JPH0744154B2 - 光照射型低温mocvd方法および装置 - Google Patents

光照射型低温mocvd方法および装置

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JPH0744154B2
JPH0744154B2 JP31787087A JP31787087A JPH0744154B2 JP H0744154 B2 JPH0744154 B2 JP H0744154B2 JP 31787087 A JP31787087 A JP 31787087A JP 31787087 A JP31787087 A JP 31787087A JP H0744154 B2 JPH0744154 B2 JP H0744154B2
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徹 加地
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は光照射型低温MOCVD方法および装置、特にV族
原料ガス、III族原料ガスを用いる化合物半導体のMOCVD
方法および装置の改良に関する。
[従来の技術] 化合物半導体は、Siに対して高速性、低雑音性、直接遷
移型の発光素子を得ることができるなどの特徴を有して
いる。
しかし、従来の素子製造プロセスにおいては、エピタキ
シャル成長層を得る方法として、LPE(液相成長)法し
かなく、このLPE法は、混晶の成長が困難で、しかも小
面積の基板にしか使えず、集積回路や大量生産向きでは
ないなどの問題があった。
このような問題を解決するため、近年、ハライドVPE
法、MBE法、MOCVD(有機金属気相成長)法などが開発さ
れ、急速に普及しつつある。
特に、MOCVD法は、原料をガスで供給し、化学反応によ
って基板上に薄膜を堆積させる手法であって、広範囲の
混晶成長が可能であり、しかも単一温度領域、原料ガス
供給量の制御だけで成長膜厚の制御を行えるなどといっ
た優れた特徴がある。しかも量産性、均質性の点でも最
も有力な手法となっている。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、既存デバイス(LD、FETなど)の小規模量産用
として完成しつつある、このMOCVD法も、化合物半導体
の長所を生かしたより広範囲の多彩な応用、用途拡大を
実現するためには、いくつかの課題を克服することが不
可欠である。
その第1の課題は、より一層精密な膜厚制御手法を開発
することである。この課題を解決すれば、精密膜厚制
御、界面組成の急峻な切替によりヘテロ接合デバイスの
高性能化、超格子素子などの新デバイスへの応用が可能
となる。
第2の課題は、Si基板上への化合物半導体のヘテロエピ
タキシャル成長技術の開発である。
Si以外の基板、例えば、GaAs基板は、小面積のものしか
なく、高価であり、また機械的強度も不十分であり、省
資源、安全性の点でも大量使用するには問題が多い。
これに対して、Si基板は、安価でかつ丈夫で、しかも良
好な熱伝導度を持つ等の大きなメリットがあり、FET、L
D、LEDの他、太陽電池、HEMT、3次元ICなどの大きな新
需要が期待されるようになる。
第3の課題は、エピタキシャル成長温度を引き下げるこ
とである。
すなわち、従来広く用いられている通常のMOCVD法で
は、供給された原料ガスに化学反応を生起させるための
エネルギーを、基板を加熱することにより与えている。
このときの処理温度を低温化することは、転位の成長な
どのプロセス誘起欠陥の低減、既に作成された素子構
造,不純物プロファイルの保存などに非常に有効であ
る。
特に、化合物半導体においては、V族元素の外拡散が容
易に生起することからも処理温度の低減化は重要な問題
となる。
しかし、現状は良好な結晶品質を得るために高い成長温
度(700℃〜750℃)が必要不可欠であり、このことが応
用範囲の拡大を妨げていた。
また、この第3の課題、すなわち処理温度の低温化は、
前述した第1、第2の課題とも深く関連している。
すなわち、高い成長温度が、精密な膜厚制御を困難なも
のとしている。
さらに、Si基板上へのヘテロエピタキシーにおいて開発
された、アモルファスバッファ層、歪超格子バッファ層
の技術でも、高い成長温度が、高転位密度とその増加、
