JP2004330320A - ビトリファイドcbn砥粒砥石及びその製造方法 - Google Patents

ビトリファイドcbn砥粒砥石及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CBN砥粒の保持力を向上させるのに十分に高い流動性を有するビトリファイド結合剤を使用したビトリファイドCBN砥粒砥石等を提供する。
【解決手段】ビトリファイド結合剤で結合されたCBN砥粒を含有するビトリファイドCBN砥粒砥石であって、前記ビトリファイド結合剤の化学組成が、58〜65wt%のSiO、10〜15wt%のAl、15〜20wt%のB、2〜4wt%のRO(Rは、Ca、Mg、およびBaから選ばれる少なくとも一種)、及び6〜9wt%のR O(Rは、K、Na、およびLiから選ばれる少なくとも一種)である。を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてCBN砥粒とビトリファイド結合剤とを使用して製造されるビトリファイドCBN砥粒砥石及びその製造方法に関し、より詳しくは、CBN砥粒の保持力を向上させたビトリファイドCBN砥粒砥石等に関する。
【0002】
【従来の技術】
CBN砥粒を使用したビトリファイド砥石において、そのビトリファイド結合剤に関する先行技術は多数開示されており、例えば、特許文献1(特開昭48−21884号公報)には、CBN砥粒と共に使用されるビトリファイド結合剤は650〜950℃の範囲で焼成されることが望ましいこと、またCBN砥粒は950℃より高い温度で焼成すると砥粒が変質することが記載されている。
【0003】
また、非特許文献1(「ボラゾンCBNホイール(砥石)の研削性能−8」(機械と工具 1985年 5月))では、上記の点に加えて、CBN砥粒の熱膨張係数、3.5×10−6にできるだけ合致した結合剤であることが必要であり、それを満たす結合剤としてホウケイ酸ガラスボンド又は結晶化ガラスボンドがよく用いられる点も記載されている。
【0004】
結晶化ガラスボンドの例として、特許文献2(特開昭54−39292号公報)に記載されるようにジルコンを結晶化させたガラスボンドが用いられ、その実施例においては、ボンドの熱膨張係数が4.6〜5.3×10−6に調整されている。このように当業者の間では、CBN砥粒と共に使用されるビトリファイド結合剤の熱膨張係数の上限値は一般に5.5×10−6が適切であるとされている。
【0005】
しかし、ホウケイ酸ガラスは、熱処理によっては、SiOとB−NaOで分相が発生し、さらにSiOが結晶化しクリストバライトとよばれる結晶が析出するという問題がある。このクリストバライト析出が生じると、200〜300℃で急激な体積変化を起こし、結合剤にクラックを発生させる原因となる。このクリストバライトの析出は低温で焼成するほど顕著である。特許文献3(特開平7−9344号公報)によれば、その対策としてホウ酸アルミニウムウイスカーを加えることが記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭48−21884号公報
【特許文献2】
特開昭54−39292号公報
【特許文献3】
特開平7−9344号公報
【非特許文献1】
「ボラゾンCBNホイール(砥石)の研削性能−8」(機械と工具 1985年5月)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術を踏まえると、本発明が解決しようとする課題は、下記a)〜c)の条件に基づくビトリファイドCBN砥粒砥石の製造に関する。
【0008】
a)650〜950℃のような、できる限り低温での焼成を可能とすること;
b)ビトリファイド結合剤の熱膨張係数をCBN砥粒とできる限り近似させること、例えば、5.5×10−6以下にすること;且つ
c)クリストバライトの発生がないこと。
【0009】
さらに本発明が解決しようとする課題は、上記a)〜c)の条件を考慮した上で、CBN砥粒の保持力が高く(すなわち、結合剤と砥粒との接着性が高い)、耐久性の良いビトリファイドCBN砥粒砥石を製造することに向けられている。
【0010】
本発明者は、CBN砥粒の保持力の向上に関して下記2点に着目した。
