JP3430565B2 - 薄膜半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
薄膜半導体装置及びその製造方法Info
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Description
液晶ディスプレイ等に適応される薄膜半導体装置及びダ
イヤモンド薄膜の形成方法に関する。
解像度化に伴い、その駆動方式は単純マトリックス方式
からアクティブマトリックス方式へ移行し、大容量の情
報を表示出来るように成りつつ有る。アクティブマトリ
ックス方式は数十万を越える画素を有する液晶ディスプ
レイが可能で有り、各画素毎にスイッチングトランジス
タを形成するもので有る。各種液晶ディスプレイの基板
としては、透過型ディスプレイを可能ならしめる溶融石
英板やガラスなどの透明絶縁基板が使用されている。
化を進める場合には絶縁基板として安価な通常ガラスを
使用するのが必要不可欠で有る。従って、この経済性を
維持して尚、アクティブマトリックス方式の液晶ディス
プレイを動作させる薄膜トランジスタを安価なガラス基
板上に安定した性能で形成する事が可能な技術が望まれ
ていた。
アモルファスシリコンや多結晶シリコンなどの半導体膜
が用いられるが、駆動回路まで一体化して薄膜トランジ
スタで形成しようとする場合には動作速度の速い多結晶
シリコンが有利である。
コン膜等の半導体膜を能動層とする薄膜半導体装置を作
成する技術が求められているが、大型の通常ガラス基板
を用いる際には、基板の変形を避けるべく最高プロセス
温度を約570℃程度以下とする大きな制約が有る。即
ち低温プロセスで液晶ディスプレイを動作し得る薄膜ト
ランジスタと、駆動回路を高速作動し得る薄膜トランジ
スタの能動層を形成する技術が望まれている。
には、第一に、高真空型LPCVD装置を用いて堆積圧
力を1mtorr程度として、600℃程度の堆積温度にて
シリコン膜等の半導体膜を堆積していた。(Inter
national Electron Devices
Meeting 1991 technicaldi
gest p.559) その他の方法で能動層半導体膜を形成するには、第二の
方法として例えば絶縁基板上に570℃以下の温度で通
常型減圧CVD法によりアモルファスシリコン膜等の半
導体膜を堆積し、しかる後640℃以下の温度で24時
間程度の熱処理を施して結晶化した半導体膜を形成し、
薄膜トランジスタの特性を高めている(特開昭63−3
07776)。第三の方法はRFマグネトロン・スパッ
タリングやプラズマCVD法で300℃程度以下の温度
にてアモルファス・シリコン膜を堆積した後、各種レー
ザー照射を行う事でシリコン膜を形成し、薄膜トランジ
スタの能動層とするものである(Jpn.J.App
l.phys.28.P1871(1989)や電子情
報通信学会技術研究報告EID−88−58など)。
膜組成や結晶状態は膜厚に対して均一で有った。又、従
来ダイヤモンド薄膜はプラズマCVD法にて作成されて
いた。
従来技術にはそれぞれ種々の問題が内在している。第二
のアモルファスシリコン膜を堆積した後、熱処理を施す
方法では熱処理温度がガラス基板を使用するには高過
ぎ、又この処理温度を600℃程度以下とした場合、処
理時間に数十時間以上費やし、やはりガラス基板を使用
し得ない。加えて第一の高真空型LPCVD法による製
造方法に比較して、製造工程が冗長と化し、生産性の低
下及び製品価格の上昇を招くと言った問題点が有る。第
三のシリコン膜を堆積した後レーザー照射を行う方法で
は、半導体特性のばらつきが大きく、大面積に均一に沢
山の薄膜半導体装置を作成し得ぬとの問題点が有る。加
えて第一の高真空型LPCVD法に比較すると、第二の
方法同様に製造工程が著しく煩雑冗長と化し、生産性の
低下や高価な加工装置の購入、製品価格の上昇を招くと
言った問題点が有る。
コン膜等の半導体膜を形成する方法では、堆積温度を大
型の通常ガラスを問題なく使用し得る570℃程度以下
とした場合、半導体特性が不十分で有り高精細高画質液
