JP3203772B2 - 半導体膜形成方法及び薄膜半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体膜形成方法及び薄膜半導体装置の製造方法

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JP3203772B2
JP3203772B2 JP16602292A JP16602292A JP3203772B2 JP 3203772 B2 JP3203772 B2 JP 3203772B2 JP 16602292 A JP16602292 A JP 16602292A JP 16602292 A JP16602292 A JP 16602292A JP 3203772 B2 JP3203772 B2 JP 3203772B2
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temperature
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光敏 宮坂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアクティブマトリックス
液晶ディスプレイ等に応用される薄膜トランジスタや三
次元LSIデバイスなどで使用されている絶縁性物質上
に形成される半導体膜の形成方法、或いは薄膜半導体装
置の製造方法に関するもので有り、詳しくは製造工程の
最高温度が600℃程度以下の低温プロセスで形成する
薄膜半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶ディスプレイの大画面化、高
解像度化に伴い、その駆動方式は単純マトリックス方式
からアクティブマトリックス方式へ移行し、大容量の情
報を表示出来るように成りつつ有る。アクティブマトリ
ックス方式は数十万を越える画素を有する液晶ディスプ
レイが可能で有り、各画素毎にスイッチングトランジス
タを形成するもので有る。各種液晶ディスプレイの基板
としては、透過型ディスプレイを可能ならしめる溶融石
英板やガラスなどの透明絶縁基板が使用されている。
【0003】しかしながら、表示画面の拡大化や低価格
化を進める場合には絶縁基板として安価な通常ガラスを
使用するのが必要不可欠で有る。従って、この経済性を
維持して尚、アクティブマトリックス方式の液晶ディス
プレイを動作させる薄膜トランジスタを安価なガラス基
板上に安定した性能で形成する事が可能な技術が望まれ
ていた。
【0004】薄膜トランジスタのチャンネル部半導体膜
としては、通常非晶質シリコンや多結晶シリコンが用い
られているが、駆動回路迄一体化して薄膜トランジスタ
で形成しようとする場合には動作速度の速い多結晶シリ
コンが有利である。
【0005】従来この様な薄膜トランジスタやそれらに
用いられる半導体膜を安価なガラスを基板として使用し
得る低温プロセスで作成する場合、非晶質半導体膜形成
後窒素雰囲気下にて600℃で8時間から24時間程度
以上の時間熱処理を施していた。(Jpn.J.App
l.Phys.30,P3724,1991やIEEE
Electron Dev.Lett.12,P58
4,1991, J.Electrochem.So
c.136,P1169,1989など。)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先に述
べた従来の方法に於いては、以下の如き問題が指摘され
ている。即ち、基板として安価な通常ガラスを使用しよ
うとした場合、熱処理時間が長い為、熱処理中に基板が
ゆがんでしまい、薄膜トランジスタを大面積に均一に作
成し得ない。他方、熱処理に対してゆがまない基板はそ
の大きさが限定されたり、或いは高価格とならざるを得
ない。又、長時間の熱処理は生産性を低め、薄膜トラン
ジスタを用いた液晶ディスプレイやLSI装置の製品価
格の高騰を招く。
【0007】従って、600℃程度の低温で、しかもで
きる限り短い熱処理時間で高品質な半導体膜を形成する
方法、或いは薄膜半導体装置を製造する方法が求められ
ていた。
【0008】本発明は上記の事情に鑑みてなされた物で
その目的とするところは、結晶性半導体膜の形成に際す
る熱処理時間の短縮、及び良好な特性を有する薄膜半導
体装置を大画面に均一に製造する方法を提供する事にあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体膜形成方
法は、表面が絶縁性物質で有る基板上に結晶性半導体膜
を形成する方法に於いて、前記絶縁性物質上に非晶質半
導体膜を形成する工程と、前記非晶質半導体膜の表面に
形成された自然酸化膜をフッ化水素酸を用いて除去する
工程と、前記自然酸化膜が除去された非晶質半導体膜を
真空中で熱処理することにより結晶化させる工程とを含
むことを特徴とする。
【0010】本発明は、表面が絶縁性物質で有る基板上
に結晶性半導体膜を形成し、該半導体膜がチャンネル部
となる電界効果トランジスタを構成する薄膜半導体装置
を製造する方法に於いて、前記絶縁性物質上に非晶質半
導体膜を形成する工程と、前記非晶質半導体膜の表面に
形成された自然酸化膜をフッ化水素酸を用いて除去する
工程と、前記自然酸化膜が除去された非晶質半導体膜を
真空中で熱処理することにより結晶化させる工程とを含
むことを特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【実施例】(実施例1)以下本発明の実施例を詳述する
が、本発明が以下の実施例に限定されるものでは無い。
【0015】絶縁性物質上に非晶質半導体膜を形成し、
その後熱処理を施した際の結晶性の変化を調べた。本実
施例1では半導体膜として真性シリコン膜を用いたが、
この他にも燐やボロンなどの不純物を添加したシリコン
膜、或いはシリコン・ゲルマニウム(SiGex)やシ
リコン・カーバイト(SiCx)などのIV族半導体膜
や、又はIIIーV族半導体膜等も可能である。
【0016】又、本実施例1では、基板として直径4イ
ンチの溶融石英ガラスを用いたが、600℃の工程最高
温度に耐え得る基板又は下地物質で有るならば、その種
類や大きさは無論問われない。例えば通常ガラス基板の
他にシリコンウェハーなどの半導体基板及びそれらを加
工したLSI、三次元LSIや、或いはアルミナ、窒化
アルミニウムなどのセラミックス基板なども下地基板と
して可能で有る。
【0017】まずアセトン又はメチル・エチル・ケト
ン,メチル・イソ・ブチル・ケトンやシクロヘキサノン
などの有機溶剤中に基板を浸し、超音波洗浄を行う。洗
浄後窒素中又は減圧下にて乾燥を施し、更にエタノール
による超音波洗浄を行った後窒素バブリングされている
純水にて水洗を施す。次に基板を沸騰している濃度60
%の硝酸中に5分間浸し、更に窒素バブリングされてい
る純水中で洗浄した。基板として金属など酸に依り腐食
されたり、変質して仕舞う物質を用いる場合、この硝酸
に依る洗浄は必要とされない。又この強酸に依る洗浄で
は酸として硝酸の他に硫酸なども可能で有る。
【0018】こうして洗浄された石英基板上に常圧気相
化学堆積法(APCVD法)で下地保護膜となる二酸化
硅素膜(SiO2膜)を2000Å堆積した。この下地