第1にCBN砥粒の表面は不活性である。砥粒とビトリファイド結合剤との接着性向上には溶融した結合剤が砥粒表面を流延すると、その投錨効果により接着強度が向上する。この特性は、一般に濡れ性といわれる。
【0011】
第2にCBN砥粒の表面は薄いB等の酸化被膜が形成されている。その表面に溶融した結合剤が流延して、結合剤とCBN砥粒の表面の薄い前記酸化被膜とが化学結合すると、CBN砥粒とビトリファイド結合剤との接着性が向上する。この特性は、一般には親和性といわれる。
【0012】
上記の見地から、CBN砥粒の保持力を向上させるには、焼成温度でのビトリファイド結合剤の流動性を高めることが必要である。
しかしながら、一般にビトリファイド結合剤は、その流動性を高めるに従ってその熱膨張係数も上昇する傾向にある。熱膨張係数が上昇すれば、焼成後にクラックが発生するなどの製造上不具合が発生しやすくなる。また、研削時、CBN砥粒とビトリファイド結合剤との熱膨張係数の違いから、研削熱によりボンドブリッジクラックが発生し、その結果、CBN砥粒の脱落が促進される。したがって、従来における当業者の認識によれば、ビトリファイドCBN砥粒砥石の製造において、流動性が高いビトリファイド結合剤を使用することは不適切であるとも考えられていた。
【0013】
さらに、上記b)の熱膨張係数の条件を満足させるためにビトリファイド結合剤にセラミック粉体を添加する場合、従来のビトリファイド結合剤ではセラミック粉体の添加によりその流動性が落ちる傾向にある。したがって、熱膨張係数の問題に対処した上で、ビトリファイド結合剤の流動性の向上を図ることは容易ではない。
【0014】
本発明は、上記の各問題点に鑑みてなされたものであり、ビトリファイドCBN砥粒砥石の製造に際して、
a)比較的低温での焼成が可能であり;
b)熱膨張係数がCBN砥粒と十分に近似し;且つ
c)クリストバライトの発生がない;
といった所要の条件を満たした上で、
d)CBN砥粒の接着性を向上させるのに十分に高い流動性を有するビトリファイド結合剤を使用して得られるビトリファイドCBN砥粒砥石及びその製法を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ビトリファイドCBN砥粒砥石を製造するにあたり、特定の化学組成を有するビトリファイド結合剤を使用することに一定の利点が存在することを見出し、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明は、ビトリファイド結合剤で結合されたCBN砥粒を含有するビトリファイド砥石であって、前記ビトリファイド結合剤の化学組成が、58〜65wt%のSiO、10〜15wt%のAl、15〜20wt%のB、2〜4wt%のRO(Rは、Ca、Mg、およびBaから選ばれる少なくとも一種)、及び6〜9wt%のR O(Rは、K、Na、およびLiから選ばれる少なくとも一種)であることを特徴とするビトリファイドCBN砥粒砥石を提供する。
【0017】
前記R O全量に対してLiOを30wt%以上含むことが好ましく、且つ/又は、前記RO全量に対してBaOを50%以上含むことを特徴とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、ビトリファイド結合剤とCBN砥粒とを含む混合物を焼成することによるビトリファイドCBN砥粒砥石の製造方法であって、前記ビトリファイド結合剤として、その化学組成が58〜65wt%のSiO、10〜15wt%のAl、15〜20wt%のB、2〜4wt%のRO(Rは、Ca、Mg、およびBaから選ばれる少なくとも一種)、及び6〜9wt%のR O(Rは、K、Na、およびLiから選ばれる少なくとも一種)であるものを使用することを特徴とする製造方法を提供する。
【0019】
本発明に使用される前記ビトリファイド結合剤は、該ビトリファイド結合剤から成型してなる高さ/直径の比率0.79の円柱状ペレットをその焼成条件に曝す流動性テストにおいて、焼成後における該ペレットの高さ/直径の比率が0.1〜0.25となる流動性を有するものであることが好ましい。
【0020】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
