JP3441069B2 - ミシン糸 - Google Patents
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Description
シン糸ならびに該ミシン糸で縫製された縫製品に関する
ものである。
いて例えば伸縮性を有する布帛を縫製した場合、当然の
ことながら縫い目部の布帛の伸縮性が低下して、布帛の
特徴が活かされない。加えて、伸縮性布帛の縫製では、
縫い目部に過度の伸長力が加わった場合には、伸縮性が
ないミシン糸が容易に破断する欠点がある。そこで、縫
い目部に伸縮性を付与することが必要な場合には、2重
環縫いやオーバーロック縫いまたは千鳥縫いなどの構造
をもった縫い目を形成することで縫い目に伸縮性を発現
させることがおこなわれている。しかし、これらの縫い
目はその構造形成に特殊ミシンが要る外、縫製にも長時
間を要し、ミシン糸の使用量が多くなり、しかも縫い目
外観が劣るといった欠点がある。また、縫い目部の布帛
の伸縮性も必ずしも充分なものではなかった。
特開平1−260030号公報、特開平2−26945
号公報で提案されている。これらの公知ミシン糸は、ポ
リウレタン系等の弾性繊維と可溶性繊維との合撚または
弾性繊維を可溶性繊維で被覆して調製されるミシン糸で
ある。このミシン糸を用いる縫製は、縫製後に前記可溶
性繊維を溶解、除去する処理を適用して、縫合部に弾性
繊維のみを残す方法である。これらの提案は、弾性繊維
に合撚または被覆して非弾性の可溶性繊維を併用するこ
とによって縫製時の弾性繊維の伸長を抑え且つ摩擦抵抗
を低減して、可縫性に劣り、仮に縫製できても縫製品に
パッカリングが生じ、仕立て映えに劣る弾性繊維のみに
よる縫製方法の問題を解決する試みである。しかし、こ
の縫製方法は、弾性繊維の弾性発現のための可溶性繊維
の溶解、除去処理工程を必要とするので、縫製コストを
増加させるし、縫製品の縫合部にミシン穴が明瞭に残
り、仕立て映えが損なわれる欠点があった。
は、高速可縫性に優れ、かつ縫い目強力及び縫い目外観
の良好な複合ミシン糸として、ポリエチレンテレフタレ
ート繊維などの高強力長繊維フィラメント合成繊維を芯
糸とし、そのまわりに短繊維を包絡してなる複合糸から
構成される複合ミシン糸において、前記芯糸の破断強度
が7.5g/d(6.6cN/dtex)以上、150
℃乾熱収縮率が4%以下、5%伸張時の応力が2.0g
/d(1.8cN/dtex)以上である複合ミシン糸
が開示されている。しかし、この公知複合ミシン糸は、
弾性伸縮性がないミシン糸であるから、前記した伸縮性
のない一般のミシン糸と同様の欠点を有している。しか
も、この公報にはポリトリメチレンテレフタレート繊維
を示唆する記載はないが、本発明者らの検討によれば、
破断強度が6.6cN/dtex以上の高強度なポリト
リメチレンテレフタレート繊維を得ることは著しく困難
であった。
伸縮性を有する布帛の本縫い縫製が可能な伸縮性ミシン
糸ならびに外観が良好でかつ伸縮性を有する縫い目が形
成された伸縮性布帛の縫製品を提供することにある。
特定の物性と性量を有するポリトリメチレンテレフタレ
ートマルチフィラメント糸を2本から数本程度合撚した
糸条を特定条件で熱水弛緩処理することによって該構成
繊維に均一な微細構造変化、即ち構造緩和を起こさせる
ことにより、より低応力で伸び、高伸度で弾性回復性の
優れたミシン糸が得られることを見出した。また、本発
明者らは、このような方法で得られた特定の強伸度特性
を有するミシン糸は優れた伸縮性を有し、しかも前記の
課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
フタレート繊維のマルチフィラメント糸で構成されたミ
シン糸であって、強伸度曲線の伸度5%における応力が
0.4〜1.2cN/dtex、伸度30%における応
力が1.4〜2.2cN/dtex、20%伸長時の弾
性回復率が60%以上であることを特徴とするミシン糸
である。本発明は、更に、かかるミシン糸を用いて布帛
を縫製してなることを特徴とする縫製品である。
いて、ポリトリメチレンテレフタレート繊維とは、トリ
メチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とす
るポリエステルであって、トリメチレンテレフタレート
単位を約50モル%以上好ましくは70モル%以上、さ
らには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以
上を含むポリエステルからなる繊維をいう。したがっ
て、本発明でいうポリトリメチレンテレフタレート繊維
は、ポリエステルの第三成分として他の酸成分および/
またはグリコール成分の合計量が、約50モル%以下好
ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さ
らに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されている
ポリトリメチレンテレフタレートからなるポリエステル
繊維も含む。ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ールまたはその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適
