JP3442841B2 - Lc素子及び半導体装置 - Google Patents

Lc素子及び半導体装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置等に組み込
まれて、あるいは単体で所定の周波数帯域を減衰させる
ことができるLC素子及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子技術の発達に伴い、電子回路
は各種分野において幅広く用いられており、従ってこれ
ら各電子回路を外部からの影響を受けることなく安定し
て確実に動作させることが望まれる。
【0003】しかし、このような電子回路には、直接あ
るいは間接的に外部からノイズが侵入する。このため、
電子回路を使用した各種電子機器に誤動作が引き起こさ
れる場合が少なくないという問題がある。
【0004】特に、電子回路は、直流電源としてスイッ
チングレギュレータを用いる場合が多い。従って、スイ
ッチング等の過渡電流により、または使用するデジタル
ICのスイッチング動作に起因する負荷変動により、ス
イッチングレギュレータの電源ラインには各種の周波数
成分を持った大きなノイズが発生することが多い。そし
て、これらのノイズは、同じ機器内の他の回路へ電源ラ
インを介して、または輻射により伝搬され誤動作やS/
N比の低下等の悪影響を及ぼし、さらに近くで使用中の
他の電子機器の誤動作を引き起こすことがある。
【0005】このようなノイズを除去するため、一般に
電子回路では各種のノイズフィルタが用いられている。
特に、近年では各種構成の電子機器を多数使用している
ため、ノイズに対する規制もますます激しくなってお
り、このため発生するノイズを確実に除去することがで
きる小型でしかも高性能なノイズフィルタとして機能す
るLC素子の開発が望まれる。
【0006】このようなLC素子の1つとして、特開平
3−259608号公報に開示されたLCノイズフィル
タが知られている。このLCノイズフィルタは、L成分
とC成分とが分布定数的に存在するものであり、集中定
数タイプのLCノイズフィルタに比べて比較的広い帯域
にわたって良好な減衰特性を得ることができるというも
のである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したL
Cノイズフィルタは、絶縁シートの一方の面にキャパシ
タ用導電体を、他方の面にインダクタ用導電体をそれぞ
れ形成した後に、この絶縁シートを折りたたむことによ
り製造されるものであり、絶縁シートの折り返し等の工
程が必要なため製造工程が複雑になるという問題があっ
た。
【0008】また、このLCノイズフィルタをICやL
SIの電源ラインあるいは信号ラインを直接挿入して使
用する場合には、LCノイズフィルタとIC等とを配線
しなければならず、部品組み付けの手間がかかるという
問題があった。
【0009】また、このLCノイズフィルタは部品単体
として形成されるため、ICやLSIの回路に含ませ
て、すなわちICやLSI等の内部配線管に挿入するこ
とがほとんど不可能であるという問題があった。
【0010】さらに、このLCノイズフィルタにおいて
分布定数的に形成されるキャパシタンスは、インダクタ
用導電体とキャパシタ用導電体のそれぞれの形状や配置
により決定されるため、部品として完成した後はキャパ
シタンスが一定となり、全体としての特性も固定化され
てしまい汎用性がないという問題があった。例えば、キ
ャパシタンスを変更したい場合にはインダクタ用導電体
あるいはキャパシタ用導電体の形状を変更する必要があ
り、組み込んだ回路中で必要に応じてキャパシタンスを
任意に変更して使用することは困難である。
【0011】そこで、本発明はこのような点に鑑みて創
作されたものであり、その目的は、製造が簡単であり後
工程における部品の組み付け作業を省略することがで
き、しかもICやLSIの一部として形成することが可
能なLC素子及び半導体装置を提供することにある。
【0012】また、本発明の他の目的は、分布定数的に
存在するキャパシタンスを変更することができるLC素
子及び半導体装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1のLC素子は、n領域あるいはp領域
のいずれか一方の単一層が表面側に形成された半導体基
板と、前記半導体基板上に形成された非スパイラル形状
の第1の電極と、非スパイラル形状の前記第1の電極に
対して、ほぼ同一平面内であってほぼ平行に隣接して形
成された非スパイラル形状の第2の電極と、前記第1お
よび第2の電極の少なくとも一方と、前記半導体基板と
の間に形成された絶縁層と、を備え、非スパイラル形状
の前記第1の電極と前記第2の電極のそれぞれによって
形成されるインダクタと、これらの間に形成されるキャ
パシタとが分布定数的に存在し、非スパイラル形状の前
記第1の電極および前記第2の電極の少なくとも一方を
信号入出力路として用いることを特徴とする。
【0014】請求項2のLC素子は、半導体基板の一方
の面側に形成された非スパイラル形状の第1の電極と、
前記半導体基板の他方の面側に形成され、非スパイラル
形状の前記第1の電極とほぼ対向する位置に形成された
非スパイラル形状の第2の電極と、前記第1および第2
の電極の少なくとも一方と前記半導体基板との間に形成
された絶縁層と、を備え、非スパイラル形状の前記第1
の電極と前記第2の電極のそれぞれによって形成される
インダクタと、これらの間に形成されるキャパシタとが
分布定数的に存在し、非スパイラル形状の前記第1の電
極および前記第2の電極の少なくとも一方を信号入出力
路として用いることを特徴とする。
【0015】請求項3のLC素子は、請求項1又は2の
LC素子において、前記第1および第2の電極の形状
は、蛇行形状であることを特徴とする。
【0016】請求項4のLC素子は、請求項1又は2の
LC素子において、前記第1および第2の電極の形状
は、波形形状であることを特徴とする。
【0017】請求項5のLC素子は、請求項1又は2の
LC素子において、前記第1および第2の電極の形状
は、曲線形状であることを特徴とする。
【0018】請求項6のLC素子は、請求項1又は2の
LC素子において、前記第1および第2の電極の形状
は、直線形状であることを特徴とする。
【0019】請求項7のLC素子は、請求項1〜6のい
ずれかのLC素子において、前記半導体基板表面であっ
て非スパイラル形状の前記第1の電極に対応する位置
に、予めキャリアを注入することを特徴とする。
【0020】請求項8のLC素子は、請求項1〜7のい
ずれかのLC素子において、非スパイラル形状の前記第
1の電極に対して、前記第2の電極の長さを長くあるい
は短く設定することにより、これら第1および第2の電
極を部分的に対応させることを特徴とする。
【0021】請求項9のLC素子は、請求項1,3〜8
のいずれかのLC素子において、前記半導体基板に代え
て、非スパイラル形状の前記第1および第2の電極に沿
って非スパイラル形状のn領域あるいはp領域からなる
反転層が形成された半導体基板を用いることを特徴とす
る。
【0022】請求項10のLC素子は、請求項2〜8の
いずれかのLC素子において、前記半導体基板に代え
て、前記第1および第2の電極の各導体部分の間にn領
域あるいはp領域からなる反転層が形成された半導体基
板を用いることを特徴とする。
【0023】請求項11のLC素子は、請求項1〜10
のいずれかのLC素子において、非スパイラル形状の前
記第1および第2の電極のいずれか一方を複数に分割
し、分割された複数の電極片のそれぞれの一部を電気的
に接続することを特徴とする。
【0024】請求項12のLC素子は、請求項1〜10
のいずれかのLC素子において、非スパイラル形状の前
記第1および第2の電極の一方の両端付近のそれぞれに
電気的に接続された第1および第2の入出力電極と、非
スパイラル形状の前記第1および第2の電極の他方の一
方端付近に電気的に接続されたアース電極と、を有し、
前記第1および第2の入出力電極のいずれか一方から信
号を入力し、他方から信号を出力するとともに、前記ア
ース電極を固定電位の電源に接続あるいは接地すること
を特徴とする。
【0025】請求項13のLC素子は、請求項1〜10
のいずれかのLC素子において、非スパイラル形状の前
記第1および第2の電極の一方の両端付近のそれぞれに
電気的に接続された第1および第2の入出力電極と、非
スパイラル形状の前記第1および第2の電極の他方の両
端付近のそれぞれに電気的に接続された第3および第4
の入出力電極と、を有し、非スパイラル形状の前記第1
の電極と前記第2の電極の両方を信号入出力路とするコ
モンモード型の素子として用いられることを特徴とす
る。
【0026】請求項14のLC素子は、請求項1〜13
のいずれかのLC素子において、非スパイラル形状の前
記第1の電極および前記第2の電極のそれぞれに印加す
る電圧を可変に設定することにより、非スパイラル形状
の前記第1の電極あるいは前記第2の電極の少なくとも
一方に対応した前記半導体基板表面の位置に非スパイラ
ル形状の反転領域を発生させ、あるいは発生したこの反
転領域を消滅させることを特徴とする。
【0027】請求項15の半導体装置は、請求項1〜1
4のいずれかのLC素子を基板の一部として形成し、非
スパイラル形状の前記第1の電極および前記第2の電極
