JP2008274591A - 屋根補修用金具とこれを用いた屋根補修構造 - Google Patents

屋根補修用金具とこれを用いた屋根補修構造 Download PDF

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Abstract

【課題】既設の屋根材固定ボルトが錆びていても簡単な取付作業で確実に取付固定でき、取付強度を大幅に高めることができる屋根補修用金具と、この金具を用いた屋根補修構造を提供する。
【解決手段】ボルト挿通孔2eとネジ挿通孔2fを有する支持金具2と、開口3bとネジ孔3cを有し且つ開口3bの口縁から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片3dを形成した座金3と、複数本の座金引き上げ用ネジ5と、支持金具2の被係合部2cに上方から係合する係合部6bを有する補助金具6を具備した屋根補修用金具1とする。座金3の開口3bと支持金具2のボルト挿通孔2eに既設の屋根材固定ボルト7を挿通し、座金引き上げ用ネジ5で座金3を引き上げ、かしめ片3dをかしめて屋根材固定ボルト6を外側から押圧し、係合部6bで支持金具2の浮上を阻止して強固に取付けた屋根補修構造とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、老朽化が進んだ工場などの波形屋根材の上に新たな屋根材を張り付けるための屋根補修用金具と、この金具を用いた屋根補修構造に関する。
戦後、工場などの建物の屋根材として、安価で耐火性、耐水性、耐久性に優れる、石綿にセメントを混ぜ込んだ波形スレート板などが使用されてきたが、それらの老朽化に伴い雨漏りなどの補修を行う必要が生じてきた。既存の波形スレート板を張り替える補修は、工場の業務を停止して行う必要があるため、通常は、既存の波形スレート板をそのまま残して、その上に新たに波板や折版などの屋根材を張り付ける補修方法が採用されている。
周知のように、波形スレート板には人体に悪影響を及ぼすアスベストが含有されており、波形スレート板を切断したり孔を開けたりする必要がある補修方法は、粉塵が工場内に飛散、落下する恐れがあるので好ましくない。このような事情から、既設の波形スレート板の山部を覆う座面部と、該座面部の左右両端から下方へ延びる脚部を一体に備え、該座面部の左右中間部に段差を設けて高段座面部と下段座面部を形成すると共に、下段座面部に貫通孔を設けたクランプ金具を使用し、このクランプ金具を既設の波形スレート板にその山部を跨ぐように設置して、該山部から突出する既設のフックボルトの上端を下段座面部の貫通孔に挿入し、リング状で内周から複数の板バネの爪が中心方向へ突出する板バネナットをフックボルトに嵌め込んで爪の先端をフックボルトのネジ溝に係止させることにより、クランプ金具を波形スレート板に固定し、その高段座面部に屋根下地材を架設して金属製の屋根板を取付ける屋根補修工法が既に提案されている(特許文献1)。
また、波形スレート屋根を母屋に固定する既設のフックボルト上部の座金と波形スレート屋根との間に、スリットを有した板形状の割りピン金具を挿入し、C型綱を支持する連結金具を、上記割りピン金具と係合させることでフックボルトに固定する新設屋根取付け具も提案されている(特許文献2)。
特開2004−100239号公報 特開2005−48516号公報
しかしながら、上記特許文献1の屋根補修工法は、板バネナットをフックボルトに嵌め込んで爪の先端をフックボルトのネジ溝に係止させることにより、板バネナットでクランプ金具を押圧固定しているため、例えば、フックボルトが錆びてネジ山やネジ溝がつぶれかけているような場合には、板バネナットの爪をネジ溝に確実に係止させてクランプ金具を強固に固定することが難しい。そのため、新しい屋根板に風圧等が作用すると、クランプ金具がガタついたり、最悪の場合には、クランプ金具がフックボルトから外れて屋根板が捲れるという問題があった。
また、上記特許文献2の新設屋根取付け具は、既存のボルトに螺合されているナットを緩めたり締め付けたりする必要はないけれども、割りピンが、フックボルト上部の座金と波形スレート屋根との間に挿入するだけで取付けられており、C型綱を支持する連結金具が、該金具の脚部に形成された折り曲げ先端部分を割りピン金具の両端部に係合させるだけで取付けられているため、取付安定性に欠け、取付強度も十分とはいえないという問題があった。
