JP3447462B2 - 眼鏡レンズの保持構造 - Google Patents

眼鏡レンズの保持構造

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JP3447462B2
JP3447462B2 JP06987696A JP6987696A JP3447462B2 JP 3447462 B2 JP3447462 B2 JP 3447462B2 JP 06987696 A JP06987696 A JP 06987696A JP 6987696 A JP6987696 A JP 6987696A JP 3447462 B2 JP3447462 B2 JP 3447462B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は縁無しタイプの眼鏡
に適用される眼鏡レンズの保持構造に関し、特にレンズ
保持部材にピンが形成された眼鏡レンズの保持構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、視野の広さや軽量性の利点等から
縁無しタイプの眼鏡が注目されている。このような縁無
しタイプの眼鏡レンズの保持構造としては、ナイロール
と呼ばれるレンズ下部周囲をナイロン糸で吊るタイプ
と、レンズ表面から裏面に貫通するビス用孔を形成し、
この孔に挿通されるビスで止めるツーポイントまたはス
リーピースと呼ばれるタイプの2種類がある。
【0003】ナイロールと呼ばれるレンズ下部周囲をナ
イロン糸で吊るタイプは、レンズの縁面の全周にわたっ
て溝を彫らなければならず、高度な技術を要していた。
特に、コバ厚の薄いレンズでは、溝彫り加工に熟練を要
するとともに、溝内側面とレンズ外面との板厚が薄くな
るために、眼鏡を落とした際にレンズが欠けたりするこ
とがあった。
【0004】一方、ツーポイントまたはスリーピースと
呼ばれるタイプでは、ビス用孔を眼鏡レンズに貫通形成
するため、この形成加工時にビス用孔の開口部周辺が欠
ける心配があり、加工が困難となっていた。また、ビス
用孔の形成加工時には、レンズが割れる心配があった。
このため、ビス用孔をレンズ周縁から離して形成してい
た。ところが、ビス用孔をレンズ周縁から離して形成す
ると、眼鏡の装用時に、ビス用孔やこのビス用孔に取り
付けられる保持部によって視野が妨げられるという問題
があった。
【0005】これらの問題を解決するため、本願出願人
は、特開平7−230062号公報に開示される眼鏡レ
ンズの保持構造を出願している。この出願では、レンズ
の縁面に不貫通の穴を形成し、これにテンプルやブリッ
ジ等のレンズ保持部材に設けられたピンを差し込み固定
する、いわゆる埋め込み型ツーポイントの眼鏡の技術を
開示している。この埋め込み型ツーポイントの眼鏡によ
れば、上述したナイロールのようにレンズ縁面全周にわ
たって溝を彫ったり、ツーポイントまたはスリーピース
のようにレンズ表面から裏面に貫通するビス用孔を必要
としないので、レンズが欠けたり、装用時に部品によっ
て視野が妨げられることが極力避けられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この埋め込
み型ツーポイントの眼鏡では、レンズとレンズ保持部材
とが互いに回転するのを防ぐため、1固定部につき2本
のピンをレンズに埋め込むようにしていた。このため、
レンズ側には、ピン挿入用の穴を2個近接して形成する
必要があり、高度な加工技術を必要としていた。
【0007】また、埋め込み型ツーポイントの眼鏡で
は、1枚のレンズにつきテンプルとブリッジの2か所で
レンズを保持しているが、各レンズ保持部では、それぞ
れ2本のピンを有しいるので、1枚のレンズを合計4
本のピンで保持することになっていた。各ピンは、3ミ
リ程度の長さがあるため、装用時には、ある程度視野内
に侵入してくる。このピンが視野内に侵入する度合い
は、従来のツーポイントまたはスリーピースと比べれば
十分に低いが、それでも1枚のレンズにつき4本ある
と、完全に無視はできなかった。
【0008】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、レンズとレンズ保持部材とが回転するのを防
止でき、有効視野に優れ、製造が容易な眼鏡レンズの保
持構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために、縁無しタイプの眼鏡に適用される眼鏡レ
ンズの保持構造において、前記眼鏡レンズの縁面には、
