JP2005097633A - ポリヒドロキシアルカノエート、その製造方法及びそれに用いる微生物 - Google Patents

ポリヒドロキシアルカノエート、その製造方法及びそれに用いる微生物 Download PDF

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登代子 小林
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Abstract

【課題】 目的外のモノマーユニットの混在を大幅に低減し,かつ,高収率でポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を取得できる微生物による生産方法,それにより合成された新規なPHA,並びにそれに適した菌株を提供すること。
【解決手段】 下記式(22)で表されるアルカノエートと糖類とを含む培地で,該アルカノエートを利用して下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むPHAを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とするPHAの製造方法と、好適な新規な菌株(Pseudomonas.cicorii YN2&H45;P.putida P91;P.jessenii P161)。
【化1】
Figure 2005097633

【化2】
Figure 2005097633

(R、R'は式(24)参照。R'はRと同じかまたはt-2、t-4、t-6)
【化3】
Figure 2005097633

(R4は、置換もしくは未置換のフェニル基・フェノキシ基・シクロヘキシル基)
【選択図】 なし

Description

本発明は新規なポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、微生物を用いた当該PHAの製造方法及びそれに用いる微生物に関する。
長年にわたって、石油由来の合成高分子をプラスチック等として利用してきたが、使用後廃棄されるこれらプラスチック等の処理が大きな社会問題となっている。石油由来の合成高分子は、分解されにくい利点から金属材料、ガラス等の代替えを果たしてきたが、大量に消費され、また大量に廃棄される昨今では、その分解されにくいという性質が逆に災いし廃棄物処理場に蓄積されることとなった。また、焼却処理を行うとCO2 排出量の増加となり、ある場合には、ダイオキシンや環境ホルモン等の有害物質の発生原因ともなる。一方、ポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)に代表される微生物産生ポリエステル(PHA)は、従来のプラスチックと同様、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができるとともに、石油由来の合成高分子とは異なり、生物により分解されうるという特性を有している。従って、廃棄した際、微生物産生ポリエステルは生分解されることにより自然界の物質循環に取り込まれるので、従来の多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことがない。また、燃焼処理を行う必要もないため、大気汚染や地球温暖化を防止するという観点でも有効な材料であり、環境保全を可能とするプラスチックとして利用することができる。加えて、微生物産生ポリエステルは医療用軟質部材への応用などが検討されている(特開平5-159号公報、特開平6-169980号公報、特開平6-169988号公報、特開平6-225921号公報 など(特許文献1〜4))。
これまで、多くの微生物がPHBあるいはその他のPHAを生産し、菌体内に蓄積することが報告されている(「生分解性プラスチックハンドブック」、生分解性プラスチック研究会編、(株)エヌ・ティー・エス発行、P178-197、(1995)(非特許文献1))。このような微生物産生PHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られており、これまで主に、PHAの物性の改良という観点から、このような組成や構造の制御に関する研究がなされてきた。
例えば、アルカリゲネス・ユウトロファス H16株(Alcaligenes eutropus H16、ATCC No.17699)及びその変異株は、その培養時の炭素源を変化させることによって、3-ヒドロキシ酪酸(3HB)と3-ヒドロキシ吉草酸(3HV)との共重合体を様々な組成比で生産することが報告されている(特表平6-15604号公報、特表平7-14352号公報、特表平8-19227号公報等(特許文献5〜7))。
特開平5-74492号公報(特許文献8)では、メチロバクテリウム属(Methylobacteriumsp.)、パラコッカス属(Paracoccus sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)の微生物を、炭素数3から7の第一アルコールに接触させることにより、3HBと3HVとの共重合体を生産させる方法が開示されている。
特開平5-93049号公報(特許文献9)、及び、特開平7-265065号公報(特許文献10)では、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)を、オレイン酸やオリーブ油を炭素源として培養することにより、3HBと3-ヒドロキシヘキサン酸(3HHx)の2成分共重合体が生産されることが開示されている。
特開平9-191893号公報(特許文献11)では、コマモナス・アシドボランス・IFO 13852株(Comamonas acidovorans IFO 13852)が、グルコン酸及び1,4-ブタンジオールを炭素源として用いた培養により、3HBと4-ヒドロキシ酪酸とをモノマーユニットとして持つポリエステルを生産することが開示されている。
また、近年、炭素数が12程度までの中鎖長(medium-chain-length:mclと略記)の3-ヒドロキシアルカノエート(3HA)からなるPHAについての研究が精力的に行われている。このようなPHAの合成経路は大きく2つに分類することが可能であり、その具体例を下記(1)および(2)に示す。
(1)β酸化を利用した合成: 特許公報第2642937号(特許文献12)では、シュードモナス・オレオボランス・ATCC 29347株(Pseudomonas oleovorans ATCC 29347)に、炭素源として非環状脂肪族炭化水素を与えることにより、炭素数が6から12までの3-ヒドロキシアルカノエートのモノマーユニットを有するPHAが生産されることが開示されている。また、Appl.Environ.Microbiol,58(2),746(1992)(非特許文献2)には、シュードモナス・レジノボランス(Pseudomonas resinovorans)が、オクタン酸を単一炭素源として、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸(量比 1:15:75:9)をモノマーユニットとするポリエステルを生産し、また、ヘキサン酸を単一炭素源として、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸(量比 8:62:23:7)をユニットとするポリエステルを生産することが報告されている。ここで、原料の脂肪酸よりも鎖長の長い3HAモノマーユニットは(2)で説明する脂肪酸合成経路を経由していると考えられる。
(2)脂肪酸合成経路を利用した合成 Int.J.Biol.Macromol.,16(3)、119(1994)(非特許文献3)には、シュードモナス sp.61-3株(Pseudomonas sp.61-3 strain)が、グルコン酸ナトリウムを単一炭素源として、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸といった3-ヒドロキシアルカン酸及び、3-ヒドロキシ-5-cis-デセン酸、3-ヒドロキシ-5-cis-ドデセン酸といった3-ヒドロキシアルケン酸をユニットとするポリエステルを生産することが報告されている。
ところで、通常、PHAの生合成は、細胞内の様々な代謝経路の中間体として生じる「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」を基質とし、PHAシンターゼ(PHA synthase)により行われる。
ここで、「CoA」とは「補酵素A(coenzyme A)」のことである。そして上記(1)の先行技術に記載されている様に、オクタン酸やノナン酸等の脂肪酸を炭素源とした場合、PHAの生合成は、「β酸化サイクル」中に生じた「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」が出発物質として行われるとされている。
以下に、「β酸化サイクル」を経由してPHAが生合成されるまでの反応を示す。
Figure 2005097633
一方、上記(2)の先行技術に記載されている様に、グルコース等の糖類を基質とし、PHAを生合成する場合は、「脂肪酸合成経路」中に生じた「D-3-ヒドロキシアシル-ACP」から変換された「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」が出発物質として行われるとされている。
ここで、「ACP」とは「アシルキャリアプロテイン(acyl carrier protein)」のことである。
ところで、先に述べたとおり、上記(1)および(2)で合成されているPHAは、いずれも側鎖にアルキル基を有するモノマーユニットからなるPHAである。
しかし、このような微生物産性PHAのより広範な応用、例えば機能性ポリマーとしての応用を考慮した場合、多様な置換基(例えば、フェニル基など)を側鎖に導入したPHAが極めて有用であることが期待されている。そのようなPHAの合成に関しては、β酸化を利用した合成について、例えば、Macromolecules,24,p5256-5260(1991)(非特許文献4)に、アリール基等を側鎖に導入したPHAに関する報告がある。具体的には、シュードモナス・オレオボランス(Pseudononas oleovorans)が5-フェニル吉草酸とノナン酸(モル比2:1、総濃度10mmol/L)を基質とし、3-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシヘプタン酸、3-ヒドロキシノナン酸、3-ヒドロキシウンデカン酸、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(量比 0.6:16.0:41.1:1.7:40.6)をユニットとするポリエステルを、培養液1Lあたり 160mg(菌体に対する乾燥重量比 31.6%)生産し、また、5-フェニル吉草酸とオクタン酸(モル比1:1、総濃度10mmol/L)を基質とし、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(量比 7.3:64.5:3.9:24.3)をユニットとするポリエステルを、培養液1Lあたり 200mg(菌体に対する乾燥重量比 39.2%)生産することが報告されている。この報告におけるPHAは、ノナン酸やオクタン酸が用いられていることからも主にβ酸化経路を経て合成されているものと考えられる。
特開平5-159号公報 特開平6-169980号公報 特開平6-169988号公報 特開平6-225921号公報 特表平6-15604号公報 特表平7-14352号公報 特表平8-19227号公報 特開平5-74492号公報 特開平5-93049号公報 特開平7-265065号公報 特開平9-191893号公報 特許公報第2642937号 「生分解性プラスチックハンドブック」、生分解性プラスチック研究会編、(株)エヌ・ティー・エス発行、P178-197、(1995) Appl.Environ.Microbiol,58(2),746(1992) Int.J.Biol.Macromol.,16(3)、119(1994) Macromolecules,24,p5256-5260(1991)
以上のように、微生物産生PHAにおいては、その製造に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等を変えることにより、各種の組成・構造のものが得られているが、プラスチックとしての応用を考えた場合、物性的に未だ十分であるとは言えない。微生物産生PHAの利用範囲をさらに拡大していくためには、物性の改良をより幅広く検討していくことが重要であり、そのためにはさらに多様な構造のモノマーユニットを含むPHAと、その製造方法、ならびに所望のPHAを効率的に生産しうる微生物の開発、探索が必須である。
一方、前述のような、置換基を側鎖に導入したタイプのPHAは、導入した置換基を所望とする特性等に応じて選択することで、導入した置換基の特性等に起因する、極めて有用な機能や特性を具備した「機能性ポリマー」としての展開も期待でき、そのような機能性と生分解性とを両立可能であるような優れたPHAと、その製造方法、ならびに、所望のPHAを効率的に生産しうる微生物の開発、探索もまた重要な課題である。
このような置換基を側鎖に導入したPHAの他の例としては、前記したフェニル基、さらにはフェノキシ基を側鎖に有するPHAが挙げられる。
フェニル基の他の例としては、Macromolecules,29,1762-1766(1996)に、シュードモナス・オレオボランスが、5-(4-トリル)吉草酸(5-(4-メチルフェニル)吉草酸)を基質として含む培地での培養によって、3-ヒドロキシ-5-(4-トリル)吉草酸をモノマーユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
更には、Macromolecules,32,2889-2895(1999)には、シュードモナス・オレオボランスが、5-(2,4-ジニトロフェニル)吉草酸とノナン酸を基質として含む培地での培養によって、3-ヒドロキシ-5-(2,4-ジニトロフェニル)吉草酸及び3-ヒドロキシ-5-(4-ニトロフェニル)吉草酸をモノマーユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
また、フェノキシ基の例としては、Macromol.Chem.Phys.,195,1665-1672(1994)に、シュードモナス・オレオボランスが11-フェノキシウンデカン酸から3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
また、Macromolecules,29,3432-3435(1996)には、シュードモナス・オレオボランスを用いて、6-フェノキシヘキサン酸から3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸及び3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸をユニットとして含むPHAを、8-フェノキシオクタン酸から3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸及び3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸をユニットとして含むPHAを、11-フェノキシウンデカン酸から3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。この報告におけるポリマーの収率を抜粋すると以下のとおりである。
Figure 2005097633
更に、Can.J.Microbiol.,41,32-43(1995)では、シュードモナス・オレオボランスATCC29347株及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2442株を用いて、オクタン酸と p-シアノフェノキシヘキサン酸或いは p-ニトロフェノキシヘキサン酸を基質として、3-ヒドロキシ-p-シアノフェノキシヘキサン酸或いは3-ヒドロキシ-p-ニトロフェノキシヘキサン酸をモノマーユニットとして含むPHAの生産に成功している。
特許第2989175号公報には、3-ヒドロキシ-5-(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(MFP)P)ユニットあるいは3-ヒドロキシ-5-(ジフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(DFP)P)ユニットからなるホモポリマー、少なくとも3H5(MFP)Pユニットあるいは3H5(DFP)Pユニットを含有するコポリマー;これらのポリマーを合成するシュードモナス・プチダ;シュードモナス属を用いた前記のポリマーの製造方法が記載されている。
これらの生産は以下の様な「二段階培養」で行われている。
培養時間: 一段目、24時間 ; 二段目、96時間 各段における基質と得られるポリマーを以下に示す。
(1)得られるポリマー:3H5(MFP)Pホモポリマー
一段目の基質:クエン酸、イーストエキス
二段目の基質:モノフルオロフェノキシウンデカン酸
(2)得られるポリマー:3H5(DFP)Pホモポリマー
一段目の基質:クエン酸、イーストエキス
二段目の基質:ジフルオロフェノキシウンデカン酸
(3)得られるポリマー:3H5(MFP)Pコポリマー
一段目の基質:オクタン酸あるいはノナン酸、イーストエキス
二段目の基質:モノフルオロフェノキシウンデカン酸
(4)得られるポリマー:3H5(DFP)Pコポリマー
一段目の基質:オクタン酸あるいはノナン酸、イーストエキス
二段目の基質:ジフルオロフェノキシウンデカン酸 その効果としては、置換基をもつ中鎖脂肪酸を資化して、側鎖末端が1から2個のフッ素原子で置換されたフェノキシ基を有するポリマーを合成することができ、融点が高く良い加工性を保ちながら、立体規則性、撥水性を与えることができるとしている。
また、シクロヘキシル基をモノマーユニット中に含むPHAは、通常の脂肪族ヒドロキシアルカン酸をユニットとして含むPHAとは異なる高分子物性を示すことが期待されており、シュードモナス・オレオボランスによる生産の例が報告されている(Macromolecules,30,1611-1615(1997))。
この報告によれば、シュードモナス・オレオボランスを、ノナン酸(以下、NAと記載する)とシクロヘキシル酪酸(以下、CHBAと記載する)あるいはシクロヘキシル吉草酸(以下、CHVAと記載する)の共存する培地中で培養すると、シクロヘキシル基を含むユニットと、ノナン酸由来のユニットを含むPHAが得られている(各割合は不明)。
その収率等に関しては、CHBAに対して、基質濃度トータル20mmol/L の条件で、CHBAとNAの量比を変化させ、表2に示すような結果を得たと報告されている。
Figure 2005097633
CDW:乾燥菌体重量(mg/L)、 PDW:乾燥ポリマー重量(mg/L)、 収率:PDW/CDW(%)
しかしながら、この例では、培養液当たりのポリマー収率は十分なものではなく、また、得られたPHA自体も、そのモノマーユニット中にはノナン酸由来の脂肪族ヒドロキシアルカン酸が混在しているものである。
このように、様々な置換基を側鎖に導入したPHAを微生物により生産しようとする場合、先に挙げたシュードモナス・オレオボランスの報告例等に見られるように、導入しようとする置換基を有するアルカノエートを、ポリマー原料としての利用に加えて増殖用炭素源としても利用する方法が用いられている。
しかしながら、導入しようとする置換基を有するアルカノエートを、ポリマー原料としての利用に加えて増殖用炭素源としても利用する方法は、当該アルカノエートからのβ酸化によるアセチル-CoAの生成に基づくエネルギー源の供給が期待されており、このような方法においては、ある程度の鎖長を有する基質でないとβ酸化によりアセチル-CoAを生成することができず、このためPHAの基質として用いうるアルカノエートが限定されてしまう点が大きな課題である。また、一般的に、β酸化により鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ短くなった基質が新たに生成し、これらがPHAのモノマーユニットとして取り込まれるため、合成されるPHAは鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ異なるモノマーユニットからなる共重合体となることが多い。前述の報告例では、基質である8-フェノキシオクタン酸由来の3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸と、代謝産物由来の副生物である3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸及び3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸の3種類のモノマーユニットからなる共重合体が生産される。この点で、単一のモノマーユニットからなるPHAを得ようとする場合、この方法を用いることは極めて難しい。さらに、β酸化によるアセチル-CoAの生成に基づいたエネルギー源の供給を前提とした方法では、微生物の増殖が遅く、PHAの合成に時間がかかる点、合成されたPHAの収率が低くなりがちな点も大きな課題である。
このため、導入しようとする置換基を有するアルカノエートに加えて、増殖用炭素源として、オクタン酸やノナン酸といった中鎖の脂肪酸等を共存させた培地で微生物を培養したのち、PHAを抽出する方法が有効と考えられ、一般的に用いられている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記のようにオクタン酸やノナン酸といった中鎖の脂肪酸等を増殖用炭素源とし、β-酸化経路を経て合成されたPHAは、その純度が低く、得られるポリマーの50%以上が、増殖用炭素源に由来するモノマーユニット(例えば、3-ヒドロキシオクタン酸や3-ヒドロキシノナン酸等)であるmcl-3HAモノマーユニットである。これらのmcl-3HAユニットは、単独の組成においては常温で粘着性のポリマーであり、本発明の目的とするPHAに多量に混在した場合、ポリマーのガラス転移温度(Tg)を著しく降下させる。このため、常温で硬いポリマー物性を得ようとする場合、mcl-3HAモノマーユニットの混在は望ましくない。また、このようなヘテロな側鎖構造は分子内あるいは分子間での側鎖構造に由来する相互作用を妨害し、結晶性あるいは配向性に大きな影響を与えることが知られている。ポリマー物性の向上、機能性の付与を達成するにあたり、これらのmcl-3HAモノマーユニットの混在は大きな課題である。この課題の解決手段としては、特定の置換基を有するモノマーユニットのみで構成されたPHAを取得するために、増殖用炭素源由来のmcl-3HAモノマーユニット等の「目的外」のモノマーユニットを分離/除去するための精製工程を設けることが挙げられる。しかしながら、操作が煩雑となる上、収率の大幅な低下も避けられない点が課題となる。さらに大きな問題点は、目的のモノマーユニットと目的外のモノマーユニットとが共重合体を形成している場合、目的外のモノマーユニットのみを除去するのは極めて困難な点である。特に、不飽和炭化水素から得られる基、エステル基、アリル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化炭化水素から得られる基、エポキシド等が導入された基を側鎖構造として有するようなモノマーユニットを含むPHAの合成を目的とする場合、mcl-3HAモノマーユニットは目的のモノマーユニットと共重合体を形成する場合が多く、PHA合成後のmcl-3HAモノマーユニット除去は極めて困難である。
本発明は前記の課題を解決するものであり、デバイス材料や医用材料等として有用な置換基を側鎖に有する多様な構造のモノマーユニットを含むPHAの提供、ならびに、当該PHAを微生物を利用して製造する方法の提供、特には、目的外のモノマーユニットの混在が少なく、目的とするPHAを高純度で得ることができ、しかも高収率な製造方法を提供することにある。また本発明は、当該PHAを高純度で効率的に合成することのできる菌株を提供することも目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく、特に、デバイス材料や医用材料等として有用な、置換あるいは無置換のフェノキシ基、フェニル基及びシクロヘキシル基を側鎖上に有するPHAの開発を目指して、PHAを生産し、菌体内に蓄積する能力を有する新規な微生物の探索、ならびに、新規な微生物を用いて、所望のPHAを製造する方法について、鋭意研究を進め、本発明を完成した。
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートは、下記式(1)で表されるモノマーユニット組成を有することを特徴とする。

