JP3441534B2 - 結晶性シリコンの形成方法 - Google Patents

結晶性シリコンの形成方法

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JP3441534B2
JP3441534B2 JP27742494A JP27742494A JP3441534B2 JP 3441534 B2 JP3441534 B2 JP 3441534B2 JP 27742494 A JP27742494 A JP 27742494A JP 27742494 A JP27742494 A JP 27742494A JP 3441534 B2 JP3441534 B2 JP 3441534B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原料ガスを成長室内に
導き、前記成長室内に保持された基板上に移流する前記
原料ガスを励起光で励起して、基板表面に所定の結晶層
を得る光励起気相成長法により、単結晶基板上にシリコ
ンをエピタキシャル成長させる、又は、ガラス基板上に
多結晶シリコンを堆積させる等の結晶性シリコンの形成
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン基板の表面にシリコンを
熱CVD法でエピタキシャル成長させる場合、基板を約
900℃以上の高温に加熱し、原料ガスを熱分解して基
板表面にエピタキシャル成長させている。この手法で
は、系が高温プロセスであるため、不純物のオートドー
ピングや固相拡散によるエピタキシャル層の不純物濃度
にだれが生じる等の問題が発生し、高品質化が難しい。
一方、エピタキシャル成長を低温で実現する方法とし
て、MBE法やプラズマエピタキシー、フォトエピタキ
シーなどが提案されている。ここで、MBE法は低温で
のエピタキシャル成長が可能だが、超高真空を必要とす
るため実用的ではない。プラズマエピタキシーでは、生
成したイオン種による基板へのダメージが大きい。フォ
トエピタキシーは低温化への有望な手段であり、盛んに
研究されている。一例として、水銀増感法においては、
二弗化シラン、ジシラン、水素を原料ガスとして用い、
水銀光増感反応により200℃程度でエピタキシャル成
長を行った例が報告されている。しかしながら、この方
法では、200℃という低温でエピタキシャル成長を実
現できるが、系内に重金属である水銀が含まれるため、
ライフタイムなど素子特性に悪影響を与える虞がある。
また、水銀は毒物に指定されており(毒物及び劇物取締
法)その取り扱いおよび廃棄物処理等において特別の配
慮が必要であり、安全・衛生・公害等の面から大きな問
題がある。
【0003】さらに、原料ガスを直接、光分解してシリ
コンのエピタキシーをおこなう手法としては、以下のよ
うなものがある。即ち、特開昭62−288194で
は、反応ガスとして、ジシランおよびモノシランの少な
くとも一方を含むガスに塩素ガスを添加することにより
低温でシリコンをエピタキシャル成長させる。しかしな
がら、塩素ガスは、”毒物及び劇物取締法”において劇
物に指定されており、安全性において問題がある。さら
に、特公平4−11516では、原料ガスとして弗化ジ
シラン、ジシラン、水素を用い、弗化ジシラン又はジシ
ランの長波長側吸収よりも短い波長の光を照射して、シ
リコンをエピタキシャル成長させる。しかしながら、弗
化ジシランは、一般に大量には製造されておらず、価格
が高く、実際に生産する場合には経済性が悪いといった
問題点がある。
【0004】一方、石英基板にかわる大型で安価なガラ
ス基板上に、低温で多結晶シリコンを堆積させる技術
は、高性能な薄膜トランジスターを安価に作製する技術
として、有望である。しかしながら現在のところ、低温
で多結晶シリコンを堆積する技術がないため、高価な石
英基板を用いて高温で堆積する方法が実用上とられてい
る。この方法は、コスト高であるとともに、大きな基板
に適応できない。さらに、多結晶シリコンを低温で堆積
させる技術としては、まずガラス基板上にアモルファス
シリコンをプラズマCVDにより堆積し、それをエキシ
マレーザーアニールにより溶融凝固させて、多結晶化す
ることが提案されている。しかしながら、この方法は、
装置構成が複雑で、工程が多いといった問題があり、ま
た結晶粒の大きさが面内で均一でなく、作製したトラン