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、フックボルト等の既設の屋根材固定ボルトが錆びていても簡単な取付作業で確実に取付固定でき、しかも、取付強度を大幅に向上させることができる屋根補修用金具と、この金具を用いた屋根補修構造を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る屋根補修用金具は、既設の波形屋根材の上に新たな屋根材を張り付けるための母屋材を支持する屋根補修用金具であって、(1)既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトを挿通するボルト挿通孔と座金引き上げ用ネジを挿通する複数のネジ挿通孔が形成された母屋材支持板と、この母屋材支持板の両側端から下方へ折り曲げられて形成された一対の脚板とからなる支持金具と、(2)屋根材固定ボルトを挿通する開口と座金引き上げ用ネジをねじ込む複数のネジ孔が形成され、開口の口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片が、屋根材固定ボルトのネジ山径よりもわずかに大きいかしめ片先端間の間隔を有するように形成された座金と、(3)支持金具のネジ挿通孔から座金のネジ孔にねじ込んで座金を引き上げる複数本の座金引き上げ用ネジと、(4)屋根材固定ボルトに螺合された締付ナットの下側のワッシャと既設の波形屋根材との隙間に挿入され、この挿入部分に屋根材固定ボルトを導入する切欠部が形成された補助金具とを具備し、上記支持金具に被係合部が形成されると共に、この被係合部に上方から係合する係合部が上記補助金具に形成されていることを特徴とするものである。ここに「座金引き上げ用ネジ」とは、六角ボルトなどのボルトをも包含する用語であり、頭部に十字溝その他のドライバー係合溝を設けたネジに限定されるものではない。
本発明の屋根補修用金具においては、支持金具と座金との間に介在される副座金であって、屋根材固定ボルトを挿通する開口の口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片が、屋根材固定ボルトのネジ山径よりもわずかに大きいかしめ片先端間の間隔を有するように形成された副座金を、更に具備していることが好ましい。そして、開口の口縁部から中心部上方に向かって4つのかしめ片が斜めに突き出していること、及び、かしめ片の先端側の傾斜角が徐々に小さくなるように、かしめ片の先端側が湾曲していることが好ましい。
また、本発明の屋根補修用金具においては、支持金具の一対の脚板の下端に、被係合部として、内側斜め上方に屈曲する被係合縁が形成され、補助金具の両側端に、係合部として、外側斜め下方に屈曲して上記被係合縁に上方から係合する係合縁が形成されていること、或いは、支持金具の一対の脚板に、被係合部として、切欠溝が形成され、補助金具の両側端に、係合部として、上記切欠溝に上方から係合するコ字形または鉤形の断面形状を備えた係合耳縁が形成されていることが好ましい。
次に、本発明に係る屋根補修構造は、上記の本発明の屋根補修用金具を用いた屋根補修構造であって、座金の開口に既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトが挿通され、その上から被せられた支持金具のボルト挿通孔に屋根材固定ボルトが挿通されて、支持金具の脚板が既設の波形屋根材の谷部に載置され、支持金具の複数のネジ挿通孔から座金の複数のネジ孔にそれぞれねじ込まれた複数本の座金引き上げ用ネジによって引き上げられた座金の複数のかしめ片が、支持金具の母屋材支持板の下面に圧接して座金の開口の中心部の方にかしめられ、各かしめ片の先端で屋根材固定ボルトが外側から押圧される一方、屋根材固定ボルトに螺合された締付ナットの下側のワッシャと既設の波形屋根材との隙間に補助金具が挿入され、その切欠部に屋根材固定ボルトが導入されると共に、補助金具の係合部が支持金具の被係合部に上方から係合することによって、屋根補修用金具が取付固定されており、この屋根補修用金具の支持金具の母屋材支持板に、新たな屋根材を張り付けるための母屋材が取付けられていることを特徴とするものである。