m(1-m)
(1)

(ただし、Aは下記式(2)で表され、Bは下記式(3)あるいは(4)で表されるモノマーユニットから選択される少なくとも1以上であり、mは 0.01 以上、1未満である)
Figure 2005097633
(上記式中、n は0〜10 であり、k は3または5であり、Rは下記式(5)から(7)で表わされる基から選択される少なくとも1以上の基である)
Figure 2005097633
(式(5)中、R1は、水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 から選択される基であり、q は、1〜8の整数から選択される;式(6)中、R2は、水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 から選択される基であり、r は、1〜8の整数から選択される;式(7)中、R3は、水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 から選択される基であり、s は、1〜8の整数から選択される;但し、上記一般式(2)におけるRとして、一種の基を選択する際には、式(5)において、R1=Hで q=2の基、R1=Hで q=3の基、R1=-NO2で q=2の基、式(6)において、R2=ハロゲン原子で r=2の基[但し、上記Bとして上記式(3)あるいは(4)から2成分が選択される場合に限る]、R2=-CNで r=3の基、R2=-NO2で r=3の基、式(7)
において、R3=Hで s=1の基、R3=Hで s=2の基、は、選択肢からは除外され、二種の基を選択する際には、式(6)において、R2=ハロゲン原子で r=2及び4の二種の基の組み合わせ[但し、上記Bとして上記式(3)あるいは(4)から1成分が選択される場合に限る]
、は、選択肢からは除外される)
ここで、本発明のポリヒドロキシアルカノエートは式(2)で表されるモノマーユニットを複数種含み得るが、必要とするポリマーの機能性、物性などを考慮の上、適当数を含むように設計すると良い。一般には5種類程度までの目的モノマーユニットに対応したアルカノエートを原料として用いると、その一部から前記のようにβ酸化により鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ短くなった「副次的な」基質が新たに生成する。これらがPHAのモノマーユニットとして取り込まれるため、10 種類程度までの式(2)で表されるモノマーユニットが含まれるようになり、本発明の目的を十分に達成することが期待できる。さらに、微妙な機能性、物性の制御を望む場合、より多くのモノマーユニットで構成することも可能である。
また、R1、R2及びR3の置換位置については、オルト、メタあるいはパラ位の何れについても、またR3のシクロヘキシル基の場合は1位についても、対応するモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの構成が可能であるが、機能性、物性などが何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あるいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あるいはパラ位における置換体で構成するのが有利である。
また、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、下記式(1)で表されるモノマーユニット組成を有するポリヒドロキシアルカノエートの微生物による製造方法であって、アルカノエートとともに微生物を培養し、微生物菌体からポリヒドロキシアルカノエートを抽出して、下記式(1)で表されるモノマーユニット組成を有するポリヒドロキシアルカノエートを取得することを特徴とする製造方法である。

m(1-m)
(1)