1個の不貫通の穴および少なくとも1個の溝が形成さ
れ、一方、前記眼鏡レンズを保持するレンズ保持部材に
は、前記不貫通の穴に嵌合する一本のピンと、前記溝に
嵌合するストッパとが形成され、前記不貫通の穴には前
記ピンが、前記溝には前記ストッパがそれぞれ嵌合固定
されており、前記ストッパのレンズ内側への突出量が、
前記ピンのレンズ内側への突出量より小さいことを特徴
とする眼鏡レンズの保持構造が提供される。
【0010】このような眼鏡レンズの保持構造では、ピ
ンおよびストッパがそれぞれ眼鏡レンズの縁面の不貫通
の穴および溝に嵌合固定されることにより、眼鏡レンズ
が保持される。この場合、ストッパは溝に嵌合している
ため、ピンを軸にしてレンズ保持部材と眼鏡レンズとが
互いに回転することを防止できる。また、ストッパのレ
ンズ内側への突出量をピンより十分に小さくしても回転
を防止できるので、視野の妨げにならない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一形態を図面に基
づいて説明する。図2は本形態の眼鏡レンズの保持構造
が適用される眼鏡の外観構成を示す斜視図である。眼鏡
1は、主に、左右のレンズ2,3と、左右のテンプル部
4,5と、ブリッジ6とから構成されている。テンプル
部4,5は、それぞれテンプル41,51、ヨロイ4
2,52を有している。テンプル41,51の各耳側端
部には、モダン41a,51aが設けられている。ヨロ
イ42,52は、テンプル41,51に丁番43,53
を介して連結されている。
【0012】レンズ保持部材としてのヨロイ42には、
ピン421およびストッパ422が一体に形成されてい
る。ピン421およびストッパ422は、レンズ2の縁
面2aに固定されている。一方、ヨロイ52には、ピン
521およびストッパ522が一体に形成されている。
ピン521およびストッパ522は、レンズ3の縁面3
aに固定されている。これらの取り付け構造については
後述する。
【0013】レンズ2,3は、ブリッジ6を介して連結
されている。レンズ保持部材としてのブリッジ6には、
左右のパッド61,62が、それぞれパッド足61a,
62a、パッド箱61b,62bを介して取り付けられ
ている。また、ブリッジ6の左右両端部には、それぞれ
ピン611およびストッパ612、ピン621およびス
トッパ622が一体に形成されている。ピン611およ
びストッパ612は、レンズ2の縁面2bに、ピン62
1およびストッパ622は、レンズ3の縁面3bにそれ
ぞれ固定されている。
【0014】レンズ2,3は、ガラス、プラスチック
(合成樹脂)等を材料としている。合成樹脂レンズの場
合は、ジエチレングリコールアリルカーボネイト(CR
−39)またはその混合系からなる共重合体等のアリル
系レンズ、ポリカーボネイト系レンズ、アクリル系レン
ズ、ビスフェノールA誘導体系レンズ、ポリウレタン系
レンズ等が挙げられる。特に本形態の眼鏡レンズの保持
構造に好ましいのは、ポリウレタン系レンズで、耐衝撃
性、引っ張り強度等に優れる。ポリウレタン系レンズ
は、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物と
を含むものであり、日本特許第1879252号、同1
850838号、特公平4−58489号に開示されて
いるものが特に好ましい。このようなポリウレタン系レ
ンズは、本形態のレンズ保持部材(ヨロイ42,52、
ブリッジ6)との結合部分の強度が強く、接着剤等の耐
溶剤性に優れる。
【0015】また、ガラス製レンズの場合は、一般の光
学用ガラスが用いられる。ヨロイ42,52、ブリッジ
6の材質としては、TiまたはTi合金、鉄系合金、洋
白、モネル、ハイニッケル、ステンレス等のニッケル合
金、またはブロンズやベリリウム銅等の銅合金の金属材
料や、ポリアミド、PAS、PES等の樹脂等が用いら
れる。
【0016】図1はヨロイ42によるレンズ2の保持構
造の具体例を示す図であり、(A)は分解斜視図、
(B)は平面図、(C)は正面図である。ヨロイ42の
先端には、板状に形成されたストッパ422が設けられ
ている。ストッパ422のレンズコバ厚方向の幅は、レ
ンズ2のコバ厚と同程度に形成されている。ストッパ4
22およびヨロイ42は、同一材料で一体に形成しても
よいし、別材料でそれぞれ形成してそれらをろう付け等
により接合するようにしてもよい。
【0017】ストッパ422のレンズ側の面には、1本
の円柱状のピン421が設けられている。ピン421の