本発明の屋根補修構造においては、前記の副座金が支持金具と座金との間に介在されて、屋根材固定ボルトが副座金の開口に挿通され、副座金の複数のかしめ片も開口の中心部の方にかしめられて、各かしめ片の先端が屋根材固定ボルトを外側から押圧していることが好ましい。
本発明の屋根補修用金具は、次の要領で取付固定されて使用される。即ち、既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトを座金の開口に挿通し、その上から支持金具を被せてそのボルト挿通孔に屋根材固定ボルトを挿通すると共に、支持金具の脚板を既設の波形屋根材の谷部に載置する。次いで、支持金具の複数のネジ挿通孔から座金の複数のネジ孔に複数本の座金引き上げ用ネジをそれぞれねじ込んで座金を引き上げ、座金の複数のかしめ片を支持金具の母屋材支持板の下面に圧接させて座金の開口の中心部の方にかしめることにより、各かしめ片の先端を屋根材固定ボルトに外側から押圧させて強固に屋根補修用金具を取付固定する。そして、屋根材固定ボルトに螺合された締付ナットの下側のワッシャと既設の波形屋根材との隙間に補助金具を挿入し、補助金具の切欠部に屋根材固定ボルトを導入すると共に、補助金具の係合部を支持金具の被係合部に上方から係合させることによって、屋根補修用金具の取付強度を更に向上させ、この屋根補修用金具の支持金具の母屋材支持板に、新たな屋根材を張り付けるための母屋材を取付ける。
このように、本発明の屋根補修用金具は、座金の各かしめ片を開口の中心部の方にかしめて既設の屋根材固定ボルトを外側から押圧して取付けるため、屋根材固定ボルトが錆びてネジ山やネジ溝がつぶれかけているような場合でも、確実かつ強固に取付けることができ、更に、既設の波形屋根材とワッシャとの隙間に挿入した補助金具の係合部を支持金具の被係合部に上方から係合させることによって、屋根補修用金具の取付強度を更に高めているため、支持金具の母屋材支持板に母屋材を介して取付けられた新たな屋根材に風圧等が作用しても、屋根補修用金具がガタついたり、屋根材固定ボルトから外れたりする心配が解消される。しかも、本発明の屋根補修用金具は、座金引き上げ用ネジを座金のネジ孔にねじ込む作業と、補助金具を既設の波形屋根材とワッシャとの隙間に挿入する作業を行うだけで簡単に取付けることができ、座金引き上げ用ネジをねじ込めばねじ込むほど、座金のかしめ片が開口の中心部の方へ大きくかしめられて屋根材固定ボルトを強く押圧し、強固に取付固定される利点がある。
そして、前記の副座金を更に具備した屋根補修用金具は、座金のかしめ片に加えて、この副座金のかしめ片も開口の中心部の方へかしめられて屋根材固定ボルトを外側から強く押圧するので、固定強度が更に向上する利点がある。特に、座金や副座金の開口の口縁部から中心部上方に向かって4つのかしめ片が斜めに突き出している屋根補修用金具は、2つ又は3つのかしめ片が突き出したものよりも、容易にかしめ片をかしめることができ、しかも、5つ以上のかしめ片が突き出したものよりも、強く屋根材固定ボルトを押圧できる利点がある。また、かしめ片の先端側の傾斜角が徐々に小さくなるように、かしめ片の先端側が湾曲している屋根補修用金具は、かしめ片の先端が屋根材固定ボルトを略直角に押圧するため、取付強度を一層向上させることができる利点がある。
更に、支持金具の一対の脚板の下端に、被係合部として、内側斜め上方に屈曲する被係合縁が形成され、補助金具の両側端に、係合部として、外側斜め下方に屈曲して上記被係合縁に上方から係合する係合縁が形成されている屋根補修用金具や、支持金具の一対の脚部に、被係合部として、切欠溝が形成され、補助金具の両側端に、係合部として、上記切欠溝に上方から係合するコ字形または鉤形の断面形状を備えた係合耳縁が形成されている屋根補修用金具は、支持金具の被係合縁と補助金具の係合縁、及び、支持金具の切欠溝と補助金具の係合耳縁が、互いに外れないように確実に係合して支持金具の浮上を阻止するため、屋根補修用金具の取付強度がより一層向上し、屋根材固定ボルトから屋根補修用金具が外れる心配を確実に解消することができる。
そして、本発明の屋根補修用金具を前記の要領で取付けて、その支持金具の母屋材支持面に新たな屋根材を張り付けるための母屋材を取付けた本発明の屋根補修構造は、既述したように屋根補修用金具の取付強度が大きいため、母屋材に張り付ける新たな屋根材に風圧等が作用しても、屋根補修用金具がガタついたり、屋根補修用金具が屋根材固定ボルトから外れて新たな屋根材が捲れたりする心配を解消することができ、また、屋根補修用金具の取付作業が容易であるから施工性も向上するといった効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