の少なくとも一方を信号ラインあるいは電源ラインに挿
入して一体成形したことを特徴とする。
【0028】請求項16のLC素子は、請求項1〜11
のいずれかのLC素子において、全表面に化学液相法に
より絶縁膜を形成し、この絶縁膜の一部をエッチングあ
るいはレーザ光照射によって除去して孔をあけ、その孔
を半田で表面に盛り上がる程度に封じることにより端子
付けを行うことを特徴とする。
【0029】請求項17のLC素子は、請求項1〜11
のいずれかのLC素子において、非スパイラル形状の前
記第1および第2の電極の少なくとも一方に過電圧を動
作電源ライン側あるいはアース側にバイパスさせる保護
回路を設けたことを特徴とする。
【0030】
【作用】請求項1のLC素子では、半導体基板の表面側
に非スパイラル形状の第1および第2の電極がほぼ平行
に形成されている。また、これら2つの電極の少なくと
も一方と半導体基板との間には絶縁層が形成されてお
り、これら第1あるいは第2の電極と絶縁層と半導体基
板とからなるMOS構造となっている。
【0031】一般には、導体を渦巻き形状に形成するこ
とによりインダクタとして機能するが、その導体の形状
を工夫することにより、あるいは使用する周波数帯域に
よっては導体を渦巻き形状以外の形状とした場合でもイ
ンダクタとして機能するようになる。
【0032】上述した構造を有する請求項1のLC素子
は、非スパイラル形状の第1および第2の電極のそれぞ
れがインダクタとして機能することになり、しかも、こ
れら第1および第2の電極のそれぞれは半導体基板と直
接、あるいは絶縁層を介して間接的に接続されているた
め、結果として第1および第2の電極間には非スパイラ
ル形状の電極に沿って分布定数的にキャパシタが形成さ
れることになる。
【0033】したがって、非スパイラル形状の第1ある
いは第2の電極の一方端に入力された信号は、分布定数
的に存在するインダクタおよびキャパシタを介して伝搬
される際に、広い帯域にわたり良好な減衰特性が得られ
る。
【0034】特に、請求項1のLC素子は、半導体基板
表面に絶縁層と非スパイラル形状の第1および第2の電
極を形成することにより製造することができ、製造が非
常に容易となる。また、このLC素子は、半導体基板上
に形成されるため、ICやLSIの一部として形成する
ことも可能であり、このような部品の一部として形成し
た場合には、後工程における部品の組み付け作業を省略
することができる。
【0035】また、請求項2のLC素子は、上述した非
スパイラル形状の第1および第2の電極のそれぞれを半
導体基板を挟んでほぼ対向配置したものであり、これら
の各電極がインダクタ導体として機能するとともにこれ
ら各電極間に分布定数的にキャパシタが形成される点は
請求項1のLC素子と全く同様に考えることができる。
したがって、請求項2のLC素子によれば、広い帯域に
わたって良好な減衰特性を有するとともに、製造が容易
であり基板の一部として形成することが可能となる。
【0036】また、請求項3〜6のLC素子は、上述し
た電極の非スパイラル形状を具体的に蛇行形状,波形形
状,曲線形状,直線形状に特定したものである。
【0037】すなわち、電極を蛇行形状あるいは波形形
状とした場合には、各凹凸部の1つ1つが約1/2ター
ンのコイルとなってこれらが直列に接続されるため、全
体として所定のインダクタンスを有することになる。特
に、蛇行形状とすることにより、隣接する電極を接近さ
せることができるため、スペースの有効利用を図ること
ができる。また、使用する周波数帯域を高周波領域に限
った場合には、電極を曲線形状あるいは直線形状とした
場合にも所定のインダクタンスを有することになり、電
極を蛇行形状等に形成した場合と同様の動作を行わせる
ことができる。
【0038】また、請求項7のLC素子では、第1の電
極に対応する位置に予めキャリアが注入されている。一
般に、上述したLC素子はMOS構造を有しているた
め、ゲートとして機能する第1あるいは第2の電極に所
定の電圧を印加しているときに半導体基板表面に反転領
域が発生し、さらにこの反転領域の回りには空乏層が形
成される。したがって、この反転領域および空乏層の有
無により第1および第2の電極間に形成されるキャパシ
タンスの値が変化することになるが、半導体基板表面に
予めキャリアを注入しておくことにより、この反転領域
および空乏層が形成されるタイミングをずらしてLC素
子の特性を変更することができる。
【0039】また、請求項8のLC素子では、第1およ
び第2の電極のいずれか一方を相対的に短く形成してお
り、この場合であっても同様に、長さが異なる第1およ
び第2の電極のそれぞれはインダクタとして機能し、こ
れらの電極間には半導体基板と絶縁層を挟んで形成され
るキャパシタが分布定数的に存在する。したがって、こ
のLC素子は広い帯域にわたって良好な減衰特性を有す
るとともに、製造が容易であり基板の一部として形成す
ることが可能であるという効果がある。
【0040】また、請求項9のLC素子では、上述した
各LC素子(請求項2のLC素子を除く)がn領域ある
いはp領域からなる単一層を利用して形成されていたの
に対し、第1および第2の電極に沿って非スパイラル形
状のn領域あるいはp領域の反転層が形成された半導体
基板を用いている点が異なっている。すなわち、この場
合には隣接する非スパイラル形状の反転層同士に着目す
るとnpn構造あるいはpnp構造となるため、良好な
アイソレーションを行うことができる。したがって、平
行に形成された1組の第1および第2の電極の間にのみ
分布定数的にキャパシタが形成される状態を容易につく
ることができ、このLC素子は広い帯域にわたって良好
な減衰特性を有することができる。
【0041】また、請求項10のLC素子では、上述し
た各LC素子(請求項1のLC素子を除く)に比べる
と、半導体基板内で隣接する第1の電極間および第2の
電極間に反転層が形成されている点が異なっている。す
なわち、ほぼ対向して配置される第1の電極と第2の電
極以外は、間にあるnpn構造あるいはpnp構造を介
して接続されることになるため、良好なアイソレーショ
ンを行うことができる。したがって、対向して配置され
た1組の第1および第2の電極の間にのみ分布定数的に
キャパシタが形成される状態を容易につくることがで
き、このLC素子は広い帯域にわたって良好な減衰特性
を有することができる。
【0042】また、請求項11のLC素子では、非スパ
イラル形状の第1あるいは第2の電極を複数の電極片に
分割するとともにこれら各電極片の一部を電気的に接続
して使用する。この場合には、各電極片の自己インダク
タンスが小さくなり、この各電極片の自己インダクタン
スの影響が少ない分布定数型のLC素子を形成すること
ができる。
【0043】また、請求項12のLC素子では、非スパ
イラル形状の第1および第2の電極のいずれか一方の両
端付近のそれぞれに接続された第1および第2の入出力
電極を設けるとともに、非スパイラル形状の第1および
第2の電極のいずれか他方の一方端近傍にアース電極を
設けることにより、非スパイラル形状の一方の電極が信
号入出力路として使用される3端子型のLC素子を容易
に形成することができる。
【0044】また、請求項13のLC素子では、上述し
た非スパイラル形状の第1および第2の電極のいずれか
他方の両端近傍にも第3および第4の入出力電極を設け
ており、非スパイラル形状の2つの電極の両方が信号入
出力路として使用される4端子コモンモード型のLC素
子を容易に形成することができる。
【0045】また、請求項14のLC素子では、非スパ
イラル形状の第1および第2の電極に印加する電圧を可
変に設定することにより、すなわちこれら2つの電極間
の電位差を変更することにより、半導体基板表面に反転
層を発生させ、あるいは発生した反転層を消滅させてい
る。上述したように、反転層の外周には空乏層が形成さ
れるため、反転層を発生させるか否かによって非スパイ
ラル形状の2つの電極間のキャパシタンスも変化するこ
とになり、必要に応じて減衰特性を切り換えることがで
きる。
【0046】また、請求項15の半導体装置では、上述
した各請求項のLC素子を基板の一部に、信号ラインあ
るいは電源ラインに挿入するように形成している。これ
により、半導体基板上の他の部品と一体的に製造するこ
とができ、製造が容易になるとともに後工程における部
品の組み付け作業が不要となる。
【0047】また、請求項16のLC素子は、上述した
請求項1〜11のいずれかのLC素子を、半導体基板上
に形成した後に化学液相法により全表面に絶縁膜を形成
する。その後、この絶縁膜の一部にエッチングやレーザ
光照射により孔をあけ、この孔に半田を盛ることにより
端子付けが行われる。したがって、表面実装型のLC素
子を簡単に製造することができ、表面実装型とすること
によりこのLC素子の組み付け作業も容易となる。
【0048】また、請求項17のLC素子では、第1お
よび第2の電極の少なくとも一方に保護回路が接続され
ており、これらの電極に対して過電圧が印加されると、
動作電源ライン側あるいはアース側にバイパス電流が流
れ、第1および第2の電極と半導体基板との間の絶縁破
壊を防止することができる。
【0049】
【実施例】以下、本発明を適用した一実施例のLC素子