(ただし、Aは下記式(2)で表され、Bは下記式(3)あるいは(4)で表されるモノマーユニットから選択される少なくとも1以上であり、mは 0.01 以上、1未満である)
Figure 2005097633
(上記式中、n は0〜10 であり、k は3または5であり、Rは下記式(5)から(7)で表わされる基から選択される少なくとも1以上の基である)
Figure 2005097633
(式(5)中、R1は、水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 から選択される基であり、q は、1〜8の整数から選択される;式(6)中、R2は、水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 から選択される基であり、r は、1〜8の整数から選択される;式(7)中、R3は、水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 から選択される基であり、s は、1〜8の整数から選択される;但し、上記一般式(2)におけるRとして、一種の基を選択する際には、式(5)において、R1=Hで q=2の基、R1=Hで q=3の基、R1=-NO2で q=2の基、式(6)において、R2=ハロゲン原子で r=2の基、R2=-CNで r=3の基、R2=-NO2で r=3の基、式(7)
において、R3=Hで s=1の基、R3=Hで s=2の基、は、選択肢からは除外され、二種以上の基を選択する際には、式(6)において、R2=ハロゲン原子で r=2の基は、選択肢からは除外される)
ここで、本発明のポリヒドロキシアルカノエートは式(2)で表されるモノマーユニットを複数種含み得るが、必要とするポリマーの機能性、物性などを考慮の上、適当数を含むように合成すると良い。一般には5種類程度までの目的モノマーユニットに対応したアルカノエートを原料として用いると、その一部から前記のようにβ酸化により鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ短くなった「副次的な」基質が新たに生成する。これらがPHAのモノマーユニットとして取り込まれるため、10 種類程度までの式(2)で表されるモノマーユニットが含まれるようになり、本発明の目的を十分に達成することが期待できる。さらに、微妙な機能性、物性の制御を望む場合、より多くのモノマーユニットを含むように培養することも可能である。
また、R1、R2及びR3の置換位置については、オルト、メタあるいはパラ位の何れについても、またR3のシクロヘキシル基の場合は1位についても、対応するモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの合成が可能であるが、機能性、物性などが何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あるいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あるいはパラ位における置換体を含むように培養するのが有利である。
さらに発明者らは、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは混在がない、効率的に所望とするPHAを得られる方法を開発すべく、鋭意研究・検討を重ねてきた結果、微生物を培養する際、ポリマー原料のアルカノエートに加え、原料アルカノエート以外の炭素源として糖類のみを添加した培地で微生物の培養を行うことによって、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは混在がないPHAを生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の製造方法は、下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの微生物による製造方法であって、
下記一般式(22)で表されるアルカノエートから下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを合成し得る微生物を、下記式(22)で表されるアルカノエートと下記式(22)で表されるアルカノエート以外の炭素源として糖類のみを含む培地で培養する工程を有することを特徴とする。
Figure 2005097633
(上記式中、Rは下記式(24)で表される基の少なくとも1つ以上の基であり、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
Figure 2005097633
(上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、t はそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
ここで、式(22)で表されるアルカノエートは培養時に複数種を用いうるが、必要とするポリマーの機能性、物性などを考慮の上、適当数を用いると良い。一般には5種類程度までの式(22)で表されるアルカノエートを原料として用いると、その一部から前記のようにβ酸化により鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ短くなった「副次的な」基質が新たに生成する。これらがPHAのモノマーユニットとして取り込まれるため、10 種類程度までの、例えば式(2)で表されるようなモノマーユニットが含まれるようになり、上の目的を十分に達成することが期待できる。さらに、微妙な機能性、物性の制御を望む場合、より多くのアルカノエートを用いることも可能である。
上記のR4の基における置換基としては、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37等が挙げられる。R4の置換位置については、オルト、メタあるいはパラ位の何れにおいても、またシクロヘキシル基の場合は1位においても、対応するモノマーユニットからなるポリヒドロキシアルカノエートを取得することが可能であるが、機能性、物性などが何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あるいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あるいはパラ位における置換体を好適に用い得る。
また、糖類としては、例えば、グルコース、フルクトース、マンノースなどを好適に用いることができる。
さらに発明者らは、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは混在がない、効率的に所望とするPHAを得られる方法を開発すべく、鋭意研究・検討を重ねてきた結果、微生物を培養する際、ポリマー原料のアルカノエートに加え、原料アルカノエート以外の炭素源としてポリペプトンのみを添加した培地で微生物の培養を行うことによって、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは混在がないPHAを生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の製造方法は、下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの微生物による製造方法であって、 下記式(22)で表されるアルカノエートから下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを合成し得る微生物を、下記式(22)で表されるアルカノエートと下記式(22)で表されるアルカノエート以外の炭素源としてポリペプトンのみを含む培地で培養する工程を有することを特徴とする。
Figure 2005097633
(上記式中、Rは下記式(24)で表される基の少なくとも1つ以上の基であり、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
Figure 2005097633
(上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、t はそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
ここで、式(22)で表されるアルカノエートは培養時に複数種を用いうるが、必要とするポリマーの機能性、物性などを考慮の上、適当数を用いると良い。一般には5種類程度までの式(22)で表されるアルカノエートを原料として用いると、その一部から前記のようにβ酸化により鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ短くなった「副次的な」基質が新たに生成する。これらがPHAのモノマーユニットとして取り込まれるため、10 種類程度までの、例えば式(2)で表されるようなモノマーユニットが含まれるようになり、上の目的を十分に達成することが期待できる。さらに、微妙な機能性、物性の制御を望む場合、より多くのアルカノエートを用いることも可能である。
上記のR4の基における置換基としては、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 等が挙げられる。R4の置換位置については、オルト、メタあるいはパラ位の何れにおいても、またシクロヘキシル基の場合は1位においても、対応するモノマーユニットからなるポリヒドロキシアルカノエートを取得することが可能であるが、機能性、物性などが何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あるいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あるいはパラ位における置換体を好適に用い得る。
さらに発明者らは、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは混在がない、効率的に所望とするPHAを得られる方法を開発すべく、鋭意研究・検討を重ねてきた結果、微生物を培養する際、ポリマー原料のアルカノエートに加え、原料アルカノエート以外の炭素源としてTCAサイクルに関与する有機酸のみを添加した培地で微生物の培養を行うことによって、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは混在がないPHAを生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の生産方法は、下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの微生物による生産方法であって、 下記一般式(22)で表されるアルカノエートから下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを合成し得る微生物を、下記式(22)で表されるアルカノエートと下記式(22)で表されるアルカノエート以外の炭素源としてTCAサイクルに関与する有機酸のみを含む培地で培養する工程を有することを特徴とする。
Figure 2005097633
(上記式中、Rは下記式(24)で表される基の少なくとも1つ以上の基であり、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
Figure 2005097633
(上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、t はそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
ここで、式(22)で表されるアルカノエートは培養時に複数種を用いうるが、必要とするポリマーの機能性、物性などを考慮の上、適当数を用いると良い。一般には5種類程度までの式(22)で表されるアルカノエートを原料として用いると、その一部から前記のようにβ酸化により鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ短くなった「副次的な」基質が新たに生成する。これらがPHAのモノマーユニットとして取り込まれるため、10 種類程度までの、例えば式(2)で表されるようなモノマーユニットが含まれるようになり、上の目的を十分に達成することが期待できる。さらに、微妙な機能性、物性の制御を望む場合、より多くのアルカノエートを用いることも可能である。
上記のR4の基における置換基としては、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37等が挙げられる。R4の置換位置については、オルト、メタあるいはパラ位の何れにおいても、またシクロヘキシル基の場合は1位においても、対応するモノマーユニットからなるポリヒドロキシアルカノエートを取得することが可能であるが、機能性、物性などが何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あるいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あるいはパラ位における置換体を好適に用い得る。
また、TCAサイクルに関与する有機酸としては、TCAサイクルそのものに存在する有機酸、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸及びその塩など、さらにはTCAサイクルへのメインフラックス上に存在する有機酸、例えば、乳酸、ピルビン酸及びその塩などを好適に用いることができる。
さらに発明者らは、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは混在がない、効率的に所望とするPHAを得られる方法を開発すべく、鋭意研究・検討を重ねてきた結果、微生物を培養する際、ポリマー原料のアルカノエートに加え原料アルカノエート以外の炭素源としてポリペプトンのみを含む培地による培養と、当該アルカノエートと当該アルカノエート以外の炭素源としてピルビン酸あるいはその塩のみとを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で微生物の培養を行うことによって、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは混在がないPHAを生産できることを見出した。
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の製造方法は、下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの微生物による製造方法であって、 下記一般式(22)で表されるアルカノエートから下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを合成し得る微生物を、下記式(22)で表されるアルカノエートと下記式(22)で表されるアルカノエート以外の炭素源としてポリペプトンのみを含む培地による培養と、下記式(22)で表されるアルカノエートと下記式(22)で表されるアルカノエート以外の炭素源としてピルビン酸あるいはその塩のみとを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で培養する工程を有することを特徴とする。
Figure 2005097633
(上記式中、Rは下記式(24)で表される基の少なくとも1つ以上の基であり、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
Figure 2005097633
(上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、t はそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
ここで、式(22)で表されるアルカノエートは培養時に複数種を用いうるが、必要とするポリマーの機能性、物性などを考慮の上、適当数を用いると良い。一般には5種類程度までの式(22)で表されるアルカノエートを原料として用いると、その一部から前記のようにβ酸化により鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ短くなった「副次的な」基質が新たに生成する。これらがPHAのモノマーユニットとして取り込まれるため、10 種類程度までの、例えば式(2)で表されるようなモノマーユニットが含まれるようになり、上の目的を十分に達成することが期待できる。さらに、微妙な機能性、物性の制御を望む場合、より多くのアルカノエートを用いることも可能である。
上記のR4の基における置換基としては、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 等が挙げられる。R4の置換位置については、オルト、メタあるいはパラ位の何れにおいても、またシクロヘキシル基の場合は1位においても、対応するモノマーユニットからなるポリヒドロキシアルカノエートを取得することが可能であるが、機能性、物性などが何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あるいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あるいはパラ位における置換体を好適に用い得る。
また、本発明にかかる新規菌株は、下記式(22)で表されるアルカノエートから下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの合成系を有することを特徴とする。
Figure 2005097633
(上記式中、Rは下記式(24)で表される基の少なくとも1つ以上の基であり、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
Figure 2005097633
(上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、t はそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
上記のR4の基における置換基としては、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-CF3、-C25、-C37 等が挙げられる。
以下、本発明における新規なポリヒドロキシアルカノエートについて詳述する。
本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエートは、下記式(8):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。
さらに、下記式(9):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。
また、本発明の新規なPHAを微生物を用いて生産する際の原料基質は、下記化学式(21):
Figure 2005097633
で表される5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸であり、この原料基質自体も新規な化合物である。
さらに、下記式(10):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。
さらに、下記式(11):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。
さらに、下記式(12):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。
さらに、下記式(13):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。
さらに、下記式(14):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。なお、上記式(14)の3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸以外のモノマーユニットには、下記式(3)あるいは(4)で表されるモノマーユニットのうち少なくとも1種以上を含む。
Figure 2005097633
さらに、下記式(15):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。なお、上記式(15)の3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸以外のモノマーユニットには、下記式(3)あるいは(4)で表されるモノマーユニットのうち少なくとも1種以上を含む。
Figure 2005097633
さらに、下記式(16):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。ここで、上記式(16)の3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸以外のモノマーユニットとして、下記式(3)あるいは(4)で表されるモノマーユニットのうち少なくとも1種以上を含み、かつ、モノマーユニットが3成分系であるものを除いたポリヒドロキシアルカノエートである。
Figure 2005097633
さらに、下記式(8)及び(16):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸と3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。
さらに、下記式(15)及び(17):
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸と3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。なお、上記式(15)及び(17)の3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸と3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸以外のモノマーユニットには、下記式(3)あるいは(4)で表されるモノマーユニットのうち少なくとも1種以上を含む。
Figure 2005097633
さらに、下記式(14)、(18)及び(19):
Figure 2005097633
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。なお、上記式(14)、(18)及び(19)の3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸以外のモノマーユニットには、下記式(3)あるいは(4)で表されるモノマーユニットのうち少なくとも1種以上を含む。
Figure 2005097633
さらに、下記式(15)、(17)及び(20):
Figure 2005097633
Figure 2005097633
で表される3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエートである。なお、上記式(15)、(17)及び
(20)の3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸以外のモノマーユニットには、下記式(3)あるいは(4)で表されるモノマーユニットのうち少なくとも1種以上を含む。
Figure 2005097633
以下、本発明におけるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法について詳述する。
本発明者らは、下記式(25)で表される5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)を含む培地で培養することで、下記式(8)からなる3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(25)で表されるFPVAを含む培地で、FPVAを利用して上記式(8)で表される3HFPVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(25)で表されるFPVAと糖類とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(25)で表されるFPVAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(25)で表されるFPVAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(25)で表されるFPVAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(25)で表されるFPVAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(21)で表される5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸(CF3PVA)を含む培地で培養することで、下記式(9)からなる3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸(3HCF3PV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(21)で表されるCF3PVAを含む培地で、CF3PVAを利用して上記式(9)で表される3HCF3PVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(21)で表されるCF3PVAと糖類とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(21)で表されるCF3PVAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(21)で表されるCF3PVAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(21)で表されるCF3PVAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(21)で表されるCF3PVAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(26)で表される4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸(NO2PxBA)を含む培地で培養することで、下記式(10)からなる3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸(3HNO2PxB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(26)で表されるNO2PxBAを含む培地で、NO2PxBAを利用して上記式(10)で表される3HNO2PxBモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(26)で表されるNO2PxBAと糖類とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(26)で表されるNO2PxBAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(26)で表されるNO2PxBAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(26)で表されるNO2PxBAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(26)で表されるNO2PxBAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(27)で表される4-(4-シアノフェノキシ)酪酸(CNPxBA)を含む培地で培養することで、下記式(11)からなる3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸(3HCNPxB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(27)で表されるCNPxBAを含む培地で、CNPxBAを利用して上記式(11)で表される3HCNPxBモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(27)で表されるCNPxBAと糖類とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(27)で表されるCNPxBAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(27)で表されるCNPxBAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(27)で表されるCNPxBAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(27)で表されるCNPxBAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(28)で表される4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸(FPxBA)を含む培地で培養することで、下記式(12)からなる3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸(3HFPxB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(28)で表されるFPxBAを含む培地で、FPxBAを利用して上記式(12)で表される3HFPxBモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(28)で表されるFPxBAと糖類とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(28)で表されるFPxBAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(28)で表されるFPxBAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(28)で表されるFPxBAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(28)で表されるFPxBAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(29)で表される4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸(mFPxBA)を含む培地で培養することで、下記式(13)からなる3-ヒドロキシ-4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸(3HmFPxB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(29)で表されるmFPxBAを含む培地で、mFPxBAを利用して上記式(13)で表される3HmFPxBモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(29)で表されるmFPxBAと糖類とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(29)で表されるmFPxBAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(29)で表されるmFPxBAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(29)で表されるmFPxBAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(29)で表されるmFPxBAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(31)で表される5-フェニル吉草酸(PVA)を含む培地で培養することで、下記式(30)からなる3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(31)で表されるPVAと糖類とを含む培地で、PVAを利用して上記式(30)で表される3HPVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(31)で表されるPVAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(31)で表されるPVAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(31)で表されるPVAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(31)で表されるPVAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(33)で表される6-フェニルヘキサン酸(PHxA)を含む培地で培養することで、下記式(32)からなる3-ヒドロキシ-6-フェニルヘキサン酸(3HPHx)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(33)で表されるPHxAと糖類とを含む培地で、PHxAを利用して上記式(32)で表される3HPHxモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(33)で表されるPHxAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(33)で表されるPHxAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(33)で表されるPHxAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(33)で表されるPHxAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(34)で表される4-フェノキシ酪酸(PxBA)を含む培地で培養することで、下記式(14)からなる3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(34)で表されるPxBAを含む培地で、PxBAを利用して上記式(14)で表される3HPxBモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(34)で表されるPxBAと糖類とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(34)で表されるPxBAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(34)で表されるPxBAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(34)で表されるPxBAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(34)で表されるPxBAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(35)で表される5-フェノキシ吉草酸(PxVA)を含む培地で培養することで、下記式(15)からなる3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(35)で表されるPxVAを含む培地で、PxVAを利用して上記式(15)で表される3HPxVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(35)で表されるPxVAと糖類とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(35)で表されるPxVAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(35)で表されるPxVAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(35)で表されるPxVAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(35)で表されるPxVAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(36)で表される5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxVA)を含む培地で培養することで、下記式(16)からなる3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(36)で表されるFPxVAと糖類とを含む培地で、FPxVAを利用して上記式(16)で表される3HFPxVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(36)で表されるFPxVAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(36)で表されるFPxVAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(36)で表されるFPxVAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(36)で表されるFPxVAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(38)で表される4-シクロヘキシル酪酸(CHBA)を含む培地で培養することで、下記式(37)からなる3-ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸(3HCHB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(38)で表されるCHBAと糖類とを含む培地で、CHBAを利用して上記式(37)で表される3HCHBモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(38)で表されるCHBAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(38)で表されるCHBAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(38)で表されるCHBAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(38)で表されるCHBAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(25)で表される5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)及び下記式(36)で表される5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxVA)を含む培地で培養することで、下記式(8)からなる3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)及び下記式(16)からなる3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(25)で表されるFPVA及び上記式(36)で表されるFPxVAと糖類とを含む培地で、FPVA及びFPxVAを利用して上記式(8)で表される3HFPV及び上記式(16)で表される3HFPxVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(25)で表されるFPVA及び式(36)で表されるFPxVAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(25)で表されるFPVA及び式(36)で表されるFPxVAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(25)で表されるFPVA及び式(36)で表されるFPxVAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(25)で表されるFPVA及び式(36)で表されるFPxVAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(39)で表される7-フェノキシヘプタン酸(PxHpA)を含む培地で培養することで、下記式(15)からなる3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)及び下記式(17)からなる3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(39)で表されるPxHpAと糖類とを含む培地で、PxHpAを利用して上記式(15)で表される3HPxV及び上記式(17)で表される3HPxHpモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(39)で表されるPxHpAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(39)で表されるPxHpAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(39)で表されるPxHpAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(39)で表されるPxHpAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(40)で表される8-フェノキシオクタン酸(PxOA)を含む培地で培養することで、下記式(14)からなる3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)、下記式(18)からなる3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)及び下記式(19)からなる3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(40)で表されるPxOAと糖類とを含む培地で、PxHpAを利用して上記式(14)で表される3HPxB、上記式(18)で表される3HPxHx及び上記式(19)で表される3HPxOモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(40)で表されるPxOAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(40)で表されるPxOAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(40)で表されるPxOAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(40)で表されるPxOAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
本発明者らは、下記式(41)で表される11-フェノキシウンデカン酸(PxUDA)を含む培地で培養することで、下記式(15)からなる3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)、下記式(17)からなる3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)及び下記式(20)からなる3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を得ることに成功した。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
Figure 2005097633
すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記式(41)で表されるPxUDAと糖類とを含む培地で、PxUDAを利用して上記式(15)で表される3HPxV、上記式(17)で表される3HPxHp及び上記式(20)で表される3HPxNモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする。
また、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(41)で表されるPxUDAとポリペプトンとを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(41)で表されるPxUDAとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養で行うことを特徴とする。
さらに、製造方法の別の一つとしては、微生物の培養を、式(41)で表されるPxUDAとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く式(41)で表されるPxUDAとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われることを特徴とする。
さらに、本発明には、上記のポリヒドロキシアルカノエートの生産に好適に利用し得る、シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2、FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91、FERM BP-7373)及びシュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)の4種の新規菌株が含まれる。
本発明により、新規なポリヒドロキシアルカノエートと、その原料となる新規な置換アルカン酸、当該新規ポリヒドロキシアルカノエートを生産し菌体内に蓄積する能力を有する新規微生物、及び、このような微生物を用いた当該ポリヒドロキシアルカノエートの生産方法が提供される。これにより、機能性ポリマーとしても有用な、各種官能基を導入したポリヒドロキシアルカノエートが極めて効率的に、且つ高い純度で製造することができ、デバイス材料や医用材料等の各分野への応用が期待できる。
本発明のPHAはデバイス材料や医用材料等として有用な置換基を側鎖に有する多様な構造のモノマーユニットを含むPHAであり、より具体的には、前述した置換あるいは無置換のフェノキシ基、フェニル基及びシクロヘキシル基を側鎖上に有するPHAである。また、本発明のPHAの製造方法は、微生物を利用して高純度かつ高収率に所望とするPHAを製造することを可能とするものである。さらに本発明は、当該PHAを高純度で効率的に合成することのできる菌株の提供を可能とするものである。なお、本発明のPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーである。
<糖類ならびにTCAサイクルに関与する有機酸 従来技術との差異> 本発明のPHA製造方法の1つは、微生物を培養する際、培地に所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートに加えて、当該アルカノエート以外の炭素源として糖類あるいはTCAサイクルに関与する有機酸のみを添加することで、微生物が産生・蓄積するPHAにおいて、目的とするモノマーユニットの含有率を著しく高いものとする、あるいは目的とするモノマーユニットのみとする点を特徴としている。この特定のモノマーユニットの優先化を促進する効果は、培地中に当該アルカノエート以外の炭素源として糖類あるいはTCAサイクルに関与する有機酸のみを添加することにより得られている。
すなわち、発明者らは、糖類あるいはTCAサイクルに関与する有機酸を共存基質として、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートと共に培養せしめたところ、ノナン酸やオクタン酸といったmcl-アルカノエートを共存基質として用いた従来の方法に比べ、目的とするPHAが格段に優れた収率および純度で得られること、そしてこのような効果が、微生物の炭素源ならびにエネルギー源であるアセチルCoAをβ酸化に拠らない方法により生成することが可能な培養方法であることにより得られるものであるとの知見を得て本発明に至ったものである。
本発明の方法においては、糖類化合物、例えばグルコースやフルクトース、マンノース等は、微生物の増殖基質として利用されることになり、生産されるPHAは、糖類に共存させている所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートから構成され、グルコース等の糖類に由来するモノマーユニットが全く含まれないか、極めて少量しか含まれない。このような点で、本発明の方法は、従来のグルコースなどの糖類そのものをPHAに導入するモノマーユニットの原料基質として用いるPHA微生物生産方法とは構成及び効果ともに根本的に異なるものである。
<ポリペプトン 従来技術との差異> 本発明のPHA製造方法の1つは、微生物を培養する際、培地に原料の所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートに加えて、当該アルカノエート以外の炭素源としてポリペプトンのみを添加することで、微生物が産生・蓄積するPHAにおいて、目的とするモノマーユニットの含有率を著しく高いものとする、あるいは目的とするモノマーユニットのみとする点を特徴としている。この特定のモノマーユニットの優先化を促進する効果は、培地中に当該アルカノエート以外の炭素源としてポリペプトンのみを添加することにより得られている。
なお、微生物によるPHAの生産にポリペプトンを利用する例として、特開平5-49487号公報、特開平5-64591号公報、特開平5-214081号公報、特開平6-145311号公報、特開平6-284892号公報、特開平7-48438号公報、特開平8-89264号公報、特開平9-191893号公報、特開平11-32789号公報等に、PHAを微生物に生産させる際に、培地中にポリペプトンを含有させていることが開示されているが、いずれも前培養、つまり菌体を単に増殖させる段階で用いており、前培養時にPHAのモノマーユニットとなる基質は含まれていない。また、菌体にPHAを生産させる段階でポリペプトンを用いた例はない。これに対して、本発明は所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートと当該アルカノエート以外の炭素源としてポリペプトンのみを共存させることで増殖とともにPHAの産生・蓄積を行うものであり、本発明のポリペプトンを用いた製造方法は、従来のポリペプトンを利用する例とは構成及び効果が全く異なる。さらに本発明の効果である、特定のモノマーユニットの優占化について何ら言及されておらず、本発明のように、微生物が生産するPHA組成における、フェノキシ基、フェニル基及びシクロヘキシル基を置換基として有する特定のモノマーユニットの優占化という効果は示していない。
以下に、本発明のPHA、製造方法、微生物についてより詳しく説明する。
<PHAモノマーユニット供給系>
先ず、目的とするPHAに混在してくるmcl-3HAモノマーユニットの供給系の1つである「脂肪酸合成経路」について詳細に説明する。
グルコース等の糖類を基質とした場合、細胞成分として必要なアルカノエートは、糖類から「解糖系」を経て生産されるアセチルCoAを出発物質とした「脂肪酸合成経路」から生合成される。なお、脂肪酸合成には新規(de novo)合成経路と炭素鎖延長経路があり、以下にこれらについて説明する。
1)新規(de novo)合成経路
アセチルCoAカルボキシラーゼ(EC 6.4.1.2)と脂肪酸合成酵素(EC 2.3.1.85)の2つの酵素で触媒される。なお、アセチルCoAカルボキシラーゼは、ビオチンを介在し、最終的に以下の反応を触媒し、アセチルCoAからマロニルCoAを生成する酵素であり、反応は下記式で表わされる。