ジスターの特性がばらつくといった問題がある。
【0005】以上のような状況から、発明者らは、比較
的安価なガラス基板、樹脂基板等に対して結晶性シリコ
ンを、比較的簡単な装置構成で得ることができる手法を
確認した。これは、光励起気相成長法において基板上に
結晶性シリコンを形成する場合に、原料ガスとして少な
くともハロゲン化モノシランを含有するガスを使用すし
て、所望の結晶性シリコンを得ることにある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような発明者らが
新たに見出した手法を取る場合は、ガラス基板等を対象
として、安全な原料ガス(例えば、ジシラン、ジクロル
シラン、水素)を使用して、シリコンのエピタキシャル
層、あるいは多結晶シリコン等を得ることができる。こ
の方法においては、その成長過程において、基板表面を
水素原子が覆い、Si前駆体(例えば、SiH3 *)の基
板表面でのマイグレーションが被覆状態にある水素で助
長され、Siが安定なサイトに到達して、結晶成長を促
進すると考えられる。しかしながら、水素を用いた場合
は、結晶成長原子表面の水素の被覆率は、350℃程度
以上で急激に減少する。従って、350℃以上では、良
好な結晶性シリコンが得難い。さらにシリコン層に高濃
度ドーピングを行おうとする場合は、結晶成長温度を高
くして、不純物原子の活性化率を高めるのが有効である
が、現状の350℃以下では、これを十分に成しえてい
ない。また、基板が許容する温度範囲内で成長した方
が、ドーピング以外の不純物原子の取り込みを抑制する
ことができるが、現行可能な350℃程度では不十分な
場合もある。従って、本発明の目的は、比較的高温の温
度域(熱CVDの適応温度(900℃程度)に対しては
低く、且つ350℃より高い温度域)において、結晶性
シリコンを、安価且つ安全な原料から形成することがで
き、高濃度ドーピングが可能となるとともに、不純物原
子の取り込みを抑制できる結晶性シリコンの形成方法を
得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明による請求項1に係わる、原料ガスを成長室内
に導き、前記成長室内に保持された基板近傍に移流する
前記原料ガスを励起光で励起して、基板表面に所定の結
晶層を得る光励起気相成長法によって、前記基板表面に
結晶性シリコンを得る結晶性シリコンの形成方法の第1
の特徴手段は、重水素とハロゲン化モノシランを前記原
料ガスとして、前記原料ガスを光励起できる波長の励起
であるレーザー光を、前記基板表面に平行に前記原料
ガスに照射して、350℃より高く500℃までの範囲
内の成膜温度で、前記基板表面上に選択的に前記結晶性
シリコンを形成することにある。さらに、上記目的を達
成するための本発明による請求項2に係わる、原料ガス
を成長室内に導き、前記成長室内に保持された基板近傍
に移流する前記原料ガスを励起光で励起して、基板表面
に所定の結晶層を得る光励起気相成長法によって、前記
基板表面に結晶性シリコンを得る結晶性シリコンの形成
方法の第2の特徴手段は、重水素、ジシラン(Si
26)、ハロゲン化モノシランを前記原料ガスとし、前
記原料ガスを光励起できる波長の励起光であるレーザー
光を、前記基板表面に平行に前記原料ガスに照射して、
350℃より高く500℃までの範囲内の成膜温度で、
前記基板表面上に選択的に前記結晶性シリコンを形成す
ることにある。上記本願第1もしくは第2の特徴手段に
おいて、前記ハロゲン化モノシランが、塩化シラン(S
iHxCl4-x,x=0,1,2,3)、又は弗化シラン
(SiHxF4-x,x=0,1,2,3)であることが好
ましい。これが、請求項3に係わる本願第3の特徴手段
である。上記本願第1〜第3の特徴手段において、前記
励起光が、エキシマレーザーから照射される紫外光であ
ることが好ましい。これが、請求項4に係わる本願第4
の特徴手段である。上記本願第4の特徴手段において、
前記励起光が、前記エキシマレーザーとしてのArFエ
キシマレーザーから照射される紫外光であることが好ま
しい。これが、請求項5に係わる本願第5の特徴手段で
ある。上記本願第2の特徴手段において、前記励起光
が、少なくとも前記ジシラン(Si26)を光励起でき
る波長の紫外光であることが好ましい。これが、請求項
6に係わる本願第6の特徴手段である。上記本願第1〜