図1は本発明の一実施形態に係る屋根補修用金具の分解斜視図、図2は座金引き上げ用ネジをねじ込む前の同屋根補修用金具の取付状態を示す断面図、図3は座金引き上げ用ネジをねじ込んで同屋根補修用金具を取付固定した状態を示す断面図、図4は同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す断面図である。
この屋根補修用金具1は、図4に示すように、既設の波形スレート板などの波形屋根材8の上に新たな屋根材9を張り付けるための母屋材10を取付けるものであって、図1に示すように、支持金具2と、座金3と、副座金4と、2本の座金引き上げ用ネジ5,5と、補強金具6とで構成されている。尚、この実施形態の屋根補修用金具1においては、座金引き上げ用ネジ5として六角ボルトが使用されている。
支持金具2は、図1,図4に示すように、母屋材10を支持する母屋材支持板2aと、既設の波形屋根材8の山部8aを跨いでその両側の谷部8b,8bに載置される左右一対の脚板2b,2bを一体に形成したもので、この脚板2b,2bの下端には、後述する補助金具6の係合部を係合させる被係合部として、内側斜め上方に屈曲する被係合縁2c,2cが形成されている。この被係合縁2c,2cは位置決めの役目を兼ね備えたものであり、図2〜図4に示すように支持金具2の脚板2b,2bを波形屋根材8の谷部8b,8bに載置すると、被係合縁2c,2cが波形屋根材8の斜面に当接して、支持金具2が左右に動かないように位置決めされるようになっている。
この支持金具2の母屋材支持板2aの中央には横長の凹部2dが形成されており、この凹部2dの中心には、既設の波形屋根材8から突出している屋根材固定ボルト7を挿通するボルト挿通孔2eが形成されている。そして、この凹部2dのボルト挿通孔2eを挟んで両側には、座金引き上げ用ネジ5,5を挿通する2つのネジ挿通孔2f,2fが形成されており、凹部2dの深さは、座金引き上げ用ネジ5,5の頭部や屋根材固定ボルト7の上端が突き出さない深さとされている。尚、母屋材10としてC形チャンネル材などを使用する場合は、座金引き上げ用ネジ5の頭部や屋根材固定ボルト7の上端が突き出していても、C形チャンネル材の開放部から内側に収容されて支障がでないため、上記の凹部2dを形成しないで母屋材支持板2aにボルト挿通孔2eとネジ挿通孔2f,2fを直接穿孔してもよい。
この支持金具2は、金属板をプレス加工及び曲げ加工して作製されるものであるが、強度のある合成樹脂で一体成形することも可能である。
座金3は、図1に示すように、両側に段差部3a,3aを有する長方形の金属板の中央に、屋根材固定ボルト7を挿通する大径の開口3bを形成すると共に、その両側に前記の座金引き上げ用ネジ5,5をねじ込む2つのネジ孔3c,3cを形成したものであり、上記の開口3bには、その口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す4つのかしめ片3dが形成されている。なお、座金3のネジ孔3cや前記支持金具2のネジ挿通孔2fの個数は2つに限定されるものではなく、2つ以上、例えば4つのネジ孔2cを座金3の四隅に形成すると共に、これに対応して4つのネジ挿通孔2fを支持金具2の凹部2dの四隅に形成してもよい。
これらのかしめ片3dの相対向する先端間の間隔は、屋根材固定ボルト7のネジ山径よりもわずかに大きく設定されており、屋根材固定ボルト7をこれらのかしめ片3dの先端間に遊挿できるようになっている。また、図2〜図4に示すように、これらのかしめ片3dの先端側は、その傾斜角が徐々に小さくなるように湾曲しており、後述するように、かしめ片3dが開口3bの中心部の方にかしめられると、かしめ片3dの先端が屋根材固定ボルト7を略直角に押圧して、取付強度が一層向上するようになっている。かしめ片3dの個数は2つ以上であればよいが、この座金3のように4つのかしめ片3dが形成されたものは、2つ又は3つのかしめ片が形成されたものよりも、容易にかしめることができ、5つ以上のかしめ片が形成されたものよりも、強く屋根材固定ボルト6を押圧できる利点がある。