アセチルCoA+ATP+HCO3 -⇔マロニルCoA+ADP+Pi

また、脂肪酸合成酵素は、転移-縮合-還元-脱水-還元の反応サイクルを触媒する酵素であり、全反応は次の反応式で示される。

アセチルCoA+nマロニルCoA+2nNADPH+2nH+ ⇒CH3(CH2)2nCOOH+nCO2+2nNADP++(n-1)CoA

なお、酵素の種類によって、反応産物が遊離酸、CoA誘導体、あるいはACP誘導体の場合がある。
ここで、アセチルCoA及びマロニルCoAは以下の化学式(42)及び(43)で示される。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
また、CoAとは補酵素A(co-enzymeA)の略称であり、以下の化学式(44)で示される。
Figure 2005097633
本反応経路のうち、以下に示す経路により、PHA生合成のモノマー基質となる「D-3-ヒドロキシアシル-ACP」が中間体として供給される。また、以下の反応式に示すように経路は炭素を2個ずつ付加しながら最終的にはパルミチン酸まで延長される。それゆえPHA生合成のモノマー基質としては「D-3-ヒドロブチリル-ACP」から「D-3-ヒドロキシパルミチル-ACP」の炭素数が偶数の7種類の「D-3-ヒドロキシアシル-ACP」が供給されることになる。
Figure 2005097633
2)炭素鎖延長経路 この経路は、アシル-ACPにマロニルACPが付加し、最終的に炭素鎖が2つ延長されたアシル-ACP(及びCO2)となる経路(経路Aとする)と、アシル-CoAにアセチルCoAが付加し、最終的に炭素鎖が2つ延長されたアシル-CoAとなる経路(経路Bとする)の2経路に大別される。以下に各経路について説明する。
・経路AR-CO-ACP+マロニル-ACP→R-CO-CH2-CO-ACP+CO2R-CO-CH2-CO-ACP→R-CHOH-CH2-CO-ACP→R-CH=CH-CO-ACP→R-CH2-CH2-CO-ACP・経路BR-CO-CoA+アセチル-CoA→R-CO-CH2-CO-CoAR-CO-CH2-CO-CoA→R-CHOH-CH2-CO-CoA→R-CH=CH-CO-CoA→R-CH2-CH2-CO-CoA
A,Bいずれの系も、中間体として「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」あるいは「D-3-ヒドロキシアシル-ACP」が生じ、「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」はそのままPHA合成のモノマー基質として利用され、「D-3-ヒドロキシアシル-ACP」はACP-CoA転移酵素により「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」に変換された後に、PHA合成のモノマー基質として利用されると考えられる。
グルコース等の糖類を基質とした場合、微生物細胞中では以上のような「解糖系」及び「脂肪酸合成経路」を経由してmcl-3HAモノマーユニットが生成されると考えられる。また、TCAサイクルに関与する有機酸を基質とした場合、ピルビン酸からはピルビン酸デヒドロゲナーゼにより直接アセチルCoAが生成する。TCAサイクル上の有機酸からは、例えば、リンゴ酸からはリンゴ酸デヒドロゲナーゼによりピルビン酸が生成し、さらに上記の反応によりアセチルCoAが生成する。オキサロ酢酸からはホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼによりホスホエノールピルビン酸が生成し、ホスホエノールピルビン酸がピルビン酸キナーゼにより触媒されピルビン酸が生成、さらに上記反応によりアセチルCoAが生成する。これらの反応により生成したアセチルCoAが「脂肪酸合成経路」を経由してmcl-3HAモノマーユニットが生成されると考えられる。
ここで、例えばオクタン酸、ノナン酸等のmcl-アルカノエート、あるいは、例えば、5-フェニル吉草酸、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸、6-フェニルヘキサン酸、4-フェノキシ酪酸、4-シクロヘキシル酪酸といった、末端に直鎖脂肪族アルキル以外の官能基が付加されたアルカノエートはCoAリガーゼ(EC 6.2.1.3等)によりCoA誘導体となり、β酸化系を担う酵素群により直接的にPHA生合成のモノマー基質となる「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」となると考えられる。
つまり、糖類あるいはTCAサイクルに関与する有機酸から生成するmcl-3HAモノマーユニットが、きわめて多段階の酵素反応を経て(つまり間接的に)生成されるのに比較し、mcl-アルカノエートからはきわめて直接的にmcl-3HAモノマーユニットが生成されてくることになる。
ここで、微生物の増殖を担うアセチルCoAの生成について説明する。目的とするモノマーユニット導入用のアルカノエートに加えてmcl-アルカノエートを共存させる方法では、これらのアルカノエートがβ酸化系を経由することによりアセチルCoAが生成する。一般にバルキーな置換基を有するアルカノエート(フェニル基、フェノキシ基、シクロヘキシル基等の置換基を有するアルカノエート)に比較し、mcl-アルカノエートはβ酸化系の酵素群との基質親和性に優れていると考えられ、mcl-アルカノエートの共存により効果的にアセチルCoAが生成される。このため、アセチルCoAをエネルギー源及び炭素源として用いる微生物の増殖には有利となる。
しかしながら、β酸化系を経由するmcl-アルカノエートが直接的にPHAのモノマーユニットとなるために、生産されるPHAは、目的のモノマーユニットに加えてmcl-3HAモノマーユニットの混在が多いものとなってしまうことが大きな課題である。
この課題を解決するためには、mcl-アルカノエート以外で、効果的にアセチルCoAあるいはエネルギー源及び炭素源を供給し得るような基質を選択し、目的とするアルカノエートと共存させる方法が望ましい。前述のように、アセチルCoAは脂肪酸合成経路を経ることによりPHAのモノマーユニットとなり得るが、mcl-アルカノエートに比較すればより多段階の反応を経由する必要がある間接的なものであり、また、アセチルCoAを生成し得るような基質の濃度等、培養条件を適宜選択することにより、実質的にはmcl-3HAの混在のない、あるいは少ない製造方法の実現が可能である。
また、1段階目で微生物の増殖のみを目的に培養し、2段階目においては炭素源として目的とするアルカノエートのみを培地に加える製造方法が汎用されている。ここで、当該アルカノエートをアシルCoA化するベータ酸化系の初発酵素であるアシルCoAリガーゼがATPを要求することから、発明者らの検討によれば2段階目においても微生物がエネルギー源として利用し得る基質を共存させる製造方法がより効果的であるとの結果を得て、本発明を完成した。
本発明の方法におけるアセチルCoAあるいはエネルギー源及び炭素源を効果的に供給し得る基質としては、グリセロアルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースといったアルドース、グリセロール、エリスリトール、キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルドン酸、グルクロン酸やガラクツロン酸等のウロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等の糖類のほか、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸及びその塩等のTCAサイクルに関与する有機酸、さらにはポリペプトン、ビーフエキス、カザミノ酸などの天然物由来の培地用成分など、β酸化系を経ずにアセチルCoAあるいはエネルギー源及び炭素源を供給し得る化合物であれば、いかなる化合物でも用いることができ、用いる菌株に対する基質としての有用性で適宜選択することができる。また、mcl-3HAの混入の少ない組み合わせであれば、複数の化合物を選択して用いることも可能である。
<微生物> 従来技術の説明等に述べたように、例えば、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸、3-ヒドロキシ-5-フルオロフェノキシ吉草酸、3-ヒドロキシ-6-シアノフェノキシヘキサン酸、3-ヒドロキシ-6-ニトロフェノキシヘキサン酸、3-ヒドロキシ-7-フルオロフェノキシヘプタン酸をモノマーユニットとして含むPHAを生産し、菌体内に蓄積する微生物の報告例として、Macromolecules,29,3432-3435(1996)、Can.J.Microbiol.,41,32-43(1995)あるいは特許第2989175号公報等に記載の、シュードモナス・オレオボランスあるいはシュードモナス・プチダがある。しかしながら、フッ素、シアノ基、ニトロ基等で置換された3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸をモノマーユニットとして含むPHAを生産し、菌体内に蓄積する微生物の報告例はなかった。また、Macromolecules,32,2889-2895(1999)には、シュードモナス・オレオボランスが、5-(2,4-ジニトロフェニル)吉草酸とノナン酸を基質として含む培地での培養によって、3-ヒドロキシ-5-(2,4-ジニトロフェニル)吉草酸及び3-ヒドロキシ-5-(4-ニトロフェニル)吉草酸をモノマーユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。しかしながら、フッ素、トリフルオロメチル基等で置換された3-ヒドロキシ-フェニルアルカノエートをモノマーユニットとして含むPHAを生産し、菌体内に蓄積する微生物の報告例はなかった。従って、本発明は、これらの新規なモノマーユニットをPHAに取り込むことが可能な微生物を見出すことでなされた。
本発明の新規微生物は、アルカノエートを基質として用いて、当該アルカノエート由来の新規なモノマーユニットを含むPHAを生産し、菌体内に蓄積するという、従来知られていない能力を有する微生物である。このような新規な酵素反応性を示す微生物は、本発明者らの探索により見出されたものである。すなわち、本発明の新規微生物は、シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonascichorii YN2、FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ・H45株
(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91、FERM BP-7373)及びシュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)である。なお、これらの菌株以外のものでも、当該アルカノエートを基質とした培養によって、例えば Pseudomonas 属に属する細菌のスクリーニングを行うことで、本発明のPHAの製造方法に利用し得る微生物を得ることも可能である。
以下にYN2株、H45株、P91株及びP161株についての詳細を示す。

<YN2株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm
細胞の多形性 :なし
運動性 :あり
胞子形成 :なし
グラム染色性 :陰性
コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、
表層なめらか、光沢、半透明

(2)生理学的性質
カタラーゼ :陽性
オキシダーゼ :陽性
O/F試験 :酸化型(非発酵性)
硝酸塩の還元 :陰性
インドールの生成 :陽性
ブドウ糖酸性化 :陰性
アルギニンジヒドロラーゼ :陰性
ウレアーゼ :陰性
エスクリン加水分解 :陰性
ゼラチン加水分解 :陰性
β-ガラクトシダーゼ :陰性
KingsB寒天での蛍光色素産生:陽性
4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育)
ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性(*)
Tween80の加水分解 :陽性
* nutrient agar培養コロニーをズダンブラックで染色することで判定。

(3)基質資化能
ブドウ糖 :陽性
L-アラビノース :陽性
D-マンノース :陰性
D-マンニトール :陰性
N-アセチル-D-グルコサミン :陰性
マルトース :陰性
グルコン酸カリウム :陽性
n-カプリン酸 :陽性
アジピン酸 :陰性
dl-リンゴ酸 :陽性
クエン酸ナトリウム :陽性
酢酸フェニル :陽性

<H45株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm
細胞の多形性 :なし
運動性 :あり
胞子形成 :なし
グラム染色性 :陰性
コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、
表層なめらか、光沢、クリーム色

(2)生理学的性質
カタラーゼ :陽性
オキシダーゼ :陽性
O/F試験 :酸化型
硝酸塩の還元 :陰性
インドールの生成 :陰性
ブドウ糖酸性化 :陰性
アルギニンジヒドロラーゼ :陰性
ウレアーゼ :陰性
エスクリン加水分解 :陰性
ゼラチン加水分解 :陰性
β-ガラクトシダーゼ :陰性
KingsB寒天での蛍光色素産生:陽性
4%NaClでの生育 :陰性
ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性

(3)基質資化能
ブドウ糖 :陽性
L-アラビノース :陰性
D-マンノース :陽性
D-マンニトール :陽性
N-アセチル-D-グルコサミン :陽性
マルトース :陰性
グルコン酸カリウム :陽性
n-カプリン酸 :陽性
アジピン酸 :陰性
dl-リンゴ酸 :陽性
クエン酸ナトリウム :陽性
酢酸フェニル :陽性

<P91株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ :桿菌、0.6μm×1.5μm
細胞の多形性 :なし
運動性 :あり
胞子形成 :なし
グラム染色性 :陰性
コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、
表層なめらか、光沢、クリーム色

(2)生理学的性質
カタラーゼ :陽性
オキシダーゼ :陽性
O/F試験 :酸化型
硝酸塩の還元 :陰性
インドールの生成 :陰性
ブドウ糖酸性化 :陰性
アルギニンジヒドロラーゼ :陽性
ウレアーゼ :陰性
エスクリン加水分解 :陰性
ゼラチン加水分解 :陰性
β-ガラクトシダーゼ :陰性
KingsB寒天での蛍光色素産生:陽性

(3)基質資化能
ブドウ糖 :陽性
L-アラビノース :陰性
D-マンノース :陰性
D-マンニトール :陰性
N-アセチル-D-グルコサミン :陰性
マルトース :陰性
グルコン酸カリウム :陽性
n-カプリン酸 :陽性
アジピン酸 :陰性
dl-リンゴ酸 :陽性
クエン酸ナトリウム :陽性
酢酸フェニル :陽性

<P161株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ :球状、φ0.6μm
桿状、0.6μm×1.5〜2.0μm
細胞の多形性 :あり(伸長型)
運動性 :あり
胞子形成 :なし
グラム染色性 :陰性
コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、
表層なめらか、淡黄色

(2)生理学的性質
カタラーゼ :陽性
オキシダーゼ :陽性
O/F試験 :酸化型
硝酸塩の還元 :陽性
インドールの生成 :陰性
ブドウ糖酸性化 :陰性
アルギニンジヒドロラーゼ :陽性
ウレアーゼ :陰性
エスクリン加水分解 :陰性
ゼラチン加水分解 :陰性
β-ガラクトシダーゼ :陰性
KingsB寒天での蛍光色素産生:陽性

(3)基質資化能
ブドウ糖 :陽性
L-アラビノース :陽性
D-マンノース :陽性
D-マンニトール :陽性
N-アセチル-D-グルコサミン :陽性
マルトース :陰性
グルコン酸カリウム :陽性
n-カプリン酸 :陽性
アジピン酸 :陰性
dl-リンゴ酸 :陽性
クエン酸ナトリウム :陽性
酢酸フェニル :陽性