先端は、ストッパ422の面の法線に対してレンズ前方
に傾いている(図(B)参照)。この傾き角度は、レン
ズ2の縁面2aの法線に対するレンズ前面2cの角度と
ほぼ同じになるように設定されている。なお、ピン42
1およびストッパ422は、同一材料で一体に形成して
もよいし、別材料でそれぞれ形成してそれらをろう付け
等により接合するようにしてもよい。
【0018】一方、レンズ2の縁面2aには、溝21が
形成されている。溝21は、その上下方向の幅がストッ
パ422の上下方向の長さとほぼ一致し、深さがストッ
パ422の厚みとほぼ一致するように形成されている。
また、溝21の端面には、レンズ前面2cとほぼ平行な
不貫通の穴22が形成されている。穴22は、ピン42
1が嵌合可能な大きさおよび形状に形成されている。
【0019】このような溝21および穴22には、それ
ぞれストッパ422およびピン421が嵌合固定され
る。この固定には、接着剤が使用される。接着の方法
は、特開平7−230062号公報の図8に開示されて
いる方法と同様に、穴22内に接着剤を充填した状態で
ピン421を挿入させる方法が好ましい。また、接着剤
には、エポキシ系(例えばスリーボンド社製)、アクリ
ル系、シアノアクリレート系(例えばスリーボンド社
製)、嫌気性系(例えばロックタイト社製)等のものが
使用できる。特に、エポキシ系のものは、レンズ材料に
係わらず接着効果に優れる。また、接着剤を使用すると
きの粘度は、25°Cで3000ポワーズ程度の低粘度
で、透明性の高いものが使用される。低粘度のものは、
気泡の発生が少なく、作業性において優れる。なお、レ
ンズ2にアクリル系レンズを使用する場合、このアクリ
ル系レンズは一般的には特定の溶材に対して強くないの
で、接着剤には、エポキシ系のものを使用することが好
ましい。特にエポキシ系のものでも2液性のものが好ま
しい。これは、特別な加熱硬化特性を有せず、常温で反
応し、操作性がよい。
【0020】このように、レンズ2に固定されたヨロイ
42は、ストッパ422が溝21に嵌合しているので、
ピン421が軸になって、レンズ2およびヨロイ42が
互いに回転することが阻止される。また、固定のための
ピン421も1本のみなので、視野への侵入が極力避け
られる。
【0021】図3はレンズ2への穴開け加工方法を示す
斜視図である。まず、予め切削工具によってレンズ2の
縁面2aに溝21を形成しておき、次いで、穴開けガイ
ド11および段付ルーマードリル12を使用して穴22
を形成する。穴開けガイド11には、溝21と同じ形状
を有する突状部11aが形成されている。また、穴開け
ガイド11には、上下方向に貫通するガイド穴11bが
形成されている。ガイド穴11bは、突状部11aを溝
21に嵌合させたときに、加工対象である穴22と軸芯
が一致するような向きに形成されている。
【0022】穴22を加工する場合には、穴開けガイド
11の突状部11aを溝21に嵌合させる。これによ
り、穴開けガイド11を安定させることができる。穴開
けガイド11をさらに安定させたいときには、突状部1
1aの溝21との接触面に両面テープ等で接着機能を持
たせることにより、穴開けガイド11をレンズ2に正確
に接着することができる。
【0023】穴開けガイド11を溝21に嵌合させた
ら、ガイド穴11bに沿って段付ルーマードリル12の
刃12aを段部12bが穴開けガイド11に当たるまで
挿入する。これにより、レンズ2の縁面2aには、目的
とする位置および方向に、穴22が正確にかつ簡単に形
成される。また、このとき穴22の深さは、段付ルーマ
ードリル12の刃12aの長さL1 と穴開けガイド11
の高さh1 との差の値になる。したがって、予め長さL
1 と高さh1 との差が所望の長さとなるように、段付ル
ーマードリル12または穴開けガイド11のサイズを選
択すれば、所望の深さの穴22を正確に形成することが
できる。
【0024】なお、図1、図3では、ヨロイ42による
レンズ2の保持構造について説明したが、ヨロイ52に
よるレンズ3の保持構造もほぼ同じなので、ここでは説
明を省略する。
【0025】また、図1では、ストッパ422を板状と
したが、溝21に嵌合可能な形状部を有していれば、角
柱等の立体的な形状であってもよい。さらに、ストッパ
422および溝21の形状も、4角形に限らず、楕円形
や多角形であってもよい。ただし、それらの面積は、軸
と垂直に切ったピン421の断面積よりも十分に大きい
ことが望ましい。
【0026】図4はブリッジ6によるレンズ3の保持構
