JP3448267B2 - 改修屋根用の下地構造 - Google Patents

改修屋根用の下地構造

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JP3448267B2 JP2000253854A JP2000253854A JP3448267B2 JP 3448267 B2 JP3448267 B2 JP 3448267B2 JP 2000253854 A JP2000253854 A JP 2000253854A JP 2000253854 A JP2000253854 A JP 2000253854A JP 3448267 B2 JP3448267 B2 JP 3448267B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、老朽化した既存
のスレート屋根の外面に、金属板製の屋根材を付加設置
る屋根改修工法に用いられる改修屋根用の下地構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】この種の屋根改修構造は、実公平7−5
6423号公報や特許第2907422号公報に見るこ
とができる。前者は、スレート屋根の外面に被せ付けた
折版屋根材を、スレート屋根用の下地枠にビス止め固定
する。ビスは、折版屋根材とスレート屋根を同時に貫通
する状態で、先の下地枠にねじ込まれる。
【0003】後者公報の屋根改修構造は、スレート屋根
を締結するためのフックボルトを利用してクランプ金具
を屋根上面に固定し、このクランプ金具に折版屋根をセ
ルフドリリングねじで固定している。クランプ金具は、
底辺部の中央が分断された断面三角形状のプレス金具か
らなり、分断部の中央にフックボルトと係合する係止穴
を有し、その前後に連続して外拡がり状のガイド溝が形
成してある。先の分断部が、フックボルトに止め付けた
座金と屋根表面との間に潜り込む状態で、クランプ金具
をフックボルトに向かって打ち込むことにより、係止穴
をフックボルトに係合させ、スレート屋根上にクランプ
金具を固定している。構造は幾分異なるが、同様のクラ
ンプ金具は実開昭63−96127号公報においても見
ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】折版屋根材をスレート
屋根と共にビスで締結する改修法では、スレート屋根を
貫通する際の加工屑が屋内に散逸するのを避けられな
い。この点、クランプ金具を座金と屋根表面との間に打
ち込んで固定する場合には、施工に伴う加工屑の屋内へ
の散逸を解消できる。しかし、クランプ金具を座金と屋
根表面との間に無理に打ち込み固定するので、クランプ
金具の取り付け時に、既に老朽化しているスレート屋根
を破損するおそれがある。スレート屋根の破損を避ける
ためには、クランプ金具の打ち込みを慎重に行わねばな
らず、その分だけ施工に多くの手間が掛かってしまう。
【0005】クランプ金具は、スレート屋根と接する分
断部に設けた係止穴が、金具の弾性力によってフックボ
ルトと係合することで装着状態を維持しているに過ぎな
い。そのため、積雪等によって折版屋根に軒棟方向の大
きな外力が作用するとき、分断壁が徐々に拡開変形し
て、クランプ金具がフックボルトから抜け落ちることが
ある。最悪の場合には付加設置した折版屋根の全体が崩
落するおそれもある。
【0006】この発明の目的は、老朽化したスレート屋
根を傷めることがないのはもちろんのこと、新設屋根を
簡単にしかも迅速に構築でき、従来の改修工法に比べて
施工能率を向上できる改修屋根用の下地構造を提供する
ことにある。この発明の他の目的は、改修屋根用の改修
金具が、フックボルトの余剰ねじ部を利用して締結固定
してあり、従って、積雪等によって新設屋根に過大な外
力が作用する場合にも、改修金具がフックボルトから脱
落するのを確実に防止できる、堅牢でしかも信頼性に優
れた改修屋根を構築するための改修屋根用の下地構造を
提供することにある。この発明の他の目的は、新設屋根
をフックボルトに固定される改修金具に対して、2次下
地枠を介して間接的に取り付けることができ、従って、
新設される屋根材の断面形状や、山谷のピッチ寸法とは
無関係に、あらゆる屋根材を付加設置できる改修屋根用
の下地構造を提供することにある。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】 この発明の改修屋根用の
下地構造においては、既存のスレート屋根材1が、母屋
の下地枠2に掛止したフックボルト3と、フックボルト
3にねじ込まれるナット4とで締結固定されている。ス
レート屋根材1の外面に固定した改修金具10に、金属
屋根材12を取り付けて改修屋根を構築する。改修金具
10は、逆ハット形断面状の締結ベース15と、締結ベ
ース15の上面に差し込み係合される座板14とで構成
する。締結ベース15は、その底壁16に通設した挿通
穴20を、フックボルト3の余剰ねじ部3aに挿通し
