JP2005068593A - 被覆糸およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生地が厚くフラット感があり、ソフト感、保温性を有するストレッチ布帛を得るために好適な被覆糸を提供する。
【解決手段】 芯糸(イ′)が鞘糸(ロ)で被覆されてなる被覆糸において、芯糸が、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層及びポリトリメチレンテレフタレートを主成分とする層がサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型に複合されたポリエステル系複合繊維からなり、かつ、鞘糸がポリエチレンテレフタレート中空繊維からなる。鞘糸を一重又は二重に巻付けることにより被覆糸とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、被覆糸およびその製造方法に関するものである。
さらに詳しくは、生地が厚くフラット感があってソフト感や保温性を有するストレッチ布帛を得るために好適な被覆糸であり、特に衣服等の用途に適した被覆糸に関するものである。
従来より、ポリエチレンテレフタレート中空糸にストレッチ性を付与するためには、ポリウレタン系弾性繊維にポリエチレンテレフタレート中空糸をカバリングすること、あるいは合撚することが行われている。
しかし、このような方法で得られる従来のストレッチ性ポリエチレンテレフタレート中空糸は、編織物にした場合、フィット性、伸縮性に優れたものとなるが、風合いが硬くなり、ドレープ性が低下し、消費者の要求を満たす十分な特性を得ることが困難であった。
本発明の目的は、従来技術では得られなかったソフトな風合い、生地が厚く、フラット感があって、保温性を有するストレッチ布帛を得ることができる被覆糸を提供することであり、特に高次加工して布帛とし衣服用途などに使用する場合に好適な被覆糸を提供することであり、併せて、その製造方法を提供することである。
本発明は、前記目的を達成するため以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の被覆糸は、芯糸が鞘糸で被覆されてなる被覆糸において、芯糸が、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層及びポリトリメチレンテレフタレートを主成分とする層がサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型に複合されたポリエステル系複合繊維からなり、かつ、鞘糸がポリエチレンテレフタレート中空繊維からなることを特徴とするものである。
また、本発明の被覆糸の製造方法は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層及びポリトリメチレンテレフタレートを主成分とする層がサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型に複合されたポリエステル系複合繊維からなるフィラメント糸に、ポリエチレンテレフタレート中空繊維からなるフィラメント糸の鞘糸を一重又は二重に巻付けることを特徴とするものである。
本発明の被覆糸を用いることにより、生地が厚くフラット感があり、ソフト感、保温性を有するストレッチ布帛を得ることができる。
以下、本発明の被覆糸について図を参照しつつ説明する。
図1及び図2は本発明の被覆糸の一例を示す概略側面図であり、それぞれ、鞘糸(ロ)を巻付けて製造した時点での被覆糸、及び、それを98℃で30分間、無荷重状態で沸騰水処理した後の被覆糸を示すものである。
これら図において、被覆糸(ハ)は、本発明で特定したポリエステル系複合繊維からなる芯糸(イ)の周りに、ポリエチレンテレフタレート中空繊維からなる鞘糸(ロ)が、一重または二重に撚回され、芯糸が被覆された状態になっている。図1では芯糸(イ)を構成するポリエステル系複合繊維の捲縮は弱いものであるが、図2では、沸騰水処理によって捲縮がより顕在化しているので、嵩高でストレッチ性、保温性に富んだ被覆糸となっている。
本発明の被覆糸における芯糸は、構成成分の一方がポリエチレンテレフタレートを主成分とし、他方の構成成分がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型であるポリエステル系複合繊維から構成されている。