について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0050】第1実施例 図1は、本発明を適用した第1実施例のLC素子の平面
図である。また、図2は図1のA−A線拡大断面図、図
3は図1のB−B線拡大断面図、図4は図1のC−C線
拡大断面図である。
【0051】これらの図に示すように、本実施例のLC
素子100は、半導体基板であるp型シリコン基板(p
−Si基板)30の一方の面側に形成された蛇行形状の
第1の電極10,第2の電極26および絶縁層28を含
んでいる。
【0052】第1および第2の電極10,26のそれぞ
れは、例えばアルミニウムや銅あるいは金等の薄膜を蒸
着することにより、あるいは拡散またはイオン注入でP
を多量にドープすることにより形成する。
【0053】絶縁層28は、p−Si基板30の表面に
おいて、このp−Si基板30と第1の電極10とを絶
縁するためのものである。図2(A)に示すように、第
2の電極26を除くp−Si基板30の全表面がこの絶
縁層28によって覆われており、さらにこの絶縁層28
の表面に上述した第1の電極10が形成される。この絶
縁層28は、例えばPを添加したSiO2 (P−ガラ
ス)によって形成されている。
【0054】また、上述した第1の電極10とほぼ平行
に第2の電極26が形成されている。この第2の電極2
6と第1の電極10との間に所定の電圧を印加すること
により、第1の電極10に対向するp−Si基板30の
表面にn型の反転領域22が形成されるようになってい
る。
【0055】また、上述した第1の電極10および第2
の電極26のそれぞれには、図1,3,4に示すよう
に、アース電極16および入出力電極18,20が接続
されている。
【0056】上述したように、本実施例のLC素子10
0は、第1の電極10と絶縁層28とp−Si基板30
とからなるMOS構造あるいはMIS構造を有してお
り、p−Si基板30の表面に予めキャリアが注入され
ていないエンハンスメント型の構造を有しているものと
すれば、第1の電極10に正の電圧(第2の電極26に
印加されている電圧に対して相対的に正の電圧を意味す
る)が印加されたときに初めて反転領域22が形成され
ることになる。
【0057】図2(A)および(B)は、反転領域が形
成される状態を示す図である。第1の電極10に対し
て、すなわち第1の電極10に接続された入出力電極1
8,20に所定の正電圧が印加されていない状態では、
同図(A)に示すようにp−Si基板30の表面には反
転領域22が現われない。
【0058】ところが、第1の電極10に対して所定の
正電圧を印加すると、図2(B)に示すように、第1の
電極10に対応するp−Si基板30の表面付近にn領
域からなる反転領域22が出現する。また、p−Si基
板30の内部であってこの反転領域22の外側には、第
1の電極10に印加された正電圧によって正孔が排除さ
れた空乏層32が形成される。したがって、反転領域2
2が現れた場合には、この空乏層32を挟んで反転領域
22内の電子とp−Si基板30内の正孔とが対向して
配置され、キャパシタが形成される。しかも、このキャ
パシタは第1の電極10のほぼ全長にわたって形成され
るため、p−Si基板30に接続された第2の電極26
と第1の電極10との間には分布定数的にキャパシタが
形成されることになる。
【0059】図5は、蛇行形状の電極によって形成され
るインダクタの原理を示す図である。同図に示すよう
に、凹凸状に屈曲した蛇行形状を有する第1の電極10
あるいは第2の電極26に一方向の電流を流した場合に
は、隣接する凹凸部分で向きが反対となるような磁束が
交互に発生し、あたかも1/2ターンのコイルが直列に
接続された状態になる。実際に、蛇行形状の電極と渦巻
き形状の電極とを比較すると、電極の幅および隣接する
電極の間隔を同一にしたときには、同じ面積に形成する
ことができる電極の長さは、蛇行形状の電極の方が渦巻
き形状の電極よりも長くなり、インダクタンスの値には
あまり差がないことが確認されている。
【0060】また、渦巻き形状の電極にした場合には、
電極の両端部の内の一方が中心部に位置し、他方が周辺
部に位置するのに対し、蛇行形状の電極では電極の両端
が周辺部に位置するので、端子を設けたり他の回路素子
と接続する際に好都合である。
【0061】図6は、第1実施例のLC素子100の等
価回路を示す図である。同図(A)に示す等価回路は、
図2(A)に対応する回路であり、絶縁層28を挟んで
配置された第1の電極10とp−Si基板30との間
に、すなわちp−Si基板30に直接接続された第2の
電極26と第1の電極10との間にキャパシタが形成さ
れた様子が示されている。
【0062】一般にp−Si基板30は比抵抗が大きい
ため、最も接近して配置された第1の電極10と第2の
電極26との間に形成されたキャパシタのキャパシタン
スに比べて、それ以外の第1の電極10と第2の電極2
6との間に形成されるキャパシタのキャパシタンスは極
端に小さくなる。したがって、隣接して配置された1組
の電極10,26のみの間に分布定数的にキャパシタが
形成されることになる。
【0063】また、同図(A)に示す回路は、第1の電
極10を信号の入出力路に用いるとともに、アース電極
16を接地した場合が示されており、3端子型の素子と
して機能するものである。
【0064】この場合には、第1の電極10がインダク
タンスL1を有するインダクタ導体として機能するとと
もに、第2の電極26がインダクタンスL2を有するイ
ンダクタ導体として機能する。また、上述したように、
これら2つのインダクタ導体間(第1および第2の電極
間)には所定のキャパシタンスCを有するキャパシタが
分布定数的に形成される。したがって、このLC素子1
00は従来の集中定数型の素子にはない優れた減衰特性
を発揮することができ、入出力電極18,20のいずれ
か一方から入力された信号からは所定の周波数成分のみ
が除去され他方から出力されるようになる。
【0065】なお、同図(A)にはアース電極16を接
地する場合を示したが、このアース電極16を所定の電
位を有する電源に接続するようにしてもよい。
【0066】また、図6(B)は、入出力電極18とア
ース電極16との間に可変のバイアス電圧を印加するた
めの可変バイアス回路12を接続した場合の等価回路を
示すものである。上述したように、第1の電極10側に
所定の正電圧を印加した場合にp−Si基板30表面に
反転領域22および空乏層32が現れる。このため、同
図(B)に示すように、絶縁層28を挟んで形成される
キャパシタとこの空乏層32を挟んで形成されるキャパ
シタとが直列に接続される状態となり、同図(A)に示
す場合に比べると分布定数的に形成されるキャパシタの
キャパシタンスCが小さくなる。
【0067】したがって、可変バイアス回路12によっ
て印加するバイアス電圧を切り換えることにより、第1
の電極10と第2の電極26との間に分布定数的に形成
されるキャパシタンスCも切り替わることになり、全体
としてLC素子100の減衰特性が変化することにな
る。
【0068】なお、同図(B)では可変バイアス回路1
2を追加することにより第2の電極26よりも第1の電
極10に印加される信号の電圧レベルの方を高く設定す
る場合を説明したが、可変バイアス回路12を追加せず
に、入出力電極18に入力される信号の平均電圧レベル
自体をアース電極16に印加する信号の電圧よりも高く
保つようにしてもよい。
【0069】次に、本実施例のLC素子100の製造工
程について説明する。
【0070】(1)酸化膜の形成:まず最初に、p−Si
基板30の表面を熱酸化することにより、酸化膜(Si
2 )を形成する。
【0071】(2)第1の電極に対応する部分の除去:次
に、第1の電極10を形成したい部分の酸化膜を除去す
ることにより開口部を形成する。本実施例のLC素子1
00の場合は、第1の電極10を蛇行形状に形成する必
要があるため、この開口部の形成も蛇行形状になるよう
に行われる。このようにして第1の電極10に対応する
部分のp−Si基板30が露出することになる。
【0072】(3)酸化膜の形成:次に、このようにして
部分的に露出したp−Si基板30に対して新しい酸化
膜、すなわち絶縁層28の形成を行なう。
【0073】(4)第1の電極およびその他の電極の形
成:次に、例えばアルミニウムを蒸着することにより、
第1の電極10を形成するとともに、この第1の電極に
接続される入出力電極18,20を形成する。
【0074】なお、上述した(2)〜(4)の工程に前後し
て、あるいは(2)〜(4)の工程と並行して第2の電極2
6に対応する部分の窓あけを行ない、この第2の電極2
6およびそれに接続されるアース電極16の形成を行な
う。
【0075】(5)絶縁層の形成:最後に、全面にP−ガ
ラスを付着させた後、加熱して平滑な表面を形成する。
【0076】このようにしてLC素子100を製造する
工程は、基本的には通常のMOS・FETを製造する工
程と類似しており、あるいは通常のMOS・FETを製
造する工程を簡略化したものである。したがって、製造
そのものは、フォトマスクの形状を変更したり、一般の
MOS・FETを製造する工程の順序を一部変更するこ
とにより対応することができ、そのため一般のMOS・
FETやバイポーラトランジスタと同一基板上に形成す
ることも可能となる。したがって、ICやLSIの一部
として形成することができ、これらの部品の一部として