上述の通り、本発明は、特定の化学組成と流動性を有するビトリファイド結合剤で結合されたビトリファイドCBN砥粒砥石である。
【0021】
本発明に使用されるビトリファイド結合剤の化学組成は、58〜65wt%のSiO、10〜15wt%のAl、15〜20wt%のB、2〜4wt%のRO(Rは、Ca、Mg、およびBaから選ばれる少なくとも一種)、6〜9wt%のR O(Rは、K、Na、およびLiから選ばれる少なくとも一種)である。
【0022】
先ず、ビトリファイド結合剤の結合剤構成成分を説明する。
SiOは、ビトリファイドCBN砥粒砥石のビトリファイド結合剤の主成分として一般的に使用されている。その理由としては、一般的なガラスの主成分であるので広く利用可能なこと、さらにSiOはガラス成分の中で唯一熱膨張係数が低い化学成分であることが挙げられる。本発明では、SiOは58〜65wt%、好ましくは60〜65wt%の範囲で使用される。58wt%より少ないと熱膨張係数をCBN砥粒と近似させる効果がなくなり、65wt%より多いとビトリファイド結合剤の流動性が不足しかつクリストバライトの析出が起こる。
【0023】
Alはビトリファイド結合剤を安定化させる働きがある。具体的に述べるとクリストバライトの発生を抑制する効果がある。しかし、これを多量に使用するとビトリファイド結合剤の流動性を損なうおそれがある。本発明では、Alは10〜15wt%の範囲で使用される。10wt%より少ないとクリストバライトの析出が起こりやすくなり、15wt%より多いとビトリファイド結合剤の流動性が不足する。
【0024】
次に前記結合剤を溶融し、流動させる成分を説明する。
は、下記R O成分に比べて熱膨張係数を大きく増加させることなくビトリファイド結合剤の流動性を良好にする成分である。本発明では15〜20wt%の範囲で使用される。15wt%より下回るとビトリファイド結合剤の流動性が確保できず、20wt%より多いと結合剤の分相を招き、クリストバライトの析出が起こりやすくなる。
【0025】
本発明で定義されるRO成分は、上記のB及びR O成分の流動作用を補填するのに役立つ。但し、RO成分は多量に含まれる必要なく、2〜4wt%の範囲である。2wt%より少ないとビトリファイド結合剤の流動性が損なわれ、4wt%より多いと熱膨張係数が増加してしまう。
【0026】
本発明において、RO成分のうち、流動性を好ましく向上させるには、BaOが最も効果的であることが見出された。この観点によれば、BaOは、RO成分全量に対して50wt%以上使用することが好ましく、RO成分の全量がBaOであることがより好ましい。
【0027】
本発明で定義されるR O成分は、ビトリファイド結合剤の融点を下げてビトリファイド結合剤の流動性を上げるのに最も効果のある成分であり、KO、NaO及びLiOから選ばれる少なくとも1種である。しかし、R O成分は熱膨張係数を高くする作用が最も高い成分でもある。従来においては、ホウケイ酸ガラス質ビトリファイド結合剤の場合、その添加量の上限を6wt%とするのが一般的であった。これに対して、本発明では、流動性を向上させる効果を引き出すためにR Oを6〜9wt%の範囲で添加する。6wt%より少ないとビトリファイド結合剤の流動性が損なわれ、9wt%より多いと熱膨張係数が増加し過ぎる。
【0028】
上記R O成分のうち、KOは、ビトリファイド結合剤の流動性向上への寄与度が小さいため、流動性を好ましく向上させるにはNaO又はLiOを使用することが望ましい。
【0029】
前記LiO成分は、R O成分全量に対して30wt%以上であることが望ましい。LiO成分が30wt%以上であると、ビトリファイドCBN砥粒砥石の焼成時の冷却過程でリチウムアルミニウムシリケートの結晶が析出し、その結果、SiO成分が取り込まれるのでクリストバライト発生を抑えることができる。しかも、リチウムアルミニムシリケート結晶は、一般的に熱膨張係数がCBN砥粒と同等若しくはそれより低い値である。従って、LiO成分を上記の量で含有する場合、ビトリファイド結合剤の熱膨張係数を下げる働きが得られる。また、その結晶化は、焼成時の冷却過程で起こるので、ビトリファイド結合剤の流動性には悪影響を与えない。
【0030】
