JP3440828B2 - 端子金具の製造方法 - Google Patents

端子金具の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、端子金具の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平4−366578号には、端子金
具を製造する手段が開示されている。これは、細長いキ
ャリアに平板状をなす多数の端子金具素片を並列状態に
連結したものを順次加工機に送り、この過程で、プレス
等により端子金具素片に曲げ、切り起こし等の加工を施
し、この加工を複数工程経ることにより、所定の形状の
端子金具が得られ、その後、端子金具はキャリアから切
り離される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法では、
各端子金具素片が1本のキャリアから片持ち状に突出す
る形態であるため、加工機間を移動させる際に、端子金
具素片の姿勢や位置が不安定になり易い、という問題が
ある。そこで、平行なキャリアを一対設けてその両キャ
リアの間に差し渡すように端子金具素片を支持すること
が考えられる。しかし、単に両側から支持しただけで
は、次のような不具合が残る。例えば、端子金具素片の
途中を凹凸状に変形させる加工の場合には、その変形に
ともなって両キャリアが加工部分側へ引っ張られるが、
キャリアは変形しないため、その反力により端子金具素
片が両キャリアの間で引き延ばされつつ捻れるように変
形する虞がある。また、端子金具素片を平板状のままプ
レスする場合には、プレスにともなって端子金具素片が
薄く延ばされるために両キャリアに対して外側への押し
出し力が作用するが、両キャリアは変形しないため、そ
の反力が端子金具素片に対して押し縮め力として作用
し、端子金具素片が湾曲変形する虞がある。本願発明は
上記事情に鑑みて創案され、加工時における端子金具素
片の安定供給と変形防止を図ることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、キャ
リアに並列状態で連結した形態の多数の端子金具素片
、前記キャリアに設けたパイロット孔を利用して加工
機に順次供給しつつ、その端子金具素片に曲げ加工を施
して所定形状の端子金具を製造する端子金具の製造方法
において、前記多数の端子金具素片が一対のキャリアの
間に差し渡すように両端支持されているとともに、その
端子金具素片の前記キャリアへの支持部には、その支持
部から前記キャリアと平行に延出するとともにその延出
端を前記キャリアに連結した形態であって、前記端子金
具素片の端部が前記キャリアに対して相対的に接近・離
間することを許容する変位許容部が形成されている構成
とした。
【0005】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記変位許容部が前記一対のキャリアのうちのいず
れか一方の側のみに形成され、これと反対側のキャリア
における前記端子金具素片の支持部には、その端子金具
素片の端部が前記キャリアに対して接離方向に変位する
ことを規制する変位規制部が形成されている構成とし
た。
【0006】
【発明の作用及び効果】[請求項1の発明]端子金具素
片は一対のキャリアの間に差し渡されることにより安定
して支持される。また、端子金具素片に曲げ加工を施す
際には、変位規制部が変形しつつ端子金具素片の端部が
キャリアに対して接近又は離間することにより、両キャ
リアの間において端子金具素片が引き延ばされつつ捻れ
変形したり、逆に押し縮められつつ湾曲変形することが
防止される。
【0007】[請求項2の発明]変位許容部が形成され
るのは端子金具素片の一方の端部だけであるから、変位
許容部の変形に伴ってキャリアから離間するのはその一
方の端部側だけであり、反対側の端部はキャリアに対し
て変位しない。したがって、この端部が変位しない側の
キャリアに対しては端子金具素片が一定の位置を保つこ
とになり、端子金具素片の位置精度が向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】[実施形態1]以下、本発明を具