本発明で芯糸として用いるポリエステル系複合繊維は、ポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとの組合せで、極限粘度ηの異なる異種重合体が張り合わせ型又は偏心シース・コア型に複合されているものであるので、紡糸、延伸工程において高粘度側に応力が集中し、2成分間での内部歪みが異なり、潜在捲縮性を備えている。そのため、延伸後の弾性回復率差および布帛の熱処理工程での熱収縮差により高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態が発現する。この3次元コイルの径および単繊維長当たりのコイル数は、高収縮ポリマ層と低収縮ポリマ層との収縮差(弾性回復率差を含む)に大きく依存し、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。
ストレッチ素材に要求されるコイル捲縮特性としては、コイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多いこと(伸長特性に優れ、見映えがよくなるので)、コイルの耐へたり性がよいこと(伸縮回数の応じたコイルのへたり量が小さく、伸縮保持性に優れるので)がある。さらには、コイルの伸縮特性には、低収縮成分を支点とした高収縮成分の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重合体には高い伸長性および回復性が要求される。
ポリエステルの優れた特性を損なうことなく優れたコイル捲縮特性を得るためには、低収縮ポリマ層をポリエチレンテレフタレートを主成分とし、高収縮ポリマ層をポリトリメチレンテレフタレートを主成分とすることが有効である。ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、代表的なポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性がきわめて優れているからである。これは、ポリトリメチレンテレフタレートの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシューゴーシュ構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えられる。
前記ポリエステル系複合繊維における低収縮ポリマ層の主たる構成成分であるポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリマである。すなわち、このポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、他のエステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれるものでもよい。10モル%以下の割合で含まれるものがより好ましい。共重合可能な化合物として、たとえばスルフォン酸、ナトリウムスルフォン酸、硫酸、硫酸エステル、硫酸時エチル、硫酸エチル、脂肪族スルフォン酸、エタンスルフォン酸、クロロベンゼンスルフォン酸、脂環式スルフォン酸、イソフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、アジピン酸、シュウ酸、デカンジカルボン酸などのジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ハイドロキノン、ビスフェノールAなどのジオール類が好ましく使用される。
また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などが添加されていてもよい。
前記ポリエステル系複合繊維における高収縮ポリマ層の主たる構成成分であるポリトリメチレンテレフタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする重合体である。すなわち、このポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、他のエステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれるものでもよい。10モル%以下の割合で含まれるものがより好ましい。共重合可能な化合物として、例えば、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類が好ましく使用される。
また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などが添加されていてもよい。
