JP2002253285A - ポリヒドロキシアルカノエートの生産方法 - Google Patents

ポリヒドロキシアルカノエートの生産方法

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JP2002253285A
JP2002253285A JP2001055233A JP2001055233A JP2002253285A JP 2002253285 A JP2002253285 A JP 2002253285A JP 2001055233 A JP2001055233 A JP 2001055233A JP 2001055233 A JP2001055233 A JP 2001055233A JP 2002253285 A JP2002253285 A JP 2002253285A
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pha
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Tsutomu Honma
務 本間
Takeshi Imamura
剛士 今村
Takashi Kenmoku
敬 見目
Etsuko Sugawa
悦子 須川
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一段階培養であっても、基質の置換アルカン
酸に由来する、特定の置換基を有するモノマーユニット
を主要な、あるいは、唯一のモノマーユニットとするポ
リヒドロキシアルカノエート(PHA)を、高収率で生
産することが可能となる新規な培養条件を採用する、P
HAの生産方法の提供。 【解決手段】 培地として、炭素源化合物と、天然培地
成分とをともに含む培地を利用し、この培地に基質の置
換アルカン酸を添加した上で、PHA産生能を有する微
生物を培養し、その菌体に生産されるPHAを蓄積さ
せ、抽出によりPHAを分離・回収を図る方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリヒドロキシア
ルカノエート(以下、PHAと略す)を生産し菌体内に
蓄積する能力を有する微生物を用いた、PHAの製造方
法に関する。より具体的には、基質として置換アルカン
酸を用い、かかる置換アルカン酸を添加した培地におい
て、前記PHA産生能を有する微生物を培養して、前記
置換アルカン酸に対応する置換を有する3−ヒドロキシ
アルカン酸ユニットを含有するPHAを生産させる方法
である。
【0002】
【従来の技術】これまで、多くの微生物がポリ−3−ヒ
ドロキシ酪酸(PHB)あるいはその他のPHAを生産
し、菌体内に蓄積することが報告されてきた(「生分解
性プラスチックハンドブック」,生分解性プラスチック
研究会編,(株)エヌ・ティー・エス,P178−19
7)。これらのポリマーは従来のプラスチックと同様
に、溶融加工等により各種製品の生産に利用することが
できる。さらに、生分解性であるがゆえに、自然界で微
生物により完全分解されるという利点を有している。従
って、従来用いられている多くの合成高分子化合物のよ
うに自然環境に残留して汚染を引き起こすことがなく、
また、焼却処分を行う必要もないため、大気汚染や地球
温暖化防止の観点からも有用な材料となり得る。さら
に、生体適合性にも優れており、医療用軟質部材等とし
ての応用も期待されている。
【0003】微生物産生PHAは、その生産に用いる微
生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成
や構造のものとなり得ることが知られており、これまで
主に、PHAの物性の改良という観点から、このような
組成や構造の制御に関する研究がなされてきた。
【0004】例えば、アルカリゲネス・ユウトロファス
H16株(Alcaligenes eutrophu
s H16、ATCC No.17699)及びその変異
株は、その培養時の炭素源を変化させることによって、
3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸との共重合
体を様々な組成比で生産することが報告されている(特
表平6−15604号公報、特表平7−14352号公
報、特表平8−19227号公報など)。
【0005】特開平5−74492号公報には、メチロ
バクテリウム属(Methylobacterium
sp.)、パラコッカス属(Paracoccus s
p.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes
sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas
sp.)の微生物を、炭素数3から7の第一級アルコ
ールに接触させることにより、3−ヒドロキシ酪酸と3
−ヒドロキシ吉草酸との共重合体を生産させる方法が開
示されている。
【0006】特開平9−191893号公報には、コマ
モナス・アシドボランス・IFO13852株(Com
amonas acidovorans IFO1385
2)が、炭素源としてグルコン酸及び1,4−ブタンジ
オールを用いて培養することより、3−ヒドロキシ酪酸
ユニットと4−ヒドロキシ酪酸ユニットを有するポリエ
ステルを生産することが開示されている。
【0007】なお、これらに記載されたPHAは、3−
ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキ
シ酪酸に由来するユニットのみで構成されるPHAであ
り、側鎖として、メチル基、エチル基などの直鎖アルキ
ル基以外の基を有していないもので、ここでは「usu
al PHA」と呼ぶ。
【0008】また、近年、炭素数が12程度までの中鎖
長(medium-chain-length:mclと略記)の3-ヒドロキ
シアルカノエート(以下、3HAと略す場合もある)か
らなるPHAについての研究が精力的に行われている。
このようなPHAの合成経路は大きく2つに分類するこ
とが可能であり、その具体例を下記(1)および(2)
に示す。
【0009】(1)β酸化を利用した合成:特許公報第
2642937号には、シュードモナス・オレオボラン
ス・ATCC29347株(Pseudomonas
oleovorans ATCC29347)に、炭素
源として非環状脂肪族炭化水素を与えることにより、炭
素数が6から12までの3−ヒドロキシアルカン酸ユニ
ットを有するPHAを生産することが開示されている。
【0010】また、Appl.Environ.Microbiol,58
(2),746(1992)には、シュードモナス・レジノボラン
ス(Pseudomonas resinovorans)が、オクタン酸を単
一炭素源として、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘ
キサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデ
カン酸(量比 1:15:75:9)をモノマーユニットとす
るポリエステルを生産し、また、ヘキサン酸を単一炭素
源として、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン
酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸
(量比 8:62:23:7)をユニットとするポリエステル
を生産することが報告されている。ここで、原料の脂肪
酸よりも鎖長の長い3HAモノマーユニットは、次ぎの
(2)で説明する脂肪酸合成経路を経由していると考え
られる。
【0011】(2)脂肪酸合成経路を利用した合成 Int.J.Biol.Macromol.,16(3)、119(1994)に
は、シュードモナス sp.61-3株(Pseudomonas sp.61-3
strain)が、グルコン酸ナトリウムを単一炭素源とし
て、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3
-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-
ヒドロキシドデカン酸といった3-ヒドロキシアルカン
酸及び、3-ヒドロキシ-5-cis-デセン酸、3-ヒドロキ
シ-5-cis-ドデセン酸といった3-ヒドロキシアルケン
酸をユニットとするポリエステルを生産することが報告
されている。
【0012】ところで、通常、PHAの生合成は、細胞
内の様々な代謝経路の中間体として生じる「D-3-ヒド
ロキシアシル-CoA」を基質とし、PHAシンターゼ
(PHA synthase)により行われる。
【0013】ここで、「CoA」とは「補酵素A(coenz
yme A)」のことである。そして上記(1)の先行技
術に記載されている様に、オクタン酸やノナン酸等の脂
肪酸を炭素源とした場合、PHAの生合成は、「β酸化
サイクル」中に生じた「D-3-ヒドロキシアシル-Co
A」が出発物質として行われるとされている。
【0014】以下に、「β酸化サイクル」を経由してP
HAが生合成されるまでの反応を示す。
【0015】
【化3】
【0016】一方、上記の文献に記載されている様に、
グルコース等の糖類を基質とし、PHAを生合成する場
合は、「脂肪酸合成経路」中に生じた「D-3-ヒドロキ
シアシル-ACP」から変換された「D-3-ヒドロキシ
アシル-CoA」が出発物質として行われるとされてい
る。ここで、「ACP」とは「アシルキャリアプロテイ
ン(acyl carrier protein)」のことである。
【0017】ところで、先に述べたとおり、mcl-アルカ
ン酸を基質とする際、上記(1)および(2)で合成さ
れているPHAは、いずれも側鎖にアルキル基を有する
モノマーユニットからなるPHA、即ち、「usual PH
A」である。しかし、このような微生物産生PHAのよ
り広範囲な応用、例えば機能性ポリマーとしての応用を
考慮した場合、アルキル基以外の置換基(例えば、フェ
ニル基など)を側鎖に導入したPHAが極めて有用であ
ることが期待される。他の置換基の例としては、不飽和
炭化水素、エステル基、アリル基、シアノ基、ハロゲン
化炭化水素、エポキシドなどが挙げられる。
【0018】そのような置換基(すなわち、アルキル基
以外)を側鎖に導入したPHA(以下、必要に応じて
「unusual PHA」とする)の合成に関しては、β酸化
を利用した合成について、例えば、Macromolecules,2
4,p5256-5260(1991)に、アリール基等を側鎖に導入
したPHAに関する報告がある。具体的には、シュード
モナス・オレオボランスが5-フェニル吉草酸(以下、
PVAと略す場合もある)とノナン酸とを基質として
(モル比2:1、総濃度 10mmol/L)、3HV、3-ヒ
ドロキシヘプタン酸、3-ヒドロキシノナン酸、3-ヒド
ロキシウンデカン酸、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草
酸(以下、3HPVと略す場合もある)をモノマーユニ
ットとして、0.6:16.0:41.1:1.7:40.6 の量比で含
むPHAを、培養液1Lあたり 160mg(菌体に対する乾
燥重量比 31.6%)生産し、また、PVAとオクタン酸
とを基質として(モル比1:1、総濃度 10mmol/L)、
3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、
3-ヒドロキシデカン酸、3HPVをモノマーユニット
として、7.3:64.5:3.9:24.3の量比で含むPHAを、
培養液1Lあたり 200mg(菌体に対する乾燥重量比 39.