晶ディスプレイのスイッチング素子や駆動回路用として
は未だ不適切であるとの問題点が有った。又、原料ガス
の分圧を下げて半導体膜を堆積すると高品質半導体膜が
得られると知られていたが、570℃程度以下の温度で
圧力を下げると膜が全く堆積されず、結局570℃程度
以下では高品質な半導体膜は得られないとの問題点が有
った。
目指し、その目的は良好な薄膜半導体装置の形成を大型
の通常ガラスを使用し得る570℃以下の温度でLPC
VD法のみで行うという簡略な方法を提供する事に有
る。
は、少なくとも表面の一部が絶縁性物質で有る基板の該
絶縁性物質上に形成された第一半導体膜と、前記第一半
導体膜上に形成された第二半導体膜と、前記第二半導体
膜上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上
に形成されたゲート電極と、を含み、前記第一半導体膜
の優先配向面は{220}であり、前記第二半導体膜の
優先配向面は{111}であること、を特徴とする。
記の薄膜半導体装置を製造する方法であって、減圧化学
気相堆積法(LPCVD法)にて前記絶縁性物質上に前
記第一半導体膜を形成する第一の工程と、減圧化学気相
堆積法(LPCVD法)にて前記第一半導体膜上に前記
第二半導体膜を形成する第二の工程と、前記第二半導体
膜をパターニングする第三の工程と、前記第二半導体膜
上にゲート絶縁膜を形成する第四の工程と、を含み、前
記第一の工程及び前記第二の工程において、減圧化学気
相堆積法を行う際に、原料物質としてモノシランを使用
し、前記第二の工程におけるモノシランの分圧が前記第
一の工程におけるモノシラン分圧よりも低いことを特徴
としている。
て、前記第二工程におけるモノシランの分圧を0.1m
torr以下にして堆積することが好ましい。
て、前記第一半導体膜と前記第二半導体膜とを堆積する
際、温度条件を555℃以下の温度で行うことが好まし
い。
て、前記第一半導体膜をモノシランを反応室に導入して
形成し、前記第二半導体膜を、モノシランと不活性気体
とを前記反応室に導入して形成することが好ましい。
形成する薄膜半導体装置の製造工程を断面で示した図で
有る。本実施例1ではノン・セルフ・アライン型スタガ
ード構造の薄膜半導体装置を例として作成したが、これ
以外にも本発明は逆スタガード構造の薄膜半導体装置や
セルフ・アライン型薄膜半導体装置に関しても有効で有
る。
m□の石英ガラスを用いたが、シリコン膜堆積温度に耐
え得る基板で有るならば、基板の種類や大きさは無論問
われない。まず基板201上に常圧化学気相堆積法(A
PCVD法)やスパッター法などで下地保護膜となる二
酸化珪素膜(SiO2膜)202を形成し、次いでドナ
ー又はアクセプターとなる不純物を含んだシリコン膜を
形成後パターニングを行い、ソース・ドレイン領域20
3を作成する。(図2(a)) 本実施例1では、容積184.5lを有する高真空型L
PCVD装置を用いて、堆積温度555℃で真性シリコ
ン膜を1500Å程度堆積した後、不純物元素として燐
を選び、イオン注入法で燐を打ち込み、不純物を含んだ
シリコン膜を形成した。後にソース及びドレイン領域と
化す真性シリコン膜は高真空型LPCVD装置にて、原
料ガスで有るモノシラン(SiH4)を100SCCM流し
堆積温度555℃で4時間50分間堆積した。原料ガス
のSiH4を555℃の反応室に導入した直後の反応室
内圧力は1.21mtorrで有り、堆積が終了する直前の
原料ガス導入後4時間49分後には1.27mtorrとな
った。こうして得られた真性シリコン膜の膜厚は、15
65Åで有った。こうして得られたシリコン膜はX線回
折法によると、完全に{220}面に優先配向してい
た。引き続いてこの真性シリコン膜にバケット型質量非
分離型のイオン注入装置を用いて燐元素を添加した。原
料ガスとしては水素中に希釈された濃度5%のホスフィ
ンを用い、高周波出力38W、加速電圧80kVで5×
10151/cm2の濃度に打ち込んだ。その後窒素雰囲
気下350℃で1時間熱処理を施した所、こうして得ら