形成した場合には、後工程における部品の組み付け作業
を省略することができる。
【0077】このように、本実施例のLC素子100
は、第1の電極10および第2の電極26のそれぞれが
インダクタを形成するとともに、これら第1の電極10
と第2の電極26との間には分布定数的にキャパシタが
形成される。したがって、第2の電極26の一方端に設
けられたアース電極16を接地あるいは固定電位に接続
するとともに、第1の電極10を信号の入出力路として
用いた場合には、入力された信号に対して広い帯域で良
好な減衰特性を有するLC素子となる。
【0078】また、上述したようにこのLC素子100
は、一般のMOS・FET等の製造技術を応用して製造
することができるため、製造が容易であり小型化等にも
適している。また、半導体基板の一部としてLC素子を
製造した場合には、他の部品との配線も同時に行なうこ
とができ、後工程における組み付け作業等が不要とな
る。
【0079】また、本実施例のLC素子100は、第1
の電極10に印加するバイアス電圧を変えることによ
り、第1の電極10に対向する位置に反転領域22を発
生させ、あるいはこの発生させた反転領域22を消滅さ
せることにより、第1の電極10と第2の電極26との
間に分布定数的に形成されるキャパシタのキャパシタン
スを切り替えることができ、LC素子100の全体の周
波数特性を調整あるいは変更することができる。
【0080】なお、上述した第1実施例は、第1の電極
10を信号の入出力路として用いたが、第2の電極26
を信号の入出力路として用いるようにしてもよい。すな
わち、図7に示すように、第2の電極26の両端に入出
力電極18,22を接続することによりこの第2の電極
26を信号の入出力路として用いるとともに、第1の電
極10の一方端にアース電極16を接続し、このアース
電極16を接地あるいは固定電位に接続する。このよう
にした場合には、接地あるいは固定電位に接続される第
1の電極10に対向する位置に反転領域22が形成され
ることになるが、図6(B)に示したように2つのキャ
パシタが直列に接続される状態に変わりはなく、入出力
電極18とアース電極16との相対的電位を変えること
によりLC素子100全体としての周波数特性を変える
ことができる点も同じである。
【0081】図8は、第2の電極26をp−Si基板3
0の反対の面(裏面)側に第1の電極10にほぼ対向す
るように配置した場合の変形例を示す図である。また、
図9は図8のA−A線拡大断面を示す図であり、図2に
対応するものである。図10は、第2の電極26の両端
に入出力電極18,20を接続することによりこの第2
の電極26を信号の入出力路として用いるとともに、第
1の電極10の一方端にアース電極16を接続し、この
アース電極16を接地あるいは固定電位に接続する場合
の変形例を示す図であり、図7に対応するものである。
【0082】このように、蛇行形状の第1および第2の
電極10,26をp−Si基板30を挟んでほぼ対向さ
せて配置した場合であっても、図1あるいは図7に示し
たLC素子100と同様に、第1および第2の電極1
0,26のそれぞれがインダクタとして機能するととも
に、これらの間には分布定数的にキャパシタが形成され
ることに変わりはなく、良好な周波数特性を有するとと
もに製造容易等の利点を有することになる。特に、この
ように第1および第2の電極10,26をほぼ対向させ
る場合には、図1に示したようにほぼ同一面内に平行に
配置した場合に比べて、実装面積を小さくできる利点も
ある。
【0083】第2実施例 次に、本発明の第2実施例のLC素子について、図面を
参照しながら具体的に説明する。
【0084】上述した第1実施例のLC素子100は、
第1の電極10と第2の電極26とがほぼ全長にわたっ
て平行に、すなわちほぼ同一の長さに形成されたもので
あるが、本実施例のLC素子200は、図1に示した第
2の電極26を約半分の長さにした点に特徴がある。
【0085】図11は、第2の実施例のLC素子200
の平面図である。同図に示すように、第2の電極26の
一部を省略した場合であっても、短くなった第2の電極
26とそれよりも長い第1の電極10とにより形成され
る各インダクタと、これら第1の電極10と第2の電極
26とにより形成されるキャパシタとが分布定数的に形
成されるため、図1に示した第1実施例のLC素子10
0と同様に良好な減衰特性を有することになる。
【0086】図12は、本実施例のLC素子200の等
価回路を示す図である。同図に示すように、第2の電極
26の蛇行数が少くなった分だけインダクタンスL3も
小さくなり、これに対応して分布定数的に存在するキャ
パシタンスC1も小さくなる。
【0087】また、第1の電極10に印加する電圧(入
出力電極18に印加するバイアス電圧)を変えることに
より、第1の電極10と蛇行数を少なくした第2の電極
26との間に形成されるキャパシタンスも変化し、LC
素子200の減衰特性を可変に制御できる点は上述した
第1実施例のLC素子100と同様である。
【0088】このように、本実施例のLC素子200
は、第1の電極10とこの第1の電極10より短い第2
の電極26とによりインダクタとキャパシタが分布定数
的に形成され、良好な減衰特性をもった素子として機能
することができる。
【0089】また、LC素子200を半導体製造技術を
利用して製造できる点や、LSI等の一部として形成す
ることができるとともに、この場合には後工程における
配線処理を省略できる点、第1の電極10に印加する相
対的な電圧を変えることにより周波数特性を変更できる
点等については上述した第1実施例のLC素子100と
同じである。
【0090】なお、本実施例のLC素子200は、第1
の電極10を信号の入出力路として用いたが、第2の電
極26を信号の入出力路として用い、第1の電極10側
を接地あるいは固定電位に接続するようにしてもよい。
【0091】図13は、第2の電極26を信号の入出力
路として使用する場合の変形例を示す図であり、第1実
施例の図7に対応するものである。この場合は、第2の
電極26の両端に入出力電極18,20を接続するとと
もに、第1の電極10の一方端にアース電極16を接続
する。
【0092】このような場合であっても、短い第1の電
極10と長い第2の電極26とがそれぞれインダクタと
して機能するとともに、これらの間に分布定数的にキャ
パシタが形成されるため、図11に示すLC素子200
と同様に良好な減衰特性が得られる。
【0093】図14は、短い第2の電極26をp−Si
基板30の反対の面側に第1の電極10にほぼ対向する
ように配置した場合の変形例を示す図である。また、図
15は第2の電極26をp−Si基板30の反対の面側
に第1の電極10にほぼ対向するように配置するととも
に、第1の電極10を短くした変形例を示す図であり、
図10に対応している。
【0094】これらの図に示すように、蛇行形状で長さ
が異なる2つの入出力電極10,26をほぼ対向させて
配置した場合であっても、図11あるいは図13に示し
たLC素子200と同様に、第1および第2の電極1
0,26のそれぞれがインダクタとして機能することと
もに、これらの間に分布定数的にキャパシタが形成され
ることに変わりはなく、良好な周波数特性を有するとと
もに製造容易等の利点を有することになる。
【0095】第3実施例 次に、本発明の第3実施例のLC素子300について、
図面を参照しながら具体的に説明する。
【0096】上述した第1実施例のLC素子100およ
び第2実施例のLC素子200は、3端子のノーマルモ
ード型素子として機能するものであるが、本実施例のL
C素子300は、4端子型のコモンモード型素子として
機能するように形成されている点に特徴がある。
【0097】図16は、第3実施例のLC素子の平面図
である。同図に示すように、第3実施例のLC素子30
0は、第2の電極26の両端に入出力電極36,38が
設けられており、この点が図1に示したLC素子100
と異なっている。
【0098】図17は、第3実施例のLC素子の等価回
路を示す図である。同図に示すように、2つの入出力電
極18,20の間に形成された第1の電極10がインダ
クタンスL1を有するインダクタとして機能するととも
に、2つの入出力電極36,38間に形成された第2の
電極26がインダクタンスL2を有するインダクタとし
て機能する。しかも、これら第1および第2の電極1
0,26とがそれぞれ信号の入出力路として使用される
とともに、これらの間には第1実施例のLC素子100
と同様にキャパシンタンスCを有するキャパシタが分布
定数的に形成される。
【0099】このように、本実施例のLC素子300
は、第1の電極10のみならず第2の電極26の両端に
も2つの入出力電極36,38を設けることにより、良
好な減衰特性をもった4端子コモンモード型素子として
機能することができる。また、入出力電極18,36間
に印加するバイアス電圧、あるいはこれらに入力する信
号の平均電圧差を変えることにより、第1の電極10と
第2の電極26との間に分布定数的に形成されるキャパ
シタのキャパシタンスCを変えることでき、LC素子3
00全体の減衰特性を可変に制御することができる。
【0100】図18は、第2の電極26をp−Si基板
30の反対の面側に第1の電極10にほぼ対向するよう
に配置した場合の変形例を示す図である。同図に示すよ
