JP3441432B2 - 柑橘類搾汁副産物に含まれる有用成分の濃縮方法及びそれを含む栄養組成物 - Google Patents

柑橘類搾汁副産物に含まれる有用成分の濃縮方法及びそれを含む栄養組成物

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JP3441432B2 JP2000358288A JP2000358288A JP3441432B2 JP 3441432 B2 JP3441432 B2 JP 3441432B2 JP 2000358288 A JP2000358288 A JP 2000358288A JP 2000358288 A JP2000358288 A JP 2000358288A JP 3441432 B2 JP3441432 B2 JP 3441432B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柑橘類の処理に関
するものであって、詳細には、新規な柑橘類搾汁残渣の
有効利用法、更に柑橘類機能性成分の高度濃縮、あるい
は分離、回収法、及び食品への応用に関するものであ
る。更に詳細に云えば、本発明は、柑橘類搾汁残渣を圧
搾して得られる圧搾汁を濃縮した柑橘糖蜜を遠心分離等
によりパルプ除去し、サッカロミセス属酵母等によりア
ルコール発酵させて得られる発酵産物、またはその有用
成分を更に分離、分取したものを食品素材として活用す
ることに関するものである。
【0002】
【従来の技術】温州みかん等の柑橘類を搾汁して果汁を
製造する際、果実の約50%もの搾汁残渣が生じる。こ
の搾汁残渣は含水量が高く、比較的多量の可溶性固形分
を含んでいる。したがってこの搾汁残渣を更に圧搾脱汁
し、更なる利用が図られている。例えば、圧搾して得ら
れた圧搾汁を減圧濃縮してブリックス糖度を約40〜6
5%まで高めた柑橘糖蜜とし、これを圧搾残渣に添加、
乾燥して畜産飼料の素材として用いている。また、砂糖
の廃糖蜜と同様にエタノールやアミノ酸類の発酵用原料
として一部が用いられている。しかし、柑橘糖蜜に含ま
れる有用成分の食品としての利用はごく一部に限られて
おり、ヘスペリジン、ナリンギンといった成分の用途開
拓、有効利用が望まれていた。
【0003】一方、近年、食品及び農産物には、体調を
整えたり病気を予防する成分が含まれていることが明ら
かにされつつある。例えば、果物や野菜等をより多く摂
取することによりがんの発生が減ることもわかってい
る。また柑橘類のがん予防及び生活習慣病予防に関する
疫学的調査は盛んに行われており、柑橘類ががん予防及
び生活習慣病予防に役立つことが知られている。柑橘類
果皮は、そのまま、あるいは加工して食品として利用す
ることができる。
【0004】また、柑橘類の搾汁残渣及び果皮中のある
種の成分を抽出して利用することも可能であるが、その
搾汁残渣及び果皮のほとんどが廃棄物として扱われてい
る。その理由として、柑橘類副産物に含まれる有用成
分の分離等を行うには膜処理、クロマトグラフィー等の
装置導入が必要であり、その稼働を含めると多大な費用
がかかること、複数の分離装置を組み合わせることが
必要であり、その分離操作・工程が煩雑になること、
有用成分の分離に伴い多量の副産物が生じてしまうとい
うコスト面での大きな問題が挙げられる。
【0005】更に、柑橘類副産物の原料供給面では、
エタノールやアミノ酸類の発酵用原料として用いられて
いる柑橘糖蜜が、海外より安く入手できるさとうきびや
ビート由来の糖蜜に置き換わりつつあること、柑橘類
の収穫時期は通年ではなく、搾汁期間が主に冬から早春
に限定されてしまうという点が理由として挙げられる。
現在、機能性成分を豊富に含む柑橘類搾汁残渣及び果皮
の高度利用法の開発が急がれている。
【0006】柑橘類の機能性成分については、数多くの
研究(1996年FFIジャーナル等)がなされてい
る。また温州みかんの果皮は「陳皮」として知られてお
り、日本薬局方にも収載されている。柑橘類に存在する