6のいずれかの特徴手段において、基板として単結晶基
板を使用し、前記単結晶基板上にシリコンをエピタキシ
ャル成長させることが好ましい。これが、請求項7に係
わる本願第7の特徴手段である。上記本願第1〜6のい
ずれかの特徴手段において、基板として多結晶基板もし
くは非晶質基板を使用し、前記多結晶基板もしくは非晶
質基板上にシリコンを多結晶状態で堆積させることが好
ましい。これが、請求項8に係わる本願第8の特徴手段
である。
【0008】
【作用】本願第1の特徴手段においては、光励起気相成
長法により基板表面上に結晶性シリコンを得る。原料ガ
スとしては、重水素、ハロゲン化モノシランを使用す
る。ここで、ハロゲン化モノシランは励起光により直接
分解され、シリコン側が結晶構成材料となるとともに、
発生するハロゲンラジカルの作用により、熱CVDより
反応系を低温化でき、酸素等の不純物原子や不正配位シ
リコン等のエッチング作用をおこなって、高品質の結晶
性シリコンを得ることができる。さらに、重水素は、先
に説明したマイグレーションの役を、水素と同様に果た
すこととなるが、重水素は水素と比較して、比較的高温
側においても基板表面に留まり、水素を使用する場合よ
りも100℃程度、高温側においてもこの用を果たすこ
とができる。従って、本手法においては、原料ガスとし
てハロゲン化モノシランを使用し、ハロゲンラジカルの
供給源として、結晶材料と化合したハロゲンを採用する
ため、装置系が簡略化される。ここで、例えば、一般に
大量に生産されない弗化ジシラン等のハロゲン化ジシラ
ンを使用しないため、価格が安く、経済性、生産性の点
で好ましい手法となっている。一方、原料ガスの一種と
して重水素を使用することにより、系を比較的高温化で
き、高濃度ドーピングが可能となるとともに、不純物の
少ない、高品質膜層を得ることができる。この場合は、
基板表面に平行にレーザー光線束を照射するため、基板
側もしくは形成された結晶性シリコンに影響を与えるこ
となく、均質で安定した結晶性シリコンを得ることがで
きる。さらに、本願第2の特徴手段においては、上記の
原料ガスに加えて、ジシランが追加される。この構成の
場合は、ジシランと比較して比較的直接分解しにくいハ
ロゲン化シランの励起分解を、ジシランとハロゲン化モ
ノシランとの相互作用により促進して、結晶性シリコン
を比較的高速で形成できる。ここで、前記第1の特徴手
段と同様に、反応性の高いハロゲンラジカルにより、結
晶性シリコン膜層成長時に、酸素等の不純物原子を除去
し、高品質のシリコン結晶が低温で成長可能である。さ
らに、このように、ジシランは反応を促進するため、結
晶性シリコンの形成速度を、例えば第1の特徴手段の手
法に対して促進することができる。また、重水素を使用
することにより、系の高温化が可能となり、高濃度ドー
ピングが可能となるとともに、不純物の少ない、高品質
膜層を得ることができる。この場合も、基板表面に平行
にレーザー光線束を照射するため、基板側もしくは形成
された結晶性シリコンに影響を与えることなく、均質で
安定した結晶性シリコンを得ることができる。本願第3
の特徴手段においては、原料ガスとして、塩化シラン
(SiHxCl4-x,x=0,1,2,3)、又は弗化シ
ラン(SiHx4-x,x=0,1,2,3)を採用す
る。これらの化合物は、入手が比較的容易であるととも
に、劇物に指定されている塩素ガスに比べれば安全で取
り扱いが容易であるため、経済的で、安全な操業が可能
となる。また、弗化ジシランに比べても、ガスの価格が
安く経済的で、実働生産性に向いている。本願第4の特
徴手段においては、励起光の照射源としてエキシマレー
ーを採用すると、この光源から波長が安定するととも
に、比較的大きなエネルギーの励起光を得て、結晶性シ
リコンの形成をおこなうことができる。本願第5の特徴
手段においては、少なくとも193nmの紫外光を照射
可能なArFエキシマレーザーを使用して、ハロゲン化
モノシランもしくはジシランを適切に励起することによ
り、結晶化を進める。 本願第6の特徴手段においては、
原料ガスとしてハロゲン化シランとジシランとを共に使
用する場合、励起光によりジシランを励起し、この励起
されたジシランとハロゲン化シランの相互作用を促し
て、ハロゲンラジカルを形成し、結晶性シリコンを得
る。ここで、ハロゲン化シランの長波長側の吸収の吸収