れた不純物を含んだシリコン膜のシート抵抗値は880
Ω/□で有った。この膜をパターニングしてソース・ド
レイン領域203が作成される。
を用いてトランジスタの能動層となる半導体膜204を
堆積した。(図2(b))本実施例1では原料ガスとし
てSiH4を用い、堆積温度555℃でシリコン膜を堆
積した。基板は表側を下向きとして、400℃に保たれ
た反応室に挿入された。基板挿入後、ターボ分子ポンプ
の運転を開始し、定常回転に達した後、漏洩検査を2分
間施した。この時の脱ガス等の漏洩速度は3.9×10
-5torr/minで有った。その後挿入温度の400℃から堆
積温度の555℃迄一時間費やして昇温した。昇温の最
初の10分間は反応室にガスを全く導入せず、真空中で
昇温した。昇温開始後10分後の反応室到達最低背景圧
力は5.7×10-7torrで有った。又残り50分間の昇
温期間には純度99.9999%以上の窒素ガスを30
0SCCM流し続けた。この時の反応室内平衡圧力は3.0
×10-3torrで有った。
を100SCCM流し第一の半導体膜としてのシリコン
膜を30分間堆積した。原料SiH4を反応室に導入し
た直後の圧力は1.21mtorrで有り、原料ガスを
導入してから29分後の圧力は1.26mtorrで有
った。この間のモノシラン分圧は1.15mtorrで
有る。これは前述した後にソース及びドレイン領域と化
す真性シリコン膜の堆積と全く同じ条件で堆積してい
る。従ってこの第一の半導体膜としてのシリコン膜の結
晶状態は{220}面に優先配向している。堆積速度の
調査より、シリコン膜は30分間の堆積で70Å程度の
膜厚となっている。30分間に渡る第一の半導体膜を堆
積した後、間断を置かず連続して第二の半導体膜として
のシリコン膜を2時間5分間堆積した。この際、原料ガ
スであるSiH4を5SCCM反応室に導入し、更に希
釈ガスとして純度99.9999%以上の純窒素を29
5SCCM同時に流した。堆積中の全圧は3.02mt
orrで有ったから、ドルトンの分圧則を用いると、堆
積中のモノシラン分圧は50.3μtorr(0.05
03mtorr)と計算される。こうして第一の半導体
膜と第二の半導体膜を異なった条件で連続堆積して得ら
れたシリコン膜の膜厚は309Åで有った。又この膜を
X線回折法で分析した所、第一の半導体膜と第二の半導
体膜を合わせた半導体膜全体として{111}面、{2
20}面、{311}面からの各々の回折強度は927
9、4717、1942となり、{111}面に比較的
多く配向していた。第一の半導体膜は{220}面に完
全優先配向で有るから、第二の半導体膜は{111}面
に優先配向していると言える。即ち、得られたシリコン
膜の下層部70Å程度は{220}面に優先配向した結
晶状態で有り、上層部は{111}面に優先配向した結
晶状態で有る。次にこのシリコン膜をパターニングし、
トランジスタの能動層となるチャンネル部205を作成
した。(図2(c)) その後ECR−PECVD法やAPCVD法などでゲー
ト絶縁膜206を形成する。本実施例1ではゲート絶縁
膜としてSiO2膜を用い、ECR−PECVD法で1
500Åの膜厚に堆積した。(図2(d))引き続いて
ゲート電極207となる薄膜をスパッター法蒸着法或い
はCVD法などで堆積する。本実施例1ではゲート電極
材料としてクロム(Cr)を選択し、スパッター法で1
500Å堆積した。ゲート電極となる薄膜を堆積後パタ
ーニングを行い、更に層間絶縁膜208を5000Å堆
積した後、コンタクトホールを開け、ソース・ドレイン
取り出し電極209をスパッター法などで形成し、薄膜
半導体装置が完成する。(図2(e))この様にして試
作した薄膜半導体装置のトランジスタ特性を測定したと
ころ、ソース・ドレイン電圧Vds=4V,ゲート電圧
Vgs=10Vでトランジスタをオンさせた時のソース
・ドレイン電流Idsをオン電流IONと定義して、95
%の信頼係数でION=(2.62+0.23、−0.2
1)×10-6Aで有った。又、Vds=4V、Vgs=
