JP3426522B2 - ベース円板型研削砥石 - Google Patents
ベース円板型研削砥石Info
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Description
合した回転研削用のベース円板型研削砥石に関し、特に
ダイヤモンド、cBN(立方晶窒化硼素)等の超砥粒層
を接合した高周速回転研削用のベース円板型研削砥石に
関する。
高周速研削は、ドレス寿命の向上、砥石摩耗の減少、高
能率、及び高品位加工を可能にするといった利点を有す
る。従来、高周速研削は幅薄の円筒外周研削の分野を中
心に実用化されてきたが、砥石幅の広いセンタレス研削
の分野においても使用周速度の高周速化を求める動きが
ある。ここで問題となるのは高周速度下での安全性を保
証することである。一般に、取付け穴を有し回転させて
使用する研削砥石においては、穴部の周辺に最大の作用
応力がかかるため、穴の内壁が砥石材料の破壊強度に達
すれば、砥石は破壊する。
砥石の取付け穴周辺を研削砥石材料よりも強度の高い材
料に置換えることによって、砥石の破壊周速度を高める
ことができる。具体的には、鋼製、アルミニウム製ある
いはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製のベース
円板にリング又はセグメント形状の砥石を接着した研削
砥石がある。
ス研削砥石等の大物砥石は、100Kgを越えるような
重量となることがあり、研削盤の出力・軸剛性等を改良
するか研削盤自体を高剛性なものに置換えるなどの対策
が必要で採用は困難であった。また、CFRPはベース
円板としては優れた材料であるが、種々の問題が残され
ている。たとえば、疑似等方積層法に於いては厚みの大
きなベース円板は製造が困難であり、また、ベース円板
の伸びを抑制して砥石部にかかる応力を低下させるため
には高弾性率の炭素繊維を用いなければならず製造コス
トが高くなる欠点がある。そこで、特開平6−9154
2号公報にはCFRPをベース円板の外周層のみに用
い、心材を別に用意し2重構造とすることが提案されて
いる。この方法によれば使用するCFRP量を減らすこ
とができ、かつ外周部の伸びを小さくできることなどの
優位性が生れる。しかし、超高周速の範囲では経済的メ
リットを出しやすいが使用周速度が60m/sを越え1
00m/s以下程度の範囲では周速度向上による研削性
能の向上メリットは小さく、この方法に於いてもベース
円板の価格上昇分を吸収することが困難であった。ま
た、再利用の際には、CFRPを使用しているため、セ
グメント砥石部を焼剥がすことができず物理的に削り落
す必要があり高コストになりやすく、またCFRPの一
部も削られるため外径が次第に小さくなり再利用には限
度があった。また、廃棄となった場合CFRP自体はリ
サイクルすることができないため環境に対しても不利と
なる。
として使用することが考えられている。たとえば、特開
平7−116963号公報にはアルミニウム合金粉末と
Si粉末を用い粉末冶金法により圧縮・加熱してベース
円板を製造することが記載されている。しかし、この方
法ではSi粉末の分散が不十分で均一性が悪く強度が
低い。ベース円板1枚につき1回製造する必要があり
高コストとなる。鍛造・押出し加工がされておらず気
孔率が大きいため耐食性が低い。厚みの大きなものが
製造できない。などの欠点があった。すなわち、強度が
低いため砥石を高周速で使用することが困難であり、気
孔率が大きいと研削液によってはアルミニウム合金を腐
食させるものがあり、ベース円板自体の劣化により耐久
性が問題となっていた。
本発明は高周速の回転に耐え得る強度を有し軽量であ
り、かつベース円板の再利用を可能とするベース円板型
研削砥石を提供することを課題とする。
め、本発明のベース円板型研削砥石は、砥粒層をベース
円板に接着してなる回転研削用の研削砥石であって、前
記ベース円板がSiを主成分とする急冷凝固アルミニウ
ム合金で、Si:15〜40wt%とCu:0.5〜6
wt%とMg:0.2〜3wt%とを含有し残部が実質
的にアルミニウム及び不可避的不純物であって、合金中