うに、蛇行形状の2つの電極10,26をほぼ対向させ
て配置した場合であっても、図16に示したLC素子3
00と同様に、第1および第2の電極10,26のそれ
ぞれがインダクタとして機能し、これらの間に分布定数
的にキャパシタが形成される4端子コモンモード型素子
とすることができ、良好な周波数特性を有するとともに
製造容易等の利点を有することになる。
【0101】第4実施例 次に、本発明の第4実施例のLC素子について、図面を
参照しながら具体的に説明する。
【0102】上述した各実施例のLC素子100,20
0,300のそれぞれは、第2の電極26を1本の導体
で形成していたが、本実施例LC素子400はこの第2
の電極26を複数の(例えば2本の)分割電極片26−
1,26−2に分割した点に特徴がある。
【0103】図19は、第4実施例のLC素子の平面図
である。同図に示すように、第4実施例のLC素子40
0は、図1に示したLC素子100に用いられている第
2の電極26を2本の分割電極片26−1,26−2に
置き換えた構造を有している。全体として蛇行形状を有
するこれらの分割電極片26−1,26−2のそれぞれ
にはアース電極16が接続されており、2つのアース電
極16を接地することにより、2つの分割電極片26−
1,26−2のそれぞれによって形成されるインダクタ
の一部が接地される。あるいは2つのアース電極16を
固定電位の電源に接続することにより、2つの分割電極
片26−1,26−2のそれぞれによって形成されるイ
ンダクタの一部がこの固定電位となる。
【0104】図20は、第4実施例のLC素子400の
等価回路を示す図である。同図に示すように、第1の電
極10の全体がインダクタンスL1を有するインダクタ
として機能するとともに、各分割電極片26−1,26
−2のそれぞれがインダクタンスL3,L4を有するイ
ンダクタとして機能する。そして、第1の電極10と各
分割電極片26−1,26−2とがキャパシンタスC
2,C3を有するキャパシタとして機能し、しかもこれ
らのキャパシタが分布定数的に形成される。
【0105】本実施例のLC素子400は、各分割電極
片26−1,26−2の自己インダクタンスL3,L4
が小さくなる。したがって、これらの自己インダクタン
スによるLC素子400全体の特性への影響は小さくな
り、第1の電極10が有するインダクタンスL1と分布
定数的に形成されるキャパシンタスC2,C3とによっ
てLC素子400全体の特性がほぼ決定されることにな
る。
【0106】また、入出力電極18とアース電極16と
の間に印加するバイアス電圧、あるいは入出力電極18
に入力する信号の平均電圧レベルを変えることにより、
第1の電極10と各分割電極片26−1,26−2との
間に分布定数的に形成されるキャパシタのキャパシタン
スC2,C3を変えることができ、LC素子400全体
の減衰特性を可変に制御することができる。
【0107】なお、図19に平面構造を示した本実施例
のLC素子400は、第1の電極10を信号の入出力路
として用いるとともに第2の電極26を2分割したが、
これとは反対に第2の電極26を信号の入出力路として
用いるとともに第1の電極10側を複数に分割するよう
にしてもよい。この場合には、複数に分割された第1の
電極10のそれぞれの一方端付近にアース電極16を接
続するとともに、第2の電極26の両端付近に入出力電
極18,20を接続すればよい。
【0108】図21は、2本の分割電極辺26−1,2
6−2をp−Si基板30の反対の面側に第1の電極1
0にほぼ対向するように配置した場合の変形例を示す図
である。同図に示すように、蛇行形状の第1の電極10
と2本の分割電極片26−1,26−2とをほぼ対向さ
せて配置した場合でもっても、図19に示したLC素子
400と同様に、第1の電極10および各分割電極片2
6−1,26−2のそれぞれがインダクタとして機能す
るとともに、これらの間には分布定数的にキャパシタが
形成されることに変わりはなく、良好な周波数特性を有
するとともに製造容易等の利点を有することになる。
【0109】第5実施例 次に、本発明の第5実施例のLC素子について、図面を
参照しながら具体的に説明する。
【0110】一般に、導電体は渦巻き形状とすることに
より所定のインダクタンスを有するインダクタ導体とし
て機能する。また、上述したように第1および第2の電
極10、26を蛇行形状とした場合であっても所定のイ
ンダクタンスを有するインダクタ導体として機能する。
ところが、入力される信号の周波数帯域を高周波に限っ
た場合には、渦巻き形状や蛇行形状以外の形状、極端な
場合には直線形状であってもインダクタンス成分を有す
るインダクタ導体として機能する。本実施例のLC素子
は、このような点に着目して、第1および第2の電極1
0,26を蛇行形状以外の形状に形成した点に特徴があ
る。
【0111】図22および図23は、第1および第2の
電極10,26のそれぞれを直線形状とした本実施例の
LC素子の平面図である。
【0112】図22(A)は上述した図1に対応してお
り、第1の電極10と第2の電極26の長さがほぼ等し
く、しかもほぼ平行に形成された3端子型のLC素子が
示されている。同図(B)は図11に対応しており、第
2の電極26が第1の電極10の一部に対応して設けら
れたLC素子が示されている。
【0113】図23(A)は図16に対応しており、第
2の電極26の両端のそれぞれに入力電極36,38を
設けて4端子のコモンモード型素子とした場合が示され
ている。同図(B)は図19に対応しており、第2の電
極26側を2本の分割電極片26−1,26−2に分割
したLC素子が示されている。
【0114】上述した図22および図23には、第1の
電極10と第2の電極26とがほぼ同一面内に形成され
たLC素子が示されているが、図8等に示したように第
1の電極10と第2の電極26とをp−Si基板30を
挟んでほぼ対向するように配置する場合についても同様
である。
【0115】図24は、第1および第2の電極10,2
6を曲線形状とした場合のLC素子の平面図であり、曲
率半径が大きな曲線形状の場合が示されている。2つの
入出力電極18,20を直線で結んだ位置に他の部品等
を配置しなければならない場合には、同図に示すように
第1および第2の電極10,26を曲線形状とすればよ
い。
【0116】図25は、第1および第2の電極10,2
6を波形形状とした場合のLC素子の平面図である。こ
のLC素子は、図1等に示した蛇行形状ほどではない
が、第1および第2の電極10,26を直線形状あるい
は曲率半径の大きな曲線形状とした場合に比べると大き
なインダクタンスを有することになる。
【0117】図26は、第1および第2の電極10,2
6を1周に満たない周回形状とした場合のLC素子の平
面図である。同図に示すように、第1および第2の電極
10,26をほぼ周回形状に形成することにより、小さ
なインダクタンスを有するLC素子を形成することがで
きる。また、第1および第2の電極10,26の一方端
あるいは両端を部分的に折り返すことにより、これらの
電極10,26が発生する磁束を部分的に打ち消してイ
ンダクタンスを減らし、LC素子全体のインダクタン
ス、すなわち周波数特性を調整することができる。
【0118】なお、上述した図24〜図26のそれぞれ
は、説明を簡単にするために、図22(A)に対応する
LC素子のみが示されているが、図22(B),図23
のそれぞれに対応するタイプおよび第1の電極10と第
2の電極26とをp−Si基板30を挟んでほぼ対向す
るように配置するタイプについても同様に考えることが
できる。
【0119】このように、図22〜図26に示したLC
素子は、第1および第2の電極10,26を蛇行形状以
外の形状としたものであり、上述した第1実施例〜第4
実施例と同様に、良好な減衰特性を有する素子として機
能することができる。また、入出力電極18とアース電
極16等との間に印加するバイアス電圧、あるいは入出
力電極18に入力する信号の平均電圧レベルを変えるこ
とにより、第1の電極10と第2の電極26との間に分
布定数的に形成されるキャパシタのキャパシタンスも変
わり、LC素子全体の特性を切り替えることができる点
も上述した各実施例と同じである。
【0120】その他の実施例 次に、本発明のその他の実施例に係るLC素子につい
て、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0121】図27および図28は、化学液相法を用い
て端子付けを行なう場合の概略を示す図である。図27
は図1等に対応する本実施例のLC素子500の平面図
であり、同図に示すように、LC素子500の第1の電
極10および第2の電極26両端あるいは一方端には入
出力電極18,20やアース電極16が設けられていな
い。
【0122】このような形状を有する第1および第2の
電極10,26を含む半導体基板を1個のLC素子50
0ごとに切り離した後に、図28に図27のE−E線断
面を示すように、個別に切り離されたチップ(素子)の
全表面に化学液相法により絶縁膜としてシリコン酸化膜
40を形成する。その後、エッチングにより第1および
第2の電極10,26の一方端上のシリコン酸化膜40
を除去して孔をあけ、その孔を半田42で表面に盛り上
がる程度に封じることにより、突出した半田42をプリ
ント配線基板のランド等と直接接触させることができ