当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。
合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分
を添加して共重合ポリエステルとしてもよい。
ルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボ
ン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカル
ボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール
等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテ
ルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキ
シカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキ
シ安息香酸等)等がある。また1個または3個以上のエ
ステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸又はグリ
セリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で用い
ることができる。
フタレート繊維は、一般に、前述したポリトリメチレン
テレフタレート重合体の溶融紡糸によって製造された繊
維である。ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ポ
リエチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフ
タレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチ
レンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンドし
て、ポリマーブレンド法を用いて製造される繊維であっ
ても、また複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)によ
って製造される繊維であることもできる。ここで、ポリ
トリメチレンテレフタレート繊維は二酸化チタン等の艶
消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘
導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロ
ジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸
化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収
剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
レンテレフタレート繊維は、前述したポリトリメチレン
テレフタレートを溶融紡糸して、1500m/分程度の
巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延
撚する方法、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピン
ドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸
法(スピンテイクアップ法)、溶融紡糸の後に一度水浴
で冷却してから延伸す方法の何れの方法で製造される繊
維であることができる。この場合、繊維の形態は長繊維
(マルチフィラメント糸)であり、長繊維を構成する単
糸繊維の断面形状が丸型、三角型、L型、T型、Y型、
W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多
葉型、中空型や不定形なものであることができるが、特
に丸型断面形状のものであることが好ましい。
種紡糸法で得られる原糸、仮撚加工糸(POYの延伸仮
撚糸を含む)、先撚仮撚加工糸(例えばS又はZ方向に
600〜1000T/m先撚し、Z又はS方向に300
0〜4000T/m仮撚した糸)、空気噴射加工糸、混
繊糸などの形態であることができる。原糸または仮撚加
工糸の形態でミシン糸を構成することが、可縫性に優れ
たミシン糸を得る上でより好ましく、本縫い性が優れた
ミシン糸を得る上では、原糸の使用が特に好ましい。
ィラメント糸は、破断強度2.5〜4.5cN/dte
x、破断伸度34〜60%、初期弾性率20〜30cN
/dtex、20%伸長時の弾性回復率60〜95%、
強伸度曲線の伸度5%における応力が0.6〜1.8c
N/dtex、伸度30%における応力が2.3〜3.
5cN/dtex、沸水収縮率が5〜15%の物性を有
する繊維であることが好ましい。ポリトリメチレンテレ
フタレートマルチフィラメント糸の全繊度は、20〜5
50dtex、中でも30〜300dtexが好まし
く、またその単糸繊度は10dtex以下、特に1〜6
dtexであることが好ましい。
レフタレートマルチフィラメント糸で構成され、ミシン
糸の強伸度曲線の伸度5%における応力が0.4〜1.