本発明で芯糸に用いるポリエステル系複合繊維は、上記した2種のポリマが、溶融紡糸時にサイドバイサイド型又は偏心シース・コア型に複合されたものであり、その単糸断面は丸断面でも変形断面でもよいが、サイドバイサイド型複合の場合には変形断面形状であることが好ましい。その変形断面形状としては、まゆ形や雪だるま形のような非円形形状や、長円のような変形円形状が挙げられ、まゆ形や雪だるま形断面形状の場合には、略丸形状の各ポリマ層が連接された複合形状がとられる。
その複合繊維におけるポリエチレンテレフタレート層とポリトリメチレンテレフタレート層との複合割合は、製糸性および繊維長さ方向のコイル寸法均質性の観点から、重量比率で(30/70)〜(70/30)の範囲であることが好ましい。糸条に熱を加えた際に捲縮が顕在化してコイル状捲縮が発現され、糸条に更なる伸縮性が付与されるためにはサイドバイサイド型や偏心シース・コア型の複合が適している。コイル状捲縮を発現させ、編織物を形成した際に所望の伸縮性を得る観点から、ポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度は1.0以上であるのが好ましく、1.2以上であるのがより好ましい。
ポリエステル系複合繊維からなる芯糸の繊度は、被覆糸の用途目的に応じて適宜選択すればよいが、一般的に20〜1000デシテックスの範囲が好ましい。
本発明の被覆糸における鞘糸として用いられるポリエチレンテレフタレート中空繊維は、繊維内部に中空部分が存在するポリエチレンテレフタレート繊維であればいかなる形状、中空率のものでもよいが、好ましくは中空率15%以上であり、さらに好ましくは中空率15〜35%である。その繊度、中空率等は得られる編織物の外観、風合い、伸縮性、保温性等を考慮して適宜選択すればよい。
本発明の被覆糸は、鞘糸の巻付きが一重である一重被覆糸であってもよいし、また、鞘糸が下巻付き、上巻付きと巻付き方向を変えて二重に巻付けられた二重被覆糸であってもよい。一重被覆糸であれば、伸縮性がより優れた糸条が得られ、二重被覆糸であれば、被覆性がより良好なものとなる。
次に、本発明の被覆糸の製造方法について説明する。図3は本発明による二重被覆糸の製造方法の一例を模式的に示す概略工程図である。
本発明においては、前記ポリエステル系複合繊維を芯糸として用い、その上から鞘糸であるポリエチレンテレフタレート中空繊維を被覆するものである。その鞘糸の被覆の際には市販のカバリング機等が好ましく用いられる。
二重被覆糸の製造例である図3において、芯糸として使用するポリエステル系複合繊維からなる芯糸用糸条(フィラメント糸)は、巻糸体1から解舒されて供給され、ワッシャーテンサ3、フィードローラ4を経て、下段スピンドル5の中央を通って上方に送給される。このポリエステル系複合繊維は、弱いコイル状捲縮を有するため、安定したドラフトを得て、糸切れの発生を防止する観点、鞘糸用糸条のバルーンを安定させて、糸長さ方向のヨリムラを抑制し、スラブ状加工糸の形成を回避する観点から、フィードローラ4とデリベリローラ11との間のドラフトゾーンに送給される直前でプレテンションをかけることが好ましい。そのプレテンションは、0.01cN/dtex以上であるのが好ましい。図3ではワッシャーテンサ3によって、ワッシャーテンサ3とフィードローラ4の間を所定のプレテンション状態にしている。かかる芯糸にプレテンションをかけるテンサとしては、マグネットテンサなどを使用してもよい。
芯糸用糸条に0.01cN/dtex以上のプレテンションをかけた状態で、芯糸用糸条の走行を安定させて、糸切れを防止し、ドラフトでのゴムローラの破損やドラフト間での糸のスリップによる延伸ムラ、糸切れを防止する観点から、ドラフトは0.95以上1.6以下の範囲にすることが好ましく、1.03以上1.2以下の範囲にすることがより好ましい。
ポリエチレンテレフタレート中空繊維からなる鞘糸用糸条(フィラメント糸)はHボビン9、9′に巻き上げられた状態で、図3のように下段スピンドル5および上段スピンドル7に設置される。それらスピンドルは、それぞれ下段ベルト6、上段ベルト8により駆動回転するので、それらHボビンの巻糸体2、2′から給糸される鞘糸用糸条は、芯糸用糸条の周りに巻き付けられ、被覆糸が形成される。図3においては、下段スピンドル5と上段スピンドル7とが逆方向に回転するので、下段のHボビンの巻糸体2から給糸される鞘糸用糸条と、上段のHボビンの巻糸体2′から給糸される鞘糸用糸条とは、逆の方向に巻付けられる。鞘糸が巻付けられて製造された被覆糸は、デリベリローラ11、ガイドバー12を経て、テイクアップローラ13によりチーズ14に巻き上げられる。
なお、一重被覆糸を製造する際には、図3における上段スピンドルまたは下段スピンドルのいずれか一方のみにHボビン1本を設置して、スピンドルを回転させることによって芯糸に鞘糸を巻き付ければよい。