SiO2膜は前述の如き種々多様な物質を基板として用
いる際、後に堆積される半導体膜の膜質を一定に安定化
する為に形成した。下地SiO2膜堆積時の基板温度は
300℃で、窒素に依り20%に希釈されたシラン60
0SCCMを840SCCMの酸素と共にAPCVD法で堆積し
た。この時のSiO2膜の堆積速度は3.9Å/sec
で有った。
【0019】続いて減圧CVD法で非晶質半導体膜を堆
積した。本実施例1では真性シリコン膜を堆積した。こ
の時減圧CVD反応炉の容積は184.5lで、基板は
反応炉中央付近に水平に置かれる。原料ガス及びヘリウ
ム・窒素・アルゴン・水素等の希釈ガスは必要に応じて
反応炉下部より炉内に導入され、反応炉上部から排気さ
れる。石英ガラスで作られた反応炉の外側には3ゾーン
に分かれたヒーターが設置されて居り、それらを独立に
調整する事で反応炉内中央部付近に所望の温度で均熱帯
を形成する。この均熱帯は約350mmの高さで広がり、
その範囲内での温度のずれは、例えば600℃に設定し
た時0.2℃以内である。
【0020】排気はロータリーポンプとメカニカル・ブ
ースターポンプを直結して行い、反応炉内の圧力は測定
値がガスの種類に依存しない隔膜式圧力計(MKS社バ
ラトロン・マノメーター)に依り測定した。反応炉を5
50℃に保って、ガス導入用のバルブを閉じて両ポンプ
にて真空引きを行った場合、反応炉内圧は0mtorr
で有る為、背景真空度は悪くとも10-4torr程度以
下で有る。
【0021】基板挿入後、真空引き、漏洩検査を施し
た。漏洩検査では反応炉に通ずる全バルブを閉じて反応
炉を完全に孤立させて、反応炉内圧力の変化を調べた。
本実施例1では反応炉内温度が400℃で2分間の完全
孤立後、反応炉内圧力は1mtorr以下で有った。漏
洩検査にて異常が無い事を確認した後、反応炉内温度を
挿入温度の400℃から堆積温度まで昇温する。本実施
例1では550℃で非晶質半導体膜であるシリコン膜を
堆積した為、昇温するのに一時間費やした。この昇温期
間中、二つのポンプは運転状態に有り、少なくとも純度
が99.995%以上の不活性又は還元性ガスを流し続
ける。これらのガス種は水素・ヘリウム・窒素・ネオン
・アルゴン・キセノン・クリプトン等の純ガスの他、こ
れらのガスの混合ガスも可能で有る。本実施例1では純
度99.9999%以上のヘリウムを350SCCM流し続
け、反応炉内圧力は81.0±1.2mtorrで有った。
【0022】堆積温度到達後、原料ガスで有る所定量の
シラン又はシランと希釈ガスの混合ガスを反応炉内に導
入し、非晶質半導体膜を堆積する。希釈ガスとしては、
先の昇温期間に流したガスと同種の組み合わせが可能で
有るが、望ましくは各ガスの純度はそれぞれが99.9
99%以上が良い。本実施例1では希釈ガスを用いず、
純度99.999%以上のシランを100SCCM流して非
晶質半導体膜を堆積した。この時、反応炉内の圧力は反
応炉とメカニカル・ブースターポンプの間に設置された
コンダクタンスバルヴの開閉度を調整して、400mtor
rに保った。本実施例1では非晶質半導体膜は22.0
Å/minの堆積速度で240Åの膜厚に堆積した。
【0023】本実施例1では非晶質半導体膜の形成をL
PCVD法で行い、原料ガスもモノシランを用いたが、
これ以外にもプラズマCVD法やAPCVD法やスパッ
ター法などで堆積する事も可能で有る。又原料ガスもモ
ノシランに限らず、ジシランやトリシランなどの高次シ
ランやジクロールシラン或いはゲルマンなども可能で有
る。又、無論上記種々のCVD法と上記種々の原料の組
み合わせに依って非晶質半導体膜を形成する事も可能で
有る。
【0024】半導体膜の結晶化率は多波長分散型エリプ
ソメトリー(ソープラ社MOSSーES4G)にて測定
した。多波長分光エリプソメトリーは回転偏光子型を用
い、波長領域250nmから850nm迄走査した。入
射光角は75度で有った。こうして得られたtanψと
cosΔのスペクトルは予め測定されて有ったアモルフ
ァス・シリコン・スペクトルと結晶シリコン・スペクト
ルを複素屈折率合成に関するBRUGGEMANの公式
(D.A.G.BRUGGEMAN,Ann.Phy
s.(Leipzig)24,636(1935))に
従ってアモルファス・シリコンと結晶シリコンの体積比
を任意に定めてスペクトル合成を行い、測定スペクトル
と最も良く一致した時の体積混合比を持って結晶化率を
定義した。非晶質半導体膜としてのシリコン膜の結晶化
率はこの方法で2%と測定された。
【0025】次にこうして得られた基板を1.67%弗
化水素酸水溶液に20秒間浸して非晶質半導体膜表面か
ら自然酸化膜を取り除いた。その後基板は直ちに非酸化
性雰囲気下に設置され、熱処理を施された。
【0026】熱処理炉は縦型炉で通常400℃に保たれ
て居り、純度99.999%以上の窒素ガスを30SLM
流し続けて熱処理炉内部を非酸化性雰囲気としている。
熱処理炉の容積は184.5lで有る。基板は縦型炉下
部より熱処理炉内に挿入されるが、窒素ガスは熱処理炉
上部より炉内に導入され下部の挿入口より流出してい
る。その為室温と温度平衡に達している基板は室温の状
態で非酸化性雰囲気で有る窒素流中に置かれ、引き続い
て非酸化性雰囲気下で400℃の炉に挿入された。1.
67%弗化水素酸水溶液に20秒間浸して自然酸化膜を
取り除き、窒素バブリングされている純水で水洗された
基板がその後熱処理炉の非酸化性雰囲気の窒素流中に置
かれるまでの時間は1分未満で有った。又、窒素流中で
熱処理炉に挿入する時間は10分間で有った。
【0027】基板挿入後熱処理炉内は真空引きを施され
た。窒素雰囲気1気圧で有った熱処理炉内は基板挿入後
20分で8.7×10-7torrの真空度に達した。その後
熱処理炉内には純度99.9999%以上の窒素ガスを
300SCCM流し続けながら1時間掛けて挿入温度の40
0℃から熱処理温度の600℃へと昇温した。この時の
熱処理炉内の圧力は3.0×10-3torrで有った。熱処
理温度の600℃に達した後、更に連続して600℃5
時間の熱処理を加えた。この間も熱処理炉内には純度9
9.9999%以上の窒素ガスが300SCCM流され、炉
内圧力は3.0×10-3torrに保たれていた。基板は4
00℃からの昇温に費やした1時間と600℃で維持さ
れた5時間の計6時間の熱処理を被った事となる。
【0028】この様にして得られた半導体膜の結晶化率
を先に詳述した多波長分散型エリプソメトリーにて測定
したところ、240Åの薄膜にもかかわらず結晶化率は
80%と高率を示した。即ち結晶化率が2%でしかなか
った非晶質半導体膜は僅か6時間の熱処理で結晶化が進
んだ事を意味している。
【0029】(実施例2)本発明が非晶質半導体膜の結
晶化を短時間で促進するという効果を有する事を詳細に
確認する為に、実施例1と全く同じ方法で非晶質半導体
膜を準備し、全く同じ方法で熱処理を施し、熱処理温度
の600℃に達してからの熱処理時間だけを変えて半導
体膜を作成し、その結晶化率を実施例1の手法で測定し
た。本実施例2では、熱処理温度の600℃に於ける維
持時間を0時間から7時間まで変えて、結晶化率の変化
を調べた。600℃に於ける維持時間が0時間とは、挿
入温度の400℃から1時間掛けて600℃に昇温した