以上の菌学的性質から、バージェーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー・第1巻(Bergeys Manual of Systematic Bacteriology,Volume1)(1984年)及びバージェーズ・マニュアル・オブ・ディタミネーティブ・バクテリオロジー(Bergeys Manual of Determinative Bacteriology)第9版(1994年)に基づいて検索したところ、YN2株及びH45株は、シュードモナス・チコリアイ(Pseudomonas cichorii)に、また、P91株は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)に、それぞれ属すると判明した。従って、これらの菌株をシュードモナス・チコリアイ・YN2株、シュードモナス・チコリアイ・H45株、シュードモナス・プチダ・P91株とそれぞれ命名した。
一方、P161株は、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)に属すると判明したものの、その菌学的性質から分類学上の位置を確定するには至らなかった。そこで、遺伝的性質からの分類を試みるために、P161株の16S rRNAの塩基配列を決定し(配列番号:1、cDNA to rRNA)、公知のシュードモナス属微生物の16S rRNAの塩基配列との相同性を調べた。その結果、P161株とシュードモナス・ジェッセニイ(Pseudomonas jessenii)との間で、塩基配列の相同性が極めて高いことが判明した。さらに、System.Appl.Microbiol.,20,137-149(1997)、及び、System.Appl.Microbiol.,22,45-58(1999)に記載されたシュードモナス・ジェッセニイの菌学的性質と、P161株の菌学的性質との間で高い類似性も認められた。以上の結果から、P161株はシュードモナス・ジェッセニイに属せしめるのが妥当と判断されたため、P161株をシュードモナス・ジェッセニイ・P161株と命名した。
なお、YN2株は寄託番号「FERM BP-7375」として、H45株は寄託番号「FERM BP-7374」として、P91株は寄託番号「FERM BP-7373」として、P161株は寄託番号「FERM BP-7376」として、通商産業省 工業技術院生命工学工業技術研究所(特許微生物寄託センター)にそれぞれ寄託されている。
<培養 一般> これらの微生物を所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートと本発明の増殖用基質を含む培地で培養することで、目的とするPHAを生産することができる。このようなPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーである。
本発明のPHAの生産方法に用いる微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、菌数や活性状態の確保のための培養などには、微生物の生育や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培地や栄養源を添加した合成培地等、いかなる種類の培地をも用いることができる。温度、通気、撹拌などの培養条件は用いる微生物に応じて適宜選択する。
一方、微生物を用いてPHAを生産・蓄積させる場合は、PHA生産用の培地として、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを含む無機培地などが用いられる。
上記の培養方法に用いる無機培地としては、リン源(例えば、リン酸塩等)、窒素源(例えば、アンモニウム塩、硝酸塩等)等、微生物が増殖し得る成分を含んでいるものであればいかなるものでも良く、例えば無機塩培地としては、MSB培地、E培地(J.Biol.Chem.,218,97-106(1956))、M9培地等を挙げることができる。
なお、本発明における実施例で用いるM9培地の組成は以下の通りである。
Na2HPO4: 6.2g KH2PO4 : 3.0g NaCl : 0.5g NH4Cl : 1.0g
(培地1リットル中、pH7.0)
培養条件としては、例えば15〜40℃、好ましくは20〜35℃で、好気条件下での振盪培養や撹拌培養が挙げられる。
培養工程は、バッチ式、流動バッチ式、半連続培養、連続培養、リアクター形式など、通常の微生物の培養に用いるいかなる方法をも用いることができ、これらの工程を複数段接続した多段方式を採用してもよい。
以下、本発明の増殖基質それぞれについて、具体的な培養工程を説明する。
<培養 mcl-アルカノエート> 例えば、2段階の培養工程を含む方法としては、1段階目では、増殖用基質として、例えばオクタン酸やノナン酸等の炭素数6〜12のアルカノエートを 0.1重量%から 0.2 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期の時点まで培養し、2段階目では、1段階目での培養終了後の菌体を遠心分離等で回収したのち、当該アルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ、窒素源が存在しない無機培地で更に培養し、培養終了後、菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法がある。
また、例えばオクタン酸やノナン酸等の炭素数6〜12のアルカノエートを 0.1 重量%から 0.2 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度与えて培養し、対数増殖後期から定常期の時点で菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法もある。
ここで、これら増殖用基質として、mcl-アルカノエートを培地に添加する方法では、取得されるPHAは、増殖用基質として添加したmcl-アルカノエートに由来するモノマーユニットが多量に混在しているPHAとなっている。このようなPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーである。
<培養 糖類> 例えば、2段階の培養工程を含む方法としては、1段階目では、増殖用基質として糖類(例えばグルコース、マンノース、フルクトース等)を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期の時点まで培養し、2段階目では、1段階目での培養終了後の菌体を遠心分離等で回収したのち、増殖用基質として糖類(例えばグルコース、マンノース、フルクトース等)を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、当該アルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ、窒素源が存在しない無機培地で更に培養し、培養終了後、菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法がある。
また、増殖用基質として糖類(例えばグルコース、マンノース、フルクトース等)を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度与えて培養し、対数増殖後期から定常期の時点で菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法もある。
このように、培地に添加する糖類(例えばグルコース、マンノース、フルクトース等)の濃度は、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートの種類、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度に選択して、添加するとよい。一方、原料となる当該アルカノエートの濃度も、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を 0.01 重量%から 0.5 重量%程度に選択して、添加するとよい。このように、糖類(例えばグルコース、マンノース、フルクトース等)と当該アルカノエートとを含む培地で微生物を培養することによって、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは全くない、所望のPHAが生産・蓄積される。このようなPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーである。
<培養 ポリペプトン> 例えば、2段階の培養工程を含む方法として、1段階目では、増殖用基質としてポリペプトンを 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期の時点まで培養し、2段階目では、1段階目での培養終了後の菌体を遠心分離等で回収したのち、当該アルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ、窒素源が存在しない無機培地で更に培養し、培養終了後、菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法がある。
また、ポリペプトンを 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度与えて培養し、対数増殖後期から定常期の時点で菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法もある。
このように、培地に添加するポリペプトン濃度は、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートの種類、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度に選択して、添加するとよい。また、ポリペプトンは微生物の培養などに汎用される市販のポリペプトン何れについても好適に用いることが可能である。一方、原料となる当該アルカノエートの濃度も、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を 0.01 重量%から 0.5 重量%程度に選択して、添加するとよい。このように、ポリペプトンと当該アルカノエートとを含む培地で微生物を培養することによって、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは全くない、所望のPHAが生産・蓄積される。このようなPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーである。
<培養 TCAサイクルに関与する有機酸> 例えば、2段階の培養工程を含む方法として、1段階目では、増殖用基質としてTCAサイクルに関与する有機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸等及びその塩)を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期の時点まで培養し、2段階目では、1段階目での培養終了後の菌体を遠心分離等で回収したのち、増殖用基質としてTCAサイクルに関与する有機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸等及びその塩)を 0.1 重量%から2.0 重量%程度、当該アルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ、窒素源が存在しない無機培地で更に培養し、培養終了後、菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法がある。
また、TCAサイクルに関与する有機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸等及びその塩)を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度与えて培養し、対数増殖後期から定常期の時点で菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法もある。
このように、培地に添加するTCAサイクルに関与する有機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸等及びその塩)の濃度は、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートの種類、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度に選択して、添加するとよい。一方、原料となる当該アルカノエートの濃度も、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を 0.01 重量%から 0.5 重量%程度に選択して、添加するとよい。このように、TCAサイクルに関与する有機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸等及びその塩)と当該アルカノエートとを含む培地で微生物を培養することによって、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは全くない、所望のPHAが生産・蓄積される。このようなPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーである。
<培養 ポリペプトン+ピルビン酸あるいはその塩> 例えば、2段階の培養工程を含む方法として、1段階目では、増殖用基質としてポリペプトンを 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期の時点まで培養し、2段階目では、1段階目での培養終了後の菌体を遠心分離等で回収したのち、増殖用基質としてピルビン酸あるいはその塩を 0.1 重量%から 2.0 重量%程度、当該アルカノエートを 0.01 重量%から 0.5 重量%程度含んだ、窒素源が存在しない無機培地で更に培養し、培養終了後、菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法がある。
このように、培地に添加するポリペプトン濃度及びピルビン酸あるいはその塩の濃度は、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートの種類、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を何れにおいても 0.1 重量%から 2.0 重量%程度に選択して、添加するとよい。一方、原料となる当該アルカノエートの濃度も、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を 0.01 重量%から 0.5 重量%程度に選択して、添加するとよい。このように、ポリペプトンと当該アルカノエートとを含む培地及びピルビン酸あるいはその塩と当該アルカノエートとを含む培地の2段階で微生物を培養することによって、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、あるいは全くない、所望のPHAが生産・蓄積される。このようなPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーである。
<PHAの回収> 本発明の方法における菌体からのPHAの回収は、通常行われているクロロホルム等の有機溶媒による抽出が最も簡便ではあるが、有機溶媒が使用しにくい環境中においては、SDS等の界面活性剤による処理、リゾチーム等の酵素による処理、EDTA、次亜塩素酸ナトリウム、アンモニア等の薬剤による処理によってPHA以外の菌体成分を除去して、PHAを回収する方法を用いることもできる。
<分子量> 上記の方法を利用することで、本発明のPHAを得ることができる。このPHAの数平均分子量はポリマーとしての安定した物性、例えば、ポリマーを構成するモノマーユニットにより規定されるガラス転移温度、軟化点、融点、結晶性、配向性などを一定のものとするためには少なくとも1万程度以上であることが望ましく、本発明におけるPHAの数平均分子量はおおよそ2万以上であり、ポリマーとしての安定した物性の発現を十分に期待できるものである。一方、溶解操作などの処理の簡便性から、PHAの数平均分子量は 20万程度までが好ましく、さらに 10万以下とするのがより好ましい。また前記のように、このようなPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーである。
なお、微生物の培養、微生物によるPHAの生産と菌体内への蓄積、並びに、菌体からのPHAの回収は、上記の方法に限定されるものではない。例えば、本発明にかかるPHAの生産方法に利用される微生物は上記の4種の菌株以外でも、これら4種の菌株と同様の本発明にかかるPHA生産の生産能を有する微生物を用いることができる。
これらのPHAは、例えば、一般的なプラスチックが使用される用途の他、デバイス材料や医療用材料等に有用と考えられる。特に、置換基としてフッ素原子、トリフルオロメチル基等を導入したものは、生体適合性に優れていると予想され、医療用途への応用が期待される。更には、フッ素原子、トリフルオロメチル基等を含むことから撥水効果を有することが予測され、様々な分野での撥水処理への応用も考えられる。特には、脂肪族ポリエステルであることによる生分解性を利用した一時的な撥水処理等への応用も考えられる。
[実施例1]
まず、Macromolecules,29,1762-1766(1996)及び同,27,45-49(1994)の方法に従って、グリニャール反応により基質であるFPVAを合成した。即ち、5-ブロモ吉草酸を無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、-20℃、アルゴン雰囲気下で3mol/L メチルマグネシウムクロリドTHF溶液を滴下しながら加えた。約15分間攪拌した後、1-ブロモ-4-フルオロベンゼンとマグネシウムのTHF溶液を更に滴下し、0.1mol/L Li2CuCl4のTHF溶液を加えた(温度は-20℃に保持)。この反応液を室温まで戻し、更に一晩攪拌した。その後溶液を氷冷した 20%硫酸水溶液に注加し、攪拌して、水層を採取して食塩で飽和し、エーテルで抽出した。更に抽出液を 50gの水酸化カリウムを加えた 100mLの脱イオン水で抽出した後、20%硫酸水溶液で酸性化して、沈殿部分を回収した。
この沈殿部分を核磁気共鳴装置(FT-NMR:Bruker DPX400)を用いて、以下の条件で分析した。測定核種:1H、13C、使用溶媒:重クロロホルム(TMS入り)。その結果を図1及び表3に示す。
Figure 2005097633
[実施例2]
ノナン酸 0.1%、FPVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、FPVA 0.2%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2005097633
[実施例3]
ノナン酸 0.1%、FPVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、FPVA 0.2%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2005097633
[実施例4]
ノナン酸 0.1%を含むM9培地 200mLにP91株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、ノナン酸 0.1%、FPVA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果を表6に示す。
Figure 2005097633
[実施例5]
ノナン酸 0.1%を含むM9培地 200mLにP161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、ノナン酸 0.1%、FPVA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果を表7に示す。
Figure 2005097633
[実施例6]
H45株由来のPHA 100mgをクロロホルム1mLに溶解し、次にノルマルヘキサンを白濁するまで添加した。これを遠心分離して沈殿部分を回収し、真空乾燥した。これを再びクロロホルム1mLに溶解し、ノルマルヘキサンを添加し、沈殿部分を回収する操作を3回繰返して行った。
得られた沈殿部分は常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表8に示す通り、沈殿部分は3HFPVモノマーユニットを唯一のモノマーユニットとするPHAであった。
Figure 2005097633
さらに、核磁気共鳴装置(FT-NMR:Bruker DPX400)を用いて、以下の条件で分析した。測定核種:1H、13C、使用溶媒:重クロロホルム(TMS入り)。その結果を図2、表9、図3、表10に示す。
Figure 2005097633
m:multiplett:triplets:singlet
Figure 2005097633
[実施例7](FPxVAの合成)
三つ口丸底フラスコに、240mLの脱水アセトンを入れ、ヨウ化ナトリウム(0.06モル)、炭酸カリウム(0.11モル)及び4-フルオロフェノール(0.07モル)を加え、十分に攪拌した。この溶液中に、5-ブロモ吉草酸エチルエステル(0.06モル)を、窒素雰囲気下で滴下し、60±5℃で還流し、24時間反応させた。反応終了後、反応液をエバポレーターで濃縮乾固させ、塩化メチレンに再溶解し、水を加えて分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水した後エバポレーターで濃縮乾固した。
得られた反応物に、熱メタノールを加えて溶解させ、溶液をゆっくり冷却して再沈殿させ、5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸エチルエステルを得た。この時点での、5-ブロモ吉草酸エチルエステルに対する収率は、68 モル%であった。
得られた反応物(エステル)を5重量%になるようにエタノール-水(9:1(v/v))に溶解し、10倍モル量の水酸化カリウムを加えて、0〜4℃で4時間反応させ、エステルの加水分解を行った。
この反応液を 10倍量の 0.1mol/L塩酸水溶液に注加し、沈殿物をろ過により回収した。回収した沈澱物(反応物)は室温で 36時間減圧乾燥した。得られた乾燥物を少量の熱エタノールに溶解させ、溶液を徐々に冷却して再沈殿させて室温で 24時間減圧乾燥し、目的の化合物である5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸を得た。この化合物の5-ブロモ吉草酸エチルエステルに対する収率は、49モル%であった。
得られた化合物を以下の条件でNMR分析を行った。
<使用機器>FT-NMR:Bruker DPX4001H共鳴周波数:400MHz<測定条件>測定核種:1H使用溶媒:CDCl3reference:キャピラリ封入TMS/CDCl3測定温度:室温 図4にスペクトルチャートを、表11に同定結果を示す。
Figure 2005097633
以上の結果から、確かに所望のFPxVAが合成されている事が確認された。
[実施例8](P91株によるPHAの製造)
ノナン酸 0.1重量%と、FPxVA 0.1重量%とを含むM9培地 200mLにP91株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、ノナン酸 0.1重量%、FPxVA 0.1重量%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを秤量した後、100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得、秤量した。各収率を表12に示す。
得られたPHAをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-8020、カラム:ポリマーラボラトリー PLgel MIXED-C(5μm)、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)により分子量を測定した。分子量を表13に示す。
更に、得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、GC-MSで分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。TIC及び各ピークのマススペクトルを図5〜7に示す。ピーク<1>は3-ヒドロキシヘプタン酸メチルエステル、ピーク<2>は3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、ピーク<3>は3-ヒドロキシノナン酸メチルエステルであり、ピーク<4>が3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸メチルエステルのピークであることが示された。
以上の結果により、得られたポリマーは、3-ヒドロキシヘプタン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシノナン酸及び3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸のユニットを含むPHAであることが示された。
[実施例9](YN2株によるPHAの製造その1)
実施例8のP91株をYN2株とした以外は実施例8と全く同様の方法でPHAを製造させ、各分析を行った。収率を表12に、分子量を表13に、GC-MSのTICを図8に示す。ピーク<1>は3-ヒドロキシヘプタン酸メチルエステル、ピーク<2>は3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、ピーク<3>は3-ヒドロキシノナン酸メチルエステルであり、ピーク<4>が3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸メチルエステルのピークであることが示された。
以上の結果により、得られたポリマーは、3-ヒドロキシヘプタン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシノナン酸及び3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸のユニットを含むPHAであることが示された。
[実施例10](P161株によるPHAの製造)
実施例8のP91株をP161株とした以外は実施例8と全く同様の方法でPHAを製造させ、各分析を行った。収率を表12に、分子量を表13に、GC-MSのTICを図9に示す。ピーク<1>は3-ヒドロキシヘプタン酸メチルエステル、ピーク<2>は3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、ピーク<3>は3-ヒドロキシノナン酸メチルエステルであり、ピーク<4>が3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸メチルエステルのピークであることが示された。
以上の結果により、得られたポリマーは、3-ヒドロキシヘプタン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシノナン酸及び3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸のユニットを含むPHAであることが示された。
[実施例11](H45株によるPHAの製造)
実施例8のP91株をH45株とした以外は実施例8と全く同様の方法でPHAを製造させ、各分析を行った。収率を表12に、分子量を表13に、GC-MSのTICを図10に示す。ピーク<1>は3-ヒドロキシヘプタン酸メチルエステル、ピーク<2>は3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、ピーク<3>は3-ヒドロキシノナン酸メチルエステルであり、ピーク<4>が3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸メチルエステルのピークであることが示された。
以上の結果により、得られたポリマーは、3-ヒドロキシヘプタン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシノナン酸及び3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸のユニットを含むPHAであることが示された。
[実施例12](YN2株によるPHAの製造その2)
ヘキサン酸 0.1重量%、FPxVA 0.1重量%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離によって回収し、ヘキサン酸 0.1重量%、FPxVA 0.1重量%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。30時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
実施例8と全く同様の方法でPHAを抽出し、各分析を行った。収率を表12に、分子量を表13に示す。GC-MS分析の結果から、本方法で得られたPHAは以下のような組成を持つことがわかった。
3-ヒドロキシ酪酸: 8.1%3-ヒドロキヘキサン酸: 51.2%3-ヒドロキオクタン酸: 1.3%3-ヒドロキデカン酸: 7.0%3-ヒドロキドデカン酸: 10.6%未同定物質: 9.9%3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸:11.9% 以上の結果により、得られたポリマーは、3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸のユニットを含むPHAであることが示された。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
[実施例13](TFMPVAの合成)
まず、Macromolecules,29,1762-1766(1996)及び同27,45-49(1994)の方法に従って、グリニャール反応により基質であるTFMPVAを合成した。即ち、5-ブロモ吉草酸を無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、-20℃、アルゴン雰囲気下で3mol/LメチルマグネシウムクロリドTHF溶液を滴下しながら加えた。約 15分間攪拌した後、1-ブロモ-4-トリフルオロメチルベンゼンとマグネシウムのTHF溶液を更に滴下し、0.1mol/L Li2CuCl2のTHF溶液を加えた(温度は-20℃に保持)。この反応液を室温まで戻し、更に一晩攪拌した。その後溶液を氷冷した 20%硫酸水溶液に注加し、攪拌して、水層を採取して食塩で飽和し、エーテルで抽出した。更に、抽出液を 50gの水酸化カリウムを加えた 100mLの脱イオン水で抽出した後、20%硫酸水溶液で酸性化して、沈殿部分を回収した。
回収した化合物を定法によりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津GC-MS QP-5050、カラム:DB-WAXETR(30m×0.32mm×0.5μm)(J&W社製))。TIC(トータルイオンクロマトグラフィー)及びマススペクトルを図11(a)及び(b)に示す。この結果より、目的とするTFMPVAが合成されていることが示された。
[実施例14](H45株によるポリマーの生産)
ノナン酸 0.1%、TFMPVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、TFMPVA 0.2%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得、秤量した。収率を表14に示す。
Figure 2005097633
得られたPHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー HLC-8020、カラム:ポリマーラボラトリー PLgel MIXED-C(5μm)、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=64000、Mw=110000であった。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法、カラム:DB-WAXETR(30m×0.32mm×0.5μm))で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。TIC(トータルイオンクロマトグラフィー)及び目的ユニットである3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸を含むピーク(36.5分付近)のマススペクトルを図12(a)及び(b)にそれぞれ示す。また、PHAの各ユニットのTICエリア比を表15に示す。
Figure 2005097633
以上の結果より本発明の一方法により3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸をモノマーユニットとして含むPHAが生産されることが示された。
[実施例15](P91株によるポリマーの生産)
ノナン酸 0.1%、TFMPVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにP91株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。30時間後、菌体を遠心分離によって回収し、TFMPVA 0.1%及びノナン酸 0.05%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。30時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得、秤量した。
収率を表16に示す。
Figure 2005097633
得られたPHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー HLC-8020、カラム:ポリマーラボラトリー PLgel MIXED-C(5μm)、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=69000、Mw=120000であった。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法、カラム:DB-WAXETR(30m×0.32mm×0.5μm))で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。TIC(トータルイオンクロマトグラフィー)及び目的ユニットである3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸を含むピーク(36.5分付近)のマススペクトルを図13(a)及び(b)にそれぞれ示す。また、PHAの各ユニットのTICエリア比を表17に示す。
Figure 2005097633
以上の結果より本発明の一方法により3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸をモノマーユニットとして含むPHAが生産されることが示された。
[実施例16]
D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得た。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 28時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行った後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表18に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、PVAに由来する所望のモノマーユニットである3HPVの比率が高いPHAが高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例17]
D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸0.1%と、PVA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表19に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、PVAに由来する所望のモノマーユニットである3HPVの比率が高いPHAを、高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例18]
D-マンノース 0.5%またはD-フルクトース 0.5%と、PVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。
D-マンノース系は 100時間、D-フルクトース系は 40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-マンノース 0.5%またはD-フルクトース 0.5%と、PVA0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表20に示す通り、D-マンノース及びD-フルクトースを増殖用炭素源として培養した場合においてもD-グルコースを用いた場合と同様に、PVAに由来する所望のモノマーユニットである3HPVの比率が高いPHAを、高収率で得ることが可能であった。
Figure 2005097633
[実施例19]
D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにP161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PVA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で24時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表21に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、PVAに由来する所望のモノマーユニットである3HPVの比率が高いPHAを、高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例20]
D-グルコース 0.5%またはn-ノナン酸 0.1%と、FPVA 0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、FPVA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表22に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、FPVAに由来する所望のモノマーユニットである3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸の比率が高いPHAを、高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例21]
D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PHxA 0.1%とを含むM9培地 200mLにP161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PHxA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表23に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、PHxAに由来する所望のモノマーユニットである3-ヒドロキシ-6-フェニルヘキサン酸の比率が高いPHAを、高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例22]
D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PxBA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表24に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、PxBAに由来する所望のモノマーユニットである3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸の比率が高いPHAを、高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例23]
D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PxBA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表25に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、PxBAに由来する所望のモノマーユニットである3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸の比率が高いPHAを、高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例24]
D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにP161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%と、PxBA 0.1%とを含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表26に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、PxBAに由来する所望のモノマーユニットである3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸の比率が高いPHAを、高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例25]
D-グルコース 0.5%または n-ノナン酸 0.1%とCHBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。40時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得た。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 28時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルタで濾過した後、ロータリーエバポレータで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、情報に従ってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー質慮分析装置(CG-MS、商品名:QP-5050;島津製作所製、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。その結果、表27に示す通り、D-グルコースを増殖用炭素源として培養した場合の方が、CHBAに由来する所望のモノマーユニットである3HCHBの比率が高いPHAが高収率で得られた。
Figure 2005097633
[実施例26]
(YN2株によるポリ 3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸の生産)
ノナン酸(以下NAと記載する)0.1%を含むM9寒天培地上のYN2株のコロニーを、<1>酵母エキス(DIFCO社、以下YEと記載する)0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<2>ビーフエキス(DIFCO社、以下BEと記載する)0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<3>カザミノ酸(DIFCO社、以下CAと記載する)0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<4>ポリペプトン(和光純薬工業、以下PPと記載する)0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地(各 200mL)にそれぞれ植菌し、30℃で培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって収穫し、メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを秤量した後、100mLのクロロホルムに懸濁し、55℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を 0.45μmのフィルターでろ過した後、エバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、ポリマーを得た。このポリマーを室温で減圧乾燥し、秤量した。収率を表28に示す。
Figure 2005097633
CDW:乾燥菌体重量(mg/L)PDW:乾燥ポリマー重量(mg/L)収率:PDW/CDW(%)
得られたPHAの組成は以下のようにして分析した。すなわち、約 10mgのPHAを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mLに溶解させ、3%硫酸を含むメタノール溶液2mLを加えて、100℃で還流しながら 3.5時間反応させた。反応終了後、脱イオン水 10mLを加えて激しく 10分間振盪した後に、2層に分離した下層のクロロホルム層を取り出し、硫酸マグネシウムで脱水したのち、このクロロホルム層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAX(J&W社、0.32mm×30m)、EI法)にかけて、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、PHAモノマーユニットとしては、96%が3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸であり、4%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであった。
本結果より、本発明の一方法により、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸ユニットを非常に高い割合で含むPHAが高収率で得られることがわかる。
[実施例27]
(YN2株によるポリ 3-ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸の生産)
NAを 0.1%を含むM9寒天培地上のYN2株のコロニーを、<1>YEを 0.5%、4-シクロヘキシル酪酸を 0.1%を含むM9液体培地、<2>PPを 0.5%、4-シクロヘキシル酪酸 0.1%を含むM9液体培地(各 200mL)にそれぞれ植菌し、30℃で培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって収穫し、メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを秤量した後、100mLのクロロホルムに懸濁し、55℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を 0.45μmのフィルターでろ過した後、エバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、ポリマーを得た。このポリマーを室温で減圧乾燥し、秤量した。収率を表29に示す。
Figure 2005097633
CDW:乾燥菌体重量(mg/L)PDW:乾燥ポリマー重量(mg/L)収率:PDW/CDW(%)
得られたPHAの組成を実施例26と同様の方法で分析した結果、PHAモノマーユニットとしては、97%が3-ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸であり、3%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであった。
本結果より、本発明の一方法により、3-ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸ユニットを非常に高い割合で含むPHAが高収率で得られることがわかる。
[実施例28]
(YN2株によるポリ 3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸の生産)
NAを 0.1%を含むM9寒天培地上のYN2株のコロニーを、<1>YEを 0.5%、5-フェノキシ吉草酸を 0.1%を含むM9液体培地、<2>PPを 0.5%、5-フェノキシ吉草酸 0.1%を含むM9液体培地(各 200mL)にそれぞれ植菌し、30℃で培養した。26時間後、菌体を遠心分離によって収穫し、メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを秤量した後、100mLのクロロホルムに懸濁し、55℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を 0.45μmのフィルターでろ過した後、エバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、ポリマーを得た。このポリマーを室温で減圧乾燥し、秤量した。収率を表30に示す。
Figure 2005097633
CDW:乾燥菌体重量(mg/L)PDW:乾燥ポリマー重量(mg/L)収率:PDW/CDW(%)
得られたPHAの組成を実施例26と同様の方法で分析した結果、PHAモノマーユニットとしては、95%が3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸であり、5%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであった。
本結果より、本発明の一方法により、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸ユニットを非常に高い割合で含むPHAが高収率で得られることがわかる。
[実施例29](H45株によるポリ 3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸の生産)
NAを 0.1%含むM9寒天培地上のH45株のコロニーを、<1>YEを 0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<2>グルタミン酸ナトリウム(キシダ化学、以下SGと記載する)0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<3>CAを 0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<4>PPを 0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地(各 200mL)にそれぞれ植菌し、30℃で培養した。28時間後、菌体を遠心分離によって収穫し、メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを秤量した後、100mLのクロロホルムに懸濁し、55℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を 0.45μmのフィルターでろ過した後、エバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、ポリマーを得た。このポリマーを室温で減圧乾燥し、秤量した。収率を表31に示す。
Figure 2005097633
CDW:乾燥菌体重量(mg/L)PDW:乾燥ポリマー重量(mg/L)収率:PDW/CDW(%)
得られたPHAの組成を実施例26と同様の方法で分析した結果、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸のほぼホモポリマーであった。
本結果より、本発明の一方法により、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸ユニットを非常に高い割合で含むPHAが高収率で得られることがわかる。
[実施例30](P161株によるポリ 3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸の生産)
NAを 0.1%含むM9寒天培地上のP161株のコロニーを、<1>YEを 0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<2>SGを 0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<3>BEを 0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地、<4>PPを 0.5%、5-フェニル吉草酸 0.1%を含むM9液体培地(各 200mL)にそれぞれ植菌し、30℃で培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって収穫し、メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを秤量した後、100mLのクロロホルムに懸濁し、55℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を 0.45μmのフィルターでろ過した後、エバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、ポリマーを得た。このポリマーを室温で減圧乾燥し、秤量した。収率を表32に示す。
Figure 2005097633
CDW:乾燥菌体重量(mg/L)PDW:乾燥ポリマー重量(mg/L)収率:PDW/CDW(%)
得られたPHAの組成を実施例1と同様の方法で分析した結果、97%が3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸ユニットであり、3%が3-ヒドロキシ酪酸ユニットであった。
本結果より、本発明の一方法により、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸ユニットを非常に高い割合で含むPHAが高収率で得られることがわかる。
[実施例31]
D-グルコース 0.5%、NO2PxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、あらかじめD-グルコース 0.5%を含むM9培地 10mLにシュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で 72時間振盪培養した2mLを加え、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、D-グルコース 0.5%、NO2PxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、以下の条件でNMR分析を行なった。
<測定機器>FT-NMR:Bruker DPX400共鳴周波数:1H=400MHz <測定条件>測定核種:1H測定溶媒:CDCl3