Siと化合物半導体との熱膨脹係数差に起因する残留応力
やクラッキングを生起し、その実用化を阻んでいる。
以上のように、MOCVD法を用いた場合に、成長温度の低
減は多大なメリットをもたらすものであるため、その解
決が最も強く望まれていた。
このような成長温度の低温化のために、従来より各種提
案がなされている。
このような提案としては、例えば熱化学反応による原料
ガスの分解、膜堆積にかわり、プラズマ、光などのエネ
ルギーによる化学反応を利用するプラズマMOCVD、可視
光または遠紫外光を用いた光MOCVDなどがある。
しかし、これらの技術は、確かに低温での成長を可能に
したが、良質の堆積膜を得るためには至らなかった。
これは、上記手法が、原料分子を気相中で分解すること
を主たる効果とし、基板結晶上に到達した構成原子を的
確な結晶中の位置に落ち着かせるために必要な表面泳動
エネルギーを与えるという効果が不足するために、これ
がアモルファス化、欠陥発生につながったためと考えら
れる。さらにプラズマMOCVDでは高エネルギー粒子(電
子、イオン)により発生する基板結晶の損傷も、良好な
膜質を得ることを阻害するものであったためである。
関連技術 また、本発明の関連技術としては、例えば原料ガスの分
解を光エネルギを利用して促進する超格子半導体の製造
方法に関する出願がある(特開昭62−144320)。
しかし、この出題は、光エネルギを用いて原料ガスその
ものを分解してしまうものであり、赤外レーザ光を照射
し原料分子の分子振動を分子が分解に至らない程度に励
起することにより、基板上に化合物半導体結晶をエピタ
キシャル成長させる本発明とは、その基本原理がまった
く異なり、しかも本発明のような作用効果も得ることは
できない。
[発明の目的] 本発明は、このような従来の課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は、前述した3つの課題、特に第3番目
の課題を解決し、低い基板温度においても、高い堆積速
度と良好な結晶性を得ることができる光照射低温MOCVD
方法および装置を得ることにある。
[問題点を解決するための手段] 前記目的を達成するため、本発明の方法は、 V族原料ガス、III族原料ガスを用いる化合物半導体のM
OCVD方法において、 基板を原料ガスが充分に熱分解しない低い反応温度の保
ち、この基板に向け発振波長がV族原料の分子の赤外吸
収波長に同調した赤外レーザ光を照射し原料分子の分子
振動を分子が分解に至らない程度に励起することによ
り、基板上に化合物半導体結晶をエピタキシャル成長さ
せることを特徴とする。
また、前記目的を達成するため、本発明の装置は、 基板を載置するサセプタを有し、サセプタ上に載置され
た基板を原料ガスが充分に熱分解しない低い反応温度に
保つ反応容器と、 この反応容器に向けV族原料ガス、III族原料ガスを供
給する手段と、 所定の低温状態に保たれた供給に向け、発振周波数がV
族原料ガスの分子の赤外吸収波長に同調した赤外レーザ
光を照射する手段と、 を含み、低温状態に保たれた基板上に高い堆積速度でし
かも良好な結晶性が得られるよう化合物半導体結晶をエ
ピタキシャル成長させることを特徴とする。
次に本発明んにより具体的に説明する。
第1図には、本発明が適用されるMOCVD装置の概略図が
示されている。
この装置は、反応容器10と赤外レーザ光発生部20とを有
している。
そして、反応容器10は、その内部にヒータ等で加熱され
一定温度に制御されるサセプタ12が設けられており、こ
のサセプタ12上に半導体基板14を載置している。
また、この反応容器10には、マスフローコントローラな
どにより一定の流量に制御されたV族原料ガスが供給配
管30を介して供給され、同様にして一定の流量に制御さ
れたIII族有機金属蒸気を含むガスが供給配管32を介し
て供給されている。
そして、この反応容器10は、このようにして供給された
ガスによる内部圧力が大気圧以下の一定値となるよう制
御され、またその内部ガスは例えば真空ポンプなどに連
結された排気管34を介して排気される。
また、この反応容器10には赤外線用の窓16が設けられて
おり、前記レーザ光発生部20から出力される赤外レーザ
光100が赤外線用光学系22を介してこの赤外線用の窓16
に導かれ、この窓16を介して反応容器10内部に設置され