る。したがって、表面実装する場合には好都合となる。
【0123】なお、素子表面の保護膜に合成樹脂等の他
の絶縁材料を使用してもよく、保護膜の穿孔にレーザ光
線を利用してもよい。また、図28に示すように第1の
電極10と第2の電極26の高さが同じになるように各
電極の膜厚を調整することにより突出した半田42の高
さもほぼ同一となるため、表面実装に際してさらに好都
合となる。また、図8に示すように第2の電極26を第
1の電極10にほぼ対向させて配置する場合には、スル
ーホールを利用して一方の面側にのみ半田42を突出さ
せることにより、後工程における配線処理等が容易にな
る。
【0124】図29は、上述した各実施例のLC素子1
00等をLSI等の一部として形成する場合の説明図で
ある。同図に示したように、半導体チップ46上の各種
信号あるいは電源のライン48に上述した各LC素子1
00等を挿入する形で組み込む。特に、上述した各実施
例のLC素子100等は、半導体チップ46上に各種回
路を形成する工程において同時に製造することができる
ため、後工程における配線処理等が不要になるといった
利点がある。
【0125】次に、上述したLC素子を実際の回路の一
部として使用する場合の一例について説明する。
【0126】例えば、上述した第1および第2の電極1
0,26のそれぞれは、小型化等を考慮して線幅を細く
すると高抵抗となり、入出力電極18,20間で信号レ
ベルの減衰が生じる。そのため、実際にLC素子100
等を回路の一部として使用する場合には、出力側に高入
力インピーダンスのバッファを接続することにより実用
的な構成となる。
【0127】図30は、出力側にバッファを接続した例
を示す図である。同図(A)は、バッファとしてMOS
・FETと抵抗とからなるソースホロワ回路50を用い
た場合を示している。このソースホロワ回路50を構成
するMOS・FETは上述した各実施例のLC素子10
0等と同じMOS構造を有しているため、このソースホ
ロワ回路50を含めた全体をLC素子として一体的に形
成することができる。
【0128】また、同図(B)は、バッファとして2つ
のバイポーラトランジスタと抵抗からなるエミッタホロ
ワ回路52を用いた場合を示している。バイポーラトラ
ンジスタは、LC素子100等を構成するp−Si基板
30を利用して形成することが可能であるため、このエ
ミッタホロワ回路52を含めた全体をLC素子として一
体的に形成することができる。
【0129】このように出力側にバッファを設けること
により、LC素子100等のインダクタ部分(第1の電
極10あるいは第2の電極26)によって減衰した信号
レベルが増幅によって復元されて、SN比が良好な出力
信号を得ることが可能になる。
【0130】図31は、出力側にレベル変換回路を接続
した例を示す図である。同図(A)は、レベル変換回路
として2つのエミッタホロワ回路54,56を直列に接
続した場合を示している。同図(B)は、レベル変換回
路として2つのソースホロワ回路58,60を直列に接
続した場合を示している。
【0131】このように、出力側にレベル変換回路を接
続することにより、LC素子100等のインダクタ部分
によって減衰した信号レベルが増幅されるとともに、所
定のレベル変換あるいはレベル補正を容易に行なうこと
ができる。
【0132】なお、これらのレベル変換回路をLC素子
100等と同一の基板に一体的に形成することができる
点は、上述したバッファの場合と同じである。
【0133】図32は、上述した各実施例のLC素子1
00等に入力保護回路を追加した場合の構成の一例を示
す図である。MOS構造を有する各実施例のLC素子1
00等は、第1の電極10に静電気によって発生する高
電圧が印加されると、第1の電極10とp−Si基板3
0との間に介在する絶縁層28が破壊される。したがっ
て、この静電気による絶縁層28の破壊を防止するため
に保護回路が必要となる。
【0134】同図に示す保護回路は、ともに複数のダイ
オードと抵抗とにより構成されており、第1の電極10
に高電圧が印加されると、動作電源ライン側あるいは筐
体アース側に電流がバイパスされるようになっている。
特に同図(A)の回路では数100V、同図(B)の回
路では1000〜2000Vの静電耐量があり、使用環
境等に応じて使用する保護回路を適宜選択することがで
きる。
【0135】なお、本発明は上記各実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施
が可能である。
【0136】例えば、上述した各実施例は、第1の電極
10に所定の正電圧(バイアス電圧)が印加されたとき
に初めて反転領域22が形成されるようにしたが、図1
等に示した反転領域22の位置に予めキャリア(n型不
純物あるいはp型不純物)を注入するようにしてもよ
い。これにより、第1の電極10に所定の正電圧を印加
すると反転領域22が消滅し、あるいは反転領域22が
発生あるいは消滅する第1の電極10に対する電圧レベ
ルを変更することができる。また、このようにして注入
するキャリアは第1の電極に沿った一部の領域のみに注
入してもよく、キャリアを注入した部分に対応する第1
の電極の全部あるいは一部を省略するようにしてもよ
い。
【0137】また、上述した各実施例においては、p−
Si基板30に第2の電極26を直接接触させて形成す
るとともに、第1の電極10を絶縁層28を介在させて
形成するようにしたが、第1および第2の電極10,2
6の両方を絶縁層28の表面に形成するようにしてもよ
い。
【0138】また、第1および第2の電極10,26を
ほぼ同一面に配置した各実施例のLC素子においては、
p領域の単一層からなるp−Si基板30上に第1およ
び第2の電極10,26等を形成するようにしたが、こ
れらの電極に沿った蛇行形状等の反転層を形成すること
により、隣接する第1および第2の電極10,26同士
のアイソレーションを確実に行なうようにしてもよい。
【0139】図33は、第1および第2の電極10,2
6にほぼ沿った蛇行形状の反転層66を形成した場合の
断面構造を示す図であり、上述した図2に対応するもの
である。すなわち、同図(A)に示すように、n- 領域
からなる基板64の一部に、第1および第2の電極1
0,26に対応した蛇行形状のp領域からなる反転層6
6を形成する。第1の電極10に印加される電圧と第2
の電圧26に印加される電圧との差が大きい場合には、
同図(B)に示すように反転層66内に反転領域22
(およびその外周部に空乏層)が形成され、差が小さい
場合には同図(A)に示すようにこの反転領域22が形
成されない。したがって、この反転領域22の有無によ
り、分布定数的に形成されるキャパシタのキャパシタン
スを切り替えることができる点は上述した各実施例のL
C素子と同じである。
【0140】また、異なる第1および第2の電極10,
26に接続された反転領域66同士に着目すると、基板
64の内部にpnp構造が形成されるため、隣接して配
置される第1の電極10同士および第2の電極26同
士、あるいは最も接近して配置された第1の電極10と
第2の電極26とをペアとして考えた場合にはこのペア
を構成しない第1の電極10と第2の電極26は、相互
に電気的に分離されてアイソレーションが行われるた
め、ペアを構成する第1の電極10と第2の電極26と
の間にのみ確実に分布定数的なキャパシタが形成される
ようになる。
【0141】また、第1および第2の電極10,26を
p−Si基板30の両面にほぼ対向させて配置した各実
施例のLC素子においては、p領域の単一層からなるp
−Si基板30上に第1および第2の電極10,26等
を形成したが、隣接する第1の電極10間あるいは隣接
する第2の電極26間に反転層を形成することにより、
隣接して配置される第1の電極10同士および第2の電
極26同士、あるいはペアを構成しない第1の電極10
と第2の電極26は、基板内のpnp構造によって相互
に電気的に分離されてアイソレーションが行われるた
め、ペアを構成する第1の電極10と第2の電極26と
の間にのみ確実に分布定数的なキャパシタが形成される
ようになる。
【0142】図34は、第1の電極10間および第2の
電極26間に反転層を形成した場合の断面構造を示す図
であり、上述した図9に対応するものである。すなわ
ち、同図に示すように、p−Si基板30の一部にn領
域74からなる反転層を形成する。このような構造を有
するLC素子において、隣接する第2の電極26に接続
されたp−Si基板30同士に着目すると、間にn領域
74が形成されているため電気的に分離されており、確
実にアイソレーションを行うことができる。
【0143】また、実際にウエハの状態にあるp−Si
基板30を利用して、第1および第2の電極10,26
がほぼ対向したLC素子を製造する場合には、p−Si
基板30の比抵抗が一般の金属に比べて高いことを考慮
して、p−Si基板30の厚みをウエハの状態よりも薄
くする必要がある。また、一般にはn型ウエハの方が入
手し易いことを考慮して、図35に示すような構造とし
てもよい。
【0144】すなわち、同図(A)に示すように、n−
Si基板76の一方の面に蛇行形状等のエッチングを行
い、このエッチングを行った部分に第1あるいは第2の
電極26を形成する。また、同図(B)に示すように、
n−Si基板76の一部に第1および第2の電極10,