後、直ちに基板を取り出した事を意味し、その合計熱処
理時間は1時間を意味する。又600℃に於ける維持時
間が7時間とは昇温の1時間を加えると合計熱処理時間
は8時間となる。こうして得られた結果を図1、Aに示
す。本発明に依ると実施例1でも示した通り、熱処理時
間は合計6時間で充分で有る事が理解される。
【0030】一方、比較の為に従来技術に依る結晶化率
の推移を図1、Bに示す。従来技術では非晶質半導体膜
の準備は実施例1と全く同じであるが、熱処理を施す前
に非晶質半導体膜表面から自然酸化膜を取り除かずにそ
のまま大気圧で熱処理を行うもので有る。
【0031】熱処理炉は縦型炉で通常400℃に保持さ
れて居り、純度99.999%以上の窒素ガスを20S
LM流し続けて、熱処理炉内部を窒素雰囲気に保持して
いる。室温と温度平衡に達している基板は17分間掛け
て400℃の縦型熱処理炉に挿入した。挿入後30分間
400℃に保ち、基板の位置に依らず炉内が総て400
℃の均一温度に達した後、熱処理炉の温度を600℃に
昇温する。この400℃でまず30分間保持する事に依
り基板の位置にかかわらず、どこでも同じ熱履歴を得る
事が出来、半導体薄膜の結晶化を均一に行う事が可能と
なる。熱処理炉には一気圧下で常に20SLMの窒素が
流れ続け、熱処理炉の容積は約176lで有るため、こ
の400℃に於ける予備加熱に依り熱処理炉内部は完全
に窒素雰囲気に置換される。400℃から600℃への
昇温は1時間掛けて行われ、600℃で温度平衡に達し
た後、引き続いて600℃に於いて1時間から13時間
熱処理を加えた。前述の如く600℃に於ける維持時間
が1時間とは、昇温に要した1時間と合わせて、計2時
間の熱処理時間を意味する。所定時間の熱処理が終了し
た半導体膜は実施例1にて詳述した方法で結晶化率を測
定された。この様にして得られた結晶化率の推移を図
1、Bに示す。従来技術では合計熱処理時間が8時間、
結晶化率は80%となり、10時間以後は81%で飽和
している。これに対して実施例1及び実施例2の前半で
詳述した本発明に依ると、結晶化に要する時間を25%
以上短縮して約6時間程度で済む事が理解される。
【0032】(実施例3)図2(a)〜(e)は本実施
例3に於ける自己非整合型スタガード構造のMIS型電
界効果トランジスタを構成するシリコン薄膜半導体装置
の製造工程を断面で示した図で有る。
【0033】本実施例3では、下地基板201として2
35mm□の溶融石英ガラスを用いたが、600℃の工程
最高温度に耐え得る基板又は下地物質で有るならば、そ
の種類や大きさは無論問われない。例えば通常ガラス基
板の他にシリコンウェハーなどの半導体基板及びそれら
を加工したLSI、三次元LSIや、或いはシリコン・
カーバイト、アルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミ
ックス基板なども下地基板として可能で有る。
【0034】まずアセトン又はメチル・エチル・ケト
ン,メチル・イソ・ブチル・ケトンやシクロヘキサノン
などの有機溶剤中に下地基板201を浸し、超音波洗浄
を行う。洗浄後窒素中又は減圧下にて乾燥を施し、更に
エタノールによる超音波洗浄を行った後窒素バブリング
されている純水にて水洗を施す。次に下地基板201を
沸騰している濃度60%の硝酸中に5分間浸し、更に窒
素バブリングされている純水中で洗浄した。基板として
金属など酸に依り腐食されたり、変質して仕舞う物質を
用いる場合、この硝酸に依る洗浄は必要とされない。又
この強酸に依る洗浄では酸として硝酸の他に硫酸なども
可能で有る。
【0035】こうして洗浄された石英基板上に常圧気相
化学堆積法(APCVD法)で下地保護膜となる二酸化
硅素膜(SiO2膜)202を2000Å堆積した。こ
の下地SiO2膜202は前述の如き種々多様な物質を
基板として用いる際、後に堆積される半導体膜の膜質、
及びそれを用いて構成される薄膜トランジスタの性能を
安定化する為に必要で有る。と同時に、例えば基板20
1として通常ガラスを用いた場合、ガラス中に含まれて
いるナトリウムなどの可動イオンが、又基板201とし
て各種セラミック板を用いた際には基板中に添加されて
いる焼結助材原料などがトランジスタ部に拡散混入する
のを防ぐ役割をも演じている。又金属板を基板201と
して用いる場合は、絶縁性を確保する為に下地SiO2
は必要不可欠で有る。又、三次元LSI素子では、トラ
ンジスタ間や配線間の層間絶縁膜に相当している。下地
SiO2膜202堆積時の基板温度は300℃で、窒素
に依り20%に希釈されたシラン600SCCMを840SC
CMの酸素と共にAPCVD法で堆積した。この時のSi
2膜の堆積速度は3.9Å/secで有った。
【0036】続いてドナー又はアクセプターとなる不純
物を含んだ半導体膜203を減圧CVD法にて堆積し
た。半導体膜としてシリコンを用いたが、シリコン・ゲ
ルマニウム等他の半導体膜も無論可能で有る。又本実施
例3ではn型トランジスタ作成を目指し不純物としてリ
ンを選んだが、n型ならばリン以外に5族、6族の元
素、P型ならばボロンを始めとして2族、3族の元素が
不純物元素として添加され得る。この不純物を含んだ半
導体膜203はいずれソース・ドレイン領域となる部位
で、本実施例3の如く不純物をCVD法で添加する方法
の他、まず最初に不純物を含まない真性半導体膜を形成
して居き、後に気相或いは真性半導体膜に接する固相よ
り不純物を拡散させて添加する方法や、不純物をイオン
化して真性半導体膜に打ち込む方法などが有る。これ
ら、真性半導体膜を形成した後拡散法やイオン打ち込み
法で不純物を添加する手法を用いると真性半導体膜の所
望の部位のみに不純物を添加する事が可能となり、これ
により例えばトランジスタのゲート電極端ととソース端
又はドレイン端が自己整合したセルフ・アライン・トラ
ンジスタが可能となったり、不純物添加濃度を各部位で
変える事に依り半導体膜中の電流密度や比抵抗を変えて
所望の部位のみに電流を流す事などが可能となる。本実
施例3では不純物としてリンを選んだ為、ホスフィン
(PH3)とシランを混合したガスを用いて、不純物を
含んだ半導体膜203を1500Å堆積した。本実施例
3では184.5lの容積を有する減圧CVD炉内にモ
ノシランを200SCCM、ヘリウムが99.5%でホスフ
ィンが0.5%のヘリウム・ホスフィン混合ガスを6SC
CM、更にヘリウム100SCCMを流し、堆積温度600
℃、炉内圧力100mtorrで堆積した。この時の堆積速
度は30Å/minで、成膜直後のシート抵抗値は2,
050Ω/□で有った。
【0037】次に、前記半導体膜上にレジストを形成
し、四弗化炭素(CF4)と酸素(O2)の混合プラズマ
に依り、前記膜をパターニングし、ソース・ドレイン領
域203を形成した(図2(a))。続いて沸騰硝酸中
に五分間浸す洗浄で残留レジストなどの不純物を取り除
き、1.67%弗化水素酸に20秒浸してソース・ドレ
イン領域203表面上の自然酸化膜を取り除き、直ちに
減圧CVD法でチャンネル部となる半導体膜を堆積し
た。本実施例3では半導体膜としてシリコンを用いた
が、シリコン・ゲルマニウムやガリウム・ヒ素等他の半
導体も可能で有る。
【0038】この時減圧CVD反応炉の容積は184.