体化した実施形態1を図1乃至図6を参照して説明す
る。本実施形態の端子金具10はバルブソケットBに取
り付けられるものであり、バルブ(図示せず)の接触部
に対して弾性接触される上下2片の弾性接触片16U,
16Lと、相手側コネクタ(図示せず)の相手側端子金
具10(図示せず)と接続されるタブ13とを有する。
この端子金具10は、図5及び図6に示すように、バル
ブソケットBに対して上方から挿入するようにして取り
付けられ、抜止片14を抜止め部Baに係合させること
により抜止め保持されている。取付け状態では、弾性接
触片16U,16Lが、バルブソケットBの上面に開口
するバルブ取付用凹部Bb内に位置するとともに、タブ
13が、バルブソケットBの下面に開口する嵌合用凹部
Bc内に位置するようになっている。また、バルブ取付
用凹部Bbの内側壁のうち、抜止め部Baの少し上方は
上広がりのテーパ面Bdとなっていて、このテーパ面B
dに対して端子金具10のテーパ部15がほぼ密着状態
で位置するようになっている。さらに、このテーパ面B
dの上方は拡幅部Beとなっていて、この拡幅部Beに
は端子金具10の上側基板部12がほぼ密着状態に位置
するようになっている。
【0009】次に、端子金具10の形状を詳しく説明す
る。端子金具10は、後述するようにプレスにより一対
のキャリアCU,CLの間に差し渡された状態で所定形
状に打ち抜いた金属平板状の端子金具素片10Aに対し
プレス、切り起こし、曲げの各加工を施すことによって
所定形状に成形したあと、切断してキャリアCU,CL
から切り離してなるものである。端子金具10は、全体
として上下方向に長く、製造工程において下側のキャリ
アCLと面一に保たれる下側基板部11と、この下側基
板部11から上方に連なる上側基板部12と、下側基板
部11の下縁から延出するタブ13とを備えて構成され
る。下側基板部11には、上記抜止片14が切り起こし
により背面側(図1においては紙面裏側)へ突出するよ
うに形成されている。上側基板部12は下側基板部11
に対して背面側へ後退した位置となるように成形され、
上下両側基板部11,12の連なり部分はテーパ部15
となっている。下側基板部11の上端部からテーパ部1
5及び上側基板部12に亘る部分には、正面側へ切り起
こすと共に上方へ折り返すことによって湾曲形状の上側
弾性接触片16Uが形成されている。また、上側基板部
12からテーパ部15にかけては、正面側へ切り起こす
ことにより斜め下向きの下側弾性接触片16Lが形成さ
れている。また、下側基板部11の下縁には、正面側へ
斜め下右方向へ延出する脚部17が連成され、さらに、
この脚部17の延出端には上記タブ13が下向きに延出
するように連成されている。尚、タブ13は、その左右
両側縁部を正面側へ折り返して二枚重ねにしたものとな
っている。
【0010】次に、上記端子金具10を製造する手段に
ついて説明する。端子金具10の製造は、上記したよう
に上下一対のキャリアCU,CLの間に多数の端子金具
素片10Aが面一状に差し渡される形態にプレスで型抜
きしたものを、キャリアCU,CLに設けたプレス用と
自動機用のパイロット孔Ca,Cbを利用して図示しな
いプレス等の各加工機へ順次に供給し、各加工機で各端
子金具素片10Aに対してプレス、切り起こし、曲げな
どの加工を施す。そして、全ての加工が完了したら、上
側基板部12の上縁及び下側基板部11の下縁の各切断
位置18を切断機構(図示せず)により破断し、キャリ
アCU,CLから切り離す。これにより、端子金具10
が得られる。
【0011】一対のキャリアCU,CLの間に端子金具
素片10Aが差し渡されている状態では、端子金具素片
10Aにおける上側基板部12の上端縁右端部から上向
きに延出する支持部19Uの上端が上側のキャリアCU
に連結されているとともに、下側基板部11の左端部か
ら下向きに延出する支持部19Lの下端が下側のキャリ
アCLに連結されている。上側の支持部19Uの上端に
は変位許容部20が形成されている。この変位許容部2
0は、支持部19Uの上端から一対の細長い分岐部20
aをキャリアCUと平行に左右両側へ延ばすと共に、そ
の両分岐部20aの延出端をキャリアCUに連結した形
態である。支持部19Uに対してキャリアCUから下方