造の具体例を示す図であり、(A)は分解斜視図、
(B)は平面図、(C)は正面図である。ブリッジ6の
右側の垂直部620には、ストッパ622が設けられて
いる。ストッパ622の前後方向の幅は、レンズ3のコ
バ面の厚みと同程度に形成されている。ストッパ622
および垂直部620は、同一材料で一体に形成してもよ
いし、別材料でそれぞれ形成してそれらをろう付け等に
より接合するようにしてもよい。
【0027】ストッパ622のレンズ側の面には、1本
の円柱状のピン621が設けられている。ピン621の
先端は、ストッパ622の面の法線に対してレンズ前方
に傾いている(図(B)参照)。この傾き角度は、レン
ズ3の縁面3bの法線に対するレンズ前面3cの角度と
ほぼ同じになるように設定されている。なお、ピン62
1およびストッパ622は、同一材料で一体に形成して
もよいし、別材料でそれぞれ形成してそれらをろう付け
等により接合するようにしてもよい。
【0028】一方、レンズ3の縁面3bには、溝31が
形成されている。溝31は、ストッパ622が嵌合可能
な形状および大きさに形成されている。また、溝31の
端面には、レンズ前面3cとほぼ平行な不貫通の穴32
が形成されている。穴32は、ピン621が嵌合可能な
大きさおよび形状に形成されている。また、穴32の加
工は、図3で示したレンズ2の穴22の加工方法と同じ
方法で行うことができる。
【0029】このような溝31および穴32には、それ
ぞれストッパ622およびピン621が嵌合固定され
る。この固定には、接着剤が使用される。接着剤の材料
およびその接着方法については、前述したレンズ2およ
びヨロイ42の場合と同じである。こうしてレンズ3に
固定されたブリッジ6は、ストッパ622が溝31に嵌
合しているので、ピン621を軸にレンズ3およびブリ
ッジ6が互いに回転することが阻止される。また、固定
のためのピン621も1本のみなので、視野への侵入が
極力避けられる。
【0030】なお、図4ではピン621、ストッパ62
2によるレンズ3の保持構造について説明したが、ピン
611、ストッパ612によるレンズ2の保持構造もこ
れとほぼ同じなので、ここでは説明を省略する。
【0031】また、ストッパ622の形状は、ヨロイ4
2のストッパ422と同様に、溝31に嵌合可能な形状
部を有していれば、角柱等の立体的な形状であってもよ
い。さらに、ストッパ622および溝31の形状も、4
角形に限らず、楕円形や多角形であってもよい。ただ
し、それらの面積は、軸と垂直に切ったピン621の断
面積よりも十分に大きいことが望ましい。
【0032】このように、本形態では、レンズ保持部材
であるヨロイ42,52、ブリッジ6に、それぞれピン
421,521,611,621、ストッパ422,5
22,612,622を形成し、レンズ2,3の縁面2
a,2b、3a,3bに嵌合させるようにしたので、視
野の妨げを極力少なくすることができ、かつレンズ保持
部材とレンズ2,3との回転を防止することができる。
また、レンズ2,3の縁面2a,2b、3a,3bに
は、それぞれ溝21,31、穴22,32等を1対ずつ
形成するだけなので、加工作業も簡単になり、眼鏡1全
体の製造が簡単になる。
【0033】図5はヨロイ42によるレンズ2の保持構
造の第2の形態を示す図であり、(A)は分解斜視図、
(B)は平面図、(C)は正面図である。なお、ここで
は、図1に示した保持構造と同一の機能については、同
一符号を付して説明を省略する。ヨロイ42の先端に
は、板状の取り付け片71が設けられている。取り付け
片71およびヨロイ42は、同一材料で一体に形成して
もよいし、別材料でそれぞれ形成してそれらをろう付け
等により接合するようにしてもよい。
【0034】取り付け片71の下端部には、レンズ2側
にほぼ直角に曲げることによって、ストッパ71aが形
成されている。また、取り付け片71のレンズ側の面に
は、1本の円柱状のピン72が設けられている。ピン7
2の先端は、取り付け片71の面の法線に対してレンズ
前方に傾いている(図(B)参照)。この傾き角度は、
レンズ2の縁面2aの法線に対するレンズ前面2cの角
度とほぼ同じになるように設定されている。なお、ピン
72および取り付け片71は、同一材料で一体に形成し
てもよいし、別材料でそれぞれ形成してそれらをろう付
け等により接合するようにしてもよい。
【0035】一方、レンズ2の縁面2aには、溝73が
形成されている。溝73は、ストッパ71aが嵌合可能
な形状および大きさに形成されている。また、溝73の
