JP3430505B2 - 微生物による汚染土壌の浄化方法 - Google Patents
微生物による汚染土壌の浄化方法Info
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Description
る油、有機塩素系化合物等の汚染物質を微生物によって
浄化する汚染土壌の浄化方法に関する。
程やクリーニングなどで洗浄剤として使用されるトリク
ロロエチレンなどの有機塩素系化合物、重油やガソリン
などの石油系炭化水素といった汚染物質が土壌内に含ま
れていることがあり、このような土壌をそのまま放置す
ると、汚染物質が地下水等を介して環境に拡散する危険
性がある。そのため、かかる汚染土壌については、これ
を掘削除去して所定の浄化処理を行う必要がある。
染物質を分解無害化する技術、すなわちバイオレメディ
エーションの研究が進んできており、従来から原油によ
る海洋汚染などの浄化に適用されてきたが、最近では汚
染土壌へも適用されるようになってきた。
た汚染物質が臨海部の土壌に分布している場合には、バ
イオレメディエーションによる汚染物質の分解処理が困
難であるという問題を生じていた。すなわち、臨海部の
土壌は、その立地上、海成沖積土で構成されることが必
然的に多くなるが、かかる海成沖積土には、海水由来の
硫酸塩が還元された硫化鉄(FeS)が多量に含まれて
いる。
うべく、汚染土壌を好気性環境に置くと、土壌に含まれ
ていた硫化鉄が酸化され、そのときの酸素消費のために
汚染土壌中の酸素が欠乏し、微生物の活性化が阻害され
てしまうとともに、硫化鉄の酸化で生じた硫酸のために
汚染土壌が酸性化し、やはり微生物の活性化を阻害する
要因となるという問題を生じていた。
たもので、海成沖積土に含まれる汚染物質を微生物活性
によって分解除去可能な微生物による汚染土壌の浄化方
法を提供することを目的とする。
め、本発明に係る微生物による汚染土壌の浄化方法は請
求項1に記載したように、海成沖積土を含む土壌のう
ち、汚染物質が分布する汚染土壌領域に酸を中和するア
ルカリ中和剤を添加するとともに、該汚染土壌領域を好
気性環境に置いて前記汚染物質を微生物分解する微生物
による汚染土壌の浄化方法であって、前記汚染土壌領域
に前記アルカリ中和剤を添加することにより、前記海成
沖積土に含まれていた硫化鉄が酸化されて生成された硫
酸を中和するとともに、前記硫化鉄の酸化反応を抑制す
るものである。
の浄化方法は、前記アルカリ中和剤に炭酸カルシウムを
用いたものである。
方法においては、海成沖積土を含む土壌のうち、汚染物
質が分布する汚染土壌領域に酸を中和するアルカリ中和
剤を添加するとともに、該汚染土壌領域を好気性環境に
置く。
いた硫化鉄が酸化されることによって生成される硫酸
は、アルカリ中和剤によって速やかに中和される。した
がって、汚染土壌領域の酸性化が抑制されるとともに、
かかるpH環境下では硫化鉄の酸化反応自体が抑制され
る。
pHが維持されるとともに、微生物活性に必要な酸素に
ついても、硫化鉄の酸化によってほとんど消費されるこ
となく、十分に確保されることとなる。
に置くかは任意であり、地表面に近ければこれを耕耘し
たり攪拌したりする、深いところであればこれを掘削
し、次いで該掘削土を地上に仮置きして必要に応じて攪
拌混合するなどの方法が考えられるし、汚染土壌領域ま
で貫通させたパイプやアースオーガ等を用いて地上の空
気を送り込むか、該パイプ等から空気を吸引して汚染土
壌領域の周囲に存在する土中空気を該領域内に取り込む
などの原位置処理方法が考えられる。いずれにしろ、汚
染土壌領域内に生息する微生物と空気との接触が高くな
るようにしてやればよい。
を好気性環境に置く時期との前後関係については任意で
あり、要は微生物活性ができるだけ高くなるように適宜
選択すればよい。
ようなアルカリ中和剤を先に汚染土壌領域に添加混合し
て硫化鉄の酸化反応が抑制されるpH状態を維持してお