0Vでトランジスタをオフさせた時のオフ電流はIOFF
=(0.045+0.018、−0.012)×10
-12Aで有った。ここで測定は温度25℃の元で、チャ
ンネル部の長さL=10μm、幅W=10μmのトラン
ジスタに対してなされた。飽和電流領域から求めた有効
電子移動度(J.Levinson et al.J,
Appl,Phys.53,1193’82)は、μ=
12.48±0.70cm2/v.secで有った。こ
の様に本発明に依り、高移動度を有し、ゲート電圧の1
0Vの変調に対してIdsが8桁近くも変動する窮めて
優良な薄膜半導体装置を工程最高温度を555℃以下
で、しかも工程最高温度に維持されている期間を数時間
以内とする低温工程で初めて現実化した。
積する工程を除いてその他の工程は全て実施例1と同じ
工程で薄膜半導体装置を作成した。本実施例2ではチャ
ンネル部シリコン膜を堆積するのに堆積温度555℃
で、第一の半導体膜としてのシリコン膜は実施例1と同
条件で堆積したが、第二の半導体膜としてのシリコン膜
はシラン流量と希釈純窒素流量を10SCCMと290
SCCM、15SCCMと285SCCM、25SCC
Mと275SCCM、45SCCMと255SCCM、
70SCCMと230SCCMへと変化させて堆積し
た。この時の第二の半導体膜の堆積時間は順に1時間1
8分、1時間8分、55分、47分、40分で有った。
この結果第二の半導体膜としてのシリコン膜堆積中のモ
ノシラン分圧は其々0.100mtorr、0.150
mtorr、0.251mtorr、0.451mto
rr、0.701mtorrとなった。又得られたシリ
コン膜の膜厚は上記の順番で各々263Å、269Å、
264Å、276Å、272Åで有った。こうして堆積
されたシリコン膜を用いて実施例1と同じ工程で薄膜半
導体装置を作成し、トランジスタ特性を測定した。図1
には第二の半導体膜堆積中のモノシラン分圧に対して、
実施例1で定義したオン電流の値を図示して有る。図中
でのエラー・バーは95%の信頼係数に於ける区間推定
値を示している。この図よりモノシラン分圧が0.1m
torr以下になるとトランジスタ特性が明らかに著し
く向上する事が分かる。
した本発明の優位性を明瞭とする為に従来技術との比較
を行う。本実施例3ではチャンネル部シリコン膜を堆積
する工程を除いてその他の工程は全て実施例1と同じ工
程で薄膜半導体装置を作成した。本実施例3ではチャン
ネル部シリコン膜を実施例1の第一の半導体膜を堆積す
る条件で堆積時間のみを変えて堆積した。即ち堆積温度
555℃で原料ガスで有るSiH4を100SCCM流
し、58分23秒間シリコン膜を堆積した。堆積開始直
後の反応室内圧力は1.21mtorrで、堆積終了直
前の圧力は1.27mtorrで有った。堆積中のモノ
シラン分圧は1.15mtorrで有る。得られたシリ
コン膜厚は199Åで有った。このシリコン膜は{22
0}面に優先配向した結晶状態に有り、膜厚に対してそ
の状態を変える事は無い。このシリコン膜を用いて実施
例1と同じ工程で薄膜半導体装置を作成した所、オン電
流は95%の信頼係数でION=(1.45+0.08、
−0.07)×10-6Aで有った。オン電流の定義及び
測定条件は実施例1と同一で有る。又、有効電子移動度
は、μ=9.30±0.39cm2/v・secで有っ
た。本実施例3と実施例1及び実施例2を比較すると、
チャンネル部シリコン膜を第一の半導体膜と第二の半導
体膜との多層構造にし、シリコン膜堆積過程でモノシラ
ン分圧を0.1mtorr以下とすると、トランジスタ
特性が著しく向上する事が理解される。実施例1及び2
では半導体膜を二層に分けたが、これは三層四層と多層
構造で有っても構わない。
かも数時間の熱工程で良好な薄膜半導体装置を作成する
には本発明が必要不可欠で有る事を説明する。実施例2
に詳述した様にモノシラン分圧が0.1mtorr以下
としてチャンネル部シリコン膜を堆積して薄膜半導体装
置を作成すると良好な特性を示すが、これは本発明の多
層構造の半導体膜及び多段階堆積に依ってのみ実現化可