機能性成分としてはカリウム、ペクチン、クエン酸、ヘ
スペリジン等のフラボノイド類、リモノイド類、β−ク
リプトキサンチン、オーラプテン、リモネン等が挙げら
れる。柑橘糖蜜にはこれらはもとより、肝機能増強効果
のあるエタノールアミン(特開平9−224605)、
血圧降下作用のあるγ−アミノ酪酸の他、イノシトー
ル、マンニトール、シネフリン等の機能性成分も比較的
多く含有されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した技
術の現状に鑑み、柑橘類の新しい有効利用の途を開拓
し、公害防止及び貴重な天然資源の活用という面から
も、従来主に廃棄物とされていた柑橘類の果皮や搾汁粕
も有効に利用し、しかもこれらの処理を簡単な操作、工
程によって効率的に実施する目的でなされたものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、本発明者らは、上
記柑橘類の果皮、搾汁残渣、あるいはその圧搾汁を濃縮
して得られる柑橘糖蜜の更なる用途を開拓し、その有効
利用及び食品へ応用することを目的として、鋭意研究、
実験を重ねた結果、この柑橘糖蜜を脱パルプし、酵母等
によりアルコール発酵させることにより、柑橘類に含ま
れる機能性成分の高度濃縮が可能であることを見出し、
本発明をなすに至ったものである。
【0009】すなわち、本発明は、柑橘類の搾汁残渣を
圧搾して得られる圧搾汁を濃縮した柑橘糖蜜を、遠心分
離等によりパルプ除去し、サッカロミセス属酵母等によ
りアルコール発酵させ、柑橘類に含まれる有用成分を濃
縮、回収する方法に関するものである。
【0010】本発明は、また、上記方法により得られる
発酵産物、その分離、分取された有用物質を食品等へ添
加することに関するものである。
【0011】以下に本発明を詳細に説明するが、本発明
はこれにより限定されるものではない。
【0012】本発明に使用する柑橘類果実には制限はな
く、市販されている温州みかん、オレンジ、グレープフ
ルーツ、レモン、夏みかん、甘夏みかん、ダイダイ、ユ
ズ等中型のものはもとより大型のもの、小型のもの、果
皮の厚いもの、果皮の薄いもの等すべてのものが広く使
用される。
【0013】出発原料としては、柑橘類果実全体、果
皮、果肉、及び果汁のいずれもが自由に使用できるが、
搾汁残渣は搾汁工程において多量に廃棄されており、そ
の有効利用が強く望まれている。廃棄処分されている搾
汁残渣には、特に柑橘類由来の機能性成分が豊富に含ま
れているため、搾汁残渣を使用することは、廃棄物の有
効利用のみならず、有用成分の効率的濃縮の観点からも
好ましい。
【0014】本発明を実施するには、まず、上記柑橘類
を例えばインライン搾汁機又はチョッパーパルパーなど
で搾汁する。約50%の果汁と約50%の搾汁残渣が得
られる。この搾汁残渣は約10〜15%の可溶性固形分
を含んでおり含水量も多い。この搾汁残渣に消石灰を加
え、ライミング処理した後、油圧プレス等で再圧搾する
と、更にその半量の圧搾汁と圧搾粕が得られる。この圧
搾汁を減圧濃縮することにより、ブリックス糖度30〜
70%、好ましくは40〜65%の「柑橘糖蜜」を得
る。これは通常の糖蜜と同様に黒味がかった粘稠状の液
体であり糖質以外にも、柑橘類由来の種々機能性成分が
含まれている。このようにして得られた柑橘糖蜜をけい
藻土を用いたろ過や遠心分離等によりパルプ除去を行
う。
【0015】柑橘糖蜜は、パルプ質、果皮及び果肉等多
くの不溶性成分が含んでいる。有用成分の濃縮物を食品
等へ添加する場合、それら不溶物は沈殿等の発生原因と
なる。したがって、柑橘糖蜜に含まれる不溶性成分は、
けい藻土を用いたろ過や遠心分離等により除去するのが
好ましい。柑橘糖蜜からパルプ等の不溶物を除去するこ
とにより「脱パルプ柑橘糖蜜」が得られる。
【0016】この脱パルプ柑橘糖蜜は、糖質を多量に含
んでいるため、それらを効率的に除去し、有用成分を濃
縮する方法が求められる。そこで、柑橘類由来の機能性