2cN/dtex好ましくは0.4〜0.8cN/dt
exであり、伸度30%における応力が1.4〜2.2
cN/dtex好ましくは1.4〜2.0cN/dte
xであることが必要である。そして、ミシン糸がこのよ
うに構成されることで、ミシン糸の縫製性が高められ、
縫い目の均一性に優れ更には着用感の優れた縫製品の調
製を可能にしている。ミシン糸は、その応力が伸度5%
において0.4cN/dtex未満であると、縫製時に
目飛びなどが発生するおそれがあり、一方、1.2cN
/dtexを超えると縫い目の均一性が損なわれること
がある。また、ミシン糸の応力が伸度30%において
1.4cN/dtex未満の場合には、布帛縫製品に十
分な縫い目強力を形成することができず、一方、2.2
cN/dtexを超える場合には、布帛縫製品の縫い目
部が伸ばされたときにミシン糸に掛かる応力が大きくな
り縫製衣料の圧迫感が強く着用感が劣ることがあること
が判明した。
4.5cN/dtex、特に2.5〜4.0cN/dt
exを有し、破断伸度が40〜100%、特に50〜8
0%を示すことが好ましい。破断強度が2.3cN/d
tex未満では、布帛縫製品に十分な縫い目強力を付与
することが困難であり、一方、破断強度が4.5cN/
dtexを超えると、ミシン糸は破断伸度が低いものと
なり、布帛縫製品の縫目ストレッチ性が著しく低くな
り、その着用感が劣るものとなる場合がある。また破断
伸度が40%未満であると布帛縫製品の縫目ストレッチ
性が劣り、その着用感が劣る。一方、破断伸度が100
%を超えると、ミシン糸の縫製性が著しく損なわれる。
の弾性回復率が60%以上、特に60〜80%であるこ
とが必要である。弾性回復率がこの範囲に選択されてい
ることで、特に伸縮性布帛を縫製した場合に布帛との追
従性が極めて良好となる。本発明のミシン糸は、構成繊
度、合糸数、撚数、撚糸方向について特に限定されな
い。番手は、ミシン糸の用途、要求仕様に対応して、ポ
リエステルフィラメントミシン糸に関する規格(JIS
L 2511)に準じて適宜選定することができる。
例えば、ミシン糸番手#5、#8、#10、#20、#
30、#40、#50、#60、#80、#100など
に合わせて適宜に選定することができる。
フタレートマルチフィラメントに下撚りが付与されるミ
シン糸では、付与撚数が500〜1200T/mである
ことが好ましい。合糸本数は2本引き揃えて撚り合わせ
た2子撚糸、3本を引き揃えて撚り合わせた3子撚糸、
又、予め2本を引き揃えて撚り合わせたものを更に3本
引き揃えた2本×3本の撚糸など種々のものを選定する
ことができる。上撚数り撚数については下撚り1に対し
上撚りを0.7〜0.8倍とし撚りびりができるだけ発
生しないようにするのが望ましい。また上撚りの方向
は、基本的にはZ方向とするのがよいが、2本針本縫い
ミシン糸などのミシン糸ではS撚、Z撚両方を用いる方
がよい場合もあり、特に限定するものではない。
dtexのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィ
ラメント原糸をZ方向に500〜1000T/mの下撚
りを掛け、次いでこれを2〜3本引き揃えてS方向に1
000〜2000T/mの中撚りを掛け、その後これを
2〜3本引き揃えてZ方向に300〜800T/mの上
撚りを掛けたミシン糸は、本縫いでのバック縫い性が極
めて良好となるので特に好ましい。一方、50〜200
dtexのマルチフィラメント原糸の仮撚加工糸を2本
引き揃えて100〜300T/mの撚りを掛けて得られ
るミシン糸は、本縫いの下糸やロック縫い糸等として特
に好適である。
て述べる。本発明のミシン糸は、前述した物性を有する
20dtex以上の所望繊度を有するポリトリメチレン
テレフタレートマルチフィラメント糸の原糸または加工
糸を引き揃えて合撚するか、該合撚糸を引き揃えて合撚