一方、前記NaOは、一般的にビトリファイド結合剤を製造する上で融点を低下させる成分として広く使用されている。この観点によればNaOを使用することは重要である。NaOを使用することにより、LiOのみを使用する場合と比較して、ビトリファイド結合剤の分相が発生したりビトリファイド結合剤の溶融粘度が低下することを防止でき、その結果、CBN砥粒の保持力向上に大きな効果が得られる。この効果を得るには、NaOは、R O成分全量に対して50wt%必要である。
【0031】
かくして本発明の好ましい実施態様によれば、RO成分全量に対して50〜100wt%、好ましくは100wt%のBaO、及びR O成分全量に対して30〜50wt%のLiOと少なくとも50wtのNaOとを含有するビトリファイド結合剤が使用される。
【0032】
本発明に好適なビトリファイド結合剤の流動性は、円柱状ペレットによる流動性テストで定義することができる。その流動性テストは、以下のようにして行われる。
【0033】
直径25.4mmの金型内にビトリファイド結合剤15gを充填し、高さ20mmの円柱状ペレットを成型する。その成型ペレットを、当該結合剤が使用される砥石の焼成条件(例えば、900℃で1時間)下に曝す。焼成後に取り出した焼成ペレットの直径(最も長い直径方向)と高さを測定し、その焼成ペレットの高さ/直径の比率を求める。
【0034】
なお、成型ペレットは、焼成処理の間、表面に凹凸がなく滑らかな板状であり且つ所定の焼成温度で変質しない水平なセラミックス、セラミックス複合材料または耐火物の上に置かれる。
【0035】
所定の焼成温度で焼成したペレットは、その流動性に応じて、図1に示されるような変形を生じる。焼成後のペレットの高さが低く、直径が大きいほど、流動性が高いことを示す。
【0036】
本発明者の検討によると、従来におけるCBN砥粒用のビトリファイド結合剤は、通常、前記図1(1)又は(2)で示される程度の流動性を示す。図1(1)では、当初の円柱形状が保持された状態にありビトリファイド結合剤の流動化はほとんど見られず、また図1(2)では扁平に変形しているが、その流動性は不十分であると見られる。この程度の流動性では、ビトリファイド結合剤のCBN砥粒との接着性が不足する。
【0037】
図1(3)は、本発明に使用されるビトリファイド結合剤の流動性を示す。このように高い流動性を示すビトリファイド結合剤は、CBN砥粒との間に高い接着性が得られる。
【0038】
本発明に使用されるビトリファイド結合剤として好ましい流動性は、前記焼成ペレットについての高さ/直径の比率で、0.1〜0.25である。その比率が0.25を上回ると流動性が不足し、CBN砥粒との十分な接着性が得られず、また0.1を下回ると流動性が大きすぎてCBN砥粒とビトリファイド結合剤との間に過剰な化学反応が生じ、砥石製造上の不具合が生じる。
【0039】
本発明のビトリファイド砥石に使用し得る砥粒は、典型的にはCBN砥粒であるが、これに限定されない。本発明が意図する効果を奏する範囲内で、他種の砥粒を混入して使用してもよい。
【0040】
本発明のビトリファイド砥石における砥粒体積率は、ビトリファイド超砥粒砥石における一般的な値である15〜58vol%でよい。
本発明のビトリファイドCBN砥粒砥石は、上記ビトリファイド結合剤と上記CBN砥粒とを均一に混合した混合物を最高保留温度650〜950℃で焼成することにより製造することができる。本発明の製造方法に適用すべき条件、例えば、上記原材料の配合比、それらの混合方法、気泡の混入方法、発泡剤の使用、それによる気孔率の制御、焼成条件やそれに適した金型の使用、焼成した砥石部の台金への接着や仕上げ方法等は、当業者に知られている定法に従えばよい。
【0041】
本発明のビトリファイドCBN砥粒砥石は、円筒研削、平面研削、内面研削、総型研削、及び超高速研削等に良好に使用することができる。
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明するが、これらは本発明の実施可能性及び有用性を例証するものであり、本発明の構成を何ら限定する意図はない。
【0042】
【実施例】
[実施例1]
ビトリファイド結合剤の調製
下記表1の組成で各原料を混和し、ビトリファイド結合剤用のフリットを調製した。
【0043】
【表1】
Figure 2004330320