上部には、レンズ前面2cとほぼ平行な不貫通の穴74
が形成されている。穴74は、ピン72が嵌合可能な大
きさおよび形状に形成されている。
【0036】このような形状の溝73および穴74に
は、それぞれストッパ71aおよびピン72が嵌合固定
される。この固定には、接着剤が使用される。接着剤の
材料およびその接着方法については、図1で説明したレ
ンズ2およびヨロイ42の場合と同じである。こうして
レンズ2に固定されたヨロイ42は、板状の取り付け片
71を曲げて形成されたストッパ71aが溝73に嵌合
しているので、ピン72を軸として、レンズ2およびヨ
ロイ42が互いに回転することが阻止される。また、固
定のためのピン72も1本のみなので、視野を妨げな
い。さらに、溝73もストッパ71aの位置や厚さに応
じて、薄型の溝を1本切るだけでよいので、より加工が
簡単となる。
【0037】なお、図5ではヨロイ42によるレンズ2
の保持構造について説明したが、ヨロイ52によるレン
ズ3の保持構造もこれとほぼ同じなので、ここでは説明
を省略する。
【0038】また、図5では、取り付け片71に1個の
ストッパ71aを形成する例を示したが、他の端部を折
り曲げることによりストッパを2個以上形成してもよ
い。さらに、図5では、取り付け片71の下端部を曲げ
ることによりストッパ71aを形成するようにしたが、
ストッパ71aを取り付け片71の面上の一部に、図5
と同じ向きにろう付けするようにしてもよい。また、こ
のとき、ピン72と重なる位置にストッパ71aを取り
付けてもよい。ただし、この場合には、レンズ2側の溝
73および穴74も重なるように形成する必要がある。
【0039】図6は第2の形態におけるレンズ2への穴
開け加工方法を示す斜視図である。まず、予め切削工具
によってレンズ2の縁面2aに溝73を形成しておき、
穴開けガイド13および段付ルーマードリル14を使用
して穴74を形成する。穴開けガイド13には、溝73
と同じ形状を有する突状部13aが形成されている。ま
た、穴開けガイド13には、上下方向に貫通するガイド
穴13bが形成されている。ガイド穴13bは、突状部
13aを溝73に嵌合させたときに、加工対象である穴
74と軸芯が一致するような向きに形成されている。
【0040】穴74を加工する場合には、穴開けガイド
13の突状部13aを溝73に嵌合させる。これによ
り、穴開けガイド13を安定した状態でレンズ2に当接
させることができる。
【0041】穴開けガイド13を溝73に嵌合させた
ら、ガイド穴13bに沿って段付ルーマードリル14の
刃14aを段部14bが穴開けガイド13に当たるまで
挿入する。これにより、レンズ2の縁面2aには、目的
とする位置および方向に、穴74が正確にかつ簡単に形
成される。また、このとき穴74の深さは、段付ルーマ
ードリル14の刃14aの長さL2 と穴開けガイド13
の高さh2 との差の値になる。したがって、予め長さL
2 と高さh2 との差が所望の長さとなるように、段付ル
ーマードリル14または穴開けガイド13のサイズを選
択すれば、所望の深さの穴74を正確に形成することが
できる。
【0042】図7はブリッジ6によるレンズ3の保持構
造の第2の形態を示す図であり、(A)は分解斜視図、
(B)は平面図、(C)は正面図である。なお、ここで
は、図1に示した保持構造と同一の機能については、同
一符号を付して説明を省略する。ブリッジ6の右側の垂
直部620には、板状の取り付け片75が設けられてい
る。取り付け片75および垂直部620は、同一材料で
一体に形成してもよいし、別材料でそれぞれ形成して、
それらをろう付け等により接合するようにしてもよい。
【0043】取り付け片75の下端部には、レンズ3側
にほぼ直角に曲げることによって、ストッパ75aが形
成されている。また、取り付け片75のレンズ側の面に
は、1本の円柱状のピン76が設けられている。ピン7
6の先端は、取り付け片75の面の法線に対してレンズ
前方に傾いている(図(B)参照)。この傾き角度は、
レンズ3の縁面3bの法線に対するレンズ前面3cの角
度とほぼ同じになるように設定されている。なお、ピン
76および取り付け片75は、同一材料で一体に形成し
てもよいし、別材料でそれぞれ形成してそれらをろう付
け等により接合するようにしてもよい。
【0044】一方、レンズ3の縁面3bには、溝77が
形成されている。溝77は、ストッパ75aが嵌合可能
な形状および大きさに形成されている。また、溝77の
上部には、レンズ前面3cとほぼ平行な不貫通の穴78
が形成されている。穴78は、ピン76が嵌合可能な大