して得られる複合合撚糸(以下、単に合撚糸という)を
調製した後、該合撚糸を巻き密度0.25〜0.5g/
cm3 の巻糸体の状態にした後、差し替え率が5〜30
%の多通液孔を設けたボビンに差し替えて90℃以上で
熱水処理することによって製造することができる。ここ
に、マルチフィラメントの引き揃え本数、合撚の回数お
よび合撚で付与される撚り方向、撚り数などは既知のミ
シン糸の設計仕様に準じて適宜選択され、イタリー式撚
糸機などの既知の合撚機を用いて所定のプライからなる
合撚糸が調製させる。
終過程でソフトワインド機などの巻き取り手段により紙
管などのボビン上に所定の糸巻き密度を有する合撚糸の
コーンもしくはチーズである。ポリトリメチレンテレフ
タレート長繊維糸の合撚糸は、特定の巻き密度の巻糸体
の形状で熱水処理を受けることで、強伸度曲線が、伸度
5%における応力が0.4〜1.2cN/dtexの応
力であり、伸度30%における応力が1.4〜2.2c
N/dtexの応力である糸方向均一な、物性も安定し
た伸縮特性を有するミシン糸を得ることができる。
を少なくとも10分以上貫通して循環させることによっ
て行われる。この熱水処理がパッケージ精錬機または染
色機を用いるミシン糸の精練または染色加工を兼ねて行
なわれることが便利であり、最も好ましい。パッケージ
精錬機または染色機を用いることにより、熱水を巻糸体
の所定密度の合撚糸層にアウト−インまたはイン−アウ
トで所定時間循環させることで、糸層を乱さないで均一
に弛緩できミシン糸の表面および内層部の構造と物性を
所定の条件に調整することができる。
〜0.5g/cm3 、特に0.3〜0.4g/cm3 に
し、染色チューブ(通液処理ボビン)への差し替え率を
5〜30%、特に10〜20%にしてパッケージ染色法
で得られるミシン糸は、均染性と熱水処理によるミシン
糸物性の均一化が同時に達成されているので特に好まし
い。ここで、差し替え率(%)は、巻き取り機の巻き取
り紙管などの巻き取りボビンの外径をAとし、通液ボビ
ンの外径をBとした場合、(1−〔B/A〕)×100
で求められる値である。
的で、精錬後もしくは、染色後脱水してから可縫性向上
剤、平滑剤や収束剤液を巻糸体に循環させて付着させて
もよく、湿潤処理後の巻糸体の染色乾燥後に連続糸処理
機(巻糸体から糸を連続解舒しながら加工剤液を付着さ
せ乾燥して巻き取る装置:例えばユニサイザー〔株〕梶
製作所製)を用いて付着させても良い。可縫性向上剤、
平滑剤としてはシリコーン系化合物、ポリエチレン系エ
マルジョン、ワックス系化合物等がある。収束剤として
は、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリ
ル系樹脂等が挙げられる。
原糸油剤などを除去する精錬剤、例えばノニオン系界面
活性剤、炭酸ソーダなどを添加した精錬液を用いて、5
0〜100℃で10〜30分行う方法が有る。染色方法
で行う方法は、合撚糸の精錬に続いて分散染料を用い分
散剤、酢酸を添加した染液を巻糸体に対しアウト−イ
ン、イン−アウト又はアウト−イン−イン−アウトで循
環させながら、染色温度は90〜130℃で15〜12
0分、より好ましくは110〜130℃で行い、より短
時間で均一な所定の物性を有する染色ミシン糸を製造す
ることができる。
/又は緯方向の伸長率が5〜200%の布帛を意味す
る。ここでいう伸長率とは、引張側を布帛の経方向及び
緯方向とした140mm×165mm(引張側×拘束
側)の大きさの2種の試料を用意し、それぞれの試料
を、速度60cm/分で引張り、伸長応力曲線を描き、
この曲線から幅5cm当たり2kgの応力が加わったと
きの布帛の伸度を算出したものをいう。なお、この測定
にはカトーテック社製2軸伸長試験機(KES−G2
型)を用いる。布帛の形態としては織物、編物、不織布
が挙げられるが特に織物、編物が好ましい。