能なので有る。実際、実施例1及び2で利用した同じ高
真空型LPCVD装置にて、下地保護膜となる二酸化珪
素膜(SiO2膜)の付いた石英ガラス基板に堆積温度
555℃でモノシラン流量10SCCM、希釈純窒素流
量290SCCM、モノシラン分圧0.100mtor
rにて、2時間堆積を試みたが、シリコン膜は全く何も
堆積されなかった。即ち、モノシラン分圧が非常に低い
と良質なシリコン膜が堆積されて、良好な特性を有する
薄膜半導体装置が作成される可能性は有るものの、従来
の単一堆積方法ではシリコン膜はその実全く堆積されな
いので有る。良質な半導体膜を極低圧に依り堆積形成す
る為には、本発明に依る連続多層堆積が唯一有効な手段
で有り、本発明に依って初めて実現されるので有る。本
実施例では堆積温度を555℃とし、原料ガスとしてモ
ノシランを用いたが、堆積温度や原料ガスに関係なく良
質な半導体膜をLPCVD法で得るには極低圧堆積が好
ましく、その堆積を実現したり、或いは堆積時間を短縮
するには、まず第一の半導体膜を堆積した後、第二の半
導体膜を連続堆積する堆積方法が効果的で有る。これは
一般に極低圧堆積を試みると、いわゆる`インキュベイ
ション・タイム’と呼ばれる堆積の全く生じない時間が
存在するからで有る。このインキュベイション・タイム
は堆積圧力が低くなるにつれて長くなる傾向に有る。前
述した例では555℃、モノシラン分圧0.100mt
orrではインキュベイション・タイムは2時間以上で
有る。従って良質な半導体膜を現実的な堆積時間で堆積
したり、工程生産能力を高める為には第一の半導体膜を
堆積した後、高品質膜を堆積出来る条件で高品質な第二
の半導体膜を堆積する事に依り半導体膜を形成するのが
唯一有効な方法なので有る。従ってこの時、第一の半導
体膜と第二の半導体膜で化学組成が異なっていたり、結
晶状態が違っているのが普通で有る。この件に関して別
な実施例で説明する。
積する工程を除いてその他の工程は全て実施例1と同じ
工程で薄膜半導体装置を作成した。本実施例4では実施
例1で詳述した高真空型LPCVD装置を用いてチャン
ネル部となる半導体膜を堆積した。堆積温度は550℃
で第一の半導体膜としてシリコン・ゲルマニウム膜を堆
積した。原料ガスとしてはSiH4を85SCCM流
し、同時にGeH4を15SCCM流した。堆積時間は
20分間で堆積開始直後の圧力は1.21mtorr、
堆積終了直前の圧力は1.30mtorrで有った。シ
リコン・ゲルマニウム膜はこの第一の堆積で約70Åの
膜厚となる。この第一の半導体膜堆積後、間断を置かず
連続して第二の半導体膜としてのシリコン膜を1時間2
7分堆積した。堆積温度は550℃でSiH4を10S
CCM、純窒素を290SCCM流した。第二の半導体
膜堆積中の全圧とシラン分圧は其々3.01mtorr
と0.100mtorrで有った。得られた半導体膜は
膜厚275Åを有し、下層はシリコン・ゲルマニウム膜
で上層はシリコン膜で有る。この半導体膜は多結晶状態
に有った。こうして得られた二層構造の半導体膜を用い
て実施例1と同じ工程で薄膜半導体装置を作成し、トラ
ンジスタ特性を測定した所、実施例1で定義したオン電
流は95%の信頼係数でION=(2.75+0.31、
−0.30)×10-6Aと実施例3で示した従来の薄膜
半導体装置よりも堆積温度を下げ、かつ高特性を示し
た。尚本実施例4で堆積した下層に位置するシリコン・
ゲルマニウムは化学組成式Si1-xGexで表現した時x
の値はおよそ0.25で有る。本実施例4ではチャンネ
ル部を下層のSi0.75Ge0.25膜と上層のSi膜の二層
としたが、多層にする事も可能で有る。例えばチャンネ
ル部を五層構造とし、最下層をGe膜、下から二番目の
層をSi0.25Ge0.75膜、下から三番目の層をSi0.5
Ge0.5膜、下から四番目をSi0.75Ge0.25膜、最上
層をSi膜としても良い。更には層数や各層に於ける化
学組成は自由に設定し得る。又、層と層との境界は必ず
しも明瞭で有る必要も無く、膜厚方向に対して連続的に
化学組成や結晶状態が変化していても構わない。本実施