5lで、基板は反応炉中央付近に水平に置かれる。原料
ガス及びヘリウム・窒素・アルゴン・水素等の希釈ガス
は必要に応じて反応炉下部より炉内に導入され、反応炉
上部から排気される。石英ガラスで作られた反応炉の外
側には3ゾーンに分かれたヒーターが設置されて居り、
それらを独立に調整する事で反応炉内中央部付近に所望
の温度で均熱帯を形成する。この均熱帯は約350mmの
高さで広がり、その範囲内での温度のずれは、例えば6
00℃に設定した時0.2℃以内である。従って挿入基
板間の間隔を10mmとすれば1バッチで35枚の基板の
処理が可能で有る。本実施例3では20mm間隔で17枚
の基板を均熱帯内に設置した。
【0039】排気はロータリーポンプとメカニカル・ブ
ースターポンプを直結して行い、反応炉内の圧力は測定
値がガスの種類に依存しない隔膜式圧力計(MKS社バ
ラトロン・マノメーター)に依り測定した。反応炉を5
50℃に保って、ガス導入用のバルブを閉じて両ポンプ
にて真空引きを行った場合、反応炉内圧は0mtorr
で有る為、背景真空度は悪くとも10-4torr程度以
下で有る。
【0040】ソース・ドレイン領域203が形成され、
該領域表面上の自然酸化膜を取り除かれた基板は、表側
を下向きとして直ちに減圧CVD炉内に挿入された。挿
入時の反応炉内温度は395℃から400℃程度に保た
れている。これはソース・ドレイン領域203上に自然
酸化膜が形成されるのを極力少なくする為で有るから、
挿入時の反応炉内温度は出来る丈低く有るのが望まし
い。例えば挿入時の反応炉内温度を室温とする事も可能
で有るが、この場合堆積温度迄反応炉内温度を昇温する
のに数時間以上費やし、又堆積後室温に戻すのに矢張り
数時間必要となる。基板挿入時に反応炉内には約4SL
M〜10SLMの窒素を流し反応炉内を不活性雰囲気に
保っている。更に反応炉内入り口付近には約6SLM〜
20SLMの窒素で窒素カーテンを形成し、基板挿入時
に空気が反応炉内に流れ込む事を最小限に止めている。
反応炉内に空気中の水分や酸素が入ると、これらは反応
炉内壁のSi層に吸着し、又はSiと反応して反応炉内
に残留し、チャンネル部となるシリコン膜堆積の際、脱
ガスとして現れ、堆積シリコン膜の膜品質を低下させる
原因となる。
【0041】基板挿入後、真空引き、漏洩検査を施し
た。漏洩検査では反応炉に通ずる全バルブを閉じて反応
炉を完全に孤立させて、反応炉内圧力の変化を調べた。
本実施例3では反応炉内温度が400℃で2分間の完全
孤立後、反応炉内圧力は1mtorr以下で有った。漏
洩検査にて異常が無い事を確認した後、反応炉内温度を
挿入温度の400℃から堆積温度まで昇温する。本実施
例3では550℃でチャンネル部となる半導体膜を堆積
した為、昇温するのに一時間費やした。炉内温度が堆積
温度の550℃に達するには35分間程度で済むが、反
応炉壁からの脱ガスを充分放出する為にも、最短一時間
以上、好ましくは数時間の昇温期間が望ましい。この昇
温期間中、二つのポンプは運転状態に有り、少なくとも
純度が99.995%以上の不活性又は還元性ガスを流
し続ける。これらのガス種は水素・ヘリウム・窒素・ネ
オン・アルゴン・キセノン・クリプトン等の純ガスの
他、これらのガスの混合ガスも可能で有る。本実施例3
では純度99.9999%以上のヘリウムを350SCCM
流し続け、反応炉内圧力は81±1.2mtorrで有っ
た。
【0042】堆積温度到達後、原料ガスで有る所定量の
シラン又はシランと希釈ガスの混合ガスを反応炉内に導
入し、半導体膜204を堆積する。希釈ガスとしては、
先の昇温期間に流したガスと同種の組み合わせが可能で
有るが、望ましくは各ガスの純度はそれぞれが99.9
99%以上が良い。本実施例3では希釈ガスを用いず、
純度99.999%以上のシランを100SCCM流して半
導体膜204を堆積した。この時、反応炉内の圧力は反
応炉とメカニカル・ブースターポンプの間に設置された
コンダクタンスバルヴの開閉度を調整して、400mtor
rに保った。本実施例3ではチャンネル部となる半導体
膜204は22Å/minの堆積速度で250Åの膜厚
に堆積した(図2(b))。
【0043】本実施例3では非晶質半導体膜の堆積をL
PCVD法で行い、原料ガスもモノシランを用いたが、
これ以外にもプラズマCVD法やAPCVD法やスパッ
ター法などで堆積する事も可能で有る。又原料ガスもモ
ノシランに限らず、ジシランやトリシランなどの高次シ
ランやジクロールシラン或いはゲルマンなども可能で有
る。又、無論上記種々のCVD法と上記種々の原料の組
み合わせに依って非晶質半導体膜を堆積する事も可能で
有る。
【0044】次にこうして得られた基板を1.67%弗
化水素酸水溶液に20秒間浸して非晶質半導体膜表面か
ら自然酸化膜を取り除いた。その後基板は直ちに非酸化
性雰囲気化に設置され、熱処理を施された。
【0045】熱処理炉は縦型炉で通常400℃に保たれ
て居り、純度99.999%以上の窒素ガスを30SLM
流し続けて熱処理炉内部を非酸化性雰囲気としている。
熱処理炉の容積は184.5lで有る。基板は縦型炉下
部より熱処理炉内に挿入されるが、窒素ガスは熱処理炉
上部より炉内に導入され下部の挿入口より流出してい
る。その為室温と温度平衡に達している基板は室温の状
態で非酸化性雰囲気で有る窒素流中に置かれ、引き続い
て非酸化性雰囲気下で400℃の炉に挿入された。1.
67%弗化水素酸水溶液に20秒間浸して自然酸化膜を
取り除き、窒素バブリングされている純水で水洗された
基板がその後熱処理炉の非酸化性雰囲気の窒素流中に置
かれるまでの時間は1分未満で有った。又、窒素流中で
熱処理炉に挿入する時間は10分間で有った。
【0046】基板挿入後熱処理炉内は真空引きを施され
た。窒素雰囲気1気圧で有った熱処理炉内は基板挿入後
20分で9.3×10-7torrの真空度に達した。その後
熱処理炉内には純度99.9999%以上の窒素ガスを
300SCCM流し続けながら1時間掛けて挿入温度の40
0℃から熱処理温度の600℃へと昇温した。この時の
熱処理炉内の圧力は3.0×10-3torrで有った。熱処
理温度の600℃に達した後、更に連続して600℃5
時間の熱処理を加えた。この時も熱処理炉内には純度9
9.9999%以上の窒素ガスが300SCCM流れ、炉内
圧力は3.0×10-3torrに保たれていた。基板は40
0℃からの昇温に費やした1時間と600℃で維持され
た5時間の計6時間の熱処理を被った事となる。
【0047】こうして得られた半導体膜は、レジストで
パターニングされた後、四弗化炭素(CF4)と酸素
(O2)の混合プラズマに依りエッチングされ、チャン
ネル部半導体膜205を形成した。(図2(C))本実
施例3で形成した半導体膜はCF 4とO2の比が50SCCM
対100SCCMで有る15Paの真空プラズマ放電で、そ
の出力が700Wの時のエッチングでは2.0Å/se
cのエッチング速度を有していた。
【0048】次にこの基板を沸騰している濃度60%の
硝酸にて洗浄し、更に1.67%弗化水素酸水溶液に2
0秒間浸してソース・ドレイン領域203とチャンネル
部半導体膜205上の自然酸化膜を取り除いて清浄なシ
リコン表面が出現した後、直ちに電子サイクロトロン共
鳴プラズマCVD装置(ECR−PECVD装置)にて
ゲート絶縁膜となるSiO2膜206を1500Å堆積
した(図2(d))。
【0049】次にクロムをスパッター法で1500Å堆
積し、パターニングに依り、ゲート電極207を形成し
た。この時シート抵抗値は1.3±0.05Ω/□で有
った。本実施例3ではゲート電極材料としてクロムを用
いたが、無論これ以外の導電性物質も可能で有るし、又
その形成方法もスパッター法に限らず蒸着法やCVD法
なども可能で有る。続いてAPCVD法で層間絶縁膜2
08となるSiO2膜を5000Å堆積した。この堆積
は本実施例3で下地SiO2膜202を堆積した条件と
全く同一で唯一堆積時間のみを変えて行った。層間絶縁
膜形成後、コンタクトホールを開け、ソース・ドレイン
取り出し電極209をスパッター法などで形成し、トラ
ンジスタが完成する(図2(e))。本実施例3ではソ
ース・ドレイン取り出し電極材料としてアルミニウムを
用いスパッター法で8000Åの膜厚に堆積して、ソー
ス・ドレイン取り出し電極を形成した。この時堆積アル
ミニウム膜のシート抵抗は42.5±2.0mΩ/□で
有った。
【0050】この様にして試作した薄膜トランジスタ
(TFT)の特性を温度25℃で測定した。トランジス
タサイズはチャンネル部の長さL=10μm、幅W=1
0μmで有った。Vds=4V、Vgs=10Vでトラ
ンジスタをオンさせた時のオン電流は、ION=4.70
±0.40μAと良好なトランジスタ特性を有する薄膜
半導体装置が得られた。又、トランジスタの飽和電流領
域より求めた電界効果移動度(J.Levinson
et al. J.Appl.Phys 53.119
3.1982)はμo=25.8±1.0cm2/v.s
ecで有り、僅か6時間の熱処理で良好な薄膜半導体装
置を製造し得た。なお、エラーバーは95%の区間推定
値で有る。
【0051】これに対して従来技術ではその様な短時間
の熱処理では良好な薄膜半導体装置を作成し得ない。以
下本発明の優位性を明瞭と化す為に従来技術との比較を
行う。従来技術と本発明の違いはチャンネル部半導体膜
の形成方法で有る。従来技術では非晶質半導体膜形成
後、非晶質半導体膜表面の自然酸化膜を残したまま、大
気圧窒素雰囲気下で熱処理を行っていた。即ち、図2
(b)の半導体膜204を堆積するまでは両者は同一で
有る。その後、実施例2に記述した従来技術の熱処理方
法で半導体膜の結晶化を進めた。本実施例3の比較例で
は600℃での維持時間を5時間、7時間、31時間と
し、合計熱処理時間を6時間、8時間、32時間とし
た。こうして従来技術で熱処理を施された基板は以下本
実施例3の本発明と同一の工程を経て薄膜トランジスタ
を完成せられた。こうして従来技術で製造された薄膜半
導体装置は以下のトランジスタ特性を示した。
【0052】従来技術の熱処理6時間…ION=2.14
±0.35μA、μo=11.8±0.7cm2/v・sec。
【0053】従来技術の熱処理時間8時間…ION=4.