ては、布帛を構成する糸条の伸縮性を利用したものや組
織の伸縮性を利用したもの、及びこれらの組み合わせを
利用したものがある。具体例としては、ポリウレタン系
繊維のベア使いやカバリング等の複合糸を用いたもの、
仮撚加工で糸条に捲縮を与え伸縮性を利用したもの、更
にはこれらを混用したものなどである。組織に伸縮性を
付与した具体例としては、丸編、経編、横編が代表例と
して挙げられる。
のものが挙げられる。シャツ、ブラウス、 作業着、ユニ
フォーム、スラックス、ジャケット、スーツ、コート等
の伸長率が10〜25%を示すもの、スポーツジャケッ
ト、トレーニングウェア、プレイウェア、Tシャツ、肌
着、セーター類等の伸長率が20〜40%を示すもの、
更に、ファンデーション類、レオタード、水着、スキー
ウェア、スケートウェア等の40〜200%の伸長率を
示すものである。本発明のミシン糸はこれら全ての伸縮
性布帛を縫製することができるが、20%以上、特に6
0%以上の伸長率を有する布帛においても縫目のストレ
ッチ性が優れ、得られた縫製品は圧迫感がなく着心地に
優れる効果が得られるので好ましい。
する。なお、実施例における評価は以下の方法により測
定した。 (1)強伸度特性の評価 東洋ボールドウィン社製テンシロンを用い、試料長20
cm、引張速度20cm/minの条件で応力伸度曲線
を画き、伸度5%時と30%時の応力と、破断強度(c
N/dtex)、破断伸度(%)を測定した。 (2)初期弾性率の測定 初期弾性率はJIS−L−1013に準じて測定した。
/dtexの初荷重をかけ、毎分20%伸びの一定割合
の速度で伸ばし、伸度20%になったところで今度は逆
に同じ速度で収縮させて、応力−歪曲線を画く。収縮
中、応力が初荷重と等しい0.0109cN/dtex
にまで低下した時の残留伸度をLとすると、下記式で算
出した。 20%伸張時の弾性回復率=(20−L)/20×100(%)
に1g/デシリットルの濃度で溶解し、その後、得られ
た溶液をオストワルド粘度管に移し35℃で測定し、下
記式により算出した。 ηsp/c=(T/T0 −1)/C T:試料溶液の落下時間(秒) T0 :溶剤の落下時間(秒) C:溶液濃度(g/デシリットル)
て編成した。 ・インターロック部: ポリエチレンテレフタレート(カチオン可染糸)56d
tex/キュプラ33dtex混繊糸 ・シリンダーの天竺部: ポリエチレンテレフタレート(カチオン可染糸)56d
tex/キュプラ33dtex混繊糸 ・ダイヤルの天竺部: ポリウレタン系弾性繊維(旭化成工業社製商品名ロイ
カ)22dtexを2.5倍に伸長しつつ、インターロ
ック部と同じ混繊糸と引き揃えて給糸
ト(180℃)、100℃にて2浴30分染色後、17
0℃で仕上げした。得られた伸縮性編地(以下編地とい
う)をカトーテック社製2軸伸長試験機を用いてストレ
ッチ率を測定した結果、2kg/5cmの条件下で経1
40.0%、緯88.5%であった。この編地を経10
cm、緯20cmの大きさに採取し、経方向の中央部を
JUKI(株)製の本縫いミシン(DDL−555)を
用いて、ミシン針11番Jポイント針、運針数5針/c
m、回転数3000rpmの条件で縫製後、東洋ボール
ドウィン社製テンシロンを用い、JIS−L−1093
のグラブ法に準じて縫目と平行方向に伸長し、伸長率6
0%並びに100%の時の応力A(cN/cm)を測定
した。次いで、縫製前の編地も同様に、伸長率60%並
びに100%の時の応力B(cN/cm)を測定した。
網目のストレッチ性は伸長率60%並びに100%の時
における両者の差(応力A−応力B)で評価した。この
値が小さい方がストレッチ性に優れている。
た。 ・サイズ・・・9号 ・地の目・・・緯方向 ・ゆとり率・・・マイナス5% ・縫製条件・・・本縫い :JUKI(株)製(DDL