2%)生産することが報告されている。この報告におけ
るPHAは、ノナン酸やオクタン酸が用いられているこ
とからも主にβ酸化経路を経て合成されているものと考
えられる。
【0019】関連する記述は、Macromol. Chem., 19
1, 1957-1965 (1990)、Chirality, 3, 492-494
(1991)にもあり、3HPVが含まれていることに起因
すると思われる、ポリマー物性の変化が認められてい
る。
【0020】従来、微生物産生PHAにおいては、その
生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等を変
えることにより、何通りかの組成・構造のものが得られ
ているが、それらの試みの目的は、専らプラスチックと
しての物性の改良を図ることであった。
【0021】一方、前記のような置換基が側鎖に導入さ
れている「unusual PHA」は、生分解性ポリ
マーであることも勿論である上、導入されている置換基
自体の特性等に起因する、極めて有用な機能・特性を有
した「機能性ポリマー」としての展開も期待できる。よ
って、前記のような機能性と生分解性とを兼ね備えた優
れたPHAポリマーと、そのPHAポリマーを生産し菌
体内に蓄積し得る微生物、特には、かかるPHAを高純
度で効率的に生産する方法の開発は極めて有用かつ重要
であると考えられる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、様々な置換
基を側鎖に導入したPHA、例えば、下記一般式
[2]:
【0023】
【化4】
【0024】(式中、nは0から8の整数を示し、Rは
任意の置換基を示す。)で表される置換−3−ヒドロキ
シアルカン酸ユニットを含むPHAを微生物により生産
する方法としては、先に挙げた、シュードモナス・オレ
オボランスによる3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸
ユニットを含むPHAの生産などの報告例等に示される
通り、予め導入しようとする置換基を有した対応の置換
アルカン酸、具体的には、下記一般式[1]:
【0025】
【化5】
【0026】(式中、nは0から8の整数を示し、Rは
任意の置換基を示す。)で表される置換アルカン酸を培
地に添加し、その他に、オクタン酸やノナン酸といった
中鎖の直鎖アルカン酸などを炭素源として含む培地でP
HA産生能を有する微生物を培養した後、その培養菌体
から目的のPHAを抽出する方法が従来より知られてい
る。
【0027】しかしながら、前記する培養方法により培
養した菌体から回収するPHAは、一般に、培地に含ま
れる炭素源の中鎖の直鎖アルカン酸に由来する3−ヒド
ロキシアルカン酸のモノマーユニット(例えば、3−ヒ
ドロキシオクタン酸や3−ヒドロキシノナン酸等)が高
い割合(例えば、数十%程度)で混在している。そのた
め、添加した基質である置換アルカン酸に由来する、側
鎖上に特定の置換基を有するモノマーユニットを主要
な、あるいは、唯一のモノマーユニットとするPHAを
取得しようとする場合は、上記のような「目的外」のモ
ノマーユニットを除去するための精製工程が必要とな
る。勿論、前記の精製工程を設けることに伴い、全体の
操作が煩雑となる上、収率の大幅な低下も避けられな
い。さらに、目的のモノマーユニットと目的外のモノマ
ーユニットとが共重合体を形成している場合は、目的外
のモノマーユニットのみを除去するのは極めて困難であ
る。
【0028】一方、二段階培養法、即ち、一次培養とし
て、炭素源などを含む培地で、微生物を対数増殖後期か
ら定常期の時点まで培養し、菌体を遠心分離等で回収し
た後、二次培養として、例えば、前記一般式[1]で表
される置換アルカン酸を基質として添加した培地で、一
次培養で得られる菌体を更に培養する方法を利用して、
PHAの生産を行う方法も、従来の多くの報告で用いら
れている。
【0029】この二段階培養法を利用する方法では、培
養条件や培地組成などを適切に設定することによりに、
基質の置換アルカン酸に由来する、特定の置換基を有す
るモノマーユニットを主要な、あるいは、唯一のモノマ
ーユニットとするPHAを、高収率で生産し得る利点を
有する方法ではある。ただし、この二段階培養法を利用
する方法を工業生産レベルで実施する場合、培養が二段
階に渡ることに起因して、培養工程が煩雑となる。加え
て、一次培養後の菌体の回収、その後、速やかに、二次
培養用の培養装置へ移し換える作業など、時間的な制約
のなかで行う工程を含むため、それに必要な付加的な設
備、余分な手間と時間を要する点など、課題を残してい
る。
【0030】従って、基質の置換アルカン酸に由来す
る、所望の置換基を側鎖に導入した微生物産生PHAを
用途開発を進めるためには、目的のモノマーユニットを
高い含有比率で含むPHAの安定な供給が前提となり、
特には、簡便な工程であって、高収率の生産が可能な生
産方法を開発することも必要となる。
【0031】本発明は前記の課題を解決するもので、本
発明の目的は、二段階培養法の利用に換えて、一段階培
養であっても、基質の置換アルカン酸に由来する、特定
の置換基を有するモノマーユニットを主要な、あるい
は、唯一のモノマーユニットとするPHAを、高収率で
生産することが可能となる新規な培養条件を用いて、微
生物を培養して、目的とするモノマーユニットを高い含
有比率で含むPHAの高い収率で、再現性の高い生産方
法を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究を進めたところ、一段階培養
において、前記一般式[1]で表される置換アルカン酸
を添加した培地で、PHA産生能を有する微生物を培養
する際、その培地に、例えば、グルコースなどの糖類、
あるいはピルビン酸ナトリウム、リンゴ酸二ナトリウム
のようなTCAサイクルの関与する有機酸などの、炭素
源化合物を含有させ、さらに、酵母エキス、ポリペプト
ンなどの天然培地成分をも含有させた培地を用いると、
基質の置換アルカン酸に由来する、特定の置換基を有す
る目的のモノマーユニット以外に、側鎖として、メチル
基、エチル基などの直鎖アルキル基を有するmcl−3H
A型のモノマーユニットの混入が効果的に抑制でき、ま
た、培養液当たりのPHAの収率も高いものとなること
を見出した。かかる知見に加えて、本発明者らは、かか
る方法は、培養に用いる培地を、予め炭素源化合物と天
然培地成分を所定濃度で含有したものとし、培養開始に
際し、目的する基質の置換アルカン酸を添加すること
で、工程自体も簡便化・共通化が可能となることをも確
認して、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの生産
方法を完成するに至った。
【0033】すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカ
ノエートの生産方法は、微生物を利用してポリヒドロキ
シアルカノエートを生産する方法であって、目的生産物
のポリヒドロキシアルカノエートは、原料とする下記一
般式[1]:
【0034】
【化6】
【0035】(式中、nは1から8の整数を示し、Rは
任意の置換基を示す。)で表される置換アルカン酸に対
応する、下記一般式[2]:
【0036】
【化7】
【0037】(式中、nは、前記一般式[1]中のnと
対応する1から8の整数を示し、Rは、前記一般式
[1]中のRと同じ任意の置換基を示す。)で表される
モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート
であり、用いる前記微生物は、前記一般式[2]で表さ
れるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエ
ートの産生能を有する微生物であり、前記微生物が利用
可能な炭素源化合物であって、糖類ならびにTCAサイ
クルに関与する有機酸から選択される炭素源化合物、な
らびに天然培地成分を含む培地に、原料とする前記一般
式[1]で表される置換アルカン酸を添加して、この培
地で前記微生物を培養した後、前記微生物が生産した前
記一般式[2]で表されるモノマーユニットを含むポリ
ヒドロキシアルカノエートを抽出して、培養微生物菌体
から回収することを特徴とするポリヒドロキシアルカノ
エートの生産方法である。その際、通常、本発明のポリ
ヒドロキシアルカノエートの生産方法では、微生物の培
養は、原料とする前記一般式[1]で表される置換アル
カン酸が添加され、前記炭素源化合物ならびに天然培地
成分を含む培地による1段階の培養であることを特徴と
するポリヒドロキシアルカノエートの生産方法とするこ
とが望ましい。
【0038】本発明のポリヒドロキシアルカノエートの
生産方法は、例えば、前記炭素源化合物は、グルコー
ス、ピルビン酸またはその塩、リンゴ酸またはその塩か