79±0.44μA、μo=25.6±1.0cm2/v・s
ec。
【0054】従来技術の熱処理時間32時間…ION=
5.12±0.44μA、μo=26.1±1.1cm2
/v・sec。
【0055】この比較例が示す様に従来技術の熱処理時
間は6時間ではまだ不十分で、8時間以上でほぼ飽和し
ている。これに対して、本発明に依れば従来よりも25
%も熱処理時間を短縮した6時間で有っても、従来と全
く同等の特性を有する薄膜半導体装置の作成に成功した
事が分かる。
【0056】(実施例4)絶縁性物質上に非晶質半導体
膜を形成し、その後熱処理を施した際の結晶性の変化を
調べた。本実施例4では半導体膜として真性シリコン膜
を用いたが、この他にも燐やボロンなどの不純物を添加
したシリコン膜、或いはシリコン・ゲルマニウム(Si
Gex)やシリコン・カーバイト(SiCx)などのIV
族半導体膜や、又はIIIーV族半導体膜等も可能である。
【0057】又、本実施例4では、基板として直径4イ
ンチの溶融石英ガラスを用いたが、600℃の工程最高
温度に耐え得る基板又は下地物質で有るならば、その種
類や大きさは無論問われない。例えば通常ガラス基板の
他にシリコンウェハーなどの半導体基板及びそれらを加
工したLSI、三次元LSIや、或いはアルミナ、窒化
アルミニウムなどのセラミックス基板なども下地基板と
して可能で有る。
【0058】まずアセトン又はメチル・エチル・ケト
ン,メチル・イソ・ブチル・ケトンやシクロヘキサノン
などの有機溶剤中に基板を浸し、超音波洗浄を行う。洗
浄後窒素中又は減圧下にて乾燥を施し、更にエタノール
による超音波洗浄を行った後窒素バブリングされている
純水にて水洗を施す。次に基板を沸騰している濃度60
%の硝酸中に5分間浸し、更に窒素バブリングされてい
る純水中で洗浄した。基板として金属など酸に依り腐食
されたり、変質して仕舞う物質を用いる場合、この硝酸
に依る洗浄は必要とされない。又この強酸に依る洗浄で
は酸として硝酸の他に硫酸なども可能で有る。
【0059】こうして洗浄された石英基板上に常圧気相
化学堆積法(APCVD法)で下地保護膜となる二酸化
硅素膜(SiO2膜)を2000Å堆積した。この下地
SiO2膜は前述の如き種々多様な物質を基板として用
いる際、後に堆積される半導体膜の膜質を一定に安定化
する為に形成した。下地SiO2膜堆積時の基板温度は
300℃で、窒素に依り20%に希釈されたシラン60
0SCCMを840SCCMの酸素と共にAPCVD法で堆積し
た。この時のSiO2膜の堆積速度は3.9Å/sec
で有った。
【0060】続いて減圧CVD法で非晶質半導体膜を堆
積した。本実施例4では真性シリコン膜を堆積した。こ
の時減圧CVD反応炉の容積は184.5lで、基板は
反応炉中央付近に水平に置かれる。原料ガス及びヘリウ
ム・窒素・アルゴン・水素等の希釈ガスは必要に応じて
反応炉下部より炉内に導入され、反応炉上部から排気さ
れる。石英ガラスで作られた反応炉の外側には3ゾーン
に分かれたヒーターが設置されて居り、それらを独立に
調整する事で反応炉内中央部付近に所望の温度で均熱帯
を形成する。この均熱帯は約350mmの高さで広がり、
その範囲内での温度のずれは、例えば600℃に設定し
た時0.2℃以内である。
【0061】排気はロータリーポンプとメカニカル・ブ
ースターポンプを直結して行い、反応炉内の圧力は測定
値がガスの種類に依存しない隔膜式圧力計(MKS社バ
ラトロン・マノメーター)に依り測定した。反応炉を5
50℃に保って、ガス導入用のバルブを閉じて両ポンプ
にて真空引きを行った場合、反応炉内圧は0mtorr
で有る為、背景真空度は悪くとも10-4torr程度以
下で有る。
【0062】基板挿入後、真空引き、漏洩検査を施し
た。漏洩検査では反応炉に通ずる全バルブを閉じて反応
炉を完全に孤立させて、反応炉内圧力の変化を調べた。
本実施例4では反応炉内温度が400℃で2分間の完全
孤立後、反応炉内圧力は1mtorr以下で有った。漏
洩検査にて異常が無い事を確認した後、反応炉内温度を
挿入温度の400℃から堆積温度まで昇温する。本実施
例4では550℃で非晶質半導体膜であるシリコン膜を
堆積した為、昇温するのに一時間費やした。この昇温期
間中、二つのポンプは運転状態に有り、少なくとも純度
が99.995%以上の不活性又は還元性ガスを流し続
ける。これらのガス種は水素・ヘリウム・窒素・ネオン
・アルゴン・キセノン・クリプトン等の純ガスの他、こ
れらのガスの混合ガスも可能で有る。本実施例4では純
度99.9999%以上のヘリウムを350SCCM流し続
け、反応炉内圧力は81.0±1.2mtorrで有った。
【0063】堆積温度到達後、原料ガスで有る所定量の
シラン又はシランと希釈ガスの混合ガスを反応炉内に導
入し、非晶質半導体膜を堆積する。希釈ガスとしては、
先の昇温期間に流したガスと同種の組み合わせが可能で
有るが、望ましくは各ガスの純度はそれぞれが99.9
99%以上が良い。本実施例4では希釈ガスを用いず、
純度99.999%以上のシランを100SCCM流して非
晶質半導体膜を堆積した。この時、反応炉内の圧力は反
応炉とメカニカル・ブースターポンプの間に設置された
コンダクタンスバルヴの開閉度を調整して、400mtor
rに保った。本実施例4では非晶質半導体膜は22.0
Å/minの堆積速度で240Åの膜厚に堆積した。
【0064】本実施例4では非晶質半導体膜の形成をL
PCVD法で行い、原料ガスもモノシランを用いたが、
これ以外にもプラズマCVD法やAPCVD法やスパッ
ター法などで堆積する事も可能で有る。又原料ガスもモ
ノシランに限らず、ジシランやトリシランなどの高次シ
ランやジクロールシラン或いはゲルマンなども可能で有
る。又、無論上記種々のCVD法と上記種々の原料の組
み合わせに依って非晶質半導体膜を形成する事も可能で
有る。
【0065】半導体膜の結晶化率は多波長分散型エリプ
ソメトリー(ソープラ社MOSSーES4G)にて測定
した。多波長分光エリプソメトリーは回転偏光子型を用
い、波長領域250nmから850nm迄走査した。入
射光角は75度で有った。こうして得られたtanψと
cosΔのスペクトルは予め測定されて有ったアモルフ
ァス・シリコン・スペクトルと結晶シリコン・スペクト
ルを複素屈折率合成に関するBRUGGEMANの公式
(D.A.G.BRUGGEMAN,Ann.Phy
s.(Leipzig)24,636(1935))に
従ってアモルファス・シリコンと結晶シリコンの体積比
を任意に定めてスペクトル合成を行い、測定スペクトル
と最も良く一致した時の体積混合比を持って結晶化率を
定義した。非晶質半導体膜としてのシリコン膜の結晶化
率はこの方法で2%とされた。
【0066】次にこうして得られた基板を1.67%弗
化水素酸水溶液に20秒間浸して非晶質半導体膜表面か
ら自然酸化膜を取り除いた。その後基板は直ちに非酸化
性雰囲気下に設置され、熱処理を施された。
【0067】熱処理炉は縦型炉で通常400℃に保たれ
て居り、純度99.999%以上の窒素ガスを30SLM
流し続けて熱処理炉内部を非酸化性雰囲気としている。
基板は縦型炉下部より熱処理炉内に挿入されるが、窒素
ガスは熱処理炉上部より炉内に導入され下部の挿入口よ
り流出している。その為室温と温度平衡に達している基
板は室温の状態で非酸化性雰囲気で有る窒素流中に置か
れ、引き続いて非酸化性雰囲気下で400℃の炉に挿入