端は、ジシランのそれより短い波長域にあるが、例え
ば、ジクロルモノシランとジシランとの組み合わせを考
える場合、これらの境界域にあるArFエキシマレーザ
ー等を利用して、相互作用を促し、比較的速い成膜速度
で有効に結晶性シリコンの形成をおこなうことができ
る。本願第7、第8の特徴手段においては、得たい結晶
性シリコンの構成に従って、基板を適切に選択すること
により、エピタキシャルな、もしくは多結晶のシリコン
を得ることができる。ここで、エピタキシャル成長をお
こないたい場合は、シリコン基板等を採用すればよい。
さらに、多結晶シリコンを得たい場合は、前述のシリコ
ン基板の他、ガラス基板、樹脂基板等も採用することが
できる。これらの、比較的低融点の基板を採用できる理
由は、後述するように、本願の手法においては、熱CV
Dに対して低温側で、原料ガスの一種として水素を使用
するよりは高温側の温度域で結晶性シリコンの形成が、
実用的に可能であることに起因している。
【0009】
【発明の効果】従って、本願においては、結晶性シリコ
ンの形成を熱CVDと比較して低温でおこなうことが可
能であるため、石英基板の他、ガラス基板さらには樹脂
基板をも使用することが可能となり、非常に有益であ
る。さらに、系に、水銀、塩素ガス等の毒物を使用しな
いこととなるため、安全性を確保できるとともに、管理
が容易となり、さらに、水銀を使用しないために、その
品質も,長い期間に亘って良好に保つことが可能とな
る。また、ハロゲン化シランを含むために、超高真空を
必要とすることもない。さらに、弗化ジシラン等のジシ
ラン化合物を原料ガスとして使用しないために、その経
済性にも優れている。さらに、この工程は単一工程とな
るため、装置系が複雑化したり、手間が掛かることもな
い。又、原料ガスの一種に重水素を含むため、前述の様
に、高濃度ドーピング、不準物原子の取り込み抑制の効
果がある。結果、品質、安全性、経済性の点で優れた結
晶性シリコンの形成方法を得ることができた。
【0010】
【実施例】本発明の実施例として、原料ガスとしてのジ
シラン(Si26)、ジクロルシラン(SiH2Cl2
および、重水素(D2)を使用して、結晶性シリコンを
得る場合について説明する。図1は、本発明の方法を使
用する光励起気相成長装置1の概略図である。装置1
は、真空ポンプ2によって所定の真空度に排気される成
長室3内に、サセプタ4に保持された基板(例えばガラ
ス基板;Corning7059)5を収納可能に構成
されており、ヒータ6によって所定の温度に加熱される
ようになっている。成長室3内には、ガス導入管7を経
由して原料ガスが供給される。原料ガスとしては、ジシ
ラン(Si26)、ジクロルシラン(SiH2Cl2)、
重水素(D2)の混合ガスが使用され、この成長室3内
に供給される。一方、成長室3に対して、基板表面5a
付近のガス雰囲気を励起可能な励起光8を照射可能な光
源9が備えられている。この実施例においては、結晶性
シリコンの形成にあたって、光源9からの励起光8を入
射窓10を通して、水平配置の基板表面5aに対してこ
れとほぼ平行に、励起光8を照射する。光源9は、具体
的には、発光中心が193nmであるArFエキシマレ
ーザーである。この波長の励起光8は、ジシラン(Si
26)を直接励起可能である。即ち、ジシラン(Si2
6)は約220nm付近に電子状態励起に伴う光吸収
の吸収端を持っているため、結晶性シリコンの形成にあ
たっては、ArFエキシマレーザーにより、直接これが
励起されて、分子結合の解離を起こす。
【0011】成膜条件を以下に箇条書きする。 成膜温度 200〜500℃ ガス流量 ジシラン 0.5〜3cc/min ジクロルシラン 5〜50cc/min 重水素 20〜300cc/min 成膜操作圧力 0.1〜10Torr レーザー ArF(193nm)10〜100mJ×10〜100Hz これらの条件の範囲において、結晶性シリコンの形成速
度に差があるものの、所望のシリコン膜層を得ることが
できた。
【0012】上記の条件において、以下の条件が最も好
ましかった。 成膜温度 450℃ ガス流量 ジシラン 2cc/min ジクロルシラン 30cc/min 重水素 200cc/min 成膜操作圧力 3Torr レーザー ArF(193nm)30mJ×100Hz
【0013】ここで、例えば原料ガスの一種として水素
を使用する場合は、成膜温度は最高350℃程度であっ