成分の濃縮を目的に、脱パルプ柑橘糖蜜を酵母でアルコ
ール発酵処理し、該柑橘糖蜜中の資化糖をエタノール及
び炭酸ガスに変換、除去することにより機能性成分の比
率を高める処理を行う。
【0017】脱パルプ柑橘糖蜜は、酵母によるアルコー
ル発酵処理を行うため、それに必要なブリックス糖度、
栄養源、pH、温度の調整を行う。その条件は酵母によ
る通常のアルコール発酵の場合と同様であって、先ず、
ブリックス糖度については、5〜35%程度、好ましく
は7〜17%に調整する。この場合、脱パルプ柑橘糖蜜
はブリックス糖度が高いので、水で希釈して最適糖度に
調整する。
【0018】栄養源として、硫酸アンモニウム、アンモ
ニア水、尿素などの窒素源、更に必要で有れば、過リン
酸石灰、リン酸アンモニウム等のリン酸塩を加える。p
Hを3〜9の範囲に調整して加熱殺菌する。冷却した
後、酵母等を加えアルコール発酵させる。発酵温度は5
〜45℃が望ましく、使用する酵母にしたがって適宜定
めればよく、通常、発酵至適温度である25〜35℃が
好適な温度範囲例として挙げられる。
【0019】酵母としては、サッカロミセス属に属する
酵母が適宜使用され、2以上の菌種、菌株の併用も可能
である。その非限定例としては、下記のものが例示され
る:サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cere
visiae)IFO 0850;サッカロミセス・フォルモ
センシス(S. formosensis)IFO 0216;サッカ
ロミセス・カールスベルゲンシス(S. carlsbergensi
s)IFO 0565;サッカロミセス・エリプソイデ
ュウス(S. ellipsoideus)IFO 1950;サッカ
ロミセス・サケ(S. sake)IFO 0304;その他パ
ン酵母、ワイン酵母(ブドウ酒1号酵母、ブドウ酒3号
酵母、ブドウ酒4号酵母等)、清酒酵母(協会7号酵
母、協会9号酵母等)、ビール酵母等市販されている酵
母が適宜使用可能である。
【0020】アルコール発酵によって糖が消費されて有
用成分が濃縮されるが、アルコール発酵を過度に長時間
行うと、有用成分であるエタノールアミン等が減少する
だけでなくエネルギーのロスにもなるので、一定のとこ
ろでアルコール発酵を終了するのが好ましい。アルコー
ル発酵の終了点は、有用成分をモニターしながらその最
大値付近に達したときに終了せしめてもよいし、ブリッ
クス糖度変化によって終了点を定めてもよい。
【0021】後者の場合、発酵が進むにつれて、ブリッ
クス糖度は低下する。その際、発酵は、完全に行うこと
なく、途中で終了してもかまわない。しかし、有用成分
の高度濃縮、残存を考慮するとブリックス糖度変化が
0.01〜5%、好ましくは0.05〜2%、更に好ま
しくは0.08〜0.6%/30分の時点での発酵終了
が好ましい。
【0022】発酵終了後、加熱により酵母を失活し、本
発明に係る「発酵産物」を得る。必要あれば、加熱処理
の前及び/又は後に、遠心分離、濾過、デカンテーショ
ン、膜処理その他公知の固液分離処理を行って、固液分
離、清澄化してもよい。また、希望するのであれば、更
に、殺菌、濃縮、ペースト化、乾燥の少なくともひとつ
の処理をしてもよく、本発明に係る「発酵産物」にはこ
れら処理をされたものも広く包含されるものである。濃
縮、乾燥方法としては、減圧濃縮、凍結濃縮、凍結乾燥
その他の常法が適宜使用される。
【0023】発酵産物の粘稠度は低下しており、機能性
成分に富んでおり、機能性成分の高度濃縮も可能であ
る。また、発酵産物をイオン交換樹脂、合成吸着樹脂等
の樹脂処理することにより、柑橘類由来の機能性成分を
分画して、各成分に富む画分を取得したり、所望する場
合、更に分離、精製して精製成分を回収することも可能
である。なお、分画した画分についても、発酵産物と同
じように、濃縮、乾燥することができる。有用成分とし
ては、エタノールアミン、ホスホエタノールアミン、ホ