へ離間する方向の外力が作用すると、変位許容部20
は、図2(a)に示す状態から図2(b)に示すように
その両分岐部20aを斜め姿勢にするような変形を生じ
る。これにより、支持部19Uは、過大な応力の発生や
応力集中などを回避しつつ、キャリアCUに対して相対
的に離間する方向(下方向)へ変位することを許容され
る。一方、下側の支持部19Lの下端には変位規制部2
1が形成されている。変位規制部21は、支持部19L
の下端を左右両側へ板状に張り出した形態である。支持
部19LにキャリアCLから上方へ離間する方向の外力
が作用しても、変位規制部21は変形することはなく、
したがって、支持部19LはキャリアCLに対して相対
的に離間する方向(上方向)へ変位することを規制され
る。尚、キャリアCLにおける変位規制部21の近傍に
は、端子金具素片10Aを自動機へ送り込むための方形
のパイロット孔Cbが形成されているが、この変位規制
部21とキャリアCLとの連なり部分は、線状ではなく
て板状であるから変形する虞はない。
【0012】端子金具素片10Aへの加工に際して、下
側のキャリアCL、下側の支持部19L及び下側基板部
11は、加工の開始から完了まで常時面一の状態を保
つ。これに対し、上側の支持部19Uは、上側基板部1
2を下側基板部11に対して相対的に背面側へ後退させ
るようにプレス加工する際に曲げ変形される。この曲げ
変形の際には、支持部19Uの上部がキャリアCU及び
変位許容部20と面一状態を保ち、一方、支持部19U
の下部は上側基板部12と面一状態を保ちつつ背面側へ
後退するようになる。
【0013】このように端子金具素片10Aの途中を局
部的に凹凸状に変形するようにプレス加工した場合に
は、その変形にともなって両キャリアCU,CLには互
いに接近させる力が作用するのであるが、両キャリアC
U,CLはパイロット孔Ca,Cbに図示しない爪が係
合していて変形しないようになっているため、端子金具
素片10Aに対して引張力が作用することになる。も
し、そのまま端子金具素片10Aが引き延ばされてしま
うと、その端子金具素片10Aにおける応力分布の不均
衡等のために端子金具素片10Aが捻れ変形を生じる虞
がある。しかし、本実施形態では、上側のキャリアCU
との支持部19Uに変位許容部20を形成しているの
で、この変位許容部20の変形を伴いつつ端子金具素片
10Aの上端部分が上側のキャリアCUから離間するよ
うに変位するようになり、これにより、端子金具素片1
0Aに対する引張力が緩和される。したがって、加工部
分と上側のキャリアCUとの間における端子金具素片1
0Aの伸び変形が回避され、伸び変形に起因する捻れ変
形も回避される。また、加工の過程で端子金具素片10
Aはその上下両端を一対のキャリアCU,CLによって
支持されているので、上下いずれか一方の端部のみを1
本のキャリアで片持ち支持する場合と比較すると、安定
した姿勢で端子金具素片10Aが保持され、したがっ
て、高い精度で加工を施すことができる。尚、端子金具
素片10Aと下側のキャリアCLのとの間には、端子金
具素片10AのキャリアCLからの上方へ離間する方向
への変位を規制する変位規制部21を形成してているの
で、端子金具素片10Aは、常に、下側のキャリアCL
に対して一定の位置関係を保つことができる。したがっ
て、キャリアCU,CLのパイロット孔Ca,Cbを基
準にして端子金具素片10Aを各加工機へ供給する際
に、端子金具素片10Aが確実に位置決めされ、高い精
度で加工を行うことができる。
【0014】[実施形態2]次に、本発明を具体化した
実施形態2を図7を参照して説明する。本実施形態2
は、変位許容部を上記実施形態1とは異なる構成とした
ものである。その他の構成については上記実施形態1と
同じであるため、同じ構成については、同一符号を付
し、構造、作用及び効果の説明は省略する。本実施形態
2の変位許容部22は、支持部19Uの上端とキャリア
CUとの間を連結する細長い蛇行部22aによって構成
されており、この蛇行部22aが変形することにより、
端子金具素片10AのキャリアCUに対する離間方向へ
の変位が許容される。
【0015】[実施形態3]次に、本発明を具体化した
実施形態3を図8を参照して説明する。本実施形態3