きさおよび形状に形成されている。また、穴78の加工
は、図6で示したレンズ2の穴74の加工方法と同じ方
法で行うことができる。
【0045】このような形状の溝77および穴78に
は、それぞれストッパ75aおよびピン76が嵌合固定
される。この固定には、接着剤が使用される。接着剤の
材料およびその接着方法については、図1で説明したレ
ンズ2およびヨロイ42の場合と同じである。こうして
レンズ3に固定されたブリッジ6は、板状の取り付け片
75を曲げて形成されたストッパ75aが溝77に嵌合
しているので、ピン76を軸として、レンズ3およびブ
リッジ6が互いに回転することが阻止される。また、固
定のためのピン76も1本のみなので、視野を妨げな
い。
【0046】なお、図7ではブリッジ6による右側のレ
ンズ3の保持構造について説明したが、ブリッジ6によ
る左側のレンズ2の保持構造もこれとほぼ同じなので、
ここでは説明を省略する。
【0047】また、図7では、取り付け片75に1個の
ストッパ75aを形成する例を示したが、他の端部を折
り曲げることによりストッパを2個以上形成してもよ
い。さらに、図7では、取り付け片75の下端部を曲げ
ることによりストッパ75aを形成するようにしたが、
ストッパ75aを取り付け片75の面上の一部に、ろう
付けするようにしてもよい。また、このとき、ピン76
と重なる位置にストッパ75aを取り付けてもよい。た
だし、この場合には、レンズ3側の溝77および穴78
も重なるように形成する必要がある。
【0048】図8はヨロイ42によるレンズ2の保持構
造の第3の形態を示す図であり、(A)は分解斜視図、
(B)は平面図、(C)は正面図である。なお、ここで
は、図1に示した保持構造と同一の機能については同一
符号を付して説明を省略する。ヨロイ42の先端には、
取り付け片81が設けられている。取り付け片81およ
びヨロイ42は、同一材料で一体に形成してもよいし、
別材料でそれぞれ形成して、それらをろう付け等により
接合するようにしてもよい。
【0049】取り付け片81のレンズ2側の面には、上
下方向に延びる突状のストッパ81aが形成されてい
る。ストッパ81aは、取り付け片81に対してほぼ垂
直となるように形成されている。また、ストッパ81a
の中心には、1本の円柱状のピン82が設けられてい
る。ピン82の直径は、ストッパ81aの厚みとほぼ同
じに形成されている。ピン82の先端は、取り付け片8
1の面の法線に対してレンズ前方に傾いている(図
(B)参照)。この傾き角度は、レンズ2の縁面2aの
法線に対するレンズ前面2cの角度とほぼ同じになるよ
うに設定されている。なお、ピン82およびストッパ8
1aは、同一材料で一体に形成してもよいし、別材料で
それぞれ形成して、それらをろう付け等により接合する
ようにしてもよい。
【0050】一方、レンズ2の縁面2aには、溝83が
形成されている。溝83は、上下方向に延びるように形
成されており、その長さは少なくともストッパ81aの
上下方向の長さより長く、幅および深さは、ストッパ8
1aが嵌合可能な程度に形成されている。また、溝83
の中心には、レンズ前面2cとほぼ平行な不貫通の穴8
4が形成されている。穴84は、ピン82が嵌合可能な
大きさおよび形状に形成されている。
【0051】このような形状の溝83および穴84に
は、それぞれストッパ81aおよびピン82が嵌合固定
される。この固定には、接着剤が使用される。接着剤の
材料およびその接着方法については、図1で説明したレ
ンズ2およびヨロイ42の場合と同じである。こうして
レンズ2に固定されたヨロイ42は、上下方向に延びる
ストッパ81aが溝83に嵌合しているので、ピン82
を軸にして、レンズ2およびヨロイ42が互いに回転す
ることが阻止される。また、固定のためのピン82も1
本のみなので、視野を妨げない。さらに、溝83もスト
ッパ81aの形状に応じて、薄型の溝を1本切るだけで
よいので、より加工が簡単となる。
【0052】なお、図8ではヨロイ42によるレンズ2
の保持構造について説明したが、ヨロイ52によるレン
ズ3の保持構造もこれとほぼ同じなので、ここでは説明
を省略する。
【0053】図9は第3の形態におけるレンズ2への穴
開け加工方法を示す斜視図である。まず、予め切削工具
によってレンズ2の縁面2aに溝83を形成しておき、
穴開けガイド15および段付ルーマードリル16を使用
して穴84を形成する。穴開けガイド15には、溝83
と同じ形状を有する突状部15aが形成されている。ま