らなる群より選択された少なくとも一つの化合物である
ことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの生産
方法とすることが好ましい。
【0039】また、本発明のポリヒドロキシアルカノエ
ートの生産方法は、例えば、天然培地成分は、酵母エキ
ス、ポリペプトンからなる群より選択された少なくとも
一つであることを特徴とするポリヒドロキシアルカノエ
ートの生産方法とすることが好ましい。
【0040】本発明のポリヒドロキシアルカノエートの
生産方法では、ピルビン酸またはその塩として、ピルビ
ン酸ナトリウム(CH3COCOONa)を用いること
を特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの生産方法
とするとより好ましい。あるいは、リンゴ酸またはその
塩として、リンゴ酸二ナトリウム(Na2445)ま
たはその水和物を用いることを特徴とするポリヒドロキ
シアルカノエートの生産方法とするとより好ましい。
【0041】一方、上記の培地組成を選択する本発明の
ポリヒドロキシアルカノエートの生産方法では、前記一
般式[1]および一般式[2]中の置換基Rが、フェニ
ル基、ベンゾイル基、チエニル基、フェノキシ基、シク
ロヘキシル基、ならびに、これら基中の環上の任意の部
位に更に置換がなされている基からなる群より選択され
たいずれかの基であることを特徴とするポリヒドロキシ
アルカノエートの生産方法の形態とするとより好ましい
方法となる。例えば、前記一般式[1]で表される置換
アルカン酸は、5−フェニル吉草酸、5−ベンゾイル吉
草酸、5−(2−チエニル)吉草酸からなる群より選択
されるいずれかの置換吉草酸であることを特徴とするポ
リヒドロキシアルカノエートの生産方法の形態とすると
更に好ましい方法となる。前記の環上に更に置換する基
としては、ハロゲン原子、−CN,−NO2など、それ
自体が、環基全体に特性を付与するこのが好ましい。
【0042】上述する構成の本発明のポリヒドロキシア
ルカノエートの生産方法においては、前記微生物とし
て、シュードモナス属(Pseudomonas s
p.)に属する微生物を利用することを特徴とするポリ
ヒドロキシアルカノエートの生産方法とすることが好ま
しい。例えば、前記微生物として、シュードモナス・チ
コリアイ・YN2株(Pseudomonas cic
horii YN2、FERM BP−7375)を利用
することを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの
生産方法とするとより好ましいものとなる。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明のポリヒドロキシアルカノ
エートの生産方法は、培地として、炭素源化合物(例え
ば、グルコース、ピルビン酸ナトリウム、または、リン
ゴ酸二ナトリウム)と、天然培地成分(例えば、酵母エ
キス、または、ポリペプトン)とをともに含む培地を利
用し、この培地に基質の置換アルカン酸を添加した上
で、PHA産生能を有する微生物を培養し、その菌体に
生産されるPHAを蓄積させる方法とすることで、二段
階培養法でなく、一段階培養法を用いても、生産される
PHAを構成するモノマーユニット中に、原料とする置
換アルカン酸と対応するモノマーユニット以外に、混入
してくる目的外のモノマーユニットの混在量を抑制しつ
つ、しかも、高い生産性で所望のPHAを生産する手段
となる。従って、本発明のPHAの生産方法は、二段階
培養法における工程の煩雑さもなく、培養に要する設備
数、手間を掛けることなく、目的とするモノマーユニッ
トが主要な、あるいは、唯一のモノマーユニットとする
PHAを、高収率で生産することが可能となる。また、
本発明の方法で生産されるPHAは、一般に、それを構
成するモノマーユニット(3HA)は3位に不斉炭素を
有するが、その立体配置がR−体のみから構成されるア
イソタクチックなポリマーとなる。従って、前記のR−
体のモノマーユニットからなるポリマーは、生分解性を
保持するものとなる。
【0044】具体的には、炭素源化合物として、好まし
くは、β酸化サイクルを経ずに、微生物の生育や生存に
要するエネルギー源ならびに炭素源である、アセチルC
oAを生成する機構に利用可能な炭素源化合物、例え
ば、グルコースなどの糖類、ピルビン酸、リンゴ酸など
のTCAサイクルに関与している有機酸を、基質の置換
アルカン酸と共存させ、加えて、微生物の増殖・生育に
利する天然培地成分、好適には、酵母エキスやポリペプ
トンなど、アミノ酸の供給源としても利用可能なもの
を、無機塩培地に加えて、微生物の増殖と生育を促進
し、対数増殖後期から定常期の時点まで培養すること
で、基質の置換アルカン酸に対して、選択的にβ酸化を
起こさせ、目的とするPHAを生産させるものである。
【0045】なお、本発明の方法における培養方法の特
徴の一つである、炭素源化合物と天然培地成分とを含む
培地を利用する点に関しては、同様に炭素源と天然培地
成分とを含む培地を用いたPHAの生産方法としては、
特表2000−512857号公報に記載の方法がある
ものの、この特表2000−512857号公報に記載
される方法は、その目的は、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸
等の「usual PHA」の生産に関するものであ
る。従って、本発明の方法の目的、すなわち、3−ヒド
ロキシ酪酸等の「usual PHA」を構成するユニ
ットの産生を抑制しつつ、目的とする、置換アルカン酸
に由来するユニットの産生とPHAへの構築を促進させ
る目的・効果とは、そもそも、その目的からして、根本
的に異なる技術である。少なくとも、特表2000−5
12857号公報の記載には、培地中に前記一般式
[1]で表される置換アルカン酸が含まれる際に、そこ
で使用されている菌株が、3−ヒドロキシ酪酸等の「u
sual PHA」を構成するユニットに代えて、置換
アルカン酸に由来するユニットの産生とPHAへの構築
を選択的に行うか否かを予測させる内容は含まれていな
い。
【0046】以下に、本発明の方法において、基質とし
て利用される置換アルカン酸、微生物、培養工程等につ
いて、さらに詳しく説明する。
【0047】(置換アルカン酸)本発明の方法において
は、目的とする前記一般式[2]で表されるモノマーユ
ニットを与える基質として、対応する置換基Rを有す
る、前記一般式[1]で表される置換アルカン酸を利用
している。本発明の方法が適用可能な基質としては、利
用する微生物により、その微生物の有するPHA産生能
によって、置換アルカン酸の3位にヒドロキシル基の付
加が可能ばものであれば、特に限定されない。従って、
目的とするPHA型機能性ポリマーに求められる特性に
応じて、一般式[2]で表されるモノマーユニット自体
の置換基Rが選択され、前記一般式[1]で表される置
換アルカン酸の置換基Rも対応するものを選択する。
【0048】機能性ポリマーとして、前記一般式[2]
で表されるモノマーユニットを含むPHAを利用する際
には、例えば、前記一般式[2]の置換基Rとして、フ
ェニル基、フェノキシ基、ベンゾイル基、チエニル基、
シクロヘキシル基等の官能基、あるいは、これら官能基
の主構成要素、例えば、環上の任意の部位に更に各種の
置換基、具体的には、ハロゲン原子、−CN,−NO3
などが付加されている基を選択し、前記の種々の官能基
に起因する特性を有するものとすることが好ましい。従
って、置換基Rとして、フェニル基、フェノキシ基、ベ
ンゾイル基、チエニル基、シクロヘキシル基等の官能基
や、これら官能基中、含まれる環上の任意の部位に、例
えば、ハロゲン原子、−CN,−NO3などの各種の置
換基が更に存在(付加)している基を含む置換アルカン
酸を基質に用いるとよい。
【0049】さらに具体的には、例えば、前記一般式
[1]で表される置換アルカン酸として、下記化学式
[3]:
【0050】
【化8】
【0051】で表される5−フェニル吉草酸、下記化学
式[4]:
【0052】
【化9】
【0053】で表される5−ベンゾイル吉草酸、下記化
学式[5]:
【0054】
【化10】
【0055】で表される5−(2−チエニル)吉草酸、
これら三種の芳香環を有する置換アルカン酸を用いるこ
とができる。 (PHAモノマーユニット供給系)先ず、目的とするP
HAに混在してくるmcl-3HAモノマーユニットの供給系
の1つである「脂肪酸合成経路」について詳細に説明す
る。
【0056】グルコース等の糖類を基質とした場合、細
胞成分として必要なアルカン酸は、糖類から「解糖系」
を経て生産されるアセチルCoAを出発物質とした「脂
肪酸合成経路」から生合成される。なお、脂肪酸合成に
は新規(de novo)合成経路と炭素鎖延長経路があり、
以下にこれらについて説明する。