また、副座金4は、上記座金3と上記支持金具2の凹部2dの下面との間に介在させるものであって、上記座金3の両側の段差部3a,3aに載置される脚片4a,4aを両側に備えた略正方形の金属板の中央に、屋根材固定ボルト7を挿通する大径の開口4bが形成されており、この開口4bの口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す4つのかしめ片4cが形成されている。そして、前記の座金3と同様に、かしめ片4cの相対向する先端間の間隔が屋根材固定ボルト7のネジ山径よりもわずかに大きく設定されて、屋根材固定ボルト7をこれらのかしめ片4cの先端間に遊挿できるようになっている。また、図2〜図4に示すように、これらのかしめ片4cの先端側は、その傾斜角が徐々に小さくなるように湾曲して、かしめ片4cが開口4bの中心部の方にかしめられたときに、かしめ片4cの先端によって屋根材固定ボルト7が略直角に強く押圧されるようになっている。
図1に示すように、この副座金4の4つのかしめ片4cと、前記座金3の4つのかしめ片3dは、上下に重なり合わないように、周方向に45度ずれて形成されている。このようにかしめ片4c,3dが45度ずれていると、完全に重なり合っている場合に比べてかしめ易くなり、しかも、屋根材固定ボルト7がかしめ片4c,3dの先端によって八方からほぼ均等に押圧されるため、固定強度が一層向上する利点がある。
補助金具6は、図1,図4に示すように、既設の波形屋根材8の山部8aに載置される凸湾曲板6aの両側端に、係合部として、外側斜め下方に屈曲する係合縁6b,6bを水平部6b,6bを介して一体に形成したものであって、凸湾曲板6aの先端には屋根材固定ボルト7を導入する切欠部6dが形成されており、凸湾曲板6aの後端には一対の切起こし片6e,6eが設けられている。
この補助金具6の係合縁6b,6bは、後述するように、屋根材固定ボルト7に螺合された締付ナット7aの下側のワッシャ7bと既設の波形屋根材8との隙間に補助金具6を挿入したとき、支持金具2の脚板2b,2bの下端の被係合縁2c,2cに上方から係合して支持金具2の浮上を阻止し、屋根補修用金具の取付強度を更に高める役目を果たすものである。また、一対の切起こし片6e,6eは、これをハンマーで叩きながら、補助金具6を既設の波形屋根材8とワッシャ7bとの間に挿入し易くするためのものである。尚、切欠部6dの開放先端側は、屋根材固定ボルト7を導入し易くするためにV形に切り欠かれている。
本発明の屋根補修構造は、上記の支持金具2、座金3、副座金4、座金引き上げ用ネジ5,5、補助金具6からなる本発明の屋根補修用金具1を用いて、次の要領で施工されるものである。まず、図2に示すように、既設の波形屋根材8から上方へ突出している屋根材固定ボルト7を、座金3の開口3b(かしめ片3dの先端間)とその上の副座金4の開口4b(かしめ片4cの先端間)に挿通し、更に、その上から支持金具2を被せてそのボルト挿通孔2eに屋根材固定ボルト7を挿通すると共に、支持金具2の一対の脚板2b,2bを既設の波形屋根材8の谷部8b,8bに載置する。
次いで、図3に示すように、支持金具2の2つのネジ挿通孔2f,2fから座金3の2つのネジ孔3c,3cに2本の座金引き上げ用ネジ5,5をねじ込んで座金3を引き上げ、副座金4の複数のかしめ片4cと座金3の複数のかしめ片3dを支持金具2の凹部2dの下面に圧接させて開口4b,3bの中心部の方にかしめることにより、各かしめ片4c,3dの先端で屋根材固定ボルト7を外側から略直角に押圧して強固に屋根補修用金具1を取付固定する。
そして、補助金具6の後端の切起こし片6e,6eをハンマーで叩きながら、図4に示すように、補助金具6の凸湾曲板6aを既設の波形屋根材8の山部8aとワッシャ7bの隙間に挿入(圧入)して、屋根材固定ボルト7を切欠部6dに導入すると共に、補助金具6の両側端の係合縁6b,6bを支持金具2の脚板2b,2bの下端の被係合縁2c,2cに上方から係合させることによって支持金具2の浮上を阻止し、屋根補修用金具1の取付強度を更に高める。
このようにして屋根補修用金具1の取付けが終わると、図4に示すように屋根補修用金具1の支持金具2の母屋材支持板2aに母屋材10を横架して止具(不図示)等で取付固定し、この母屋材10の上に新たな屋根材9を屋根材固定ボルト等で張り付けて、本発明の屋根補修構造を完成する。尚、新たな屋根材9としては、安価で耐久性のある軽量な合成樹脂製の波板等が好適に使用され、母屋材9としては、強度のある長尺の板金やC形チャンネル材等が好適に使用される。