【0044】
ビトリファイド結合剤の流動性テスト
各テストペレットは、直径25.4mmの金型内に上記ビトリファイド結合剤用のフリット15gを投入し、高さ20mmに成型された。その成型した円柱状ペレットを、表面に凹凸のない滑らかな水平セラミック上に置き、最高保留温度900℃で1時間焼成した。
【0045】
上記の実施テスト及び比較テストの各焼成ペレットについて高さと最大直径を測定し、高さ/直径を求めた(表2)。
【0046】
【表2】
Figure 2004330320
【0047】
実施テストの焼成ペレットは、上述した図1(3)のような状態まで変形し、良好な流動性を示した。その高さ/直径の比率は0.18であった。これに対し、比較テストの焼成ペレットは、図1(1)の程度の流動性に止まり、その高さ/直径の比率は0.72であった
ビトリファイド結合剤ペレットの熱膨張係数の測定
上記実施テストの焼成ペレットについて熱膨張を測定した。実施テストの焼成ペレットを5×5×20mmで切り出し、これを5.5℃/分の速度で昇温させ、熱膨張の変化を理学電機(株)製の熱膨張測定機で測定した(図2)。
【0048】
図2の熱膨張測定結果から示されるように、実施テストの焼成ペレットは、200〜300℃で急激な体積変化が見られなかった。このことは、クリストバライトが発生していないことを示す。また、本試験の結果から、実施テストの焼成ペレットの熱膨張係数値が5.42×10−6であり、これは、CBN砥粒の熱膨張係数3.5×10−6〜±2.0×10−6の範囲内にあることから、CBN砥粒における熱膨張係数と十分に近似していることが分かった。
【0049】
[実施例2]
研削砥石の製造
実施例の砥石を製造するために、前記表1に記載の実施テストの組成でフリットを調製した。比較例の砥石を製造するために、前記表1に記載の比較テストの組成でフリットを調製した。
【0050】
各フリット29重量部を、100重量部のCBN砥粒(BZN−I)80/100及び8重量部の一次結合剤(デキストリン50%水溶液)と均一に混合した。このとき砥粒体積率54%、結合剤体積率21%、気孔率25%を得るように混合し、長さ40mm、幅16mm、厚み3.2mmの金型に入れ、900℃で1時間焼成した。こうして、図3に示されるような曲率を有する砥石部が得られた。
【0051】
砥石部は、実施例と比較例について、それぞれ20個ずつ作製され、各砥石部の長手方向を仕上げた後、その接着面にエポキシ樹脂を塗布し、チタン合金の台金に貼り付けてから60℃で48時間硬化させ、こうして研削テスト用砥石が作製された。
【0052】
研削テスト
各研削テスト用砥石について、仕上げ面粗さ(Raμm)の劣化率を評価した。
【0053】
仕上げ面粗さ(Raμm)とは、中心線平均粗さ(Ra)として、粗さの曲線からその中心線の方向に測定長さlの部分を抜取り、この抜取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものである。
【0054】
【数1】
Figure 2004330320
【0055】
「仕上げ面粗さ(Raμm)の劣化率」とは、研削が完了した被削材上の4点で仕上げ面粗さ(Raμm)を測定してその平均値をとり、この平均仕上げ面粗さが、被削材の研削個数の増加に従って悪化(粗くなる)する度合いを見たものである。本試験では、平均仕上げ面粗さが0.6Raμmに達するのに要した被削材の研削個数を、当該研削テスト砥石における「仕上げ面粗さ(Raμm)の劣化率」と定義し、この値から当該砥石の研削性能を評価した。
〔研削条件〕
Figure 2004330320
本研削条件の詳細を表3に示す。なお、粗研削時における研削能率のバラツキを無くすため、被削材径の減少に応じて被削材回転数を高くして、被削材周速度を一定に保った。
【0056】
【表3】
Figure 2004330320
【0057】
〔研削結果〕
各研削テスト砥石について、下記の研削個数が得られた。
実施例の砥石: 104cut
比較例の砥石: 62cut
実施例の砥石による研削個数は、比較例の約1.6倍である。これは、特定の組成を有するビトリファイド結合剤を使用することにより、砥粒保持力が向上し、砥粒の脱落が抑制されるため、研削時において砥石研削面上に多数の砥粒が存在することができ、その結果、面粗さの劣化を遅らせることができたことを示す。