【0057】(1)新規(de novo)合成経路 アセチルCoAカルボキシラーゼ(EC 6.4.1.2)
と脂肪酸合成酵素(EC 2.3.1.85)の2つの酵素
で触媒される。なお、アセチルCoAカルボキシラーゼ
は、ビオチンを介在し、最終的に以下の反応を触媒し、
アセチルCoAからマロニルCoAを生成する酵素であ
り、反応は下記式で表わされる。 アセチルCoA+ATP+HCO3 -⇔マロニルCoA+ADP+Pi また、脂肪酸合成酵素は、転移−縮合−還元−脱水−還
元の反応サイクルを触媒する酵素であり、全反応は次の
反応式で示される。 アセチルCoA+nマロニルCoA+2nNADPH+2nH+ ⇒CH3(C
H2)2nCOOH+nCO2+2nNADP++(n-1)CoA なお、酵素の種類によって、反応産物が遊離酸、CoA
誘導体、あるいはACP誘導体の場合がある。
【0058】ここで、アセチルCoAは以下の化学式で
示され、
【0059】
【化11】
【0060】マロニルCoAは以下の化学式で示され
る。
【0061】
【化12】
【0062】また、CoAとは補酵素A(coenzyme
A)の略称であり、以下の化学式で示される。
【0063】
【化13】
【0064】本反応経路のうち、以下に示す経路によ
り、PHA生合成のモノマー基質となる「D-3-ヒドロ
キシアシル-ACP」が中間体として生成される。ま
た、以下の反応式に示すように、脂肪酸合成経路におい
ては、炭素を2個ずつ付加しながら最終的にはパルミチ
ン酸まで延長される。それゆえ、PHA生合成のモノマ
ー基質としては、「D-3-ヒドロブチリル-ACP」か
ら「D-3-ヒドロキシパルミチル-ACP」の炭素数が
偶数の7種類の「D-3-ヒドロキシアシル-ACP」が
この経路から供給されることになる。
【0065】
【化14】
【0066】(2)炭素鎖延長経路 この経路は、アシル-ACPにマロニルACPが付加
し、最終的に炭素鎖が2つ延長されたアシル-ACP
(及びCO2)となる経路(経路Aとする)と、アシル-
CoAにアセチルCoAが付加し、最終的に炭素鎖が2つ
延長されたアシル-CoAとなる経路(経路Bとする)の
2経路に大別される。以下に各経路について説明する。 ・経路A R-CO-ACP+マロニル-ACP→R-CO-CH2-CO-ACP+CO2 R-CO-CH2-CO-ACP→R-CHOH-CH2-CO-ACP→R-CH=CH-CO-ACP
→R-CH2-CH2-CO-ACP ・経路B R-CO-CoA+アセチル-CoA→R-CO-CH2-CO-CoA R-CO-CH2-CO-CoA→R-CHOH-CH2-CO-CoA→ R-CH=CH-CO-CoA→R-CH2-CH2-CO- CoA 経路A、Bいずれの系も、中間体として「D-3-ヒドロ
キシアシル-CoA」あるいは「D-3-ヒドロキシアシル
-ACP」が生じ、「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」
はそのままPHA合成のモノマー基質として利用され、
また、「D-3-ヒドロキシアシル-ACP」はACP-C
oA転移酵素により「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」
に変換された後に、PHA合成のモノマー基質として利
用されると考えられる。
【0067】グルコース等の糖類を基質とした場合、微
生物細胞中では以上のような「解糖系」及び「脂肪酸合
成経路」を経由してmcl-3HAモノマーユニットが生成
されると考えられる。また、TCAサイクルに関与する有
機酸を基質とした場合、ピルビン酸からはピルビン酸デ
ヒドロゲナーゼにより直接アセチルCoAが生成する。オ
キサロ酢酸からはホスホエノールピルビン酸カルボキシ
キナーゼによりホスホエノールピルビン酸がピルビン酸
キナーゼにより触媒されてピルビン酸が生成し、さらに
上記反応によりアセチルCoAが生成する。これらの反応
により生成したアセチルCoAが「脂肪酸合成経路」を経
由してmcl-3HAモノマーユニットが生成されると考えら
れる。
【0068】ここで、例えば、オクタン酸、ノナン酸等
のmcl-アルカン酸、あるいは、例えば、5-フェニル吉
草酸、4-フェノキシ酪酸、5-(2-チエニル)吉草酸とい
った、末端に直鎖脂肪族アルキル以外の官能基が付加さ
れたアルカン酸は、CoAリガーゼ(EC 6.2.1.3
等)によりCoA誘導体となり、β酸化サイクルを担う
酵素群により直接的にPHA生合成のモノマー基質とな
る「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」となると考えられ
る。
【0069】つまり、糖類あるいはTCAサイクルに関与
する有機酸から生成するmcl-3HAモノマーユニット
が、きわめて多段階の酵素反応を経て(つまり間接的
に)生成されるのに比較し、mcl-アルカン酸からはきわ
めて直接的にmcl-3HAモノマーユニットが生成されて
くることになる。
【0070】ここで、微生物の増殖を担うアセチルCo
Aの生成について説明する。目的とするモノマーユニッ
ト導入用のアルカン酸に加えて、mcl-アルカン酸を培地
に共存させる際には、これらのアルカン酸がβ酸化サイ
クルを経由することによりアセチルCoAが生成する。
一般に、バルキーな置換基を有するアルカン酸(フェニ
ル基、フェノキシ基、チエニル基等の置換基を有するア
ルカン酸)に比較し、mcl-アルカン酸はβ酸化サイクル
の酵素群との基質親和性に優れていると考えられる。つ
まり、共存しているmcl-アルカン酸から、効果的にアセ
チルCoAが生成される。そのため、mcl-アルカン酸の
共存は、アセチルCoAをエネルギー源及び炭素源とし
て用いる微生物の増殖には有利となる。
【0071】しかしながら、β酸化サイクルを経由す
る、mcl-アルカン酸から直接的に生成するmcl-3HAモ
ノマーユニットもPHAに取り込まれるために、生産さ
れるPHAには、目的のモノマーユニットに加えて、mc
l-3HAモノマーユニットの混在が多いものとなってし
まうことが大きな課題となる。
【0072】この課題を解決するためには、mcl-アルカ
ン酸以外で、効果的なアセチルCoAの生成を可能と
し、エネルギー源及び炭素源として、微生物が利用する
基質を選択し、目的とする置換アルカン酸と共存させる
方法が望ましい。前述のように、アセチルCoAは脂肪
酸合成経路を経ることにより、PHAのモノマーユニッ
トの合成の原料となり得るが、mcl-アルカン酸からの直
接的な生成に比較すれば、より多段階の反応を経由する
必要がある、間接的な生成過程を経るものである。その
ため、アセチルCoAの生成に利用される基質の濃度
等、培養条件を適宜選択することにより、実質的に、前
記の間接的な生成過程を経て得られるmcl-3HAの混在
のない、あるいは少ない製造方法の実現が可能となる。
【0073】本発明の方法において、アセチルCoAの
効果的な生成・供給に利用され、エネルギー源および炭
素源として微生物が利用する基質として、グリセロアル
デヒド、エリスロール、アラビノース、キシロース、グ
ルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースと
いったアルドース、グリセロール、エリスリトール、キ
シリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルドン
酸、グルクロン酸やガラクツロン酸等のウロン酸、マル
トース、スクロース、ラクトースといった二糖等の糖類
のほか、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、クエン酸、コハ
ク酸、フマル酸またはそれらの塩等のTCAサイクルに関
与する有機酸、さらには酵母エキス、ポリペプトン、肉
エキス、カザミノ酸などの天然物由来の培地成分など、
β酸化サイクルを経ずにアセチルCoAを生成でき、エ
ネルギー源および炭素源として利用可能な化合物であれ
ば、いかなる化合物でも用いることができる。その際、
用いる菌株に対する基質としての有用性で適宜選択する
ことができる。また、mcl-3HAユニットの混入の少な
い組み合わせであれば、複数種の化合物を選択して用い
ることも可能であり、特に、糖類またはTCAサイクルに
関与する有機酸と、天然培地成分との組み合わせによっ
て、1段階培養においても、不要なmcl-3HAユニット
の排除に優れた効果が認められる。本発明の方法は、前
記の作用によって、目的とするチエニルアルカン酸に由
来するユニットの含有比率を高くするものである。
【0074】(微生物)本発明の方法に利用される微生
物としては、前記一般式[1]で表される置換アルカン
酸を原料とし、対応する前記一般式[2]の3−ヒドロ
キシアルカン酸ユニットを含むPHAを産生可能であれ
ば、いかなる微生物をも使用することができる。また、