も、変位許容部を上記実施形態1とは異なる構成とした
ものである。その他の構成については上記実施形態1と
同じであるため、同じ構成については、同一符号を付
し、構造、作用及び効果の説明は省略する。本実施形態
3の変位許容部23は、支持部19Uの上端とキャリア
CUとの間を連結する細長い菱形部23aによって構成
されており、この菱形部23aが変形することにより、
端子金具素片10AのキャリアCUに対する離間方向へ
の変位が許容される。
【0016】[他の実施形態]本発明は上記記述及び図
面によって説明した実施形態に限定されるものではな
く、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に
含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内
で種々変更して実施することができる。 (1)上記実施形態では変位許容部を端子金具素片の上
側の端部だけに形成したが、本発明によれば、端子金具
素片の上下両端に変位許容部を形成してもよい。
【0017】(2)上記実施形態では端子金具がバルブ
ソケット用のものである場合について説明したが、本発
明によれば、バルブソケット用以外の用途に用いられる
端子金具にも適用することができる。 (3)上記実施形態では変位許容部が端子金具素片の端
部をキャリアに対して相対的に離間させるように変形す
る場合について説明したが、本発明によれば、これとは
逆に、変位許容部が端子金具素片の端部をキャリアに対
して接近させるように変形する構成とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1において端子金具素片が一対のキャ
リアの間に支持されている状態を示す正面図
【図2】(a)実施形態1において変位許容部が変形す
る前の状態を示す部分拡大正面図 (b)実施形態1において変位許容部が変形した状態を
示す部分拡大正面図
【図3】実施形態1において端子金具素片が一対のキャ
リアの間に支持されている状態を示す側面図
【図4】実施形態1において端子金具素片が一対のキャ
リアの間に支持されている状態を示す斜視図
【図5】実施形態1における端子金具の使用例を示す断
面図
【図6】実施形態1における端子金具の使用例を示す断
面図
【図7】実施形態2の変形許容部を示す部分拡大正面図
【図8】実施形態3の変形許容部を示す部分拡大正面図
【符号の説明】
CU…キャリア CL…キャリア 10…端子金具 10A…端子金具素片 19U…支持部 19L…支持部 20…変位許容部 21…変位規制部 22…変位許容部 23…変位許容部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャリアに並列状態で連結した形態の多
    数の端子金具素片を、前記キャリアに設けたパイロット
    孔を利用して加工機に順次供給しつつ、その端子金具素
    片に曲げ加工を施して所定形状の端子金具を製造する端
    子金具の製造方法において、 前記多数の端子金具素片が一対のキャリアの間に差し渡
    すように両端支持されているとともに、その端子金具素
    片の前記キャリアへの支持部には、その支持部から前記
    キャリアと平行に延出するとともにその延出端を前記キ
    ャリアに連結した形態であって、前記端子金具素片の端
    部が前記キャリアに対して相対的に接近・離間すること
    を許容する変位許容部が形成されていることを特徴とす
    る端子金具の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記変位許容部が前記一対のキャリアの
    うちのいずれか一方の側のみに形成され、これと反対側
    のキャリアにおける前記端子金具素片の支持部には、そ
    の端子金具素片の端部が前記キャリアに対して接離方向
    に変位することを規制する変位規制部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の端子金具の製造方法。
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