のSi粒子の平均粒子径が5μm以下、合金中の気孔率
が1vol%以下、該ベース円板の引張強度と比重の比
(引張強度[MPa]/比重[g/cm3])が90以
上、該ベース円板の疲労強度と比重の比(疲労強度[M
Pa]/比重[g/cm3])が30以上、としたこと
である。
ム合金において、Fe、Mn、Niの1種を少なくとも
3〜10wt%を含有させたものである。
アルミニウム合金溶湯を急冷凝固させるため、あとで粉
末冶金工程を必要とせず、また急冷凝固させた大きな素
材を所定の寸法に切断等の加工を加えることで、一度の
合金製造プロセスでたくさんのベース円板を製造するこ
とができ、低コスト化が可能となる。
ているため、弾性率が高い。高周速時の遠心力による
伸び・変形が小さく砥石層の剥離周速度が高くなる。
熱膨張係数が低い・・・熱による変形が小さく、砥石と
ベース円板の接着残留応力が小さくでき、接着強度が高
くなる。また、加工精度への影響が小さい。といった超
高周速研削回転砥石に有利な効果を生ずる。また、Si
含有量を40wt%以下としているため、ベース円板が
過度に脆くなることを防いでいる。
脆くなりやすく、強度に問題が起りやすいが、本アルミ
ニウム合金に用いるSi粒子は5μm以下と小さくし、
合金中に均一に分散させることで、高強度と高い安定性
が得られる。
処理することでAl2CuMg層を形成し、常温の強度
を高める。好ましくはそれぞれ0.5〜6%及び0.2
〜3%であり、下限未満では効果が少なく、上限以上で
は耐食性や切削性が劣化する。また、Fe、Mn、Ni
の1種を少なくとも3〜10wt%を含有することで引
張強度や疲労強度を高めることができる。下限未満では
効果が少なく、上限以上では加工性が劣化する。
るため強度が高く研削液に侵されにくい。
(引張強度[MPa]/比重[g/cm3])が90以
上、該ベース円板の疲労強度と比重の比(疲労強度[M
Pa]/比重[g/cm3])が30以上、としたこと
により安全性が高く長時間の使用・再利用が可能とな
る。
用が可能であり、環境問題を考えると有利である。な
お、本発明について「高周速研削」という場合、別段の
定義がない場合は周速度60m/s以上の場合をいう。
さらに、本発明のベース円板型研削砥石は、周速度10
0、120、140又は160m/s以上の超高周速研
削にも好適である。以下本発明の実施例を比較例と対比
して説明する。
いたSiの平均粒子径は2μmである。 2.溶湯の急冷凝固 アルミニウム合金溶湯流に窒素ガスを吹付けスプレーす
る。細かく噴霧された液滴は、飛散中に窒素ガスにより
急速に冷却され凝固を開始する。粒子中の半溶融・溶融
粒子が粒子間の接着剤の役割を果す。付着直後、ガスの
対流冷却で凝固し、最終的にビレットが得られた。(ビ
レット寸法:φ400×750mm) 3.表層部の除去 やや気孔率の大きい表層の5mm程度の部分を切削加工
等で除去する。 4.切断 所定の厚み500mmに切断する。 5.鍛造(押出し) φ500の金型内でホットプレスする。 (プレス後寸
法:φ500×480mm)または押出し加工により、
所望の外径にすることも可能である。(例えば、φ50
に) 6.切削加工 ベース円板を所望の形状に加工する。(ホイール破壊試
験用:φ237×30T×20H)
円板を得た。比較例1として実施例1と同一組成でかつ
特開平7−116963号公報の製法によるベース円板
を製造した。また比較例2〜4として、4Aアルミ、硬
鋼、CFRP2層構造のベース円板を公知の方法により
製造した。
ために引張試験、疲労試験、環境試験を行った。 引張試験:測定部 7mm×3mmのストレート部 疲労試験:小野式回転曲げ試験(1750rpm)
測定部 φ8×15mm の円柱形状部 環境試験:交互浸漬環境試験 試験液:研削液(ケミカルソリューションタイプ:希釈
倍率50倍)、40℃の試験液に30min浸漬、50
℃にて30min乾燥の繰返し、試験期間:1週間 試験片素材(40mm×5mm×5mm)の寸法減少を
測定。 得られた結果を表2に示す。
1の粉末冶金アルミニウムと比較して、比重・弾性率・
熱膨張係数は同等であるが、引張強度、疲労強度とも高
く、高周速砥石用ベース円板として有利であることがわ