て、余剰ねじ部3aにねじ込まれる雌ねじ体27で締結
固定する。締結ベース15に組み付けた座板14に、金
属屋根材12を取り付ける。
【0011】金属屋根材12は、2次下地枠11を設け
ておき、2次下地枠11を介して座板14に固定する。
【0012】上記の締結ベース15は、底壁16と、底
壁16の両側から上方へ立ち上がる一対の側壁17と、
側壁17から横向きに張り出される受壁18とで逆ハッ
ト形断面状に形成する。座板14は、締結ベース15の
上面を覆う主壁23と、主壁23の両側下面側に折り曲
げられて、前記受壁18と係合する一対の掛止片24
と、主壁23の後縁下面側に折り曲げられるストッパー
片25とで構成する。組み付け状態において上下に対向
する、受壁18の上面と主壁23のいずれか一方に、座
板14と締結ベース15のがたつきを防ぐ突起21を設
ける。
【0013】
【発明の作用効果】この発明では、既存のスレート屋根
材1を固定しているフックボルト3を利用して、その上
部の余剰ねじ部3aに改修金具10を雌ねじ体27で締
結固定したうえで、金属屋根材12を改修金具10に取
り付けるようにするので、スレート屋根材1に衝撃や強
い外力を与えることなく、屋根改修を行うことができ、
従ってスレート屋根材1を破損することなく改修屋根を
構築できる。改修金具10は、その締結部分を余剰ねじ
部3aに挿通した後、雌ねじ体27を例えば動力工具で
ねじ込むことによりフックボルト3に固定できるので、
従来の屋根改修工法に比べて、改修金具10の取り付け
作業を簡単にしかも迅速に行うことができ、従って、屋
根改修作業の能率を向上して改修コストを削減できる。
【0014】フックボルト3の余剰ねじ部3aを利用し
て、そこに改修金具10を締結固定するので、従来の改
修工法に比べて、改修金具10の取り付け強度を格段に
向上できる。これにより、例えば積雪によって新設した
屋根に過大な外力が作用するような場合にも、改修金具
10がフックボルト3から分離し脱落するのを確実に防
止でき、堅牢で信頼性に優れた改修屋根を得ることがで
きる。改修した屋根に強風が作用する場合に、改修金具
10ががた付くこともない。
【0015】フックボルト3に改修金具10を締結した
うえで、改修金具10に2次下地枠11を固定し、2次
下地枠11に金属屋根材12を固定する施工形態を採
る。従って、スレート屋根材1の断面形状とは無関係
に、任意断面形状の金属屋根材12を葺いて屋根改修を
行え、適用できる金属屋根材12に制約がなく、改修後
の屋根の仕上り状態を広範に選定できる点で有利であ
る。
【0016】フックボルト3に固定される締結ベース1
5と、金属屋根材12が取り付けられる座板14との二
部材で構成した改修金具10によれば、締結ベース15
に座板14を組み付けた状態において、互いに補強し合
うことができるので、1個の部品で改修金具10を構成
する場合に比べて、改修金具10の構造強度を増強でき
る。座板14によって広い取り付け面を確保できるの
で、金属屋根材12や2次下地枠11を安定した状態で
支持できるうえ、ボルト28・30で、金属屋根材12
や2次下地枠11を締結する際の、ボルト28・30の
ねじ込み位置を厳密に位置決めする必要がなく、その分
だけボルト28・30の締結作業を速やかに行える。
【0017】
【実施例】図1ないし図6に基づいて本発明の実施例を
説明する。図2において符号1は断面波形のスレート屋
根材、2はスレート屋根材1を支持する母屋の下地枠で
ある。スレート屋根材1は、下地枠2に掛止したフック
ボルト3と、フックボルト3にねじ込んだナット4と
で、下地枠2に締結固定されている。符号5はパッキ
ン、6は座金、7は天井を形成する木毛板である。
【0018】上記のスレート屋根の外面に新たな屋根を
構築するために、各フックボルト3に改修金具10を固
定し、改修金具10の上面に、2次下地枠11を固定す
る。この下地構造に屋根受材13を固定し、金属屋根材
12を取り付ける。
【0019】図4および図5において、改修金具10
は、フックボルト3に装着される締結ベース15と、締
結ベース15に差し込み係合される座板14とからな
る。締結ベース15は、断面逆ハット形のプレス成形品
からなり、底壁16と、底壁16の左右側縁から上方へ
立ち上がる一対の側壁17と、側壁17の上縁から外側
方へ張り出される受壁18とを一体に折り曲げ形成す
る。底壁16の左右中央には、ナット4を受け入れる内
凹み状の溝19を設け、その前後中央にフックボルト3
用の挿通穴20を通設する。図4に示すように、受壁1
8は水平壁と傾斜壁とで断面ヘ字状に形成し、水平壁の
上面前後2個所に部分球面状の突起21を突設する。突
起21の機能は後述する。
【0020】座板14は、締結ベース15の上面を覆う
四角形状の主壁23を有し、主壁23の左右側縁に、先
の受壁18と係合する断面V字状の掛止片24を折り曲
げ形成し、さらに主壁23の後縁下面側にストッパー片
25を折り曲げ形成したプレス成形品からなる。掛止片