スホグリセロエタノールアミン、γ−アミノ酪酸、ヘス
ペリジン、イノシトール、マンニトール、シネフリン等
が挙げられる。なお、本発明を搾汁残渣について述べた
が、柑橘類を搾汁して得た果汁についても、脱パルプ柑
橘糖蜜にかえて果汁を同様に処理することにより、本発
明を実施することができる。
【0024】このようにして得た発酵産物は、柑橘類の
良好な風味を有し、そのまま食品として使用できること
はもちろんのこと、すぐれた食品素材として他の食品や
栄養成分、栄養食品等とともに食品組成物、栄養組成物
の調製に使用することができる。また、分画物、分離
物、それらの処理物(濃縮、乾燥物)についても、同様
である。なお、食品組成物、栄養組成物には飲料も包含
される。
【0025】以下、本発明の実施例について述べる。
【0026】
【実施例1】温州みかん(普通温州)1000kgをイ
ンライン搾汁機で搾汁し、約500kgの果汁と約50
0kgの搾汁残渣を得た。搾汁残渣に消石灰を0.4%
加えてライミングした後、油圧プレス等で圧搾して約2
50kgの圧搾汁を得た。この圧搾汁を減圧濃縮しブリ
ックス糖度45%の柑橘糖蜜50kgが得られた。
【0027】上述の柑橘糖蜜にクエン酸を添加し、pH
を6に調整した。次いで柑橘糖蜜を熱水で希釈してブリ
ックス糖度を15%とし、遠心分離機によりパルプ質等
の不溶性成分の除去を行った。その後85℃に加熱し酵
素失活及び殺菌し、この殺菌液を減圧濃縮してブリック
ス糖度50%の脱パルプ柑橘糖蜜37kgを得た。
【0028】上述の脱パルプ柑橘糖蜜を温水で希釈し、
仕込み液中の窒素源を補う目的で硫酸アンモニウムを加
えた。次いでクエン酸を添加し、仕込み液をブリックス
糖度13%、pH5.0とし、パン酵母の発酵至適範囲
内の条件とした。pHについては5以上での発酵も可能
であるが、一般細菌の増殖抑制の目的で弱酸性域とし
た。仕込み液濃度については、発酵後の有用成分の濃縮
等の効率を考えると仕込み濃度を高めるのが好ましい
が、一般的なパン酵母の発酵至適濃度範囲は柑橘糖蜜の
場合でブリックス濃度で7〜17%である。仕込み濃度
を高めるに連れて糖度及び浸透圧が高まる。更に発酵時
のエタノール濃度の上昇で酵母自体の死滅が起こるた
め、仕込み濃度をブリックス糖度で13%とした。高糖
度用、耐浸透圧性のある酵母、更にぶどう酒や日本酒等
の製造で用いられているアルコール耐性酵母を使用する
ことで高濃度仕込みが可能である。
【0029】次いで、仕込み液を85℃にて加熱殺菌
し、30℃まで冷却後、パン酵母(オリエンタル酵母工
業(株)「サフ・インスタントイースト赤」)を0.5
%添加し発酵させた。酵母は、脱パルプ柑橘糖蜜中の糖
を資化して炭酸ガスを発生するため、発酵が進むに連れ
てブリックス糖度とpHは低下した。発酵終了を、30
分経過時のブリックス糖度変化が0.1%の時点とし
た。これにより含まれるエタノールアミン等の有用成分
の減少を最小限に抑えることが可能となる。発酵終了
後、85℃にて酵母を失活し、発酵液に含まれる酵母菌
体等の不溶性成分をけい藻土を用いた全自動圧搾ろ過機
及びフィルタープレスで除いた。その後、ろ液を殺菌及
び減圧濃縮してブリックス糖度45%の発酵産物10k
gを得た。得られた発酵産物に含まれる有用成分の分析
を行い、漢方で用いられる陳皮とその含量を比較した
(表1)。
【0030】(表1) ─────────────────────────── 固形分100g中の含量 ──────────────── 陳 皮 発酵産物 ─────────────────────────── エタノールアミン 3mg 140mg γ−アミノ酪酸 27mg 615mg ヘスペリジン 950mg 3.3g イノシトール 1.4g 5.3g シネフリン 390mg 2.1g ─────────────────────────── 但し、陳皮は10倍量の熱水(90℃)で15分間煎じ
た熱水抽出液の分析値。
【0031】
【実施例2】温州みかん(早生温州)1200kgをイ