例4では550℃程度と比較的低温でも容易に結晶堆積
するシリコン・ゲルマニウム膜を下層に用い上層にオフ
・リーク電流が少なく、トランジスタ特性の安定な多結
晶シリコンを連続で極低圧堆積して従来よりも低温で高
性能な薄膜半導体装置を作成した。チャンネル部の特性
には、本実施例の様に薄膜の場合、膜厚全体が帰与する
為、下層膜も出来る限り高品質で有る事が望ましく、5
50℃でも容易に結晶堆積されるシリコン・ゲルマニウ
ムは550℃で結晶堆積されにくいシリコン膜よりも好
ましい。しかしながら大量生産や安全性、公害等の問題
を考えた時には、下層膜はシリコン膜で有っても構わな
い。この様にその目的に応じて半導体膜の化学組成や結
晶構造は変更し得る。
結晶シリコン膜等からなる高品質半導体膜を570℃程
度以下の低温で容易に形成せしめ、以って薄膜半導体装
置の特性を飛躍的に向上させ、且つ製造時間の短縮・安
定的大量生産を実現した。これに依り、本発明をアクテ
ィブ・マトリックス液晶ディスプレイなどに適応した場
合、安価なガラス基板などが使用できる様になり、又他
の電子装置に適応した場合も熱による素子劣化などを低
減する。かくして本発明はアクティブ・マトリックス液
晶ディスプレイ装置や、集積回路等の電子装置の高性能
化や低価格化を実現するという多大な効果を有する。
膜半導体装置製造の各工程に於ける素子断面図。
Claims (5)
- 【請求項1】少なくとも表面の一部が絶縁性物質で有る
基板の該絶縁性物質上に形成された第一半導体膜と、 前記第一半導体膜上に形成された第二半導体膜と、 前記第二半導体膜上に形成されたゲート絶縁膜と、 前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、を含
み、 前記第一半導体膜の優先配向面は{220}であり、 前記第二半導体膜の優先配向面は{111}であるこ
と、 を特徴とする薄膜半導体装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載の薄膜半導体装置の製造
方法に於いて、 減圧化学気相堆積法(LPCVD法)にて前記絶縁性物
質上に前記第一半導体膜を形成する第一の工程と、 減圧化学気相堆積法(LPCVD法)にて前記第一半導
体膜上に前記第二半導体膜を形成する第二の工程と、 前記第二半導体膜をパターニングする第三の工程と、 前記第二半導体膜上にゲート絶縁膜を形成する第四の工
程と、を含み、 前記第一の工程及び前記第二の工程において、減圧化学
気相堆積法を行う際に、原料物質としてモノシランを使
用し、 前記第二の工程におけるモノシランの分圧が前記第一の
工程におけるモノシラン分圧よりも低いことを特徴とす
る薄膜半導体装置の製造方法。 - 【請求項3】 前記第二工程におけるモノシランの分圧
を0.1mtorr以下にして堆積することを特徴とす
る請求項2記載の薄膜半導体装置の製造方法。 - 【請求項4】 前記第一半導体膜と前記第二半導体膜と
を堆積する際、温度条件を555℃以下の温度で行うこ
とを特徴とする請求項2または3記載の薄膜半導体装置
の製造方法。 - 【請求項5】 前記第一半導体膜をモノシランを反応室
に導入して形成し、 前記第二半導体膜をモノシランと不活性気体とを前記反
応室に導入して形成することを特徴とする請求項2乃至
4のいずれかに記載の薄膜半導体装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18292093A JP3430565B2 (ja) | 1993-07-23 | 1993-07-23 | 薄膜半導体装置及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18292093A JP3430565B2 (ja) | 1993-07-23 | 1993-07-23 | 薄膜半導体装置及びその製造方法 |
Publications (2)
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