た。さらに、結晶シリコンへのリンのドーピングを成膜
温度450℃で行ったところ、キャリヤ濃度1×1021
cm-3程度までの高濃度ドーピングが可能であった。通
常のドーピング可能キャリヤ濃度は1×1020cm-3
度である。図2に、上記の条件でガラス基板上に得られ
た多結晶シリコン膜のFT−IRによる評価結果を示し
た。同図において、(イ)は本願の方法によるものであ
り、(ロ)はジシラン(Si26)のみから薄膜を得た
場合の結果を示している。結果を比較すると、ジシラン
(Si26)とジクロルシラン(SiH2Cl2)と重水
素を共に原料ガスとして採用することにより、2000
cm-1付近に見られるSiH結合から2100cm-1
近に見られるSiH2結合への変化が観測される。この
SiH2結合によるピークは多結晶シリコン膜によく見
られ、結晶化が促進されたことを示している。これは、
塩素ラジカルにより、酸素などの不純物原子や不正配位
シリコンなどの結合の弱い原子をエッチングしながら成
長が進行した結果と考えられる。さらに1000cm-1
付近のSiO結合と思われるブロードなピークも減少し
不純物の取り込みが抑制されていることが判る。このこ
とからArFエキシマレーザーにより励起されて分解し
たSi26ラジカルにより、ジクロルシランの励起・分
解も促進されて成長が進行したことがわかる。励起され
ていることがわかる。
【0014】さらに、上記の条件でガラス基板上に得ら
れた多結晶シリコン膜のAFM像を図3に示した。同図
において、(イ)は本願の方法によるものであり、
(ロ)はジシラン(Si26)のみから薄膜を得た場合
の結果を示している。結果、ジシラン(Si26)とジ
クロルシラン(SiH2Cl2)と重水素(D2)を共に
原料ガスとして採用することにより、表面が平坦化して
いることが観察できる。例えば、AFM像による膜の端
面厚さを観察できる端面((イ)の場合のA,B端面、
(ロ)の場合のA’,B’端面)の状態を比較すると、
この事実が明確である。これは、ジクロルシラン(Si
2Cl2)分子が励起され分解されて塩素ラジカルが供
給され、不純物や結合の弱い原子等がエッチングされな
がら成長が進むために、平坦性が保たれているものと思
われる。
【0015】以上、ジシラン(Si26)とジクロルシ
ラン(SiH2Cl2)と重水素(D 2)を共に原料ガス
として採用し、ArFエキシマレーザーによる光励起を
行って、非晶質基板であるガラス基板上に、多結晶シリ
コンを得ることができた。さらに、重水素を使用するこ
とにより、高濃度ドーピングが可能となった。ここで、
n型のものを得る場合は、P、As、Sb等をドーピン
グすることとなり、p型のものを得る場合は、B、A
l、In等をドーピングすることとなる。この事実は、
今回発明者らが、新たに確認したことであり、例えば、
従来手法である熱CVDに対して低温で、しかもガラス
基板、樹脂基板等の大型の基板上に、単一工程で多結晶
シリコンを形成できるため、例えば、液晶、トランジス
タ等の開発に非常に有望な道を開くものである。
【0016】〔別実施例〕 上記の実施例においては、ジシランとジクロルシランと
重水素を組み合わせて、結晶性シリコンの形成をおこな
ったが、形成速度を問題にしなければ、ジクロルシラン
に代表されるハロゲン化シランと重水素との組み合わせ
でも、これを励起・分解してハロゲンラジカルを系内に
得て、これにより不純物、不正配位シリコンをエッチン
グしながら、成膜をおこなうことも可能である。ハロゲ
ン化シランとしては、SiH2Cl2、SiH22、Si
Cl4等を使用でき、これらの励起光としては、波長1
57nm、172nm、193nm等の紫外光を使用し
て結晶性シリコンの形成をおこなうことができる。この
場合は、シリコン材料、エッチング用のラジカル材料を
共に、共通の原料ガスより供給することとなるため、例
えば、原料ガス供給量等の成膜条件が広がり、より実用
的な結晶性シリコンの形成方法を与えるものである。さ
らに、上記の実施例において、励起光の光源として、発
光中心193nmのArFエキシマレーザーを用いた例
について説明したが、原料ガスを励起できる波長を有す
るものであれば、他のエキシマレーザー(例えばF2
ーザー、ArClレーザー等)を使用することも可能で
ある。 さらに、上記の実施例においては、ガラス基板上
に多結晶シリコンを堆積させる場合について説明した