た基板14へ向け照射されている。
ここにおいて、前記赤外レーザ光発生部20は、例えばCO
2レーザ光などのような連続発振型の波長可変赤外レー
ザ光発生部として形成することが好ましく、また前記赤
外線用光学系22は、同図に示す場合ミラー、レンズなど
を用いて形成される。
着目点 次に、本発明の着目点を説明する。
本発明は、例えばUVレーザ光MOCVD、プラズマMOCVDのよ
うに、気相中で原料分子を完全分解する手法とは全く異
なる。
本発明は、赤外レーザ光(例えばCO2レーザ光など)の
特性に着目したものである。すなわち、赤外レーザ光
は、原料分子の分子振動を分子が分解に至らない程度の
励起し、基板結晶表面またはそのごく近傍でのみに有効
な化学反応を生起して、良質な結晶成長を行わせ得るか
らである。
また、本発明では、MOCVD法の次のような特徴に着目し
た。すなわち、MOCVD法は、原料がガスとして供給され
る。このため、原料は基本的に透明であり、光による制
御が行い易い。また、原料ガスを減圧することにより、
励起された原料分子同士の気相中での相互作用の確率を
減少させ、これにより分子は副次的に反応をあまり起さ
ずに基板結晶表面に効率良く輸送される。
本発明は、このような赤外レーザと、MOCVD法の特徴に
着目し、減圧MOCVD法と、赤外レーザによる原料分子の
振動励起手法と、を組み合せて前述した第1ないし第3
の課題、特に第3の課題を解決しようとするものであ
る。
(a)低い基板温度 すなわち、前述したように赤外レーザ光により振動励起
された分子は、周知のようにその化学的活性度が10〜10
0倍以上に高まる。この励起分子は、基板結晶表面に到
達して、基板からの熱エネルギーを得たり、基板結晶の
触媒効果などにより、はじめて、第2の原料分子(また
は原料原子)と化学反応を起し、基板結晶に有効に組み
込まれるようになる。
なお気相中では、励起分子はすぐに失活してしまい、反
応することは少ない。このため、巨大なクラスター、微
小結晶粉が基板から離れた空間の気相中で発生すること
はなく、基板結晶表面でのみ良質のエピタキシャル成長
が進行するようになる。
この反応に要する基板表面からの熱エネルギーはごくわ
ずかで充分であり、これ以外に必要とするエネルギー
は、分解後の原子にわずかの表面泳動エネルギーを与え
るのみで充分である。
従って、本発明によれば、従来のMOCVD法に比べ、基板
の温度を低くしても前述した反応を充分行うことがで
き、このようにして本発明ではエピタキシャル成長温度
を低温化することができるのである。
(b)物質選択性 また、周知のように分子の赤外吸収スペクトルは非常に
鋭いピークを示し、わずかに赤外光波長がずれると吸収
が極端に小さくなる。
分子の赤外吸収を利用する本発明は、原料分子の赤外吸
収に赤外レーザ光の発振波長を同調することにより、優
れた物質選択性を有している。
すなわち、原料分子の赤外吸収に赤外レーザ光の発振波
長を同調することにより、原料分子のみを励起すること
が可能で、原料中に含まれる不純物ガスには一切影響を
与えない。この点が、UVレーザ光を用いた従来のMOCVD
のように、原料分子のみならず不純物分子をも全て励
起、分解してしまう手法と大きく異なる点である。
このように、本発明には、純度の低い原料を用いても、
良質のエピタキシャル成長結晶を得ることができるとい
う優れた特徴がある。
(c)精密な膜厚制御 さらに、本発明のように赤外レーザ光を用いると、この
赤外レーザ光をON、OFFすることにより大幅に成長速度
を変化させることが可能であり、原料ガスの切換などの
ような遅い応答時間に制限されることなく、瞬時に成長
速度を変化させ、精密な膜厚制御や急峻な組成制御を行
うことが可能となる。
このようにして、本発明では前記第1の課題を解決する
ことができるのである。
(d)Si基板の利用 また、本発明では、前述したようにエピタキシャル成長
温度を低温化することができるため、熱膨脹係数の差に
よる応力の発生、転位密度の増大などが押えられ、前述
した第2の課題を解決する可能性を与え、Si基板上への
化合物半導体のヘテロエピタキシャル成長を可能とする
道を開くものである。
[作用] 次に本発明の作用を説明する。
まず、このMOCVD装置において、反応容器10への原料用
ガスの吸排気は次のようにして行われる。