た、穴開けガイド15には、上下方向に貫通するガイド
穴15bが形成されている。ガイド穴15bは、突状部
15aを溝83に嵌合させたときに、加工対象である穴
84と軸芯が一致するような向きに形成されている。
【0054】穴84を加工する場合には、穴開けガイド
15の突状部15aを溝83に嵌合させる。これによ
り、穴開けガイド15を安定した状態でレンズ2に当接
させることができる。
【0055】穴開けガイド15を溝83に嵌合させた
ら、ガイド穴15bに沿って段付ルーマードリル16の
刃16aを段部16bが穴開けガイド15に当たるまで
挿入する。これにより、レンズ2の縁面2aには、目的
とする位置および方向に、穴84が正確にかつ簡単に形
成される。また、このとき穴84の深さは、段付ルーマ
ードリル16の刃16aの長さL3 と穴開けガイド15
の高さh3 との差の値になる。したがって、予め長さL
3 と高さh3 との差が所望の長さとなるように、段付ル
ーマードリル16または穴開けガイド15のサイズを選
択すれば、所望の深さの穴84を正確に形成することが
できる。
【0056】図10はブリッジ6によるレンズ3の保持
構造の第3の形態を示す図であり、(A)は分解斜視
図、(B)は平面図、(C)は正面図である。なお、こ
こでは、図1に示した保持構造と同一の機能について
は、同一符号を付して説明を省略する。ブリッジ6の右
側の垂直部620には、取り付け片85が設けられてい
る。取り付け片85および垂直部620は、同一材料で
一体に形成してもよいし、別材料でそれぞれ形成して、
それらをろう付け等により接合するようにしてもよい。
【0057】取り付け片85のレンズ3側の面には、上
下方向に延びる突状のストッパ85aが形成されてい
る。ストッパ85aは、取り付け片85に対してほぼ垂
直となるように形成されている。また、ストッパ85a
の中心には、1本の円柱状のピン86が設けられてい
る。ピン86の直径は、ストッパ85aの厚みとほぼ同
じに形成されている。ピン86の先端は、取り付け片8
5の面の法線に対してレンズ前方に傾いている(図
(B)参照)。この傾き角度は、レンズ3の縁面3bの
法線に対するレンズ前面3cの角度とほぼ同じになるよ
うに設定されている。なお、ピン86およびストッパ8
5aは、同一材料で一体に形成してもよいし、別材料で
それぞれ形成して、それらをろう付け等により接合する
ようにしてもよい。
【0058】一方、レンズ3の縁面3bには、溝87が
形成されている。溝87は、上下方向に延びるように形
成されており、その長さは少なくともストッパ85aの
上下方向の長さより長く、幅および深さは、ストッパ8
5aが嵌合可能な程度に形成されている。また、溝87
の中心には、レンズ前面3cとほぼ平行な不貫通の穴8
8が形成されている。穴88は、ピン86が嵌合可能な
大きさおよび形状に形成されている。また、穴88の加
工は、図9で示したレンズ2の穴84の加工方法と同じ
方法で行うことができる。
【0059】このような形状の溝87および穴88に
は、それぞれストッパ85aおよびピン86が嵌合固定
される。この固定には、接着剤が使用される。接着剤の
材料およびその接着方法については、図1で説明したレ
ンズ2およびヨロイ42の場合と同じである。こうして
レンズ3に固定されたブリッジ6は、ストッパ85aが
溝87に嵌合しているので、ピン86を軸にして、レン
ズ3およびブリッジ6が互いに回転することが阻止され
る。また、固定のためのピン86も1本のみなので、視
野を妨げない。さらに、溝87もストッパ85aに応じ
て、薄型の溝を1本切るだけでよいので、より加工が簡
単となる。
【0060】なお、図10ではブリッジ6による右側の
レンズ3の保持構造について説明したが、ブリッジ6に
よる左側のレンズ2の保持構造もこれとほぼ同じなの
で、ここでは説明を省略する。
【0061】また、図1、図4、図5、図7、図8、図
10において、それぞれピン421,621,72,7
6,82,86を円柱状としたが、3角柱、4角柱、5
角柱等の多角柱であってもよい。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、眼鏡レ
ンズの縁面には1個の不貫通の穴および少なくとも1個
の溝を形成し、一方、眼鏡レンズを保持するレンズ保持
部材には、不貫通の穴に嵌合する1本のピンと、溝に嵌
合するストッパとを形成し、不貫通の穴にはピンを、溝
にはストッパをそれぞれ嵌合固定するようにしたので、
ストッパと溝との嵌合により、取り付け面に平行な方向