ンライン搾汁機で搾汁し、約650kgの果汁と約55
0kgの搾汁残渣を得た。搾汁残渣に消石灰を0.2%
加えてライミングした後、油圧プレス等で圧搾して約2
50kgの圧搾汁を得た。この圧搾汁を減圧濃縮し、ブ
リックス糖度45%の柑橘糖蜜50kgが得られた。こ
の柑橘糖蜜に水酸化ナトリウムを添加し、pHを6に調
整した。次いで実施例1と同様に処理して、ブリックス
糖度50%の脱パルプ柑橘糖蜜37kg得て、これによ
りブリックス糖度45%の発酵産物15kgを得た。
【0032】
【実施例3】バレンシアオレンジ1000kgをインラ
イン搾汁機で搾汁し、約550kgの果汁と約450k
gの搾汁残渣を得た。搾汁残渣に消石灰を0.3%加え
てライミングした後、油圧プレス等で圧搾して約250
kgの圧搾汁を得た。この圧搾汁を減圧濃縮しブリック
ス糖度45%の柑橘糖蜜50kgが得られた。この柑橘
糖蜜にクエン酸を添加し、pHを6に調整した。次いで
実施例1と同様に処理してブリックス糖度50%の脱パ
ルプ柑橘糖蜜37kgを得て、これよりブリックス糖度
45%の発酵産物17kgを得た。
【0033】柑橘糖蜜のみならず、柑橘類の果汁及び濃
縮果汁にも柑橘由来の機能性成分が含まれている。柑橘
糖蜜と同様、果汁及び濃縮果汁にも酵母が資化する糖質
を多く含むため実施例1と同様に発酵処理を行うことが
可能である。また、それにより果汁及び濃縮果汁に含ま
れている機能性成分の濃縮が可能であり、その発酵産物
等を果汁、もしくはその他飲料及び食品に添加すること
によりその機能強化が可能である。
【0034】
【実施例4】100%温州みかん果汁1000g(ブリ
ックス糖度10%)に水酸化ナトリウムを添加し、pH
を5.0に調整後、仕込み液を75℃にて加熱殺菌し3
0℃まで冷却した。次いで、パン酵母(オリエンタル酵
母工業(株)「サフ・インスタントイースト赤」)を
0.2%添加し発酵させた。酵母は、脱パルプ柑橘糖蜜
の場合と同様に果汁中の糖を資化して炭酸ガスを発生す
るため、発酵が進むにつれてブリックス糖度とpHは低
下した。発酵終了を、30分経過時のブリックス糖度変
化が0.1%の時点とした。発酵終了後、85℃にて酵
母を失活し、発酵液に含まれる酵母菌体等の不溶性成分
を遠心分離により除去した。その後、ろ液を減圧濃縮し
てブリックス糖度40%の発酵産物40gを得た。
【0035】
【実施例5】100%バレンシアオレンジ果汁1000
g(ブリックス糖度12%)を実施例4と同様に処理
し、ブリックス糖度40%の発酵産物70gを得た。
【0036】
【実施例6】100%グレープフルーツ果汁1000g
(ブリックス糖度10%)を実施例4と同様に処理し、
ブリックス糖度33%の発酵産物80gを得た。
【0037】
【実施例7】(1)実施例1で得られた食品素材を用
い、表2に示す配合組成により、常法に従って食品組成
物を作成した。
【0038】(表2) 強力粉 450g オレンジジュース 160g 水 100g オレンジピール 60g 砂糖 45g バター 30g スキムミルク 6g ドライイースト 6g 食塩 3g 柑橘発酵産物 40g
【0039】作成した組成物(オレンジパン)は、市販
されている食パン(6枚切り)の1枚量で柑橘発酵産物
5gを摂取することが可能である。
【0040】(2)実施例1で得られた食品素材を用
い、表3に示す配合組成により、常法に従って食品組成
物を作成した。
【0041】(表3) グレープフルーツジュース 500g 水 750g 砂糖 150g ゲル化剤 19g レモン果汁 19g 柑橘発酵産物 62g
【0042】作成した組成物(グレープフルーツゼリ
ー)は、一食150gで柑橘発酵産物6gを摂取するこ
とが可能である。
【0043】(3)実施例1で得られた食品素材を用
い、表4に示す配合組成により、常法に従って食品組成
物を作成した。
【0044】(表4) 水 387g レモンジュース 100g 砂糖 100g ゲル化剤 19g 卵白 40g ゲル化剤 3g 柑橘発酵産物 22g