図示していないマスフローラなどにより一定の流量にな
るように制御されたV族原料ガスが供給配管30を介して
反応容器10内に導入される。同様にして、図示していな
い恒温バブラー、マスフローコントローラなどにより一
定流量となるよう制御されたIII族有機金属蒸気が供給
配管32を介して反応容器10内に導入される。
このようにして、反応容器10内に導入された原料ガスな
どは、排気管34に連結された図示しない真空ポンプなど
で排気される。これにより反応容器10内は、大気圧以下
の所定の圧力に保たれる。
このようにして、反応容器10内においては、供給配管3
0、32から導入され、排気管34から排出される原料ガス
の定常的な流れが減圧された状態で作られ、この流れの
中に基板14の表面がさらされることになる。
ところで、このような基板14上に結晶を成長させるため
には、基板14を所定の温度に加熱することが必要とな
る。このため、同図において基板14は、ヒータなどによ
り加熱されるサセプタ12上に置かれた所定温度に加熱保
持される。
この温度は、従来から用いられている通常のMOCVD法に
おいては650〜750℃に設定される。このため、この従来
の手法では、基板14の表面に達した原料ガス分子が熱に
より分解され、III族およびV族の原子が生成され、こ
れが基板結晶構造に組み込まれて化合物半導体結晶がエ
ピタキシャル成長をすることになる。
本発明に係る方法および装置では、前記基板14の温度を
所定の低温温度、好ましくは500〜550℃の低温温度に設
定される。この温度では原料ガス分子が充分に熱分解せ
ず、エピタキシャル成長速度が非常に低く抑えられてい
る。
本発明は、このような状態に保たれた基板14へ向け、発
振波長がV族原料の分子の赤外吸収波長に同調した赤外
レーザ光100を照射し、基板表面に化合物半導体結晶を
エピタキシャル成長させることを特徴とするものであ
る。
同図に示す装置では、赤外レーザ光発生部20から発振出
力された赤外レーザ光100が、赤外線用光学系22により
所定のビーム形状、ビーム断面積、方向に整形され、赤
外線用の窓16を介して反応容器10内に導入され、所定の
入射角度で基板14を照射している。
このとき、赤外レーザ光100の発振波長はV族原料ガス
の強い吸収波長に同調されている。
このようにして赤外レーザ光100が基板14に照射される
と、赤外レーザ光100は基板表面付近または基板表面に
物理吸着したV族原料ガス分子にのみ効率良く吸収さ
れ、この分子の振動を励起する。
このようにして振動励起されたV族原料分子は、その化
学的活性度が非常に高まり、基板表面またはその近傍で
基板表面に吸着しているIII族有機金属分子、あるいは
ごくわずかに熱分解で生成されたIII族金属原子と化学
反応を生起し、基板表面に化合物半導体結晶としてエピ
タキシャル成長する。
このようにして、本発明によれば、通常のMOCVDに比較
して150〜250℃低温の基板温度においても良質の化合物
半導体結晶のエピタキシャル成長が達成される。
また、前述したように、分子の赤外吸収を利用する本発
明は、原料分子の赤外吸収に赤外レーザ光の発振波長を
同調することにより、優れた物質選択性を有している。
従って、原料分子の赤外吸収に赤外レーザ光の発振波長
を同調することにより、原料分子のみを選択的に励起す
ることができ、この結果、純度の低い原料を用いても、
良質のエピタキシャル成長結晶を得ることができるとい
う優れた特徴がある。
また、本発明によれば、そのエピタキシャル成長速度が
振動励起されたV族原料ガス分子の供給量で律速され、
ひいては赤外レーザ光の光の強度によりエピタキシャル
成長速度を自由に制御することができる。
その様子が第2図に示されている。横軸は基板温度(絶
対温度)の逆数(1000倍したもの)、縦軸は成長速度を
示し、これら横軸および縦軸はともに対数メモリで表さ
れている。
同図において、添付記号0の曲線は従来から用いられて
いた通常のMOCVDの特性曲線、添付記号1、2、…は本
発明による成長速度の特性曲線であり、その順番に従っ
て基板14に照射される赤外レーザ光100の強度が大きく
なっている。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、従来から用いら
れた通常のMOCVDに較べ150〜250℃の低温基板温度にお