上記のように、この屋根補修用金具1は、座金3と副座金4の各かしめ片3d,4cを開口3b,4bの中心部の方にかしめて既設の屋根材固定ボルト7を外側から略直角に押圧して取付けるものであるため、屋根材固定ボルト7が錆びてネジ山やネジ溝がつぶれかけているような場合でも、確実かつ強固に屋根補修用金具1を取付けることができ、更に、補助金具6の係合縁6b,6bを支持金具2の被係合縁2c,2cに上方から係合させて支持金具2の浮上を阻止するため、屋根補修用金具1の取付強度を一層高めることができる。しかも、座金引き上げ用ネジ5,5を座金3のネジ孔3c,3cにねじ込む作業と、補助金具6を既設の波形屋根材8とワッシャ7bの隙間に挿入する作業を行うだけで、屋根補修用金具1を簡単に取付けることができ、座金引き上げ用ネジ5,5をねじ込めばねじ込むほど、座金3や副座金4のかしめ片3d,4cが開口3b,4bの中心部の方へ大きくかしめられて屋根材固定ボルト7を強く押圧するため、一層強固に取付けることができる。従って、このような屋根補修用金具1を用いた屋根補修構造は、支持金具2の母屋材支持板2aに母屋材10を介して張り付けられた新たな屋根材9に風圧等が作用しても、屋根補修用金具1がガタついたり、屋根材固定ボルト7から外れたりする心配がなく、施工性も良好である。
尚、上記の副座金4を省略して、支持金具2と、座金3と、座金引き上げ用ネジ5,5と、補助金具6とで屋根補修用金具1を構成し、座金3のかしめ片3dで屋根材固定ボルト6を外側から押圧すると共に、補助金具6の係合縁6b,6bを支持金具2の被係合縁2c,2cに上方から係合させて取付固定してもよく、その場合も屋根補修用金具1を強固に取付けることができる。けれども、上記実施形態の屋根補修用金具1のように副座金4を組み込めば、座金3と副座金4の両方のかしめ片3d,4cで屋根材固定ボルト7を二重に押圧して、屋根補修用金具1の取付強度を更に高めることができるので、極めて好ましい。
図5は支持金具の他の例を示す斜視図である。この支持金具2は、ボルト挿通孔2e及びネジ挿通孔2fを形成する凹部2dが、母屋材支持板2aの長さ方向一端側に偏位して設けられており、母屋材支持板2aの中央部から他端側までの広い領域が母屋材の支持面として確保されている。その他の構成は前述した支持金具2と同様であるから、図5において同一部分に同一符号を付すにとどめ、重複する説明を省略する。
上記の支持金具2は、母屋材支持板2aの中央部から他端側までの広い領域を母屋材の支持面として確保できるため、例えば、屋根材固定ボルト7が真横一列ではなく多少ジグザクに配列されている場合でも、屋根材固定ボルト7の位置ズレを広い支持面領域で吸収したり、支持金具2を180°回して吸収したりすることで、母屋材を確実に支持できる利点がある。
図6は本発明の他の実施形態に係る屋根補修用金具の分解斜視図、図7は同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す断面図である。
この屋根補修用金具11も、支持金具20と、座金3と、副座金4と、2本の座金引き上げ用ネジ5,5と、補強金具60とで構成されたものであるが、支持金具20や補強金具60が前記の支持金具2や補強金具6と異なっている。
この支持金具20は、図6に示すように、母屋材支持板2aの中心線上に溝形の凹部2gが形成されており、この溝形の凹部2gの中心に屋根材固定ボルト7を挿通するボルト挿通孔2eが穿孔されると共に、その前後に座金引き上げ用ネジ5,5を挿通する2つのネジ挿通孔2f,2fが穿孔されている。そして、この支持金具20の左右の脚板2b,2bの下端部は外側斜め下方へ屈曲して位置決め片2h,2hが形成されており、図7に示すように既設の波形屋根材8の山部8aを跨いでその両側の谷部8b,8bに支持金具20の左右の脚板2b,2bを載置すると、位置決め片2h,2hが波形屋根材8の斜面に当接して、支持金具20が左右に動かないようになっている。また、この脚板2b,2bには、後述する補助金具60の係合部を係合させる被係合部として、切欠溝2i,2iが補助金具60の挿入側端部から切り込まれて形成されている。