−555) ミシン針:11番Jポイント針 運針数 :5針/cm 回転数 :3000rpm 標準サイズのパネラー5名を選出し、上記スパッツを着
用、階段昇降及び屈伸さらに自転車こぎの動作を行うこ
とによる着用感を、◎(極めて快適)、○(快適)、△
(やや快適)、×(不快)の4段階で評価した。
記は評価の基準である。 ○ 縫目が均一で、目飛び、パッカリングがない △ 縫目が不均一である × 目飛びのあるもの、またはパッカリングのあるもの
レフタレートを紡糸温度265℃、紡糸速度1200m
/分で未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60
℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸
速度800m/分で延撚して、84dtex/36fの
延伸糸を得た。延伸糸の破断強伸度、初期弾性率並びに
20%伸長時の弾性回復率は、各々3.5cN/dte
x、40%、24cN/dtex並びに95%であっ
た。
繊維マルチフィラメント原糸1本をイタリー撚糸機を用
い800t/m(S方向)の下撚りをかけ、それを3本
引き揃えて600t/m(Z方向)の上撚りを加え3子
撚糸を得た。得られた3子撚糸を神津社製ソフトワイン
ダーを用い紙管径79mmの紙管に巻き密度0.35g
/cm3 で1kg巻きした。このチーズを外径69mm
の染色チューブ(通液処理ボビン)に差し替え、パッケ
ージ染色機(日阪製作所社製)にセットして、花王社製
スコアロールFC−250(1g/リットル)を添加し
て流量40リットル/minで常温から2℃/minの
昇温速度で60℃昇温し、60℃で10分間精錬を行っ
た。
スター社製:Dianix YellowAC−E0.
06%owf、Dianix Blue AC−E0.
08%owf、Dianix RedACE0.06%
owf)、分散剤(明成化学社製:ディスパーTL0.
5g/リットル)を加え、更に酢酸にてPH5に調整し
た後、流量40リットル/minでイン−アウトで染液
を循環し、2℃/minの昇温速度で120℃まで昇温
し、120℃で30分染色を行った。染色後脱液、水洗
を行った後、シリコーン系油剤(大日本インキ社製:デ
ィックシリコーンソフナー500)を5%owf添加し
50℃で20分オイリング処理を行った。脱水後、乾燥
を行い#50相当のミシン糸を得た。
伸長時の弾性回復率は、各々3.4cN/dtex、7
2%及び66%、強伸度曲線の5%伸度時の応力は0.
6cN/dtex、30%伸度時の応力は1.8cN/
dtexであった。このミシン糸は均染性に優れ、物性
も均一なものであり、縫目外観が良好で、縫目ストレッ
チ性に優れたミシン糸であり、得られた縫製品は圧迫感
が無く着心地に優れたものであった。このミシン糸の評
価結果を表1に示す。
fのポリトリメチレンテレフタレートの延伸糸を得た。
この延伸糸の破断強伸度、初期弾性率並びに20%伸長
時の弾性回復率は、各々3.4cN/dtex、38
%、23cN/dtex並びに92%であった。得られ
たポリトリメチレンテレフタレート繊維マルチフィラメ
ント原糸1本をイタリー撚糸機を用い800t/m(Z
方向)の下撚りをかけ、それを2本引き揃えて1700
t/m(S方向)の中撚りをかけ、更に、この中撚りを
かけた糸3本引き揃えて600t/m(Z方向)の上撚
り加え6子撚糸を得た。得られた6子撚糸を表1記載の
チーズ巻き密度とチーズ染色時の差し替え率に変更した
以1 は実施例1と同様にして表1に示す強伸度、20%
の伸長時の弾性回復率、強伸度曲線を有する#40相当
のミシン糸を得た。このミシン糸は均染性に優れ、物性
も均一なものであり、縫目外観が良好で、縫目ストレッ
チ性に優れたミシン糸であり、得られた縫製品は圧迫感
が無く着心地に優れたものであった。このミシン糸の評
価結果を表1に示す。