本発明の方法では、微生物の種類に依存することなく、
目的とする一般式[2]で表されるモノマーユニットの
含有比率を高くすることができる培養条件を用いるの
で、場合によっては、複数種の微生物を混合して用いる
こともできる。その場合でも、得られるPHAは、一般
式[2]で表されるモノマーユニットの含有比率の分布
は小さなものとできる。
【0075】本発明者らは、前記一般式[1]で表され
る置換アルカン酸を基質として用いて、前記一般式
[2]の3−ヒドロキシアルカン酸ユニットを含むPH
Aを生産し菌体内に蓄積する能力を有する微生物の探索
を行った。その結果、本発明者らが、山梨県の土壌から
取得した、PHAの産生能を有するシュードモナス属の
新規な菌株の中でも、例えば、上記化学式[3]の−フ
ェニル吉草酸、化学式[4]の5−ベンゾイル吉草酸、
化学式[5]の5−(2−チエニル)吉草酸のいずれに
対しても、シュードモナス・チコリアイ・YN2株(P
seudomonas cichorii YN2)が優
れたPHAの産生能を有する菌株の一つであるを見出し
た。
【0076】このシュードモナス・チコリアイ YN2
株は、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(生命
研)に、平成11年6月3日付けで、受託番号:微工研
菌寄第P−17411(FERM P−17411)の
微生物として、既に国内寄託され、その後、平成12年
11月20日付けで、前記原寄託よりブタペスト条約に
基づく寄託への移管がなされ、同国際寄託機関でもある
生命研により、受託番号:FERM BP−7375の
微生物として、受託されている。
【0077】前記のシュードモナス・チコリアイ・YN
2株の菌学的性質を列挙すれば以下の通りである。 <シュードモナス・チコリアイ・YN2株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ:桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、 表層なめらか、光沢、半透明 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陽性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β−ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育) ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性 Tween80の加水分解 :陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L−アラビノース :陽性 D−マンノース :陰性 D−マンニトール :陰性 N−アセチル−D−グルコサミン :陰性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n−カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl−リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 以上のような菌学的性質に基づき、バージェーズ・マニ
ュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー・
第1巻(Bergey's Manual of Systematic Bacteriolog
y, Volume1)(1984年)及びバージェーズ・マニュ
アル・オブ・ディタミネーティブ・バクテリオロジー
(Bergey' s Manual of Determinative Bacteriology)
第9版(1994年)を参照して、属種の同定を行った
ところ、YN2株は、シュードモナス チコリアイ(Pseu
domonas cichorii)と同定するのが適当であることが認
められた。
【0078】また、シュードモナス属に属する微生物に
加えて、アエロモナス属(Aeromonas s
p.)、コマモナス属(Comamonas s
p.)、バークホルデリア属(Burkholderi
a sp.)などに属し、前記一般式[1]で表される
置換アルカン酸を原料(基質)として用いて、前記一般
式[2]で表される3−ヒドロキシアルカン酸ユニット
を含むPHAを生産する微生物を用いることも可能であ
る。
【0079】(培養工程)本発明にかかるPHAの生産
方法に用いる微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の
調製、PHAの生産に必要とされる菌数や活性状態を確
保するための増殖(種菌培養)などには、用いる微生物
の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜選択して用い
る。例えば、微生物を通常生育させる場合、微生物の生
育や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天
然培地(肉汁培地、酵母エキス培地など)や、栄養源を
添加した合成培地など、いかなる種類の培地をも用いる
ことができる。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用
いる微生物に応じて適宜選択する。
【0080】前記の種菌培養により準備された、PHA
産生能を有する微生物を用いて、上記一般式[2]で表
される置換3−ヒドロキシアルカン酸ユニットを含むP
HAの生産を行う際には、各種の炭素源、天然培地成分
から選択されるそれぞれ少なくとも一種の炭素源、天然
培地成分を加えた無機培地等に、対応する基質の一般式
[1]で表される置換アルカン酸を添加し、対数増殖後
期から定常期の時点まで培養する。本発明の方法では、
培養工程の煩雑さを避けることを目的としており、通
常、この一段階培養法を用いることが好ましい。
【0081】前記PHA生産の培養に利用する無機培地
は、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例え
ば、アンモニウム塩、硝酸塩など)等、微生物の増殖に
必要な成分を含んでいるものであればいかなるものでも
よい。シュードモナス属に属する微生物などに対して一
般に利用される無機培地を用いることができ、例えば、
MSB培地、M9培地等を挙げることができる。なお、
後に記載する実施例でも利用している、M9培地の組成
は以下の通りである。
【0082】(M9培地の組成) Na2HPO4 6.2 g KH2PO4 3.0 g NaCl 0.5 g NH4Cl 1.0 g (培地1リットル中、pH7.0) 更に、良好な増殖及びPHAの生産のためには、上記の
無機塩培地に培地に以下に示す微量成分溶液を0.3%(v
/v)程度添加するのが好ましい。
【0083】微量成分溶液の組成 ニトリロ三酢酸: 1.5 g MgSO4 : 3.0 g MnSO4 : 0.5 g NaCl : 1.0 g FeSO4 : 0.1 g CaCl2 : 0.1 g CoCl2 : 0.1 g ZnSO4 : 0.1 g CuSO4 : 0.1 g AlK(SO4)2 : 0.1 g H3BO3 : 0.1 g Na2MoO4 : 0.1 g NiCl2 : 0.1 g (1リットル中、pH7.0) また、培地に添加する原料の置換アルカン酸の濃度は、
利用する微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に
応じて適宜選択されるものであるが、通常、置換アルカ
ン酸自体の分子量にも依るものの、培地への添加率(初
期濃度)を0.01%〜1.0%(w/v)の範囲、好
ましくは、0.05%〜0.5%(w/v)の範囲に選
択することが好ましい。
【0084】本発明の方法では、通常、PHA生産の培
養は一段階培養で行うことに伴い、前記の無機培地に、
炭素源化合物ならびに汎用される天然培地成分を加えて
いる。この炭素源化合物としては、グリセロアルデヒ
ド、エリスロース、アラビノース、キシロース、グルコ
ース、ガラクトース、マンノース、フルクトースといっ
たアルドース、グリセロール、エリスリトール、キシリ
トール等のアルジトール、グルコン酸等のアルドン酸、
グルクロン酸やガラクツロン酸等のウロン酸、マルトー
ス、スクロース、ラクトースなどの二糖等の糖類、ピル
ビン酸、クエン酸、コハク酸等のTCA回路中の中間体
など、TCAサイクルに関与する有機酸などを利用する
ことが好ましい。すなわち、前記の糖類や有機酸類は、
β酸化サイクルを経ずにアセチルCoAを生成する機構
に利用可能な炭素源化合物を用いることが好ましい。例
えば、グルコース、あるいは、ピルビン酸またはその
塩、リンゴ酸またはその塩のいずれかを用いることがよ