reference:キャピラリー封入TMS/CDCl3

測定温度:室温 1H-NMRスペクトルを図14に、その帰属結果を表33に、PHAに含まれる3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸のモノマーユニットの割合を表34にそれぞれ示す。表33に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含む、化学式(45)で表されるPHAであることが確認された。
Figure 2005097633






(45)
Figure 2005097633
Figure 2005097633
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表34に示した。
また、このPHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶媒;(クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=81900、Mw=226200 であった。
[実施例32]
D-グルコース 0.5%、NO2PxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。45時間後、菌体を遠心分離により回収し、D-グルコース 0.5%、NO2PxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、実施例31で示した条件でNMR分析を行なった。その結果、表35に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むPHAであることが確認された。
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表35に示した。
Figure 2005097633
[実施例33]
ポリペプトン 0.5%、NO2PxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。21時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、NO2PxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、実施例31で示した条件でNMR分析を行なった。その結果、表36に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むPHAであることが確認された。
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表36に示した。
Figure 2005097633
[実施例34]
D-グルコース 0.5%、CNPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、あらかじめD-グルコース 0.5%を含むM9培地 10mLにシュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で 72時間振盪培養した2mLを加え、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、D-グルコース 0.5%、CNPxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、以下の条件でNMR分析を行なった。
<測定機器>FT-NMR:Bruker DPX400共鳴周波数:1H=400MHz <測定条件>測定核種:1H測定溶媒:CDCl3

reference:キャピラリー封入TMS/CDCl3

測定温度:室温 1H-NMRスペクトルを図15に、その帰属結果を表37に、PHAに含まれる3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸のモノマーユニットの割合を表38にそれぞれ示す。表37に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含む、化学式(46)で表されるPHAであることが確認された。
Figure 2005097633





(46)
Figure 2005097633
Figure 2005097633
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表38に示した。
また、このPHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶媒;(クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=58200、Mw=108100 であった。
[実施例35]
D-グルコース 0.5%、CNPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、あらかじめD-グルコース 0.5%を含むM9培地 10mLにシュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で 72時間振盪培養した2mLを加え、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、D-グルコース 0.5%、CNPxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、実施例34で示した条件でNMR分析を行なった。その結果、表39に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むPHAであることが確認された。
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表39に示した。
Figure 2005097633
[実施例36]
D-グルコース 0.5%、CNPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、D-グルコース 0.5%、CNPxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、実施例34で示した条件でNMR分析を行なった。その結果、表40に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むPHAであることが確認された。
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表40に示した。
Figure 2005097633
[実施例37]
D-グルコース 0.5%、CNPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、D-グルコース 0.5%、CNPxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、実施例34で示した条件でNMR分析を行なった。その結果、表41に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むPHAであることが確認された。
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表41に示した。
Figure 2005097633
[実施例38]
ポリペプトン 0.5%、CNPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。23時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、CNPxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、実施例34で示した条件でNMR分析を行なった。その結果、表42に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むPHAであることが確認された。
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表42に示した。
Figure 2005097633
[実施例39]
ポリペプトン 0.5%、CNPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。23時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、CNPxBA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈澱させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、実施例34で示した条件でNMR分析を行なった。その結果、表43に示す通り、当該PHAは3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むPHAであることが確認された。
更に、得られたPHAは、常法にしたがってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ない、3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸以外のモノマーユニットの同定を行なった。
その結果を表43に示した。
Figure 2005097633
[実施例40]4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸の合成 新規化合物である4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸を下記する合成法で調製した。
四つ口の丸底フラスコに、240mLの脱水アセトンを入れ、炭酸カリウム 15.2g
(0.11mol)を加え、窒素雰囲気下で攪拌した。この溶液にヨウ化ナトリウム 9.0g(0.06mol)、4-フルオロフェノール 7.9g(0.07mol)を加えて、室温、窒素雰囲気下で十分に攪拌した。次いで、4-ブロモ酪酸エチル 11.7g(0.06mol)を添加し、65℃、24時間加熱還流した。
前記の反応終了後、溶媒アセトンをロータリーエバポレーターにより留去し、残渣をクロロホルムに再溶解した。水を加えて分液し、有機層を分取した。この有機層を無水硫酸マグネシウムにて脱水した後、クロロホルムをロータリーエバポレーターにより留去した。さらに、真空ポンプにより乾燥し、粗製の4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸エチル 14.0g(ガスクロマトグラフィー-質量分析装置:GC-MS 島津QP-5050、EI法によるGC-MSピーク比純度 65.2%)を得た。得られた粗製の4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸エチルは、精製を加えず、次のエステル加水分解反応に用いた。
得られた粗製物4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸エチルをエタノール-水(1:9(V/V))混合液 300mLに溶解し、およそ 10倍モル当量の水酸化カリウムを加えて、氷冷下(0〜4℃で)4時間反応させた。この反応液を 0.1mol/L塩酸水溶液3L中に注ぎ入れ、沈澱化した。沈澱を濾過・分離し、真空ポンプにより乾燥し、粗製の4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸を得た。
得られた粗製の4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸(沈澱物)を、少量の熱メタノールに溶解し、徐々に冷却して再結晶した。濾別した再結晶物を真空ポンプにより乾燥し、目的化合物である4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸を得た。この一連の工程において、原料の4-ブロモ酪酸エチルを基準として、得られた4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸の全収率は 52.7%であった。
得られた化合物が、目的の4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸であることを検証するため、以下の測定機器、測定条件でNMR分析を行い構造の同定を行った。
<測定機器> FT-NMR:Bruker DPX400 <測定条件> 共鳴周波数 :1H 400MHz