【0058】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、本発明においては、ビトリファイドCBN砥粒砥石に使用されるビトリファイド結合剤の化学組成が、58〜65wt%のSiO、10〜15wt%のAl、15〜20wt%のB、2〜4wt%のRO(Rは、Ca、Mg、およびBaから選ばれる少なくとも一種)、及び6〜9wt%のR O(Rは、K、Na、およびLiから選ばれる少なくとも一種)である。このようなビトリファイド結合剤は、a)比較的低温での焼成が可能であり;b)熱膨張係数がCBN砥粒と十分に近似しており;且つc)クリストバライトの発生がないというビトリファイドCBN砥粒砥石に要求されるべき所要の条件を満たした上で、CBN砥粒の保持力を向上させるのに十分な流動性を発揮する。したがって、本発明により耐久性の良いビトリファイドCBN砥粒砥石とその製法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】流動性テストを受けたビトリファイド結合剤ペレットの形状を示し、同図(1)及び(2)は従来のビトリファイド結合剤ペレット、同図(3)は本実施例で調製されたビトリファイド結合剤ペレットを示す図である。
【図2】本実施例で調製されたビトリファイド結合剤ペレットについての熱膨張測定結果を示す線図である。
【図3】本実施例の研削テスト砥石に採用された砥石部の形状を示す図である。

Claims (5)

  1. ビトリファイド結合剤で結合されたCBN砥粒を含有するビトリファイド砥石であって、前記ビトリファイド結合剤の化学組成が、58〜65wt%のSiO、10〜15wt%のAl、15〜20wt%のB、2〜4wt%のRO(Rは、Ca、Mg、およびBaから選ばれる少なくとも一種)、及び6〜9wt%のR O(Rは、K、Na、およびLiから選ばれる少なくとも一種)であることを特徴とするビトリファイドCBN砥粒砥石。
  2. 前記R O全量に対してLiOを30wt%以上含むことを特徴とする、請求項1記載のビトリファイドCBN砥粒砥石。
  3. 前記RO全量に対してBaOを50%以上含むことを特徴とする、請求項1又は2記載のビトリファイドCBN砥粒砥石。
  4. ビトリファイド結合剤とCBN砥粒とを含む混合物を焼成することによるビトリファイドCBN砥粒砥石の製造方法であって、前記ビトリファイド結合剤として、その化学組成が58〜65wt%のSiO、10〜15wt%のAl、15〜20wt%のB、2〜4wt%のRO(Rは、Ca、Mg、およびBaから選ばれる少なくとも一種)、及び6〜9wt%のR O(Rは、K、Na、およびLiから選ばれる少なくとも一種)であるものを使用することを特徴とする製造方法。
  5. 使用される前記ビトリファイド結合剤は、該ビトリファイド結合剤から成型してなる高さ/直径の比率0.79の円柱状ペレットをその焼成条件に曝す流動性テストにおいて、焼成後における該ペレットの高さ/直径の比率が0.1〜0.25となる流動性を有するものであることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005072912A1 (ja) * 2004-01-28 2005-08-11 Kure-Norton Co., Ltd. ビトリファイドダイヤモンド砥石の製造方法
CN108857938A (zh) * 2018-07-02 2018-11-23 河南烨达新材科技股份有限公司 一种黑刚玉抛光砂轮及其制备方法
CN109531445A (zh) * 2018-12-28 2019-03-29 山东泰广奕砂轮有限公司 一种高耐磨陶瓷cbn砂轮结合剂
US11383300B2 (en) * 2017-10-30 2022-07-12 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Sintered material and cutting tool including the same

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