かる。また、素材(40mm×5mm×5mm)の浸漬
試験では、比較例1の粉末冶金アルミニウムより実施例
1及び2の急冷凝固アルミニウムの方が寸法減少量が小
さく耐食性に優れることがわかる。なお、耐食性が非常
に問題となる場合にはベース円板表面をアルマイト処理
するなどすると、防ぐことができる。
1の製法により、ベース円板(φ237×30T×20
H)を得る。別途、セグメント砥石(40長×30幅×
7厚)を製造したあとでベース円板に接着し、その後で
外周及び両端部を研削仕上加工し試験砥石(φ250×
30T×20H)を得た。接着剤としては、エポキシ系
接着剤を用いた。なお、セグメント砥石の超砥粒砥石層
部(3mm厚)の構造は次の通りである。 ・cBN砥粒(#80/#100) ・・・50容量部 ・ビトリファイドボンド ・・・16容量部 ・気孔 ・・・34容量部 また、下地層部(4mm厚)の構造は次の通りである。 ・ムライト粉末(#180/#220) ・・・50容量部 ・ビトリファイドボンド ・・・16容量部 ・気孔 ・・・34容量部 完成品をスピンテスターにて真空中で破壊試験を行っ
た。破壊周速度は335m/sであった。使用周速度を
破壊周速度の1/2とすると167m/sとなる。ま
た、破壊時の外周部歪みはFEM解析から、5.9×1
0−4であった。
考える。 ベース円板:φ439×100T×203.2H 砥石 :φ455×100T×203.2H 使用周速度を100m/sと設定し、FEM解析により
ベース円板穴部にかかる応力を計算すると約23MPa
となり、表2の実施例1の物性値より疲労強度で約4
倍、引張強度で約11倍の安全率となることがわかる。
また、外周部歪みもFEM解析から、0.98×10
−4と計算され、外周部歪みが上記破壊試験の実測値
5.9×10−4の時に破壊すると仮定すると、外周部
歪みは砥石周速の2乗に比例するので(5.9×10
−4/0.98×10−4)1/2=2.5倍の安全率
となる。以上から砥石、及びベース円板の安全性が確認
される。また、ベース円板の安全性の指標としては、対
比重当りの疲労強度で3倍、引張強度で10倍程度必要
と考えられ、 23× 3/2.6=27 23×10/2.6=88 となり、疲労強度と比重の比が30MPa/g/cm3
以上、引張強度と比重の比が90MPa/g/cm3以
上程度、必要であることがわかる。ここで、表2を参照
すると、従来の比較例1、2では疲労強度と比重の比及
び引張強度と比重の比のいずれもその値に達していない
が、本実施例1、2では両方が満足されており、高い安
全性が確保されている。
の伸びが小さく疲労強度の高い高周速研削が可能な回転
研削用砥石が提供される。従って、本発明は砥石幅が大
きく重くなりがちな大型回転研削砥石に好適に用いられ
る。また、気孔率も 1vol%以下としているため強
度が高く研削液に侵されにくい。さらに、急冷凝固させ
た大きな素材を所定の寸法に切断等の加工を加えること
で、一度の合金製造プロセスでたくさんのベース円板を
製造することができ、低コスト化が可能となる。
Claims (2)
- 【請求項1】 砥粒層をベース円板に接着してなるベー
ス円板型の回転研削砥石において、前記ベース円板が、
予めSiを含んだアルミニウム合金溶湯が急冷凝固され
たSiを主成分とする急冷凝固アルミニウム合金であ
り、Si:15〜40wt%とCu:0.5〜6wt%
とMg:0.2〜3wt%とを含有し残部が実質的にア
ルミニウム及び不可避的不純物であって、合金中のSi
粒子の平均粒子径が5μm以下、合金中の気孔率が1v
ol%以下、該ベース円板の引張強度と比重の比(引張
強度[MPa]/比重[g/cm3 ])が90以上、該
ベース円板の疲労強度と比重の比(疲労強度[MPa]
/比重[g/cm3 ])が30以上であることを特徴と
するベース円板型研削砥石。 - 【請求項2】 該ベース円板において、Fe,Mn、N
iの1種を少なくとも3〜10Wt%を含有することを
特徴とする請求項1記載のベース円板型研削砥石。
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