された。1.67%弗化水素酸水溶液に20秒間浸して
自然酸化膜を取り除き、窒素バブリングされている純水
で水洗された基板がその後熱処理炉の非酸化性雰囲気の
窒素流中に置かれるまでの時間は1分未満で有った。
又、窒素流中で熱処理炉に挿入する時間は10分で有っ
た。
【0068】基板挿入後熱処理炉内は真空引きを施され
た。窒素雰囲気1気圧で有った熱処理炉内は基板挿入後
20分で8.8×10-7torrの真空度に達した。その後
熱処理炉内には純度99.9999%以上の水素ガスを
20SCCM流し続けながら1時間掛けて挿入温度の400
℃から熱処理温度の600℃へと昇温した。この時の熱
処理炉内の圧力は2.8×10-4torrで有った。熱処理
温度の600℃に達した後、更に連続して600℃4時
間の熱処理を加えた。この時も熱処理炉内には純度9
9.9999%以上の水素ガスが20SCCM流れ、炉内圧
力は2.8×10-4torrに保たれていた。基板は400
℃からの昇温に費やした1時間と600℃で維持された
4時間の計5時間の熱処理を被った事となる。
【0069】この様にして得られた半導体膜の結晶化率
を先に詳述した多波長分散型エリプソメトリーにて測定
したところ、240Åの薄膜にもかかわらず結晶化率は
81%と高率を示した。即ち結晶化率が2%でしかなか
った非晶質半導体膜は僅か5時間の熱処理で結晶化が進
んだ事を意味している。
【0070】(実施例5)本発明が非晶質半導体膜の結
晶化を短時間で促進するという効果を詳細に確認する為
に、実施例4と全く同じ方法で非晶質半導体膜を準備
し、全く同じ方法で熱処理を施し、熱処理温度の600
℃に達してからの熱処理時間だけを変えて半導体膜を作
成し、その結晶化率を実施例4の手法で測定した。本実
施例5では、熱処理温度の600℃に於ける維持時間を
0時間から7時間まで変えて、結晶化率の変化を調べ
た。600℃に於ける維持時間が0時間とは、挿入温度
の400℃から1時間掛けて600℃に昇温した後、直
ちに基板を取り出した事を意味し、その合計熱処理時間
は1時間を意味する。又600℃に於ける維持時間が7
時間とは昇温の1時間を1時間を加えると合計熱処理時
間は8時間となる。
【0071】こうして得られた結果を図1、Cに示す。
本発明に依ると実施例4でも示した通り、熱処理時間は
合計で5時間で充分で有る事が理解される。
【0072】(実施例6)図2(a)〜(e)は本実施
例6に於ける自己非整合型スタガード構造のMIS型電
界効果トランジスタを構成するシリコン薄膜半導体装置
の製造工程を断面で示した図で有る。
【0073】本実施例6では、下地基板201として2
35mm□の溶融石英ガラスを用いたが、600℃の工程
最高温度に耐え得る基板又は下地物質で有るならば、そ
の種類や大きさは無論問われない。例えば通常ガラス基
板の他にシリコンウェハーなどの半導体基板及びそれら
を加工したLSI、三次元LSIや、或いはシリコン・
カーバイト、アルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミ
ックス基板なども下地基板として可能で有る。
【0074】まずアセトン又はメチル・エチル・ケト
ン,メチル・イソ・ブチル・ケトンやシクロヘキサノン
などの有機溶剤中に下地基板201を浸し、超音波洗浄
を行う。洗浄後窒素中又は減圧下にて乾燥を施し、更に
エタノールによる超音波洗浄を行った後窒素バブリング
されている純水にて水洗を施す。次に下地基板201を
沸騰している濃度60%の硝酸中に5分間浸し、更に窒
素バブリングされている純水中で洗浄した。基板として
金属など酸に依り腐食されたり、変質して仕舞う物質を
用いる場合、この硝酸に依る洗浄は必要とされない。又
この強酸に依る洗浄では酸として硝酸の他に硫酸なども
可能で有る。
【0075】こうして洗浄された石英基板上に常圧気相
化学堆積法(APCVD法)で下地保護膜となる二酸化
硅素膜(SiO2膜)202を2000Å堆積した。こ
の下地SiO2膜202は前述の如き種々多様な物質を
基板として用いる際、後に堆積される半導体膜の膜質、
及びそれを用いて構成される薄膜トランジスタの性能を
安定化する為に必要で有る。と同時に、例えば基板20
1として通常ガラスを用いた場合、ガラス中に含まれて
いるナトリウムなどの可動イオンが、又基板201とし
て各種セラミック板を用いた際には基板中に添加されて
いる焼結助材原料などがトランジスタ部に拡散混入する
のを防ぐ役割をも演じている。又金属板を基板201と
して用いる場合は、絶縁性を確保する為に下地SiO2
は必要不可欠で有る。又、三次元LSI素子では、トラ
ンジスタ間や配線間の層間絶縁膜に相当している。下地
SiO2膜202堆積時の基板温度は300℃で、窒素
に依り20%に希釈されたシラン600SCCMを840SC
CMの酸素と共にAPCVD法で堆積した。この時のSi
2膜の堆積速度は3.9Å/secで有った。
【0076】続いてドナー又はアクセプターとなる不純
物を含んだ半導体膜203を減圧CVD法にて堆積し
た。半導体膜としてシリコンを用いたが、シリコン・ゲ
ルマニウム等他の半導体膜も無論可能で有る。又本実施
例6ではn型トランジスタ作成を目指し不純物としてリ
ンを選んだが、n型ならばリン以外に5族、6族の元
素、P型ならばボロンを始めとして2族、3族の元素が
不純物元素として添加され得る。この不純物を含んだ半
導体膜203はいずれソース・ドレイン領域となる部位
で、本実施例6の如く不純物をCVD法で添加する方法
の他、まず最初に不純物を含まない真性半導体膜を形成
して居き、後に気相或いは真性半導体膜に接する固相よ
り不純物を拡散させて添加する方法や、不純物をイオン
化して真性半導体膜に打ち込む方法などが有る。これ
ら、真性半導体膜を形成した後拡散法やイオン打ち込み
法で不純物を添加する手法を用いると真性半導体膜の所
望の部位のみに不純物を添加する事が可能となり、これ
により例えばトランジスタのゲート電極端ととソース端
又はドレイン端が自己整合したセルフ・アライン・トラ
ンジスタが可能となったり、不純物添加濃度を各部位で
変える事に依り半導体膜中の電流密度や比抵抗を変えて
所望の部位のみに電流を流す事などが可能となる。本実
施例6では不純物としてリンを選んだ為、ホスフィン
(PH3)とシランを混合したガスを用いて、不純物を
含んだ半導体膜203を1500Å堆積した。本実施例
6では184.5lの容積を有する減圧CVD炉内にモ
ノシランを200SCCM、ヘリウムが99.5%でホスフ
ィンが0.5%のヘリウム・ホスフィン混合ガスを6SC
CM、更にヘリウム100SCCMを流し、堆積温度600
℃、炉内圧力100mtorrで堆積した。この時の堆積速
度は30Å/minで、成膜直後のシート抵抗値は2,
050Ω/□で有った。
【0077】次に、前記半導体膜上にレジストを形成
し、四弗化炭素(CF4)と酸素(O2)の混合プラズマ
に依り、前記膜をパターニングし、ソース・ドレイン領
域203を形成した(図2(a))。続いて沸騰硝酸中
に五分間浸す洗浄で残留レジストなどの不純物を取り除
き、1.67%弗化水素酸に20秒浸してソース・ドレ
イン領域203表面上の自然酸化膜を取り除き、直ちに
減圧CVD法でチャンネル部となる半導体膜を堆積し
た。本実施例6では半導体膜としてシリコンを用いた
が、シリコン・ゲルマニウムやガリウム・ヒ素等他の半
導体も可能で有る。
【0078】この時減圧CVD反応炉の容積は184.
