結果、3HBユニット:3H2
MPユニット:3HVユニット=72:3:25のモル
分率からなる3成分系共重合体が得られた。その収量は
プロピオン酸および3−ヒドロキシ−2−メチルプロピ
オン酸に対して18%であった。
【0053】
【発明の効果】微生物の産生する共重合体は、自然環境
下で分解される生分解性プラスチックであるが、従来知
られているものは、結晶性が高くそのため硬くて脆いと
いう欠点を有していた。これに対し、本発明において
は、3位の炭素原子に置換基を有するモノマーユニット
の他に、2位の炭素原子に置換基を有する3H2MPユ
ニットをも構成成分として含む新規な共重合体を提供す
るものである。かかる新規な共重合体は、構成成分であ
る3H2MPモノマーユニットの存在によりコポリマー
構造の規則性が崩れ、結晶性が低下し、そのため可塑性
が増す等のポリマー物性の改良が期待されたものであ
り、生分解性のプラスチックとして優れた性質を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られたP(3HB−co
−3H2MP−co−3HV)を加水分解した後エステ
ル化したもののガスクロマトグラフィーによる分析結果
である。
【図2】図2は、図1に用いたものと同一サンプルにつ
いて測定した 1H−NMR(500MHZ )スペクトル
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 志郎 東京都港区西新橋2丁目8番11号 第7 東洋海事ビル8階 財団法人 地球環境 産業技術研究機構内 (56)参考文献 特開 平5−43773(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/06 C12P 7/62 REGISTRY(STN) CA(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−ヒドロキシブチレート(3HB)ユ
    ニットを60〜90モル%、3−ヒドロキシ−2−メチ
    ルプロピオネート(3H2MP)ユニットを1〜10モ
    ル%、および3−ヒドロキシバリレート(3HV)ユニ
    ットを5〜39モル%有してなる3成分系共重合体。 【化1】 【化2】 【化3】
  2. 【請求項2】 3−ヒドロキシブチレート(3HB)ユ
    ニットを60〜90モル%、3−ヒドロキシ−2−メチ
    ルプロピオネート(3H2MP)ユニットを1〜10モ
    ル%、3−ヒドロキシバリレート(3HV)ユニットを
    5〜39モル%、および4−ヒドロキシブチレート(4
    HB)ユニットを0又は1〜34モル%有してなる3成
    分系または4成分系共重合体。 【化4】
  3. 【請求項3】 3−ヒドロキシブチレート(3HB)ユ
    ニットを60〜90モル%、3−ヒドロキシ−2−メチ
    ルプロピオネート(3H2MP)ユニットを1〜10モ
    ル%、3−ヒドロキシバリレート(3HV)ユニットを
    5〜39モル%、および3−ヒドロキシプロピオネート
    (3HP)ユニットを0又は1〜15モル%有してなる
    3成分系または4成分系共重合体。 【化5】
  4. 【請求項4】 炭素源として3−ヒドロキシ−2−メチ
    ルプロピオン酸を用い、炭素源以外の必須栄養素の制限
    下にアルカリゲネス属に属する菌株を培養することを特
    徴とする、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート
    (3H2MP)ユニットを含有する共重合体の製造法。 【化6】
  5. 【請求項5】 炭素源として3−ヒドロキシ−2−メチ
    ルプロピオン酸の他に、グルコース、フルクトース、プ
    ロピオン酸および吉草酸よりなる群から選ばれる少なく
    とも1種を用い、炭素源以外の必須栄養素の制限下にア
    ルカリゲネス属に属する菌株を培養することを特徴とす
    る、3−ヒドロキシブチレート(3HB)ユニット、3
    −ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート(3H2M
    P)ユニットおよび3−ヒドロキシバリレート(3H
    V)ユニットからなる3成分系共重合体の製造法。 【化7】 【化8】
  6. 【請求項6】 炭素源として3−ヒドロキシ−2−メチ
    ルプロピオン酸の他に、4−ヒドロキシ酪酸および/ま
    たはγ−ブチロラクトンを用い、炭素源以外の必須栄養
    素の制限下にアルカリゲネス属に属する菌株を培養する
    ことを特徴とする、3−ヒドロキシブチレート(3H
    B)ユニット、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネ
    ート(3H2MP)ユニット、3−ヒドロキシバリレー
    ト(3HV)ユニットおよび4−ヒドロキシブチレート
    (4HB)ユニットからなる4成分系共重合体の製造
    法。 【化9】
  7. 【請求項7】 炭素源として3−ヒドロキシ−2−メチ
    ルプロピオン酸の他に、3−ヒドロキシプロピオンおよ
    び/または1,5−ペンタンジオールを用い、炭素源以
    外の必須栄養素の制限下にアルカリゲネス属に属する菌
    株を培養することを特徴とする、3−ヒドロキシブチレ
    ート(3HB)ユニット、3−ヒドロキシ−2−メチル
    プロピオネート(3H2MP)ユニット、3−ヒドロキ
    シバリレート(3HV)ユニットおよび3−ヒドロキシ
    プロピオネート(3HP)ユニットからなる4成分系共
    重合体の製造法。 【化10】
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