8fのポリトリメチレンテレフタレートの延伸糸を得
た。この延伸糸の破断強伸度、初期弾性率並びに20%
伸長時の弾性回復率は、各々3.4cN/dtex、4
2%、23cN/dtex並びに94%であった。得ら
れたポリトリメチレンテレフタレート繊維マルチフィラ
メント原糸を石川製作所(株)製ピン仮撚機IVF33
8を用いて、糸速190m/分、仮撚数2900T/
m、仮撚加工温度165℃、1stフィード0.0%、
TUフィード3.5%の条件で仮撚加工を施した。得ら
れた仮撚糸2本をイタリー撚糸機にて150t/m(Z
方向)の条件で合撚した。得られた合撚糸を表1記載の
チーズ巻き密度とチーズ染色時の差し替え率に変更した
以外は実施例1と同様にして表1に示す強伸度、20%
伸長時の弾性回復率、強伸度曲線を有する#50相当の
ミシン糸を得た。このミシン糸は均染性に優れ、物性も
均一なものであり、縫目外観が良好で、縫目ストレッチ
性に優れたミシン糸であり、得られた縫製品は圧迫感が
無く着心地に優れたものであった。このミシン糸の評価
結果を表1に示す。
チーズ染色時の差し替え率を表1に記載の通り変化させ
た以外は同様にして表1に示す破断強1 度、20%伸長
時の弾性回復率、強伸度曲線を有するミシン糸を得た。
このミシン糸は均染性に優れ、物性も均一なものであ
り、縫目外観が良好で、縫目ストレッチ性に優れたミシ
ン糸であり、得られた縫製品は圧迫感が無く着心地に優
れたものであった。このミシン糸の評価結果を表1に示
す。
フタレート繊維マルチフィラメント原糸の代わりに84
dtex/36fのポリエチレンテレフタレートマルチ
フィラメント原糸(旭化成工業(株)製、破断強度5.
0cN/dtex、破断伸度18%、初期弾性率97c
N/dtex、20%伸長時の弾性回復率45%)を用
いた以外は実施例1と同様にして撚糸、チーズ染色を行
い表1に示す破断強伸度、20%伸長時の弾性回復率、
強伸度曲線の#50相当のミシン糸を得た。このミシン
糸の縫製評価結果を表1に示すが、ポリエチレンテレフ
タレートマルチフィラメントであるため、縫目ストレッ
チ性に劣るミシン糸であり、得られた縫製品は圧迫感を
強く感じ着心地が悪ものであった。
フタレート繊維マルチフィラメント原糸の代わりに78
dtex/24fのナイロン66マルチフィラメント原
糸(旭化成工業(株)製、破断強度6.0cN/dte
x、破断伸度25%、初期弾性率40cN/dtex、
20%伸長時の弾性回復率60%)を用い実施例1と同
様にして撚糸し、チーズ染色は酸性染料を用い110℃
染色した他は実施例1と同様にして、表1に示す破断強
伸度、20%伸長時の弾性回復率、強伸度曲線の#50
相当のミシン糸を得た。このミシン糸の縫製評価結果を
表1に示すが、縫目ストレッチ性に劣るミシン糸であ
り、得られた縫製品は圧迫感を強く感じ着心地が悪いも
のであった。
ズ染色時の差し替え率を表1に記載の通り変化させた以
外は実施例1と同様にして表1に示す破断強伸度、20
%伸長時の弾性回復率、強伸度曲線を有するミシン糸を
得たが、巻密度が低く、かつ差し替え率を高くしたた
め、パッケージ染色時にチーズの片崩れの発生により染
斑があり均染性に劣り、しかも物性も不均一なものであ
った。このミシン糸の縫製評価結果を表1に示すが、縫
製時に目飛びが多発して縫目外観に劣るミシン糸であっ
た。
レフタレートを紡糸温度265℃、紡糸速度2500m
/分で未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60
℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率1.5倍、
延伸速度300m/分で延撚して、84dtex/36
fの延伸糸を得た。延伸糸の破断強伸度、初期弾性率並
びに20%伸長時の弾性回復率は、各々5.5cN/d