26のそれぞれにほぼ沿うようにp+ 領域78を形成
し、その後n−Si基板76の裏面側であって第2の電
極26に対応する部分のエッチングを行い、最後に第1
および第2の電極10,26を形成する。
【0145】また、上述した各実施例においては、LC
素子100等をLSI等の一部として形成できる点を効
果としてあげたが、必ずしもLSI等の一部として形成
する必要はなく、半導体基板上にLC素子100等を形
成した後に入出力電極18,20,アース電極16のそ
れぞれに端子付けを行なって、あるいは図27および図
28に示したような化学液相法を利用して端子付けを行
なって、単体の素子として形成するようにしてもよい。
この場合には、同一の半導体基板上に複数個のLC素子
100等を同時に形成し、その後半導体基板を切り離し
て各LC素子等に端子付けを行なうようにすれば、容易
に大量生産が可能となる。
【0146】また、上述した各実施例においては、第1
および第2の電極10,26の最端部にアース電極16
や入出力電極18,20を設けるようにしたが、必ずし
も最端部に設ける必要なく、周波数特性を検討した後に
必要に応じてその取り付け位置をずらすようにしてもよ
い。
【0147】また、上述した各実施例においては、第1
の電極10の両端付近であって隔たった位置に2つの入
出力電極18,20を配置するようにしたが、第1の電
極10の形状を工夫して2つの入出力電極18,20を
接近させて配置するようにしてもよい。
【0148】例えば、図36に示すように、2つの入出
力電極18,20を隣接させて配置するとともに、図1
に示したLC素子100の第1および第2の電極10,
26の一方端を入出力電極20まで延長する。あるい
は、図37に示すように、2つの入出力電極18,20
を接近させて配置するとともに、図1に示したLC素子
100の第1および第2の電極10,26を蛇行形状を
維持したまま折り返す。
【0149】このように、第1の電極10および第2の
電極10,26の形状を工夫することにより、2つの入
出力電極18,20の位置が接近し、アース電極16と
入出力電極18,20の全部をほぼ同一位置に形成する
ことができる。したがって、端子付けに際しての配線を
容易に行うことができ、製造工程の簡略化が可能とな
る。
【0150】また、上述した各実施例のLC素子100
等は、p−Si基板24上にpn接合層26を形成する
場合を例にとり説明したが、ゲルマニウム等の他の種類
の半導体を用いた場合や、アモルファスシリコン等の非
晶質材料を用いる場合であってもよい。
【0151】
【発明の効果】上述したように、請求項1および2の発
明によれば、非スパイラル形状の第1あるいは第2の電
極の一方端に入力された信号は、分布定数的に存在する
インダクタおよびキャパシタを介して伝搬される際に、
広い帯域にわたり良好な減衰特性が得られる。また、こ
のLC素子は、半導体基板上に絶縁層と非スパイラル形
状の第1および第2の電極を形成することにより製造す
ることができ、製造が非常に容易となる。また、このL
C素子は、半導体基板に形成されるため、ICやLSI
の一部として形成することも可能であり、このような部
品の一部として形成した場合には、後工程における部品
の組み付け作業を省略することができる。
【0152】また、請求項3〜6の発明によれば、上述
した電極の非スパイラル形状を具体的に蛇行形状,波形
形状,曲線形状,直線形状に特定しており、電極を蛇行
形状あるいは波形形状とした場合には、各凹凸部の1つ
1つが約1/2ターンのコイルとなってこれらが直列に
接続されるため、全体として所定のインダクタンスを有
することになる。特に、蛇行形状とすることにより、隣
接する電極を接近させることができるため、スペースの
有効利用を図ることができる。また、使用する周波数帯
域を高周波領域に限った場合には、電極を曲線形状ある
いは直線形状とした場合にも所定のインダクタンスを有
することになり、電極を蛇行形状等に形成した場合と同
様の動作を行わせることができる。
【0153】また、請求項7の発明によれば、第1の電
極に対応する位置に予めキャリアを注入しておくことに
より半導体基板表面に反転領域および空乏層が形成され
るタイミングをずらしてLC素子の特性を変更すること
ができる。
【0154】また、請求項8のLC素子では、第1およ
び第2の電極のいずれか一方が相対的に短く形成されて
おり、この場合であっても同様に広い帯域にわたって良
好な減衰特性を有するとともに、製造が容易であり基板
の一部として形成することが可能である。
【0155】また、請求項9の発明によれば、第1およ
び第2の電極に沿って非スパイラル形状の反転層が形成
されているため、ほぼ平行に形成された1組の第1およ
び第2の電極の間にのみ分布定数的にキャパシタが形成
される状態を容易につくることができ、このLC素子は
広い帯域にわたって良好な減衰特性を有することができ
る。
【0156】また、請求項10の発明によれば、ほぼ対
向して配置される第1の電極と第2の電極以外は、間に
あるnpn構造あるいはpnp構造を介して接続される
ことになるため、対向して配置された1組の第1および
第2の電極の間にのみ分布定数的にキャパシタが形成さ
れる状態を容易につくることができ、このLC素子は広
い帯域にわたって良好な減衰特性を有することができ
る。
【0157】また、請求項11の発明によれば、非スパ
イラル形状の第1あるいは第2の電極が複数の電極片に
分割されており、各電極片の自己インダクタンスの影響
が少ないLC素子を形成することができる。
【0158】また、請求項12の発明によれば、非スパ
イラル形状の第1および第2の電極のいずれか一方の両
端付近のそれぞれに接続された第1および第2の入出力
電極を設けるとともに、非スパイラル形状の第1および
第2の電極のいずれか他方の一方端近傍にアース電極を
設けることにより、非スパイラル形状の一方の電極が信
号入出力路として使用される3端子型のLC素子を容易
に形成することができる。
【0159】また、請求項13の発明によれば、上述し
た非スパイラル形状の第1および第2の電極のいずれか
他方の両端近傍にも第3および第4の入出力電極を設け
ており、非スパイラル形状の2つの電極の両方が信号入
出力路として使用される4端子コモンモード型のLC素
子を容易に形成することができる。
【0160】また、請求項14の発明によれば、非スパ
イラル形状の第1および第2の電極に印加する電圧を可
変に設定することにより、半導体基板表面に反転層を発
生させ、あるいは発生した反転層を消滅させており、必
要に応じて減衰特性を切り換えることができる。
【0161】また、請求項15の発明によれば、LC素
子を基板の一部に、信号ラインあるいは電源ラインに挿
入するように形成しており、半導体基板上の他の部品と
一体的に製造することができ、製造が容易になるととも
に後工程における部品の組み付け作業が不要となる。
【0162】また、請求項16の発明によれば、上述し
たLC素子を半導体基板上に形成した後に化学液相法に
より全表面に絶縁膜を形成し、孔開けした後にこの孔に
半田を盛ることにより端子付けが行われる。したがっ
て、表面実装型のLC素子を簡単に製造することがで
き、表面実装型とすることによりこのLC素子の組み付
け作業も容易となる。
【0163】また、請求項17の発明によれば、第1お
よび第2の電極の少なくとも一方に保護回路が接続され
ており、これらの電極に対して過電圧が印加された場合
の各電極と半導体基板との間の絶縁破壊を防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施例のLC素子の平面
図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】図1のB−B線拡大断面図である。
【図4】図1のC−C線拡大断面図である。
【図5】蛇行形状の電極によって形成されるインダクタ
の原理を示す図である。
【図6】第1実施例のLC素子の等価回路を示す図であ
る。
【図7】第1実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図8】第1実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図9】図8に示すLC素子のA−A線拡大断面図であ
る。
【図10】第1実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図11】第2実施例のLC素子の平面図である。
【図12】第2実施例のLC素子の等価回路を示す図で
ある。
【図13】第2実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図14】第2実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図15】第2実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図16】第3実施例のLC素子の平面図である。
【図17】第3実施例のLC素子の等価回路を示す図で
ある。
【図18】第3実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図19】第4実施例のLC素子の平面図である。
【図20】第4実施例のLC素子の等価回路を示す図で