一方、補助金具60は、図6,図7に示すように、既設の波形屋根材8の山部8aに載置される凸湾曲板6aの両側端から上方に立ち上がる側板6f,6fを形成したものであって、片方の側板6fの上端のほぼ後半部にはコ字形の断面形状を備えた係合耳縁6gが形成されており、もう片方の側板6fのほぼ後半部には鉤形の断面形状を備えた係合耳縁6hが形成されている。これらの係合耳縁6g,6hは、既設の波形屋根材8とワッシャ7bとの隙間に補助金具60を挿入したとき、支持金具20の脚板2b,2bの切欠溝2i,2iに挿入されて上方から切欠溝2i,2iに係合し、支持金具2の浮上を阻止して屋根補修用金具の取付強度を更に高める役目を果たすものである。また、凸湾曲板6aの先端には、前記補助金具6と同様に、屋根材固定ボルト7を導入するための開放先端側がV形に広がった切欠部6dが形成されており、凸湾曲板6aの後端には一対の切起こし片6e,6eが設けられている。
座金3、副座金4、座金引き上げ用ネジ5,5は、前記の屋根補修用金具1のそれらと同じものであるから、図6、図7において同一部分に同一符号を付すにとどめ、重複する説明を省略する。尚、この屋根補修用金具11においても、副座金4の省略は可能である。
このような屋根補修用金具11は、次の要領で強固に取付けられる。まず、座金3を支持金具20の凹部2gに沿う向きにして、座金3の開口3b(かしめ片3dの先端間)に屋根材固定ボルト7を挿通すると共に、その上に副座金4を重ねて屋根材固定ボルト7を副座金4の開口4b(かしめ片4cの先端間)に挿通し、更にその上から支持金具20を被せて屋根材固定ボルト7を支持金具20のボルト挿通孔2eに挿通する。次いで、支持金具20の2つのネジ挿通孔2f,2fから座金3の2つのネジ孔3c,3cに2本の座金引き上げネジ5,5をねじ込んで座金3を引き上げ、副座金4の複数のかしめ片4cと座金3の複数のかしめ片3dを支持金具2の凹部2gの下面に圧接させて開口4b,3bの中心部の方にかしめると、各かしめ片4c,3dの先端が屋根材固定ボルト6を外側から略直角に押圧し、屋根補修用金具11が強固に取付けられる。そして、補助金具60の切起こし片6e,6eをハンマーで叩きながら、その凸湾曲板6aを既設の波形屋根材8の山部8aとワッシャ7bの隙間に挿入(圧入)して、屋根材固定ボルト7を切欠部6dに導入すると共に、補助金具60の係合耳縁6g,6hを支持金具20の脚板2b,2bの切欠溝2i,2iに挿入して上方から係合させ、支持金具20の浮上を阻止して屋根補修用金具11の取付強度を更に高める。このようにして屋根補修用金具11の取付けが終わると、屋根補修用金具11の支持金具20の母屋材支持板2aに母屋材10を横架して止具(不図示)等で取付固定し、この母屋材10の上に新たな屋根材9を屋根材固定ボルト等で張り付けて、本発明の屋根補修構造を完成する。
以上のような屋根補修用金具11を使用した屋根補修構造も、前記の屋根補修用金具1を使用した屋根補修構造と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
本発明の一実施形態に係る屋根補修用金具の分解斜視図である。 座金引き上げ用ネジをねじ込む前の同屋根補修用金具の取付状態を示す断面図である。 座金引き上げ用ネジをねじ込んで同屋根補修用金具を取付固定した状態を示す断面図である。 同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す断面図である。 支持金具の他の例を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る屋根補修用金具の分解斜視図である。 同屋根補修用金具を用いた本発明の屋根補修構造を示す断面図である。
符号の説明
1、11 屋根補修用金具
2,20 支持金具
2a 母屋材支持板
2b 脚板
2c 被係合縁(被係合部)
2d,2g 凹部
2e ボルト挿通孔
2f ネジ挿通孔
2i 切欠溝(被係合部)
3 座金
4 副座金
3b,4b 開口
3c ネジ孔
3d,4c かしめ片
5 座金引き上げ用ネジ
6,60 補助金具
6b 係合縁(係合部)
6d 切欠部
6g コ字形の断面形状を有する係合耳縁(係合部)
6h 鉤形の断面形状を有する係合耳縁(係合部)
7 屋根材固定ボルト
7a 締付ナット
7b ワッシャ
8 既設の波形屋根材
8a 山部