5lで、基板は反応炉中央付近に水平に置かれる。原料
ガス及びヘリウム・窒素・アルゴン・水素等の希釈ガス
は必要に応じて反応炉下部より炉内に導入され、反応炉
上部から排気される。石英ガラスで作られた反応炉の外
側には3ゾーンに分かれたヒーターが設置されて居り、
それらを独立に調整する事で反応炉内中央部付近に所望
の温度で均熱帯を形成する。この均熱帯は約350mmの
高さで広がり、その範囲内での温度のずれは、例えば6
00℃に設定した時0.2℃以内である。従って挿入基
板間の間隔を10mmとすれば1バッチで35枚の基板の
処理が可能で有る。本実施例6では20mm間隔で17枚
の基板を均熱帯内に設置した。
【0079】排気はロータリーポンプとメカニカル・ブ
ースターポンプを直結して行い、反応炉内の圧力は測定
値がガスの種類に依存しない隔膜式圧力計(MKS社バ
ラトロン・マノメーター)に依り測定した。反応炉を5
50℃に保って、ガス導入用のバルブを閉じて両ポンプ
にて真空引きを行った場合、反応炉内圧は0mtorr
で有る為、背景真空度は悪くとも10-4torr程度以
下で有る。
【0080】ソース・ドレイン領域203が形成され、
該領域表面上の自然酸化膜を取り除かれた基板は、表側
を下向きとして直ちに減圧CVD炉内に挿入された。挿
入時の反応炉内温度は395℃から400℃程度に保た
れている。これはソース・ドレイン領域203上に自然
酸化膜が形成されるのを極力少なくする為で有るから、
挿入時の反応炉内温度は出来る丈低く有るのが望まし
い。例えば挿入時の反応炉内温度を室温とする事も可能
で有るが、この場合堆積温度迄反応炉内温度を昇温する
のに数時間以上費やし、又堆積後室温に戻すのに矢張り
数時間必要となる。基板挿入時に反応炉内には約4SL
M〜10SLMの窒素を流し反応炉内を不活性雰囲気に
保っている。更に反応炉内入り口付近には約6SLM〜
20SLMの窒素で窒素カーテンを形成し、基板挿入時
に空気が反応炉内に流れ込む事を最小限に止めている。
反応炉内に空気中の水分や酸素が入ると、これらは反応
炉内壁のSi層に吸着し、又はSiと反応して反応炉内
に残留し、チャンネル部となるシリコン膜堆積の際、脱
ガスとして現れ、堆積シリコン膜の膜品質を低下させる
原因となる。
【0081】基板挿入後、真空引き、漏洩検査を施し
た。漏洩検査では反応炉に通ずる全バルブを閉じて反応
炉を完全に孤立させて、反応炉内圧力の変化を調べた。
本実施例6では反応炉内温度が400℃で2分間の完全
孤立後、反応炉内圧力は1mtorr以下で有った。漏
洩検査にて異常が無い事を確認した後、反応炉内温度を
挿入温度の400℃から堆積温度まで昇温する。本実施
例6では550℃でチャンネル部となる半導体膜を堆積
した為、昇温するのに一時間費やした。炉内温度が堆積
温度の550℃に達するには35分間程度で済むが、反
応炉壁からの脱ガスを充分放出する為にも、最短一時間
以上、好ましくは数時間の昇温期間が望ましい。この昇
温期間中、二つのポンプは運転状態に有り、少なくとも
純度が99.995%以上の不活性又は還元性ガスを流
し続ける。これらのガス種は水素・ヘリウム・窒素・ネ
オン・アルゴン・キセノン・クリプトン等の純ガスの
他、これらのガスの混合ガスも可能で有る。本実施例6
では純度99.9999%以上のヘリウムを350SCCM
流し続け、反応炉内圧力は81±1.2mtorrで有っ
た。
【0082】堆積温度到達後、原料ガスで有る所定量の
シラン又はシランと希釈ガスの混合ガスを反応炉内に導
入し、半導体膜204を堆積する。希釈ガスとしては、
先の昇温期間に流したガスと同種の組み合わせが可能で
有るが、望ましくは各ガスの純度はそれぞれが99.9
99%以上が良い。本実施例6では希釈ガスを用いず、
純度99.999%以上のシランを100SCCM流して半
導体膜204を堆積した。この時、反応炉内の圧力は反
応炉とメカニカル・ブースターポンプの間に設置された
コンダクタンスバルヴの開閉度を調整して、400mtor
rに保った。本実施例6ではチャンネル部となる半導体
膜204は22Å/minの堆積速度で250Åの膜厚
に堆積した(図2(b))。
【0083】本実施例6では非晶質半導体膜の堆積をL
PCVD法で行い、原料ガスもモノシランを用いたが、
これ以外にもプラズマCVD法やAPCVD法やスパッ
ター法などで堆積する事も可能で有る。又原料ガスもモ
ノシランに限らず、ジシランやトリシランなどの高次シ
ランやジクロールシラン或いはゲルマンなども可能で有
る。又、無論上記種々のCVD法と上記種々の原料の組
み合わせに依って非晶質半導体膜を堆積する事も可能で
有る。
【0084】次にこうして得られた基板を1.67%弗
化水素酸水溶液に20秒間浸して非晶質半導体膜表面か
ら自然酸化膜を取り除いた。その後基板は直ちに非酸化
性雰囲気化に設置され、熱処理を施された。
【0085】熱処理炉は縦型炉で通常400℃に保たれ
て居り、純度99.999%以上の窒素ガスを30SLM
流し続けて熱処理炉内部を非酸化性雰囲気としている。
熱処理炉の容積は184.5lで有る。基板は縦型炉下
部より熱処理炉内に挿入されるが、窒素ガスは熱処理炉
上部より炉内に導入され下部の挿入口より流出してい
る。その為室温と温度平衡に達している基板は室温の状
態で非酸化性雰囲気で有る窒素流中に置かれ、引き続い
て非酸化性雰囲気下で400℃の炉に挿入された。1.