り好ましい。なお、有機酸の塩を利用する場合、水溶性
の塩の形状で培地に加える。
【0085】培地に含有させる炭素源化合物の濃度は、
利用する微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に
応じて適宜選択されるものであるが、通常、炭素源化合
物自体の分子量にも依るものの、培地中の含有量(初期
濃度)を0.05%〜5.0%(w/v)の範囲、好ま
しくは、0.1%〜1.0%(w/v)の範囲に選択す
ることが好ましい。ただし、有機酸の塩を利用する場
合、有機酸に換算した際、前記の濃度範囲となるように
選択する。
【0086】一方、天然培地成分としては、微生物の培
養に広く利用されている、酵母エキス、肉エキス、麦芽
エキス、ポリペプトン、糖蜜などの天然培地成分を用い
ることができる。これらの天然培地成分は、通常の微生
物の生育に利用され得るものとして、多くの製品が市販
されている。本発明の方法においても、利用する微生物
の属種において、利用可能である天然培地成分であれ
ば、前記の市販製品の何れをも用いることができる。例
えば、シュードモナス属に属する微生物などの通常培養
において、しばしば利用される、酵母エキス、ポリペプ
トンは、好適に利用できる。
【0087】培地に含有させる天然培地成分の含有率
は、利用する微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方
法に応じて適宜選択されるものであるが、通常、天然培
地成分の種類にも依るものの、培地中の含有率(初期濃
度)を0.05%〜5.0%(w/v)の範囲、好まし
くは、0.1%〜1.0%(w/v)の範囲に選択する
ことが好ましい。
【0088】前記微生物の培養方法は、バッチ式培養、
流動バッチ式培養、半連続培養、連続培養、リアクター
形式培養など、通常の微生物の培養に用いるいかなる方
法をも用いることができる。いずれの培養方式を用いる
場合も、PHA生産の培養は、一段階培養によって、対
数増殖後期から定常期の時点まで培養した後、培養菌体
を培養物より集菌する。
【0089】培養温度は、微生物の属種、菌体密度、あ
るいは培養方法に応じて適宜選択されるものであるが、
通常、使用する微生物が生育・増殖可能な範囲、例えば
15〜40℃、好ましくは20〜35℃に維持すること
が望ましい。
【0090】(抽出・精製工程)本発明にかかる培養液
からのPHAの取得には、通常行われている方法を適用
することができる。仮に、PHAが培養液中に分泌され
る場合は、培養液からの抽出精製方法が利用できる。な
お、多くの場合、微生物が生産したPHAはその菌体内
に蓄積される。その場合、培養後、集菌される菌体を乾
燥し、乾燥菌体からの抽出精製方法が用いられる。例え
ば、微生物の培養菌体からのPHAの回収には、通常行
われているクロロホルムなどの有機溶媒による抽出が最
も簡便ではある。なお、有機溶媒が使用しにくい環境中
においては、SDS等の界面活性剤による処理、リゾチ
ーム等の酵素による処理、EDTA、次亜塩素酸ナトリ
ウム、アンモニア等の薬剤による処理によってPHA以
外の菌体成分を除去して、PHAを回収する方法を用い
ることもできる。
【0091】なお、本発明の方法では、微生物の培養、
微生物によるPHAの生産と菌体への蓄積、並びに、菌
体からのPHAの回収の各工程に利用する手法は、上に
例示した方法に限定されるものではない。
【0092】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体
的に説明する。これら実施例は本発明の最良の実施の形
態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により
限定を受けるものではない。なお、以下における「%」
は、特に標記した以外は重量基準である。具体的には、
濃度として記載する「%」は、重量パーセント濃度%
(w/v)を示す。
【0093】(実施例1)基質として5−フェニル吉草
酸を用い、炭素源と天然培地成分を含む培地と、炭素源
と天然培地成分の何れか一方のみを含む培地とを調製
し、両者を利用した際の、目的とする3−ヒドロキシ−
5−フェニル吉草酸ユニットを含有するPHAの生産性
の比較を行った。加えて、参考として、mcl-アルカン酸
を含む培地を調製し、生産されるPHAにおける、目的
とする3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットの
含有比率の比較対照とした。
【0094】具体的には、炭素源化合物と天然培地成分
を含む培地として、 培地1:D−グルコース0.5%と酵母エキス(オリエ
ンタル酵母工業社製)0.5%を含むM9培地に、5−
フェニル吉草酸0.1%を添加してなる培地、 培地2:D−グルコース0.5%と酵母エキス(Dif
co社製)0.5%を含むM9培地に、5−フェニル吉
草酸0.1%を添加してなる培地、炭素源化合物と天然
培地成分の何れか一方のみを含む培地として、 培地3:D−グルコース0.5%とグルタミン酸ナトリ
ウム・1水和物0.5%を含むM9培地に、5−フェニ
ル吉草酸0.1%を添加してなる培地、 培地4:D−グルコース0.5%を含むM9培地に、5
−フェニル吉草酸0.1%を添加してなる培地、 培地5:酵母エキス(オリエンタル酵母工業社製)0.
5%を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を
添加してなる培地、 培地6:酵母エキス(Difco社製)0.5%を含む
M9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加してな
る培地、 培地7:グルタミン酸ナトリウム・1水和物0.5%を
含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加し
てなる培地、以上計7種の培地を調製した。加えて、mc
l-アルカン酸を含む培地として、 培地8:ノナン酸0.1%を含むM9培地に、5−フェ
ニル吉草酸0.1%を添加してなる培地、 をも調製し
た。
【0095】この合計8種の培地、各200mlに、シ
ュードモナス・チコリアイ・YN2株をそれぞれ植菌
し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。4
8時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノー
ルで一度洗浄して真空乾燥した。
【0096】この乾燥ペレットを20mlのクロロホル
ムに懸濁し、約60℃で20時間攪拌してPHAを抽出
した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し
た。濃縮液を冷メタノール中で再沈澱させ、更に沈澱の
みを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPH
Aは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスク
ロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津Q
P−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果
を、表1に併せて示す。
【0097】表1の結果に示される通り、炭素源化合物
と天然培地成分を含む培地である、D−グルコースと酵
母エキスとを含むM9培地に、基質の5−フェニル吉草
酸を添加した培地1ならびに培地2において、他の培地
3〜7、すなわち、炭素源化合物と天然培地成分の何れ
か一方のみを含む培地を用いた場合と比較して、顕著に
高い収量でPHAが得られている。また、得られるPH
A中における、目的とする3−ヒドロキシ−5−フェニ
ル吉草酸ユニットの含有比率も、他の培地3〜7を用い
た場合と比較しても、遜色のないものである。
【0098】
【表1】
【0099】(実施例2)基質として5−ベンゾイル吉
草酸を用い、炭素源化合物と天然培地成分を含む培地
と、炭素源化合物と天然培地成分の何れか一方のみを含
む培地とを調製し、両者を利用した際の、目的とする3
−ヒドロキシ−5−ベンゾイル吉草酸ユニットを含有す
るPHAの生産性の比較を行った。
【0100】具体的には、炭素源化合物と天然培地成分
を含む培地として、 培地9:D−グルコース0.5%と酵母エキス(オリエ
ンタル酵母工業社製)0.5%を含むM9培地に、5−
ベンゾイル吉草酸0.1%を添加してなる培地、炭素源
化合物と天然培地成分の何れか一方のみを含む培地とし
て、 培地10:D−グルコース0.5%を含むM9培地に、
5−ベンゾイル吉草酸0.1%を添加してなる培地、 培地11:酵母エキス(オリエンタル酵母工業社製)
0.5%を含むM9培地に、5−ベンゾイル吉草酸0.