いても実用的な化合物半導体のエピタキシャル成長を実
現でき、高い処理温度に基因する各種欠陥の誘起、既に
作成された素子構造の破壊等の発生が非常に低く抑えら
れるようになるという効果がある。
また、本発明によれば、原料分子の赤外吸収にその発振
波長が同調された赤外レーザ光により、原料分子のみを
選択的に励起することができるため、純度の低い原料を
用いても、良質のエピタキシャル成長結晶を得ることが
できるという効果がある。
さらに、本発明によれば、赤外レーザ光のON/OFFや強度
の調整で成長速度を制御することができるため、通常の
原料ガス流量の調整等による従来の手段に較べ、はるか
に速い応答と、柔軟な制御を可能にし、精密な成長層の
膜厚制御、成長層組成の急峻な切替を現実のものとする
ことができ、従来より用いられていた通常のMOCVDにお
ける問題点の大部分を解決することができるという効果
がある。
[実施例] 次に本発明の好適な実施例を図面に基づき説明する。な
お第1図に示す装置と対応する部材には同一符号を付し
その説明は省略する。
第1実施例 第3図には本発明に係るMOCVD装置の好適な一例が示さ
れており、本実施例では、化合物半導体の砒化ガリウム
(GaAs)のエピタキシャル成長を行う場合を例に取り説
明する。
なお、この場合に用いられる原料としては各種の組合せ
が可能であるが、実施例ではアルシン(AsH3)とトリメ
チルガリウム((CH33Ga,TNG)を用いる例が示されて
いる。この他にも、トリエチルガリウム(TEG),トリ
ブチルガリウム((C4H9)3Ga)などの使用も可能であ
る。
原料ガスの流れ まず、原料ガスの流れを説明する。
実施例の装置は、V族原料ガスとしてAsH3が充填された
ボンベ40を有し、AsH3は、通常水素(H2)で10%程度に
希釈したものが用いられる。そして、ボンベ40から供給
されるAsH3ガスは、マスフローコントローラ42を用いて
一定の流量になるよう制御され、供給配管30を介して反
応容器10内に導入される。
また、実施例の装置は、III族原料の有機金属であるTMG
のバブラー50を有し、このバブラー50は、図示していな
い恒温装置により通常は0℃の一定温度に保たれてい
る。
また、前記有機金属を輸送するために実施例の装置には
キャリアガスのボンベ52が設けられており、このボンベ
52内には、キャリアガスとして通常は水素(H2)ガスが
充填されている。そして、このボンベ52から供給される
水素ガスは水素純化器54により不純物が除去された後、
TMGのバブラー50内に送られ、TMG内を通過する。このと
き、水素ガス中には、その温度における飽和蒸気圧分の
TMGが含まれることになり、このようにしてTMGが含まれ
た水素ガスはマスフローコントローラ56により一定流量
となるよう制御され、供給配管32を介して反応容器10へ
導入される。
このようにして、反応容器10内にはAsH3とTMGとが供給
され、その供給量の比は通常50〜100程度に設定され
る。
そして、反応容器10を通過したAsH3、TMG、水素などの
原料ガスは排気管34に連結しているロータリーポンプ60
により排気される。このときの排気速度は、可変コンダ
クタンスバルブ62により調整され、これにより反応容器
10内の圧力が、大気圧以下の所定の圧力に保たれる。
なお、全圧力は一般には1〜数十Torr程度、通常は10To
rr程度に設定される。この場合のAsH3分圧は0.5〜1Tor
r、TMG分圧は0.005〜0.01Torrになる。
また、同図においてターボ分子ポンプ64、ロータリーポ
ンプ66はエピタキシャル成長前における反応容器10のク
リーニング用に用いられるものである。
このようにして、実施例の装置では、減圧下の反応容器
10内に、原料ガスの定常的な流れが作られ、基板14の表
面はこの流れの中にさらされることになる。
基板温度 つぎに、このように原料ガスの定常的流れの中にさらさ
れる基板14の温度について説明する。
本実施例の装置には、サセプタ加熱用のヒータ70が設け
られており、基板14は加熱されたサセプタ12上に載置さ
れ所定の基板温度に制御される。
このとき、基板温度を制御する方法としては各種のもの
が考えられるが、実施例においては、反応容器10に温度
測定用窓74を設け、この窓74を介して放射温度計76によ