き、かかる状態で汚染土壌領域を好気性環境に置く方法
が考えられる。この場合には、硫化鉄の酸化反応がほと
んど生じない反面、汚染土壌領域がアルカリ環境下とな
る。そのため、アルカリ中和剤の種類や量を決定するに
あたっては、その添加によって微生物の成長に適さない
強アルカリとならないように留意する。
れる。この場合にも、硫化鉄の酸化反応速度等を考慮し
つつ、汚染土壌領域が微生物の成長に不適な強アルカリ
環境とならないように、アルカリ中和剤の種類や量を適
宜決定する。
うかは任意であって、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウ
ム、石灰(炭酸カルシウム)などから適宜選択すればよ
いが、アルカリ中和剤として炭酸カルシウムを用いたな
らば、該炭酸カルシウムが水に難溶性であるため、汚染
土壌が強アルカリに移行して微生物の活性を阻害するお
それがないとともに、微生物分解によって発生した二酸
化炭素についてもこれを中和することができるので、微
生物分解による土壌の酸性化も抑制される。
するにあたっては、土中に生息する頻度の高い微生物、
例えばシュードモナス属の菌体をそのまま利用すること
ができるが、汚染物質を資化分解できる微生物の菌体数
が汚染土壌内にあまり存在しない場合には、他の自然環
境で生息している微生物から対象となる汚染物質を資化
分解できる微生物をスクリーニングにより単離し、育種
して、これを汚染土壌領域内に人工的に添加混合すれば
よい。
気性環境下で微生物分解可能なものを全て含む。汚染物
質が自然界に存在する原油等であれば、上述したような
シュードモナス属の菌体を利用して直接資化分解させる
ことが可能であるが、トリクロロエチレンなどの人為的
に合成された有機溶剤については、これを唯一の炭素源
として直接分解できる微生物の入手が困難である。その
ため、かかる場合には、共代謝すなわち別の物質を分解
する際に付加的に分解を行わせる作用を利用すればよ
い。
壌領域に供給して土中に存在する若しくは土中に別途供
給されたメタン資化性細菌を活性化させ、該細菌が有す
る酸化酵素で上述の有機溶剤を分解するか、あるいは、
フェノール、トルエンなどの芳香族化合物を同様に汚染
土壌領域に供給して土中の芳香族資化性細菌(シュード
モナス属細菌の中に多数存在する)に芳香族化合物を分
解させ、その際の共代謝によって有機溶剤を分解する等
の方法が考えられる。
域内に元々生息している微生物の種類や量が汚染物質に
対して不適切あるいは不十分であるならば、適切な微生
物を適切な量だけ補充すればよいし、微生物が活性化す
るための栄養源が不足するのであれば、同様に適切な栄
養源を添加すればよい。
汚染土壌の浄化方法の実施の形態について、添付図面を
参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部
品等については同一の符号を付してその説明を省略す
る。
染土壌の浄化方法の手順を示した図である。本実施形態
に係る浄化方法においては、まず、同図(a)に示すよう
に海成沖積土で形成された土壌1のうち、汚染物質であ
る油2が分布する汚染土壌領域3にアルカリ中和剤とし
ての炭酸カルシウム4を散布する。
燐酸塩等を添加した後、同図(b)に示すように汚染土壌
領域3を掘削し、掘削土5として地上に仮置きする。
活性が落ちないよう、必要に応じて耕耘機等による攪拌
混合作業を継続的あるいは間欠的に行い、掘削土5内の
微生物に常時空気が供給されるようにする。
掘削土5に炭酸カルシウム4を添加した状態で該領域を
好気性環境に置いておくと、炭酸カルシウム4によって
土壌の酸性化が抑制されているため、海成沖積土に含ま
れていた硫化鉄は酸化されにくくなり、該酸化反応によ
って多量の酸素が消費されるといった事態は起こらな
い。また、硫化鉄が酸化されて硫酸が生成されたとして
も、該硫酸は、炭酸カルシウムによって速やかに中和さ