1%を添加してなる培地、 以上合計3種の培地を調製した。この合計3種の培地、
各200mlに、シュードモナス・チコリアイ・YN2
株をそれぞれ植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回
収し、冷メタノールで一度洗浄して真空乾燥した。
【0101】この乾燥ペレットを20mlのクロロホル
ムに懸濁し、約60℃で20時間攪拌してPHAを抽出
した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し
た。濃縮液を冷メタノール中で再沈澱させ、更に沈澱の
みを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPH
Aは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスク
ロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津Q
P−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果
を、表2に併せて示す。
【0102】表2の結果に示される通り、炭素源化合物
と天然培地成分を含む培地である、D−グルコースと酵
母エキスとを含むM9培地に、基質の5−ベンゾイル吉
草酸を添加した培地9おいて、他の培地10,11、す
なわち、炭素源化合物と天然培地成分の何れか一方のみ
を含む培地を用いた場合と比較して、格段に高い収量で
PHAが得られている。また、得られるPHA中におけ
る、目的とする3−ヒドロキシ−5−ベンゾイル吉草酸
ユニットの含有比率も、他の培地10,11を用いた場
合と比較しても、遜色のないものである。
【0103】
【表2】
【0104】(実施例3)基質として5−(2−チエニ
ル)吉草酸を用い、炭素源化合物と天然培地成分を含む
培地と、炭素源化合物を含む培地とを調製し、両者を利
用した際の、目的とする3−ヒドロキシ−5−(2−チ
エニル)吉草酸ユニットを含有するPHAの生産性の比
較を行った。
【0105】具体的には、炭素源化合物と天然培地成分
を含む培地として、 培地12:D−グルコース0.5%と酵母エキス(オリ
エンタル酵母工業社製)0.5%を含むM9培地に、5
−(2−チエニル)吉草酸0.1%を添加してなる培
地、炭素源化合物を含む培地として、 培地13:D−グルコース0.5%を含むM9培地に、
5−(2−チエニル)吉草酸0.1%を添加してなる培
地、 以上合計2種の培地を調製した。この2種の培地、各2
00mlに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を
それぞれ植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪
培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、冷メタノールで一度洗浄して真空乾燥した。
【0106】この乾燥ペレットを20mlのクロロホル
ムに懸濁し、約60℃で20時間攪拌してPHAを抽出
した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し
た。濃縮液を冷メタノール中で再沈澱させ、更に沈澱の
みを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPH
Aは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスク
ロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津Q
P−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果
を、表3に併せて示す。
【0107】表3の結果に示される通り、炭素源化合物
と天然培地成分を含む培地である、D−グルコースと酵
母エキスとを含むM9培地に、基質の5−(2−チエニ
ル)吉草酸を添加した培地12おいて、他の培地13、
すなわち、炭素源化合物を含む培地を用いた場合と比較
して、顕著に高い収量でPHAが得られている。また、
得られるPHA中における、目的とする3−ヒドロキシ
−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットの含有比率も、
他の培地13を用いた場合と比較しても、遜色のないも
のである。
【0108】
【表3】
【0109】(実施例4)基質として5−フェニル吉草
酸を用い、炭素源化合物と天然培地成分を含む培地と、
炭素源化合物と天然培地成分の何れか一方のみを含む培
地とを調製し、両者を利用した際の、目的とする3−ヒ
ドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットを含有するPH
Aの生産性の比較を行った。
【0110】具体的には、炭素源化合物と天然培地成分
を含む培地として、 培地14:ピルビン酸ナトリウム0.5%と酵母エキス
(オリエンタル酵母工業社製)0.5% を含むM9培
地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加してなる培
地、 培地15:ピルビン酸ナトリウム0.5%と酵母エキス
(ミーストパウダーN;アサヒビール食品)0.5%
を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加
してなる培地、炭素源化合物と天然培地成分の何れか一
方のみを含む培地として、 培地16:ピルビン酸ナトリウム0.5% を含むM9
培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加してなる培
地、 培地17:酵母エキス(オリエンタル酵母工業社製)
0.5%を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1
%を添加してなる培地、 培地18:酵母エキス(ミーストパウダーN;アサヒビ
ール食品)0.5%を含むM9培地に、5−フェニル吉
草酸0.1%を添加してなる培地、 以上合計5種の培地を調製した。この合計5種の培地、
各200mlに、シュードモナス・チコリアイ・YN2
株をそれぞれ植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回
収し、冷メタノールで一度洗浄して真空乾燥した。
【0111】この乾燥ペレットを20mlのクロロホル
ムに懸濁し、約60℃で20時間攪拌してPHAを抽出
した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し
た。濃縮液を冷メタノール中で再沈澱させ、更に沈澱の
みを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPH
Aは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスク
ロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津Q
P−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果
を、表4に併せて示す。
【0112】表4の結果に示される通り、炭素源化合物
と天然培地成分を含む培地である、ピルビン酸ナトリウ
ムと酵母エキスとを含むM9培地に、基質の5−フェニ
ル吉草酸を添加した培地14ならびに培地15におい
て、他の培地16〜18、すなわち、炭素源化合物と天
然培地成分の何れか一方のみを含む培地を用いた場合と
比較して、顕著に高い収量でPHAが得られている。ま
た、得られるPHA中における、目的とする3−ヒドロ
キシ−5−フェニル吉草酸ユニットの含有比率も、他の
培地16〜18を用いた場合と比較しても、遜色のない
ものである。
【0113】
【表4】
【0114】(実施例5)基質として5−フェニル吉草
酸を用い、炭素源化合物と天然培地成分を含む培地と、
炭素源化合物と天然培地成分の何れか一方のみを含む培
地とを調製し、両者を利用した際の、目的とする3−ヒ
ドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットを含有するPH
Aの生産性の比較を行った。
【0115】具体的には、炭素源化合物と天然培地成分
を含む培地として、 培地19:リンゴ酸二ナトリウム・0.5水和物0.5
%と酵母エキス(オリエンタル酵母工業社製)0.5%
を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添
加してなる培地、炭素源化合物と天然培地成分の何れか
一方のみを含む培地として、 培地20:リンゴ酸二ナトリウム・0.5水和物0.5
%を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添
加してなる培地、 培地21:酵母エキス(オリエンタル酵母工業社製)
0.5%を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1
%を添加してなる培地、 以上合計3種の培地を調製した。この合計3種の培地、
各200mlに、シュードモナス・チコリアイ・YN2
株をそれぞれ植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回
収し、冷メタノールで一度洗浄して真空乾燥した。
【0116】この乾燥ペレットを20mlのクロロホル
ムに懸濁し、約60℃で20時間攪拌してPHAを抽出
した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し
た。濃縮液を冷メタノール中で再沈澱させ、更に沈澱の
みを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPH
Aは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスク
ロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津Q
P−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果
を、表5に併せて示す。
【0117】表5の結果に示される通り、炭素源化合物
と天然培地成分を含む培地である、リンゴ酸二ナトリウ
ムと酵母エキスとを含むM9培地に、基質の5−フェニ
ル吉草酸を添加した培地19において、他の培地20,
21、すなわち、炭素源化合物と天然培地成分の何れか
一方のみを含む培地を用いた場合と比較して、顕著に高
い収量でPHAが得られている。また、得られるPHA
中における、目的とする3−ヒドロキシ−5−フェニル
吉草酸ユニットの含有比率も、他の培地20,21を用
いた場合と比較しても、遜色のないものである。
【0118】
【表5】
【0119】(実施例6)基質として5−フェニル吉草
酸を用い、炭素源化合物と天然培地成分を含む培地と、
炭素源化合物と天然培地成分の何れか一方のみを含む培
地とを調製し、両者を利用した際の、目的とする3−ヒ
ドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットを含有するPH
Aの生産性の比較を行った。
【0120】具体的には、炭素源と天然培地成分を含む
培地として、 培地22:D−グルコース0.5%とポリペプトン(日
本製薬(株)製)0.5%を含むM9培地に、5−フェ
ニル吉草酸0.1%を添加してなる培地、炭素源と天然
培地成分の何れか一方のみを含む培地として、上記実施
例1において比較試験も用いた、培地3と培地4、すな
わち、 培地3:D−グルコース0.5%とグルタミン酸ナトリ
ウム・1水和物0.5%を含むM9培地に、5−フェニ
ル吉草酸0.1%を添加してなる培地、 培地4:D−グルコース0.5%を含むM9培地に、5