り基板温度を測定している。そして、その測定出力を温
度調整器72にフィードバックして、加熱ヒータ70へ与え
る電力を制御している。
この基板温度は、従来から用いらている通常のMOCVD法
では650〜750℃の範囲に設定されるが、本発明の場合で
は、原料の熱分解が充分に生起しない温度に設定され
る。
実施例のように、原料としてAsH3とTMGと組み合せた場
合には、その基板温度は500〜550℃の範囲に設定され
る。このような低い基板温度範囲において、従来から用
いられている通常のMOCVDではその成長速度が小さく、
膜質も悪いためほとんど実用にならなかった。
これに対し、本発明では、このような低い基板温度範囲
でも、次に述べる赤外レーザ光を用いることにより良好
に化合物半導体結晶をエピタキシャル成長させることが
できる。
赤外レーザ光の照射 本発明の特徴は、このように低い温度に保たれた基板14
へ向け、その発振波長がV族原料の分子の赤外吸収に同
調した赤外レーザ光100を照射することにある。
この赤外レーザ光100の入射光は0°〜90°未満の範囲
で任意の角度に設定可能であるが、実施例では45°に設
定されている。
また、V族原料ガスとして用いられるAsH3の吸収帯を考
慮して、本実施例に用いられる赤外レーザ光発生部20
は、可変波長機能を有するCO2レーザ光発生部として形
成されている。このCO2レーザ光100の波長は、AsH3分子
が強い吸収を示す10P12発振線(10.513μm)に設定さ
れる。
そして、赤外レーザ光発生部20から発振出力される赤外
レーザ光100は、ミラー、レンズ、シャッタ、減衰器な
どで構成される赤外光用の光学系22により適切なビーム
形状、方向に調整され、赤外線用の窓16を透過して基板
14に照射される。
なお、前記赤外光用の光学系22は、目的に合せ任意の部
材の組合せが可能であり、また小面積基板を使用した
り、局所堆積が目的の場合には省略することもできる。
このようにして、基板14に照射された赤外レーザ光100
は、AsH3分子に吸収され、その分子振動を励起する。振
動励起されたAsH3分子は、その化学的活性度が高まり、
通常では反応を起さない低い基板温度範囲にもかかわら
ず、基板表面上またはその近傍で、TMG分子または若干
熱分解して生じたガリウム(Ga)原子と化学反応してGa
Asとなり基板結晶上にエピタキシャル成長する。
第4図にはこのようなエピタキシャル成長の様子が示さ
れており、横軸は基板温度(絶対温度)の逆数(1000倍
したもの)、縦軸は成長速度であり、ともに対数目盛で
表されている。
また、パラメータはレーザ光100の出力である。同図か
らも明らかなように、レーザ光100を基板14に照射しな
い場合には、成長速度は低いが、20W以上のレーザ光出
力の場合では、600℃以上の基板温度でも成長速度と同
等以上であり、膜質も改善され、実用的なものとなって
いる。
以上説明したように、本発明によれば、通常のMOCVDに
比べて、150〜250℃低い基板温度においても、実用的な
GaAs化合物半導体のエピタキシャル成長が実現できる。
第2実施例 第5図には本発明の好適な第2実施例が示されており、
本実施例の特徴は、前述したように基板14へ向け赤外レ
ーザ光100を照射すると同時に、紫外光200を基板14に照
射し、より高い結晶品質を得られるようにしたことにあ
る。
すなわち、実施例の装置には、反応容器10の上方に紫外
光用窓80が設けられており、反応容器10の外部に設けら
れた紫外光源82から発せられる紫外光200がこの窓80を
介して基板14の表面に照射される。
このとき、紫外光200に含まれる光の波長は、III族有機
金属分子を直接光分解しない範囲に設定する必要があ
る。
このような紫外光源82としては、例えば低圧水銀ラン
プ、超高圧水銀ランプ、エキシマレーザ光などの各種の
ものを用いることができ、実施例では、超高圧水銀ラン
プが用いられている。
また、実施例において紫外光200の入射角は0°、すな
わち基板14に対し垂直に照射されるよう設定されてい
る。
そして、実施例の装置では、基板14の表面に赤外レーザ
光発生部20から赤外レーザ光100が照射されると同時
に、紫外光源82から紫外光200が照射される。
このとき、前記紫外光200は、基板表面またはその近傍
において、III族有機金属の電子励起、あるいはその分