13C 100MHz 測定核種 :1H、 13C 使用溶媒 :CDCl3 reference :キャピラリ封入TMS/CDCl3 測定温度 :室温 測定された1H-NMRスペクトルチャート、13C-NMRスペクトルチャートをそれぞれ図16、図17に示す。表44、表45に、図16、図17に示すNMRスペクトルの各信号の解析結果(帰属)を示す。この解析結果(帰属)により、得られた化合物は、目的の4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸であることが確認された。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
[実施例41]
予めシュードモナス チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP-7375)は、D-グルコース 0.5%を含むM9培地 10mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で 72時間振盪培養した。この菌培養液2mLを、D-グルコース 0.5%と pFPxBA 0.1%とを含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)200mLに加え、引き続き 125ストローク/分で振盪培養した。45時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%と pFPxBA 0.1%を含むM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。46時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。図18に、測定されたGC-MSスペクトルデータを示す。図18の上は、GCスペクトル、下は、前記GCスペクトル上の主ピークに対するMSスペクトルである。この結果から、得られたPHAは、3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸(3HpFPxB)をモノマーユニット主成分として含み、それ以外に、6種のモノマーユニットを少量含み、下記の化学式(47)で表記可能なPHAであることが判る。
Figure 2005097633





(47)
また、このPHAの分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
表46に、同定結果、平均分子量、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸(3HpFPxB)をモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。なお、抽出されたPHAは、3HpFPxBユニットを主成分とするが、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上をモノマーユニットとして含む混合物であると考えられる。評価された平均分子量は、数平均分子量はMn=42400、一方、重量平均分子量はMw=90600であった。
Figure 2005097633
また、このPHAについて、実施例40に記載したと同じ測定装置と同様の測定条件でNMR分析を行った。測定された1H-NMRスペクトルチャートを図19に示す。表47に、図19に示すNMRスペクトルの主要ピーク各信号の解析結果(帰属)を示す。この解析結果(帰属)によって、得られたPHAは、3HpFPxBユニットを主成分とすることが確認された。
Figure 2005097633
[実施例42]
予めシュードモナス チコリアイ H45株(Pseudomonas cichorii H45;FERM BP-7374)を、D-グルコース 0.5%を含むM9培地 10mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で 72時間振盪培養した。この菌培養液2mLを、D-グルコース 0.5%と pFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに加え、引き続き30℃、125ストローク/分で振盪培養した。45時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%と pFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。46時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表48に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HpFPxBをモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。なお、抽出されたPHAは、3HpFPxBユニットを主要な成分とするが、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上をモノマーユニットとして含む混合物であると考えられる。
Figure 2005097633
[実施例43]
シュードモナス チコリアイ YN2株を、D-グルコース 0.5%とpFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。96時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%と pFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表49に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HpFPxBを主なモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。
Figure 2005097633
[実施例44]
シュードモナス チコリアイ H45株を、D-グルコース 0.5%とpFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。96時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%と pFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表50に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HpFPxBを主なモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。
Figure 2005097633
[実施例45]
シュードモナス チコリアイ YN2株を、ポリペプトン 0.5%とpFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%と pFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表51に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HpFPxBを主要なモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。
Figure 2005097633
[実施例46]
シュードモナス チコリアイ H45株を、ポリペプトン 0.5%と pFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%と pFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表52に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HpFPxBを主要なモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。
Figure 2005097633
[実施例47]4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸の合成 新規化合物である4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸を下記する合成法で調製した。
四つ口の丸底フラスコに、240mLの脱水アセトンを入れ、炭酸カリウム 15.2g
(0.11mol)を加え、窒素雰囲気下で攪拌した。この溶液にヨウ化ナトリウム 9.0g(0.06mol)、3-フルオロフェノール 7.9g(0.07mol)を加えて、室温、窒素雰囲気下で十分に攪拌した。次いで、4-ブロモ酪酸エチル 11.7g(0.06mol)を添加し、65℃、24時間加熱還流した。
前記の反応終了後、溶媒アセトンをロータリーエバポレーターにより留去し、残渣をクロロホルムに再溶解した。水を加えて分液し、有機層を分取した。この有機層を無水硫酸マグネシウムにて脱水した後、クロロホルムをロータリーエバポレーターにより留去した。さらに、真空ポンプにより乾燥し、粗製の4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸エチル 14g(ガスクロマトグラフィー-質量分析装置:GC-MS 島津QP-5050、EI法によるGC-MSピーク比純度 87.9%)を得た。
得られた粗製の4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸エチルは、精製を加えず、次のエステル加水分解反応に用いた。
得られたエステル粗製物 3.0gをエタノール-水(1:9(V/V))混合液 100mLに溶解し、およそ 10倍モル当量の水酸化カリウムを加えて、室温で4時間反応させた。この反応液を 0.1mol/L塩酸水溶液約 200mL中に注ぎ入れ、沈澱化した。沈澱を濾過・分離し、真空ポンプにより乾燥し、粗製の4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸を得た。
得られた粗製の4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸(沈澱物)を、少量の熱メタノールに溶解し、徐々に冷却して再結晶した。濾別した再結晶物を真空ポンプにより乾燥し、目的化合物である4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸を得た。
エステル粗製物 3.0gから得られた4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸の収量は、2.4gであった。従って、原料の4-ブロモ酪酸エチルを基準とした、全工程の収率は、93.2%となった。
得られた化合物が、目的の4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸であることを検証するため、以下の測定機器、測定条件でNMR分析を行い構造の同定を行った。
<測定機器> FT-NMR:Bruker DPX400 <測定条件> 共鳴周波数 :1H 400MHz

13C 100MHz 測定核種 :1H、 13C 使用溶媒 :CDCl3 reference :キャピラリ封入TMS/CDCl3 測定温度 :室温 測定された1H-NMRスペクトルチャート、13C-NMRスペクトルチャートをそれぞれ図20、図21に示す。表53、表54に、図20、図21に示すNMRスペクトルの各信号の解析結果(帰属)を示す。この解析結果(帰属)により、得られた化合物は、目的の4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸であることが確認された。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
[実施例48]
予めシュードモナス チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP-7375)は、D-グルコース 0.5%を含むM9培地 10mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で72時間振盪培養した。この菌培養液2mLを、D-グルコース 0.5%とmFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに加え、引き続き125ストローク/分で振盪培養した。45時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%とmFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。図22に、測定されたGC-MSスペクトルデータを示す。図22の上は、GCスペクトル、下は、前記GCスペクトル上の主ピークに対するMSスペクトルである。この結果から、得られたPHAは、3-ヒドロキシ-4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸(3HmFPxB)をモノマーユニット主成分として含み、それ以外に、6種のモノマーユニットを少量含み、下記の化学式(48)で表記可能なPHAであることが判る。
Figure 2005097633