67%弗化水素酸水溶液に20秒間浸して自然酸化膜を
取り除き、窒素バブリングされている純水で水洗された
基板がその後熱処理炉の非酸化性雰囲気の窒素流中に置
かれるまでの時間は1分未満で有った。又、窒素流中で
熱処理炉に挿入する時間は10分間で有った。
【0086】基板挿入後熱処理炉内は真空引きを施され
た。窒素雰囲気1気圧で有った熱処理炉内は基板挿入後
20分で8.5×10-7torrの真空度に達した。その後
熱処理炉内には純度99.9999%以上の水素ガスを
20SCCM流し続けながら1時間掛けて挿入温度の400
℃から熱処理温度の600℃へと昇温した。この時の熱
処理炉内の圧力は2.8×10-4torrで有った。熱処理
温度の600℃に達した後、更に連続して600℃4時
間の熱処理を加えた。この時も熱処理炉内には純度9
9.9999%以上の水素ガスが20SCCM流れ、炉内圧
力は2.8×10-4torrに保たれていた。基板は400
℃からの昇温に費やした1時間と600℃で維持された
4時間の計5時間の熱処理を被った事となる。
【0087】こうして得られた半導体膜は、レジストで
パターニングされた後、四弗化炭素(CF4)と酸素
(O2)の混合プラズマに依りエッチングされ、チャン
ネル部半導体膜205を形成した。(図2(C))本実
施例6で形成した半導体膜はCF4とO2の比が50SCCM
対100SCCMで有る15Paの真空プラズマ放電で、そ
の出力が700Wの時のエッチングでは1.9Å/se
cのエッチング速度を有していた。
【0088】次にこの基板を沸騰している濃度60%の
硝酸にて洗浄し、更に1.67%弗化水素酸水溶液に2
0秒間浸してソース・ドレイン領域203とチャンネル
部半導体膜205上の自然酸化膜を取り除いて清浄なシ
リコン表面が出現した後、直ちに電子サイクロトロン共
鳴プラズマCVD装置(ECR−PECVD装置)にて
ゲート絶縁膜となるSiO2膜206を1500Å堆積
した(図2(d))。
【0089】次にクロムをスパッター法で1500Å堆
積し、パターニングに依り、ゲート電極207を形成し
た。この時シート抵抗値は1.3±0.05Ω/□で有
った。本実施例6ではゲート電極材料としてクロムを用
いたが、無論これ以外の導電性物質も可能で有るし、又
その形成方法もスパッター法に限らず蒸着法やCVD法
なども可能で有る。続いてAPCVD法で層間絶縁膜2
08となるSiO2膜を5000Å堆積した。この堆積
は本実施例6で下地SiO2膜202を堆積した条件と
全く同一で唯一堆積時間のみを変えて行った。層間絶縁
膜形成後、コンタクトホールを開け、ソース・ドレイン
取り出し電極209をスパッター法などで形成し、トラ
ンジスタが完成する(図2e)。本実施例6ではソース
・ドレイン取り出し電極材料としてアルミニウムを用い
スパッター法で8000Åの膜厚に堆積して、ソース・
ドレイン取り出し電極を形成した。この時堆積アルミニ
ウム膜のシート抵抗は42.5±2.0mΩ/□で有っ
た。
【0090】この様にして試作した薄膜トランジスタ
(TFT)の特性を温度25℃で測定した。トランジス
タサイズはチャンネル部の長さL=10μm、幅W=1
0μmで有った。Vds=4V、Vgs=10Vでトラ
ンジスタをオンさせた時のオン電流は、ION=5.05
±0.43μAと良好なトランジスタ特性を有する薄膜
半導体装置が得られた。又、トランジスタの飽和電流領
域より求めた電界効果移動度(J.Levinson
et al. J.Appl.Phys 53.119
3.1982)はμo=26.0±1.0cm2/v.s
ecで有り、僅か5時間の熱処理で良好な薄膜半導体装
置を製造し得た。なお、エラーバーは95%の区間推定
値で有る。本発明を実施例3で記述した従来技術の比較
例の結果と比べると、従来8時間以上費やしていた熱処
理時間を本発明に依り大きく短縮する事が可能となり、
且つトランジスタ特性は全く遜色の無い事が分かる。
【0091】実施例1〜6では熱処理温度を600℃と
して熱処理時間の短縮が本発明に依り可能で有る事を示
してきたが、本発明はより低い又はより高い熱処理温度
に対しても有効で有る。特に非晶質から結晶質への転移
は結晶核発生速度と結晶成長速度に依り物理・化学的に
定まるが故、本発明の効果はより低温での熱処理に於い
て、その熱処理時間の短縮により効果的で有る。又、結
晶粒径の大小は熱処理温度が低いほど大きくなり、結晶
粒径が大きくなると相応して移動度等の半導体特性も良
くなる。しかるに従来技術では600℃の熱処理ですら
8時間と長時間熱処理が必要であった為、低温熱処理に
よる結晶粒径の増大をはかれなかった。
【0092】例えば本実施例6で準備した非晶質半導体
膜を550℃の熱処理で結晶化させる為には、従来技術
の熱処理に依ると64時間程度以上の長時間熱処理が必
要で有り、量産性を考えるとまるで非現実的で有った。
これに対して本発明では、この時間を40時間程度未満
へと24時間以上の短縮が可能となる。即ち本発明に依
ると、単に熱処理時間を短縮するにのみならず、同じ熱
処理時間であるならば、より低温で熱処理する事に依り
結晶化率が高く結晶粒径が大きい等のより良好な結晶性
半導体膜を得る事が可能となる。又、呼応してより優良
な薄膜半導体装置の製造が可能になる訳で有る。
【0093】
【発明の効果】以上述べて来た様に、本発明に依れば、
表面が絶縁性物質で有る基板上に非晶質半導体膜を堆積
し、該半導体膜を真空中又は還元性雰囲気下、或いは表
面自然酸化膜を除去した後熱処理を施す事に依り、熱処
理時間の大幅な短縮又は結晶性の改善等を実現しこれに
依り、優良なトランジスタ特性を有する薄膜半導体装置
を大面積に均一に簡便な手法にて形成する事が可能とな
り、LSIの多層化や薄膜トランジスタを用いたアクテ
ィブマトリックス液晶ディスプレイの高性能化や低価格
化を実現すると言う多大な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の効果を示す図。
【図2】 本発明の一実施例を示すシリコン薄膜半導体
装置製造の各工程に於ける素子断面図。
【符号の説明】
201…下地基板 202…下地保護膜 203…ソース・ドレイン領域 204…半導体膜膜 205…チャンネル部半導体膜 206…ゲート絶縁膜 207…ゲート電極 208…層間絶縁膜 209…ソース・ドレイン取り出し電極

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が絶縁性物質で有る基板上に結晶性
    半導体膜を形成する方法に於いて、 前記絶縁性物質上に非晶質半導体膜を形成する工程と、 前記非晶質半導体膜の表面に形成された自然酸化膜をフ
    ッ化水素酸を用いて除去する工程と、 前記自然酸化膜が除去された非晶質半導体膜を真空中で
    熱処理することにより結晶化させる工程とを含むことを
    特徴とする半導体膜形成方法。
  2. 【請求項2】 表面が絶縁性物質で有る基板上に結晶性
    半導体膜を形成し、該半導体膜がチャンネル部となる電
    界効果トランジスタを構成する薄膜半導体装置を製造す
    る方法に於いて、 前記絶縁性物質上に非晶質半導体膜を形成する工程と、 前記非晶質半導体膜の表面に形成された自然酸化膜をフ
    ッ化水素酸を用いて除去する工程と、 前記自然酸化膜が除去された非晶質半導体膜を真空中で
    熱処理することにより結晶化させる工程とを含むことを
    特徴とする薄膜半導体装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102425191B1 (ko) * 2020-06-12 2022-07-25 (유)엠탑코리아 인명구조함

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