解で生じたメチル基(CH3)などのラジカルの励起、前
記V族原料とIII族原料との間の化学反応および各原子
が基板結晶の適当なサイトに落ち着く前の表面泳動の促
進などを効率的に助長し、エピタキシャル成長層の結晶
性向上に寄与する。
この一例として、例えば基板温度を500℃に制御し、通
常のMOCVD法で成長したノンドープGaAs層と、本発明の
装置を用いてCO2赤外レーザ光100、水銀ランプによる紫
外光200を照射して成長したノンドープGaAsとの膜質を
比較した。この結果、不純物混入等を示すキャリア密度
は1/20に減少し、結晶性向上を表すホール移動度、フォ
トルミネッセンスピークの半値幅は、それぞれ1.5倍、1
/3倍となっており、大幅な膜質の向上が確認された。
以上の特性は、通常のMOCVD法で650℃以上の基板温度に
て成長したノンドープGaAs層と同等以上の膜質である。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、
本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、前記第1実施例および第2実施例では、V族原
料ガスおよびIII族有機金属としてAsH3とトリメチルガ
リウムを用いる場合を例に取り説明したが、本発明はこ
れに限らず、これ以外のV族原料ガス、III族原料ガス
を用いる化合物半導体に対しても適用可能であることは
いうまでもない。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明を適用した光照射型低温MOCVD装置の原
理説明図、 第2図は本発明による低温成長効果の説明図、 第3図は本発明に係る装置の好適な第1実施例の説明
図、 第4図は第3図に示す装置を用いて得られた低温成長効
果の測定結果の説明図、 第5図は本発明の好適な第2実施例の説明図である。 10…反応容器 12…サセプタ 14…基板 20…赤外レーザ光発生部 30、32…供給配管 34…排気管 40、52…ボンベ 50…バブラー 70…ヒータ 82…紫外光源 100…赤外レーザ光 200…紫外光

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】V族原料ガス、III族原料ガスを用いる化
    合物半導体のMOCVD方法において、 基板を原料ガスが充分に熱分解しない低い反応温度に保
    ち、この基板に向け発振波長がV族原料の分子の赤外吸
    収波長に同調した赤外レーザ光を照射し原料分子の分子
    振動を分子が分解に至らない程度に励起することによ
    り、基板上に化合物半導体結晶をエピタキシャル成長さ
    せることを特徴とする光照射型低温MOCVD方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲(1)記載の方法におい
    て、 前記基板温度を500〜550℃の範囲の低温状態に保った状
    態で、赤外レーザ光を照射することを特徴とする光照射
    型低温MOCVD方法。
  3. 【請求項3】基板を載置するサセプタを有し、サセプタ
    上に載置された基板を原料ガスが充分に熱分解しない低
    い反応温度に保つ反応容器と、 この反応容器に向けV族原料ガス、III族原料ガスを供
    給する手段と、 所定の低温状態に保たれた基板に向け、発振周波数がV
    族原料ガスの分子の赤外吸収波長に同調した赤外レーザ
    光を照射する手段と、 を含み、低温状態に保たれた基板上に高い堆積速度でし
    かも良好な結晶性が得られるよう化合物半導体結晶をエ
    ピタキシャル成長させることを特徴とする光照射型低温
    MOCVD装置。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲(3)記載の装置におい
    て、 前記基板に向け、III族有機金属分子を直接に光分解し
    ない範囲に波長が設定された紫外光を照射する手段を含
    み、赤外レーザ光と紫外光とを同時に照射するよう形成
    されたことを特徴とする光照射型低温MOCVD装置。
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