−フェニル吉草酸0.1%を添加してなる培地、ならび
に、 培地23:ポリペプトン(日本製薬(株)製)0.5%
を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加
してなる培地、 培地24:ポリペプトン(日本製薬(株)製)1.0%
を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加
してなる培地、 以上合計5種の培地を調製した。この合計5種の培地、
各200mlに、シュードモナス・チコリアイ・YN2
株をそれぞれ植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回
収し、冷メタノールで一度洗浄して真空乾燥した。
【0121】この乾燥ペレットを20mlのクロロホル
ムに懸濁し、約60℃で20時間攪拌してPHAを抽出
した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し
た。濃縮液を冷メタノール中で再沈澱させ、更に沈澱の
みを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPH
Aは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスク
ロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津Q
P−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果
を、表6に併せて示す。
【0122】表6の結果に示される通り、炭素源化合物
と天然培地成分を含む培地である、D−グルコースとポ
リペプトンとを含むM9培地に、基質の5−フェニル吉
草酸を添加した培地21において、他の培地3、4なら
びに培地23、24、すなわち、炭素源化合物と天然培
地成分の何れか一方のみを含む培地を用いた場合と比較
して、顕著に高い収量でPHAが得られている。また、
得られるPHA中における、目的とする3−ヒドロキシ
−5−フェニル吉草酸ユニットの含有比率も、他の培地
3、4ならびに培地23、24を用いた場合と比較して
も、遜色のないものである。
【0123】
【表6】
【0124】(実施例7)基質として5−フェニル吉草
酸を用い、炭素源と天然培地成分を含む培地と、炭素源
化合物と天然培地成分の何れか一方のみを含む培地とを
調製し、両者を利用した際の、目的とする3−ヒドロキ
シ−5−フェニル吉草酸ユニットを含有するPHAの生
産性の比較を行った。
【0125】具体的には、炭素源と天然培地成分を含む
培地として、 培地25:ピルビン酸ナトリウム0.5%とポリペプト
ン(日本製薬(株)製)0.5%を含むM9培地に、5
−フェニル吉草酸0.1%を添加してなる培地、炭素源
と天然培地成分の何れか一方のみを含む培地として、上
記実施例4において比較試験も用いた、培地16、すな
わち、 培地16:ピルビン酸ナトリウム0.5%を含むM9培
地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加してなる培
地、 ならびに、前記実施例6において比較試験も用いた、培
地23と24、すなわち、 培地23:ポリペプトン(日本製薬(株)製)0.5%
を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加
してなる培地、 培地24:ポリペプトン(日本製薬(株)製)1.0%
を含むM9培地に、5−フェニル吉草酸0.1%を添加
してなる培地、 以上合計4種の培地を調製した。この合計4種の培地、
各200mlに、シュードモナス・チコリアイ・YN2
株をそれぞれ植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回
収し、冷メタノールで一度洗浄して真空乾燥した。
【0126】この乾燥ペレットを20mlのクロロホル
ムに懸濁し、約60℃で20時間攪拌してPHAを抽出
した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し
た。濃縮液を冷メタノール中で再沈澱させ、更に沈澱の
みを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPH
Aは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスク
ロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津Q
P−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果
を、表7に併せて示す。
【0127】表7の結果に示される通り、炭素源化合物
と天然培地成分を含む培地である、ピルビン酸ナトリウ
ムとポリペプトンとを含むM9培地に、基質の5−フェ
ニル吉草酸を添加した培地25において、他の培地16
ならびに培地23、24、すなわち、炭素源と天然培地
成分の何れか一方のみを含む培地を用いた場合と比較し
て、顕著に高い収量でPHAが得られている。また、得
られるPHA中における、目的とする3−ヒドロキシ−
5−フェニル吉草酸ユニットの含有比率も、他の培地1
6ならびに培地23、24を用いた場合と比較しても、
遜色のないものである。
【0128】
【表7】
【0129】
【発明の効果】本発明のPHAの生産方法では、培地と
して、炭素源化合物(例えば、グルコース、ピルビン酸
ナトリウム、または、リンゴ酸二ナトリウム)と、天然
培地成分(例えば、酵母エキス、または、ポリペプト
ン)とをともに含む培地を利用し、この培地に基質の置
換アルカン酸を添加した上で、PHA産生能を有する微
生物を培養し、その菌体に生産されるPHAを蓄積させ
る方法とすることで、二段階培養法でなく、一段階培養
法を用いても、生産されるPHAを構成するモノマーユ
ニット中に、原料とする置換アルカン酸と対応するモノ
マーユニット以外に、混入してくる目的外のモノマーユ
ニットの混在量を抑制しつつ、しかも、高い生産性で所
望のPHAを生産することが可能となる。従って、本発
明のPHAの生産方法は、二段階培養法における工程の
煩雑さもなく、培養に要する設備数、手間を掛けること
なく、目的とするモノマーユニットが主要な、あるい
は、唯一のモノマーユニットとするPHAを、高収率で
生産できるとうい利点がある。さらには、目的とする微
生物産生ポリヒドロキシアルカノエートの効率的な生産
供給が可能となることに伴い、機能性ポリマーとしても
有用な、各種官能基を導入したポリヒドロキシアルカノ
エートの用途開発、特には、デバイス材料や医用材料等
の各分野への応用がより容易となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 見目 敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4B064 AD83 CA02 CD07 CD09 CD13 CD21 CE03 CE08 CE16 DA16 4B065 AA41X AC12 AC14 AC16 BA23 BB01 BB08 BB15 BB23 BB29 BC03 BC26 BD14 BD15 BD16 BD18 CA12 CA54

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物を利用してポリヒドロキシアルカ
    ノエートを生産する方法であって、 目的生産物のポリヒドロキシアルカノエートは、 原料とする下記一般式[1]: 【化1】 (式中、nは1から8の整数を示し、Rは任意の置換基
    を示す。)で表される置換アルカン酸に対応する、下記
    一般式[2]: 【化2】 (式中、nは、前記一般式[1]中のnと対応する1か
    ら8の整数を示し、Rは、前記一般式[1]中のRと同
    じ任意の置換基を示す。)で表されるモノマーユニット
    を含むポリヒドロキシアルカノエートであり、 用いる前記微生物は、前記一般式[2]で表されるモノ
    マーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの産
    生能を有する微生物であり、 前記微生物が利用可能な炭素源化合物であって、糖類な
    らびにTCAサイクルに関与する有機酸から選択される
    炭素源化合物、ならびに天然培地成分を含む培地に、原
    料とする前記一般式[1]で表される置換アルカン酸を
    添加して、 この培地で前記微生物を培養した後、 前記微生物が生産した前記一般式[2]で表されるモノ
    マーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを抽
    出して、培養微生物菌体から回収することを特徴とする
    ポリヒドロキシアルカノエートの生産方法。
  2. 【請求項2】 微生物の培養は、原料とする前記一般式
    [1]で表される置換アルカン酸が添加され、前記炭素
    源化合物ならびに天然培地成分を含む培地による1段階
    の培養であることを特徴とする請求項1に記載のポリヒ
    ドロキシアルカノエートの生産方法。
  3. 【請求項3】 前記炭素源化合物は、グルコース、ピル
    ビン酸またはその塩、リンゴ酸またはその塩からなる群
    より選択された少なくとも一つの化合物であることを特
    徴とする請求項1または2に記載のポリヒドロキシアル
    カノエートの生産方法。
  4. 【請求項4】 天然培地成分は、酵母エキス、ポリペプ
    トンからなる群より選択された少なくとも一つであるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のポリヒドロキ
    シアルカノエートの生産方法。
  5. 【請求項5】 ピルビン酸またはその塩として、ピルビ
    ン酸ナトリウム(CH3COCOONa)を用いること
    を特徴とする請求項3に記載のポリヒドロキシアルカノ
    エートの生産方法。
  6. 【請求項6】 リンゴ酸またはその塩として、リンゴ酸
    二ナトリウム(Na 2445)またはその水和物を用
    いることを特徴とする請求項3に記載のポリヒドロキシ
    アルカノエートの生産方法。
  7. 【請求項7】 前記一般式[1]および一般式[2]中
    の置換基Rが、フェニル基、ベンゾイル基、チエニル
    基、フェノキシ基、シクロヘキシル基、ならびに、これ
    ら基中の環上の任意の部位に更に置換がなされている基
    からなる群より選択されたいずれかの基であることを特
    徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリヒドロキ
    シアルカノエートの生産方法。
  8. 【請求項8】 前記一般式[1]で表される置換アルカ
    ン酸は、5−フェニル吉草酸、5−ベンゾイル吉草酸、
    5−(2−チエニル)吉草酸からなる群より選択される
    いずれかの置換吉草酸であることを特徴とする請求項7
    に記載のポリヒドロキシアルカノエートの生産方法。
  9. 【請求項9】 前記微生物として、シュードモナス属
    (Pseudomonas sp.)に属する微生物を
    利用することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記
    載のポリヒドロキシアルカノエートの生産方法。
  10. 【請求項10】 前記微生物として、シュードモナス・
    チコリアイ・YN2株(Pseudomonas ci
    chorii YN2、FERM BP−7375)を利
    用することを特徴とする請求項9に記載のポリヒドロキ
    シアルカノエートの生産方法。
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