ある。
【図21】第4実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図22】第5実施例のLC素子の平面図である。
【図23】第5実施例のLC素子の平面図である。
【図24】第5実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図25】第5実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図26】第5実施例のLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図27】化学液相法を用いて端子付けを行なう場合の
概略を示す図である。
【図28】化学液相法を用いて端子付けを行なう場合の
概略を示す図である。
【図29】各実施例のLC素子をLSI等の一部として
形成する場合の説明図である。
【図30】各実施例のLC素子の出力側にバッファを接
続した例を示す図である。
【図31】各実施例のLC素子の出力側にレベル変換回
路を接続した例を示す図である。
【図32】各実施例のLC素子の入力側に保護回路を接
続した例を示す図である。
【図33】半導体基板内に反転層を形成した場合の断面
構造を示す図である。
【図34】半導体基板内に反転層を形成した場合の断面
構造を示す図である。
【図35】基板の一部をエッチングする場合の部分的断
面を示す図である。
【図36】入出力電極の位置を変更した変形例を示す図
である。
【図37】入出力電極の位置を変更した変形例を示す図
である。
【符号の説明】
10 第1の電極 12 可変バイアス回路 16 アース電極 18,20 入出力電極 22 反転領域 26 第2の電極 28 絶縁層 30 p−Si基板 32 空乏層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H03K 19/003 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/822 H01L 27/04 H01P 1/00 H01P 9/00 H03H 7/34 H03K 19/003

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n領域あるいはp領域のいずれか一方の
    単一層が表面側に形成された半導体基板と、 前記半導体基板上に形成された非スパイラル形状の第1
    の電極と、 非スパイラル形状の前記第1の電極に対して、ほぼ同一
    平面内であってほぼ平行に隣接して形成された非スパイ
    ラル形状の第2の電極と、 前記第1および第2の電極の少なくとも一方と、前記半
    導体基板との間に形成された絶縁層と、 を備え、非スパイラル形状の前記第1の電極と前記第2
    の電極のそれぞれによって形成されるインダクタと、こ
    れらの間に形成されるキャパシタとが分布定数的に存在
    し、非スパイラル形状の前記第1の電極および前記第2
    の電極の少なくとも一方を信号入出力路として用い、非スパイラル形状の前記第1の電極および前記第2の電
    極のそれぞれに印加する電圧を可変に設定することによ
    り、非スパイラル形状の前記第1の電極あるいは前記第
    2の電極の少なくとも一方に対応した前記半導体基板表
    面の位置に非スパイラル形状の反転領域を発生させ、あ
    るいは発生したこの反転領域を消滅させる ことを特徴と
    するLC素子。
  2. 【請求項2】 半導体基板の一方の面側に形成された非
    スパイラル形状の第1の電極と、 前記半導体基板の他方の面側に形成され、非スパイラル
    形状の前記第1の電極とほぼ対向する位置に形成された
    非スパイラル形状の第2の電極と、 前記第1および第2の電極の少なくとも一方と前記半導
    体基板との間に形成された絶縁層と、 を備え、非スパイラル形状の前記第1の電極と前記第2
    の電極のそれぞれによって形成されるインダクタと、こ
    れらの間に形成されるキャパシタとが分布定数的に存在
    し、非スパイラル形状の前記第1の電極および前記第2
    の電極の少なくとも一方を信号入出力路として用い、非スパイラル形状の前記第1の電極および前記第2の電
    極のそれぞれに印加する電圧を可変に設定することによ
    り、非スパイラル形状の前記第1の電極あるい は前記第
    2の電極の少なくとも一方に対応した前記半導体基板表
    面の位置に非スパイラル形状の反転領域を発生させ、あ
    るいは発生したこの反転領域を消滅させる ことを特徴と
    するLC素子。
  3. 【請求項3】 半導体基板と前記半導体基板上に形成
    された非スパイラル形状の第1の電極と、 非スパイラル形状の前記第1の電極に対して、ほぼ同一
    平面内であってほぼ平行に隣接して形成された非スパイ
    ラル形状の第2の電極と、 前記第1および第2の電極の少なくとも一方と、前記半
    導体基板との間に形成された絶縁層と、 を備え、 前記半導体基板は、非スパイラル形状の前記第1および
    第2の電極に沿って非スパイラル形状のn領域あるいは
    p領域からなる反転層が形成された半導体基板として形
    成され、 非スパイラル形状の前記第1の電極と前記第2の電極の
    それぞれによって形成されるインダクタと、これらの間
    に形成されるキャパシタとが分布定数的に存在し、非ス
    パイラル形状の前記第1の電極および前記第2の電極の
    少なくとも一方を信号入出力路として用いる ことを特徴
    とするLC素子。
  4. 【請求項4】 半導体基板と半導体基板の一方の面側に形成された非スパイラル形状
    の第1の電極と、 前記半導体基板の他方の面側に形成され、非スパイラル
    形状の前記第1の電極とほぼ対向する位置に形成された
    非スパイラル形状の第2の電極と、 前記第1および第2の電極の少なくとも一方と前記半導
    体基板との間に形成された絶縁層と、 を備え、 前記半導体基板は、前記第1および第2の電極の各導体
    部分の間にn領域あるいはp領域からなる反転層が形成
    された半導体基板として形成され、 非スパイラル形状の前記第1の電極と前記第2の電極の
    それぞれによって形成されるインダクタと、これらの間
    に形成されるキャパシタとが分布定数的に存在し、非ス
    パイラル形状の前記第1の電極および前記第2の電極の
    少なくとも一方 を信号入出力路として用いる ことを特徴
    とするLC素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記第1および第2の電極の形状は、蛇行形状、波形形
    状、曲線形状、直線形状のいずれかとして形成された
    とを特徴とするLC素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜のいずれかにおいて、 前記半導体基板表面であって非スパイラル形状の前記第
    1の電極に対応する位置に、予めキャリアを注入するこ
    とを特徴とするLC素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜のいずれかにおいて、 非スパイラル形状の前記第1の電極に対して、前記第2
    の電極の長さを長くあるいは短く設定することにより、
    これら第1および第2の電極を部分的に対応させること
    を特徴とするLC素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜のいずれかにおいて、 非スパイラル形状の前記第1および第2の電極の一方の
    両端付近のそれぞれに電気的に接続された第1および第
    2の入出力電極と、 非スパイラル形状の前記第1および第2の電極の他方の
    一方端付近に電気的に接続されたアース電極と、 を有し、前記第1および第2の入出力電極のいずれか一
    方から信号を入力し、他方から信号を出力するととも
    に、前記アース電極を固定電位の電源に接続あるいは接
    地することを特徴とするLC素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜のいずれかにおいて、 非スパイラル形状の前記第1および第2の電極の一方の
    両端付近のそれぞれに電気的に接続された第1および第
    2の入出力電極と、 非スパイラル形状の前記第1および第2の電極の他方の
    両端付近のそれぞれに電気的に接続された第3および第
    4の入出力電極と、 を有し、非スパイラル形状の前記第1の電極と前記第2
    の電極の両方を信号入出力路とするコモンモード型の素
    子として用いられることを特徴とするLC素子。
  10. 【請求項10】 請求項1〜のいずれかのLC素子を
    基板の一部として形成し、非スパイラル形状の前記第1
    の電極および前記第2の電極の少なくとも一方を信号ラ
    インあるいは電源ラインに挿入して一体成形したことを
    特徴とする半導体装置。
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