24を受壁18に差し込み係合した状態において、主壁
23は図6に示すように突起21に乗り上がって、掛止
片24を受壁18の側縁下面に強圧させ、座板14が締
結ベース15に対してがた付くのを阻止できる。また、
ストッパー片25は図6に示すように、側壁17および
受壁18の後縁に接当して、座板14がそれ以上締結ベ
ース15の前縁側へスライド移動するのを阻止してい
る。
【0021】図3において、2次下地枠11は下向きに
開口する断面コ字形の形鋼からなり、その上面に折版材
からなる屋根受材13を固定し、屋根受材13の外面に
金属屋根材12を葺く。この実施例における金属屋根材
12は、山部と谷部を交互に形成した折版材である場合
を示しているが、その断面形状は如何様であってもよ
く、また金属板製の波板であってもよい。
【0022】次に屋根の改修手順を説明する。まず、ナ
ット4より上方に突出するフックボルト3の余剰ねじ部
3aに締結ベース15を組む。詳しくは、余剰ねじ部3
aを挿通穴20に通して、溝19をナット4に外嵌させ
る。この状態で、図1に示すように余剰ねじ部3aにナ
ット(雌ねじ体)27をねじ込んで、締結ベース15
を、その長手方向線がスレート屋根材1の軒棟線に沿う
状態でフックボルト3に締結固定する。次に、締結ベー
ス15の棟側端から座板14を受壁18に差し込み、図
6に示すように、ストッパー片25を締結ベース15の
棟側端に接当させる。
【0023】一群のフックボルト3に改修金具10を装
着した後、横方向に列を為す改修金具10に2次下地枠
11を被せ付けたうえで、その上面側から座板14へ向
かってセルフドリリングビス(ボルト)28をねじ込ん
で、図3に示すように2次下地枠11を改修金具10に
締結固定する。この後、2次下地枠11の上面に屋根受
材13を配置してセルフドリリングビス29で屋根受材
13を2次下地枠11に固定する。最後に、金属屋根材
12を葺き、その山部頂面の上方から2次下地枠11へ
向かってセルフドリリングビス30をねじ込んで、金属
屋根材12を2次下地枠11に締結固定する。
【0024】
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】改修後の屋根構造の断面図である。
【図2】改修屋根の断面図である。
【図3】改修屋根部品の分解斜視図である。
【図4】改修金具の分解斜視図である。
【図5】改修金具の縦断正面図である。
【図6】改修金具の縦断側面図である
【符号の説明】
1 スレート屋根 2 下地枠 3 フックボルト 10 改修金具 11 2次下地材 12 金属屋根材 14 座板 15 締結ベース 27 雌ねじ体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04D 3/00 E04D 3/36 E04G 23/02 E04G 23/03

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既存のスレート屋根材1が、母屋の下地
    枠2に掛止したフックボルト3と、フックボルト3にね
    じ込まれるナット4とで締結固定されており、 スレート屋根材1の外面に固定した改修金具10に、金
    属屋根材12を取り付けて構築してある改修屋根用の下
    地構造であって、 改修金具10が、締結ベース15と、座板14とを含
    み、 締結ベース15は、底壁16と、底壁16の左右側縁か
    ら上方へ立ち上がる一対の側壁17と、側壁17の上縁
    から外側方へ張り出される受壁18とを有する断面逆ハ
    ット形に形成され、底壁16に通設した挿通穴20が、
    フックボルト3の余剰ねじ部3aに挿通されて、余剰ね
    じ部3aにねじ込まれる雌ねじ体27でスレート屋根材
    1の外面に締結固定されており、 座板14は、締結ベース15の上面を覆う四角形状の主
    壁23と、主壁23の左右側縁に折り曲げ形成されて、
    前記受壁18に差し込み係合される一対の掛止片24と
    を含み、 締結ベース15に組み付けた座板14に、上面側から2
    次下地枠11を被せ付けて締結固定してあり、 2次下地枠11の上面に金属屋根材12が取り付けられ
    てい ることを特徴とする改修屋根用の下地構造。
  2. 【請求項2】 座板14が、主壁23の後縁下面側に折
    り曲げられて、前記側壁17および前記受壁18の後縁
    に接当するストッパー片25を備えている請求項1記載
    改修屋根用の下地構造。
  3. 【請求項3】 受壁18に掛止片24を差し込み係合し
    た組み付け状態において、上下に対向する受壁18の上
    面と、主壁23とのいずれか一方に、座板14と締結ベ
    ース15とのがたつきを防ぐ突起21が設けられている
    請求項1又は2記載の改修屋根用の下地構造。
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