(48)
また、このPHAの分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
表55に、同定結果、平均分子量、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3-ヒドロキシ-4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸(3HmFPxB)をモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。なお、抽出されたPHAは、3HmFPxBユニットを主成分とするが、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上をモノマーユニットとして含む混合物であると考えられる。評価された平均分子量は、数平均分子量はMn=34500、一方、重量平均分子量はMw=75200であった。
Figure 2005097633
また、このPHAについて、実施例47に記載したと同じ測定装置と同様の測定条件でNMR分析を行った。測定された1H-NMRスペクトルチャートを図23に示す。表56に、図23に示すNMRスペクトルの主要ピーク各信号の解析結果(帰属)を示す。この解析結果(帰属)によって、得られたPHAは、3HmFPxBユニットを主成分とすることが確認された。
Figure 2005097633
[実施例49]
予めシュードモナス チコリアイ H45株(Pseudomonas cichorii H45;FERM BP-7374)を、D-グルコース 0.5%を含むM9培地 10mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で 72時間振盪培養した。この菌培養液2mLを、D-グルコース 0.5%とmFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに加え、引き続き30℃、125ストローク/分で振盪培養した。45時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%とmFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表57に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HmFPxBをモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。なお、抽出されたPHAは、3HmFPxBユニットを主要な成分とするが、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸のうち1種以上をモノマーユニットとして含む混合物であると考えられる。
Figure 2005097633
[実施例50]
シュードモナス チコリアイ H45株を、D-グルコース 0.5%とmFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。96時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%とmFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表58に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HmFPxBを主要なモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。
Figure 2005097633
[実施例51]
シュードモナス チコリアイ YN2株を、ポリペプトン 0.5%とmFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%とmFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表59に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HmFPxBを主要なモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。
Figure 2005097633
[実施例52]
シュードモナス チコリアイ H45株を、ポリペプトン 0.5%とmFPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%とmFPxBA 0.1%を含むM9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)
200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表60に、同定結果、ならびに凍結乾燥ペレット、回収ポリマーの収量、収率を示す。得られたPHAは、3HmFPxBを主要なモノマーユニットとして含むPHAであることが判る。
Figure 2005097633
[実施例53]
<YN2株によるPHFPxVコポリマーの生産(ポリペプトン一段階培養)> ポリペプトン(和光純薬工業製)
0.5%と、5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸
(FPxVA)
0.1%を含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。27時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、分子量、及びモノマーユニットの分析結果を表Aに示す。なお、モノマーユニットの割合はGC-MSトータルイオンクロマト(TIC)のエリア比から計算した。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル及び3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図24及び図25に示す。
この結果から、YN2株により、5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例54]
<YN2株によるPHFPVコポリマーの生産(ポリペプトン一段階培養)> ポリペプトン(和光純薬工業製)
0.5%と、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)
0.1%を含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。27時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、分子量、及びモノマーユニットの分析結果を表62に示す。なお、モノマーユニットの割合はGC-MSトータルイオンクロマト(TIC)のエリア比から計算した。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル及び3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図26及び図27に示す。
この結果から、YN2株により、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例55]
<YN2株によるPHFPxVコポリマーの生産(グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxVA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、グルコース 0.5%、FPxVA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。62時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表63に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、及び3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図28〜図30に示す。
この結果から、YN2株により、5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例56]
<YN2株によるPHFPVコポリマーの生産(グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、グルコース 0.5%、FPxVA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。62時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表64に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、及び3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図31〜図33に示す。
この結果から、YN2株により、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例57]
<YN2株によるPH(FPV/FPxV)コポリマーの生産 (グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)
0.1%とを含むM9培地及びグルコース 0.5%、5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxVA)
0.1%とを含むM9培地をそれぞれ 200mL用意し、YN2株をそれぞれに植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。94時間後、菌体を遠心分離によって回収し、2本分の菌体全てを、グルコース 0.5%、FPxVA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表65に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図34〜図37に示す。
この結果から、YN2株により、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸及び5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)ユニット及び3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例58]
<YN2株によるPH(PxN/PxHp/PxV)ユニットを含むポリマーの生産 (ポリペプトン一段階培養)> ポリペプトン(和光純薬工業製)
0.5%、11-フェノキシウンデカン酸(PxUDA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのアセトンに懸濁し、室温(23℃)で 72時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表66に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステル、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸
(3HPxHp)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図38〜図43に示す。
この結果から、YN2株により、11-フェノキシウンデカン酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)の3つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例59]
<YN2株によるPH(PxN/PxHp/PxV)ユニットを含むポリマーの生産 (グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、11-フェノキシウンデカン酸(PxUDA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。
64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、グルコース 0.5%、PxUDA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表67に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステル、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図44〜図52に示す。
この結果から、YN2株により、11-フェノキシウンデカン酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)の3つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例60]
<H45株によるPH(PxN/PxHp/PxV)ユニットを含むポリマーの生産 (グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、11-フェノキシウンデカン酸(PxUDA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、グルコース 0.5%、PxUDA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表68に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステル、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図53〜図61に示す。
この結果から、H45株により、11-フェノキシウンデカン酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)の3つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例61]
<YN2株によるPH(PxO/PxHx/PxB)ユニットを含むポリマーの生産 (ポリペプトン一段階培養)> ポリペプトン(和光純薬工業製)
0.5%、8-フェノキシオクタン酸(PxOA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表69に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステル、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図62〜図65に示す。
この結果から、YN2株により、8-フェノキシオクタン酸を基質として3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)の3つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例62]
<H45株によるPH(PxO/PxHx/PxB)ユニットを含むポリマーの生産 (ポリペプトン一段階培養)> ポリペプトン(和光純薬工業製)
0.5%、8-フェノキシオクタン酸(PxOA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表70に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステル、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図66〜図69に示す。
この結果から、H45株により、8-フェノキシオクタン酸を基質として3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)の3つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例63]
<YN2株によるPH(PxO/PxHx/PxB)ユニットを含むポリマーの生産 (グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、8-フェノキシオクタン酸(PxOA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、グルコース 0.5%、PxOA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表71に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステル、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図70〜図75に示す。
この結果から、YN2株により、8-フェノキシオクタン酸を基質として3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)の3つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例64]
<H45株によるPH(PxO/PxHx/PxB)ユニットを含むポリマーの生産 (グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、8-フェノキシオクタン酸(PxOA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、グルコース 0.5%、PxOA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表72に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステル、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図76〜図84に示す。
この結果から、H45株により、8-フェノキシオクタン酸を基質として3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)の3つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例65]
<YN2株によるPH(PxHp/PxV)ユニットを含むポリマーの生産 (ポリペプトン一段階培養)> ポリペプトン(和光純薬工業製)
0.5%、7-フェノキシヘプタン酸(PxHpA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表73に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図85〜図89に示す。
この結果から、YN2株により、7-フェノキシヘプタン酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)の2つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例66]
<H45株によるPH(PxHp/PxV)ユニットを含むポリマーの生産 (ポリペプトン一段階培養)> ポリペプトン(和光純薬工業製)
0.5%、7-フェノキシヘプタン酸(PxHpA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表74に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図90〜図92に示す。
この結果から、H45株により、7-フェノキシヘプタン酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)の2つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例67]
<YN2株によるPH(PxHp/PxV)ユニットを含むポリマーの生産 (グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、7-フェノキシヘプタン酸(PxHpA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、グルコース 0.5%、PxHpA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表75に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図93〜図100に示す。
この結果から、YN2株により、7-フェノキシヘプタン酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)の2つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例68]
<H45株によるPH(PxHp/PxV)ユニットを含むポリマーの生産 (グルコース二段階培養)> グルコース 0.5%、7-フェノキシヘプタン酸(PxHpA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時間後、菌体を遠心分離によって回収し、グルコース 0.5%、PxHpA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表76に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステル、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステル及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図101〜図107に示す。
この結果から、H45株により、7-フェノキシヘプタン酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)の2つのユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例69]
<YN2株によるPHPxVユニットを含むポリマーの生産 (リンゴ酸ナトリウム二段階培養)> リンゴ酸ナトリウム 0.5%、5-フェノキシ吉草酸(PxVA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。60時間後、菌体を遠心分離によって回収し、リンゴ酸ナトリウム 0.5%、PxVA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表77に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステル及び3-ヒドロキシ-5-フェノキ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図108〜図114に示す。
この結果から、YN2株により、5-フェノキシ吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例70]
<H45株によるPHPxVユニットを含むポリマーの生産 (リンゴ酸ナトリウム二段階培養)> リンゴ酸ナトリウム 0.5%、5-フェノキシ吉草酸(PxVA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにH45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。60時間後、菌体を遠心分離によって回収し、リンゴ酸ナトリウム 0.5%、PxVA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表78に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステル、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステル及び3-ヒドロキシ-5-フェノキ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図115〜図120に示す。
この結果から、H45株により、5-フェノキシ吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例71]
<YN2株によるPHPVユニットを含むポリマーの生産 (フルクトース二段階培養)> フルクトース 0.5%、5-フェニル吉草酸(PVA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。120時間後、菌体を遠心分離によって回収し、フルクトース 0.5%、PxVA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。50時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表79に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル及び3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図121〜図123に示す。
この結果から、YN2株により、5-フェニル吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例72]
<YN2株によるPHPVユニットを含むポリマーの生産 (マンノース二段階培養)> マンノース 0.5%、5-フェニル吉草酸(PVA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。43時間後、菌体を遠心分離によって回収し、マンノース 0.5%、PxVA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。91時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表80に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル及び3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図124及び図125に示す。
この結果から、YN2株により、5-フェニル吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例73]
<YN2株によるPHPVユニットを含むポリマーの生産 (乳酸ナトリウム二段階培養)> 乳酸ナトリウム 0.5%、5-フェニル吉草酸(PVA)
0.1%とを含むM9培地 200mLにYN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。46時間後、菌体を遠心分離によって回収し、乳酸ナトリウム 0.5%、PxVA 0.1%を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。28時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥し、秤量した。
この凍結乾燥ペレットを 100mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 24時間攪拌してポリマーを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリマーを得、これを秤量した。
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー・HLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリー・PLgel・MIXED-C・5μm、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算分子量)により測定した。
得られたポリマーのユニット組成は以下のようにして分析した。即ち、ポリマーサンプル5mgを 25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mL及び硫酸を3%(v/v)含むメタノール2mLを加えて 100℃で 3.5時間還流し、更に水を加えて分液した後、有機層をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-5050、カラム:DB-WAXETR(J&W社製)、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。菌体及びポリマーの収率、モノマーユニットの分析結果を表81に示す。また、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステル、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステル、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステル及び3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)メチルエステルのマススペクトルをそれぞれ図126〜図129に示す。
この結果から、YN2株により、5-フェニル吉草酸を基質として3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)ユニットを含むPHAコポリマーを生産し得ることが示された。
Figure 2005097633
[実施例74]
<YN2株によるPHPxBユニットを含むポリマーの生産 (リンゴ酸二ナトリウム二段階培養)> リンゴ酸二ナトリウム・0.5水和物、L-グルタミン酸ナトリウム・1水和物、D(+)-グルコース、n-ノナン酸、または、ポリペプトン(日本製薬)
0.5%と、4-フェノキシ-n-酪酸(PxBA)
0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して真空乾燥した。
この乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、約60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、表82に示す通り、リンゴ酸二ナトリウムを増殖用炭素源として培養した場合に、4-フェノキシ-n-酪酸に由来する所望のモノマーユニットである3-ヒドロキシ-4-フェノキシ-n-酪酸(3HPxB)ユニットの比率が高いPHAを、高収率で得られた。更に、表83に、リンゴ酸二ナトリウムで培養した場合の菌体及びポリマーの収量、ポリマーの組成を示す。
Figure 2005097633
Figure 2005097633
[実施例75]
<YN2株によるPHPxBユニットを含むポリマーの生産 (リンゴ酸二ナトリウム二段階培養:大量培養)> 酵母エキス(オリエンタル酵母工業)
0.5%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で8時間、振盪培養して種菌とした。容量 10Lのジャーファーメンターに、リンゴ酸二ナトリウム・0.5水和物 0.5%と4-フェノキシ-n-酪酸 0.1%とを含むM9培地5Lを調製し、集菌を 50mL接種し、30℃、80回転/分、通気量 2.5L/分で通気攪拌培養した。39時間後、菌体を遠心分離によって回収した。
このペレットを約1.7%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液 120mLに懸濁し、約4℃で2時間振盪してPHAを抽出した。遠心分離によりPHAを回収し乾燥した結果、培地液量1L当たり 56mgのPHAが得られた。
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、4-フェノキシ-n-酪酸に由来する所望のモノマーユニットである3-ヒドロキシ-4-フェノキシ-n-酪酸ユニットの組成比(GC-MS,ピークエリア比)は 99.7%であった。
実施例1で合成した3HFPVの核磁気共鳴スペクトルの測定結果を示す図である。 実施例6で得られたPHAの1H核磁気共鳴スペクトルの測定結果を示す図である。 実施例6で得られたPHAの13C核磁気共鳴スペクトルの測定結果を示す図である。 実施例7で得られた5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸に関する核磁気共鳴スペクトルの測定結果を示す図である。 実施例8で得られたPHAを構成するモノマーユニットのメチルエステル化物についてのGC-MSのトータルイオンクロマトグラフィー(TIC)を示す図である。 (a)及び(b)は、実施例8で得られたPHAを構成するモノマーユニットのメチルエステル化物についてのTICにおけるピークのマススペクトルを示す図である。 (a)及び(b)は、実施例8で得られたPHAを構成するモノマーユニットのメチルエステル化物についてのTICにおけるピークのマススペクトルを示す図である。 実施例9で得られたPHAを構成するモノマーユニットのメチルエステル化物についてのTICを示す図である。 実施例10で得られたPHAを構成するモノマーユニットのメチルエステル化物についてのTICを示す図である。 実施例11で得られたPHAを構成するモノマーユニットのメチルエステル化物についてのTICを示す図である。 (a)は5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸のTIC(トータルイオンクロマトグラフィー)を、(b)はそのマススペクトルを示す図である。 実施例14で得られたPHAコポリマーのメチル化物の分析結果を示す図であり、(a)はPHAコポリマーのメチル化物のTIC(トータルイオンクロマトグラフィー)であり、(b)はTICにおける目的ユニットである3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸を含むピーク(36.5分付近)のマススペクトルである。 実施例15で得られたPHAコポリマーのメチル化物の分析結果を示す図であり、(a)はPHAコポリマーのメチル化物のTIC(トータルイオンクロマトグラフィー)であり、(b)はTICにおける目的ユニットである3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸を含むピーク(36.5分付近)のマススペクトルである。 実施例30で得られたPHAの1H-NMRスぺクトルを示す図である。 実施例34で得られたPHAの1H-NMRスぺクトルを示す図である。 4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸の1H-NMRスペクトルを示す図である。 4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸の13C-NMRスペクトルを示す図である。 実施例41において、YN2株の培養菌体から回収したPHAにつき、メタノリシス後に測定したGC-MSスペクトルデータを示す図である。 実施例41において、YN2株の培養菌体から回収したPHAの1H-NMRスペクトルを示す図である。 4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸の1H-NMRスペクトルを示す図である。 4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸の13C-NMRスペクトルを示す図である。 実施例47において、YN2株の培養菌体から回収したPHAにつき、メタノリシス後に測定したGC-MSスペクトルデータを示す図である。 実施例47において、YN2株の培養菌体から回収したPHAの1H-NMRスペクトルを示す図である。 実施例53において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例53において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例54において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例54において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例55において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例55において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例55において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例56において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例56において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例56において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例57において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例57において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例57において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例57において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例58において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例58において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例58において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例58において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例58において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例58において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例59において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例60において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸(3HPxN)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例61において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例61において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例61において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例61において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例62において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例62において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例62において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例62において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例63において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例63において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例63において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例63において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例63において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸(3HPxHx)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例63において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例64において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸(3HPxO)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例65において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例65において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例65において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例65において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例65において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例66において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例66において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例66において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例67において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例67において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例67において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例67において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例67において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステルメチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例67において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例67において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例67において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)エステルのマススペクトルを示す図である。 実施例68において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例68において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例68において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例68において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例68において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例68において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例68において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例69において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例69において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例69において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例69において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例69において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例69において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例69において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例70において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシヘキサン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例70において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例70において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例70において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例70において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシドデセン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例70において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェノキ吉草酸(3HPxV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例71において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例71において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例71において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例72において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例72において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例73において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ酪酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例73において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシオクタン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例73において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシデカン酸メチルエステルのマススペクトルを示す図である。 実施例73において、GC-MS測定より得られた、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)メチルエステルのマススペクトルを示す図である。

Claims (48)

  1. 下記式(8)で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸をモノマーユニットとして含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 2005097633
  2. 下記式(9)で表される3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸をモノマーユニットとして含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 2005097633
  3. 下記式(10)で表される3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 2005097633
  4. 下記式(11)で表される3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 2005097633
  5. 下記式(12)で表される3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 2005097633
  6. 下記式(13)で表される3-ヒドロキシ-4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸をモノマーユニットとして含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 2005097633
  7. 下記式(8)で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸と下記式(16)で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸をモノマーユニットとして含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 2005097633
  8. 数平均分子量が、1万〜20万である請求項1〜7のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートコポリマー。
  9. 下記式(21)で表される5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸。
    Figure 2005097633
  10. ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、アルカノエートと糖類とを含む培地で、該アルカノエートを利用して該ポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  11. アルカノエートが下記式(22)で表されるアルカノエートであり、ポリヒドロキシアルカノエートが下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートである請求項10に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
    (上記式中、Rは下記式(24)で表される基から選択される少なくとも1以上の基である)
    Figure 2005097633
    (上記式中、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
    Figure 2005097633
    (上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、tはそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
  12. 微生物の培養が、上記式(22)で表されるアルカノエートと糖類とを含む培地による1段階で行われることを特徴とする、請求項10に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  13. 微生物の培養が、上記式(22)で表されるアルカノエートと糖類とを含む培地による培養と、これに続く上記式(22)で表されるアルカノエートと糖類を含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われる請求項10に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  14. 微生物の培養が、糖類を含む培地で前培養した微生物をシードすることにより行われる請求項10に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  15. 該糖類がグルコース、フルクトース、マンノースからなる群から選択される少なくとも一つである請求項10に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  16. ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、アルカノエートとポリペプトンとを含む培地で、該アルカノエートを利用して該ポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  17. アルカノエートが下記式(22)で表されるアルカノエートであり、ポリヒドロキシアルカノエートが下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートである請求項16に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
    (上記式中、Rは下記式(24)で表される基から選択される少なくとも1以上の基である)
    Figure 2005097633
    (上記式中、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
    Figure 2005097633
    (上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、t はそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
  18. 微生物の培養が、上記式(22)で表されるアルカノエートとポリペプトンとを含む培地による1段階で行われることを特徴とする、請求項16に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  19. 微生物の培養が、上記式(22)で表されるアルカノエートとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く上記式(22)で表されるアルカノエートを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われる請求項16に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  20. ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、アルカノエートとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地で、該アルカノエートを利用して該ポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  21. アルカノエートが下記式(22)で表されるアルカノエートであり、ポリヒドロキシアルカノエートが下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートである請求項20に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
    (上記式中、Rは下記式(24)で表される基から選択される少なくとも1以上の基である)
    Figure 2005097633
    (上記式中、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
    Figure 2005097633
    (上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、t はそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
  22. 微生物の培養が、上記式(22)で表されるアルカノエートとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による1段階で行われることを特徴とする、請求項20に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  23. 微生物の培養が、上記式(22)で表されるアルカノエートとTCAサイクルに関与する有機酸とを含む培地による培養と、これに続く上記式(22)で表されるアルカノエートとTCAサイクルに関与する有機酸を含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われる請求項20に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  24. TCAサイクルに関与する有機酸が乳酸、ピルビン酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも一つである請求項20に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  25. 微生物の培養が、アルカノエートとポリペプトンとを含む培地による培養と、これに続く該アルカノエートとピルビン酸あるいはその塩とを含み、かつ窒素源を制限した培地による培養の少なくとも2段階で行われるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  26. アルカノエートが下記式(22)で表されるアルカノエートであり、ポリヒドロキシアルカノエートが下記式(23)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートである請求項25記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
    (上記式中、Rは下記式(24)で表される基から選択される少なくとも1以上の基である)
    Figure 2005097633
    (上記式中、R'は上記式(22)で選択された基、選択された基において t-2である基、選択された基において t-4である基、選択された基において t-6である基から選択される少なくとも1つ以上の基である。ここで、t-2、t-4、t-6は1以上の整数値のみを取り得る)
    Figure 2005097633
    (上記式中、R4は、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のシクロヘキシル基を表し、t はそれぞれ独立して1〜8の整数を表す)
  27. 微生物がシュードモナス属(Pseudomonas sp.)に属する微生物である請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  28. 微生物が、シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2、FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91、FERM BP-7373)、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)からなる群から選択された少なくとも1株である請求項27に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  29. 下記式(8)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(25)で表される5-(4-フルオロフェニル)吉草酸を含む培地で、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸を利用して3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  30. 下記式(9)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(21)で表される5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸を含む培地で、5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸を利用して3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  31. 下記式(10)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(26)で表される4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸を含む培地で、4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸を利用して3-ヒドロキシ-4-(4-ニトロフェノキシ)酪酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  32. 下記式(11)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(27)で表される4-(4-シアノフェノキシ)酪酸を含む培地で、4-(4-シアノフェノキシ)酪酸を利用して3-ヒドロキシ-4-(4-シアノフェノキシ)酪酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  33. 下記式(12)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(28)で表される4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸を含む培地で、4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸を利用して3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  34. 下記式(13)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(29)で表される4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸を含む培地で、4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸を利用して3-ヒドロキシ-4-(3-フルオロフェノキシ)酪酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  35. 下記式(30)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(31)で表される5-フェニル吉草酸を含む培地で、5-フェニル吉草酸を利用して3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  36. 下記式(32)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(33)で表される6-フェニルヘキサン酸を含む培地で、6-フェニルヘキサン酸を利用して3-ヒドロキシ-6-フェニルヘキサン酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  37. 下記式(14)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(34)で表される4-フェノキシ酪酸を含む培地で、4-フェノキシ酪酸を利用して3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  38. 下記式(15)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(35)で表される5-フェノキシ吉草酸を含む培地で、5-フェノキシ吉草酸を利用して3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  39. 下記式(16)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(36)で表される5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸を含む培地で、5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸を利用して3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  40. 下記式(37)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(38)で表される4-シクロヘキシル酪酸を含む培地で、4-シクロヘキシル酪酸を利用して3-ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
  41. 下記式(8)及び下記式(16)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(25)で表される5-(4-フルオロフェニル)吉草酸及び下記式(36)で表される5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸を含む培地で、5-(4-フルオロフェニル)吉草酸及び5-
    (4-フルオロフェノキシ)吉草酸を利用して3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸及び3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法
    Figure 2005097633
    Figure 2005097633
  42. 下記式(15)及び下記式(17)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(39)で表される7-フェノキシヘプタン酸を含む培地で、7-フェノキシヘプタン酸を利用して3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸及び3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
    Figure 2005097633
  43. 下記式(14)、下記式(18)及び下記式(19)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(40)で表される8-フェノキシオクタン酸を含む培地で、8-フェノキシオクタン酸を利用して3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸、3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸及び3-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
    Figure 2005097633
    Figure 2005097633
  44. 下記式(15)、下記式(17)及び下記式(20)で表されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって、下記式(41)で表される11-フェノキシウンデカン酸を含む培地で、11-フェノキシウンデカン酸を利用して3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸及び3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する微生物を培養する工程を有することを特徴とする請求項10、16、20、25のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 2005097633
    Figure 2005097633
    Figure 2005097633
  45. シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)
  46. シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2、FERM BP-7375)
  47. シュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putidaP91、FERM BP-7373)
  48. シュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)
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