8b 谷部
9 新たな屋根材
10 母屋材

Claims (8)

  1. 既設の波形屋根材の上に新たな屋根材を張り付けるための母屋材を支持する屋根補修用金具であって、
    既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトを挿通するボルト挿通孔と座金引き上げ用ネジを挿通する複数のネジ挿通孔が形成された母屋材支持板と、この母屋材支持板の両側端から下方へ折り曲げられて形成された一対の脚板とからなる支持金具と、
    屋根材固定ボルトを挿通する開口と座金引き上げ用ネジをねじ込む複数のネジ孔が形成され、開口の口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片が、屋根材固定ボルトのネジ山径よりもわずかに大きいかしめ片先端間の間隔を有するように形成された座金と、
    支持金具のネジ挿通孔から座金のネジ孔にねじ込んで座金を引き上げる複数本の座金引き上げ用ネジと、
    屋根材固定ボルトに螺合された締付ナットの下側のワッシャと既設の波形屋根材との隙間に挿入され、この挿入部分に屋根材固定ボルトを導入する切欠部が形成された補助金具とを具備し、
    上記支持金具に被係合部が形成されると共に、この被係合部に上方から係合する係合部が上記補助金具に形成されていることを特徴とする屋根補修用金具。
  2. 支持金具と座金との間に介在される副座金であって、屋根材固定ボルトを挿通する開口の口縁部から中心部上方に向かって斜めに突き出す複数のかしめ片が、屋根材固定ボルトのネジ山径よりもわずかに大きいかしめ片先端間の間隔を有するように形成された副座金を、更に具備した請求項1に記載の屋根補修用金具。
  3. 開口の口縁部から中心部上方に向かって4つのかしめ片が斜めに突き出している請求項1又は請求項2に記載の屋根補修用金具。
  4. かしめ片の先端側の傾斜角が徐々に小さくなるように、かしめ片の先端側が湾曲している請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の屋根補修用金具。
  5. 支持金具の一対の脚板の下端に、被係合部として、内側斜め上方に屈曲する被係合縁が形成され、補助金具の両側端に、係合部として、外側斜め下方に屈曲して上記被係合縁に上方から係合する係合縁が形成されている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の屋根補修用金具。
  6. 支持金具の一対の脚板に、被係合部として、切欠溝が形成され、補助金具の両側端に、係合部として、上記切欠溝に上方から係合するコ字形または鉤形の断面形状を備えた係合耳縁が形成されている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の屋根補修用金具。
  7. 請求項1に記載の屋根補修用金具を用いた屋根補修構造であって、座金の開口に既設の波形屋根材から上方へ突出している屋根材固定ボルトが挿通され、その上から被せられた支持金具のボルト挿通孔に屋根材固定ボルトが挿通されて、支持金具の脚板が既設の波形屋根材の谷部に載置され、支持金具の複数のネジ挿通孔から座金の複数のネジ孔にそれぞれねじ込まれた複数本の座金引き上げ用ネジによって引き上げられた座金の複数のかしめ片が、支持金具の母屋材支持板の下面に圧接して座金の開口の中心部の方にかしめられ、各かしめ片の先端で屋根材固定ボルトが外側から押圧される一方、屋根材固定ボルトに螺合された締付ナットの下側のワッシャと既設の波形屋根材との隙間に補助金具が挿入され、その切欠部に屋根材固定ボルトが導入されると共に、補助金具の係合部が支持金具の被係合部に上方から係合することによって、屋根補修用金具が取付固定されており、この屋根補修用金具の支持金具の母屋材支持板に、新たな屋根材を張り付けるための母屋材が取付けられていることを特徴とする屋根補修構造。
  8. 請求項2に記載の副座金が支持金具と座金との間に介在されて、屋根材固定ボルトが副座金の開口に挿通され、副座金の複数のかしめ片も開口の中心部の方にかしめられて、各かしめ片の先端で屋根材固定ボルトが外側から押圧されている請求項7に記載の屋根補修構造。
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