れて酸性化が抑制されるとともに、炭酸カルシウム4が
難溶性であることから、汚染土壌領域3の高アルカリ化
も抑制される。
でかつpHが中性ないしは弱アルカリ性であるという微
生物の活性化に適した状況が維持されることとなり、該
掘削土に含まれている油2は、土中に存在する例えばシ
ュードモナス属の菌体によって速やかに分解される。
らば、同図(c)に示すように、処理土6を埋め戻す。な
お、埋め戻さずに良質土を客土し、処理土6については
別途処分するようにしてもよい。
生物による汚染土壌の浄化方法によれば、海成沖積土を
含む土壌1のうち、油2が分布する汚染土壌領域3に炭
酸カルシウム4を添加してこれを掘削土5として取り出
し、これを好気性環境に置くようにしたので、海成沖積
土に含まれていた硫化鉄の酸化が進行しにくいpH環境
となって多量の酸素消費が回避されるとともに、硫化鉄
が酸化して硫酸が生じたとしても炭酸カルシウム4によ
る中和作用によって酸性化が抑制される。また、炭酸カ
ルシウム4が難溶性であることから、汚染土壌領域3か
ら取り出した掘削土5の高アルカリ化も抑制される。
でかつpHが中性ないしは弱アルカリ性であるという微
生物の活性化に適した状況が維持されることとなり、該
掘削土に含まれている油2は、土中の微生物によって速
やかに分解される。
生するが、かかる二酸化炭素についても、炭酸カルシウ
ム4で中和することができるので、微生物分解に伴う土
壌1の酸性化をも防止することができる。そして、かか
る炭酸カルシウム4は、酸が存在しない限り、地中内に
沈殿状態でとどまるので、環境には何の影響もない。
て硫化鉄の酸化反応が進行しないよう、掘削前に炭酸カ
ルシウム4を汚染土壌領域3に散布するようにしたが、
土壌をできるだけ攪乱しないように掘削するのであれ
ば、先に掘削を行ってから掘削土5に炭酸カルシウム4
を散布して攪拌混合するようにしてもかまわない。
掘削し、これを掘削土5としていったん取り出すように
したが、汚染土壌領域3が地表面の浅い箇所に限定され
ている場合には、地表面に炭酸カルシウム4を散布した
後、掘削工程を省略して耕耘機等で汚染土壌領域3を直
接攪拌混合し、該領域を好気性環境に置くようにしても
よい。
合には、図2に示すように、汚染土壌領域3までアース
オーガ11を貫通させ、該アースオーガの中空シャフト
12を介して炭酸カルシウム及び空気を地中内の汚染土
壌領域3に供給するようにしてもよい。
る微生物による汚染土壌の浄化方法によれば、海成沖積
土からなる土壌であっても、微生物の活性化に適したp
Hが維持されるとともに、微生物活性に必要な酸素につ
いても十分に確保することが可能となり、かくして、海
成沖積土に含まれた汚染物質をバイオレメディエーショ
ンによって浄化することが可能となる。
汚染土壌の浄化方法によれば、炭酸カルシウムが水に難
溶性であるため、汚染土壌が強アルカリに移行して微生
物の活性を阻害する懸念がなくなるとともに、微生物分
解に伴う土壌の酸性化を環境に影響を与えることなく未
然に防止することができるという効果も奏する。
方法を実施している様子を示した施工図。
を実施している様子を示した施工図。
(アルカリ中和剤)
Claims (2)
- 【請求項1】 海成沖積土を含む土壌のうち、汚染物質
が分布する汚染土壌領域に酸を中和するアルカリ中和剤
を添加するとともに、該汚染土壌領域を好気性環境に置
いて前記汚染物質を微生物分解する微生物による汚染土
壌の浄化方法であって、前記汚染土壌領域に前記アルカ
リ中和剤を添加することにより、前記海成沖積土に含ま
れていた硫化鉄が酸化されて生成された硫酸を中和する
とともに、前記硫化鉄の酸化反応を抑制することを特徴
とする微生物による汚染土壌の浄化方法。 - 【請求項2】 前記アルカリ中和剤に炭酸カルシウムを
用いた請求項1記載の微生物による汚染土壌の浄化方
法。
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