【0045】作成した組成物(レモンシャーベット)
は、一食150gで柑橘発酵産物5gを摂取することが
可能である。
【0046】(4)実施例1で得られた食品素材を用
い、表5に示す配合組成により、常法に従って食品組成
物を作成した。
【0047】(表5) 脱脂粉乳 160g 食用油脂 100g 砂糖 160g 水飴 280g 加糖卵黄 44g 乳化剤 7g 水 1142g 柑橘発酵産物 100g
【0048】作成した組成物(バニラアイスクリーム)
は、一食100gで柑橘発酵産物5gを摂取することが
可能である。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、柑橘類の
搾汁残渣より得られる糖蜜を酵母によりアルコール発酵
させることにより柑橘類由来の機能性成分を高度に濃縮
することが可能な新しい方法が提供される。さらに得ら
れる発酵産物、及びそれより分離、回収された有用物質
を食品に利用することも可能である。この食品素材は天
然物由来であり、副作用もなく安全に食せる。
【0050】また、この発酵産物、またはそれより分
離、回収された物質を食品に利用することにより、今ま
で以上に柑橘類の搾汁残渣の有効利用を図ることが可能
であり、その結果、従来廃棄されることが多かった搾汁
残渣を廃棄することなく有効利用することが可能とな
り、公害防止、廃棄物処理の面でもすぐれた効果が奏さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有馬 裕史 東京都東村山市栄町1−21−3 明治乳 業株式会社栄養科学研究所内 (72)発明者 小出 薫 東京都東村山市栄町1−21−3 明治乳 業株式会社栄養科学研究所内 (56)参考文献 特開 平10−191949(JP,A) 特開 平10−276578(JP,A) 特開 平2−65758(JP,A) 特開 昭54−157861(JP,A) 特開 平1−304829(JP,A) 特開 平5−56764(JP,A) 特開2000−245382(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/212 - 1/218 C13J 1/00 - 1/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柑橘類を搾汁してその際副生する搾汁残
    渣の圧搾汁を濃縮して得られる柑橘糖蜜を脱パルプし、
    得られた脱パルプ柑橘糖蜜をアルコール発酵処理するこ
    と、を特徴とする柑橘糖蜜に含まれる有用成分の濃縮方
    法。
  2. 【請求項2】 アルコール発酵をサッカロミセス属酵母
    によって行うこと、を特徴とする請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 アルコール発酵の終了点を、30分経過
    時のブリックス糖度変化が0.01〜5%、好ましく
    は、0.05〜2%の時点とすること、を特徴とする請
    求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルコール発酵処理によって得られる発
    酵産物を、更に加熱処理及び/又は固液分離処理するこ
    と、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜のいずれか1項に記載の方
    法によって得られる食品素材。
  6. 【請求項6】 請求項に記載の食品素材を含有せしめ
    てなること、を特徴とする食品又は栄養組成物。
JP2000358288A 2000-11-24 2000-11-24 柑橘類搾汁副産物に含まれる有用成分の濃縮方法及びそれを含む栄養組成物 Expired - Fee Related JP3441432B2 (ja)

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