芯糸に鞘糸を巻付けて被覆する際、鞘糸のヨリ数は、鞘糸の繊度、フィラメント数により適宜選択すればよいが、100〜2000T/mの範囲とするのが好ましい。また、二重に被覆する場合、上ヨリ数は下ヨリ数の0.7〜0.9倍のヨリ数とすることが好ましく、トルクをうち消すため、上ヨリは、下ヨリの逆方向にかけるのが好ましい。
以下実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお実施例中の極限粘度(η)は次の方法で求めた。
[極限粘度(η)]
オルソクロロフェノール10mlに対し試料0.10gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて測定した。
極限粘度が1.31のポリトリメチレンテレフタレートと極限粘度が0.52のポリエチレンテレフタレートをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度260℃で24孔の複合紡糸口金よりポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートの重量比率が50/50となるように吐出し、紡糸速度1400m/分で引き取り、165dtex24フィラメントの未延伸糸とした。さらに、ホットロール−熱板系延伸機を用い、ホットロール温度70℃、熱板温度145℃延伸倍率3.0で延伸して、56dtex24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル系複合繊維(延伸糸)のフィラメント糸とした。
得られたポリエステル系複合繊維のフィラメント糸を芯糸とし、83dtex36フイラメントのポリエチレンテレフタレート中空フィラメント糸(繊維中央に中空部を有する中空繊維であって、中空率25%)を鞘糸として用い、図3に示されるカバリング工程(但し鞘糸給糸用Hボビンは下段スピンドルのみに設置した)によって、以下の条件でカバリング加工を施し、一重被覆糸を製造した。
なお、芯糸は、ドラフトゾーンの直前の、ワッシャーテンサ3とフィードローラ4の間で、0.01cN/dtex以上のプレテンションがかかるように、ワッシャーテンサを介して、給糸した。
プレテンション:4g
ドラフト:1.1倍
ヨリ数:Z600T/m
スピンドル回転数:8000rpm
巻取比:95.0%
得られた一重被覆糸を用いて、28ゲージ、1口編機で横編を編成し、分散染料で染色し、仕上げ加工した。得られた染色編地は、生地が厚くフラット感があり、シボ、しわがみられず、ソフトで保温性に富んだストレッチ性の良好な編地であった。
さらに、得られた一重被覆糸を緯糸として用い、経糸には通常のポリエチレンテレフタレート延伸糸を用いて織物を形成し、引き続き97℃の熱水でリラックス精錬、160℃で仕上熱固定し、タフタ織物とした。得られた織物は、ドレープ性に富み、美しい光沢、外観を有し、ソフト感、保温性を併せ持ち、ストレッチ性、形態安定性が良好であった。
実施例1で製造した56dtex24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル系複合繊維を芯糸とし、鞘糸として実施例1で用いたと同じ83dtex36フイラメントのポリエチレンテレフタレート中空フィラメント糸を用い、図3に示されるカバリング工程によって、以下の条件でカバリング加工を施し、二重被覆糸を製造した。
プレテンション:4g
ドラフト:1.1倍
下ヨリ数:S800T/m
上ヨリ数:Z680T/m
スピンドル回転数:8000rpm
巻取比:96.0%
得られた二重被覆糸を用いて、実施例1と同様に、28ゲージ、1口編機で横編を編成し、分散染料で染色、仕上げ加工した。得られた染色編地は、生地が薄くフラット感があり、ソフト触感を有し、ストレッチ性、保温性に富み、アウターに好適な編地であった。この編地は実施例1に比べ、ストレッチ性はやや低減したが、被覆性が良好であるため、よりフラットで美しい外観感、清涼感を有する編地となった。
さらに、得られた二重被覆糸を緯糸として用い、経糸には通常のポリエチレンテレフタレート延伸糸を用いて織物を形成し、引き続き97℃の熱水でリラックス精錬、160℃で仕上熱固定し、タフタ織物とした。得られた織物は、反発性に富み、ソフト感を併せ持ち、ストレッチ性が良好であり、保温性に富んだシャツ地に好適な織物であった。
[比較例1]