に対する強度を高めることができる。したがって、ピン
を軸にしてレンズ保持部材と眼鏡レンズとが互いに回転
することを防止できる。また、ストッパのレンズ内側へ
の突出量をピンより十分に小さくしても回転が防止でき
るので、有効視野を広くできる。
【0063】また、ピンも1本だけで済むので、眼鏡全
体の有効視野をより広くできる。さらに、眼鏡レンズ側
では1個の不貫通の穴と溝とを形成するだけなので、製
造が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヨロイによるレンズの保持構造の具体例を示す
図であり、(A)は分解斜視図、(B)は平面図、
(C)は正面図である。
【図2】本形態の眼鏡レンズの保持構造が適用される眼
鏡の外観構成を示す斜視図である。
【図3】レンズへの穴開け加工方法を示す斜視図であ
る。
【図4】ブリッジによるレンズの保持構造の具体例を示
す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は平面図、
(C)は正面図である。
【図5】ヨロイによるレンズの保持構造の第2の形態を
示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は平面図、
(C)は正面図である。
【図6】第2の形態におけるレンズへの穴開け加工方法
を示す斜視図である。
【図7】ブリッジによるレンズの保持構造の第2の形態
を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は平面
図、(C)は正面図である。
【図8】ヨロイによるレンズの保持構造の第3の形態を
示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は平面図、
(C)は正面図である。
【図9】第3の形態におけるレンズへの穴開け加工方法
を示す斜視図である。
【図10】ブリッジによるレンズの保持構造の第3の形
態を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は平面
図、(C)は正面図である。
【符号の説明】
1 眼鏡 2,3 レンズ 2a,2b,3a,3b 縁面 4,5 テンプル部 6 ブリッジ 11 穴開けガイド 12 段付ルーマードリル 21 (嵌合)溝 22 (不貫通の)穴 41 テンプル 42 ヨロイ 421 ピン 422 ストッパ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縁無しタイプの眼鏡に適用される眼鏡レ
    ンズの保持構造において、 前記眼鏡レンズの縁面には、1個の不貫通の穴および少
    なくとも1個の溝が形成され、一方、前記眼鏡レンズを
    保持するレンズ保持部材には、前記不貫通の穴に嵌合す
    る1本のピンと、前記溝に嵌合するストッパとが形成さ
    れ、前記不貫通の穴には前記ピンが、前記溝には前記ス
    トッパがそれぞれ嵌合固定されており、 前記ストッパのレンズ内側への突出量が、前記ピンのレ
    ンズ内側への突出量より小さい ことを特徴とする眼鏡レ
    ンズの保持構造。
  2. 【請求項2】 前記ストッパは、前記眼鏡レンズの縁面
    とほぼ平行な板状に形成される一方、前記ピンは、前記
    ストッパの面上の一部分から前記縁面側に向くように形
    成されていることを特徴とする請求項1記載の眼鏡レン
    ズの保持構造。
  3. 【請求項3】 前記ストッパは、前記眼鏡レンズの縁面
    とほぼ平行な板状部材の面上に前記眼鏡レンズの縁面に
    沿って横方向に延びるように形成されている一方、前記
    ピンは、前記板状部材の面上に前記縁面側に向くように
    形成されていることを特徴とする請求項1記載の眼鏡レ
    ンズの保持構造。
  4. 【請求項4】 前記ストッパは、前記眼鏡レンズの縁面
    に沿って上下方向に延びるように形成される一方、前記
    ピンは、前記ストッパの一部分から前記縁面側に向くよ
    うに形成されていることを特徴とする請求項1記載の眼
    鏡レンズの保持構造。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3003032U (ja) 1994-04-12 1994-10-11 株式会社栄光眼鏡 ツーポイント眼鏡

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