tex、23%、26cN/dtex並びに98%であ
った。
繊維マルチフィラメント原糸を実施例1と同様にして撚
糸し、染色チューブに直接巻き取った。このときの巻密
度は表1に記載した通りにした以外は実施例1と同様に
して表1に示す破断強伸度、20%伸長時の弾性回復
率、強伸度曲線を有するミシン糸を得たが、巻き密度が
高く、かつ差し替え率を0%としたため、糸が殆ど弛緩
されず、しかもチーズ染色時に染色液のチーズ通過性が
悪く、チーズの内外層で染斑と物性差があり均一性が劣
るものであった。このミシン糸の縫製評価結果を表1に
示す。縫製性が劣る上に、縫目が不均一な外観で、縫目
ストレッチ性にも劣るミシン糸であり、得られた縫製品
は圧迫感を強く感じ着心地が悪いものであった。
目外観が良好で、縫目ストレッチ性に優れた伸縮性ミシ
ン糸であり、伸縮性布帛の縫製に優れた適応性を発揮す
るミシン糸である。本発明のミシン糸の使用により得ら
れる縫製製品は、動的追従性に優れた縫合部の縫目が形
成されているので、圧迫感が軽減された着心地に優れた
縫製衣料を提供することができる。本発明のミシン糸の
使用により、縫合布帛の伸縮に動的に追従することがで
きる美観に優れた縫目を有する伸縮性布帛縫製品が提供
することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 ポリトリメチレンテレフタレートマルチ
フィラメント糸で構成されたミシン糸であって、強伸度
曲線の伸度5%における応力が0.4〜1.2cN/d
tex、伸度30%における応力が1.4〜2.2cN
/dtex、20%伸長時の弾性回復率が60%以上で
あることを特徴とするミシン糸。 - 【請求項2】 ミシン糸の破断強度が2.3〜4.5c
N/dtexであり、破断伸度が40〜100%である
請求項1記載のミシン糸。 - 【請求項3】 請求項1および2のいずれかに記載され
たミシン糸による縫目が形成されていることを特徴とす
る布帛縫製品。 - 【請求項4】 請求項1および2のいずれかに記載され
たミシン糸による縫目が形成されていることを特徴とす
る伸縮性布帛縫製品。 - 【請求項5】 20dtex以上の所定繊度を有するポ
リトリメチレンテレフタレート繊維のマルチフィラメン
ト糸を引き揃えて合撚糸を調製するか、該合撚糸を更に
引き揃えて調製し、該合撚糸を巻き密度が0.25〜
0.5g/cm3 の巻糸体の状態にした後、差し替え率
が5〜30%の多通液孔を設けたボビンに差し替えて9
0℃以上において熱水処理することを特徴とするミシン
糸の製造方法。 - 【請求項6】 熱水処理がパッケージ精錬もしくはパッ
ケージ染色により行われることを特徴とする請求項5記
載のミシン糸の製造方法。 - 【請求項7】 所定本数の20dtex以上の繊度を有
するポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメン
ト糸を下撚および/または中撚りを付与した後、更に合
糸して上撚りを付与して合撚糸を調製し、該合撚糸を巻
き密度が0.25〜0.5g/cm3 の巻糸体の状態に
した後、差し替え率が5〜30%の多通液孔を設けたボ
ビンに差し替えて90℃以上において熱水処理すること
を特徴とする請求項5記載のミシン糸の製造方法。 - 【請求項8】 30〜150dtexのポリトリメチレ
ンテレフタレートマルチフィラメント原糸をZ方向に5
00〜1000T/mの撚りを付与し、次いでこれを2
〜3本引き揃えてS方向に1000〜2000T/mの
撚りを付与し、その後これを2〜3本引き揃えてZ方向
に300〜800T/mの上撚りを付与して調製した、
合撚糸を90℃以上において熱水処理することを特徴と
する請求項5記載のミシン糸の製造方法。
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