芯糸として20dtexのポリウレタン系弾性糸を用い、この弾性糸を転がし給糸(積極送り)によって給糸し、以下の条件でカバリング加工を施した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン系弾性糸(芯糸)をポリエチレンテレフタレー中空糸でカバリングした一重被覆糸を製造した。
ドラフト:3.0倍
ヨリ数:Z600T/m
スピンドル回転数:8000rpm
巻取比:93.0%
得られた一重被覆糸を用いて、実施例1と同様に、28ゲージ、1口編機で横編を編成し、分散染料で染色、仕上げ加工した。得られた染色編地は、高レベルの伸縮性はあるものの、生地が厚く、風合いの硬い編地であった。
さらに、得られた一重被覆糸を緯糸として用い、実施例1と同様にして織物を形成し、引き続き97℃の熱水でリラックス精錬、160℃で仕上熱固定し、タフタ織物とした。得られた織物は伸縮性に富むが、生地の風合いが硬い織物であった。
[比較例2]
芯糸として20dtexのポリウレタン系弾性繊維を用い、この弾性糸を転がし給糸(積極送り)によって給糸し、以下の条件でカバリング加工を施した以外は、実施例2と同様にして、ポリウレタン系弾性糸(芯糸)をポリエチレンテレフタレー中空糸でカバリングした二重被覆糸を製造した。
ドラフト:3.0倍
下ヨリ数:S800T/m
上ヨリ数:Z680T/m
スピンドル回転数:8000rpm
巻取比:95.0%
得られた二重被覆糸を用いて、実施例1と同様に、28ゲージ、1口編機で横編を編成し、分散染料で染色、仕上げ加工した。得られた染色編地は、高レベルの伸縮性はあるものの、生地が厚く、風合いの硬い編地であった。
本発明の被覆糸を用いて得られる編織物は、ソフトな風合い、ストレッチ性、形態安定性、保温性に優れており、特に、衣料用としてジャケット、スーツ、ボトムなどのアウター、ワンピース、スカートなどの婦人衣料や、ワイシャツ、ナイトウェア、ベビー衣料、下着、タイツ、ソックスなどストレッチ素材として好適に用いることができる。
本発明の一重被覆糸(沸騰水処理前)の一例を示す概略側面図である。 本発明の一重被覆糸(沸騰水処理により芯糸の捲縮を発現させた後)の一例を示す概略側面図である。 本発明による二重被覆糸の製造方法の一例を模式的に示す概略工程図である。
符号の説明
(イ)、(イ′):芯糸(ポリエステル系複合繊維)
(ロ):鞘糸(ポリエチレンテレフタレート中空繊維)
(ハ):被覆糸
1:芯糸給糸用巻糸体
2、2′:鞘糸給糸用巻糸体
3:ワッシャーテンサ
4:フィードローラ
5:下段スピンドル
6:下段ベルト
7:上段スピンドル
8:上段ベルト
9、9′:Hボビン
10:スネルガイド
11:デリベリローラ
12:ガイドバー
13:テイクアップローラ
14:チーズ

Claims (6)

  1. 芯糸が鞘糸で被覆されてなる被覆糸において、芯糸が、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層及びポリトリメチレンテレフタレートを主成分とする層がサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型に複合されたポリエステル系複合繊維からなり、かつ、鞘糸がポリエチレンテレフタレート中空繊維からなることを特徴とする被覆糸。
  2. ポリエステル系複合繊維中におけるポリエチレンテレフタレート層とポリトリメチレンテレフタレート層との複合割合が、重量比率で(30/70)〜(70/30)であることを特徴とする請求項1に記載の被覆糸。
  3. ポリエチレンテレフタレート中空繊維における中空率が15%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の被覆糸。
  4. 鞘糸が一重に被覆された一重被覆糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被覆糸。
  5. 鞘糸が二重に被覆された二重被覆糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被覆糸。
  6. ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層及びポリトリメチレンテレフタレートを主成分とする層がサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型に複合されたポリエステル系複合繊維からなるフィラメント糸に、ポリエチレンテレフタレート中空繊維からなるフィラメント糸の鞘糸を一重又は二重に巻付けることを特徴とする被覆糸の製造方法。
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