が、本願においては、単結晶基板の他、多結晶基板、非
晶質基板を使用することも可能である。ここで、基板と
して単結晶基板を採用する場合は、エピタキシャル成長
を実現することが可能となり、単結晶基板の他、多結晶
基板、非晶質基板を使用する場合は、多結晶シリコンを
基板表面上に堆積させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光励起気相成長装置の構成を示す図
【図2】原料ガスとしてジシラン、ジクロルシラン、重
水素を使用する場合とジシランと重水素の場合のFT−
IRを示す図
【図3】原料ガスとしてジシラン、ジクロルシラン、重
水素を使用する場合とジシランと重水素の場合のAFM
像を示す図
【符号の説明】
1 光励起気相成長装置 3 成長室 5 基板 8 励起光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−244613(JP,A) 特開 昭62−126628(JP,A) 特開 平5−74708(JP,A) 特開 昭61−56278(JP,A) 特開 平4−79315(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ガスを成長室(3)内に導き、前記
    成長室(3)内に保持された基板(5)近傍に移流する
    前記原料ガスを励起光(8)で励起して、基板表面に所
    定の結晶層を得る光励起気相成長法により、前記基板表
    面に結晶性シリコンを得る結晶性シリコンの形成方法で
    あって、重水素とハロゲン化モノシランを前記原料ガス
    として、前記原料ガスを光励起できる波長の励起光であ
    るレーザー光を、前記基板表面に平行に前記原料ガスに
    照射して、350℃より高く500℃までの範囲内の成
    膜温度で、前記基板表面上に選択的に前記結晶性シリコ
    ンを形成する結晶性シリコンの形成方法。
  2. 【請求項2】 原料ガスを成長室(3)内に導き、前記
    成長室(3)内に保持された基板(5)近傍に移流する
    前記原料ガスを励起光(8)で励起して、基板表面に所
    定の結晶層を得る光励起気相成長法により、前記基板表
    面に結晶性シリコンを得る結晶性シリコンの形成方法で
    あって、重水素、ジシラン(Si26)とハロゲン化モ
    ノシランを前記原料ガスとし、前記原料ガスを光励起で
    きる波長の励起光であるレーザー光を、前記基板表面に
    平行に前記原料ガスに照射して、350℃より高く50
    0℃までの範囲内の成膜温度で、前記基板表面上に選択
    的に前記結晶性シリコンを形成する結晶性シリコンの形
    成方法。
  3. 【請求項3】 前記ハロゲン化モノシランが、塩化シラ
    ン(SiHxCl4-x,x=0,1,2,3)、又は弗化
    シラン(SiHx4-x,x=0,1,2,3)である請
    求項1又は請求項2記載の結晶性シリコンの形成方法。
  4. 【請求項4】 前記励起光が、エキシマレーザーから照
    射される紫外光である請求項1、2又は3記載の結晶性
    シリコンの形成方法。
  5. 【請求項5】 前記励起光が、前記エキシマレーザーと
    してのArFエキシマレーザーから照射される紫外光で
    ある請求項4記載の結晶性シリコンの形成方法。
  6. 【請求項6】 前記励起光が、少なくとも前記ジシラン
    (Si26)を光励起できる波長の紫外光である請求項
    2記載の結晶性シリコンの形成方法。
  7. 【請求項7】 前記基板として単結晶基板を使用し、前
    記単結晶基板上にシリコンをエピタキシャル成長させる
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の結晶性シリコンの
    形成方法。
  8. 【請求項8】 前記基板として多結晶基板もしくは非晶
    質基板を使用し、前記多結晶基板もしくは非晶質基板上
    にシリコンを多結晶状態で堆積させる請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の結晶性シリコンの形成方法。
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